麻雀天使堕天計画 作:クラリス
誓子と海道の勝負は、僅かに誓子がリードして終了した。お互いクレジットを残したままなので、罰ゲームもなく誓子は対局室を後にする。まるで、この日の戦いが始まる前と何も変わらなかったかのよう。
しかし、体と心、どちらも変化があった。
優しく、丁寧に愛撫され刻まれた悦楽。
大人の男性より与えられた安心感。
何ら特殊な力を持たない、一介の少女である誓子にとって、古城で行われる麻雀勝負は酷なものだった。想い人を救いたい一心でここまで来たが、男達の欲望に弄ばれ、いつ折れてもおかしくない状況だったのは間違いない。
それを救ってくれたのは、海道だった。本来なら有り得ない速度で距離を詰められ、体に触れられ、結果、誓子は彼に心を許していた。誠実な人柄を見て取れたのも、大きかった。
故に、翌日。
案内された対局室で、再び海道の姿を見つけた時、誓子はほっと息を吐いた。
「ルールは昨日と同じです。ただ、私達は席を外しましょう。一々別室に移動するのも面倒でしょうし。ゆっくり二人打ちに集中して下さい。奉仕ゲームのカードはこちらに置いていきますね」
あっさりと、男達は退室していく。これまで執拗に監視していたのに急にどういう事なのか――誓子は違和感を覚えたが、取り残された相手が海道なのは救いであった。
「今日も、よろしく頼むよ」
「こちらこそ」
微笑みかけられ、少し頬を赤らめながら誓子は頷いた。制服に皺が寄っていないか気にしつつ、彼の対面に座った。
「言っておくが、遠慮はしない。今日は勝たせて貰うよ」
「私だって、負けませんよ」
言葉をぶつけ合いながらも、どこか穏やかな空気が流れていた。
牌に触れる手が、軽やか。
「ツモです!」
「っと、またやられてしまったか。流石インハイ経験者なだけはある」
「褒めても何も出ませんよ。それよりも、ほら、カードを」
「そうだったね」
誓子から促す形で、海道にカードを引かせる。誓子は覗き込んでカードを確認すると、わっと恥ずかしげに口を手で覆った。
奉仕内容は、キスをする、というものだった。昨日は流れで唇を許してしまったが、改めてされるとなると恥ずかしい。
「桧森さん」
「か、海道さん……その、私は」
「できる限り優しくするから。少しの間我慢してくれ」
「あ、は、はい……」
想い人のため、誓子は拒否しようとした。しかしそれよりも早く海道が目の前に立ち、肩に手を置かれ逃げ場を失う。
「いくよ」
「んっ――」
もう、逃れられなかった。唇と唇が触れ合う。昨日は感じなかった煙草の匂いが、鼻を突く。ざらざらとした感触がはっきりと伝わってくる。しかし、不思議と不快感はなかった。
「んちゅ♡ ん、んんっ♡」
唇が擦れ合う。海道の髭が肌に触れて、くすぐったい。目を閉じて、誓子はされるがままになる。
「っちゅぅ♡ んんんんっ♡ はむっ♡ あむぅ♡」
海道の舌が、徐々に口内に侵入してくる。必死で押し返そうと誓子は自分の舌を突き出すが、逆に絡め取られてしまう。
「ちゅううっ♡ ゃむっ♡ れろっ♡」
舌で舌を弄ばれ、抵抗する力は失われる。気付いた時には、海道の舌は誓子の口内全てを蹂躙するように這い回っていた。
「あふ、ふ、ふっ♡ あむっ♡ ん、ふ♡ ううううっ♡」
キスだけで、軽く達してしまった。パンツに染みが出来ている事を自覚し、反射的にスカートの裾を握りしめる。
誓子の絶頂を確認したのか、そっと海道は口を離す。唾液の橋が、二人の間に架かった。
「満足してくれたかな」
「……は……い……♡」
躊躇いつつも、誓子は頷いてしまう。うっとりとした表情を隠せない。海道の手練手管には、文字通り小娘同然であった。
どきどきしながら、次の対局を迎える。
二人打ちのため、必ずどちらかが奉仕ゲームをすることになる。一方的なゲームになり、クレジットがなくなればその時点ですぐに対局は終了するのだろうが――
「それだ、ロンだ」
「あ……」
今度は誓子が振り込んだ。先ほど手に入れたクレジットが、そっくりそのまま海道の元に渡る。
これが続く限り――この対局は終わらない。その事実に気付き、誓子はどきりと心臓を跳ねさせる。
ともかく、まずは奉仕をしなくてはならない。海道への奉仕、という言葉に心の何処かで喜びを覚えつつ、誓子はカードを引いた。中身を確認した途端、激しく動揺する。
「……っ、え、えっと」
「どうしたんだい、桧森さん?」
「その……」
書かれていたのは、「手コキ」という文字とイラストだった。昨日勢いでフェラチオまでやってしまったものの、正気に戻ると恥ずかしさしか覚えない。改めてペニスに触れるとなると、相当に抵抗がある。
「桧森さん、今なら誰も見てないから……」
「い、いえ。もしかしたら、どこかで監視しているかも知れませんし……ちゃんと、やります」
椅子に座った海道の股間の前に、誓子は膝を立てて座る。昨日と同じような体勢だった。海道がジッパーを降ろし、既に勃起し始めているペニスを晒した。
誓子の白い手が、逸物に触れる。細い指で輪を作ると、ゆっくりと扱き始めた。
「やった経験があるのかい?」
「そ、そんなこと聞かないで下さいっ。……は、初めてですけど。耳年増な友達がいて、教えて貰っただけです」
「そうか、すまないね。こんなおじさんが初めての実践相手だなんて」
「……か、海道さんだから、できるんですよ」
言い訳するように、扱く速度を上げる。うっ、と海道が小さく呻いた。
「でも、君は好きな人のために頑張ってるんだろう?」
「そ、そうですけど……だめ、ですか」
「いや、だめじゃないさ。ただ、その彼に少し申し訳ないと思ってね」
「……無事、この城を出られたら。黙っていてくれませんか」
「もちろんだとも。私と桧森さん、二人だけの秘密だ」
「ふぁ」
頭を撫でられて、誓子は喜色ばんだ声を上げた。二人だけの秘密、という言葉が誓子をどきどきさせる。そうこうしている間にどんどんペニスは大きくなっていく。ぎょっとしながらも、誓子は手の動きを止めなかった。喜んで貰えている、という事実が彼女の母性本能をくすぐっていた。
「良いよ、ああ、桧森さん。良いよ」
「は、はい……っ」
「はぁ、はぁ、イクよ……っ!」
「え、あ、きゃっ!」
赤い亀頭が膨らんだかと思うと、白濁液が飛び出してくる。思い切り誓子の両手に、それは降り注いだ。
「あ、熱……」
「す、すまない、桧森さん。とても良くて、我慢できなかった」
「あ、ああ、い、いえ」
謝られても、イマイチぴんと来なかった。それよりも、自分が海道を満足させられた事の喜びのほうが大きかった。
海道がハンカチを広げ、手を拭いてくれる。大きな手に包まれ、誓子はほぅっと、大きな息を吐いた。
「……ツモ!」
次の対局を制したのは、誓子だった。再び、クレジットが手元にやってくる。そして、奉仕ゲームの時間も。
海道の引いたカードを確認し――驚きながら、二人は別室に移動した。
別室の更に奥。そこは、小さなバスルームが設置されていた。
脱衣所で、躊躇いながら誓子は制服を脱ぎ捨てる。下着もまた、同様に。一糸纏わぬ姿となり、先にバスルームへと足を踏み入れた。一人入ればもう狭苦しいほどの空間。
そこへ、同じく裸となった海道が入ってくる。とても中年とは思えない引き締まった体に、誓子はどきりとしながら、腰をかがめて体を隠そうとした。
狭いバスルームにマットを敷き、二人はその場に腰を降ろす。体が密着してしまうのは、仕方が無かった。
「それじゃあ、始めるよ」
「は、はい」
今回の奉仕は、海道が誓子の体を洗うというものだった。泡立ったスポンジを構えた海道を背中に、誓子は身構える。
「んっ」
首筋から優しくスポンジが触れる。それから背中をごしごし擦られる。人に体を洗われるなんて、一体何年ぶりの経験か。泡に塗れる体を見下ろしながら、誓子はかつて父親にそうされた記憶を思い返していた。
「ふ、うっ、んっ♡」
乳房も、余すところなくスポンジで擦られる。手とはまた違った感覚に、誓子は体を悶えさせた。子供の頃とは、決定的に何かが違っていた。
「や、あ、そ、そこまでっ♡」
「体全部洗うって書いてたからね」
「で、でもぉっ♡ あ♡ あ♡ あっ♡」
股間にまで、スポンジが滑り込んでくる。決していやらしい目的ではない、そのはずだ、と誓子は自分に言い聞かせる。海道は人の弱みにつけ込むような人間ではないと、信じていた。
「よし」
「あ……♡」
「流すよ」
体中の泡が、シャワーで流れ落ちていく。熱水が心地よく、ただでさえ上がっていた体温はさらに上昇する。
「これで、終わりだね」
「……あ、は、はい」
「どうしたんだい、桧森さん。何か忘れ物でも?」
誓子の迷いを敏感に感じ取ったのか、海道が訊ねてくる。自然と、その腕は誓子の首に回されていた。ごくりと生唾を飲み込み、誓子は言った。
「せ、折角ですし、海道さんも体を洗っていきませんか。……その、私が、やりますから」
「それは嬉しい申し出だけど……良いのかい? 別に、強制されたわけでもないのに」
「私は、大丈夫、です」
「……そう。ありがとう。じゃあ、どうせなら――」
そっと、海道は誓子に耳打ちする。一瞬狼狽した誓子は目を見開くが、最終的にこくりと頷いた。
「分かりました」
スポンジにボディーソープをつける――のではなく。
自らの裸体に、直接それを振りかける。そして、マットの上に寝そべった海道に、自ら覆い被さっていく。ふにゅん、と海道の厚い胸板で誓子の乳房が潰れた。
「おお……」
「ん、んっ♡ んっ♡ ふっ♡ んっ♡」
自らを道具に見立て、海道の体を洗っていく。乳首が擦れ、太い脚に股間が触れ、腕と腕を擦りつけ合う。
「ん♡ ん♡ ん♡ どう、ですか♡」
「とっても気持ち良いよ、桧森さん」
「よ、良かった♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡」
機械的になどではなく、愛情たっぷりに誓子は海道に奉仕する。どんどん体は沈んでいき、目の前に海道の顔が迫った。――そのまま、誓子から海道に接吻する。
「んっ♡」
舌技など何もない、幼いキス。しかし誓子はそれを味わうように、瞳を閉じて、唇を押し付ける。
ゆっくりと、誓子が顔を上げる。にっこりと笑う海道を見て、誓子も微笑んだ。
「もう一度、私にもやらせてくれないかい」
「あっ♡」
体の上下が、逆転する。海道に覆い被さられ、しかし誓子は不安や恐怖は一切覚えず、されるがままになっていた。
海道が、その体を誓子に擦りつける。
「ん、ふ♡ 熱い、です♡」
「もっとしっかり、洗って上げるからね」
「あ♡ あ♡ あ♡ ありがとう♡ 海道さん♡」
「桧森さんが頑張ってくれたお礼だよ、気にしないでくれ」
「や♡ 胸♡ 胸が潰れるの♡ 良いわ♡」
しばらくバスルームに、少女の嬌声が響き続けた。
――対局室に戻ってきた誓子は元の制服姿に戻っていたが、頬は上気し心ここにあらずといった有様になっていた。艶やかになった肌だけが、異彩を放つ。
「ツモだ」
「あ」
麻雀に身が入るわけもなく、あっさりと誓子は和了を許してしまう。
奉仕として、上半身はブラだけを残して脱いでしまうことになった。さらに次の局では、
「あ♡ あ♡ もう♡ 良いの♡ あんっ♡」
「しっかり気持ち良くなるんだよ」
海道にまたもや胸を愛撫され。
さらに次の局では、スカートを脱ぎ捨て下着のみの姿となる。しかし今更海道相手に過剰に恥ずかしがることもなく、微笑を湛える余裕さえあった。
その後もフェラチオ、乳首虐め、素股などお互いがお互いを奉仕し続けるが、結局その日も二人の決着は着かなかった。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
その日の対局が終わった後。
誓子は、海道に誘われて彼の居室を訪れていた。本来許される行為ではないはずだが、監視員にクレジットを渡すことで見逃して貰っていたのだ。
勿論、クレジットを支払ったのは誘った海道である。僅かな居心地の悪さを感じるのと同時、生まれて初めて訪れる男性の部屋に誓子はどきどきしていた。部屋の作り自体は、自分が与えられたそれと変わらない。しかし染みついた男性の匂いは、確かに海道の部屋であることを雄弁に語っていた。
特に理由があったわけではない。ただ、誘われて着いていくのが当たり前のように思えた。男性の部屋に足を踏み入れる、その先にある未来を忘れたわけでもない。
けれども、誓子は迷わずに誘いを受けていた。
同じ立場同士の人間――慰めて貰えたら。慰める事ができたなら。
「誓子」
これまでと違い、名前で呼ばれてどきりとする。ぐっと距離が縮まった気がした。そして実際、ベッドに腰掛ける誓子の隣に、海道も座る。
「か、海道さん……」
「正直、もう我慢できないんだ。君が、素敵すぎて」
直接的な賞賛は、普段なら空っぽに聞こえたかも知れない。だが今の誓子には、うっとりとしてしまうほど甘い言葉に聞こえた。
「でも、海道さんには大切な人が……」
「私が助けたいのは姪だよ。恋人でも妻でもない」
「えっ、あっ、そ、そうなんですか」
心の何処かで安堵した自分に気付き、誓子はますます混乱する。芽生えた気持ちから、目を背けられない。
「君が好きな人を助けるために頑張っているのは知っている。――でも、私じゃダメかい?」
「ダメ、では、ないです……海道さんは、優しくしてくれて、嬉しかったですから」
「私が君の癒しになれたのなら、こんなにも嬉しいことはない」
肩に、腕が回される。誓子は払いのけなかった。
「海道さん……」
「誓子」
名前を呼び合い、二人の顔が重なる。
優しい、恋人同士がするようなキス。これまでのゲームの最中に行われたものとはまた違う。何者に強制されたわけではない。流れでしたわけではない。自分の意思で、誓子は彼を受け入れた。
そっと、一度海道の顔が離れる。
「良いね?」
「……はい」
「脱いで、くれるかな」
海道の要求に――誓子はゆっくりと頷いた。
想い人を忘れたわけではない。今もしっかりと彼の事は好きだと言える。けれども、海道に対する気持ちや昂ぶった体がない交ぜになり、今は彼への気持ちが端に追いやられていた。
(――ううん、全部言い訳だな)
どうしようもなく、海道に惹かれてしまっている。はっきりと、誓子は自分の気持ちを自覚する。
想い人への後ろめたさが、強く誓子の心を苛んだ。
けれども。
「お願いします、海道さん」
「うん?」
「今は、全部、忘れさせて下さい」
ネクタイを外し、ブレザーを脱ぎ捨てる。ブラに手をかけようとし、その前に海道によってベッドの上に押し倒された。
「あっ――」
首筋に吸い付かれ、誓子は目を細めた。馴れた手つきで海道はブラのフロントホックを外すと、乳首を指の腹で刺激する。
「んっ♡ や、い、いきなりっ♡」
「忘れさせて、欲しいんだろう?」
「……は、い」
「なら、私を受け入れてくれ」
「んっ♡」
軽くキスをされるだけで、体が喜んでしまう。すっかり、海道好みに開発されてしまっていた。
「愛してるよ、誓子」
耳元で囁かれ、誓子は顔を赤らめる。こんな真っ直ぐな告白は、初めて受けた。ごくりと生唾を飲み込み、心の中で彼に謝ってから、
「私も、海道さんが好き……」
海道の求めに、答える。
「優しく、して下さい」
「ああ。もちろんだよ」
スカートの中に、海道の手が伸びる。白ニーソに覆われた太股を撫で上げられ、誓子は短い嬌声を上げた。さらに指が這い上り、下着の上から秘所への責めが始まる。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ――やっ♡」
桃色の乳首を口に含まれ、ころころと口内で転がされる。もう片方の乳房への愛撫も、止まらない。加えてパンツをずらし、秘所を直接刺激してくる。
「んぅっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡ そこ♡ そこぉ♡ 良いの♡ 頭が♡ 蕩ける♡」
奉仕ゲームの時は、まだまだ手加減されていた事を誓子は悟る。何かに強制されたわけではなく、同意の下に行われる愛撫。海道から遠慮はなくなり、完全に受け入れた誓子の心の箍も外れていた。
「んふっ♡ ちゅううっ♡」
ちゅぱちゅぱと唾液を交わらせるディープキスは、誓子も積極的に舌を動かして応じた。
「かい、海道さん、あ、あっ♡ 良いっ♡ もっと♡ もっと♡ 海道さぁん♡」
「ああ、いくらでもしてあげるよ誓子」
いつの間にかスカートもパンツも剥がされ、誓子は白ニーソのみの姿になっていた。腰から臀部にかけて撫で上げられる度、体を震わせる。
「えっ?」
突如、海道の頭が胸元から離れたかと思うと――胸を責めていた海道の舌が、今度は股間に伸びる。
「ん~~~っ♡ あ♡ あ♡ あ♡ あううっ♡ だめ、だめ♡」
ざらついた舌が、弱点を直接刺激する。クンニリングスという行為は知っていたが、されるのは当然初めてだ。与えられる快感は、誓子の許容範囲を超えていた。止めどなく愛液が溢れ続け、啜られる音がさらに羞恥心をかき立てる。
「あっー♡ あっー♡ あっー♡ もう♡ もうイク♡ イッちゃいます♡ イクうっ♡」
背中を反らし、シーツを握りしめ、誓子は絶頂に達する。体を痙攣させ、涙を零し、歓喜に打ち震えた。
「……はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
余韻に浸りながら、再び覆い被さってくる海道と視線を交わす。端正な彼の顔つきに、誓子は心をときめかせた。
「あむっ♡」
唇を塞がれ、誓子は目を伏せる。同時、股間に熱いものが触れた。その正体を察するよりも早く、海道が問うてくる。
「心の準備は良いかい?」
「………………はい」
長い沈黙の後、誓子は首肯した。
「お願い、します。して、下さい」
「ああ」
「んんんっ――!」
徐々に、誓子の秘所へと海道のペニスが侵入してくる。熱く、固いそれに誓子は目を白黒させるが、既に充分こなれた肉体は咥え込むかのように受け入れた。
「あっ――はっ――」
股間から、破瓜の証たる血が流れ落ちる。涙を一滴零しながらそれを認めた誓子は、股の痛みを味わっていた。
「んっ、あ、ふ、んっ♡」
だがその痛みも、キスと愛撫を繰り返されている内にどこかへ霧散してしまう。残されたのは、膣を擦られる快感のみ。ゆったりとしたストロークが、誓子の性感を呼び覚ましていく。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ これ♡ なに♡ なんですか♡」
「これがセックスだよ、誓子。私と君は、一つになっているんだ」
「んぅ♡ セックス♡ これが♡ セックス♡」
「どうだい、気持ち良いかい?」
「はい♡ 凄く♡ 海道さんとのセックス♡ すごく♡ 良いです♡」
ぱんぱんぱん、と腰が打ち付けられる度に誓子はよがり声を上げた。憚るものは何もない。悦楽のみに、身を任せる。
「だめ♡ だめ♡ また♡ またきちゃう♡」
「イッていいんだよ、誓子……!」
「でも、でも♡ こんな♡ こんな簡単に♡」
「私達は愛し合っているんだから、当然の結果だよ」
「んっ♡ んっ♡ んっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっー♡ あっー♡ あっー♡ 熱い♡ 熱すぎて♡ もうイク♡」
これまで以上に誓子は乱れ、海道も額に汗を浮かべさせる。
「私もそろそろイクよっ……!」
「きて♡ きて下さい♡」
「生で出すけど良いのかいっ?」
「良いの♡ 海道さんの♡ 海道さんの子供が欲しいの♡」
半ば錯乱した上での言葉。しかし、確かに誓子はそう言った。心のどこかで、望んでいた。望んでしまって、いた。
「あっー♡ あっー♡ あっー♡ イク♡ イク♡ イクイクイクっ♡」
「誓子っ!」
「あああっ♡」
熱い精液が、膣に叩き付けられるのを誓子は感じ取る。それさえも何物にも代えられない快楽となり、彼女を悦ばせた。
「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡ ……ん、ふっ」
ぬぷり、とペニスが引き抜かれる。衰える気配のないペニスをうっとりと眺めながら、誓子は海道にお礼を言った。
「ありがとう、ございますぅ……♡」
「ふふふ」
海道が、笑う。妖しく、笑う。今まで見たことのない笑い方に、誓子は荒い息を吐きながら、小首を傾げた。
「どう、したんですか……?」
「いや……割とすんなり事が進んだと思ってね」
言っている意味が分からず、さらに誓子は首を捻る。もう一度彼女が問い直すよりも早く、
「入ってきても良いぞ」
海道が、何者かを促した。え、と誓子が戸惑っている内に、無遠慮に扉が開かれる。
そして。
名前も知らない男達が、わらわらと海道の室内に侵入してきた。呆気にとられた誓子は一瞬言葉を失うが、
「――いやああっ!」
すぐに悲鳴を上げてシーツの中にくるまろうとした。だが、海道が彼女の腕を取り動きを抑え付ける。
「か、海道さんっ?」
「おっと、暴れないでくれたまえよ。まだまだ君には価値があるのだから」
「これ、これはどういうことですかっ!」
室内に入ってきた男達は、誓子の叫びにも意を介さず、ベッドの傍にいくつものカメラを設置していく。ほとんど裸身を晒したままの誓子は、カメラのレンズから逃れようとする。だが、それも海道は許さなかった。
「やめ、やめて、どうして、海道さんっ」
「まだ分からないのかい? 察しが悪い子は嫌いだよ」
「えっ……?」
「私もこの城側の人間だ。それだけのことだよ」
くらり、と誓子の視界が歪む。言葉の意味を、すぐには理解出来なかった。しかしこの現状、変貌した海道の雰囲気が、真実である事を伝えてくれる。
「海道、さん……」
「恋人ごっこは、とても面白かったよ」
冷たい言葉が、誓子の胸に突き刺さる。
「君はね、すぐに勝負を決めるべきだった。だけど、決着が着かないように戦っていたんだろう? 気持ち良くして貰いたかったんだよね」
「ち、ちがっ」
「違わないさ」
「あんっ♡」
乳房を捻られ、途端に誓子は悩ましげな声を上げて空腰を使う。はっと我に返っても、もう遅い。
「望み通り、一杯気持ち良くしてあげよう」
「い……や……」
「君がして欲しいって言ったんだよ?」
「そ、それはっ! 違う、違う違う違うっ。貴方が、私を騙したのよっ」
「おやおや、責任転嫁かい。フェラももしてくれたのに。体も洗ってくれたのに。セックスだって、応じて中出しまで許してくれたのに?」
海道は肩を竦め、それから誓子の耳元で囁く。
「君が須賀京太郎君ではなく、私を選んだのは明白だ。快楽目当てで男を捨てて置いて、今更良い子ぶろうとするなよ」
「う、ううううっ」
「素直にしてれば、またいくらでも気持ち良くしてやるぞ」
「あふ、んちゅ♡」
キスを、される。たったそれだけで、誓子は腰砕けになった。
「や、やめ、あむっ♡ んんんっ♡ ぷはっ、やめて――んちゅうっ♡」
離れもがこうとしても、すぐに引き戻されてしまう。海道の腕力に敵うはずもなく、抱き締められ、きゅんきゅんと体の一部が疼いてしまう。既に海道の色に、体も心も染め上げられていた。
「や♡ いや♡ やめ、やめてってば♡ 撮らないで♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」
またもクンニされ、誓子は喘ぎに喘ぐ。両手で乱れた顔を覆い隠そうとするが、その手も掴まれ引き剥がされてしまう。悲しみと屈辱と悦楽が入り混じった表情は、複数のカメラでしっかりと抑えられた。
「あっ♡ あっ♡ あっー♡ あっー♡ あっー♡ イク♡ また♡ イカされる♡ こんな人に♡ イカされるっ♡ あああああああっ♡」
三度目のエクスタシーは、誓子に悔恨しか残さない。今までで一番痛烈な叫びが、室内に木霊した。
「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡ ……もう、やだぁ……」
「嘆くことはないよ、誓子。君はとても美しい」
薄っぺらな賞賛。だが、つい先ほどまではこれだけで喜んでいたという事実が誓子をさらに苦しめる。分かっていてやっている悪辣さが、またどうしようもなく腹立たしい。――そして、心の奥底ではまだどきりとしてしまう自分が許せなかった。
「さて、まだまだ続けるよ」
「も、もう触らないでっ」
「セックスまでした仲なのに酷い態度だね」
騙しておいて何をいけしゃあしゃあと、と誓子は憤りたかった。しかし、あの時は確かに自分の意思で想い人を裏切った。そう分かっているからこそ、誓子は強く反論できない。
「そら」
「あ、うっ」
海道に背中を押され、誓子はベッドの上で這いつくばる。両膝と両肘を突き、四足歩行の動物のような姿。
その彼女のお尻を掴むと、海道は背後からペニスの狙いを定める。
「あ、や、いや、こんな格好っ」
「大人しくしていたまえ」
「ん、ふぅっ♡」
後背位でペニスを挿入され、誓子は細い嬌声を上げる。相手が見えない恐怖に、背筋が冷たくなった。
「いくぞ、誓子」
「や、あ、あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」
後ろから突かれる度に、誓子は悩ましげに頭を動かす。両手はシーツを強く握りしめ、もうカメラを気にする余裕はない。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡ つか、突かないで♡ あっ♡ あっ♡ 突かないでぇっ♡」
「本当はもっと突いて欲しいんだろう? ほらほらほら」
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ や、やあ♡ 嫌だから♡ 貴方なんか、嫌いだから♡ もう、突かないでってばっ♡」
「……そうか」
ぴたり、と海道の動きが止まる。「えっ?」と、誓子は思わず背後を振り返った。しかし海道は何も言わず、膣内にペニスを入れたまま動かない。これっぽっちも動かない。
途端に、もどかしさが誓子を支配する。中途半端に快感を与えられ、火照った体を持て余していた。
「う、うううっ……」
「どうしんだい、誓子。辛そうだよ?」
「つ、辛くなんか――」
「動いて、欲しいのかい?」
酷い誘惑だった。反射的に頷きたくなった。許される行為ではないと、これ以上は本物の裏切りになると、分かっていた。このまま引き抜かれるのを待とうと、決意を固めようとしたその瞬間、
「あんっ♡」
軽く、ほんの僅かな力でペニスが動かされた。
「あ……ふぅ……♡」
その快感に、誓子は屈服する。我慢など、できなかった。ちらり、ともう一度後ろを振り返ると、
「う、動いて下さい……」
自分を騙した憎き相手に、懇願した。だが海道は、意地悪げに笑う。
「動くなと言っていたのに、今度は動けだって? 随分と調子良くないかな?」
「それは……そう、ですけどぉ♡」
自分から腰を動かそうにも、がっちり海道がお尻を固定しているため欠片たりとも動かせない。膣内でのペニスがどんどん存在を主張し、無視できないものになる。
「動いて欲しかったら、そうだね。――こう言うんだ」
耳元で囁かれ、誓子は目を見開く。ぷるぷると体は震え、涙がシーツに落ちていく。そのまま耐え続ける選択肢もなくはなかったが、もう一度だけ軽くペニスを動かされ、彼女は堕ちた。
「か、海道、さん……」
「どうしたんだい?」
「私は、海道さんが大好きです……愛して、います……騙されて、でも、処女を奪われて、良かったです……須賀君なんか、もうどうでも良いですから……愚かな私に、慈悲を下さい……っ」
「そこまで言うなら、まあ良いだろう」
「か、感謝しますっ……」
偽りの告白、しかし全てを否定しきれない内容。卑劣な男による快楽に、負けたのだから。
「あっ――♡」
これまでよりも、一際強く突かれ。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ すご♡ これ♡ これが欲しかったの♡ あっ♡ あっ♡」
「浅ましい娘だ」
「はい♡ 私は♡ 酷い女です♡ でも♡ でもでも♡ お願いです♡ お願いですから♡」
「仕方ないな」
「あっ♡ んっ♡ んっ♡ んんんんっ――♡ 好き♡ 好きです海道さん♡」
お尻の拘束を外された誓子は、自分から腰を動かしていく。かつてない快感が、彼女の全てを包み込む。
「海道さん♡ 海道さん海道さん♡」
「ほら、もっと言うべきことがあるだろう」
「わた、私は♡ 憎むべき相手に♡ 突かれて♡ セックスして♡ 喜んでる変態です♡ 裏切り者です♡ でも♡ でももう我慢できないの♡ もっと♡ もっと♡ 海道さん♡ 大好き♡ 海道さん♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ 」
「――イケ、誓子」
「はい♡ イク♡ イクイクイクイク♡ 海道さんに♡ イカされるうううっ♡」
教会の娘とは思えないほどはしたない程の叫びを上げて。
桧森誓子は、かつてない絶頂感にその身を委ねた。
「はううう……っ♡」
「次は、お前の後輩と一緒に可愛がるのも面白そうだな」
へたり込む誓子をよそに、海道は一人ごちる。その呟きが、誓子の耳に届くことはなかった。