※この作品はR-18です。

麻雀天使堕天計画   作:クラリス

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清水谷竜華-03(アンチストリップ)

 三度の半荘を終え、竜華は借り受けたクレジットを全て失ってしまった。ダブルリーチに一発で振り込んでしまうという、不運に見舞われたのだ。このときも、竜華はクレジットを借り受け勝負の続行を望んだ。ここまで来て引き下がれない、という一心が彼女を支配していた。

 二度目の貸し付けに望まれたのは、靴と靴下。セーラー服かスカートを剥ぎ取られることを覚悟していた竜華だったが、しかし、ほっと安心できるものでもなかった。連中は竜華の反応を見て、楽しんでいるのだ。

 

(悪趣味な奴らや……!)

 

 何はなくとも残り半荘二回。少なくとも収支を±ゼロにはもっていきたかった。

 コンディションを最高潮の状態にもっていければ、と竜華は歯噛みするが明らかに集中力に欠けている現状では諦めざるを得ない。あるいは太股に宿る力を使えば何とかなるかも知れないが、こちらは使用回数に制限がある。今日をやり過ごしても、明日明後日と戦いは続く。親友不在のまま安易に使うのは躊躇われた。ここで出し惜しみしてしまうこと自体、敵の罠により判断力を鈍らされている証拠に他ならないのだが、今の竜華には気付けない。

 

「リーチや!」

 

 今は果敢に攻め込むだけ、と竜華は押していく。クレジットの上限など、気にしてはいられない。

 しかしながら、

 

「リーチだ」

「俺もだ」

 

 筋者風の男と、太った男も立て続けにリーチしてきた。

 

(あ……あかん)

 

 嫌な予感しかしなかった。

 次のツモで上がれれば――と期待を込めて牌を掴むが、叶わず。それで一発振り込みこそなかったものの、次のツモも、

 

(これとちゃう……!)

 

 しかも、実に怪しいところだった。

 

「どうした、竜華ちゃん。早く切って貰わないと困るなあ」

「そうだぜ、ツモならもったいぶらず宣言してくれよ。そんなに睨んだって、牌は変わりやしないぜ?」

「……!」

 

 挑発に心を尖らせながら、しかし竜華は自制する。握っていた牌を、河に落とした。

 反応は、すぐにはなかった。当たり牌ではなかったか、と竜華がほっと安心した次の瞬間、

 

「ロォォォンッ!」

 

 いやらしく筋者風の男が和了宣言する。ぐらりと、竜華の視界が揺れた。しかし、それだけでは済まなかった。

 

「悪いな、竜華ちゃん」

「え」

「ダブロンだ」

 

 こちらの男も、牌を倒してきた。目眩がした。この一局で、またもや竜華は全てのクレジットを失った。

 マナーのなっていない心理戦に、竜華の苛立ちは頂点に達しようとしていた。涙さえ溢れ出そうになる。だが、そんな弱みを見せてはならないと彼女は自分を強く律しようとした。

 

「お嬢さん、続けるかい?」

「……続けます」

 

 それ以外、竜華に選択肢は無かった。正確に言えば、そうなるように男達に誘導されていた。

 

「じゃあ、上を脱いで貰おうかな」

「……はい」

 

 震える指先を、セーラー服の裾にかける。既に下着は剥ぎ取られた後。これを脱いでしまえば乳房を晒してしまう。脱衣麻雀と化したこのゲーム、竜華にとっては正に地獄であった。

 

(ごめんな、京太郎……)

 

 他の男に肌を晒すことを彼に謝りながら、竜華はゆっくりとセーラー服を脱ぎ去った。このような躊躇いが男達を喜ばせると知りつつも、心は言うことを聞いてくれない。その巨乳を片手だけで隠すには限界があり、竜華は胸の肌色を晒す。男達が漏らす感嘆の息に、ぎゅっと目をつぶって抵抗した。

 残るはスカートのみ。絶えず注がれる視線に顔を赤らめながら、竜華は再び卓に着いた。

 

「片手を塞いだままだったら、動きづらいだろう? 隠さなくてもいいぜ」

「う、うるさいわ!」

「おお怖い怖い」

 

 こんな挑発に乗ってしまっている時点で、竜華に勝ち目はなかった。

 次局、遠くの山から竜華が牌をツモろうとしたとき、

 

「ちゃんと隠さないと乳首見えてるぜ」

「なっ」

「冗談だよ、冗談。安心しろ、見えてないさ」

 

 さらに挑発を重ねられる。首の下まで真っ赤になっていることを、竜華は自覚した。だからと言って、どうしようもないのだが。

 

「ローン」

 

 嘲笑が、竜華にかけられる。

 

「ツモだ、残念だったな竜華ちゃん、リー棒頂きだ」

 

 そして、ついに。

 

「ツモ、4000・8000。親っ被りでお嬢さん、また飛んじゃったな」

 

 さて、と痩せぎすの男が身を乗り出して訊ねてくる。

 

「続けるかい? 分かってると思うけど、もちろん最後はそのスカートだ」

「……あ、う」

 

 これを脱ぎ去ってしまえば、完全に裸体を晒すことになる。片手で隠しきれるものでもなく、対局もままならなくなるだろう。

 竜華はプライドを捨て、男達に頭を下げた。

 

「お、お願い、します。他に、何か別んことで許してくれませんか」

「んー? だったらペナルティ支払ってゲームセットってことになるけど。まあ、大したことはしないから安心してよ」

 

 恰幅の良い男が部屋の隅にあるベッドを指差した。

 

「――ちょっと四人で、あそこで寝るだけだから」

「い、嫌や!」

 

 何をされるか分かったものではない。竜華は悲鳴を上げる。しかし次の瞬間、それまで比較的静かだった筋者風の男が、突然卓に拳を振り下ろした。びくりと竜華は体を震わせる。

 

「あれも嫌これも嫌なんて通じると思ってるのか? 全部承知の上で賭け麻雀やってるんだろう?」

「は、はい……」

 

 すっかり萎縮してしまった竜華は縮こまり、頷いてしまう。理不尽な状況に置かれたのは彼女だというのに、まるで自分が悪いと錯覚させられる。

 

「まぁまぁ、落ち着いて」

 

 場を取りなしたのは痩せぎすの男だった。

 

「分かった。スカートは勘弁してあげるよ。代わりの条件を出そう」

「ほ、本当ですか!」

「ああ。竜華ちゃんには、今まで脱いで貰った服を全部着直して貰おう。それでどうだい?」

 

 意味の分からない条件だった。竜華にとって、メリットしかないように思えた。何かのひっかけがあるはずだが、竜華は飛びついた。

 

「わ、分かりました。それでええんなら」

「交渉成立だ。――ああ君、よろしく頼むよ」

 

 痩せぎすの男が、部屋の隅に散っていた監視員に声をかける。彼らは別室に向かうと、一つの箱を持って戻ってきた。

 

「さぁ、お嬢さん。返して上げるよ。ちゃんと着たまえ」

「あ、ありがとうございます」

 

 お礼さえ口にして、竜華は箱を開ける。

 途端に、彼女は片手で鼻を覆った。

 

「な、なんやこれ……っ?」

 

 漂うのは、鼻をつく臭い。経験の無い竜華はすぐに正体を判じられなかったが、男達のにやにや笑いに不穏な気配を察する。それでも竜華は勇気を奮い立たせ、箱の一番上に置いてあったブラに、手を掛けた。――ぐっしょりと、何かの液体で濡れていた。反射的に、手を離していた。

 

「ひっ――」

「どうしたんだいお嬢さん、払いのけてしまって。折角返して上げたのに、それはないだろう」

「で、でもこれ……っ」

「うん? だから、どうしたんだい?」

 

 どこまでも卑劣な人間と、竜華は男達を睨み付けた。下着も、セーラー服も、靴下も、全て精液で塗れていた。

 

「こんなん着れるわけ――」

「着ろ」

 

 穏やかだった、痩せぎすの男の声が硬くなる。有無を言わさぬ迫力が、あった。

 

「もうお前に選択肢はないんだよ。さっさと着ろ」

「……う、ううう」

 

 どこまでも、どこまでも悪趣味だった。竜華は従うしか、なかった。

 靴下の中にはたっぷり精液が詰められていて、足を通せば指先までぐっしょりと濡れてしまう。下着類は少し触れただけでも液体が染みだしてくるほどの有様で、着用するだけで精液を塗り込まれてくる感覚さえした。軽いはずのセーラー服が、どっしりとした重みを感じる。

 

「良いよ、竜華ちゃん。とても似合ってる」

「そうそう。君にはよくお似合いだ」

 

 今度こそ、竜華の両の瞳から涙が溢れ出す。

 泣きじゃくりながら打つ竜華に、優しい言葉をかける人間はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 すっかり憔悴して自分の部屋に戻ってきた竜華は、すぐに服を脱ぎ散らかした。クリーニングサービスはあるが、こんな制服はもう着られるわけがなかった。

 支給されたタブレットで、身の回りの生活用品や衣服を注文できるようになっている。どういうわけか衣服は千里山女子の制服限定で他に選択肢はなく、追加注文しようとした。が、

 

「……なんや、これ」

 

 昨日確認したときよりも、制服の価格は倍増していた。こんな価格で買っていたら、負債を支払い残り少なくなったクレジットはさらに心許なくなる。――どんなに嫌でも、着回さなければならない。

 さらに下着類も見てみれば、無難なデザインのものは軒並み値上がりしていた。扇情的な下着だけが、逆に値下がりしている。クレジットを節約したいなら、どちらを選ぶべきかは明白だった。

 完全に弄ばれていることを自覚し、それでも逃げることはできない状況に、竜華は体を丸めて涙した。

 

 

 

 

 

 

 監視カメラで清水谷竜華の様子を観察しながら、城主は次のプランを立てていた。

 ゆっくりと、じわじわと嬲っていく様こそがエンターテインメントと彼は信じていた。この程度で人気の高い彼女に脱落して貰っては困るのだ。

 だが一方で、ことを急く人間がいることも彼は知っていた。全員が全員、ゆっくり調教しているのでは痺れを切らしてしまうだろう。

 

「丁度良い生贄は――この娘か」

 

 デスクに写真を放り投げる。

 そこに写っていたのは、長野風越女子のキャプテン、福路美穂子だった。

 




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