※この作品はR-18です。

麻雀天使堕天計画   作:クラリス

28 / 71
霞・玄・美穂子-02(玄の告白)

 松実玄は、悩んでいた。彼女が救わねばならない人物は二人。一人は、この城に連れて来られるきっかけとなった少年。もう一人は、この城で共に戦っていた姉だ。

 姉の松実宥とは、離れ離れになっている。クレジットを失った彼女は、城のどこかでその負債を支払っている――という説明を受けた玄は、更に危険度の高い戦いに身を投じた。手引きしたのは、玄の処女を奪ったユウキという男だったが、正直思い出したくもなかった。

 ともかくとして、連れて来られた対局室では意外な人物が待ち受けていた。かつてインハイで練習相手になってくれた長野の福路美穂子。そして、同じくインハイに出場していた永水女子の石戸霞。

 立場を同じくする人間だと、玄もすぐに察する事ができた。しかし同時に、蹴落とし合う敵にもなってしまった。

 第一回目の半荘・東四局。玄は対局者である彼女二人と、そして最大の敵・アキトと対峙していた。

 

(できるなら、二人とも信じたいっ)

 

 玄は涙目になりながらそう願うが、既に少女同士の蹴落とし合いは始まっていた。美穂子が、霞から和了したのだ。付き合いは浅いが、正直言って美穂子がそのような行動に出たのが玄には信じられなかった。この目で見なければ、認められなかっただろう。だが、一位に与えられた褒賞――それを聞いて、目の色を変えた霞を玄は見た。

 やられる前に、やらなくては。その気持ちが玄にも芽生えなかったと言えば、嘘になる。ラスを引こうものなら、何をさせられるか――これまででも充分屈辱的な想いをしたというのに。おそらくは、もう彼を助けるための麻雀すらできなくなる。玄はそこまで予測していた。

故に、悩んでいるのだ。既にパンツを奪われた状態で、まだ悩むのは玄の良心と言えた。しかしそうしていられる時間は、もうほとんど残されていない。

 

「ツモ」

「あっ」

 

 またもや和了したのは、美穂子だった。彼女の指先は震え、額には汗が浮かんでいる。苦渋の決断であったのだろう。しかしペナルティを受けるのは玄と霞だ。美穂子の懊悩など、無意味である。

 

「それじゃあ、今度は霞ちゃんと玄ちゃんが同時にペナルティだねぇ」

「……っ!」

 

 舐め回すようなアキトの視線に、玄はぶるりと体を震わせる。先ほどは下着で体を拭かされた。今度は何を要求されるのか。

 

「じゃあねぇ、霞ちゃんは玄ちゃんの着ている服を一枚選んで。で、玄ちゃんは逆に霞ちゃんの着ている服を一枚選んでねぇ。それでお互い、選ばれた服を脱ぐんだ」

 

 脱衣麻雀に似たペナルティ。これならばまだマシだと思えてしまう自分の変化に、玄はまだ気付いていなかった。

 しかしアキトのペナルティの説明はこれで終わりではなかった。

 

「その前に、僕が一種類服を選んでおくから。もしもその服を選んでしまったら、僕に少し奉仕して貰おうかな」

「……っ」

「……!」

 

 玄は霞と共に、絶句する。この醜男への、奉仕。率直に言って、寒気がした。具体的に何をするかまでは言われていないが、想像はつく。他の男が相手よりも、ずっと不快感が強かった。外見で差別するのは良くない、とそれなりにお嬢さま気質の玄は考えていたが、異臭も含めてどうしても嫌悪感が先に立ってしまう。

 二人の戸惑いをよそに、アキトは美穂子に耳打ちする。美穂子は短い悲鳴を上げたが、アキトに睨まれて縮こまった。

 

「僕が選んだ服は美穂子ちゃんに聞いて貰ったからぁ。さぁ、二人とも決めたかな? 同時に言ってねぇ」

 

 どうしよう、どうすれば、何を選ぶのが一番良いのか。玄の頭は混乱する。元より彼女は細かい事を考える気質ではなく、感情で動くタイプだ。

 

「さぁ、3、2、1、はいっ」

「靴下でっ」

「靴下をっ」

 

 期せず、玄と霞の声が重なった。余計な露出をさせたくない、その一心だった。そしてどうやら、霞も同じ気持ちだったらしい。

 ほっと安心しながら、玄はニーハイを、そして霞は白のハイソックスを脱ぎ捨てる。だが、これで終わりではない。

 

「美穂子ちゃあん、答え合わせだ。僕が指定した服は何だったかな?」

「……靴下、です」

「っ!」

 

 美穂子は俯いたまま、唇を震わせて答えた。さあ、と玄から血の気が引く。

 

「う、嘘っ」

「おいおい、一応敵とは言え女子同士だろ。信じてやりなよぉ」

 

 まとわりつくアキトの声はどこまでも不快で、玄は苦虫を潰した表情を浮かべる。それは霞も同じらしく、顔を歪めていた。

 

「じゃあ、二人同時に僕にご奉仕してもらおうか」

「きゃあっ」

 

 もぞもぞと身動ぎしたかと思うと、アキトは無雑作にズボンを降ろした。誰も止める暇はなく、その醜悪な一物が姿を見せ、少女達は一様に悲鳴を上げる。半勃ち気味のペニスはそれでも充分長大で、玄の心臓を跳ねさせた。

 

「二人で舐めて」

 

 短く、かつ冷酷な命令。隣に立つ霞と、玄は思わず顔を見合わせた。――玄からは、動けなかった。先に、アキトの足元まで歩み寄ったのは霞だった。彼女の決意に押され、玄もようやく足を動かす。途方もなく、重かった。

 アキトから向かって左手側に玄、右手側に霞が立つ。その場で二人は、膝を着いた。

 目の前に垂れ下がる、黒ずんだミミズのようなアキトのペニス。鼻を突く異臭は、これまで以上。散々玄を責め立てたユウキのそれとも違う。どちらも気分を害するのは間違いないが、そのレベルは遙かにこちらの方が上だ。

 玄が顔を顰め涙目になっているよそに、

 

「失礼、します」

 

 先にペニスに触れたのは、霞の真っ白な指先だった。この時の玄には分からなかったが、一つ年上の先輩として、霞は何とか玄を庇おうとしていた。

 竿の裏筋に、霞の赤い舌が伸びる。つつつ、と舐め上げて、亀頭まで達すると唾液を垂らしながらペニスの先端を口に含んだ。手慣れた動きだった。

 

「おっほぉ、霞ちゃん、良いよぉ」

「ふっ、はむうっ、じゅるうっ」

 

 耐えがたい匂いに苦しんでいるのだろう、霞は眉尻を下げて目を瞑り、必死で亀頭を口で刺激している。さらに右手で輪を作り、竿を扱く。玄にはよく分かった。彼女もまた、自分と同じような性技を仕込まれてきたのだと。

 

「玄ちゃん、どうしたの? 霞ちゃんばっかりに任せてちゃいけないよ? っほぉ、良い、そこ良いよ霞ちゃん」

 

 見目麗しい少女に口淫を強いて、夢心地のアキトには途方もない嫌悪ばかり募っていく。しかし確かに霞だけにやらせるわけにはいかなかった。膝を着いたまま身を乗り出し、玄は垂れ下がった球袋を手に取る。

 

「はむっ」

「おおっ」

 

 その内の一つを、口の中に含んで舐め上げた。あまりの臭さにすぐにでも口を離したかったが、すぐ傍で奉仕する霞を思えば一人だけ逃げ出すわけにはいかなかった。泥のような苦みを覚えながら、玄は必死でアキトに奉仕する。ぴちゃぴちゃ、くちゃくちゃ、はしたない水音が室内に響き渡った。二人の頑張りにより、

 

「んちゅ、はむ、ん、んぅっ?」

 

 むくむくとペニスが勃起していく。あまりの大きさに玄は目を見開いた。日本人離れした、あまりにも規格外のサイズ。もしもこんなもので突かれたら――一瞬過ぎった想像は、玄の下腹部をきゅんと鳴らした。

 

「んちゅ、はふっ、熱っ♡ んむっ♡」

「やっ、んじゅるっ、硬、い……っ♡ んむっ♡」

「ノッてきたね、二人とも」

 

 がさがさした手で、頭頂部を撫でられる。想い人にされたなら喜んだであろう、その行為。アキトにされても嬉しくとも何ともないはず――であったが。

 

「ちゅう、じゅるるるっ♡ ん、っふぅ♡」

「あむっ♡ んっむぅ♡ ちゅううっ♡」

 

 口の動きに、熱が点る。霞を押し退けるように竿に舌を這わせ、玄は亀頭にキスをした。黒ずんだピンク色のそれは、同じ人間の器官とは思えない。しかし玄と霞は、競い合うようにしゃぶった。竿を扱くことも忘れず、玄もまた教え込まれたテクニックを駆使していた。

 

「おっ、おっ、おっ、イクぞぉっ」

「ふ、えぇっ♡ あううぅっ♡」

「ん、むぅっ♡ んんん――っ♡」

 

 びゅるびゅるびゅる、と白濁が亀頭の先端から飛び出てくる。口の中だけでは収まりきらず、精液は二人の頬に降りかかった。

 

「く、臭い……っ」

「なんて量なの……」

「お疲れ様、二人とも。とても良かったよ」

 

 顔を顰める玄と霞であったが、やり遂げた達成感からか、どこか恍惚として、しばらくその場から動けなかった。五分ばかり経ってからようやくよろよろと立ち上がり、借り受けたタオルで顔を拭く。

 

(もう、やだ……)

 

 こんな男にも、全てを注いで奉仕してしまった。自分がどんどん変わってしまっている事実に、玄は泣きそうになる。全て投げ出して諦めてしまいたい。そう思わなかったと言えば、嘘になる。だが、自分の席に向かおうとする霞を見て、玄は我に返った。まだ、勝負は終わっていない。

 またもや霞から勇気を分けて貰い、玄は卓に戻った。今、迷っている時間はない。福路美穂子を――かつてお世話になった相手だが――倒し、このアキトも打ち破らねばならない。

 

「っ、それ、ロンです!」

「!」

 

 流局が続き、南三局。訪れたチャンスを見逃さず、防御の固い美穂子から玄は直撃をぶつけた。

 

「美穂子ちゃんが振り込むなんて、やっぱり阿知賀の先鋒はやるねぇ。さぁ、美穂子ちゃんは久しぶりのペナルティだね」

 

 点棒を奪い、二位に躍り出た玄だったが――ここで、一番喜ぶのは彼女ではない。この場の支配者である、アキトだ。

 

「じゃあ美穂子ちゃん、ちょっと僕の膝の上に座ってよ」

「! そ、それは……」

「美穂子ちゃん、そういうのが好きなんでしょ? ほら、早く」

 

 顔を青くした美穂子は、ふらふらと立ち上がる。どんと構えたアキトを椅子にして、彼女は腰を降ろした。巨体に対しあまりに美穂子の体は華奢で、玄は美女と野獣、という言葉を思い出してしまう。

 アキトはそれが当然と言わんばかりに、スカートの上から美穂子の脚を撫で回し始めた。

 

「きゃ、いやっ」

「いや、じゃないよぉ。しばらく大人しくしててね、僕が良いって言うまでそのままだよぉ」

「ん、は、はい……」

 

 美穂子は顔を紅潮させたまま、スカートと肌の際を這うアキトの指を注視していた。このような彼女の姿を見ても良いのか玄は悩んだが、いつの間にか釘付けになっていた。

 太股をまさぐっていたアキトの手が徐々に昇り始め、美穂子の脇腹に触れる。くすぐったそうに彼女は身を捩ったが、アキトの大きなお腹の上からは逃れられない。

 

「ん、や、そこ……」

「伝え聞いたとおり、美穂子ちゃんはとっても敏感だねぇ」

「っ! そ、そんなこと、や、あっ♡」

 

 刺々しい声に、急に甘い色が混じった。アキトの手が、制服の上からその豊満なバストを掴み取ったのだ。ぐにゃり、と胸の形が歪む。

 

「霞ちゃんほどじゃないけど、やっぱり凄い巨乳だねぇ」

「あっ、やっ、だめ、そこっ」

「おっと、もう感じてきたの? 弱点とは聞いてたけど、まだ始めたばかりだよ? しかも生乳でもあるまいし」

「んっ、違っ、そんなこと、あ、あっ♡」

 

 遠巻きに眺める玄にもはっきりと、美穂子が喜び始めたのが分かった。アキトの膝の上で、顎を上げて熱っぽい息を漏らす美穂子。自分も、あんな風になっているのか。そう思うと、玄は頭の上から湯気が出そうになった。

 

「あっ、あんっ、やめ、もうっ♡ やめっ♡」

「止めて欲しいなら、それなりの態度を見せてよねぇ」

「……っ、おね、お願いしますっ♡ アキト様っ♡ お願いですから、止めてくだ、あっ♡ あっ♡ んんっ、やっ、止めて、んっ♡ 下さいっ♡」

「仕方ないねぇ」

 

 解放された時には、美穂子は肩で息をする有様。同情する気持ちと、黒い感情が玄の胸の内で渦巻く。

 そして迎えた半荘一回目の東四局。

 

「ツモだ! やったぞ!」

 

 まさかのツモ和了を見せたのは、アキトだった。三人は疲労困憊し、集中力を切らしていたというのもあったが、アキトもずぶの素人というわけではなかったようだ。

 

「皆失点だからぁ、三人同時にペナルティだね」

 

 嬉しそうに言うアキトとは対照的に、玄達の表情は暗い。三人同時に何をさせられるものか分かったものではなかった。

 

「そんなに怯えないでよぉ。今回は簡単簡単。僕の服を着替えさせて」

 

 と言って、持ってこさせたのは学生服だった。そう、にわかに信じられないが彼もまだ高校生の年齢なのだ。どうしてわざわざ着替えるのか、疑問に思いながらも玄達は命令に従う。

 

「う……」

 

巨体すぎてまともに一人で着替えられないアキトを手伝うが、やはり異臭はどうにも馴れない。近づく三人はそれぞれ顔を顰めながら、シャツを羽織らせ、ボタンを留め、ズボンを履かせる。玄が上着を着せようとした時、ある事に気付いた。ただのどこにでもある学生服かと思いきや、ボタンに書かれた校名は「清澄」。

 

「気付いた? 気付いた? これ、清澄高校の制服なんだよぉ。僕用の特注品なんだけどね、何と京太郎君から素材を分けて貰いましたぁ」

「……っ!」

 

 かつてない怒りが、玄の内に燃え上がった。しかし彼を殴って発散しても、何も解決しない。隣で霞と美穂子も、同様に耐えているのが分かった。

 

「じゃあ、移動しようか」

「えっ、ど、どこへ?」

「折角制服に着替えたんだから、勿論学校だよ」

 

 にたりと、アキトは醜悪な笑みを浮かべた。

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 玄を含む三人が連れて来られたのは、本当に「学校」だった。古城の敷地に建てられた、校舎群。彼女達は知らないが、他の少女達もここに連れて来られ、弄ばれていた。見慣れたような世界でありながら、その実地獄の坩堝である。

 アキトの先導で入ったのは、一見何てない教室だった。通常の教室と違う点は、麻雀卓が用意されていること。ご丁寧に、学校机のようなデザインであった。

 

「次の半荘からはここで打つからね」

「どうして、こんな場所で?」

「僕らは皆学生でしょぉ? ちゃあんと、学生の身分を楽しまなきゃ」

 

 確かに、全員が制服を身に纏い教室に集う光景は学生そのもの。三人とも女子校出身なので男子がいるのは違和感があったが、そもそもアキトの外見が学生らしからぬものだ。それに、ここに移動するまでにある程度乱れた制服を整えたとは言え、玄は未だノーパン。霞はノーブラだ。少女達も、実際のところまともな格好とは言えなかった。

 そして、二回目の半荘が始まる。現状のトップは美穂子。何とか彼女を引きずり下ろさなくてはならなかった。

 しかしながら、そう上手く事は進まない。

 

「……それよ。ロン」

「わわっ」

 

 今度は、霞に振り込んでしまう。辛そうに牌を倒す霞には、どうしても敵愾心を燃やせない。共に奉仕した仲だからだろうか。しかし、この場においてそのような感傷は致命的以外何物でもなかった。

 

「今度は単独で玄ちゃんがペナルティだぁ。そうだねぇ、何にしようかなぁ。……そうだな、折角学校に場所を移したんだし、こうしよう」

 

 何を言い出されるにしても、恐怖しかない。席で縮こまりながら、玄は次のアキトの言葉を待った。

 

「玄ちゃんは、男に告白したことある?」

「え、えええっ、そ、そんなことっ」

 

 あるわけがなかった。大切な想い人はいるが、直接気持ちをぶつけたことはなかった。否、この城で騙されて想いを口にした事はある。だが、その事は玄にとって封印すべき黒歴史となっていた。

 

「良かった。じゃあ、玄ちゃんの初めての告白を僕にして。僕が受ける気になるような、愛情たっぷりの告白をね。玄ちゃんの憧れの先輩である、僕にね」

 

 まるでおままごとのような設定を滔々と語る様は、気持ちが悪いとしか言いようがない。一体本当に何歳なのだと問い詰めたくなる。だが、玄は別の言葉を口にしなくてはならない。

 霞と美穂子の哀れむような視線が突き刺さる。それらを振り切って玄は立ち上がり、震える声を発する。緊張で、声が上擦る。まるで本当に告白に向かうようだった。

 

「あ、あのっ、アキト……先輩っ」

「ん? どうしたの、玄ちゃん」

 

 とぼけたように訊ねるアキト。

 

「話があるんです、けど」

「良いよ、玄ちゃんの話ならいくらでも聞くよぉ」

「こ、ここでは、ちょっと……」

 

 ちらりと、霞達を盗み見る。あざとい振る舞いと分かっていたが、なればこそアキトを喜ばせると玄は考えた。それに、玄自身もやはり誰かの視線に晒されたまま男に告白などしたくなかった。たとえ、それが嘘だとしても。

 

「良いよ、移動しようか。霞ちゃんと美穂子ちゃんは、ちょっと待ってて。――さ、行こうか、玄ちゃん」

「は、い……」

 

 腰に手を回され、玄はアキトと共に教室を出る。しばらく歩いて、連れて来られたのは体育館裏だった。べたべたなシチュエーションだったが、その分玄の純情を傷付けていく。

 

「で、話ってなんだい?」

「そ、それは……その」

 

 アキトと向かい合い、玄はしばらく躊躇いを見せた。しかしいつまでもそうしているわけにもいかず、意を決して赤くなった顔を上げる。

 想い人のため、男がどんな事を言えば喜ぶのか、勉強してきた。加えて、この城で強制的に男への媚び方を勉強させられた。

 胸元で手を組み、巨漢を上目遣いで見つめ、瞳を潤ませる。

 

「アキト先輩……わ、私、アキト先輩のことが、ずっと、ずっと……」

「ずっと、なんだい?」

「ずっと……好き、でした」

 

 その一言を口にした瞬間、大切な物が永久に失われた気がした。処女を失った時と同じくらい、心に傷を負ってしまった。だが、玄は止まれない。もう真っ直ぐ突き進むしかなかった。

 

「私と……付き合って下さい」

「んー」

 

 演技をしているのか、アキトは悩む素振りを見せる。早く受けて欲しかった。そうして玄は、この苦い時間をさっさと終わらせたかった。

 

「本当に玄ちゃんが僕の事好きなの?」

「えっ、そ、それは……」

 

 好きなわけがない。ついつい本音が漏れ出そうになった。アキトは玄の迷いを見抜いているかのように、重ねて声を掛けてくる。

 

「本気かどうか、分からないんだよねぇ。それじゃあ、中々答えられないよ」

 

 この告白を受け入れて貰わないと、ペナルティは終わらない。玄は正しく理解していた。ならば、どうすれば良いか。どうすれば、アキトを納得させられるか。考えるよりも先に、玄はアキトの距離を詰めていた。

 臭い。笑顔が気持ち悪い。脂ぎった肌に触れたくない。

 それら嫌悪感全てを抑え込み、玄は爪先立ちになって精一杯背を伸ばす。両腕を太いアキトの首に回し、

 

「んっ」

 

 彼の鼻の頭に、キスをした。しょっぱい、汗の味がした。それから、あらゆる感情を封じ込め、唇と唇を重ねる。

 

「は、ふっ」

「むちゅうっ」

 

 触れ合うだけのソフトキスのつもりが、思い切り強く接触してしまった。ぞぞぞ、と全身の鳥肌が立つ。

 

「ん、ふ――、はぁっ」

「玄ちゃん……」

「アキト先輩……す、好きなのです……」

 

 一度唇を離し、見詰め合い、玄は改めて告白する。次の瞬間、今度はアキトの方から唇を重ねてきた。

 

「んちゅっ、や、むちゅううっ、んちゅっ♡」

 

 それも、舌と舌を絡ませ合うディープキス。キスも慣らされた玄だったが、アキトの求めに応えるのには抵抗があった。しかしやはりペナルティには逆らえない。おずおずと舌を突き出し、アキトの唇を舐め上げる。

 

「んちゅ♡ んむぅっ♡ じゅるるっ♡ ん、むぅっ♡ あ、ん、そこ、むぅっ♡」

 

 キスの途中、制服の上からアキトの手が左胸を覆う。ブラに包まれていた乳房だったが、荒々しく揉まれ、肩紐が緩んでいくのが玄にも分かった。

 

「むふっ♡ ちゅるるるっ♡ じゅるっ♡ ――や、胸ぇっ♡ だ、めっ♡ アキトせんぱ、んむぅっ♡ やめ♡ んちゅ♡ んじゅるるるっ♡」

 

 ブラはずり落ち、アキトの手の感触がブレザー越しに伝わってくる。テクニックの色は薄い荒々しい手つきだが、情熱は人一倍あった。キスも休みなく続けられ、牝に目覚めていた玄の体は熱を帯びていく。

 さらにアキトは、右手をスカートの中へと伸ばす。柔肌を晒している尻臀を、ぐいっと掴み、胸と同じように揉みしだく。

 

「ふぅっ? んうっ♡ んちゅうっ♡ あぅ♡ そこ♡ そこぉっ♡ ――んちゅるるっ♡」

 

 胸とお尻、それから口を責められ、すっかり玄は腰砕けになっていた。一筋の涙が、頬を伝う。それは悲しみばかりではなく、歓喜の味が多分に混じっていた。

 

「んっ♡ そこ♡ やめ、やめてっ♡ んちゅっ♡ もう♡ くる♡ きちゃう♡」

「ふふ、んちゅう、良いんだよ、イって」

「イク♡ 先輩に♡ 先輩に♡ イカされる♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ イクっ――♡」

 

 びくびくと、玄はアキトの腕の中でエクスタシーを味わった。そのまま体から力が抜け、臭いアキトの胸に身を委ねてしまうが、どうしようもなかった。

 

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡」

「どうだった、玄ちゃん?」

「き、気持ち……良かったです……」

「満足してくれて嬉しいよぉ」

「せ、先輩……」

 

 改めて、玄はアキトを見上げる。

 

「やっぱり私……先輩が好きなのです……だから……」

 

 先ほどよりも、声から強張りが抜け、まるでそれが真実かであるのように玄は口にする。早く終わって欲しいという気持ちは当然残っていた。だがそんな焦りや取り繕いだけではない、気持ちの乗った告白になっていた。

 

「良いよ、玄ちゃん。付き合おっか」

「……! ほ、本当にっ?」

「もちろんだよ」

 

 喜ぶ玄に、アキトは笑って頷いた。これで、この悪夢のような告白劇が終わる。安堵の息を漏らす玄であったが、終幕はまだであった。

 

「じゃあ、恋人になった記念セックスをしよう」

「ふえっ?」

 

 何を言っているのか、一瞬分からなかった。恋人になった。記念セックス。絶頂によりあまり頭が回っていないのか。これまでも男達に抱かれた事はあったが、それは麻雀で敗北した結果であった。まだ対局中なのに、このような展開になるとは思わず玄はアキトの言動についていけない。

 

「パンツも脱いで準備万端だしね。上の方も」

「あ、や、やだっ」

 

 しかしアキトはあくまでマイペースである。玄のブレザーを強引にまくり上げ、既に形を崩した桃色のブラを取り外してしまう。乙女の柔肌が、空気にさらされた。

 

「や、やめてっ」

「止めないよ。そんなに嫌がってどうしたんだい、僕らは恋人同士だろう」

「だ、だってそれは、演技で……」

「何言ってるの。君はちゃんと告白して、僕はそれを受け入れた。恋人以外の何だって言うんだい?」

 

 玄は絶句する。アキトにとって、今までのやり取りは真実であったのだ。そして彼にとって真実であると言う事は――玄には覆せない。

 

「僕らは正真正銘、恋人同士なんだよぉ」

「ひっ……あうっ♡」

 

 一瞬怯えた表情を見せる玄だったが、ピンク色の乳首に吸い付かれ、背中を反らしてしまう。

 

「やっ、あんっ♡ ん、やめ、んうっ♡」

「ちゅるる、はぁっ、美味しい、美味しいよ玄ちゃあんっ、玄ちゃんの乳首、凄く美味しいよぉ」

「いわ、言わないで♡ そんなこと、言わないでっ♡ んっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ やめ、お尻、触らないでっ♡」

「とか言って気持ち良いんだろぉ? 分かってるよ、すっごく濡れてるもんね」

「~~~っ♡ そ、そこぉっ♡」

 

 秘所を指先で撫でられ、玄は一際高い喘ぎ声を上げた。嫌なのに、体は勝手に反応してしまう。

 

「どうして、こんなっ♡ んっ♡ もう、やだっ♡ んうっ♡ 感じちゃうのっ♡」

「恋人同士なんだから、気持ち良くなって当たり前だよぉ」

「そんなっ♡ や、んうっ♡ ちが、恋人なんかじゃ――」

「ああ?」

 

 突然、ドスの利いた声をアキトが発した。びくりと、反射的に玄は体を震わせる。

 

「告白してきたのは玄ちゃんだろ。何言ってんの?」

 

 ペナルティで無理矢理させたのに、という文句は声にならなかった。これまでの猫なで声から急に不機嫌なものになり、玄は恐怖するしかなかった。何をされるのか分かった物ではない。

 

「……ご、ごめんなさい」

「謝るんじゃなくてさ。僕と玄ちゃんは、何?」

「……! こ、恋人、同士ですっ……!」

「良かったぁ」

 

 満足気に頷くアキトとは対照的に、玄は涙目であった。自分が恋人になりたい相手は、勿論他にいる。なのに、先にこんな男と付き合うことになってしまった。心まで穢されて行く想いであった。

 

「ようし、それじゃあそろそろ一発やろっか」

「えっ、あっ、わっ」

 

 ぐい、と背中を押され、玄は壁に両手をつく。そのままお尻を背後のアキトに向けて突き出す格好となる。

 

「――っ、あっ♡」

 

 熱く、硬いペニスの先端が、玄の秘所の入口に宛がわれ、彼女は短い声を上げた。

 

「行くよぉ、玄ちゃん。恋人同士の、記念初セックスだ」

「あ、や、あ、アキト先輩っ……」

「大丈夫だよ、玄ちゃん。こう見えて一杯女の子は抱いてきたから。僕は結構モテるんだよぉ。優しくしてあげるからね」

 

 どう考えても不本意な形の性行為であろうに。しかし玄に、それを指摘する余裕も勇気もなかった。

 

「あ、あ、あ、んんん~~~っ♡」

 

 ずぶずぶと、あの長大なペニスが玄の膣内に侵入してくる。仏壇返しの体位で、玄は地面を見下ろしながら必死に耐えた。

 

「おお……これは、凄いな」

「んううっ♡ な、長くて、これ、太いのです……♡」

「気に入ってくれたかな?」

「そ、そんなことぉ……っ♡」

「恋人の質問には、素直に答えようねぇ」

「……っ、い、良いです♡ アキト先輩の、すごく、良いですっ♡」

「うんうん、ありがとう……ねっ!」

「あうっ♡」

 

 ずん、とアキトが腰を突く。玄は隠しようのない喘ぎを上げた。

 

「玄ちゃんのおまんこもすっごく良いよぉ。こんなの初めてだぁ」

「うっ♡ ふっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡ そ、そう、ですかっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡」

「うん、最高だよ。もっと使い込まれてるかと思ったら、すごく締め付けてくれるよっ」

「んっ♡ んっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ダメ♡ これダメ♡ アキト先輩♡ アキト先輩♡」

 

 ストロークが速まり、玄も一気に興奮を高めていく。規格外のアキトのペニスは、玄を極上の快楽で包み込む。

 

「ダメ♡ ダメ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ 突かないでっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ や♡ お尻、お尻揉まないで♡ 弱いの♡ お尻はダメなのです♡」

「ツレない事言ってないで、もっと素直になりなよ玄ちゃんっ。恋人の前で嘘♡なしだろっ」

「……っ、だ、だって♡ でもぉっ♡」

「昔好きだった男の事なんか忘れちゃいなよ。今は僕が恋人、なんだからっ」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ダメ、んっ♡ やっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ お尻ぃっ♡ 良い♡ 気持ち良いっ♡」

 

 促され、玄は快楽を認めてしまう。認めざるを得なかった。それほどまでに、アキトとのセックスは強烈だった。玄に女としての喜びを教えたユウキと勝るとも劣らない。ペニスだけで言えば、アキトのほうが優れているくらいだ。

 さらにアキトは玄の子宮めがけてペニスを突き立てていく。ぱんぱんぱん、と打ち付ける音が体育館裏に響き渡った。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ もう♡ もうダメなのです♡ イク♡ またイっちゃう♡」

「こっちもイクよぉ、玄ちゃん」

「っ♡ だめ、中は、だめっ♡ 抜いて、抜いてっ♡」

「恋人同士なんだから、良いじゃないか」

「や、や、やっ♡ だめ――あうっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡」

 

 制止の声は、強く突き込まれる事で喘ぎに変わり。

 

「――イクよ、玄ちゃん?」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ アキト、アキト先輩♡ 先輩ぃっ♡ 私もイク♡ イっちゃう♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ――♡」

 

 二人は同時に、絶頂に達した。ユウキにも許していなかった、初の生中だし。精液の味を膣内で味わいながら、玄は口から涎を零して悦楽にむせび泣く。

 

「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡ んっふっ♡」

 

 立ちバックの姿勢のまま、ぬぷり、とペニスが性器から引き抜かれ、荒々しい呼吸を更に乱す。一人で立っていられず、アキトに支えられた。

 

「良かったよ、玄ちゃん。さあ、二人が待ってる。戻ろうか」

「は、はい……」

 

 果たしてこんな状態で麻雀ができるのか。玄には分からなかった。しかし、打つしかない。なおも胸と尻を揉んでくる恋人を背に、玄は真の想い人へ心の中で謝っていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。