「はぁ~、うんめぇ」
「ふふ、とうぜんよ!」
「いい嫁さん、なれるんじゃない?」
「っ!?ばばばb、ばっかなこと言わないで!!」
ブン!
「見える!」
「見えるな!」
「いやいや、見えたのは下着だから」
「なおさらよ!!」
相も変わらず虫達による恋人探しの叫び声が、ジージー!(訳ヤらせてくれー!)とうるさいお昼休みの屋上。俺と委員長は久しぶりの交流を楽しみつつ、互いのお弁当をつついていた。(圧倒的ギャルゲ感)
花瓶ヘッドバット事件の後、俺らは周りの視線を浴びながら二人で黙々と掃除に励んだ。加害者の死に損ないは保健室に連れて行かれたらしい。はいはい、ご冥福ご冥福~。あ、俺被害者だから。著しく人間性を傷つけられた。謝罪と倍賞を(ry
俺は花瓶を返しただけ、受け取るのをミスった奴が悪いんだ。担任に報告した時も『死んだのか?』『まだ息があるようです』『そうか、放課後草むしりでもしとけ』『ウェイ!↑↑』という感じだった。この世界は素晴らしい。
「ところでさ~」
「?なによ」
「なんか武道的なもんでもしてんの?けっこう良いもん(右腕)もってたから」
「別に、毎朝ランニングぐらいはしてるけど?」
「お前もファンタジーの住人だもんな。とりあえずさ、デケェ剣もってメイド服着てもらって良いかな?」
「…頭、大丈夫?」
ファンタジー特有の、筋肉なんて知りません!お肌つるつるぷにぷにだけど、武器振り回して、私スピード型です!とか言う謎パワーの片鱗を見せてもらった気分。男性=パワー、女性=スピードとかいう設定稀によく見るけど、どっちも男性だろ、って思うのは男女差別に入りますか?
>>>>>放課後!
さて、気合入れて草むしりに励もうじゃないか。つい先程まで会話をしていた委員長が寂しそうに、帰っていったのが印象的だった。そんなに一緒に帰りたいなら、待っといてくれたらよかったのに、まだまだ好感度が足りないんですかねぇ?
この一年と少し、主人公っぽく振るまう気が全くなかった為、学園編ヒロインとの交流ができていない。別に必死になるほどでもないしな、異世界いったら殆ど役に立たなかったし。まぁクリアしてないから、わからんけど?もしかしたら俺が、進められなかったシナリオで覚醒始まった!といった感じになるのかもしれないな……。
そんなことより今必要なのは力だ、異世界では力こそ全てな世紀末なのだから。今でも十分強いが、あちらではステータスを倍加させる魔法等もあるため、鍛えれば鍛えたほど強くなれる…はず。まさか鍛えてもステータスは別項目です(ニッコリ)ってことはないと思う。ないよね?うん、きっと大丈夫。
>>>>>帰宅中!
通常の3倍の速度で草むしりを終わらせた俺は、現在帰宅途中なのだが…。
「……」
「あ、あわわぁ……」
目の前にいる少女を見やる。色々小さめな、緑髪のなんとか(名前覚えてない)ってやつ、たしか健児くんの妹兼、俺の前の席で最近休んでる奴。普通にしていたら可愛いほうだろうに、俺を前にぷるぷると震え、まるでライオンを前にした子鹿だ。へらへらと取り繕う笑顔も歪んでいる。誰が一体こんなことを……、彼女の凍てついた心を溶かし、本当の笑顔を見る日が来ることを祈りたい。(祈るとは言っていない)
「おい…、妹が世話になったなぁ?この落とし前つけさせてもらう」
「ごめんなさい!ごめんなさいっ!」
「見ろ、これがお前のやったことだ。可哀想に、お前のせいで夕方まで部屋から出れなかったんだ!!」
「今出てるんだから、大したことないだろ」
あらやだ死んでイケメン。
この緑髪イケメンがグループのリーダーな健児くんなのだろう。そもそもなんなんだこいつ、鬼畜すぎじゃね?お前の妹鼻水垂らして、絶叫しながら謝罪を繰り返しているんだが…。落とし前どうこう以前に、妹の傷口広げるの止めてあげませんかねぇ?
なんとも言えない、呆れた雰囲気をかもし出していると、ずらずらとヤンキー☆sが現れる。二十人ほどだろうか?本当、なんで不良共ってのは群れることしか出来ないんだろうな?で~も残念!この程度でチート主人公の俺を止めようなど片腹痛いわ!!
「どうだ、お前みたいなボッチとちがっ――でぶぅっ!!」
「お前は言っちゃあならねぇことを言った。来世で悔い改めろ」
あまりにもあまりな、暴言に○○学園の聖人、鈍器の源さんも激おこである。そしてもちろん俺の右手には、約束された正義の不殺バット、エスカリバット(ハゲハゲ)が握られている。まぁどのへんで襲ってくるかも予想はつくから、当然武器くらい用意してますよ。
そう(お礼参りするって)なればそう(帰り道集合に)なるやろ。
リーダーが、いの一番に沈んだために他の連中が混乱する。勿論俺がその隙を見逃すはずがない。そういえば、その隙を~ってフレーズ、バトル物のライトノベルとか、初心者が書くSSに絶対入ってるよね(テンプレ)
「弱い!この程度かぁ!?」
「ひいいいいいぃぃぃぃ!!」
「ぐわああああぁぁぁぁ!!」
「なにをするだぁぁぁぁ!!」
ーー舞い散るそれは花のよう
――無双たる乱舞が夕暮れに煌めく
――剣と花が紅蓮の絨毯で踊る
――殺撃の舞踏会といったところだろうか(ドヤァ)
(黒歴史完)
ご近所にもかなりデカい騒音で迷惑を掛けただろうけど、ファンタジーのイベントに釘を刺す一般人などいようはずもない。たぶんみんな外食でも行ってんじゃねーかなぁ~?(適当)
「よぉ~、あとは逃げ遅れた緑のお前だけだなぁ(テイク2)」
「あっあ゛ゃしわぁ!やめれっでいったのお゛ォ!ごめ゛んな゛ざい゛ぃぃ!!」
「何言ってるかわかんねーわ、天誅」
「あぎゃっ!」
もう日本語すらまともに話すことも、出来なくなってしまったようだ。可哀想すぎて見てられないよ……。介錯はお任せください!
とりあえず、ジタバタと転がりながら、だずげでぇーだずげでぇーと譫言のように怨霊がうなるので、蹴りで止めを刺しておく。大丈夫大丈夫、主人公の攻撃で女性は死なないから。わかるでしょ?
「今度は俺から、遊びにいくわ~茶菓子準備しといて」
そう声を掛けると、意識がない振りをしていた数人がビクッと身体を震わす。つうかお兄さんまで寝てる振りしてたんかい!妹ちゃん不憫すぎ。今度あった時は優しくしてあげたほうがいいかもしれないな。そこから芽生える恋心もあるかもしれない。ほらたまに聞くじゃん?DVやられてるうちに、それが自分の居場所になるってやつ。全然理解できないけど。結論、男が絶滅すれば平和になる(暴論)
あ~今日は激動の一日だったな。長らく学校でも大人しく筋トレしてる日々だったから、こんな人と話したのもけっこう前かもしれない。あとボッチではない。
しっかし、辺りは血まみれ。現代日本で生活している俺にはこんなバイオレンスな現場は少々辛い。夜飯はあっさりしたものにしよう。
「ん?」
ぼちぼち歩き出した俺の目に入ってきたのは、それはそれはデカく赤い看板。夜にこんな眩しい看板出しやがって…。と思いながら俺は牛丼超極盛り(2000kcal超え)を注文した。まったく超えてるのか、極めてるのかハッキリしろや。
食い切るのに一時間近く掛かった。
>>>>>数日後!・学園の屋上(昼休み)
「はぁ~うんめぇ」
「あんたそればっかりじゃない…」
「この添加物満点な、からあげやるわ」
「冷食でしょ!いらないわよ!」
「二人は本当に仲が良いのだな」
日課になってきた委員長との逢瀬にも、最近は別の女性の影が見えてくるようになってきた。
覚えているだろうか?そう、今は昔、武士女の大城(妹)というものありけり。
事件当日から数日は、色々ごたごたしていたのだろう、学園を休んでいたのだが、今日やっと登校できるようになったそうだ。まぁ、けっこう大きなお武家さんって感じの家らしいからな、そりゃあんな(痴情の縺れ)イベント起きたらごたごたもするだろうさ。
今ふと彼女を見ると、全体的に短くカットされた髪型で、当時のポニーテールではなくなっている。これはこれで中性的でカッコイイと俺は思ったので、クールだな!似合ってるよ?と、主人公特有のぶっこみを入れておいた。すると、あう!とか言いながら赤い顔して走っていったから、絶対えっちな事してたわ、知らないけど、きっとそう。
朝久しぶりに会った時には驚かされた。
それどうやって手入れしてんの?と男でも言いたくなるほどキレイに伸ばされていた美しい黒髪。チャームポイントである少し長めなポニーテールも健康そうな雰囲気で素晴らしい。
本人もお気に入りだっただろうに、何を思ったのかバッサリと肩上あたりまで切って登校してきた。クラスの奴らはかなり驚いたようで、だれも声を掛けることができなかった。俺もできんかった。
一応、髪を切った理由ってのがあるのだが、……うーん。
<<<<<突然の回想!
その日(今朝)も俺は、なんとなくハンドグリップで握力を鍛えていた。
最近、俺の前方と右手二席が空いており、もしや獅子堂のやつが喰らったのではないか?などという楽しい噂が流れ始めた頃。その片割れが姿を現した。
おはよう!と、良く通る美声で教室に入ってくる。凛とした雰囲気で進む彼女は、学園三大大和撫子(新事実)の二番手に相応しい美しさを持っていると思う。…貧乳だけど。
凛々しい顔でいつも通り教室に入ってくる彼女だったが、今日は何かが違った。いつもは男子共がその魅力に捕われ、見とれてるのは良く見る光景である。しかし、今は女子も同様に見とれていた。
彼女はなんの迷いもなく、自分の席を通り過ぎ俺の横へとたどり着く。流石の俺もたじたじである。だってまだ童貞だし…、言い訳なんだけどさ~今ハーレム作ったらさ結婚できない娘、可哀想じゃん?
アホくさい考えをしていると、カッ!!っと彼女は意を決したように此方を見つめてきた。まま、まさか、こんな人前で告はk――
『獅子堂さま。おはようございます』
――!?
ざわざわ…
『これを、受け取って頂けませんか?』
突然、様付けしてくる展開に多少驚いたものの、どうやら受け取って欲しい物があるご様子。女の子からのプレゼントなんて~テンションあがっちゃうなぁ~↑↑
差し出された白いシンプルな包は、横に長く、昔見た親父のネクタイが入っていた包を思い出す。四角い箱じゃないやつね?
いやぁ、確かにピンチを救ったスーパーヒーロー(筋肉)だからな、お礼くらいは言われると思ったけどね。ネクタイかなぁ?むふふ。
『ありがとう。これは?』
『我が大城家に伝わる祝福の儀式にて、私の全てを込めました。必ずや貴方様の助けとなりましょう』
おいおい、戦国時代か?これが演技ならなかなか堂に入ってて、素晴らしいといえるかもしれないが…。本人はいたって真面目なようだ。流石の俺も茶化すことは出来そうもない。
というか儀式ておま…、中にちっこい刀とか入ってたら、どうしよう?なんか武士っぽいから、普通にありそうなんだが。
『開けても、……いいか?』
『もちろんです。それはすでに貴方様の護符でありますゆえ』
護符…?刀じゃないのか……。まぁ多少落胆してしまったことは否めないが、護符とか言われたら神社とかのアレを思い出す。まぁいいや、んじゃあけてみるか!
ゴゴゴゴォォ!!――
あのさぁ?ちょっとこれぇ、なんかヤバイのがオーラになって見えそうになってるんだが?
スッ――パカッ!
これは!!!
『ひっ!』
普段と違う、怯える俺に対して他の連中が驚く……。
そこには、所狭しと……。
妖しく耀く、人間のものらしき、黒髪がつめ込まれていた
『ありがとう。返すわ』
『なりませぬ、一度送られた《婦怨の祝符》には、持ち手から護符を手放すと災いが振りかかるという。愛を求める女の加護がありますゆえ』
『おい!ふざけんなっ!どっからどう聞いても呪いじゃねーか!』
『大城家十四代目家長、この大城 京虎(きょうこ)が!おはようからおやすみまで貴方をお守り致します!!』
『話聞けよ!!』
>>>>>回想完!
「ってわけよ」
しまった。これは武士女とのラブコメであって、委員長と仲が良い理由ではなかった。回想だから伝わってないはず、ギリギリセーフだな。
「?はぁ」
「委員長とは幼馴染なんだ。最近まで話す機会が無かったんだけどな。今までの空いた隙間を埋めるように愛を育んでいる」
「なんとっ、…お二人は、付き合っていた…のですね……」
瞬間、自分が持っていた箸をカラカラと落とし、マジ凹みする武士女。虚空を見つめる瞳には涙が浮かんでいる。俺の心ない言葉が、これほどまでに彼女を傷つけてしまった。もう途中から武士語が抜けている。そんなショックだったのか、ていうかこいつの話し方演技だったのかね?
「ちょ、ちょっと!勝手なこと言わないでよぉ。大城さん、私達まだ付き合ってないから!ね?」
「…そうなの…ですか?…この気持ち、まだ持ち続けても良いのですか?」
「え?、ええ、そうね。そうなるのかな?」
「まぁ、そうなるな」
この武士女さん、お相手と恋敵を前に、色々さらけ出しすぎなんじゃないですかねぇ?あとさぁーそんな事言われたって、鈍感主人公(異世界いくまで)の俺は優柔不断を貫きます!!あと、さりげにまだとか付けちゃう委員長乙。
どうやって好感度稼ごうか~、とか思ってたけど、心配無さそうなくらいチョロかった。こりゃハーレム三桁いけるかな?
「春がきたな」
「まだ夏休みすら来てないのだけど?」
「夫婦漫才…羨ましい…」