麻雀天使堕天計画 作:クラリス
慣れ親しんだ北海道の地よりも、この城は暖かい。――あくまで気温の上では、の話だが。
真屋由暉子は、眉一つ動かさず窓の外を見つめていた。身長140cmを切る小柄な体躯とは裏腹に、アンバランスに大きなバスト。臀部から太股にかけてもほどよくふっくらとした体つきをしており、十代半ばとは思えない色気を醸し出している。今をときめくアイドル雀士、瑞原はやりを意識したビジュアルは、同じ部活の先輩に指導されたものだった。
この、陰謀渦巻く古城に連れ去られた後も、由暉子は自分の手入れを怠っていなかった。他にも連れて来られたという多数の少女達と、彼女の目的は同じである。攫われた想い人を救うため。彼と、もう一度会うため。そのときに、「可愛い」と言ってくれた姿をもう一度見せるため。いじらしいほどの振る舞いだが、基本的に無表情なのでその気持ちは誰にも伝わらない。
(先輩達も、この城に来ているんでしょうか)
自らの置かれた現状が危ういと知りつつも、由暉子はマイペースに先輩達の心配をする。彼女達の中にも、想いを同じ人がいた。合流できれば心強いが、あるかどうかも分からない希望に期待していても仕方ない。あくまで自分が彼を助け出す、その意気で臨まねばならないだろう。
(そっちのほうが、かっこいいですし)
なおも自分のペースを崩さない由暉子。余裕ありげだが、実際この数日はきっちりプラス収支で終わらせ、彼の救出に一役買っていた。
「時間だ」
「……はい」
案内人に呼ばれ、自分の部屋を出る。もう慣れきったルーティンだった。男達の纏わり付く視線も、分かった上で無視をする。
歩くこと数分――それでも全貌が見えない古城だ――案内された対局室は、いつもより広い部屋だった。
「ようこそ、真屋由暉子君」
「……」
由暉子を対面で迎え入れたのは、髭をたくわえた壮年の男性だった。おそらくは四十代だろうか。腕と脚はすらりと長く、肌は若々しい。女性受けしそうな甘いマスクは、穏やかな表情をしている。しかし、その眼光の中に邪悪な欲望が潜んでいることを由暉子は見逃さなかった。
どうやら今日の相手は、この男のようだ――由暉子はそう判断する。毎回三人の男達に囲まれるが、その中でも場を先導する男は一人。体を狙ってくるのも、そのリーダー格の男だ。
「今日は一つよろしく頼むよ」
「はい」
こっくりと頷いて、由暉子は卓につく。スリットの入った改造制服を着るのにも抵抗はなかったが、この場では流石に無理だ。
「さて、早速だが今日のルールを説明するよ」
髭のミドルは、やはり穏やかな声で語りかける。由暉子は無表情のまま、再びこっくりと頷いた。
「由暉子君はアイドルを目指していているんだよね」
あくまで先輩の希望ではあるが、形式上はその通りである。由暉子は素直に答えるか迷った末に、首肯した。麻雀以外で機嫌を損ねるのは避けたかった。満足気に男は笑うと、
「色々な衣装を着るのにも慣れていることだろう。そこで、君が一定の点数を失点するたび、そこで私たちが指定する衣装に着替えて貰おうと思うんだ。代わりに今回の対局で得られるクレジットを十倍にしてあげよう」
男が指差したのは、四方が白いカーテンで覆われた簡易脱衣所だった。薄絹一枚を挟んで男達の前で着替える――実に悪趣味だ。しかし由暉子はあくまで表情を変えず、
「分かりました」
と応じた。逃げていては彼を助けることはできないし、今更臆する必要もない。それに、以前提案された脱衣麻雀よりも随分マシなルールだ。そのときは完全に
「物分かりが良くて助かるよ。――では、3000点失点する度に着替えて貰うよ。後、着替えるのは一分の制限時間付きだから気を付けたまえ」
「はい」
「では、始めようか」
淡々と、対局は始まった。罰ゲームなど気にせずにいつも通りに打てば良い、と由暉子は自分に言い聞かせる。コクマに選出された所以である、左手という切り札もある。まともにやって、負ける気はしなかった。これまでの、経験上では。
「ツモ」
案の定と言うべきか、由暉子は軽快な滑り出しを見せる。満貫ツモから、跳直。がっつりと点数を増やす。
だが、今回のルールは失点だけを数える。どれだけ点棒を稼いでも、安全圏というものはないのだ。罰ゲームを受けたくなければ、上がり続けるしかない。
しかし、そんな都合の良いことばかりが続くわけもなく。
「ツモっ」
対戦相手の一人が、ゴミツモをする。じわりじわりと、累計の失点数は増えていく。
加えて、
「ロンだ」
「っ!」
「安手だけどね」
対面の髭のミドルに、由暉子は振り込んでしまう。警戒していたはずが、テンパイ気配すら感じなかった。
(この人、強い)
今までにない手応え。ともすれば、インターハイで戦ったレベルの選手と遜色ないのではないか。
「確かに君は強いよ。昨今の女子選手なだけはある」
髭の男は、微笑んで言った。
「だが、裏麻雀界の男も負けてはないよ。――ツモだ」
牌が倒される。今回も安手。しかし、これで失点の累計は3000を超えた。
だが、由暉子はやはり表情を変えない。先日の脱衣麻雀でも一枚脱がされた。それに比べれば問題ない。
今憂慮すべきは、この男の対策だ。ずるずると失点を続け、想い人を助けるクレジットを稼げない事態は辛い。
「着替えは脱衣所の中に用意しているよ。制限時間は一分だ。さぁ」
「……はい」
卓を立ち上がり、由暉子は脱衣所に向かう。カーテンは予想以上に薄く、ともすれば透けて見えそうだった。大きく息を吸い込んで、中に入る。悠長にしている暇はない。
脱衣所の中にあったのは、紺色の競泳水着だった。ご丁寧に胸元には「まや」の名前が設えられていた。
タイを外し、制服を脱ぎ落とす。躊躇いはなかった。下着もその勢いで脱いでしまう。手早く水着を手に取ると、裸身に纏わせる。
「んっ……」
競泳水着のサイズは、小柄な由暉子よりもなお小さめであり、思わず顔を顰めてしまう。特に胸元がきつかった。
カーテンを開け、由暉子は競泳水着姿を男達に晒す。にやにやといやらしく笑う彼らに、由暉子は顔を俯かせた。紳士然とした髭のミドルも、嗜虐的な笑みを隠そうとしない。
「雑誌で見たときよりも胸が大きくなってるみたいだね。良いよ」
「……続きを」
由暉子は彼らを無視して、卓についた。
胸元が苦しくて、息がしづらい。肢体のあちこちに突き刺さる視線を、無視しきれない。マイペースで無表情な彼女だが、無感動というわけではない。むしろ彼に恋してから、「そういうこと」を意識するようになった。
その隙を見逃すほど、男達は甘くなかった。
「ロンだよ、由暉子君」
「……う」
「ザンクだ。もう一回、着替えて貰おうか」
本当に、強い。狙い撃ちにされている。反省しながら、由暉子は卓を立った。どうすればこの男を上回れるのか。悩めど、すぐに答えは出ない。
深呼吸をして、簡易脱衣所に入る。
次の衣装は、赤いワンピースタイプの水着だった。競泳水着よりも、中々に際どい。躊躇いながらも、急いで水着を着替える。生地が薄く、ぷっくりと乳首が浮き上がってしまった。
カーテンを引き、脱衣所を出る。
「良いね、似合ってるよ」
「可愛いじゃないか」
「アイドル志望なだけはあるよな」
男達の賞賛も、由暉子は涼しげな顔で対応してみせる。
しかし、彼らが無遠慮にカメラを構えてくると、流石に怯えた表情を見せた。
「なにを、するんですか」
「撮影会だよ。アイドル目指してるんだから、このくらい慣れてるだろう」
「誰も許してなんか――」
「おや、嫌なのかい?」
静かな男の微笑みの裏に、脅迫を覚えた由暉子は黙り込んでしまう。元々物静かな少女である。反論するよりも前に、シャッターを切られてしまった。
なし崩し的に、撮影会が始まってしまう。「胸を寄せろ」、「笑え」、「ポーズを取れ」、幾つもの指示が飛び、由暉子は扇情的な格好を強要される。雑誌でのグラビア撮影にはなかった雰囲気に、彼女の体温は上がっていく。
(このままではいけない)
振り払うように、由暉子は卓に着いた。
「もう良いでしょう。続きをお願いします」
「せっかちだな。何でも無いフリして、恥ずかしいのかい?」
「別に大したことありません」
「中々強気じゃないか」
無視して、牌をツモる。これ以上負けたくない、と由暉子は左手を使おうとする。このままでは最初の稼ぎさえ失ってしまいそうだった。
「ツモ!」
「ほう」
倍満をツモり、流れが切り替わるのを由暉子は肌で感じだ。このまま押し切れる、その確信があった。
しかし実際は、
「おっと、こっちもツモだ。4000、8000」
「――!」
髭のミドルは、さっさと和了してしまう。愕然とする由暉子だったが、男達は構わず彼女をせっつく。
「ほら、着替えるんだ」
三度、簡易脱衣所へ。
そこにあったのは、青いビキニタイプの水着だった。既に察していたが、どんどん布面積が小さくなっていく。
嫌気が差しながら、ワンピース水着を脱ぎ捨てる。
丁度、そのタイミングだった。
「制限時間オーバーだよ」
「えっ?」
まだ一分は経っていないはず。驚き思わず振り返る由暉子だったが、さらに驚き慌てふためく事態がそこにあった。髭の男が、堂々と脱衣所に侵入してきたのだ。
「きゃぁっ!」
短い悲鳴を上げ、その場にかがみ込んで裸身を隠す。同性の先輩達相手ならともかく、ともすれば父親ほど歳の離れた男に生まれたままの姿を見せることなど、流石の由暉子も許せない。
「ど、どうして――まだ時間はあるはずでは」
「制限時間のルールが変わったんだ。いつまでも同じ時間じゃ刺激が足りないだろう」
「そ、そんなこと言ってなかったでしょう」
「訊かれなかったからね。あるいはクレジットを払えば丁寧に教えて上げたんだけどね。ともあれ、確認を怠った君が悪い」
勝手なことを、と由暉子が怒るよりも速く髭の男は彼女の体を背後から抱き上げた。
「やめ、あ、やぁっ」
その身長差から、男の腹部に由暉子は背中を預ける形になる。後ろから男の手が伸びたかと思うと、由暉子の胸に触れた。
「そんな、な、なにをっ」
「着替えの手伝いだよ。ちゃんとサイズが合うか確認しないとね」
右の掌が、乳房をゆっくりと押し潰す。左手はヒップラインをなぞり、太股を這いずり回る。ぞくぞくぞく、と由暉子の背筋に冷たいものが走った。
「ひぅっ、あふ♡」
同時に、声に甘い色が混じる。それに気付いた男は、見定めた部位を集中的に責め立てる。
「やめ、やめて、ください……っ」
「まだまだ、ちゃんとチェックしないといけないよ」
「い、要りませんから……っ、ん、んぅ♡」
ふざけた名目の元、男の手は由暉子の裸身を撫で回す。身を捩ろうにも、がっちりと捕らえられて逃げられない。
「や、そこ、だめ……」
「ふふふふ」
何人もの女性を悦ばせてきた男の熟練の手技に、由暉子は翻弄される。全くの未知の世界であった。強制的に昂ぶらされ、下腹部が鳴き、目元に涙を溜める。体の底からこみ上げてくる何かに恐怖を覚え、ぎゅっと目を瞑った瞬間、
「――さぁ、着替え終わったよ」
「え……?」
体を離された。
いつのまにか、青いビキニを上下とも着せられていた。どくんどくんと心臓は強く脈打ち、指の先が震える。
堪らず由暉子は簡易脱衣所を飛び出た。はぁはぁと荒い息を吐く。ゆっくりと脱衣所から出てきた髭の男と、目が合った。どきりとして、顔を逸らす。体に残ったのは、もどかしさだけ。それが、由暉子の本能に訴えかけてくる。
その声を、彼女は無視した。気付かない振りをした。全て振り払うように、卓に舞い戻った。
「そんなに慌てなくても、私は逃げないよ」
対面からの囁きに、応じる余裕はない。相手をする暇などない。この状況を打破しなくてはならないのだ。
だが、由暉子を嘲笑うかのように、
「ロンだ」
無情な宣言が、対局室に響く。
――覚束ない足取りで立ち上がり、簡易脱衣所の前に立つ。
「制限時間は、何秒ですか」
「三十秒だよ」
「……分かりました」
由暉子は脱衣所に飛び込む。次なる水着を引っ掴み――少しだけ躊躇い、すぐに着替え始めようとする。
「え……? なに、これ」
だが、今度の水着は由暉子の見たこともないような形だった。
V字の布が肩から股間まで繋がっているだけの、まるで紐のような水着。由暉子はその名前を知らないが、スリングショットと呼ばれるタイプのものだった。股間は必然的にハイレグ状態、胸も乳首をかろうじて隠せるかどうかと言ったところか。どうやって着れば良いのかも分からない、その悩む時間が致命的だった。
「時間切れだよ、由暉子君」
「あっ……」
髭の男が、入ってくる。また、心臓が跳ねた。
「どうしたんだい、物欲しそうな顔をして」
「やぁっ」
再び背後から抱きすくめられ、ビキニの上から巨乳を掴まれた。
「もしかして、また私に着せて貰いたかったのかな」
「そんな、わけが、あぅう♡」
「嘘を吐いても無駄だよ。この胸が雄弁に語ってる」
今度は両手で、胸を潰される。同時に耳たぶを噛まれ、「ゃあっ♡」と由暉子は悩ましげに身を捩った。
「んん♡ んんんっ♡ だめです♡ もう、触らないで♡」
「こんなに嬉しそうな声を出しておきながら、何を言ってるんだい」
「嬉しそうなんて、あうっ♡ そんな、そんなこと♡ んふ♡」
巧みな性技は、否応なしに由暉子の性感を高めていく。由暉子はただただ目を閉じて、嵐が過ぎ去るのを待つだけだった。着替えさせるなら速く着替えさせて欲しい。それが望み。それだけが今の由暉子の望み。
そのはずなのに。
「ぁ♡ あ♡ んんっ♡ そこは♡ そこはぁ♡ 胸♡ 胸が♡」
「胸が、どうしたんだい?」
「き、気持ち♡ んんっ♡ な、なんでも、ありません……っ♡」
昂ぶる体が、続きをとせがむ。何とかそれを理性で抑え付け、由暉子は快感を否定する。もう、頭は真っ白になりそうだった。
「あ♡ あ♡ やぁ♡ ん♡ 胸♡ 胸ばっかり♡ やめ♡ やめてください♡」
「じゃあお尻だ」
「だめ♡ お尻もだめ♡ はや、はやく♡ はやく、着替えさせて♡」
「我が儘ばっかりだね。そんなところも可愛いよ」
「か、可愛い、だなんて♡」
「本心さ。私は由暉子君の大ファンだからね。ポストはやりん、良い目標じゃないか。君ならきっと成し遂げられる」
本来なら、こんな男に褒められたところで嬉しくともなんともない。彼を奪った悪党の一味なのだ。だが、絶えず続く愛撫に与えられる多幸感が、由暉子の思考を歪ませていた。
「はぅ♡ お尻♡ お尻も♡ 胸も♡ なんて♡ だめです、だめですぅ♡」
「ダメじゃないさ、これもアイドルになる試練と思えば耐えられるだろう」
「うぅう♡ こんなの、試練じゃ、ありませんっ♡」
「いやいや、大切なことだよ。もっと色気も大事だからね。私が鍛えて上げよう」
「あふぅううっ♡」
胸に、指が沈み込んでいく。その度に走る悦楽が、男の言葉を素晴らしいものと誤認させてしまう。
「あ♡ あ♡ あ♡ あぅ♡」
さっきよりも数段上の昂ぶりを感じ、由暉子は熱い息を漏らす。
しかし、そこまでだった。
「さぁ、着替え終わったよ」
「え……? ふぁ……」
あっさりと、男は離れてしまう。自分の体を見下ろせば、かろうじて乳首と局所を隠した黒の水着を着せられていた。
よろよろと覚束ない足取りで、脱衣所を出る。途端にフラッシュを焚かれた。由暉子はぼうっとカメラのレンズを見つめる。
「ほら、もっと笑えって」「胸を突き出すんだ」「尻も見せろ」――男達の指示に、由暉子は働かない頭のまま応じる。半ば反射的な行動だった。
「エロエロだな、ユキちゃん」
「こんな水着着てるなんて、ファンが見たら幻滅するぜ」
「いやいやむしろ大喜びだろ」
「違いない」
下品な笑いが聞こえてくるが、由暉子は反応しない。できなかった。
それでも麻雀だけは、と対局に臨む。
しかし、この状態で勝てるはずもなかった。
男達は容赦なくツモ和了を連続し、あっという間に規定の失点数に達する。
「さぁ、もう一回着替えて貰うよ」
「……はい」
熱に浮かされながら、そして本人も気付かない期待を心に秘めながら、脱衣所に入る。そこにあったのは、ピンクのハートシールだった。他には何もない。水着一つ、ない。
どう使うのか、何のためのものなのかも分からず由暉子はシールを眺め続ける。
そして、
「時間切れだよ」
「あ……♡」
脱衣所に入ってきた男を見て、無自覚に目尻をとろんと落とした。
「なんだ、まだ脱ごうともしていないじゃないか」
「だって、着るものがなくて……」
「ここにあるだろう」
男はシールを拾い上げる。不思議そうにそれを見つめる由暉子をよそに、男はスリングショットの肩紐を外した。
「ゃ……♡」
裸を隠そうとするが、男に腕に阻まれる。三度背後から抱きすくめられ、男の舌が首筋を這う。ぞくりと、由暉子は体を震わせた。
「大分出来上がってきたね」
「でき……?」
「アイドルとしての色気が備わってきたってことさ。――ほら」
「あぅっ♡」
乳首を抓まれ、由暉子は嬌声を上げる。これまで以上の快感だった。
「ちゃあんと、水着を着る準備をしないとね」
「や♡ や♡ あ♡ あ♡ あぅ♡ ち、乳首♡ 乳首♡ だめですぅ♡」
こりこりと重点的に乳首を責め立てられ、痛いくらいに隆起する。乳房全体に対する愛撫も忘れず、熱ばかりが点っていく。
「これはね、こう使うんだ」
男はハートのシールを、由暉子の乳首の上に貼り付けた。
「ひゃん♡」
ひんやりとした感覚に、由暉子は悲鳴を上げる。勃起した乳首をぎりぎりで隠せるサイズであり、ほぼ上半身は裸のようなもの。さらに男は、スリングショットのハイレグ部分も摺り下ろしてしまう。冷たい空気が、股間に流れ込んでくる――それも束の間、男の指が由暉子の秘所をなぞった。
「やぁぁ♡ だめ♡ そこは♡ 大事な♡ 大事な場所ですから♡」
「これも水着を着るための準備だよ」
などと嘯きながら、男は本格的な愛撫を始める。既に限界近くまで感じさせられていた由暉子の秘所は、あっという間に蜜を垂れ流しにした。
「ん♡ ん♡ ん♡ ん♡ んんんぅ♡」
手の甲を噛んで、由暉子は嬌声を押し殺す。その様もまた男を喜ばせるという自覚はなかった。ただ今は、想い人に対して操を守りたいという気持ちだけが最後の砦だった。
しかし同時に、何度も寸止めされた感覚が由暉子を苛む。
「あ♡ あ♡ あ♡ あ♡ そこ♡ あ♡ そこぉ♡」
胸と、秘所、それからお尻、太股まで、男は体全体を使って蹂躙する。由暉子はもう翻弄されるばかりであった。
「さて、これが最後だ」
「うぅ……♡」
そんな愛撫も、止まるときはぴたりと止まる。はっきりと物足りなさを感じつつも、由暉子はほっと一安心する。
ハートのシールが、秘所に貼られていく。裸よりも恥ずかしい格好。だが、今の彼女にそこまで気にする余裕はない。ただ、この陵辱劇が終われば良かった。
たっぷり三十秒もの時間を掛けて、シールが貼り終えられる。
「……う、ふぅ……♡」
「完成だ。これまでで一番似合ってるよ」
「そう、ですか……」
くらくらとしながら、由暉子は男から離れようとする。一番気の抜けたそのタイミングで、
「~~~っ♡ な、なぁっ♡」
男の指が、シールの上から秘所を刺激する。さらに、胸と乳首も。
「んんん――っ♡ やぁあああっ♡」
背筋をそらし、びくびくと体を震わせる由暉子。――誰の目にも、絶頂に達したのは明らかだった。そのままくてん、と体を床に横たえさせる。
「良かったかい、由暉子君」
「は、いぃ……♡」
何も考えられず、頷いてしまう。目はとろんとして、はしたなく舌を突き出す。
同時に、がしゃりとカーテンが下ろされた。男達が構えているのは、カメラ。一切の容赦なく、仰向けに転がる由暉子の全身をファインダーに収めていく。
アイドルとして躾けられた成果か、あるいは悦楽によるものか。
由暉子の表情は、自然と微笑みを作っていた。