麻雀天使堕天計画 作:クラリス
白い肌に纏われるのは、これもまた白いビキニの水着。対照的に長い黒髪が、それら美しい純白を引き立てる。小さな水着では隠しきれない抜群のプロポーションを誇る少女の名は、清水谷竜華。高校生美少女雀士として名を馳せ、その手の雑誌でも人気を博していた。同年代の少女からは、憧憬の対象として。
男達からは、情欲の対象として。
穢れを知らずに生きてきた彼女は今、ある男の前に膝を着いていた。がっしりとした体格の彼は、竜華が通う千里山女子でかつて体育教師を務めていた松谷という男であった。度重なるセクハラ問題により、教職を追われた過去を持つ。その告発人の先頭に立っていたのが、竜華であった。女生徒への非道な行いはセクハラという枠を超えており、竜華は松谷に対して途方も無い嫌悪感を抱いていた。
しかし今、彼女はその男のペニスを頬張っていた。
「んぅっ、んっ、あぅっ」
口を動かし、必死で松谷の男性器を扱く。舌を這わせ、亀頭に吸い付き、唾液をまぶす。全て、松谷に教えられた通りのことだ。
今や「クリア」がほぼなくなったダーツボード、そこで竜華は「フェラチオ」の的にダーツを当ててしまったのだ。手コキした時よりも、キスさせられた時よりも、さらに強い不快感。だが、この城で麻雀に関するルールは絶対だ。それによって、想い人を救える目があるのだから。
「しゃぶりながら睨んでも怖くないぜ、清水谷」
「うぅむっ、ちゅるうっ、はむぅっ」
「ほらほら、もっと頑張れ」
竜華の鋭い目付きも、松谷を喜ばせる要素にしかなりえない。ただただひたすら、憎い男のペニスを舐め続けるしかなかった。
「おーおー、いいぞいいぞー」
「んんんうっ?」
口の中でペニスが震え始め、竜華は狼狽する。先ほど手コキした時、松谷が射精する前に同じ前兆があった。たまらず竜華は口を離そうとするが、
「っとぉ、逃がさねぇからな」
「んんんー!」
がっしりと、頭を掴まれてしまう。
「イクぞ、ちゃんと飲み込めよ」
「――っ!」
口の中に広がる苦み。喉を叩く熱。竜華は初めて味わう精液の味に目を白黒させ、しかし叫ぶことすら許されない。
一通り出し尽くしてから、松谷はようやくペニスを引き抜いた。
「ごほっ、ごほっ、にっがぁ……! ごほっ!」
「零すなよ、ちゃんと飲めって言ったろう」
ベルトをかちゃかちゃ鳴らして締めながら、松谷は竜華を嘲笑う。もちろん全て飲み込めるはずもなく、竜華は精液を吐き出す。それでも既に喉まで達した液体はどうしようもなく、ごくりと唾液を交えて嚥下するしかなかった。屈辱でしか、なかった。
「ほら、次の局を始めるぞ。いつまでも座ってんじゃねぇ。これが体育の授業なら怒鳴り散らしてるところだぞ」
「……うる、さい」
こんな男になおも教師面されるのが、腹立たしい。しかし竜華は、口答えはそこそこにして口元を拭い、卓へ着いた。無心でクレジットだけを稼ぐ。想い人のために。
「……ロン」
「っとぉ、振り込んじまったぜ。また親が流れて――ほら、ダーツだ」
竜華は黙って立ち上がる。機械的にダーツを手に取り、狙うのは僅かな面積。もうボードから外すことはなくなったが、ここまででクリアに刺さったのは一回だけ。それも、たまたま。
「くっ」
今回も、クリアから外れてしまった。にやにやしながら松谷はダーツが刺さった部分のシールを外す。そこに書かれていたのは、「胸いじり(10分)」というふざけた題目だった。
「罰ゲームの意味は、分かるな? 十分間だけ、その千里山女子一でかいおっぱいを好きにさせてもらうぜ」
「……っ!」
反射的に、ビキニで隠れた胸を両手で覆う。松谷は俯く竜華の耳元で、囁くように言った。
「もちろん、教えた口上は言って貰うぜ」
「このゲスっ!」
「そうじゃねぇだろ、ちゃんと言え」
凄んだ声に、竜華はびくりと体を震わせる。
ここは、学校では無い。何だかんだと言って、人目のつくところでは松谷も派手な真似はできていなかった。他の大人の庇護下に竜華達はいた。しかし今は、どことも知れない城の中。麻雀というルールに縛られているとは言え、この下半身だけで生きているような男はいつ暴走を起こすか分かったものではない。
目の前に立つ松谷を見上げ、竜華は屈辱に耐えその言葉を口にした。
「……松谷先生に、ご迷惑をおかけしたお詫びの一環として、う、うちの……」
「おっぱいだ」
「お、おっぱいを、捧げ、ます……!」
「それじゃ、頂こうか」
竜華の腕を押し退けて、松谷の岩のような手が竜華の胸に触れる。
「あうっ」
短い悲鳴も気にせず、松谷はもう両方の胸を一気に押し潰す。真正面から触れてくる手の動きに遠慮は無く、自分の胸がぐにゃぐにゃと形を変える様を竜華は見せつけられる。
「あー、マジか、ほんと柔らけぇ。そこらの風俗じゃ絶対に味わえねぇなこりゃあ」
「やめ、やめて、もうっ」
「おいおい、まだ一分も経ってねぇぞ。慰謝料代わりなんだから大人しくしろ」
「うぅ……」
松谷の命令に、竜華は体を硬直させる。
たぷたぷと下乳を掬い上げ、ぎゅうっと横から押し潰し、谷間に無理矢理手を突っ込み、ビキニの上から人差し指で乳首を突く。
「やぁ、うぅっ、ちょ、そこぉ、やめっ」
信じられない弄られ方に、竜華は悲鳴を上げ続ける。命令も忘れ本能的に松谷の腕を掴んで引き剥がそうとするが、男の力には敵わない。むしろその健気な様子に興奮した松谷はわざと放置した。
「全く、お前の胸に触れないまま辞めさせられたのは痛恨の極みだったからなぁ。諦めずに生きてきてよかったぜ」
「ぁうっ、やぁっ、何が、諦めずに、や、――あうぅっ、そこぉっ」
ぎゅっと乳首を抓まれ、びくびくと竜華は体を震わせる。
「お前もまだ諦めるなよ、きっと彼にも園城寺にも会えるさ」
「んぅっ、あんたに、言われんでも、ぉおっ、あぅっ♡」
嫌悪の声の中に、一瞬だけ甘いものが混じった。にやりと松谷は笑う。徐々に彼女の胸が解れてきた感触を、彼は覚えていた。
「――十分経ったな、ここまでだ」
「あぅ……」
永遠とも思えた時間に、竜華は崩れ落ちる。じんじんと胸から広がる感覚は、彼を想った自慰行為でも得られなかった。それを快感と認める勇気は、今の竜華にはない。
集中力が切れかかった状況でも、竜華は麻雀では何とか踏ん張った。問題は、やはり対局の合間のダーツ。見えている胸いじりやフェラチオは二度とごめんだった。できるならクリアに当てたいが――今度も、まだシールがめくれていない部分に当たってしまった。
松谷が含み笑いを浮かべながらシールを剥がす。
「っと、今度は尻いじりだ」
竜華は顔を顰める。悪態を吐く暇も無く、
「跪け」
「きゃあっ」
背中を押され、膝と肘を地面に着く。
「尻を突き出せ」
「……」
「何度も言わせるなよ」
「く……」
不承不承、竜華は上半身を胸が潰れるまでに伏せ、代わりに膝を立て、お尻を中空に向ける。白い水着に包まれた丸い桃尻を見つめ、にやにやと松谷は笑う。しかし触れて来ようとはせず、察した竜華は自分から口上を読み上げた。
「松谷先生、本当に、申し訳ありませんでした……お、お詫びに私のお尻を触って、楽しんで、ください……!」
何度言っても、慣れるものではない。しかし繰り返されている内に、竜華も気付かない間に、徐々に心の箍は外れつつあった。
「いくぞ」
「うぅっ」
松谷の手が、水着の上から竜華のお尻を鷲掴みにする。
「なんだこりゃ、胸だけじゃなくてケツも相当でかいじゃないか」
「ふ、うぅっ、あう……」
「指がどこまでも沈んでいくぜ。それでいて反発してくるしよぉ。形も立派だし、安産型だな。いくらでも子供が産めそうだぜ、清水谷」
「うる、さい……っ、いちいち論評せんといて……っ」
「折角褒めてやってるのに、連れない態度だな」
ぐにゅぐにゅ、もちもち、ぎゅう――その胸と同じように、竜華のお尻もまた松谷の手によって形を変えていく。
「はふっ、あう、やぁ……」
先ほどとは違い、見えないところで愛撫される恐怖は竜華の心を責め立てた。敢えてなのか、松谷は水着の下には手を出してこない。だからと言って安心できるわけでもなく、それもまた恐怖の対象でしかなかった。
「あー、堪らないぜ。あの清水谷竜華のケツがここにあるなんてよ。しかも触り放題と来た。お前麻雀雑誌でグラビアとか出してるけど、全国の男達がどんな想いであれを買ってるか知ってるか?」
「し、知らへん、ぁうっ、やめっ、ううっ」
「こうやってお前を弄びてぇって思いながらだよっ」
「やあああっ」
一際強くお尻を掴まれ、竜華は甲高い悲鳴を上げた。
「俺の仲間内もよぉ、揉みたい犯したいって大好評なんだぜ、お前は」
「そ、そんなぁ、やうっ、だめっ」
「女子高生とは思えない肉体だもんなぁ。かー、ほんっと堪らねぇわ」
竜華と手、全く初心というわけでもない。自分の写真がどのように使われているかなんて噂も耳にしたことがある。だがこうして直接的に言われるとなると、胸が締め付けられてしまう。
調子に乗った松谷の尻いじりは、十分を超えて続けられた。しかし時間を確かめる余裕もなかった竜華には、それを咎められなかった。
「さぁ、そろそろ終わりだぞ」
ひりひりとした疼痛を残したお尻で、竜華は卓につく。迎えるのは、南三局。ダーツゲームも、後一回だ。
「ツモっ」
この半荘、ここまで竜華以外の和了はたった一回のみ。麻雀の稼ぎのみで言うのなら、これまでで最高記録だった。同時に、ここまで疲労した半荘も初めてだった。
「ふーっ」
深呼吸し、竜華はダーツを投擲する。一縷の望みに賭けるが、最後もシールが貼られた部分にダーツは突き刺さる。
「最後は何だろうなあ」
松谷が楽しそうにシールを剥がす。そこに書かれていた文字は、今までで一番竜華を戸惑わせた。
「『体育授業』……?」
意味が分からない。ほう、と松谷は興味深げに声を上げた。
「先にオーラスを終わらせようぜ。その後移動して罰ゲームだ」
「何を企んどるんや」
「そりゃあ、悪巧みだよ」
全く悪びれず、松谷は答える。ぎゅっと、竜華は拳を作った。
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この古城に連れて来られて、竜華は初めて城の外に出た。周りには松谷を初めとする監視員を含む男達が取り囲み、逃げられる隙は無い。当然ながら隙があっても、彼や怜のことを思えば逃げるわけにはいかない。
既に太陽は傾き始めていた。たった二回の半荘だが、罰ゲームを含めると大分時間がかかっていたようだ。
古めかしい石造りの橋を渡り、林道を歩く。流石に寒いだろうとジャージを渡されたが、もちろんその下は白いビキニ水着のままだ。
「なんや、ここ……」
案内された場所を見つめ、竜華はぽかんと口を開けた。それも無理なきこと。開けた土地にあったのは――
「学校?」
立ち並ぶ立派な校舎。体育館らしき建物。広いグラウンド。どこをどう見ても、中学か高校にしか思えない。
「なんで、こんなところに?」
竜華の疑問に、松谷が答える。
「もちろんハコモノだけだ。生徒はいない。いや、お前らが生徒みたいなもんだが――まぁとにかく、折角女子高生を相手にするんだからな。こういうアトラクションがあっても良いだろ。イメクラのスケールアップ版みたいなもんだ」
「金持ちの道楽にも程があるわ」
「城主様に進言したのは俺だがな。こういうのには金を惜しまない人なんだよ。ほら、いつまでもくっちゃべってないで行くぞ」
松谷に促され、竜華は歩き出す。校門をくぐり、校舎に近づくにつれその精巧さを目の当たりにし、竜華は溜息を吐く。どこからどう見ても、本物の学校だった。
そして彼女が連れて来られたのは、室内プールだった。競技用の50メートルプールには水が張られ、塩素の臭いが漂っている。まさに学校のプールそのものだった。
「まさか、ほんまに体育の授業やるん?」
「そのまさかだ。折角水着を着てるんだしな。とりあえず、100メートル泳いで貰おうか。泳ぎ方はなんでも良いぜ」
松谷の意図が分からない。ここまで執拗なまでに性的な命令に固執していたのに、ここにきて泳がせるだけとは。
「準備運動はしろよ」
そこだけ本当の体育教師のように注意して、松谷はプールサイドに置かれた椅子に座った。他の男達も、にやにやと笑っているがそれ以上何も言ってこない。元々選択肢はないのだ。竜華は意を決し、羽織っていたジャージをプールサイドに落とす。彼女の水着姿は何度見ても飽きるものではなく、視線が突き刺さった。竜華はそれら全部気付かない振りをして、言われたとおりに準備運動を済ませ、飛び込み台の上に立つ。
運動は元々得意だった。親友の園城寺怜を救うため、あちこちに駆けつける身体能力は女子平均を圧倒している。水泳も例外ではなく、水泳部員にも負けない記録を持っていた。
(タイムとか指定されると思ったんやけど)
泳ぐだけなら、なお問題ない。すぅ、とたっぷり息を吸い込み、竜華は水面へと飛び込んだ。どんな泳ぎ方でも対応できるが、竜華は一番速度が出るクロールを選んだ。こんなものさっさと終わらせて、部屋に帰りたかった。
50メートルを泳ぎ終わり、ターンする。何かしらの妨害が来るかもと身構えていたが、何もない。このまま泳ぎ切ってしまう、という危惧さえ覚えて――
しかし最終的に、竜華は見事100メートルを泳ぎ切る。水面に顔を出し、荒くなった息を整える。
「出てきて良いぞ」
プールサイドから松谷の声がかかる。拒否する理由もない竜華は、その支持に素直に従った。ざぷん、と水を跳ねさせながらプールサイドへと竜華は上がる。
松谷と目が合う。彼は、これまで以上ににやにやと笑っていた。
(何や)
他の男達も、皆一様にいやらしい笑みを浮かべている。これまでとは一線を画す、気味の悪さ。何がそんなにおかしいのか、竜華には分からなかった。
気付いたのは、ふと、視線を落とした時だった。
ぴたりと、竜華の動きが止まる。
――透けて、いた。
ビキニの白水着が水に濡れ、透き通っていた。先ほど着せられたシースルーセーラ服と同様、いやそれ以上に。もはや衣服として隠す役目を果たしていない。ピンク色の乳首が浮き立ち、乳房の肌は余すところなく晒されている。股間の秘所も、陰毛も割れ目も全てはっきりと視認できた。――全裸同然。
「……っ! ぃやぁぁああああああっ!」
これまでで一番大きな悲鳴を上げ、竜華はその場にしゃがみ込む。心臓がばくばくと脈打ち、耳の先まで熱くなる。頭は真っ白。
同時に、男達が囃し立てる。
「可愛いーっ」「すげーいいおっぱいしてるじゃん」「乳首の色が良いんだよ」「ま○こも美味そうだったぜ」「一発犯りてぇよなあ」「ケツもじっくり見たかったぜ」
身勝手な言葉の数々が、さらに竜華の羞恥を煽っていく。もう消えて無くなりたかった。
そんな竜華の想いを踏みにじるかのように、松谷が近づいてきた。
「良いもの見せて貰ったぜ。あの清水谷のエロ水着姿だもんなぁ」
「は、初めから分かっててこんなもん着せたんかっ……」
「当たり前だろ、水で透けやすい特別仕様だ。――さて、これで今日の対局は終わりだが。約束が、一つ残っていたな」
ぴくり、と竜華の肩が震える。――そうだ。怜の行方を教えて貰う約束だった。
「園城寺は、昨日までこの学校にいたんだ。安心しろ、まだ無事だ。危害らしい危害は加えてない」
「な、なんやて」
「ただ、奴もちょっとクレジットが足りなくなってな。クレジット稼ぎのため、撮影会をしたんだ」
これが証拠だ、と松谷がポケットから写真の束を取り出し、竜華の前に投げ出す。自分の胸が晒されるのも忘れて、竜華はひったくるようにそれを手に取った。とにかく今は、怜の無事を確認したかった。
「なんや、これ……!」
しかし、写真を見て竜華は再び肩を震わせる。
場所は、教室のようだった。そこに映っているのは、確かに千里山の制服に身を包んだ園城寺怜だった。一枚目は、何て無い写真。問題は、二枚目以降。
スカートをたくし上げ、パンツを晒す怜。
セーラー服を脱ぎ捨てようとする怜。
ブラのホックに指をかける怜。
手ブラで胸を隠しながら、明らかに強要された笑顔を浮かべる怜。
教室の机の上に寝転がされ、扇情的なポーズをとらされる怜。
――全てが全て、ポルノまがいの写真だった。
「撮影会って……!」
「お前らも雑誌の取材でよく受けたんだろ。その延長線だ。大丈夫だ、体には手をつけていない」
何が大丈夫や、と竜華が食って掛かるよりも前に、松谷は言った。
「ところでな、清水谷。この写真、これからどうすれば良いと思う?」
「え……」
「まあ、この城の関係者に売り払うのが筋なんだろうけど……顔だけ隠してどこかでばらまくってのも楽しそうだよな」
「なっ!」
そんな非道、許せるはずがない。怜の心に深い傷を残すことになる。いや、今でも充分辛いだろう。これ以上体の弱い彼女へ、心理的負担までかけてはいけない。
「何が、望みなんや」
「話が早くて助かるぜ。ああ、要求は簡単だ。――今からもう一回、半荘に付き合え。俺達に、麻雀を教えてくれよ」
どこまで本気かも分からない松谷の言葉に、竜華はゆっくりと頷く。またふざけた罠が待っているのは明白だったが、怜のためが全てに優先される。そう思っている時点で、彼女は泥沼に嵌まっていた。
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再び移動した先は、プールに隣接された学校の体育館だった。
「着替えろ」
松谷に渡されたのは、下着と体操着だった。
「そこの更衣室を使え」
「……ふん」
生着替えを命じられるかとも危惧していた竜華だったが、妙な温情を与えられ肩透かしを食らう。胸と股間を隠しながら体育館隅の女子更衣室に入る。その中も、本物の学校のようにロッカーが立ち並び、作り手の執念さえ感じた。
隠しカメラが無数に設置されているとも知らず、竜華は役に立たない水着の紐に指をかける。そのまま下の水着も下ろす。タオルで肌の水気を拭き取り、渡された新たな下着を手に取った。扇情的な真紅の下着に眉を潜めながら、竜華は着用する。布地面積は普段竜華が使用しているものよりうんと小さく、たわわな胸がはみ出してしまう。だが、ノーブラで彼らの前に出るよりはマシだった。
さらに渡された体操着は、一見何て無いものだったが、あまりにサイズが小さかった。ぱっつんぱっつんで、着ているだけで息苦しい。ただでさえ大きな胸は強調され、薄い下着もあいまって乳首が浮いてしまう。下は千里山女子が使うハーフパンツではなく、旧時代のブルマ。これもサイズがあっておらず、お尻を強調する羽目になった。
更衣室から出てきた竜華を、松谷はひゅう、と口笛を鳴らして迎え入れる。
「やっぱり体操着姿はそそるぜ。あの頃は楽園だったなぁ」
「そんな目で生徒見てたなんて、信じられへんわ」
「は、男なんて皆そういう生き物だ。お前の好きな奴だって同じだろうよ」
「きょ、京太郎は確かにちょっとえっちやけど、あんたみたいなゲスとちゃうわ!」
「惚気話は聞く気になれねぇな。それよりも、ルール説明だ。――あれを頼む」
松谷は監視員達に、またもや例のダーツボードを用意させる。しかし、今度は全面真っ白なシールが貼られていた。「クリア」の文字は一つもない。
「基本的にはさっきまでやってた半荘と同じ。だが、見ての通り『クリア』はない」
「い、一方的すぎやろ……!」
「慌てるなよ。ダーツを投げるルールを変更する。お前が3000点失う度一投してもらう。親が流れても投擲はなし。ただし、お前が点数を得ても失点は帳消しにならない」
「それは――」
竜華にとっては、有利なルールだ。こう言っては何だが、彼らを相手に早々失点する気はなかった。
「それから、次からはダーツを外してもボードは変えない。代わりに外した分だけ追加で投げて貰う。クレジットは当然移動するが、他はこれまでとルールは変わらない。以上だ。何か質問は?」
「ゲームは、半荘一回だけ。そうやな? それで、あの写真は返して貰えるんやな」
「ああ。約束は守ろう。延長戦はなしだ」
よし、と竜華は意気込んで卓に着く。体育館に用意された自動卓というのも奇妙な光景だったが、気にしてはいられない。試行回数を増やせば不運が重なるタイミングもあろうが、半荘一回だけなら充分凌げる算段だった。
先ほどまでの対局者達も、卓につく。――今日最後の戦いが、始まった。
「ポン!」
いきなり仕掛けたのは、松谷だった。これまで面前で手を進めてきた彼が、突然鳴いてきたことに竜華は眉を潜める。
しかし、本当の異変はここからだった。
「チーだ!」
「なっ」
「っと、ツモだ! 1000・2000!」
安手ではあるが、あっという間に和了されてしまう。さらに次の局、
「ポン! それもポン!」
他の対局者の男が、速攻を仕掛けてくる。
「ツモ!」
こいつら、と竜華は気付く。おそらく、彼らはここまで手を抜いていた。加えて、明らかにコンビ打ちで攻めてきている。もちろんこの城のルールはそれが前提ではあるが、明らかにこれまでの対局者達と一線を画す技量。そして竜華は知る由も無かったが、彼らは徹底的に竜華の牌譜を研究していた。
半荘もあれば、竜華なら軌道修正できる可能性はあった。だが、この半荘。この瞬間においては、強力な女子高生雀士を超える強さを、男達は見せつけていた。
「おっと、これで清水谷の失点は3000を超えたな。ダーツを投げて貰うぜ」
「……分かっとる」
最早慣れた動作で、竜華は投擲する。「クリア」がないため、とにかく的に当てることにた。
松谷がダーツの突き刺さった部分のシールを剥がす」
「ピンクローター装着だ」
「ぴ、ぴん……?」
聞き慣れぬ単語に、竜華は疑問符を浮かべる。松谷が取り出したのは、確かにピンク色をした丸い物体だった。
「ちょっ、やめっ」
「じっとしてろ」
「やっ」
無遠慮に松谷は竜華の体操着の中に腕を突っ込むと、下着を押し退けローターを右の乳首に貼り付ける。
「な、なにすんのや!」
どん、と松谷を突き飛ばして下着を着け直す竜華。ローターも剥がしたかったが、それが許される雰囲気ではなかった。一体何だと疑問に思っていると、
「うううぅぅっ?」
着けられたローターが、震え出す。乳首を刺激され、思わず竜華はしなを作った。
「こういうおもちゃだ。理解したか?」
「……次から、次へと」
「さあ、対局を続けようぜ」
卓に座らされる竜華だったが、
「きゃうっ!」
呼吸を整えようとしたところでローターが動き出す。竜華を集中させないという意図がありありと伝わってくる。
「――ポン! ――チー! それだ、ロン!」
「あっ!」
そして、普段ならしないであろうミスを誘発させられる。直接振り込んでしまう。
「5200だ。もう一回ダーツだな」
「く……」
卑劣なやり口に歯噛みしながら、竜華は立ち上がる。
息を整え、ダーツを投擲する瞬間、
「ゃっ!」
ローターが乳首を弄び、手元が狂う。あらぬ方向へとダーツが逸れていった。
「はい、これで一回追加だな」
「こ、この……! 邪魔するなんて!」
「ごちゃごちゃ言ってないで投げろ。写真がどうなっても良いのか」
ぎゅっと目を瞑り、竜華はもう一度ボードに向き直る。片手でローターのついた乳首を庇いながら、投擲した。まず一本目は何とか刺さるが――二本目に、
「あっ」
またもやそれてしまう。明らかに集中力と体力を欠いていた。結局この一回のダーツゲームだけで、三回の投擲を要してしまった。
「まずはローター追加だな」
「やめっ」
竜華の抵抗虚しく、左の乳首にも同じピンクローターが貼り付けられる。両方のローターが、一斉に動き始めた。
「あぅ、やめ、これ止めてっ」
「それから――『ストレッチ』だな。そこに座れ、清水谷」
「うううう……」
言われるがまま、竜華は体育館の床に座り込む。何をされるか分からない恐怖が彼女を包む。そんな彼女を気遣う素振りすら見せず、松谷は彼女の背中を押す。
「脚を広げろ」
「はい……」
確かに見た目は普通のストレッチだった。だが、松谷の手はいやらしく竜華の肌に触れる。無意味に脇腹に触れ、太股を這いずり回り、うなじを舌で舐め上げる。竜華が上げる悲鳴も無視して、彼女の肉体に密着して堪能する。
「あー、美味ぇ。やっぱり女子高生の体は良いなぁ」
「やめ、触んなっ、あうっ、舐めたらあかんっ、ううっ」
「とか言いつつ、お前も感じてるんじゃないか」
「そんな、こと、ないわっ、んんっ♡」
松谷の指摘を否定しようにも、竜華は言葉すらまともに発せない。
「ここもちゃんとほぐしとかないとな」
「ちょ、そ、そこはっ!」
「ストレッチの一部だよ」
「や、やめぇ――あんっ」
松谷の硬い手が、竜華のブルマに伸び、デルタゾーンをブルマの上からなぞる。
「あっ、やっ、そこ、そこはあかんっ」
「ブルマ越しとは言え、清水谷のま○こを堪能できるとはなぁ」
「やめ、ほんま、やめてっ」
「止められるわけないだろ」
「あ、や、ろ、ローターもっ!」
乳首に与えられる振動と、秘所への突き刺さる指の刺激。両方に竜華は翻弄され、がくがくと顎を揺らす。その後も十分以上愛撫は続き、解放された頃には下着を超えブルマにまで染みがついていた。
「三つ目は――おっと、マット運動、シックスナインだな」
「し、シックス……?」
「かまととぶるな、そのくらい知ってるだろ」
「し、知らへんわ」
「じゃあ教えてやるよ。――マットを用意してくれ」
「きゃっ」
松谷は床にマットを敷かせると、竜華の腕を引っ張る。ごろん、と松谷本人はマットの上に仰向けに寝転び、竜華に指示する。
「俺のち○ぽをしゃぶれ。ただし、ケツは俺の頭に持ってこい」
「……っ」
「さっきもしゃぶっただろ、さっさとやれ」
竜華は意を決し、松谷の体の上に、自らの体を重ねる。ただし、頭と脚の位置は逆だ。震える手でズボンを降ろし、いきり立ったペニスを露わにする。ごくりと生唾を飲み込んで、太い男性器を頬張った。あのときの苦みが蘇る。しかし、竜華にとっての地獄はここからだ。
「ぁむっ――?」
「おい、ちゃんとしゃぶれよ」
松谷は容赦なく命令してくるが、それどころではない。ブルマとパンツをずらされ、秘所が露わになったのだ。冷たい空気が敏感地帯に流れ込み、竜華は体を震わせる。さらに、
「あぅうっ」
男の舌が、竜華の秘所に侵入してきたのだ。これがシックスナイン――竜華は理解するも、目の前はスパークしたまま。
「俺をイカせるまで続くからな」
「――! あむ、じゅる、ちゅるるっ!」
厳しい声に、竜華は必死で松谷のペニスにしゃぶりつく。おぞましい相手の、おぞましい性器だったが、奉仕するしかなかった。さらに乳首のローターまで動き出す。与えられる刺激と、与える刺激。全てがどろどろに溶け合い、竜華の脳髄を蕩かせていく。
「あむっ、じゅうるるっ、はむぅっ、じゅるるるっ」
はしたなく水音を立てながら、ペニスへの奉仕を竜華は続ける。一方で膣に侵入する舌に、びくびくと体を震わせていた。
永遠にも感じられた時間は、
「きゃあっ」
突然噴出した松谷の精液が、終わりを告げた。思い切り顔で受け止め、竜華は顔をしかめる。それでも口で受け止めるよりはマシと思ったのが、彼女が相当追い詰められている証拠だった。
「はーっ、はーっ、はーっ」
「ご苦労さん」
「あっ……」
優しく松谷にタオルで顔を拭かれ、僅かに竜華は恍惚とした表情を浮かべた。松谷の性技で無自覚ながら感じていた彼女は、雄に屈服させられる雌としての本能が芽生え始めていた。たとえ相手が、途方もなく嫌う相手であっても。
ふらふらとした頭で、次の対局が始まる。
「あぅっ、はぅっ」
両乳首のローターが震える度、竜華は熱い息を漏らす。ほとんど無造作に牌を切り、
「ロン」
またもや、振り込んでしまう。
覚束ない足取りで立ち上がり、ダーツを構える。不規則に動くローターに苛まれながらも、一発で当てたのは奇跡だった。
「罰ゲームは……ストリップダンスだ」
「……え?」
頭が働かず、言葉の意味が分からない。
「創作ダンスは学校の授業でもやっただろ」
「は、はい」
本当の先生と生徒のように、松谷と竜華はやり取りする。
「それを踊りながら、脱いでいけ。もちろん、扇情的なアレンジを加えてな」
「い、嫌や、そんなん……」
「どうせここの面子にはほとんど裸みたいなもん見られてるんだ。今更恥ずかしがることはないだろ」
「うう……」
竜華は顔を赤らめ、俯き、迷いを見せる。今日対局が始まった当初に比べれば、随分心理的障壁が低くなっていた。散々嬲られ、痴態を晒した結果かも知れない。
どこから取り出したのか、ラジカセのスイッチを松谷は押す。流れ始めた聞き覚えのある音楽に、竜華はびくりと体を震わせた。かつて松谷の授業で行った創作ダンス。記憶を辿りながら、たどたどしく竜華はステップを踏み始める。
「もっと胸突き出せ」
「は、はい」
松谷の厳しい指示が飛ぶ。
「こっちにケツ向けて振るんだ」
「は、はいっ」
言われたとおりに、ぷるぷると桃尻を竜華は振る。あまりに屈辱的な姿だった。
「ほら、脱ぎ始めろ」
「うぅ……」
足元はステップを踏みながら、体操着に手をかける。ぴっちりとしたそれを脱ぐためには、ちまちまと裾を上げていられず、思い切りまくり上げる。布地の少ない、ほとんど透けるほど薄い真紅のブラが露わになり、松谷達は歓声を上げた。
「ほら、もっと胸を突き出せって言っただろ。自分で持ち上げるんだ」
「は、は、はいっ」
必死になって下乳を持ち上げる。
「ダンスは笑顔が大事だって教えたろ、もっと笑えっ」
こんな状況で笑えるはずもない。――が、竜華は無理矢理に笑顔を作った。媚びるような態度は、男達を喜ばせる。
さらに竜華はブルマを脱ぎ去り、下着だけの姿になる。以前の脱衣麻雀ではこの辺りでほぼ限界だった。しかし今は、それを乗り越える。
リズムに合わせて、ブラに手をかける。作り笑いは硬く、それでも竜華は音楽の盛り上がりと共にブラを取り去った。
片手で胸を隠しながら、今度はパンツに手を掛ける。するすると下ろしていく。最後はどうしても両手を使わなくてはならず、胸がまろびでてしまう。それでも竜華は笑っていた。どうして笑っているのかも、本人さえ分からない。
全裸になってようやく、竜華は集中力が切れたかのようにしゃがみこむ。
「……もう、止めてぇ……」
ぽろりと涙が零れる。限界を超えていた。
しかし、松谷は許さない。
「じゃあ、次の対局だな」
「ふ、服を……」
「裸のままで打て」
冷たい声に、竜華ははっきりと嗚咽を漏らす。だが、彼女に手を差し伸べる者はいない。誰一人として。
(助けて、京太郎……)
当然、想い人も現れない。
その日、清水谷竜華は穢されこそはしなかったものの、刻まれた恥辱の記憶は深く、彼女の心を引き裂くほどに傷付けた。
次は(たぶん)のどっち編
これ怜編もやらないといけないよね……