帰って来たイッセー
---ソーナ---
バイパー達は転移していった。
「ちょっと!ソーナのところの新人さんは何者なの?」
リアスがきつめの声をかけてきた。
「私は、チームシュウ補欠の川神百代だ」
「チームシュウ?補欠?あなた、何者?」
「ソーナ眷属だが。どこの世界でも紅髪はKYだな」
「はぁ?」
バイパーからの助っ人は、リアスの怒りを増長させていた。
「バイパーの手下か?」
アジュカ様が問うてきた。
「だとしたら、どうするんだ?魔王ごときが…」
アジュカ様から彼女へ向けて魔力弾が放たれたが、素手で軽く弾いてみせた。
「何?」
「だから、言っただろ?魔王ごときで、私をどうしようと言うのだ?補欠とは言え、入団するには、魔王以上の戦闘力がないとダメなチームなんだよ。ふふふ」
「貴様ぁ~!」
今度はファルビウム様から魔力弾が放たれようとしたが、それは叶わなかった。放つ前に、ファルビウム様が爆ぜてしまったのだ。血やら肉片やらが四方に飛び散っていく。
「モモヨン、潜入先で相手を怒らせてどうするのよ」
さっきまでいなかった者が、川神さんの後ろにいた。
「シルキーさん…団長には内密にしてくれませんかぁ?」
「まぁ、今回だけは内密にしましょ。で、そこの魔王よ。何か用があるのか?」
アジュカ様の顔は困惑していた。隣にいたはずのファルビウム様が、爆ぜたことに動揺をしているようだった。
「君は誰だい?」
「私はシルキー・鬼門・シトリー。シトリー家次期当主だ」
「はぁい?」
声を出して驚いた私。
「とは、言っても、この世界でではないけどね。そこの魔王、一人だけになったなぁ。まだ、我々と戦うのか?無駄な戦いで命を落とすなぁ」
「待ちなさいよ、あんた達を許さないから」
リアスは、頭上に滅びの力を蓄えていた。川神さんとシルキーさん?へと放たれようとした時、
「リアス、言ったはずだ。シュウさん達に攻撃をするなら、俺はリアスを倒すと!」
二人の前に、イッセー君が現れた。リアスに対して、臨戦態勢を取っているようだ。
「どうして?イッセー?どうしてよ?」
「言っただろう?シュウさん達に助けられたんだ。恩人を攻撃する奴は、例えリアスでも戦うよ」
リアスの蓄えていた滅びの力は、霧散していった。
「どうして…イッセー…」
「どうして?俺だって、リアスと一緒に普通に生きたいんだ。でも、まだ叶わない。そんな状況で、俺の恩人を攻撃するリアスが許せないんだ」
泣き崩れるリアス。
「ソーナ、ただいま。ソーナの家で話す事がある」
「わかったわ」
私は、眷属とイッセー君と、川神さん、シルキーさんを連れて、この場を後にした。
---アザゼル---
目の前で起きた事は信じがたいことだった。アジュカの放った魔力弾が、素手で軽く弾かれた。ファルビウムが回避行動を取れずに、爆ぜた。あいつら、何者なんだ?
「ミカエル、アイツらは何者なんだ?」
「神メイビス様が仕えているチームの団員です」
ミカエルは真剣な面持ちで話した。
「メイビス様?生きていたのか?」
三大勢力戦争で死んだはずでは…
「違う世界のメイビス様です。しかし、同じメイビス様です。我々天界は、メイビス様に従います。力の差は歴然だと思いませんか?アザゼルよ。戦って、無駄な血を流すことはないと思います」
「無駄?アイツらは何しに、この世界に関わっているんだ?」
「前の世界で、救えなかった魂を救済しにいらしています」
「魂の救済だと?こんなに大量に殺しておいて?そんなに大事な魂なのか?」
「そうです。大事な魂です。この世界に平和をもたらす者の魂です」
「それと、聖者ってなんだ?悪夢の道化師が、聖者なのか?」
「神ですよ。彼は。本人は絶対に認めませんけどね」
「神…だと」
「えぇ、この世界の創造神です」
「はぁ?創造神…」
「この世界の元来の創造神、破壊神は、紅髪の悪魔に滅せられました」
「サーゼクスにか?」
「紅髪の魔王ではなくて、紅髪の悪魔です。アザゼルよ」
俺は、未だに泣きくずれているリアスの方を見た。
「まさか…」
「あの紅髪の少女が、最高神の内2名を消滅させました。この世界には破壊神、創造神がいないので、自浄作用は働きません。そこで、彼は我々に2択を迫っています。この世界は、このまま滅びるか。または、もう一度時の流れを刻むかです。アザゼルはどうしたいですか?」
「やり直せるなら、やり直したいに決まっているだろ?」
「それなら、彼のやることに目をつむりなさい。それがこの世界のリセットの条件です」
「おい、あいつは創造神なんだろう?」
ミカエルは不敵な笑みを浮かべた。
「アザゼルの言いたい事はわかります。破壊神のことですね?破壊神は、彼に仕えています。彼らのチームは、世界を破壊して創造し直す力があるのです。私達のような吹けば飛ぶような存在とは違うんです」
俺は初めて恐怖心を抱いた。その気になれば、この世界を一瞬で破滅する力を有する戦力。戦ってはいけない相手ってことだな。そんな相手に戦いを挑もうとした俺。
無意識の内に、泣き崩れているリアスを抱き起していた。
「イッセーって、何者なんだ?」
「私の大事な人です。私は…彼を護れなかった。彼の優しい心を壊してしまった。彼の妹的な存在のアーシアの神器を、奪おうとしてしまった。もう、許してくれないかもしれない」
「俺は、前の周回で、イッセーって奴を知っていたのか?」
リアスは頷いた。そうかぁ…リセットする度に想いは強くなるが、そうでないと記憶が薄れるのかな。
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後日、ミカエル、アジュカと会い、今後について、話し合った。
「アジュカ、どうする?」
「どうもこうもない。魔王2名がやられているんだ。悪魔としては白旗だ」
「堕天使も白旗だ。これ以上、被害は出せない」
「では、彼らの勢力と、友好条約を結ぶというのはどうですか?」
と、ミカエルが提案した。俺もアジュカもそれに同意して、そのことをミカエルに伝えてもらうことにした。
---ソーナ---
お姉様と話せた。反省の色はなし。次の周回も、イッセー君に預かってもらうことになりそうだ。この先の歴史、記憶が甦っているので、何が起きるのかがわかる。現在の周回のリアスとグレモリー眷属では対処できない事案が多いので、私の眷属と、イッセー君達で乗り切ることにした。
バイパーが現れた。
「由良ですか?」
私の声に由良の表情が硬くなった。
「そうじゃないよ、イッセー君に用だ」
「どうしました?」
「イッセー君、お別れだ。次の周回で目処がついたよ。完全に元には戻らないけど、まぁ似たような人生を歩めると思う」
「本当ですかぁ!」
「あぁ。セラフォルーは、反省の色はないので、このまま、ドライグの籠手に宿らせる。たぶん、セラフォルー的には、イッセー君とずっと一緒にいられて、幸せだろうしね。ロスヴァイセは、天使として転生をさせる。オーディンのバルキリーでは、碌な人生を歩めないみたいだから。あと、イッセー君、兵藤家に生まれるか、匙家に生まれるかは五分五分だ。どっちにしてもソーナが必ず、手を差し出してくれると思う。そうだろう?ソーナ」
私は、強く頷いた。
「次の周回は、ドライグの起動が、記憶のリロードの引き金になる。僕からの蹂躙を受けないでも、記憶は甦るはずだ。次の周回、無事に終われば、記憶のリロード機能は停止する。なので、そこからは、新たな人生を君達の手で掴んでくれ」
「「ありがとうございました」」
「問題はリアスだ。アイツの犯した罪(最高神の殺害)は重い。リアスには償いとして、破壊神になってもらい、この世界を見守ってもらうことにした。異論、反論は受け付けない」
「創造神様はどなたですか?」
「僕がする。リセットの度に様子を見にくるよ。じゃあな、みんな!」
バイパーと彼のチームの者は、この世界を後にした。
(完)
リアスは、神になっても、私達の前、特にイッセー君の前にちょこちょこ遊びに来た。
しかし、神は英雄か神としか交われないそうで…英雄でも神でもないイッセー君とは…
イッセー君と気軽に会えるからと、破壊神になる決意をしたリアスへの罰はそういうことのようだった。
「私にとっては、何も解決していないよ、バイパー!戻って来てぇ~」