麻雀天使堕天計画 作:クラリス
・今回は提案されたエロ麻雀ルールを採用させて頂きました。ありがとうございます。
・のどっち可愛い。
インターミドルチャンピオン、原村和の名前を知らない者は少ない。今年のインターハイでも、団体戦優勝の立役者の一人として活躍し、個人戦では一年生ながら優秀な成績を収めた。ありとあらゆるオカルト能力がはびこる麻雀界において、それら全てを認めず自らのスタイル、デジタル打ちを押し通す姿はファンも多い。
一方で、彼女が脚光を浴びる理由は他にある。
即ち、その容姿だ。腰まで流れ落ちる桃色の髪、引き締まったウェスト、健康的な太股、美少女と言って差し支えない整った顔立ち、そして100センチを超えるであろうバストサイズ。男の目を引く要素ばかりでありながら、麻雀を打つ姿は熱にうなされているようで高校生とは思えない色気を漂わせる。多くの麻雀雑誌でも一面記事で取り扱われる彼女は、女子高生雀士の中でもトップクラスの人気を誇った。
その原村和もまた、多くの少女と同じくどことも知れない古城で暮らしていた。同じ部活に所属する、仄かな恋心を抱いていた少年を救うため。おそらくはこの城に幾人かの友人知人もいると彼女は予想していたが、合流するには至っていない。
「今は、クレジットを稼ぐことしかできませんね……」
朝の準備を整えながら、ぽつりと呟く。心細くないと言えば、嘘になる。元々友人に依存する性質だと彼女は自覚していたが、それでなくともこの情欲に塗れた城では、一人は辛い。だが、弱音ばかり吐いてはいられない。独り言が増えているのを自覚した彼女は、ぱんと自分の頬を叩いた。鏡に映る清澄のセーラー服は、この城で購入させられたもの。ややサイズが小さく、布地が薄いのか汗ばむとブラが透けて見えるのが難点だった。
この城に来て、一週間が経とうとしていた。クレジットの稼ぎは順調で、想い人の救出に一役買っている自信があった。
「今日の対局は、50000クレジットしか持ち込めません」
「分かりました」
案内人の説明にも、大して気にした様子もなく和は頷く。マイペースなところのある彼女は、この城でたびたび行われるルール変更にも慌てず順応していた。
(見てて下さい、咲さん、須賀君)
大切な人達の名前を呼びながら、扉をくぐる。
今日の対局室は、昨日までと比べて少し様子が違った。まず、自動卓がない。代わりに広い部屋の中央にデスクと椅子が一つずつ。デスクの上には、ノートパソコンが一台。
そしてその脇に立つのは、ずんぐりとした体格の男であった。頭は禿げ上がり、顔立ちはまるで蛙のよう。おそらくは五十代を超えるだろう。人の美醜に頓着の無い和であったが、本能的に顔を顰める。
(この人、どこかで……)
見覚えがある――気がした。彼はにやりと笑う。
「久しぶりだね、原村さん。僕を覚えているかな。君がインターミドルを制した時、会ったはずだが」
「あっ」
そこで和は思い出し、口を丸くする。チャンピオンになった時の挨拶回りした中で、会話を交わした男。
日本麻雀連盟の幹部、名前は――
「京極、さん……?」
「覚えて貰っていて光栄だよ」
笑う京極に対して、ぎり、と和は歯噛みする。この城に、日本麻雀連盟の人間が一口噛んでいる。その事実は、多くの意味で和を失望させた。さらにこの蛙男――以前会った時、執拗に体に触れてきたと和は記憶している。それ故に印象深く見覚えがあったのだが、彼女にとっては嫌悪の対象でしかない。
「挨拶は省略しよう。どうして僕がここにいるかも、秘密だ」
「……そうですか」
「物分かりが良くて助かるよ。では、今日のルールを説明しよう」
京極はパソコンを起動する。点灯したモニターに表示されたのは、和もよく見覚えのあるソフトだった。
「ネット麻雀、ですか」
「そう。今日はこれで打って貰うよ」
和は眉を潜める。――昨日まで、この城の連中はあの手この手で嫌がらせをしてきた。だというのに突然、和の得意な領域で勝負を挑んでくるのは不思議だった。ネット麻雀伝説の存在、「のどっち」の正体は今や有名な話である。
「分かりました。では――」
「っと、まだルール全部は説明していないよ」
椅子に座ろうとする和を押し止め、京極はポケットから何やら取り出す。それは、
「アイマスク……?」
「そう、君にはこれをつけてもらって対局して貰う」
「では、どうやって牌を確認すれば良いんしょう? まさか何も見ずに麻雀を打てと?」
「そこは代わりに僕が牌を読み上げる。その情報が他のプレイヤーに漏れないためのネット麻雀だ」
ふむ、と和は顎に手を当て考える。彼らの意図は、どこにあるのか。
「もちろん全て終わった後牌譜を確認してくれて良い。僕が一つでも嘘を吐いていたら今日はノーゲーム、クレジットを100万点君に進呈しよう」
「100万点……! 本当ですか?」
「誓って。――さぁ、ルールは以上だ。かけたまえ」
「……はい」
命じられるまま用意された豪奢なチェアの上に、和は座る。その脇に京極が立ち、不安に思いながらも和はアイマスクを装着した。視界は真っ暗になり、何も見えなくなる。
「きゃっ」
いきなり手の甲に生温かいものが触れ、和は手を払った。闇の中、京極へと文句をつける。
「な、なにをするんですかっ!」
「ちょっと触っただけじゃないか。そこまで嫌がらなくても良いだろう」
「あ、貴方みたいな人に触られたくはありません!」
「随分嫌われたものだ」
とぼけた調子で京極は言う。だが、無闇に体に触れられた過去を無視できるほど和は大人ではなかった。
セクハラの記憶が新しい頃、和はこの京極という男について調べたことがある。彼は元男子プロ雀士であり、それなりの記録を残していた。何でも、彼と対局した者はミスを多発するという。牌譜を確認しても、精神的な迷いが見て取れた。京極本人はそこまでの実力の持ち主ではなかったが、相手のミスを誘発する「何か」を持っているというのがもっぱらの噂だった。
当然ながら、「そんなオカルトありえません」と否定するのが和のスタイルである。それなりの実力と、多少の運を持っていた。そう和は認識している。例え京極がオカルトめいた力を持っていたとしても、今日の対戦相手ではない。そう割り切って、和は深呼吸した。
「準備は良いかい」
「いつでも結構です」
「配牌は――」
息がかかりそうなくらい耳元で、京極が囁いてくる。思わず叫び出したくなったが、対局のため聞くしかない。
確認すれば、ツモの牌だけでなく、河の牌も京極は教えてくれた。だが、ツモ牌と相手の打牌を一度聞けば和には充分だった。元々理論派の打ち手、記憶力は抜群である。何も見えない中でも、淡々と適切な打牌を示し続けた。
「……六萬ツモだ」
「和了ですね」
がんがんと、クレジットを増やしていく。この闇がハンデになると思ったのなら大間違いだと言わんばかりの、稼ぎっぷりであった。
「頑張るね、原村さん」
「はい」
局と局の合間、京極が話しかけてくる。できる限り言葉を交わしたくない和は、素っ気なく頷いた。
「彼のために必死なんだろうけど――果たして君の努力は実を結ばれるかな」
「……どういう意味ですか」
しかし、聞き捨てならない言葉に和は眉を潜めた。京極はふふん、と笑う。
「この城に彼を助けるため多くの女の子達が来ていることは知っているだろう。彼を助け出したところで、果たして彼は君を選ぶかな」
「それは――」
京極の言葉が耳に染みこんでいく。きぃん、と妙な音がした。
考えないようにしてきたことだった。自意識過剰かも知れないが、自分が女性的な魅力に大きく欠けているとは思えない。彼からも少なからず好意を抱かれていると、自負していた。
だが、同じように彼に好意を抱く少女は沢山いる。その中から確実に自分が選ばれるかと問われて、頷けるほど和は自惚れていなかった。例えば、彼の幼馴染の宮永咲。同じ部活の片岡優希。長野県内でも、福路美穂子や東横桃子と言った面々が浮かび上がる。全国に目を向ければ、両手で数えるには足りなくなるだろう。
不安が、和の中で芽生える。
視界を塞がれた彼女の隣で、京極はひとりほくそ笑んだ。
次の対局が始まる。京極に配牌を教えられながら、和は一人唾液を飲み込んだ。
(怖い)
淡々と打ち続けていた時は気にしなかった。だが、この何も見えない世界が今は怖かった。ぞくぞくと、怖気が走る。
(何なんでしょう、どうして)
急に訪れた心の変化に、和は戸惑う。対局に集中できない。
「おっと、ツモ和了されてしまったぞ」
「そ、そうですか……」
どれだけ実力差があっても、常に勝ち続けられるわけがないのが、麻雀というゲーム。そんなことは和が一番承知していた。しかし、
「こんな調子で彼を助けられるのかな」
「……っ」
耳を貫く、京極の声。きぃん、と妙な音がまた頭の中に響く。
戦いを前にして湧き立つ感情は、恐怖ばかり。どこまでも広がる闇の中で、悲鳴を上げたくなる。
(なんですか、これはっ……!)
困惑する和は、教えられる牌もまともに記憶できなくなっていく。あれを捨てたのはいつか、今河にある牌はなにがあるのか、逐一京極に聞くしかない。こんな男に縋るのは嫌だったが、背に腹は代えられない。
しかしそれでも、
「っとと。どうしたんだい、原村さん」
「え……?」
「振り込んでしまったよ」
「そ、そんな」
普段の彼女であればやらないであろうミスを犯してしまう。額には玉のような汗が浮かび上がり、鼓動は早まり呼吸も荒い。恐怖に心を囚われた和は、プロ時代の京極が相手のミスを誘発させるというエピソードを思い出していた。
(そんなオカルト、有り得ません……!)
ぶるぶると頭を振って、恐怖を打ち払おうとする。だが、一向に心の靄は晴れなかった。
――実際として、京極は言葉を通して、人の心の隙を突く能力を有していた。心自体を操ることは出来ないが、芽生えた感情を肥大化させるという力。相手の不安や動揺をどこまでも大きくし、ミスを誘発させるのが彼の麻雀スタイルだった。
そして今、京極はこの力を和に使用していた。結果、今彼女は恐怖によって混乱している。オカルトなど有り得ないと信じる彼女は、自分の身に降りかかった厄災に気付けていない。
「あっ……」
その和の口から、浅い息が漏れた。肘掛けに置いた右手の甲。そこに、再び京極の手が重ねられたのだ。だが、今回は振り払わない。振り払えない。縋るものがない、何も見えない闇の中で与えられた体温。恐怖に包また彼女の頭は、本能的に人肌を求めていた。袖にできるわけがない。
その安堵と安心を、京極は見逃さなかった。その能力を用い、極限まで増幅させる。激しい感情の落差は、和をさらに動揺させた。
「あ――」
そこで、すっと京極の手が離れる。切なそうに和は声を出す。戻ってきたのは、恐怖ばかり。一瞬感じた安堵感は、見る影も無い。
次の局も、和はミスを連発し対戦相手に和了られてしまう。
「うぅ……」
「どうしたんだい、原村さん」
困り果てる彼女の隙を見逃さず、京極は声をかける。
和は逡巡する。本来選ぶはずの無い選択肢が浮かび上がる自分の感情が信じられず、懊悩し続けた。
しかし結局、耐えきれなかった。耐えきれないように、京極がリードしていた。
「あ、あの」
「なんだい?」
「て、手を、握っていて貰えませんか……」
自分から言い出しておきながら、和はかぁ、と顔を赤らめる。想い人や親友の咲はともかくとして、こんな卑劣な男にする頼み事ではなかった。
京極はにやにや笑いながら、意地悪く言う。
「ええ、良いのかい? でもさっき、手厳しく拒否されたからなあ。原村さん、ちょっと調子良くない?」
「そ、それはっ」
「ちゃんとした人間なら、然るべき態度をとるよね」
ぐ、と肘掛けの上で和は拳を作る。頭が沸騰したように熱い。アイマスクの下でぎゅっと目を瞑り、意を決して彼女は口を開いた。
「さ、さっきはごめんなさい……謝りますから、お、お願いします……。私の手を、握って貰えませんか……?」
「原村さんにそこまで言われたら仕方ないなぁ」
「ぁ――」
和の小さな手が、京極の大きな手に包まれる。その体温が、一瞬にして恐怖を打ち消していく。同時に、例えようもない幸福感を和は覚えていた。
(これ、なら……)
今度は頭がくらくらしそうだったが、まだ麻雀に集中できる。実際、和は綺麗な一通を作って和了してみせる。
この調子だと意気込む和であったが、
「えっ」
京極の手が、離れてしまう。途端に和は慌てふためいた。
「ど、どうして」
「ずっと握って上げるとは言ってないよ、僕は。正直疲れるしねぇ。――原村さん、感謝を忘れるような大人になっちゃダメだよ」
「う、うう……お、お願いしますから、京極さん……」
「さんじゃない、様だ」
じわり、じわりと京極は和の心を追い詰めていく。普段の彼女であれば、選ぶはずの無い選択肢を選ばせていく。
「京極、様、お願い、しますっ」
「わかったわかった」
「はぅ」
再び手を握られて、和はようやく息をつく。
しかし、その局が終わればすぐに京極の手は引っ込んでしまう。
「きょ、京極様っ」
名前を呼び懇願する和であったが、当の京極の態度は冷ややかだった。
「僕は頼めばなんでもやってくれると勘違いしてる子供が嫌いなんだ。仕事をさせるなら、相応の対価を払うべきだよね」
「ど、どうすれば……?」
「君もお金は持ってるだろう。一局につき3000クレジットだ」
「……あ、わ、分かりましたっ」
戸惑いながらも、こくりと頷く和。一局当たりの収支のハードルは上がるが、仕方なかった。そんなことよりも早く手を握って欲しかった。
「男を買う原村和というのも、中々に良い光景だ」
「え、あ、――あぁ♡」
嘲弄されて胸が痛む和であったが、京極の手が重ねられた瞬間に身を捩り甘い息を漏らす。もう、どうでも良かった。今は、幸せを与えてくれるこの手があれば良かった。
しかし一局が短すぎる。ただでさえスピード感のあるネット麻雀、牛歩をしようにも時間制限が許さない。局が終わると、京極は何の未練も無くあっさり手を引いてしまう。
「京極様……」
「次もクレジット、払うかい?」
「は、はいっ」
即決して延長を選ぶ和。
「ず、ずっと握っていて下さい……!」
「だったらもっとクレジットを払って貰わないとな」
「い、いくらでも払いますっ」
麻雀を打つためにクレジットを払っているのか、安心感を得るためにクレジットを払っているのか、和は分からなくなる。
もしもオカルト能力に関して疑問を挟む余地が彼女の中にあったのなら――あるいは状況は違っていたのかも知れない。しかし今それを言っても、詮無きことである。
しかし京極の言うとおりに、和はクレジットを支払っていく。要求の額はどんどん増えていく一方である。和の全ての手持ちを用いれば、しばらくこの時間は続いただろう。だが、この対局室に持ち込めたのは50000クレジットのみ。途中いくらか麻雀で稼いだとは言え、底を突くのはあっという間だった。
ふい、と京極の手が離れていく。和は身動ぎしてその手を追おうとした。
「あ、や、ま、まだ握っていて下さい……!」
「これ以上払ったら原村さんが破産しちゃうよ。そしたらつらーい罰ゲームが待ってるよ。良いのかい? それに、先立つものがないとどうしようもないねぇ」
「うう……で、でもぉ……」
悲嘆にくれる和へと、またもや京極は助け船を出す。
「それじゃあ、今和ちゃんが持っているモノで支払って貰うっていうのはどうだい?」
いつのまにやら馴れ馴れしい呼び方に変わるが、今の和に拘ってる暇は無かった。
「わ、私が持ってるモノ、ですか……? でも、今はなにも……」
「あるじゃないか。君の服だよ」
ぴくりと、和の体が反応する。京極は平気な顔で続けた。
「女子高生の持ち物っていうだけで、充分価値はあるからね。しかもインターミドルチャンピオン・原村和の持ち物だ。――そうだね、まずは手始めに靴から頂こうか」
「そ、それは……」
「嫌なら、手は握ってあげられないなぁ」
実にいやらしい手管に、和はごくりと生唾を飲み込む。ここからは、懇願したりクレジットを支払ったりしていた状況とは一線を画す。僅かな間だけの幸福を得るために、早々差し出していいはずがない。
だが、しかし、けれども。
「わ、分かりました……っ」
和は頷いてしまう。もっとも、それだけでは京極は許さない。
「ちゃんと、何のために、何を支払うか言おうね。最近の若者はすぐ略したがるんだから」
「あ、そ、その……京極様に手を握って貰う代金を、わ、私の靴で支払います……っ」
「よくできました」
目隠ししたままの和の代わりに、京極は和のローファーを脱がせる。途中、偶然当たったようにみせかけて太股に京極は指を這わせた。突然の感触に「はぅっ」と和は身悶える。僅かに与えられた性感による歓びを、京極は最大限まで増幅させる。
「ご褒美だ」
「ふぅ……♡」
京極に手を握られ、ようやく落ち着く和。最早、麻薬中毒にも似た状況だった。
その薬効も、僅か数分で切れてしまう。
「それじゃあ次は、何で支払う?」
既に、手を握る前提の質問になっていた。だが、和は疑問を挟まない。
「わ、私の靴下で、支払いますっ」
「よぅし」
白いハイソックスに、京極の指がかかる。するすると脱がしながら、僅かに肌に触れる彼の指先にも、和は安心を覚えていた。
「原村和の靴下だ、高く売れるぞ」
「や、だ……♡」
「おおっと、すぐに握ってやるぞ」
「んっ♡」
この手だけが、闇を切り裂いてくれる。足元が冷たかったが、さほど気にならなかった。一分でも、一秒でも長くこの状態が続けば良い。
その想いが、和の信念をねじ曲げる。敢えて最善手を選ばず、できる限り一局が長引くように仕向けていく。
それでも、終わりの時は訪れる。流局した時点で、ぱっと京極の手は離れてしまう。
「さて、次はどうする?」
「……り、リボンを。リボンで、支払います……だ、だめですか?」
「オーケー、構わないよ。ゆっくりした方がそそるからね」
サイドテールを纏める赤いリボンに京極の指がかかる。するりとリボンが解かれると、纏まっていた髪が落ちる。徐々に徐々に、和は追い詰められていく。
あっさりと次の局も終わる。支払える衣服は、残り少ない。
「……、そ、その」
和は思い悩む。しかし、こうしている間も手は離れたままだ。すぐにでも答えを出さなければならないという焦りが、和を口走らせた。
「ぱ、パンツを、パンツで支払いますっ」
「っとぉ、ここでまさかのパンツか。和ちゃんも好きものだねぇ」
「あ、ぅ……」
どうしてパンツを選んだのかは自分でも分からない。下着姿を晒すのが嫌だったのだろうか――いずれにせよ、下着自体は見られてしまうのだが。
「はふっ」
見えないながらも、スカートの中に京極の腕が入り込んだのは分かる。さわさわ、と無意味に太股の上で掌が這いずり回る。しかし和は文句を言わず、
「ゃ――♡ うっ♡」
むしろ悦楽の声を上げてしまう。
京極の指がパンツにかかり、引き下ろし始める。和は腰を浮かしてその手助けをした。
「ピンク色の下着とは、またエッチだねぇ。しかも中々際どいじゃないか」
「そ、それしかなかったんです……」
「ふふ、そうだね」
「そ、それよりも早く、早くお願いします♡」
「分かった分かった」
媚びへつらうように、京極の手を要求する和。約束だけは律儀に守る京極だったが、決してゲームの終わりを決めない卑劣さを秘めていた。半荘が終わっても、すぐに次の半荘を始めてしまう。和もその事実に気付いてはいたが、敢えて指摘しなかった。
「さて、また流局か。次は何で支払う?」
「ぶ、ブラジャーで、支払いますっ」
「ノーパンノーブラを選ぶとは、和ちゃんもマニアックだね」
「そ、そんな、そんなつもりじゃ――やぅ♡」
セーラー服の裾から、京極の手が入り込んでいく。脇腹や胸元を、探るような手つきで触れていく。一瞬一瞬、呼び起こされる快感の悦びを、抜け目なく京極は肥大化させた。
「あ♡ ふぅ♡ ――あっ」
ぱちん、とフロントホックを外され、するすると抜き取られる。出てきたパンツと同色のブラは、和のバストサイズを考えれば小さすぎるくらいだった。
「大分可愛いブラだけど、これじゃあきつかったんじゃないかい?」
「で、でもやっぱり、それしかなくて……」
「そうだね、和ちゃんのおっぱいは大きすぎるもんね。そうだ、今度僕が君専用のブラを用意してあげよう」
手を握られながらおぞましい提案がなされ、
「はい、お願いします……っ♡」
和は笑顔を作って頷いてしまう。
下着を全て捧げて挑んだ次局であったが、一分も経たずに終わってしまう。他家がダブルリーチ一発ツモを決めたのだ。運だけであったが、こればかりはどうしようもない。
「さて、セーラー服とスカート、どっちが良い?」
「……う、うう」
どちらを選んでも、プライベートゾーンを晒してしまう。今の和でも、はい分かりましたと選べるものではない。椅子の上で悩みもがき、顔を俯かせる。
「ダメなら、別の方法で支払って貰おうかな」
「えっ、い、良いんですか?」
提示された新しい選択肢に、和は食い付いた。諸悪の根源たる京極が、まるで救いの神のように感じていた。
「ああ。ちょっとの間だけで良いんだ。和ちゃんのおっぱいを、揉ませてくれないかな」
「おっ――」
これには和も絶句する。誰にも触れさせたことの無い、想い人の彼にも触らせていない処女地。乙女の象徴。それを、揉ませるなどと。
だが、和は思い至る。それはつまり、あの暖かい手に包まれると言うことではないか。もっと、安心できるのではないか。そう考えれば――このまま脱がされるよりも、ずっと良いのではないだろうか。
「わ、分かりましたっ……、わ、私のおっぱいで、支払いますっ……」
「取引成立だ」
「あぁっ♡」
背後から、押し潰すように乳房を掴み取られる。痛みの中に走る、性の感覚。先ほどから徐々に刺激されていた和の肌は、たやすくそれを呼び起こされる。そしてその悦びを、多幸感を、最大限にまで京極は引き上げる。
たぷたぷ、ぐにゅぐにゅ、すりすりと、京極の手が和の見事なバストを蹂躙する。
「はぅっ♡ やぁ♡ な、なんで♡ どうして♡ んふっ♡」
「気持ち良いかい、和ちゃん」
「んんっ♡ ちがっ、気持ちよくなんかっ♡ ありません♡ ん、ふぅ♡」
反射的に否定する和であったが、実情が伴っていない。アイマスクの下では目がとろんとなり、はしたなく舌を突き出す。
「あーっ♡ あーっ♡ んーっ♡ やめ、そこ♡ やめてください♡ やめて♡ あぅ♡」
「いやいや、これは止められないでしょ」
京極も興奮した様子で、制服の上から和の胸を虐め続ける。下乳から乳首にかけて掌を掬い上げるようにして滑らせ、横乳から指を沈める。焦らすように乳輪の周囲を指でなぞり、耐えきれないように和が腰を揺らすと、きゅっと乳首をつまみ上げる。
和にとっては何も見えない分、いつどこをどう責められるか分からない恐怖と期待感がつきまとった。
「や♡ やーっ♡ ふっ、ふぅっ♡ あっ♡ ああっ♡ 乳首♡ 乳首はだめなの♡」
「ふふふ、可愛いよ和ちゃん」
「か、可愛い、ですかっ♡」
「ああ。今の君を見たらどんな男もイチコロだろうさ。えっちすぎてね」
「え、えっちなんかじゃ♡ 私は、えっちなんかじゃないです♡ あぅ♡ やーっ♡ あうっ♡」
気付けば三十分近く胸を弄られていた。
ようやく次の局が始まる頃には、
「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
白く荒い息を吐き、椅子に全身を委ねる和の姿があった。どう見ても目隠し麻雀で対局できる様子ではない。だが、勝手に京極は始めてしまう。
「切る牌は、どれだい?」
「……、ぁ、う♡」
和は答えない。答えられない。感じるのは、握られる右手だけ。
時間制限が過ぎ、勝手に牌が切られていく。当然上がれるはずもなく、他家にあっさりと振り込んでしまう。
もう降参してゲームセットを要求すべきところだが、和の頭にはそんな案を思い浮かばない。
「……きょ、京極様……」
「またおっぱいで支払うかい?」
「……は、い……」
こっくりと頷く和であったが、
「だけどたった今僕の手は値上がりしてね。こっちも、触らせて貰えないかな」
「――っ、そ、そこはぁっ♡」
京極の左手は、スカートの中に入り込んでいた。右手はぐにゃりと和のバストを潰し、絶え間なく蹂躙している。
「ん、ふ♡ や♡」
「どうだい、どうする? このままだったら、次の局はお預けだよ?」
「……、……! お、お願い、お願いしますっ♡」
最後の最後、僅かに躊躇う和であったが――京極の能力に嵌められた彼女は、懇願してしまった。
「いくよ」
「はぅうっ♡」
既に濡れそぼった秘所へと、京極の指が侵入する。ぐちゅぐちゅと水音を立て、かき分けるように指が膣の入り口を責め立てた。
「あーっ♡ あーっ♡ やーっ♡ だめ♡ やめて、やめてくださいぃ♡」
「止めちゃっていいのかい? 手、握ってあげられないよ?」
「……っ♡ や、やっぱりやめないで、やめないでください♡ さ、触って♡ 触って下さい、京極様♡」
「ふふ、良い子だ」
胸と秘所への愛撫は、執拗に続く。快感よりもまず、触られることへの幸福感が和を狂わせていた。京極の容姿に相応しく、陰湿な手の動きはしかし、少女を昂ぶらせることに余念がない。
「む、胸っ♡ あーっ♡ あそこも♡ すご、すごいです♡」
「あそこじゃないよ、おま○こって言ってごらん」
「お、おま○こっ♡」
「その調子だ。おま○こがどうしたんだい?」
「おま○こが、良いんです♡ 気持ち、気持ち良いです♡」
「褒めて貰えて嬉しいよ」
女子高生に淫語を口にさせ、京極は充足感を得る。乳首を捻りながら、徐々に秘所の奥へと指を突っ込んでいく。
「ああああーっ♡」
一際大きな嬌声が、和の口から漏れた。にやりと笑い、京極は発見したGスポットを集中的に責め立てる。
「あーっ♡ あああーっ♡ あああああーっ♡ だめ、だめ、だめぇっ♡ なんですかこれ♡ なんなんですかっ♡ おま○こ♡ おま○こが♡」
「ほら――イクんだよ、和ちゃん」
くい、と京極は中指を突き立て。
「んんんんんーっ♡」
和は、背中を仰け反らせる。生まれて初めて味わう絶頂に、彼女の頭は真っ白になる。同時に、例えようもなく幸せな気持ちだった。京極にイカされたことが、とても幸せに感じられた。そういう風に、京極の能力で誘導されていた。
「ふーっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡」
絶頂から意識を取り戻し、和は余韻に浸る。口元にははしたないほどの涎がかかり、椅子は愛液でぐしょぐしょになっていた。
目隠しであろうと無かろうと、誰がどう見ても麻雀を続けるのは無理だった。
京極の手が、アイマスクに触れる。ゆっくりと、剥がされた。
急に開けた視界はまばゆく、和は顔を顰める。しばらくしてようやく光に慣れてきた頃、見えたのは京極の醜悪な顔だった。
しかし、ずっと恐怖の闇の中にいた和には全く別のものに感じられた。さながら、救いの手を差し伸べてくれた恩人のように。暗闇の中の孤独感を、癒してくれる人。
本来ならば勘違いで切って捨てられる些末な情。
それを、京極は最大限に高めていた。他の嫌悪感などを、押し退けるように。
「京極、様ぁ……♡」
彼の名を呼ぶ声は、とても甘ったるく。擦り込みで親を認めた雛のように、和は京極の蛙顔を見つめ続けた。
広義の意味での催眠能力。
もっとエロ麻雀ルールください泣いて喜びます。
@krarisss