麻雀天使堕天計画 作:クラリス
申し訳程度に、乳首と局所に貼られたハート型のシール。それ以外は何もない。これも水着、衣装の一部と言い張るのだろうが、ほとんど裸身も同然を由暉子は晒していた。
頬は紅潮し、体が熱い。普段は多少のことでは表情一つ変えない彼女であるが、今は羞恥心に身を灼かれていた。良いように肢体を弄ばれ、脱がされ、しかしそれでも対局を続けなければならない。
(先輩達が、須賀君が、待っている)
彼女を支えるのは、大切な人への想い。そして、こんな危機だからこそ立ち向かわなければならないという彼女独特の使命感。
「……ツモっ!」
この日、二回目の左手の使用。僅かながらだが、これで半荘をプラス収支で終わらせることができた。股間を内股で隠し、右手で胸を隠しながら由暉子はほっと一息を吐く。
しかし、安堵するには早かった。
「じゃあ、もう一回半荘だよ」
「えっ」
「どうしたんだい、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして。まだまだ続けてもらうよ」
これまで、由暉子のタイミングで対局は切り上げられた。半ば不文律のようになっていたが、彼女はすっかり自分の権利のように思っていた。そんな確証は、この城のどこにもないというのに。
「いつも勝ち逃げするなんて、ずるいと思わないのかい?」
食い付いた今こそ、逃がす気はない――髭の男の意思が伝わり、由暉子は浮かしかけた腰を降ろした。逆らえる気が、しなかった。
切り札の左手は使い尽くした。
そして、相手は強敵。
「ロンだ」
「っ」
集中力も切らしていた由暉子は、東一局で振り込んでしまう。
「さて、次の着替えだ」
「まだ何か着せるつもりですか」
「当然だよ。ただ、少し趣向を変えよう」
髭の男は立ち上がり、部屋の奥から何やら衣装を取り出してきた。由暉子は眉を潜める。見覚えがあった。先輩の岩館揺杏が作ってくれた、有珠山の改造制服にそっくりであった。スリットの入ったふりふりのスカートに、胸部を強調する作り。おそらくはレプリカだろう。いずれにせよ、今の格好と比べれば天国のようだ。
男から制服を受け取ろうと由暉子は手を伸ばす。しかし、それを男は許さなかった。ひょいとその手を躱すと、由暉子の体を抱きすくめる。
「な、なにを……っ」
「着替えさせて上げよう。君は行動が遅いからね」
勝手なことを、と由暉子が憤るよりも早く男は少女の柔肌に指を這わせる。それだけで、びくびくっと彼女は体を震わせた。この短い時間で既に、性感帯を知り尽くされていた。ぎゅっと胸を絞るように掴まれる。
「ぁうっ♡ やめ、やめて下さい♡」
「もう一度サイズチェックをしておかないといけないからね。大人しくしていたまえ」
「いら♡ いらないです♡ やっ♡ また、乳首っ♡」
「ちゃんと解しておかないと、入りきらないかも知れないよ」
「やぁ♡ んうっ♡」
男の手が、執拗なまでに由暉子の肌を這いずり回る。脇腹をくすぐるように指先が走り抜ける度、由暉子の口から熱い吐息が漏れる。視界には靄がかかり、体から力が抜けていく。かろうじて上の制服を着せられるのは理解出来た。脚先にも男の指がかかり、スカートを履かされていく。
「さあ、これで完璧だ」
「あ……」
ようやく男が離れると、由暉子はぺたりとその場にへたり込んだ。ぼうっとした頭のまま、彼女は自分の体を見下ろした。
スリットの入った改造制服のスカートは、さらに丈が短くなっており秘所のシールが見え隠れしている。上の制服は、サイズが小さくお臍が見えてしまっている。加えて丁度乳頭部分がハート型にくり抜かれており、ハートのシールが存在を主張していた。
「よく似合ってるよ」
「こんなの、下品、です……」
「先輩がデザインしたものを腐すなんていけない子だな」
ぐい、と由暉子の腕を引っ張って男は彼女を無理矢理立たせる。よろめいた由暉子の腰に手を回し支えると、男はそのまま彼女を胸元に抱き寄せた。
「んんっ――?」
気付いたときには、唇を奪われていた。目を見開いて由暉子は狼狽するが、それ以上の抵抗は生まれない。脳裏に想い人の顔が過ぎる。謝る余裕はなかった。唇を割って、舌が口内に侵入してくる。ぐちゅぐちゅとはしたない音を立て、二人の唾液が混じり合う。呆然とした由暉子は、されるがままになっていた。
髭の男が、ようやく由暉子の口を解放する。二人の間に、透明な液体の橋がかかった。
「ファーストキスだったかな」
「…………」
由暉子は答えなかったが、赤らめた顔が何よりも雄弁に語っていた。
せめて、と言わんばかりに抗議する。
「勝手なことをしないでください」
が、
「だったらもっと嫌がって見せたらどうだい。本当は気持ち良かったんだろう」
いやらしい笑みを返されるばかりだった。すぐに反論できず、由暉子は黙りこくってしまう。
「子供にはできない大人のキスだ。君の好きな少年ではまず無理だろうね」
「彼を……悪く言わないで下さい」
「その言い方だと、やっぱり私のキスは良かったみたいだね」
くくく、と髭の男は喉を鳴らして笑う。良いように掌の上で転がされていると分かりつつも、今の由暉子には言い返せなかった。
すっかり調子を奪われながら、由暉子は卓につく。
無論、その状態で勝てるわけもなかった。三対一の状況に加えて、髭の男はプロクラスの実力者。正面から戦っても勝てるか厳しい上、絡め手まで使われたらどうしようもない。
クレジットが、どんどん目減りしていく。
「今日は手持ちのクレジットが少ないようだけど、そろそろ尽きるんじゃないのかな」
「……あ……」
「もちろん手持ちを全部失ったら、罰ゲームだよ」
今更ながら気付くが、時既に遅し。左手も使えず、最後の抵抗もできなかった。
――最後の点棒を奪われ、箱の中が空になる。
心臓が早鐘を打つ。冷たい汗が、背中を流れ落ちた。
「では罰ゲームだ」
「私に、なにをさせるつもりですか」
「まあ、そう構えることないよ。簡単な要求だ。――今日一日、アイドルを目指す君のプロデューサーを私が務める。それだけだ」
由暉子は首を捻る。男の意図が、読めなかった。
「自己紹介がまだだったね。私の名前は海道。プロデューサーと呼んでくれ」
由暉子にとってのプロデューサーと言えば、有珠山高校の先輩達だけである。もっとも彼女達をそう呼んだ覚えはなかったが、海道と名乗る男をそう呼ぶのは抵抗があった。
しかし、今の由暉子に拒否権があるわけがなく。
海道の眼光に気圧される形で、彼女はこっくりと頷いた。
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海道に手を取られ、由暉子が連れ込まれたのはホテルにあるような大浴場であった。広々とした湯船に、熱いお湯が並々注がれている。室温と湿度は高く、そこにいるだけで汗ばんでしまう。
普通なら裸で入る場所であるが、由暉子は改造制服姿のまま浴場に足を踏み入れていた。風呂椅子に座らされ、短いスカートをできるだけひっぱって臀部を隠そうとする。周囲を、何台ものカメラで取り囲まれているのだ。カメラマン達の下卑た視線がレンズ越しに伝わってきて、落ち着かない。
プロデューサーを自称する海道が、由暉子の背後から声をかけてくる。
「さて、始めようか」
「なにを、するんですか」
「プロデューサーとしては、イメージビデオを撮っておきたいと思ってね。それも、君の魅力を最大限引き出すものだ」
「ひゃうっ」
耳元に息を吹きかけられ、由暉子は短い悲鳴を上げた。その隙を見逃さず、海道はまたもや彼女の胸に手を伸ばした。
「やはり由暉子君の魅力はまずこの胸だね。この小さな体には不釣り合いなくらいだが、それが良いんだ。ほら、もっと撮って貰おう」
「んっ、ふっ♡ だめ、ですっ♡ 揉まない、でぇっ♡」
海道は下乳を持ち上げて、その巨乳ぶりを強調する。その様はしっかりとカメラに収められており、由暉子は自らの痴態を録画されるのに強い抵抗を覚えた。
「お願いします、あっ♡ 撮らない、んっ♡ 撮らないで下さいっ♡ やっ♡」
「こらこら、アイドルを目指す娘がそんなことでどうするんだ。この程度はどこでもやっているぞ」
「嘘っ♡ 嘘です♡ ん♡ や、ぁっ♡」
「嘘じゃないさ。瑞原はやりも同じような撮影を乗り越えてきたんだ。彼女を目指すならこのくらいは耐えて貰わないと。いや、ノリにノって貰わないと困るな」
「んうっ♡ う、ふっ♡ あふっ♡ んんうぅっ♡」
乳房に男の指が沈み込み、甘ったるい息を由暉子は漏らす。時折首筋に海道の髭が擦れてもどかしくなった。一見無遠慮なだけの愛撫だが、的確にかつ絶えず胸の性感を責めてくる。年季を感じさせる性技は、先ほど痛いほど味わわされたつもりだった。だがそれもまだ手加減されていたのだと由暉子は気付く。風呂椅子の上で逃げるように身を捩るが、海道の力には敵わず大した抵抗にはならなかった。
「ところで、この改造制服なんだけど少し特殊な生地で出来ていてね」
「ふぇ……?」
「こうするとね――」
海道は桶を傾け、中の湯をスカートの端にかける。
「なっ」
由暉子は目を見開き狼狽える。音もなく、スカートの生地が溶けて消え失せたのだ。ただでさえ短いスカートが、さらに短くなって白い肌が露わになる。
「こうなっちゃうんだ。ほら、こっちも」
今度はニーハイにもお湯がかけられる。当たり前のように、かけられた部分だけ溶けていってしまった。ニーハイのあちこちが穴あきになり、ただ脱ぎ去るよりも淫靡な空気を醸し出す。さらには上の制服の袖口にもお湯がかけられる。やはり同じ生地で出来ているのだろう、あっという間に袖が消えてしまう。
裸身を晒すのは時間の問題であった。何度経験しても、慣れるものではない。ましてや今回はカメラに録画されている。
「や、やめてくださ、あう♡ こ、こんなのぉっ♡」
「このままそこのお風呂に入って貰うつもりだったんだが、そんなに嫌がられると困るな」
「お、お風呂だなんて、んんうっ♡」
服が全部溶けて消えてしまうのは目に見えている。湿気で乳首と秘所のシールも剥がれてしまうだろう。
「いつもこんな恥ずかしい格好しておきながら、裸は嫌なんだ」
「あた、当たり前♡ やんっ♡ 当たり前です♡」
「だったら、それなりの態度を見せて貰わないと」
「――っ?」
ふっと、途絶えず続いていた海道の愛撫が止まる。眦に涙を溜めたまま、由暉子は背後の海道へ振り返った。
「た、態度……?」
「そこは自分で考えて貰わないと。ファンが何を求めているか、アイドルは常に考えないといけないからね。これもアイドルとして活動するための練習だよ」
由暉子は沈黙して思考する。この男が、プロデューサーが求めていること。これまでの行動を思い返し――彼女は風呂椅子に、海道に向かい合う形で座り直した。
そして、ゆっくりと顔を近づける。
(ごめん、なさい)
謝る相手は、想い人と、ここまで自分を引っ張って来てくれた先輩達。今は、このプロデューサーが全て。自分は彼に、調教されるアイドルなのだ。
自ら、そっと海道に口付ける。触れ合うだけのキスだったが、後頭部に腕を回されがっちりとホールドされてしまう。
「ん♡」
舌で、唇を突かれる。今度は無理矢理割って入ってくるような真似はせず、まるでおいでおいでするように由暉子の唇を嬲るばかり。誘われるかのように、おずおずと由暉子は自分から舌先を男の口内に差し込んだ。
「ちゅう♡ あんむっ♡ むちゅ♡」
その動きを見逃さず、海道は吸い込むように由暉子の舌を自らの口内に招き入れる。
「んんーっ♡ んちゅぅうっ♡ はむううっ♡」
半ば悲鳴のような声は押し殺され、しかし喜色だけはどうしようもなく浴場内に伝わっていく。さらに海道は向かい合った状態で、残された左手で由暉子の胸を揉みしだく。
「じゅるっ♡ あむっ♡ じゅるるっ♡ ――あ、はぁっ♡ やめ、胸♡ 気持ち良すぎ、てぇっ♡ ――んちゅうう♡」
僅かな息継ぎしか許されず、由暉子は唇を何度も何度も奪われる。胸だけでなく、下腹部や太股も海道は思う存分愛撫した。アイドル候補として未来ある少女の体を嬲る至上の喜びに、しかし彼は焦らずじっくりと由暉子を昂ぶらせていく。
「――ひゃうっ?」
キスに夢中になる由暉子の背中に、突然熱いお湯がかけられる。当然、制服の背の一部が溶けてしまった。
「ど、どうしてっ」
「いつまでも同じことを繰り返しているとすぐに飽きられてしまうよ。君は新しいことにどんどんチャレンジできるアイドルになるんだ」
「あ、新しいことって、何を……」
「迷ってる時間はないよ」
「熱っ」
さらに、スカートにお湯がかけられる。右半分はもう形をなしておらず、お尻が丸見えになっていた。
ファンを――目の前の男を、喜ばせる。由暉子は必死で過去の経験を思い返した。先輩達が部室で麻雀雑誌と共に持ち込んだ女性誌で、時折猥談に耽っていた。由暉子は遠巻きに眺めていただけだったが、隠れてその雑誌を読んだ記憶もある。特に、想い人の彼と知り合ってからは。彼を思い出し、また心が軋む。しかし今は、引き摺る時間がない。
海道の股間に、由暉子は手を伸ばした。海道は何も言わず、だがその動作を肯定するように鷹揚に頷いた。
ズボンのジッパーを降ろすと、痛いほど勃起したペニスがパンツの上から存在を主張していた。由暉子はいつもの無表情でそれを見つめていたが、心臓はかつてなく強く鼓動していた。
パンツも下ろし、勃起に小さな指を這わせる。これを扱くことまでは、知っていた。だが、踏ん切りもつかない上これが正しいかどうかも分からない。迷っている内に、海道の大きな手が由暉子の手を取った。指導するように、扱かされる。
「熱、い……♡」
立ちこめる牡の匂いに、由暉子は頭をくらくらさせる。いつのまにか海道の補助はなくなり、由暉子は一人で力強く逸物を扱いていた。
「まだまだ物足りないが、努力する姿勢は良いね」
「あ、ありがとう、ございます……」
「プロデューサーとして当たり前の指導さ」
由暉子の中で、プロデューサーという言葉が壊れていく。とにかく早く終わって欲しい、という一心でさらに扱いていく。
しかし、海道は容赦しなかった。制服の左肩に、お湯をかける。
「あうっ」
「まだまだ物足りないと言っただろう」
「で、でも、これ以上、どうすれば……」
「口でも胸でも使えば良いじゃないか」
言葉の意味を、由暉子は理解出来なかった。そこまでの性知識を、彼女は持ち合わせていなかったのだ。元々教えてくれる友達は少なく、先輩達も刺激的すぎる雑誌を持ち込んではいなかった。
「仕方ないな」
「きゃっ」
海道は由暉子を押し倒し、仰向きに寝かせる。彼女の小さな体の上にまたがると、裸のペニスを下腹部から差し込むように、胸の狭間に差し込んだ。
「な、なにを、や、んぅ♡」
シールの上から乳首を突かれ、タイルの上で由暉子は体を跳ねさせる。その間に、海道は腰を動かし始めた。
「ちゃんと胸で挟み込むんだよ」
「うっ♡ ふっ♡ は、はいっ♡」
言われたとおりに、由暉子は自らの横乳に手を携え、海道のペニスをしっかり挟む。長大なペニスの先端が、由暉子の鼻先に触れる。
「そらそらそらっ」
「んっ♡ んっ♡ 熱♡ これ♡ 熱いです♡」
「顔で受け止めるんだよっ……!」
「ふ、えぇっ?」
戸惑う由暉子をよそに、海道は達する。赤い亀頭から飛び出してきた白濁に、由暉子は目を白黒させるが避けることも叶わなかった。海道の言うとおりに、顔で精液を受け止める結果となる。
「はぁっ、はぁっ、はっ……♡ うぅう……♡ く、臭いです……♡」
「じきに好きになるよ」
衰えぬペニスを引き抜き、海道は立ち上がる。一方の由暉子は全身の力を使い果たし、寝転がったまま動けずにいた。
「あ――」
海道はひょいと由暉子を抱きかかえる。男性の力強さに、由暉子は無自覚にときめく。
「えっ」
だが、連れて行かれたのは浴槽の前だった。まさか、と由暉子が恐れおののくよりも早く、海道は由暉子を抱きかかえたまま湯船の中に体を沈めた。
「やあっ」
短い悲鳴を上げ、由暉子はもがく。だが、視界の端で改造制服が溶けていくのを見送るしかできなかった。
「どう、してっ」
「最後まで自分で考えてやり通せなかったからね。ちゃんと自分で責任をとれるアイドルになって貰わないと」
「ううう……♡」
湯船に浸かっている間は、まだ良い。カメラから体を隠せる。しかし一度浴槽から上がってしまえば、容赦なく撮られてしまうだろう。このままでは、自分の意思にかかわらず海道に抱えられて浴槽を出る羽目になる。
「そんなに恥ずかしいかい?」
「……そ、そんなの……」
「だったら、私に抱きついていなさい。私が君の大事なところは隠して上げよう」
由暉子は逡巡し、視線を彷徨わせ、最後には海道と視線を合わせると、こっくり頷いた。おずおずと彼の背中に腕を回す。自分から男に抱きつくのは、初めてだった。想い人の彼にだって、夢見ただけの行為。
海道の厚い胸板で、由暉子の乳房が潰れる。ハートシールはとうに剥がれ、乳首が直接擦れてもどかしかった。
「ひゃうっ♡ は、あうっ♡」
海道の右手が由暉子の臀部を鷲掴みにする。左手は背中に回され、がっつりと由暉子を抱き込む。まるで恋人同士の抱擁であった。
浴槽を出る時も、出た後も二人は体を重ねたままだった。牡の力に、由暉子の体はすっかり蕩けていた。
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大浴場を後にして、通常の有珠山高校の制服――ただし、オリジナルではないようだ――に着替え直し、次に由暉子が連れて来られたのはだだっ広い居室だった。大人が五人は並んで寝転がれそうなベッドは、これまで由暉子が今まで見たことの無いようなものだった。
今、この部屋にいるのは由暉子の他は海道のみ。彼は煙草を一本吸って一服し、改めて由暉子と向き直った。
「さて、由暉子君。次はアイドルとして大事な仕事を教えよう」
「……大事な仕事、ですか」
疑わしげな目付きで、由暉子は海道を見つめる。だが、彼は小娘の反抗など全く意に介する様子はなかった。
「枕営業だよ」
「……、そ、そんなこと、アイドルの仕事じゃありませんっ」
仮にもミッション系の学校に通う者の倫理観が、由暉子を突き動かす。海道はそれを鼻で笑った。
「瑞原はやりだって、一時はその手の仕事で有名なんだよ。知らなかったかい?」
知るわけがなかった。由暉子はなおも反論しようとしたが、叶うわけがない。
「どのみちプロデューサーとしては君に枕営業のノウハウを教えておかないといけないんだ。それに、演技力を養うのも大切だよ。どんな相手でも、恋人のように振る舞えるようになるんだ。――他に好きな男がいるなんて、甘い言い訳が通じると思ったら大間違いだよ」
先回りして指摘され、由暉子はぎゅっと目を瞑る。そんな彼女の髪を、海道はかき上げた。
「そんなに緊張することはないよ。誰でもやってることだ。最初は私を恋人と思って、身を任せていれば良いんだ」
「や、あ、んっ――♡」
頬に、口づけされる。由暉子は顰め面を作るが、臀部に海道の手が触れると切なげに体を震わせた。
「はぅっ♡」
「そう、恋人らしく頑張るんだよ。でないと、いつまでたっても罰ゲームを許して上げないよ」
「は、はい……っ♡ んちゅっ♡ ちゅるうっ♡」
最初から、情熱的なキスが交わされる。お互いの舌を吸い合い、精一杯背伸びして首筋に腕を回す。こくん、こくん、と海道の唾液を飲み込んだ。
「自分で脱ぎたまえ」
「……はい」
タイを外し、上着をその場に脱ぎ捨てる。薄いシャツの上から、紫色のブラが透けて見えた。さらに脱ぐか躊躇っている内に、由暉子は優しくベッドの上に押し倒される。
「あ、ふ……♡」
もう、すっかり慣れた胸を這う指先の感覚。触れるだけで、快感が呼び覚まされる。
「可愛いよ、由暉子君。愛している」
真っ直ぐな愛の囁きが、欺瞞に塗れていると知りつつも。
「ぷろ、でゅうさぁ……♡」
淫欲に染められた由暉子の本能が、先に甘い声を生んでしまう。
「ほら、由暉子君」
「わ、私も……」
海道に促され、由暉子は口を開く。
「プロデューサーが、好き、です……」
考えていたよりも、あっさりと答えてしまった。その事実に由暉子は戸惑う。
(これは、演技)
必死で自分に言い聞かせ、平静を保とうとする。しかし海道は心の余裕を与えない。いつのまにかスカートがずりおろされ、ブラと同色の下着が露わになっていた。
「あ、あ、~~~っ♡ やぁあっ♡」
下着をずらし、海道が秘所に指を入れる。これまで以上の衝撃に、由暉子は背中を反らせた。
「どうだい、由暉子君。気持ち良いかい?」
「良い♡ 良いですぅ♡ すご、凄い♡」
既に出来上がっていた体はあっという間に反応し、ぐちゅりとした水音を響かせる。ベッドのシーツが、数分でぐっしょり濡れてしまう。
「ほら、こっちも」
「あ♡ あ♡ あっ♡ だめ♡ 胸、ダメ♡」
シャツも脱がされ、ブラの上から右の乳首を刺激される。左の乳房を掬い上げるように揉まれ、与えられる快感は至福そのもの。
「すごい♡ 凄いです♡ プロデューサー♡ 気持ち良いです♡」
「だろう? 私の魅力が分かってきたかな?」
「はい♡ 好き♡ 私、プロデューサーが♡ 好きです♡」
「嬉しいよ、由暉子君。プロデューサー冥利に尽きるよ。――ほら」
「んちゅ♡ はむ♡ じゅるうぅ♡」
演技、演技、演技。頭の中をその言葉がぐるぐると回る。しかしそれとは裏腹に、海道との接吻はたっぷりと愛情が込められていた。半端に制服をはだけさせられ、逃げる術はない。だがそれ以上に、逃げようという発想すら生まれてこなかった。
「んふっ♡ はうっ♡ あうっ♡」
愛撫に身を任せる由暉子は、いつの間にか海道が下半身を露出していることに気付かなかった。ぴたりと海道の手が止まって、ようやく天を突くペニスに目を遣った。一度見ていた経験もあるが、恐怖よりも先に牝としての本能がそれを求めていた。
「は、う……♡」
「心の準備は良いかい」
「……」
これは演技。今一度、由暉子は自分の心に言いつける。
「は、い……♡ 大好きなプロデューサーに抱いて貰えるなんて、嬉しい、です……♡」
「経験は、あるのかな」
「な、ない、です。プロデューサーが、初めてです」
「だよね。じゃあ、忘れられない思い出にしてあげるよ」
「プロデューサー……」
演技かどうか分からない眼差しで、由暉子はうっとりと海道を見つめる。パンツも下ろされ、晒された秘所の入口にペニスが宛がわれる。
「大好きだよ、由暉子君」
「私も、好き、です、プロデューサー」
「いくよ」
「ん、くぅっ――♡」
一息で、貫かれた。由暉子は痛みに顔を顰めるが、熱いペニスに心を狂わせる。時間をかけて体を慣らされていたこともあり、痛みを伴いながらも快楽を呼び覚まされる。
「あっ――♡ は、ふぅっ――♡」
「ああ……良いよ、由暉子君。ほんとうに君は素晴らしい」
「本、当、ですかぁっ……♡」
「当然だ。大好きだよ、由暉子君」
「んっ♡」
繋がったまま、キスをされる。それだけで、由暉子は多幸感に包まれた。痛みも忘れて、舌を絡ませ合う。
「好きだよ、由暉子君」
「私も、好きです♡ プロデューサーっ♡」
「もう一回言ってくれ。もっと大きな声で」
「~~~っ♡ 好きっ♡ 大好きっ♡ 大好きですプロデューサーっ♡ あううううぅっ♡」
気付かぬ内にペニスを突き込まれ、徐々にストロークのスピードが上がっていく。体は昂ぶり、愛を囁き合い、二人は誰も立ち入れない世界を作る。
「由暉子君、由暉子君、由暉子君っ!」
「プロデューサー♡ 大好きです♡ もっと♡ もっとぉ♡」
「ほら、ここが良いのかいっ?」
「そこ♡ 胸、良いです♡ 好き♡ プロデューサー♡」
枕営業でもここまで乱れないだろうという乱れ方。しかし由暉子は気にする様子はない。演技と本能の境目は取り払われ、海道の腰が止まっている時には自ら動こうとする。
頃合いだと、海道はにやりと笑った。
「ところで由暉子君、ここでスペシャルゲストの紹介だ」
「す、すぺ……? あ♡ あ♡ あっ♡ やっ♡ だ、誰、ですかっ♡」
「君が是非とも会いたがっていた人だよ」
え、と聞き返すよりも早く。
テレビのモニターの電源が、点いた。
そこに映っていたのは――
「あ――」
由暉子の想い人、須賀京太郎だった。猿ぐつわをされ、両手を後ろ手に縛られた彼は、顔を顰めてこちらを見つめている。表情は、とても苦しそうだった。
「あああああああっ」
生まれてこの方発したことのないような悲鳴を、由暉子は上げた。まさか、と問いかけるよりも早く。
「さっきから、私達の愛し合う姿はばっちり見て貰っていたよ」
「や、や、いやあああああっ♡」
「おやおや、その割りには嬉しそうな声を出しちゃってるじゃないか」
「や、だ、だってっ♡ す、凄すぎるから♡ や、み、見ないで♡ 見ないで須賀君っ♡」
「そんなつまらないことはさせられないよ。目を逸らさないようきつーく言いつけてるからね」
どう考えても、勘違いされた。演技を、本気と受け止められる。
一瞬で血の気が引いた由暉子であったが――しかし、突かれている内に昂ぶりはさらに強まっていく。それどころか、
「おやおや、随分きつく締め付けてくるじゃないか。彼に見られて興奮してるのかい?」
「ちが、そ、そんなことっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ だめ♡ もうダメ♡ きちゃうっ♡ なにか来ちゃうっ♡」
「良いんだよ、そのままで。私にみを任せてれば良いんだ」
「だめです♡ だめです、プロデューサー♡」
「だめなことないさ。――愛してるよ、由暉子君」
「ううううっ♡ んちゅううっ♡」
愛の言葉と、キスと、力強い抽送に。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡ だめ♡ 好き♡ 大好き♡ プロデューサーっ♡ 気持ち良いです♡ 大好き♡」
混乱した由暉子は、演技を言い訳に快楽を口にする。彼に、全てを見られていると知りながら。
「イクよ由暉子っ!」
「はい♡ 来て下さい♡ プロデューサー♡ ~~~っ♡ ああああっ♡」
熱い白濁を受け止めながら、由暉子は絶頂に追いやられる。
画面の向こうで、想い人が何やら叫ぼうとしている。くぐもった声が聞こえてくる。しかし、今の由暉子の耳には届かなかった。それよりも、プロデューサーとのキスに夢中になっていた。
次に目覚めた後、正気に戻った由暉子は一人さめざめと泣いた。
次はチカセン騙され和姦系の予定