※この作品はR-18です。

麻雀天使堕天計画   作:クラリス

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新子憧-02(淫乱メイドとご主人様)

 くちゅくちゅと音を立て、舌を絡ませ合う。ぼんやりとした意識の中で、憧は眼前の迫った榊の顔を見上げていた。口の中全てが溶けるような熱に浮かされ、お姫様だっこの体勢のまましばらく舌を動かし続けた。

 

「ん、ぅ……っ? ……っ、や、やあっ!」

 

 榊の荒い鼻息に、ふと我に返った憧は反射的に口を離す。しかし抱き上げられた格好では、暴れることもままならない。

 

「っとと。大人しくしろよ。落ちたら危ないぞ」

「くっ」

 

 榊の注意は腹立たしいが、事実そうだった。憧は彼をぎろりと睨み付ける。しかし榊はわざとらしく肩を竦めるばかりだった。

 

「今更そんな顔したって遅いぜ。あれだけ舌絡ませときながらよ」

「う、うるさい!」

 

 顔を真っ赤にして憤り、なんとか榊の腕の中から脱しようとする。しかし上手く力が入らず、結局卓まで運ばれてしまった。情けなさに、身を震わせる。なにより、大切なファーストキスをこんな男に奪われてしまったのが悔しかった。

 しかし、いつまでも引き摺る時間は与えられない。自動卓から、容赦なく新しい山がせり上がってくる。禁則のカードを引きながら、憧はごくりと生唾を飲み込んだ。ここで引く選択肢は有り得ない。どのみち逃げればクレジットを失うだけ。もう、醜態だけは晒さない。その覚悟で、憧は禁則を破る。

 

「……ツモ」

「おおっと、やるなぁ」

 

 にやにやと笑う榊とは、目を合わさない。つっけんどんに、

 

「ペナルティなら、さっさとやりなさいよ」

「ふふ、気持ち良くなりたいからって慌てるなよ」

「誰がっ……んっ♡」

 

 声を荒げようとする憧だったが、乳首につけられたローターが震え黙らされる。にやにやと笑う男達の視線に、彼女は身を捩らせた。

 

「ペナルティは、次局以降の禁則をお前は確認できない、だ」

「えっ、そ、それって」

「カードは引け。だが、それを見れるのは俺達だけ。分かったか?」

「ふ、ふざけないでよっ!」

「ふざけてるわけがないだろ? 嫌だって言うなら――分かるだろう?」

 

 拒否権は、当然ない。禁則を破っても、できる限り最小限になるよう努めてきた憧だったが、今後はそれすらも通じなくなる。

 憧がカードを選び、その中身を見た榊はにやりと笑う。彼はカードを、手元に伏せて置いてしまう。

 

(どうすれば良いのっ……)

 

 火照った頭はくらくらとして、まともに働かない。

 

「り、リーチ……」

 

 恐る恐ると言った様子でリーチをかけるも、

 

「ツモだ!」

 

 先に榊に和了されてしまう。リー棒分までクレジットは削られ散々な状態だったが、当然ながらペナルティは発生する。榊は冷酷に、そして楽しげにカードを広げて宣告する。

 

「禁則はリーチとスカートだ。リー棒吸われてペナルティ二つになっちまったな、可哀想に」

「ばっかじゃないの」

 

 反論する内容も、声に力も入らない。そっぽを向いた憧の頬は紅潮し、乱れた呼吸のせいで胸は大きく上下している。その下では、心臓がかつてないほど

 

「そろそろ遅くなってきたし、このペナルティが終わったら続きは明日にするか」

「また勝手に決めて……!」

「おいおい、むしろ疲れ果てたお前のためを思って言ってやってるんだぜ。そうだな、延長戦を明日やる、これだけでペナルティ一回にしておいてやるよ」

「……分かったわよ」

 

 あくまで相手のペースということを承知の上で、憧は受け入れるしかなかった。椅子の上でもじもじしている内に、またもやお姫様だっこで抱きかかえられる。今度はあまり抵抗せず、憧は別室まで連れ込まれた。

 されるがまま、どさり、とベッドの上に座らされる。見下ろしてくる榊の顔立ちは非常に整っており、女子ならば騒ぎ立てるのも無理はない。憧は例外であったが、どういうわけか、どきりとしてしまった。真っ直ぐ見詰め合っていられず、目線をあちこちに飛ばしてしまう。

 

「それじゃあ、今日最後のペナルティは――そうだな。今度はお前からキスしてもらおうか」

 

 この程度の要求は、半ば予想していた。屈辱的であったが、自慰行為まで既にさせられている。唇自体も、無理矢理奪われた。自暴自棄気味に意を決して立ち上がろうとする憧に、榊はさらに声をかけてきた。

 

「っと。ただするのもつまらないからな。さっきオナニーしたときの設定で、キスをさせてくれと懇願しろ」

「本当あんた、最低最悪の趣味の持ち主よね」

「お前が作った変態設定だろ。ちゃあんと、無理矢理俺専属のメイドにさせられた健気な自分になりきれよ」

 

 シーツをぎゅっと握り、一度俯く。嫌な汗がうなじを伝って落ちていく。ぎゅっと瞑っていた目を開き、改めて榊を見上げ、震える唇を動かした。

 

「ご、主人、様……」

「なんだ、憧」

「お、お願いします、わた、私と……私と、キスを、してください……!」

「へぇ。俺のことをフってきながら、どういうことだよ。他に好きな男がいるんだろ?」

 

 あからさまな挑発にも、背を向けるわけにはいかなかった。

 榊はにたにた笑いながら、乱暴に憧の隣に腰を降ろした。無遠慮な手が憧の腰に回され、抱き寄せられる。僅かに憧は身を捩ったが、それ以上の抵抗はなかった。むしろ、覚悟を決めた憧は自ら榊の膝上にまたがった。メイド服のミニスカートがめくりあがり、ローターの仕込まれた下着が露わになるが気にする余裕はない。

 

「ご主人様に、キスして貰えないと、京太郎が……お願い、だから」

 

 互いに息がかかる距離まで顔が近づく。

 

「ほんっと健気だな。ま、良いぜ」

 

 榊は憧を嘲弄し、憧はごくりと唾を飲み込み。

 

「んっ……」

 

 ゆっくりと、唇を重ねた。セカンドキスも、憎い相手に捧げることになった恥辱。それだけに耐えていればいいわけでなく、榊の舌がつんつんと憧の口内を突いてきた。

 

「ん、ちゅう……」

「憧」

 

 一瞬口を離した隙に、名前を呼ばれる。その行為は、憧を促す意味があった。すぐさま憧の口は蓋をされ、小さな体を抱きかかえられてしまう。もう、憧から逃げる手段はなかった。

 

「んちゅる、ちゅぷ、くちゅ、ふちゅう……♡」

 

 今度は憧から、舌を突き出す。榊の長い舌に絡め取られたかと思えば、次の瞬間には彼の口内へと舌を引っ張り込まれていた。ぞくぞくとした感覚が、憧の背筋を走り抜ける。

 

「は、ふ、ぅう……♡」

 

 かと思えば、榊は舌の動きを止めてしまう。僅かな小康状態、目尻をとろんとさせた憧は榊の妖しい瞳と見詰め合っていた。懇願するようにどれだけ視線を送っても、榊は動かない。そうだ、と憧は気付く。自分から、しなくてはならないのだ。

 

「ん、ちゅうっ♡」

 

 榊の口の中で、懸命に舌を動かし始める。これはペナルティによるものだと自身に言い訳しながら、しかし彼女の本能は、榊の舌技に与えられた快感をしっかり求めていた。

 

「はむ♡ んちゅう、じゅる♡ あ、んふぅ♡」

 

 しっかりと抱き締められたおかげで、成長し実った乳房が榊の厚い胸板に潰される。雄の匂いと力強さが、さらに憧の頭をくらくらさせていく。

 

「ん、ふむぅ♡ ちゅるるっ♡ ――ぷは、ん、あ、お、お願い、あんたも――んむっ♡」

 

 息継ぎの間に自然と出てきた望みは、無意識のもの。しかし憧が我を取り戻す前に、榊は蹂躙と言っていいほどに憧の唇を貪った。

 

「んっ♡ じゅるるるるるっ♡ んむぅ♡ はぅうううっ♡ んちゅうううっ♡」

 

 自分の舌と榊の舌の判別もつかなくなるほどに二人の口は重なり、絶えず唾液のやり取りが行われる。視界はスパークし、脳髄が蕩けそうになっていた。

 

「んふぅ、あむっ♡ ――ぷはっ、だ、だめ、もう――んんむぅっ♡ んちゅる、ん、ん、ん、んんんん――♡」

 

 榊の腕の中で、ぴんと背中を反らし、がくがくと憧は体を揺らす。その最中にも、舌は榊のそれと絡み合っていた。

 キスだけで迎えた絶頂。

 それも、嫌悪する相手との。

 だというのに、ぐったりとベッドに倒れ伏す憧の表情は恍惚に満ちていた。

 

「ごしゅじん、さまぁ……♡」

「良い子だ、憧。お前は俺のメイドにふさわしい」

 

 女の命とも呼べる髪を撫でられても、憧は文句一つ言わず。

 しばらく、体をまさぐられ続けた。ペナルティでもないのに、彼女は文句の一つも言わなかった。

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 翌日、憧は変わらず露出度の高いメイド服に身を包み、対局室を訪れていた。

 

「昨日の続き、という意味を間違えなかったみたいだな」

「……そのくらい、分かってるわよ、『ご主人様』」

 

 憧のぶっきらぼうな物言いにも、向かい合う榊は気にする様子はない。お前の全てを知っている、と言わんばかりの目線に憧は両手で肩を抱いた。

 

「ローターは外して来たか。まぁ、そのくらいなら大目に見てやる」

「ああ、そう」

 

 寛容な榊の態度は、余裕の現れだ。負けるとは微塵も思っていないのだろう。事実として、現状のルールは憧に不利である。

 

「ほら、最初の禁則のカードを引け」

「……」

 

 差し出されたカードに、憧は指を伸ばす。この中身を知ることができなければ、どう足掻いても勝てない。ペナルティによって翻弄されるだけの未来が見えている。

 憧が選んだカードは、伏せられたまま榊達対局者の手に渡る。中身を確認した男達がにやにやと笑う。

 一日経って仕切り直した分、憧は冷静さを取り戻していた。勝機は見出している。後は、この壁さえ乗り越えるだけだ。

 

「さ……ご主人様」

「あ? なんだよ、さっさと卓につけよ」

「カードの中身、私にも見せて」

「……へー。ちったぁ取引しようって知恵を働かせるくらいにはなったか」

 

 嬉しそうに榊は笑う。

 

「だけど、手持ちのクレジットも残り少ないだろ? 簡単にペナルティ分が支払えると思うなよ」

「……だったら」

 

 この展開も、読んでいた。だから、憧は男達が喜びそうな選択肢を考えていた。全ては、大好きな人を救うため。自らを手籠めにしようとする悪辣な主人に、媚びる。

 ミニスカートの裾を震える指先で抓み、まくり上げる。ほお、と男達から歓声が上がった。榊以外に見せるのは初めてだったが、なればこその羞恥。そういうことこそ、榊が喜ぶと憧はよく理解させられていた。

 

「俺好みのメイドになってきたじゃないか」

 

 嘲る榊が、禁則が書かれたカードを憧に突き返す。書かれていたのは、ポンとツモ。――それだけ分かれば充分だった。

 

「ロン」

「うお、はっえー」

 

 憧は、容易に和了する。昨日一晩、考えに考えた。禁則を破らない戦い方。ペナルティで頭が白くなりながらも、きちんと榊達の打ち筋を研究した。

 

(そう簡単には負けないわよ……!)

 

 次の局も、さらにその次の局も。スカートをまくり上げるメイド姿のまま、憧は戦い続けた。昨日削られたクレジットが、見る見るうちに回復していく。

 

「あぁくそ、やっぱりインハイ経験者は違うな。たった一日でここまでやるとは思わなかったぜ」

 

 榊に褒められても嬉しくともなんともない――はずである。澄まし顔で憧は次のカードに手を伸ばす。

 

「だから、ここからは難易度アップだ」

「まだ何か悪巧み?」

「主人に向かって口の利き方がなってないな」

 

 憧は無視してカードを開く。そこに書かれていたのは、

 

「は、跳満縛り……?」

「ってことだ。跳満以上で和了しねぇと、ペナルティだからな」

「くっ……」

 

 本来憧は速攻をかけて小刻みに点を積み立てて行くプレイスタイルである。一度に大きく和了する、それこそインハイで戦った江口セーラのようなタイプではない。ましてや跳満となると、チームメイトの松実玄ならまだしも、普通に打ってもそう簡単に狙えるものではない。

 

「っととー。悪いな、ツモだ」

「う……」

 

 手作りをしている内に、対局者の一人に和了されてしまう。安手ではあるが、憧のクレジットは削られる。

 次の禁則も、跳満縛り。さらに次は、二倍満、満貫と続く。憧が和了できる隙はなく、ただただ徒にクレジットを失っていくだけだった。

 

「さて、昨日の焼き直しになったな。また禁則を破る勇気はあるか? まぁ、このままだったらクレジット全損で罰ゲームなんだけどな」

「分かってるわよっ!」

 

 声を荒げる憧。再び追い詰められたのは確かだった。一度罠を切り抜けたかと思えば、さらに次なる罠を用意されている。どこまでも彼らの掌の上であることが、たまらなく悔しかった。同時に、暗い期待感が胸の内に芽生えていることも憧は気付き始めていた。

 

「ロン……3900」

「ほぉ。満貫縛りで大きく出たじゃないか」

 

 次の局、憧は和了のチャンスを見逃さなかった。これ以上手作りしていれば、他の誰かに和了られてしまう予感があった。しかも大物手だろう、クレジットの損失は看過できない。当然、ペナルティを受ける必要があるのだが。

 

「さぁて、今日一発目は軽くいこうか」

 

 言って、榊が取り出してきたのは、ビキニメイド服のトップスだった。怪訝に眉を潜める憧に向かって、

 

「これに着替えろ。ここでな」

 

 と、榊は無情に命令する。一見、今も着ている白のレースがあしらわれた黒のトップスと変わらない。

 

(でも、どうせ何か企んでるんでしょ)

 

 男達の視線から片手で胸元を隠しながら、憧はトップスの紐を緩めた。代わりに、新しく与えられたブラを着用する。

 

「こ、れっ……!」

 

 そしてようやく、違いが分かった。本来乳首を覆い隠す部分は、ハート型にくり抜かれてしまっている。きっと榊を睨み付けるが、彼はいやらしい視線を注いでくるばかりだ。

 

「随分風通しがよくなったみたいだな」

「お陰様でドーモ」

 

 左手で胸を隠しながら、憧は卓につく。馬鹿馬鹿しいが、羞恥心を煽るには確かな効果を発揮していた。

 さらに、次の禁則もまた憧を苛む。

 

「満貫縛りと――両手の使用、ですって? どういうことよ、これ」

「勘違いするなよ、牌をツモるのは問題ない。ただ、そうやって胸を隠すのはアウトだ」

「……!」

 

 全ては榊の筋書き通りということなのだろう。どこまでもゲスな男だった。

 憧は、強張った腕をゆっくりとお臍まで落とした。染み一つない、ピンク色の乳首が露わになる。ひゅー、と男達が口笛を吹いた。

 

「綺麗なもんだ」「まだ榊が昨日触っただけだろ?」「しゃぶりつきてぇな」「可愛らしく震えちゃって、可哀想に」「高校生とは思えないエロさだな」

 

 対局の監視員までが囃し立ててくる。憧はその全てを、無視した。

 しかし、動揺までもは隠し通せない。自分でも判断ミスと自覚する手を打ってしまい、榊達に和了されてしまう。

 さらには、

 

「おっと、乳首勃ってきてるぜ? 見られて興奮してるのか?」

「ななな、ふきゅっ」

 

 不躾な指摘に、思わず胸を覆ってしまう。

 

「はーい、ペナルティ一つ追加ー」

「しまっ」

「もう手ぇ退かしても遅いぜ? ほら、立てよ憧」

 

 榊に腕を引かれ、卓から引き剥がされる。対局室の中央に立たされた憧は、不安げな眼差しを榊に向ける。

 

「今度は、何をさせるつもりよ」

「お前のメイド姿をちゃんとアルバムに残してやろうと思ってな。こっちじゃ結構撮影会が流行ってるんだよ」

「知らないわよ、あんた達の趣味なんか」

 

 そう毒づくものの、四方八方からカメラに取り囲まれて逃げ場はない。ローアングルからスカートを覗こうとする輩もいたが、今更止められるわけがない。

 次々と襲い来るフラッシュに加えて、

 

「もっと胸を寄せ上げろ」「ちゃんと笑え」「勃起乳首見せつけろよ」「ケツを突き出せ」

 

 ポージングまで要求される始末。ファインダー越しに全てを見透かされるような感覚に襲われ、憧の体は未知の興奮に包まれる。

 

「はっ、はっ、はっ……♡」

 

 照明の輻射熱により、物理的にも体温が上昇する。息は乱れ果て、思考の回転も鈍くなっていく。故に、いつの間にか榊が背後に回り込んでいても気付けなかった。

 

「あっ♡」

 

 右の乳房を掬い上げられ、膝を股の間に差し込まれる。文句を言う暇も余裕もなかった。榊に愛撫される姿も、しっかりと写真に収められていく。

 

「や♡ そこ♡ だめ、ご主人、様♡」

「ご主人呼びもすっかり板についてきたな」

「……っ、いわないでよ、そんなこと、んんぅ♡ ――あぅうううっ♡ そこぉ♡」

 

 剥き出しの乳首をこねくり回され、一際高い喘ぎ声を上げる。既に榊のテクニックに慣らされた体は、

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あ~~~っ♡」

 

 たやすく絶頂に導かれた。当然、その様もきっちりと撮影されていた。

 

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡」

「どうだった、憧」

「す、凄かった……♡」

「礼くらいちゃんと言え」

「ありがとう、ございます、ご主人様……♡ んっ♡」

 

 優しく唇を重ねられ、憧はうっとりと榊の求めに応える。応えてしまう。昨日散々教え込まれた接吻と舌の動きが、自動的に再現される。

 ――次に気付いた時には、憧は卓に座らされていた。まるで夢遊病者のように、ただただ牌をツモっては切っていく。

 もちろん、それで榊達三人に勝てるわけがない。勝てるわけが、なかった。

 憧はクレジットを全て吐き出し、全てを失っていた。

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

「あっ」

 

 ベッドの上に突き飛ばされ、憧は短い悲鳴を上げた。当然、突き飛ばしたのは榊である。

 

「さて。お前はクレジット全て失ったわけだけどよ、まだあいつを救いたいって思ってるのか?」

「……当たり前、でしょ……!」

「ここまでされてまだそんなこと言えるとは、根性だけは認めてやるよ。だけど、分かってるよな? クレジットがなければこの城じゃどうしようもないってことをよ」

「…………」

 

 言われなくても、憧は分かっている。これからどうなるか、何をされるのか、何をしなくてはいけないのかも。

 

「今度は設定じゃないな。借金持ちになったメイドが、金のために主人に手籠めにされる。それだけだ」

「やりたければ、さっさとやればいいでしょ」

「おいおい、何を勘違いしてるんだよ」

「やっ♡」

 

 憧の上に覆い被さり、榊は彼女の首筋に舌を這わせながら言う。

 

「お前が俺に頼むんだよ。俺は別にお前やあの男がどうなったってどうでも良いんだからよ。昨日のキスの時、ちゃんと練習させただろ。さぁ、俺にどうして欲しいんだ? 俺だって鬼じゃない、ちゃんとやれたらクレジットは弾むぜ? メイドの給料には糸目をつけねぇ」

 

 榊はどこまでも陰湿に、しっかりと憧の心をへし折っていく。毒づく意思も、憧には残っていなかった。

 

「ん、ふぅ……♡ ご、ご主人様……♡」

「どうした、憧」

「どうしても、クレジットが、必要なの……んんっ♡ だ、だから…………抱いて、下さい」

「もっとメイドらしく、もっと媚びろ」

「……! お願い、しますぅ……♡ ご主人様に、私のしょ、処女を捧げますからっ……♡ だ、から――んっ♡」

 

 頬を這っていた舌が、口内に差し込まれる。同時に、乳首への愛撫が開始される。既に勃起していたポッチを、榊の指の腹が刺激していく。

 

「ふ、う♡ んちゅう♡ ん♡ じゅるぅ♡ ――す、ごっ♡」

「ふふ、教育の成果は出てるじゃないか」

「や、あっ♡ だ、め♡ だめそこ♡ 止めて♡ ご主人様♡」

 

 榊の手が、今度はスカートの中に伸びる。彼は躊躇することなく、下着の中まで指を突っ込んだ。

 

「おっと、もうぐしょぐしょだな」

「だって♡ だって♡ ご主人様がぁ♡」

「それだけじゃないだろ? 他の奴らに見られて興奮してたんだろ?」

「そんなこと、ないっ♡ 興奮なんか、してないからっ♡」

「嘘をつけよ。本音を言ってみろ」

「んっ♡ んっ♡ んっ♡ あふぅ♡」

 

 再び首筋を舌が這い、右の胸を揉みしだかれ、秘所を刺激される。強烈な三点責めに、憧は目を白黒させて顎を揺らす。

 

「そう、よ♡ すごく、興奮しちゃったの♡ 写真、撮られるのも♡ 胸、見られるのも♡ すごく、ドキドキしたわよっ♡」

「変態メイドめ。こんなやらしい格好しやがって」

「それは、あんたがっ♡ ご主人様が♡ 着せたんでしょ♡」

「お前に似合うと思っただけだっての」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あ~~~っ♡」

 

 ぎゅっと乳首を抓られ、探り当てられたGスポットを刺激され、憧はまたもやエクスタシーに達する。もはや、榊が彼女の体で知らない場所はなかった。

 

「これだけ濡れりゃ、充分だろ」

「あ……♡」

 

 下着をずらされ、裸のままのペニスがヴァギナに宛がわれる。いくら昂ぶらされようとも、恐怖感が抜け落ちるわけではない。

 

「ご、ゴムつけてよっ……」

「そんなこと要求できる立場と思ってるのか?」

「う、うぅう……♡」

「主人に逆らおうだなんて考えるなよ、メイド風情が」

 

 酷い扱いをされながら、憧の心の一部は喜んでいた。

 

「さあ、いくぜ。一生に一度しかない思い出を、俺が刻んでやる」

「や、やだ、だめ、助けてきょうたろ――んっ♡」

 

 助けを求める声は、キスでかき消され。

 

「んんん――っ♡」

 

 ずぶずぶと、ペニスが沈んでいく。そこに遠慮などなかった。かつて自分をこっぴどく振った女に対する意趣返しとも言える、悪辣な性交。十二分に濡れてはいたが、痛みが消えるわけでは無い。それでも榊は腰を押し進め、ペニスの先端が引っかかりにぶつかる。

 

「開通式だ」

「つぅ、や、あ、あ――♡」

 

 ずん、と一気に突き込まれ――新子憧は、愛する彼に捧げようと思っていた大切なものを、永遠に失った。一筋の涙が、彼女の頬を伝う。それすらも、榊は舐め取ってしまった。

 

「ふ、ふふふふっ、貰ったぜ、お前の処女をよ……! なぁ、憧……!」

「痛、い……ぬ、抜いて……」

「すぐに馴れるよ、淫乱メイドのお前なら」

 

 馬鹿にされても、反論する力が湧いてこない。肉体的にも精神的にも、完全に打ちのめされていた。

 ゆっくりと、榊が腰を動かし始める。未だに痛みは残っていたが、異なる感覚も湧き上がり始めていた。

 

「ん――つぅ……あ……んっ♡」

「やっぱり淫乱メイドだな。気持ち良いんだろ?」

「い、いきなりそんなわけ、や、んうぅ♡」

 

 股の間から体全体にかけて、じんじんとした快感が伝わっていく。決して認めてはならないはずの、悦楽。

 

「あっ、ふ、ぅ……♡」

「そろそろペースアップするぞ」

「えっ、あっ、あっ♡ あっ♡ あっ♡」

 

 ストロークが速められ、憧ははっきりとした嬌声を上げる。顎を上げ、悩ましげに瞳を閉じて、熱い吐息を漏らし続ける。

 

「良いだろ、なぁ、憧!」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ない♡ 良くなんか、ない♡」

 

 すっかり蕩けた表情を晒しながら、口だけは何とか否定しようとする。それだけが憧に許された最後の抵抗だった。

 しかし、急に榊は腰の動きを止めてしまう。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ、え、え……?」

 

 それに合わせて、憧の喘ぎも止まる。目をとろんとさせたまま、しばらく憧は榊を見上げていたが、

 

「――、あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

 

 再び突かれ出した途端に、髪を振り乱して悩ましげな表情を浮かべた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ……ん、えっ……」

 

 またもや榊がストロークを止めると、憧もまた動きを止めた。

 

「いやはや、面白いメイドだよ。物欲しそうな顔をしやがって、そんなに突かれるのが良いのか?」

「そ、そんなわけ……あっ♡ あっ♡ あっ♡ そんなわけ、ない♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

「頑張って耐えてやろうって気概は認めるが、体がついていけてないな。ほらほらほらっ」

「やめ♡ すご♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ もう、もうダメ♡」

 

 絶頂がすぐそこまで忍び寄ってきたその瞬間、

 

「あっ♡ ――え、え……?」

 

 三度、榊は腰を止める。憧は本能的に空腰を使おうとするが、がっちり固定されて動けない。

 

「どうした? 気持ち良くないんだろ? だったら突かれようと突かれまいと一緒だろ?」

「う、ううう……♡」

「もっと激しくして欲しいなら、そう言えよ」

 

 榊に促され――しかし憧は、首を横に振った。最後の最後、その一線、それだけは超えないようにと意地になっていた。これには感服したように榊も、溜息を吐く。

 

「まさかここまで意固地だとは思わなかったぜ。耐えるのは結構だが、ちゃんとメイドとしての本分は果たせよ?」

「ほ、本分……?」

「俺を満足させるんだよ。今更分かってないとは言わせないぜ」

 

 そうだった。これは、彼を助け出すための手段だった。そのためには、この憎い、大嫌いな相手に媚びねばならない。

 

(だから、そう、仕方ないの……♡)

 

 心の中で誰に言い訳するというのだろうか。しかし、憧はそうせざるを得なかった。

 

「ご主人、様っ♡」

「どうしたよ、憧」

「もっと、もっと突いてっ♡ 私のあそこ、もっと使って♡ 気持ち良く、してぇっ♡」

「それだけ? それが人に物を頼む態度か? 俺はお前のご主人様で、お前は俺のメイドだぞ?」

 

 なおもねちねちと舐ろうとする榊だったが、最早それに悪態を吐くという発想さえ憧には沸いてこない。

 

「お願いします、ご主人様♡ お願いしますから♡ ご主人様の、メイドであり続けますからっ♡」

「でも、俺はお前に振られてるしなァ」

「……っ!」

 

 何を言わせたいのか、憧は察する。躊躇いはあったが、彼の期待に応えるしかなかった。一度だけ、想い人に心の中で謝ってから、

 

「ご主人様♡ ご主人様っ♡」

「今度はなんだ?」

「す……好き♡ 好きです♡ 私は、ご主人様が好きなんです♡ だ、から♡ だからっ♡」

「そこまで言われちゃ仕方ないな」

「~~~っ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

 

 ストロークが再開され、憧はこれまで以上にはしたない声を上げる。誰も止められる者などいなかった。

 

「お前は俺の専属メイドで、俺の女だっ! 分かったか、憧!」

「はい♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ 分かりました♡ ご主人様っ♡ 大好き♡ ご主人様っ♡」

「ほら、そろそろ一発いくぜっ!」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 来て♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ご主人様♡ 来て下さい♡ ~~~っ♡ あっ――♡」

 

 膣内に、熱い白濁が叩き付けられる感覚をはっきりと憧は自覚する。それすらも、悦楽に変わっていた。率直な感想が、彼女の口から漏れ出る。

 

「……はっ♡ はっ♡ はっ♡ す、すごい……♡ ご主人様……♡」

「まだまだ終わりじゃないぜ」

「あっ、やっ♡」

 

 一度引き抜かれたかと思うと、今度は体位を入れ替えられる。四つん這いになった憧の後ろから、衰えを見せないペニスが一気に突き込まれた。

 

「んんんっ♡ や、やだっ♡ こんな格好っ♡」

「獣みたいで淫乱メイドにはお似合いだろっ」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 淫乱♡ 私♡ 淫乱なのっ♡」

「たっぷり教え込んでやるよっ」

 

 ぱんぱんぱん、とこれまで以上に乱暴に腰を打ち付けられる。けれども与えられる快感もまた、これまで以上に激しかった。

 

「へへ、一度これを引っ掴んで突いてみたかったんだ……!」

「やぁっ♡」

 

 榊は憧のツーサイドアップの髪を引っ張って、憧とのまぐわいを続ける。髪を無理に引っ張られる痛みさえも、憧は快感へと転じていた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ こんなの♡ なんで♡ やだ♡ やだやだ♡ ご主人様♡」

「嫌なわけがないだろう、淫乱メイドっ!」

「はい♡ 良いです♡ とっても良いです♡ ご主人様♡ ご主人様、ご主人様♡ 好きっ♡」

「ほら――二発目だっ!」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ああああっ~~~♡」

 

 妊娠の可能性など放り投げ、榊は憧の子宮へと精液を送り込む。二度の射精を経てなおも衰えぬ彼は、抜かずの三回戦を始めた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ まだっ♡ またなのっ♡」

「当たり前だ、今夜一晩、最後まで付き合って貰うぜっ」

「や♡ ご主人様♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ご主人様ぁっ♡」

 

 憧は――無理矢理手籠めにされたメイドは、何度も何度も主人を呼ぶ。現在の姿は、完全に主人を受け入れてしまっていたのだが。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 好き♡ ご主人様♡ もっと♡ もっとぉっ♡」

 

 新子憧が、彼専属のメイドとして過ごす夜は、どこまでも長かった。悪夢のような、夜だった。

 




お待たせしてすみません。
次は
1.女の子三人vs悪い男の麻雀対決
2.渋谷尭深の痴漢電車
3.竜華第三章
のどれかだと思います。
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