練習作。出来は期待しないでください。
男根と言うものはとても敏感だ。皮膚一枚の下を海綿体が密集し、充血することで男根は内側から肥大する。その大きさは様々だが、私は他者の記憶の中でと言う限定的状況においてかなりの数を確認してきている。
そんな私から見ても、鬼のように体格が大きかったり、触手のように全身が男根であるような存在を除けばと言う条件付きで……つまり体格的にある程度本人達と変わらないくらいの身長の存在の中では、お燐とお空の股間から生えた男根は立派なものだと言えた。成人した鬼の平均的なサイズよりは僅かに劣るが、お空のような身長でそれに匹敵しうるサイズのそれをぶら下げているお空の方が異様なのだ。
「さ……さとりさまぁ……」
お空ははぁはぁと息を荒げ、スカートを両手でたくしあげて大きく反り返った男根を私に見せつけるように露にする。その瞳には理性は殆ど残っておらず、ただ相手を孕ませたい。あるいは自身が孕みたいと言う二つの相反する感情が混ざりあっていた。
女の身でありながら男の性器と同じものを持つ。そんな歪んだ存在であるからこそ、お空はその二つの情動に振り回されていた。
今のお空を相手にちゃんとした会話は成り立たない。そう認識した私は目の前に突き出されている男根に軽く触れていく。
「ひぁっ!」
たったそれだけ。いったいどれだけ溜まっていたのか、あるいは身体が既に準備を済ませていたのか、お空はほんの少量ではあるが男根の先端から精を滲ませる。愛液に濡れた女陰の匂いに混じり、青臭い雄の匂いが漂い始めた。
そして私でも感じることができるような匂いに、より動物色の強い者が反応しないわけがない。背後に居るお燐の思考から理性の色が一気に薄れ始め、このままでは私を突き飛ばしてでもお空の男根にむしゃぶりつきそうだ。
「お燐」
「!は、はい!」
「ここにいらっしゃい」
お燐を私のいた場所に呼びつけ、私自身はお空の背後に回る。目の前にぷんと雄臭さを発する男根を目の前にして、お燐の瞳がより動物的になっていく。興奮のあまりほんの僅かではあるだろうが変化が解けそうになっているようだ。
お燐の視線と意識はお空の男根に集中している。お空の意識は自身の男根を見つめるお燐に集中している。お互いの意識が完全に一点に集中している。
それを確認しながら、私はまだお燐にもお空にもなにもさせないように我慢を続けさせていた。
お燐が物欲しそうに鼻をすんすんと鳴らし、涎によってぐっしょりと濡れそぼった舌がぱくりと開かれたお燐の口内で艶かしく踊ってお空を誘い、お空は息を荒げたままゆらゆらと男根を揺らして雄の匂いを振り撒いてお燐を誘う。
男根をしゃぶり尽くしたいお燐と、男根を刺激してほしいお空。どちらもが自身の欲求に逆らって動かないのは、たくさん我慢できた方を私が相手してあげる、と言う言葉によるものだ。お燐もお空も、私が相手してくれると言うそれだけの理由で、自身を苛む獣欲の手綱を取っているのだ。
しかし、勝負の天秤はゆらゆらとよく揺れる。お燐がお空の理性を削ろうと、ふぅ、と優しく息を吹き掛ける。するとお空の男根はその風に撫でられてびくびくと跳ねるが、それまでよりずっと強く雄の匂いを周囲に振り撒く。
対して息を大きく吐き出したお燐は吐き出した分だけ息を吸い込まなければならず、より濃厚になった雄の匂いを肺いっぱいに吸い込んでしまい瞳を潤ませる。
有利なのはどちらかと言えば、お燐だろう。しかし今のお空の背後には私がいて、こっそりと前に出ようとする腰を引っ張って押さえていたりする。
前に出そうとする度に私に引かれ、そしてその原因である私に目を向け、そして我慢しなければいけない理由を思い出してまた我慢する。まったく、本当に健気で可愛いペット達だ。
そうしているうちに、我慢にも限界が訪れる。どちらからとも言えないが少しずつ少しずつ二人の間に存在していた距離は縮まっていく。
お燐の涎は口から溢れて顎から滴るほどになり、一部は首から更に下までつたって着ている服を湿らせる。
お空の男根も同じように先端から無色透明の粘液を吐き出し、幹をつたって太股で女陰から溢れた愛液と混じって量を増やす。
どちらからとも言えないまま、我慢の限界に達した二人は、理性の鎖を引きちぎって同時に唇と男根を触れさせていた。
ゆっくりと、お燐は溢れる涎をお空の男根にまぶすように舌を這わせる。既に湿っていた男根に舌を這わせる度に、体液から滲む妖気がお燐の唾液の妖気と混じり合って場を形成していく。ちゅくじゅくという水音と荒い吐息が交じり合い、妖怪同士が子をなすための世界が作られていく。
……けれど、私はそろそろペットを増やすのはよしておきたい。
妖怪は、異種間に子を作るということを当然のようにしている。西洋で言えばグリフォンと呼ばれる幻獣を筆頭に、ヒポグリフやキメラといった存在がそれにあたる。同じように東洋では多くの妖怪の血を継いで生まれ、同時に無数の先祖返りを起こした妖怪の形態の一つに鵺がいる。命蓮寺に住んでいるあの鵺がそのように生まれたのかはわからないが、少なくとも鵺と呼ばれることのある存在にはそうして生まれることがあるということは事実だ。
つまり、お燐とお空が本当に子作りをすると実際に子ができてしまう可能性がある、ということだ。その場合、お空が主体になるのかお燐が主体になるのかで生まれてくる子供の形態はかなり変わることになりそうだけれど……私は今、そういう存在を求めてはいない。
今まで誰にも言ったことはないけれど、私なりの堕胎の方法というものがある。子供ができたばかりの時は、その肉体は当然のこととして魂もまた非常に弱々しいものだ。輪廻の輪を巡り終えたばかりで自意識もなく、大した力も持たないその魂を―――私の能力で前世を無理矢理に呼び起こし、魂の核に見合わない大きさの情報を叩き込み、内側から自壊させる。すると魂を失った卵子は育つことなく、次の月のものと一緒に胎外へと排出されてしまう。
自壊した魂は三途の川の畔にて石を積み上げたり、あるいは誰にも気付かれることなくひっそりと新たな輪廻の輪に放り込まれたりしているけれど……時々、前世の記憶という形で私が呼び起こした記憶の残滓を持って生まれてくる者がいる。大概の場合は生まれる前の自身の存在と生まれてからの自身の存在のギャップに耐え切れないのだけれど、ごくたまにそのまま成長して大成したり、大きな事件を起こしたりするものも存在する。まあ、自分は選ばれたと本気で思っているような存在が一体何をするかといえば、結果は見えたようなものですが。
「お、お燐っ!」
「んんぐっ!?」
突然、我慢が出来なくなってしまったらしいお空がお燐の頭を掴んで腰を振り始めた。ごつんごつんと喉を突かれているお燐は呼吸ができずに苦しそうな呻き声をあげているが、その呻き声すら今のお空には自身の快楽を増長する物としか感じ取れていない。何度もお燐の名を呼びながら、無理矢理に行われるお燐の喉奥への抽送。しかしそれをお燐は何度かの後に自身からより深く呑み込み始めた。
咽頭までしか入っていなかったお空の男根を、食道にまで飲み込む。ぎゅうぎゅうと締め付けられるその快感にお空はまたしても精を吐き出す。ただし、先程とは違って放出される精は非常に多く、後から後から溢れ出してきている。
お燐はそうして吐き出された精を全て自身の喉で受け止め、そして飲み込んでいく。いや、喉よりも更に深い所で受けたために吐き出すこともできずに直接胃にまで収められてしまっただけだが、それでもお燐が頑張っていたのには違いない。
だからこそ、私が後で相手をしてあげられなくなってしまったお空の性欲処理を今ここで終わらせるつもりで、私は行動に移った。
と言っても、私がしたことを言葉で表すのは実に簡単だ。ほんの一言で済む。
「―――お空」
ただ、囁く。それだけだ。
しかし、その囁きには無数の技術が詰め込まれている。
囁くと同時に想起して、私の言葉を外側からだけではなく内側からもお空に届ける。その囁きはお空の脳にまで響き渡り、その影響を無視することなどできなくなる。
そして、その囁きには私の知る限りで最大の淫蕩の感情と情動を込め、想起した声にも同じように欲望を再燃させる効力を持たせる。昔々に出会った大悪魔。逆カバラにおいて肉欲を司るバアル。そして古き七つの大罪の色欲を司るアスモデウス。聖書において最も早く男を誑かしたとされるリリス。それらの波動を声に乗せ、思考として想起させ、それを個人に向けるためにその声でお空の名を呼んだ。
「は、はぁっ!あっあっああっあぁぁぁっ!!?」
「んぐぅっ!? んっぐぅぅっ!!?」
一度精を吐き出し、僅かにではあるが硬度を失いかけていたお空の男根が、性を吐き出す前より遥かに大きく膨れ上がる。ぶくぅっという擬音が聞こえてきそうなほど急速に膨れ上がるそれはお燐の喉を内側から圧迫し、お燐の喉のより奥へと侵入していく。
一気に膨れ上がる男根に喉を塞がれたお燐は呼吸を無理矢理に止められ、さらにかくかくと揺すられるお空の腰の動きに引きずられるように頭を前後させられている。お燐の感覚から言って、少なくとも気道は完全に塞がっている。鼻で息をすればいいとかそういう問題では既になく、完全に食道にまで先端が入り込んでいた。
そして一気に膨らんだせいでお燐の口に、喉に、食道にぎゅうぎゅうと締め付けられたお空の男根は再び異様な量の精を吐き出している。その勢いはまさに止まることを知らず、お燐の喉から胃へと大量の精を放ち続けている。
一体それがどれだけ続いたのかはわからないが、お燐の顔色が酸欠で青白くなってきたころ、ようやくお空の射精が止まった。
無理矢理に精を詰め込まれ続けたお燐の口からお空の男根が抜かれていくが、ほんの一滴も精が漏れ出さないのはお燐の喉の奥までをみっちりとお空の男根が埋め尽くしているからだろう。どちらの思考も真っ白で、理性の色など全く見えない。代わりに獣としての本能がその身体を支配しており、お空はとにかく孕ませたいと。お燐は孕みたいと。その一つのことしか思考に存在していないのがよくわかる。
―――駄目押しに、もう一度。ただし今度は、もう片方に。
「―――お燐」
瞬間、お燐は半分裏返っていた目を見開き、その身体をがくがくと震わせた。明らかに絶頂を迎えているその状況は、お燐の口に男根を突き入れたままのお空にも伝播し、再びお空とお燐は身体を震わせた。
ずるるぅぅっ、とお燐の喉から完全に引き抜かれた男根は、てらてらと光を反射する唾液と自身の吐き出した精に塗れている。そして四度射精したにも関わらず未だに硬度を保ち続けている……どころか、初めの時より長さも太さも一回り以上巨大化している男根から、最後の一息とでも言うかのようにお燐の顔に濃厚なゼリーのような、あるいはそれすら超越してグミのようなと形容することすらできそうな濃度の精を放っていった。
……男役の場合は、精を大量に吐き出してしまえば発情期は収まる。出すための精も無限ではないし、命に関わるほどになると勝手に気絶するようにできている。
しかし女役は、その胎内に他の存在の力……妖気でも霊気でも魔力でも精でもなんでも構わないけれど、破壊的ではないなんらかの力を受けなければ発情はそう収まらない。一番簡単なのはさっさと抱かせて妖気と精を同時に受けさせる事だけれど、発情期同士の間でそんなことをやらせたら人口問題が加速してしまう。それに、お燐が一時的にでも仕事ができなくなってしまうのは困る。
だからこそ、お空にはここで全部出しきってもらって満足させないといけない。
お空の背後から手を回して、男根を捉えて優しくしごく。同時に快感得ている状態を複数回想起させれば───
「あっああっあっぁぁっあっぁあぁぁっあっあ───ッ!」
またもお空の男根から精が溢れ出す。膝をがくがくと震えさせ、かくかくと空腰を打ち、終わりを知らぬとばかりに後から後からお燐の顔を、髪を、胸を、口を、精の塊で白く染め変えていく。お燐はその精を恍惚の表情で受け止め、お空は延々と続く絶頂に思考を完全に飛ばしながらも浸り続けていた。
少し前までならば、こんなことをしたらお空は間違いなく気絶ではすまなかっただろう。しかし今のお空にとってはこの程度の事ならば簡単に耐えることができてしまう。太陽と言う莫大なエネルギーを備えたお空を満足させるならば……精神的なものにしておかないと本当に身体が持たない。かなり本気で死んでしまう。
そしてお空は───押し寄せる快楽の波に精神を飲まれ、意識を失って倒れてしまった。それでも男根は元気なままだが、本人が完全に意識を失ってしまっていれば問題ない。快楽の余韻が残っているようで、触れてもいないのにびくびくと脈打つ度に少しずつ精が溢れているのは……まあ、太陽神は多くの神話において精強なる存在であると言うことを考えればなんらおかしいところはない。日本神話では太陽神は女性だが、天照大御神と同一視されることもある大日如来は男性として認識されているし、その大日如来と同一視されることもある拝火教の至高善の最大神格やインドのマハーヴァイローチャナは男性だ。お空の女性的な部分がそのままである以上、それらの男性的な部分が全てその一点に纏まったと考えることもできる。ならば、むしろこのくらいで済んでくれるのは良かったのかもしれない。
しかし、このままではお空はともかくお燐は収まりがつかないだろう。だからこそ私は我慢ができなかったお空を先に十分満足させて脱落させたのだけど。
「お燐」
「───ぁ……ふぁ? はれ……さと……はっ!はい!」
ぼんやりとしていたお燐は私が話しかけてから数秒はとろんとした顔のまま惚けていたが、すぐに正気に戻るとしっかりと私に返事をした。そんなに本気で返事をしなくてもいいのだけれど、私はそこには触れずにお燐に触れる。お空の精にまみれていたが、正直慣れているので問題はない。
そして、私は悪魔のような甘い囁きをお燐に向けた。
「ねえ、お燐。あなた───」
───私を孕ませてみたくない?
※練習作ゆえ続かない模様