※この作品はR-18です。

悪夢の道化師   作:もっち~!

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緊迫したシーンなのでエロさないです(^^;

11/28 誤字を修正


悪夢の連鎖

---シュウ---

 

翌日、つらい作業を行う僕。部屋には僕と兵藤君の二人だけ。

 

「兵藤君、宿主に入るまでは外部との会話はできない。神器内部でオーフィスとロセだけが話相手になる。あと、新機能を入れて置いた。禁手化すると、君は実体化でき、そして戦え、触れ合える。短い時間だけどな」

 

兵藤君は無言で頷いた。僕は彼から神器を取り出し、ロセの魂を収めた器を入れた。次に…うっ…冷徹になりきれない。涙があふれ出てきた。

 

兵藤君はそんな僕を笑顔で見ていてくれている。

 

「ありがとうございます。新機能を付けてくださって。僕の為に涙までいただいちゃって。シュウさん、あなたに出会えて良かったです。僕は大丈夫ですから、お願い…うっ…します」

 

兵藤君も涙を堪えきれずにいる。くそっ…今回の任務は失敗だ。こんな事になるなんて。

 

兵藤君の身体から神器と駒を取りだし、駒を神器へ収めた。魂の抜け殻となった身体を、空間の裂け目の倉庫にしまった。

 

さて、行くか…

 

------

 

小猫と黒歌チームと共に、アーシアに宿る「黄金龍君」ファーブニルと使い魔ラッセーのオーラを探す。アーシアのオーラよりもドラゴンのオーラの方が探し易いからだ。

 

今回の作戦には、ギャスパーも来たがったが、朱乃さん達のガードを頼んだ。ベースキャンプが見つかる可能性もあるから。

 

匙王の城から感じる目的のオーラ。空間を裂いて、城に侵入して、ある部屋に入った。

 

「誰?」

 

「バイパー…」

 

僕達の侵入に驚くアーシアとゼノヴィア。

 

「アーシアに贈り物だ。拒否は認めない。兵藤君の入った神器だ。頼む受け取ってくれ」

 

「兵藤君?…兵藤…兵藤一誠…一誠?…イッセー…」

 

『アーシアたん、それを受け入れるんだよ。アーシアたんが一番大事な者だから』

 

ファーブニルの声がした。

 

「私の一番大事な人?…思い出せない…うっうっうっ…」

 

アーシアの琴線に触れる物があったのだろう。大きな瞳から涙が零れ落ちている。

 

「ちぇっ…来やがったかぁ。小猫、黒歌、時間稼ぎを頼む。ライザーとリアスだったら逃げろよ」

 

「「了解(にゃん)!」」

 

「私も行く。私は何かとんでもない事を、してしまった気がしてならない。罪滅ぼしになるとは思えないが、アーシアの事を頼むぞ、バイパー」

 

ゼノヴィアも得物を手にして小猫達とともに扉の外に出た。

 

「ラッセーの名前の由来を覚えているかい?アーシア」

 

「えっ?ラッセーの…雷撃と…イッセーさん…イッセーさん?」

 

僕は、新しく作った、記憶を呼び覚ます術式プログラム『メモリーリロード』をアーシアに向けて発動させた。デュリオ兄ちゃんの神滅具のような広域的な効果はないが、2,3人なら効果は出る魔術である。

 

「あっ…」

 

アーシアの周囲を走馬燈が取り囲み、記憶を呼び起こして行く。

 

「イッセーさん…イッセーさんはどうしたんですか?なんで神器になんか入っているんですか?」

 

アーシアの記憶は甦ったようだ。

 

「兵藤君は暗殺された。過去の時間軸で、彼が生を受ける前に、彼の両親が殺されてしまった。彼はもうこの世界に魂がないのだ。招魂できなくて、すまない」

 

僕はアーシアに謝った。彼女の大事な人をロストさせてしまったから。

 

「イッセーさんは誰に殺されたんですか?」

 

「匙だ。アイツは旧魔王派と手を組み、過去に戻れる能力持ちに依頼したんだ。ソーナを手にいれるためだけの理由でだ」

 

「そんな…ひどい…」

 

彼女の中で何かのスイッチが入ったようで、表情に精気が戻って来ている。

 

「私にイッセーさんをください。一緒に戦いたいです」

 

僕は、あの神器『一誠の魂(ソウルオブイッセー)』をアーシアに授けた。

 

「禁手化すると、イッセーが実体化できて、一緒に戦える。オーフィスも一緒にいるから、魔力もオーラも尽きることはないと思う」

 

「イッセーさんに会えるんですね。イッセーさんと一緒にいられるんですね」

 

「あぁ。イッセーの泥臭くて熱い想いを、継いでくれ。行くぞ、アーシア。リベンジをするぞ」

 

「はい!」

 

アーシアは黄金の鎧を纏った。「黄金龍君」ファーブニルが鎧化したようだ。

 

「ラッセー、お前の力も貸せ」

 

僕はラッセーを蒼い翼にして、鎧に装着させた。そして、扉の外へ向かう。外ではゼノヴィアが、ボロボロになって戦っていた。ゼノヴィアに記憶の呼び起こしをし、

 

「アーシア、ゼノヴィアを回復して」

 

「はい!」

 

ゼノヴィアの抜けた穴を僕が埋める。妖刀村雨を手にして構えた。聖水を滴らせた村雨で、悪魔共を屠っていく。

 

「小猫、下がれ、回復してもらって来い」

 

「了解!」

 

「黒歌、妖術、仙術をフルバーストして」

 

「了解にゃん!」

 

 

 

---ゼノヴィア---

 

記憶が甦ってきた。そうだ…イッセー…思い出した。なんで、こんな大事なヤツの事を忘れていたんだ?イリナ…謝って済むことではない。私はなんて事をしていまったんだ。シスターグリゼルダ…私は見殺しにしてしまった。あんな大切な人達を…私の手は血で染まり、地獄へ行くんだろうな。記憶を戻してくれたバイパーに感謝だな。納得して地獄に行けそうだ。

 

ふと、アーシアを見ると精気が漲っていた。アイツがいるのか?

 

「なぁ、アーシア、イッセーは?」

 

「私の中にいます。神器としてですが、私の元に帰ってきてくれました」

 

「そうか…アイツは…」

 

イッセーがいるんじゃ、無様な姿は見せられない。回復されて、前線に戻る。

 

 

 

---シュウ---

 

ほぉ…やっと、主役の二人が来たか。威風堂々とした佇まいのリアスとライザーがやってきた。

 

「この城に乗り込むとは、よい度胸だな。だが、我ら二人がお前らを消滅させてやる」

 

僕はあの魔術を発動した。

 

「「えっ!」」

 

脳裏に浮かぶ映像を見て、驚いている二人。まともに戦ったら、この世界は消えるからなぁ。リアスの滅の力と僕の無の力がぶつかったらねぇ。

 

膝から崩れ落ちるリアス。両手で頭を抱えて号泣しだしたライザー。昔の仲間を狩ってしまった後悔でもしているのか。

 

「イッセーはどこ?ねぇ、教えて、バイパー…」

 

泣き叫ぶリアス。

 

「イッセーは殺された。リアスと初夜を迎える瞬間に」

 

「そうだ。これからって時に、イッセーは消えたのよ。なんで?」

 

「過去の時間軸において、イッセーを身籠もる前の両親が殺されたんだ。イッセーはもう、この世界の時間軸には存在できないんだ」

 

「そ、そんな…」

 

号泣しだすリアス。

 

「なぁ、誰が俺達にこんな惨い仕打ちをしたんだ?」

 

ライザーがきいてきた。

 

「悪神ロキの呪いが生きていて、ソーナのイッセーに対する想いを許せない匙に、強大な力を与えたのだ。黒幕は悪神ロキ、実行者は匙元士郎だ」

 

「あいつ…」

 

「記憶から抜け落ちたイッセーの記憶の代わりに、匙の記憶が充填されて、記憶の欠落を補っていたんだ」

 

「許せない…私達はお兄様達を失脚させてしまった…朱乃、イリナに刃を向けてしまった…許せない…悪夢なら醒めてよ」

 

僕は、祝福の聖剣を取り出し掲げて黙祷をした。リアスとライザー、ゼノヴィアに纏わり付く闇のオーラを浄化するために。

 

「リアスよ、この悪夢から目覚めても、今迄の行いが悪夢となって甦るんだよ。取り敢えず、今は安らかに眠れよ」

 

闇のオーラが浄化されて、その場に倒れる三人。リアスは優しい顔つきに戻り始めた。

 

「さて、アーシア。匙の所へイッセーを連れて行くぞ!」

 

 

 

 

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