古明地こいしは、様々な無意識によって性質が変わる。それまでいた場所や近くにいた者の性質によって、様々な性癖を得てしまうのだ。
ある時には帽子と靴下、そして靴のみで地底を歩き回り、ある時には他の女性が輪姦されているところで男性の情欲を煽ることでより激しく犯させ、ある時には食事や仕事をしているさとりの脚の間に潜り込んでペット達の前でこっそりさとりを責めてみたり、ある時にはペットの情欲を煽ってさとりにけしかけて行為を覗いてみたり、ある時にはさとりの部屋で一日中自慰に耽って自分の匂いをベッドに染み付けてみたり、仕事をしているさとりの目の前で全裸になり、おもちゃをくわえ込んでみたり……そういった様々な変態的な行為を繰り返してきていた。
さとりはそのほぼ全てを認識していたし、九割以上は許してもいた。誰に迷惑がかかるわけでもないし、地底における基本法則は『弱肉強食』であったからだ。
力が強ければ意思を押し通すことができる。力が弱ければより強いものと衝突した際には曲がらなければならない。さとりにとっては極自然なことであり、地底に住む大多数の妖怪にとっても当然のことであり、それを認められない存在は認められないなりに様々な手段を使うことでそれを補ってみせる。こいしの無意識も、自身は強くないから他の自分より強い相手と衝突しなくなる方法だ。衝突することがなくなれば、無理矢理に意思を曲げなければならないと言うこともなくなる。目的達成と言う点だけを見れば、非常に効率のいい方法だ。
こうしてこいしは様々な性癖を獲得したり忘れたりしながら日々を過ごしている。基本的にその性癖の向かう先は姉であるさとりであり、その他の者を巻き込むこともある。特に発情期になれば、周囲の者を巻き込むのにより躊躇がなくなり、積極的に巻き込もうとする。
これはそんな古明地こいしの、とある時の発情期の話。
舌とは基本的に敏感なものである。粘膜に覆われているため軟らかく、小さな刺激を受け取ることにも長ける。さらには傷を負ったとしても相当深くない限りは人間でも数日程度で治ってしまうし、軟らかいと言うことは触れた相手を傷つけるようなこともまずあり得ないと言うことでもある。
こいしはそんな舌を巧みに使い、さとりの足を舐め上げていた。
仕事中のさとりの机の下に潜り込み、靴を脱がせる。仕事を始めてすぐと言うこともあって臭いはほとんどしなかったが、しかしそれでも少しだけ蒸れた汗の臭いが鼻につく。こいしは靴下越しにその臭いをたっぷりと吸い込んでから、足の裏に頬擦りをした。
「……お姉ちゃん」
「……どうしたの?」
「えっとね……お姉ちゃんにこうやって踏まれてるみたいになると……なんだかこう、ぞくぞくぅ……ってする」
数秒の沈黙の後、さとりは無言でもう片方の靴を脱ぐ。両足を上手く使って手を使わずに脱いだそれはこいしの手で脱がされたそれときれいに並ぶ。
そして、さとりは両足でこいしの顔を両側から挟み込む。足の裏で挟むようにしているため少しがに股になっているが、こいしのいる場所からはさとりの下着を見ることができてより興奮していた。
ムニムニと頬を足でこねられ、少しだけ開かれた脚の付け根、スカートの奥の下着を見せ付けられ、若干M入っている今のこいしは自分の秘所が湿り気を増すのを押さえることができそうになかった。
「……舐めたい?」
「! うん!」
顔を挟んでいた足が離れ、目の前に現れた直後にかけられた問いと、その答えがこれである。
どちらも主語を使っていないが、どちらも指すものは同じであった。
「それじゃあ、脱がしてちょうだい。……ただし、手は使っちゃ駄目よ?」
「! は、はいぃ……」
今のこいしをお燐が見たら、瞳にハートマークが浮いていると言っただろう。それほどこいしは甘ったるい声で返事をして、ゆっくりと口だけで靴下を脱がそうとしていた。
スカートに潜り、秘所を目の前にしながら靴下に噛み付き、少しずつ下ろしていく。いきなり先端を引っ張っても靴下が伸びてしまうだけで脱がせることはできないと言うことを理解しているからこその行動だが、脚の内側に外側にと何度も移動しながらずり下ろしていくその動きに混じって水音が聞こえ始める。
ちらりと見てみるが、さとりから聞こえてくるわけではないと言うことはわかった。どちらかと言うと下の方から聞こえてくるような───と、そこでこいしは自分の指が自分の秘所を掻き回していることに漸く気が付いた。
ぐちゅぐちゅと膣を指で掻き回しながら、さとりの靴下を口だけで脱がせていく。数分の時間をかけてやっとの思いで靴下を脱がせると、さとりはこいしの頭を踏みつけるように、しかし痛みは感じることがないように加減しながら頭を撫でた。
「上手にできたわね、こいし」
「ぅ、うん……っ」
頭を踏まれるように押さえられ、しかし優しく撫でられるように足裏が髪の毛を梳く。こいしの身体はそれによってぴくんと跳ねるように一瞬強張り、すぐに脱力する。
そしてその足とは逆の足に顔を押し付けられると、こいしは何を求められているのかを無言のまま理解して行動を開始する。膣をいじる指はそのまま、逆の靴下も同じように脱がせていった。
「上手、上手。上手いわね、こいし」
さすさすと足で撫でられる度にぞくぞくとした何かがこいしの背筋を走り抜けては下腹部の内側を熱くする。自然と膣を弄り回す指の動きにも熱が入り、さとりの靴下を脱がす口の動きが疎かになってしまう。
それでもなんとか靴下を脱がせ終えた頃には、こいしははぁはぁと荒く息をつくようになっていた。自分で弄り続けているだけではあるが持続的に送られてくる快楽と、さとりから命令されていると言う事実。その両方がこいしに甘美な感覚をもたらしていた。
「……さあ、こいし。私の靴下を脱がせて……どうしたいの?」
「な……舐めたい、です。お姉ちゃんの、足……先っぽから全部……ぺろぺろしたい」
こいしの言葉の後に続くのは、僅かな空白。それはさとりの『今回のこいしの性癖はいったいどこで拾ってきた……』と言う思いの現れであったが、一呼吸の間にそれを追い散らす。
「……まるで犬のようね。犬なら、どうするべきだと思う?」
そう言いながら机の引き出しから取り出したのは、まるでこうなるのを予測していたような物。赤い革でできた、頑丈そうな首輪であった。
脚を組みながら指先で円環状になっている首輪をくるくる回すと、こいしの目はそれに釘付けになる。そして、ゆっくりと服のボタンに指をかけて、ぷち、ぷち、と一つずつ外し始めた。
まずは上着が脱げていく。ボタンを外された上着は無造作に打ち捨てられるようにこいしの足元に落ち、隠していたその下を露にする。
次はスカート。ボタンを外したかと思えばボタンより小さな音が連続し、横が開いてスカートが落ちる。
次にはブラウスが脱げ、ブラが脱げ、帽子とパンツだけになったこいしは躊躇うことなくパンツを脱ぎ捨て、さとりの足元で四つ這いになった。
「……よくわかっているわね、こいし。お手」
「ひゃん!」
さとりの命令に鼻から抜けるような甘い鳴き声で返しながら、さとりの出した手の上に拳にならない程度に丸めた手を乗せる。
「おかわり」
「ひゃん!」
同じように逆の手をさとりの手に乗せ、鳴く。犬の尻尾が生えていたなら間違いなく左右に激しく振られていただろうその態度に、さとりは自然と笑みを浮かべた。
「ちんちん」
「ひゃん!」
その命令にも即座に従い、こいしは自分の身体を全てさとりに見せつけた。それも両腕は曲げて身体の横に固定させることでどこも隠す気は無いと言うように堂々としている。
堂々としているのはそれだけでなく、下の方も同じくであった。踵をお尻に着けるようにしてしゃがみ、大きく膝を左右に開く。本来ならば最も隠さなければならない場所を全てさらけ出し、さとりの視線が自分に突き刺さるのをこいしは愉しんでいた。
「息が荒くなっているわね? それに……こんなに湿らせて」
「はぅんっ!」
さとりが親指の腹を押し付けたこいしの秘所は、既に滴るほどの愛液にまみれていた。くぱぁと開かれた膝に引っ張られるように花弁を開き、蜜を垂れ流している。
「……どうしてほしい? このまま足全体で踏んであげましょうか? それともクリトリスを指でグリグリする? お腹と胸を足置きにして一日そのままにするって言うのも面白そうね」
さとりは言葉に合わせてこいしの秘所を踏みつけ、爪先でクリトリスをつつき、左足を使ってこいしの胸を踏みつける。それらの行為が、今のこいしにとっては気持ちよくて仕方がないと言うことをよく理解した上での言葉だった。
こいしはその言葉に含まれた愛情に気付いていたし、気付いていたからこそ喜びも大きなものだった。性癖が被虐趣味になっていたとしても、こいし自身の好みはそう変わらない。どんな性癖を持ってきたとしても、その相手はよほどのことがなければさとりに限られることからもそのことがわかる。
「……お姉ちゃんがしたいように、してほしい」
こいしは囁くように口にすると、目の前にあるさとりの足にキスをする。足の甲に唇を落とし、指を口に含んで唾液をまぶし、舌を指に絡ませる。
「ん……お姉ちゃんが、しろって……ちゅ……言うなら、なんだって……れろ……」
「……ふふ。こいしは控えめね」
こいしの口から指を抜き、そのまま顎を引き上げさせる。情欲に濁りながらも思慕に満ちたその瞳に見つめられると、さとりは笑いながら問いかけた。
「痛いけど気持ちいいのと、恥ずかしいけど気持ちいいの。どっちが好き?」
「……お姉ちゃんが───」
「ああ、うん、わかった。それならとっても優しくしてあげる」
こいしの言葉を途中で打ち切らせて、さとりはこいしの身体を抱き上げる。自分と同じ方向を向かせたまま足を大きく開かせ、膝に乗せる。すると机の上にある鏡にはこいしの全身が綺麗に映し出され、全てがこいしとその後ろのさとりの視界に収まる。
「こいしはいい子ね」
「んぅ……えへへ」
さとりからの頬へのキスに、こいしの表情が緩む。疲労も羞恥も限界も無意識のうちに無視し続けるこいしにとって、さとりから与えられる愛情だけが全てであった時期を思い出す。
だが、その記憶もまた無意識に溶け、代わりにぞわぞわとさとりの手が触れている腹部から圧倒的な熱量を持つ何かがこいしの身体を溶かすように満たしていく。
「───イきなさい」
こいしの身体に自身の妖気を侵入させ、それをアンテナとして無意識に干渉し、身体だけを絶頂させる。こいしには何が起きたのかが理解できないまま身体が跳ね、股間から愛液を飛ばしてしまう。
さとりはこんなこいしの身体を抱き締め、下腹部を撫でながら囁く。
「いい子、いい子。こいしは私の言った通り、ちゃんとイけたわね。いい子よ、こいし」
「い、く? なんだか身体がふわってなって、一瞬真っ白になって、なんだかよくわからないよ……?」
「あら、それじゃあそれがわかるまでやってみましょうか」
こいしの身体を抱え込みながらさとりは何度も囁く。こいしの身体はさとりに言われるがままに絶頂を味わい、震える。自身の両手で抱え込んだ両足をより強く抱え込み、鏡に映し出される自身の痴態を無意識のうちに見つめながら絶頂を繰り返す。
「イきなさい。もっと、何度も、何度も、イって、イって、ほら、もっとイって……」
「ひぁっ!ふぁああっ!あ、あぁぁぁっ!しゅごい!これしゅごいひぃ~~ッ!」
さとりの手は下腹部からいつの間にかこいしの秘所に移動し、二本の指がこいしの小さく狭い膣をゆっくりと広げながら掻き回す。同時に親指で陰核を皮の上から優しく押さえ、転がし、能力と暗示に任せた力技での絶頂から実際に与えられる快楽から来る絶頂へと少しずつ質を変えていく。
「こいし? 気持ちいいならちゃんと私に教えてちょうだい? どこが一番気持ちいいの? どこでイってしまいそうなの? ここ? それともこっち? 私はこいしの悦ぶ事をしてあげたいわ。ほら、こいし。
自分の口で、イってごらん?」
こいしの小さな───それでもさとりよりはやや発達しているように見えなくもない───胸の頂点にある小さな果実をつまんで捏ね回し、陰核を優しく押し潰し、陰核の裏側を指で押し上げながらさとりは囁く。未だに繰り返される絶頂によって噴き出す愛液で手がどろどろになるのも構わず、さとりはこいしを愛情のままに弄び倒す。
そしてそれを受けるこいしもまた、愛情のままに叫ぶようにさとりに応える。
「ぜんぶっ!ぜんぶきもちいいよぉっ!
おまんこもっ!クリちゃんもっ!おっぱいもぉっ!
鏡に映る恥ずかしさもっ!お漏らしでお姉ちゃんの手を汚しちゃうのもっ!ペット達に聞かれちゃうかもしれない今もっ!
全部、ぜんぶっ!ぜーんぶっ!気持ちよすぎておかしくなっちゃうよぉっ!」
こいしの言葉には何一つ嘘は含まれていない。無意識で生きる少女に、嘘などと言うものは存在しない。
さとりはこいしの身体を撫で、跳ねさせる。ぴくぴくと震える身体を両腕で押さえながら、ゆっくりと囁く。
「───いい子ね、こいし。ご褒美に、もっと、もーっと、気持ちよくしてあげる」
ちかちかと明滅する視界をこいしの表層意識を共有することで見ているさとりは、一口で歯が全て溶け落ちてしまいそうだと錯覚しかねないほどの甘い感覚をその小さな身体に押し込んでいく。歯だけではなく、骨も、脳も、全てが蕩け落ちる。グズグズに崩れ落ち、腰が抜けた結果、こいしはさとりの腕の中から逃げられなくなっていた。
と言っても、例え逃げることができたとしてもこいしは逃げようとはしなかっただろう。大好きな姉の腕の中で、互いに愛し愛されているこの状態を壊したいとは思わない。自身の欲望に非常に素直な無意識の少女は、身体を快楽に震わせながらもさとりに口付けを強請っていた。
そして、さとりもその行動に応えて唇を交わす。舌を絡ませ合い、口蓋を、歯茎を、頬を、内側から蹂躙するように嘗め、唾液を擦り込むように暴れまわる。
同時にこいしの舌から唾液を絡め取り、自身のものと混ぜ合わせながら飲み干す。秘所を掻き回されながら。胸を揉まれ、摘ままれながら。三つの箇所で起きる快楽に、こいしは常に翻弄され続けていた。
やがてさとりがその手を止め、唇を離した時には、こいしは意識を失ってくたりと脱力していた。無意識のままに行動するこいしも、身体そのものが動かなくなるほどに疲労してしまえば眠らざるを得ない。また、身体の限界以上の快楽を与えられれば、今回の性癖についてもおよそ発散できているはずだとさとりは経験上理解していた。
加虐趣味。被虐趣味。露出。寝取られ。輪姦。睡姦。肛虐。拘束。隷属願望。こいしがどこかの誰からか拾い上げてきた様々な性癖を、さとりはその身を使って発散させてきた。流石に四肢切断やら屍喰癖と言った物は不可能だが、可能な限りは周囲に影響が出る前に発散させてきた経験は、今回のこいしの性癖(恐らくソフトM)を完全に発散させることができたと言っている。
さとりはペットに暖かいお湯とタオルを持ってこさせると、こいしの身体をゆっくりと拭う。愛液や唾液等でどろどろになったこいしの身体を綺麗にしてから、自分の使うベッドに寝かせて布団をかける。こいしが脱いだ服などはこいしが何度も噴いた潮や愛液で悲惨なことになっており、洗濯が必要になっていたので着せずに寝かせた。
そしてさとり自身もこいしの隣で眠りに着く。疲労がさとりの瞼をゆっくりと押し下げ、眠りの世界へと誘った。
「……お休み、こいし」
返事が返ってこないことを理解しつつも、さとりはこいしに言葉をかける。恐らく、自分が目覚めたときにはこいしは既にどこかに行ってしまっているだろうが、それもこいしの習性のようなものだとほんの僅かな諦めを抱きつつ、さとりは夢の世界に旅だった。