麻雀天使堕天計画 作:クラリス
悪夢の対局から一日経ち、それでも小蒔は戦いに赴こうとしていた。失態の責任を取らねばならない。想い人を、巴を、初美を救わねばならないのだ。いつまでも沈んでいるわけにもいかず、部屋を出る。
そこで待ち構えていたのは城の案内人、ケンジだった。彼の顔を認めた瞬間、小蒔は微かに頬を染めて顔を俯かせた。
「おはよう、神代さん」
「……おはようございます」
か細い声で挨拶する。昨日、泣きそうなとき、彼に甘えてしまった。抱き締められ、抱き締めて、残ったのは羞恥心と僅かな後悔。京太郎への申し訳ないという気持ちは多分にあったが、そうでもしなければ心が潰れていただろう。
「あの、昨日は――」
「良いんだよ、気にしなくて。僕が勝手にやったことだから」
気障ったらしく微笑む姿に、小蒔は嫌悪感を覚えない。むしろほのかな憧れを抱いていた雀士に近づけた気がして、嬉しかった。
歩き始めたケンジの後ろを追う。こんな優しい彼が、どうしてこの城の人間に加担しているのか小蒔には理解できなかった。
「――僕もね」
そんな疑問に答えるように、ケンジは短く言った。
「君と、同じ立場だったんだよ」
「え……? それは、どういう」
「……着いたよ」
小蒔の疑問には答えず、ケンジは部屋の扉を押し開く。
すぅ、と深呼吸して、小蒔は一旦思考を切り替える。もう、負けられないのだ。ケンジに一礼してから、対局室に足を踏み入れる。ひんやりとした空気が肌を撫で、自然と拳を作っていた。ばたん、と大きな音を立て扉が閉められケンジと離れると、少しだけ不安になる。だが、想い人の顔を思い浮かべて卓へと近づいた。
対局者は、昨日と同じ三名。小蒔の体を舐め回すように見てはにやにやと笑っている。
「昨日とルールは同じだ。一手三秒の早打ち麻雀、異論はあるか?」
「あの、また変なものを見ながらやるんですか……?」
顔を真っ赤にしながら、小蒔が訊ねる。昨日は、全てあれから調子が崩れていった。個人的には早打ちよりも辛い条件である。
「嫌なのかい? 折角新作も用意したのに」
「い、嫌に決まってます……っ!」
「じゃあ、それは止めて別のルールを加えよう」
あっさりと男が引き下がり、小蒔は眉を潜める。ここで安心できるほど彼女は愚かでも単純でもなかった。
「あれを持ってきてくれ」
指示を受けた対局の監視者が、別室から何やら袋を持ってくる。ぽん、と足元に投げ捨てられたそれを、小蒔はじっと凝視する。
「これは……?」
「拾って履くんだ」
短い命令に、小蒔は袋を手に取る。中身を見ると、白いパンツだった。ぎょっとする小蒔に、さらに男は付け加える。
「ここで、履き替えるんだ」
「……っ、そんなっ」
「お友達がどうなるかな?」
人質を引き合いに出されたら、もはや小蒔に選択の余地はない。できる限りめくりあがらないよう緋袴に手を差し込み、今着用している下着を下ろしていく。代わりに与えられたパンツを手に取り、脚を通す。こんなことに何の意味があるのか、と思いつつも小蒔は要求通り履き替えて見せた。何やら下着に硬いものが仕込まれている感覚があったが、深く考える余裕が彼女にはない。
「これで、よろしいでしょうか」
「ああ、もちろんだ。さぁ、掛けたまえ。今日もお友達の体を賭けて、勝負だ」
「……」
滅多に怒らない小蒔が、怒気を放ちながら卓につく。すぐに勝負は開始された。
早打ちを想定して、彼女はイメージトレーニングを積んでいた。神を降ろせない状況でも戦えるように。
「ツモです!」
その甲斐あってか、幸先の良いスタートを小蒔は切る。妙な映像での妨害もなく、このまま神を降ろして一気に決着を目指せそうだった。
ただ、対局者達の余裕が気になった。必死さを嘲笑うかのような態度を、小蒔は訝しむ。だが、今は打つしかない。
次局も配牌に恵まれ、早和了を目指せそうだった。
しかし、異変はそこで起きた。
小蒔のツモ番、牌を確認した瞬間、
「んんんっ!」
股間で、震えるものがあった。突然の出来事に、小蒔は目を白黒させて体を仰け反らせる。僅かな間、全ての思考が停止した。
それが、致命的だった。
「三秒ルール抵触だ」
「はっ、はっ、はっ、……あ……」
驚きに荒くなった息を整えると、小蒔はようやく現実を認識する。
「チョンボ、満貫払いだ」
「そん、な……」
小蒔を追い込んだものの正体。
それは、下着に仕込まれた小型バイブであった。性的な刺激よりも驚きが勝っていたが、効果は覿面。バイブなんて名前も知らなかった小蒔にとっては、青天の霹靂である。このままでは神を降ろすための眠りにつくことも許されず、圧倒的に不利であった。
「さて、今日のペナルティだが」
「――っ」
「まずはこの娘に受けてもらおう」
モニターの電源がつけられ、そこに映るのは仮面の男。
そして、
「――春……!」
小蒔より年少の、六女仙、滝見春の姿だった。
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布団の上へ乱暴に転がされても、春は一言も悲鳴を上げなかった。六女仙一の無表情な少女は、自らの危機にも隙を見せようとしない。彼女は自分が抵抗すればするほど仮面の男が喜び、小蒔は悲しむと知っていた。
それに――春も、想いを寄せる相手がいる。姫君の手前、自らの想いが遂げられないとは知っていた。しかしだからといって、決して捨て鉢になりはしない。彼への想いのため、こんな卑劣な男に屈したくないと、彼女は悲壮な覚悟を決めていた。
「指が震えているぞ」
「……っ」
男の指摘に、春の表情が歪む。それも一瞬、彼女は握り拳を作り、すっと目を閉じた。
「……ペナルティでも、なんでも。やるなら好きにすれば良い」
「それじゃあ遠慮なく」
「ぁ――」
言葉通り、男は容赦なく春の巫女服に手をかけ、襦袢ごと白衣をはだけさせる。年齢にそぐわないほどたわわに実った胸が、震えながらまろび出た。
「あのお姫様といい、もう一人の巫女といい、バカみたいにでかいな」
「……」
からかわれても、春は沈黙を保った。普段は白い肌が、羞恥でかすかに赤らんでいる。どれだけ平静を保とうしても、まだ年若い少女。致し方なかった。だが、それで男が躊躇うわけもなく、むしろ健気な態度に嗜虐心を煽られていた。
ねっとりとした液体を両手に浸し、男は春の胸の根本から鷲掴みにする。
「あっ」
たまらず春の口から息が漏れた。男はローションを塗り広げるように春の乳房に指を這わせていく。
体の異変は、急激に訪れた。
「は――ふ――」
息が荒くなり、春の視界がどろりと歪む。熱にうなされているときと似た感覚、けれども辛くはない。むしろ心地よくて、油断するとすぐに意識が途切れそうだった。
「体、熱い……どう、して……」
「昨日、お前も俺の妾が乱れているところは見ただろう。催淫性のローション、平たく言えば媚薬だ」
「びや、く……?」
「ただし濃度は巴に使ったものの十倍。――すぐに、気持ちよくなれるぞ。良すぎて気が狂う雌が出てくる濃度だ」
嘘だ、と否定しようとする春だったが、まともな声にならなかった。自らに覆い被さる男が、自らの乳房を自由気ままに弄んでいる光景をただただ眺める時間が続く。
一通りはだけた上半身にローションを塗り終えると、男の指はより繊細なタッチに変貌し、春への愛撫が始まった。乳首を避け、焦らすように胸を揉み上げる。つん、と乳首が存在を主張し始めた瞬間、
「~~~っ、ぁ、う~~~っ♡」
男の手が、乳首を優しく捻り上げた。頭の中が真っ白になり、押し殺そうにも口の端から叫びが漏れ出た。
「……はっ、はっ、はっ」
意識を取り戻した時には息が荒く、見上げた先には仮面の男がにやりと口を歪めていた。
「どうだ、イクのは初めてか」
「イ、く……」
知識としてはエクスタシーというものを春は知っていたが、経験するのは初めてだった。自慰行為も、想い人の彼と知り合って初めて行った。それも、数度。
好きでもない男に性感を刺激され、絶頂に導かれる屈辱。一方で、あまりに甘美な感覚に、春は戸惑いを隠せなかった。
余韻に浸り身じろぎ一つとれない春をよそに、男の手は脚に伸びる。純白の足袋を外し、それに負けないくらい白い肌が露わになる。か細く、ほとんど聞こえない制止の声が春から発せられるが、男は無視した。
つま先と足の指の間からしっかりと、ローションが塗られていく。
「んっ……あっ……そこっ……♡」
男の手が脚の肉に沈む度、切なげに春は空腰を使う。吐息は熱く、閉じられた目元はとろんと垂れ下がっていた。緋袴はあえてまくりあげず、直接見えない状態で男は脚全体にローションを擦り込んだ。次にどこに男の魔手が伸びるか分からない恐怖が、春の心を責め立てる。否――突然呼び起こされる快感こそが、彼女にとって真の恐怖であった。
「あ――」
ずるずると、股下を何かが摺り下げられていく。気付いたときには、レース入りの下着が男の手の内にあった。秘所が冷えた空気に直接晒され、春はぶるりと体を震わせた。
「随分良かったみたいだな。糸を引いているぞ」
「……ふ、ぅ――」
反論はしない。する余裕もない。悔しくても、耐えるしかない。春は改めて目を閉じようとして、
「っ? だ、だめっ」
男の指が、春の性器に進入する。ありったけの力でのしかかる男を押しのけようとするが、腕力で叶うはずもない。逆に片手で組み敷かれ、既に濡れそぼった膣の入口を刺激される。
「あっ、あっ、あっ、あっ~~~♡」
二回目の絶頂までは、すぐであった。男の胸板を押し返そうとしていた腕が、ぽてんと布団の上に転がる。はぁはぁと荒い息を吐きながら、眦に涙を溜め、春は余韻に浸る。
「ひとまずはここまでだな」
「あっ……♡」
ぬぽりと男の指が引き抜かれ、春は切なげに息を吐く。にやりと男は笑った。
「物足りないか」
「そんな、こと……」
否定の声はか細く、最後まで音にならない。頬を真っ赤にさせながら、春は男から顔を背けた。
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「やりすぎです……!」
一端モニターの電源が切られ、春の姿が消えると、小蒔は対局者の男たちに抗議の声を上げた。
「き、昨日の巴ちゃんのときはもっとゆっくり――」
「ここでは俺たちがルールなんだよ、神代さん」
やんわりと、しかし迫力のある声で対面の男に言われ、小蒔は言葉を詰まらせる。
「文句があるならチョンボをした自分を恨むんだ」
「そ、それはこの……」
緋袴の上から、小蒔は着けさせられた下着に触れる。仕込まれたバイブのせいなのは間違いない。だが、
「条件を呑んだのは君だよ、神代さん。後からぐだぐだと文句を言わないでくれ」
「で、でも――あううっ?」
反論の余地を奪うように、バイブが動き始める。今度ははっきりと、彼女の性感を刺激した。
「こ、これ、止めてくだ、さいっ」
「ならば、座りたまえ。時間がもったいない」
「あ、う、うぅ……」
すとん、と椅子に座る。それでようやく、バイブの振動は止まった。うっすらと顔を赤く染め、額には玉のような汗を浮かばせる小蒔。一瞬にして少女から雌の表情を見せた――それも極上の体を持つ――彼女に、男たちはごくりと唾を飲み込んだ。さらに彼女を追い込んでやろうと、妖しい光が目に宿る。
その変化に気付く様子もなく、小蒔は対局に集中しようとする。
「んんっ」
配牌の時点で、またもやバイブが動き出した。だが、さすがの小蒔もこれは予想していた。断続的に振動するバイブは、小蒔の集中力を阻害させる。だが、春にこれ以上憂き目に遭わせるわけにはいかない。神は降ろせず、自らの変調に気付きながらも、小蒔は懸命に牌を持ち続けた。
しかし、そんな彼女をあざ笑うかのように。
「――あうううっ?」
突然、バイブの振動が強まった。これには耐え続けていた小蒔も驚き、その手からツモろうとしていた牌がこぼれ落ちる。
「お、ロンだ。これはでかいぞ」
「えっ、そ、そんなっ」
「裏も乗って――24000だ」
ぐらりと、小蒔の視界が歪んだ。
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非道な罠にはめられた小蒔をモニター越しに見つめながら、春の表情は動かない。いつもの無表情というわけではなく、表情筋を動かす気力さえ沸き起こらないのだ。けれども、
「あっ」
男の手が脇腹に触れた途端に、甘ったるい声を発していた。
「罰ゲーム五回分、たっぷり可愛がってやるからな」
「や、めて……」
再び男に組み敷かれ、春は唇を震わせる。
「助けて、京太郎……」
思わず漏れた弱音に、仮面の男は口端を歪める。
「俺が忘れさせてやるよ」
「嫌……」
男を突き放そうと、両手を突っ張る。だが、結果は先程と同じ。仮面がすぐそばまで近づいたかと思うと、首筋を舌が這った。
「はうっ」
ざらざらとした感触と、鼻を突くのは煙草の臭い。普段であれば背筋が凍る想いであったろう。しかし、今の火照った彼女の体はそれをあっさりと受け入れる。
「んちゅっ――」
舌が頬まで駆け上がったかと思うと、突然唇を重ねられた。好きな人とのファーストキスの機会が永遠に失われた。あまり他者へと興味を示さず、本人もそんな拘りが自身に眠っているとは思わなかったが、彼女は相当なショックを受けていた。
「んっ――はぁ、あ――んっ……」
口を重ねるだけのソフトキス、途中呼吸を挟みながら、それが何度も繰り返される。薬で急激に高まりきった春の性感を、今度はゆっくりと、さらに高めていく。もう何度目か分からないキスの果て、男を押し退けようとしていた腕は、いつの間にか男の首に回されていた。本来であれば決して行わないであろう。しかし春の雌としての本能が、そうさせていた。
「あぅっ、やっ、うぅっ、それっ♡」
キスを挟みながら、男は春の乳頭を責める。人差し指の腹でこりこりと先端を転がす度、春は喘ぎ声を上げた。さらに、男の舌が春の唇を割る。愛情表現たるキスによって、心まで穢される気分だった。だが、緩んだ顎は歯を噛み締められない。煙草の臭いが染みついた舌は、春の歯茎を散々蹂躙した後、たやすく口内へと侵入した。
「んーっ♡ じゅる、んんっ♡」
流し込まれる唾液を嚥下させられ、自らの唾液を吸い取られる。脳髄に電流が走るような感覚は、確かに享楽であった。
「ぷはっ……あうっ♡」
一度口が離れたかと思うと、今度は胸に吸い付かれる。またもや味わったことの無い愛撫に、春の肉体はあっさり陥落する。
「あっ、あっ、あっ、あっ~~~♡」
声も押し殺せぬまま、絶頂を迎えた。
「次からは、イクときはそう言え」
「はっ、はっ、はっ♡」
男の命令に、何事かも答える余裕すらない。いつもの動きの無い彼女の表情は、蕩けきっていた。
一度仮面の男は立ち上がると、緋袴の中に顔を突っ込む。
「っ!」
秘所を舐め上げられ、びくりと春は体を震わせた。ざらざらとした感触に狼狽しながらも、指で与えられたのと勝るとも劣らない刺激に、春の口はだらしなく開いていく。緋袴の上から男の頭を押し退けようとするが、やはりこれも敵わない。
「あっ、あっ、あっ♡」
「イクのかっ、春っ?」
「あっ、あっ、あっ♡ んんんっ♡ そこっ♡ あっ、あっ、あっ♡ い、っちゃう♡」
「遠慮するな、イってしまえ」
「んんんっ~~~♡ い、いくう♡」
舌を秘所に差し込まれながら、春は連続で絶頂を迎えた。薬の効果もあろうが、巴と初美に続いて、彼女も男の性技に翻弄されていた。
緋袴から男の姿が現れる。男はベルトを外し、ズボンとパンツを下げ、いきり立った怒張を春の眼前に示した。
「……っ!」
顔を背けようとする春だったが、自然と視線が引き寄せられる。初めて見る雄の性器に、気付かぬ内にうっとりとした視線を注いでいた。開花させられた雌としての部分が、それを求めていた。
「お返しをして貰わないとな」
「や、熱っ……」
男は春の豊満な乳房にペニスを挟み込む。横乳を両手で包み込み、腰を揺らし始める。
「昨日の二人では無理だったからな。楽しませて貰うぞ」
「う、くっ……♡」
男を睨み付けようにも、熱い棒が擦れる度、敏感になった胸は春を苦しめる。雄の臭いを間近で味わわされ、さらに春の頭はくらくらする。他のものを知らない春であるが、男のペニスが充分以上に大きいのは理解できた。突かれる度に、亀頭が唇に触れてしまう。普段であれば絶対に嫌がるところが、春はこの状況を受け入れていた。
男が荒い息を吐き始め、ペニスがぶるぶる震える。あ、と春が戸惑いの声を上げる前に、ペニスの先から白濁が飛び出てきた。
「んんっ! んっ~~~♡」
熱い精液が顔にかかり、酷い臭いが鼻を突く。だが同時に、背筋を走るのは甘美な感覚。乙女の大切な胸を道具のように扱われながらも、春は確かに感じ、アクメを覚えていた。
(こんなこと、って……)
その事実にショックを受けながらも、
「あぅっ♡」
再び始まった上半身への愛撫に、喘いでしまう。
「あっ、あっ、あっ、いく、いくううううっ♡」
恥も外聞もなく、巫女としての恥じらいもなく、淫らに春は絶叫する。仮面の男の命令に従う義理はないはずなのに、律儀にも教えられたとおりに絶頂を宣言していた。支配されることへの暗い歓びが、彼女の中にあった。
「あう♡ や♡」
絶頂の余韻で震える体にも、男はさらに手を加える。胸と秘所、そしてキスの三点責め。逃げようとしても、その度に男の暖かい腕の中に引き寄せられる。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ きょ、京太郎♡ 助、けて♡ ――んちゅ♡」
助けを求める声も、すぐに口で封じられる。涙を流しながら、春の肉体は確かに悦んでいた。
しかし、ここで異変が訪れる。
「あ、あ、あ、あっ――…………?」
絶頂を迎えそうになった瞬間、男の愛撫が止まる。戸惑うように、春は首を傾げる。男は何も言わないまま、愛撫を再開した。
「や♡ だ、だめ♡ あ、あ、あっ♡」
春の性感は昂ぶりを見せ、
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あ――あ、え、え……?」
そして、絶頂へ達する直前、またもや男の手の動きが止まってしまう。春は、明らかな不満の色を持った目で仮面を見上げた。
「どうした? イカせてほしいのか?」
「……っ、そ、そんなことっ」
「なら、その物欲しげな目はなんだ」
「ぁうっ♡」
乳首を抓まれた途端に、春は笑顔さえ浮かべて首を逸らす。
「や♡ あ♡ あっ♡ ん♡ んん♡ あっ――…………ん、あ、やぁ……」
三度、絶頂の寸前で愛撫が止められた。恨めしげに、だが蕩けた瞳で春は男と対峙する。もう一度、とせがむように。しかし男は無情にも、
「罰ゲームはここまでだ」
「え……?」
「時間切れだ。あれだけ薬を塗られてここまで頑張った女はお前が初めてだよ。もっと喘ぎまくって腰を振ってるところだ」
何も嬉しくない賞賛を送りながら、男が立ち上がる。あ、と小さな息を春は漏らし、指先を男に向かって伸ばす。にやりと、仮面の男はいやらしく笑った。
「どうした? 何が不満なんだ?」
「……っ」
口数の少ない春は、言葉で意思を表示できない。赤らめた顔を俯かせる。だがその態度は、彼女の望みを明白にしていた。再び男は春の傍に座り込むと、彼女の耳元で囁く。
「本来なら罰ゲームは終わってるからな。続きをして欲しかったら――……」
「……っ!」
男の言葉に、春は絶句する。肩を震わせ、拳を握り、心を軋ませる。――しかし、限界であった。媚薬の影響、男のテクニック、絶頂寸前での焦らしプレイ。全てが春を追い詰め、正常な判断能力を失わせていた。
「わ、私、滝見春は……」
結果。有り得るはずの無い裏切りを、彼女は選択してしまう。
「だ……旦那様に、私の全てを捧げます……」
緋袴をまくり上げ、濡れそぼった秘所を晒し、右手の指で入口を開く。ねっとりとした愛液が布団の上に流れ落ちる。
「京太郎、じゃなくて……貴方に、京太郎のために残していた、しょ、処女を……捧げます……だ、だから、お願いします……イカせて、ください」
「よく言った」
「やっ♡」
男に抱きすくめられ、それだけで春は悦んでしまう。
開かれた春の秘所へと、男のペニスが触れていく。春の両の太股を抱え、男はそのまま春を貫いた。
「~~~っ♡」
処女を失う痛みも悲しみも、うっすらとしかなかった。春の脳裏に過ぎった少年の顔も、すぐさま消え失せる。春と繋がったまま、男は優しく彼女の頭を撫でた。
「あっ♡」
「大丈夫か。痛くは無いか」
「……少し、だけ。でも、大丈夫……」
恋人へ語りかけるような優しい会話が二人の間でなされる。これまでと違い、一転して男は春を気遣うような素振りを見せた。そっと春の髪をかき上げながら、
「昨日の二人もそうだったが、可愛らしい娘達だ」
「や……」
「たっぷり愛してやるからな。……動くぞ、良いか?」
躊躇いがちに、しかし最後はしっかりと春は頷いた。瞬間、男はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ す、すご♡ すごい♡」
口数の少ない彼女とは思えないほどはっきりと、嬌声を上げる。
「気持ち良いか、春?」
「うん♡ うん♡ あっ♡ あっ♡ たす、助けて♡ おかしく♡ なる♡」
「お前を助けてやれるのは俺だけだぞ」
「うっ、あぅっ♡ きょう、きょうたろう、はっ?」
「そんな男は忘れろ。お前は俺の妾なんだ」
「あっ――」
男のストロークと愛撫が止まり、春は切なげに眉をハの字にする。乱れた息を整えつつ、ごくりと喉を鳴らした。
「続けて貰いたかったら、分かってるな?」
「……はい、ごめんなさい、旦那様……♡ お願い、します……♡」
唇を突き出し、年齢不相応な色気を見せ、春は男を誘う。満足気に男は頷くと、ストロークを再開した。
「あぁっ♡ これ♡ これが良いの♡」
「もっと楽しめよ、春……!」
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ~~~~~♡ イク♡ イキます、旦那様♡」
矜持を打ち壊す絶頂を味わいながら。
春は、膣内に熱い精液を注がれるのを感じた。
「ぁ……ぅ……♡」
ぬっぽりとペニスが引き抜かれ、春は辛そうに息を漏らす。
「舐めるんだ」
「……うん♡」
男の短い指示に、春は体を起こしてペニスへと口を近づける。そこには、何の躊躇いもなかった。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
「あぅぅぅっ」
春の痴態を見せつけられながら、小蒔は悶えていた。下着に仕込まれたバイブが暴れているのだ。男達のにやにや笑いも、気に掛ける余裕がない。
「向こうも一通り楽しんだようだし、次の半荘を始めるか」
「そん、なっ……」
「まだ終わらせる時間でもないし、まだ罰ゲームを受ける娘は一人残っているからね」
「……、まさかっ」
見上げるモニターには、男のペニスを愛しそうに頬張る春。その向こう側、障子に女性の影が現れる。一際目を引くのは、春や小蒔さえも超える巨大な乳房。
がらりと開かれた障子の先にいたのは――
小蒔にとって、姉のような存在。
目隠しをされた、石戸霞であった。