※この作品はR-18です。

麻雀天使堕天計画   作:クラリス

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霞・玄・美穂子-04(決着と競売)

 アキトの命令により、横並びにされた学習椅子に、美穂子は座らされた。左隣には玄、右隣には霞。敵愾心を抱かれてしまった二人に挟まれ、居心地の悪い思いをしながら、美穂子は目の前に立つアキトを見上げた。

 彼のツモ和了によって、同時に失点した美穂子達は全員ペナルティを科せられる。何重もの意味でどきどき心臓を高鳴らせながら、美穂子はアキトの言葉を待つ。

 

「それじゃあねぇ、美穂子ちゃん達は自分をアピールして」

「あ、あぴーる……?」

 

 可愛らしく首を傾げて訊ねたのは、玄だった。美穂子の目から見ても美少女の彼女が、目の前の醜悪な男に犯されたかと思うと胸が痛む。そうなるように仕向けたのは、自分なのだが。

 

「そう。僕にセックスして貰えるよう、その椅子に座ったまま頑張ってアピールして。一番良いアピールできた子から、挿入れてあげるからね」

「ひっ……」

 

 酷薄な笑みに、思わず玄が短い悲鳴を上げた。どのみち、彼は全員犯すつもりなのだ。どこまでも、外道な男だった。しかしここで頑張って彼にアピールするほど、美穂子はお人好しではない。

 だが、アキトはそれも見越して、一つ条件を付け加えた。

 

「もしも一番良いアピールができたらねー、100万クレジットあげるよぉ」

「ほ……本当に?」

「本当だよ、信じて欲しいなぁ」

 

 霞の確認に、アキトは何度も頷いて答えた。100万クレジット――この城で生きていくために、クレジットはいくらあっても無駄にならない。何よりも、京太郎を救う源泉となる。

 

(どうせ、犯されるなら……)

 

 できる限りのアピールをして、一番を得るべきではないか。美穂子がその結論に至るよりも早く、動いたものがいた。

 

「アキト、先輩……」

 

 玄だった。彼女は指先を震わせながら、ミニスカートの裾をつまみ上げる。たくし上げて、彼に向けて披露するのは自らの恥部。既にアキトのペニスによって押し広げられたはずが、今なお美しい形と色を保っていた。

 

「お願いします、もう一度、わ、私と……せ、せ、セックスして、欲しい、のです……」

 

 屈辱的な誘惑を強要された彼女の頬は、かつてないほど朱に染まっている。美穂子達の前、というのもあるだろう。だが彼女はやってのけた。素直に美穂子は凄いと思った。しかし当のアキトは、うーん、と唸って、

 

「まぁ、ぎりぎり及第点かな」

 

 と、上から目線丸出しの評価を与える。酷すぎる、と美穂子は心の中で悔し涙を浮かべた。女性の尊厳をあまりに容易く踏み砕いていく。

 

「アキト様……」

 

 そんな美穂子よりも先に、媚びた声を発したのは霞だった。彼女はするりとセーラー服の上を脱ぎ捨て、自らの爆乳をさらに強調するように腕で押し上げた。ぴん、とピンク色の乳首が上を向いている。

 

「どうか、こ、この淫乱巫女の、いやしい胸を、たっぷりご賞味下さいっ……!」

 

 おそらくは、彼女自身が考えた台詞ではないだろう。誰かに教え込まれたのか、口上を述べる様は妙に板に付いていた。しかしこれにもアキトは、

 

「まぁまぁかな。さ、最後だよ美穂子ちゃん。期待してるよぉ」

「……!」

 

 期待していると言われても、応えるだけの自信が美穂子にはなかった。しかし二人がやり遂げた以上、自分が何もしないわけにはいかない。考えに考え抜き、美穂子は、ゆっくりとスカートの中に自らの指を滑り込ませた。

 くちゅり、と愛液がまだ滲み出てくる秘所に指を押し当てる。一度大きく深呼吸してから、自らの割れ目を擦り始めた。

 

「はっ――、あっ、うっ、んっ……」

 

 人並み程度には自慰行為をしてきた美穂子だが、当然誰かの視線に晒されて行うのは初めてだ。異常なまでの興奮が身を包み、あっという間に昂ぶっていくのを彼女は自覚する。

 

「んっ、んっ、あっ、はっ♡ あ、アキト君っ♡ アキト君っ♡」

 

 わざとアキトの名前を呼びながら、さらに美穂子は膣内に指を差し込む。今までの自慰では得られなかった快楽が、そこから広がっていく。

 

「あっ♡ あっ♡ んんっ♡ アキト君っ♡ さっきの、凄かったです♡ 凄すぎて♡ 私、ダメになっちゃいそうなんですっ♡ 足りないんですっ♡ 指じゃ♡ 足りない♡」

「み、美穂子ちゃん……」

 

 ぐちゅぐちゅと水音を鳴らしながら、美穂子は思いつく限りアキトが喜びそうな事を口にする。

 

「だから……♡」

「だ、だから……?」

「だから――もっと、シてください……♡」

 

 その瞬間、浮かべた笑みは、美穂子が自分で思った以上に淫靡なものになっていた。

 

「美穂子ちゃんっ!」

「きゃあああっ」

「わっ」

「きゃっ」

 

 玄と霞を押し退けて、アキトは美穂子の肩を掴む。その勢いのままむちゅりとキスをした。熱っぽいヴェーゼに、美穂子は目尻をとろんと下げる。

 

「んちゅうっ♡ んむっ♡ ちゅううっ♡ んっふっ♡ ふぅっ♡」

 

 制服の上から胸を揉まれ、美穂子の体は先ほどのアキトとの性交を思い出す。何度も何度も繰り返し刻まれた快楽。荒々しいながらも図抜けた性欲のケダモノは、皮肉にも美穂子との相性はすこぶる良かった。

 

「ん、ふっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ んちゅっ♡」

「入れるよ? 入れるね? 良いよね? ね?」

「え、あっ、あっ、や――んんうううっ♡」

 

 椅子に座ったまま、美穂子はペニスを挿入される。先ほどから立て続けの、二度目のアキトとのセックス。一度目よりもさらにスムーズに、美穂子の秘所はアキトの一物を飲み込んだ。そして一度目よりもさらに敏感になった美穂子の肉体は、激しい熱に襲われる。美穂子は目を閉じ、アキトからの愛撫を受け入れた。

 

「んっふ、んちゅ♡ ちゅるるっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡ んっふぅっ♡ ちゅるうぅ♡」

 

 正常位で突き込まれ、口を口で塞がれ、胸を揉まれ、頭がどうにかなりそうになる。腰の一突き一突きが、容易く美穂子を絶頂付近まで導いていく。

 

「んーっ♡ んーっ♡ ふぅっ♡ ――っぷはっ♡ 良い♡ んっふっ♡ だめ♡ だめ♡ もうだめ♡ んちゅ♡ んーっ♡ ちゅるうっ♡ んーっ♡ ――んんんんっ♡ んんんんううううっ♡」

 

 がくがくと腰を揺らしながら、美穂子は人生で一番深い絶頂を味わった。上も下も、大洪水の状態であった。

 

「ふう……」

「あっう……♡」

 

 ペニスを引き抜かれ、美穂子はぐったりと椅子に背中を預ける。底なしの体力を持つアキトは、そのまま玄に襲いかかった。

 

「ふえっ、あっ、きゃああっ」

 

 美穂子は茫然自失としながらも、その光景をしっかりと目に焼き付けていた。

 アキトは美穂子にしたように、椅子に座る玄に正面から覆い被さると、愛撫もそこそこに膣にペニスを突き立てた。

 

「あううううぅっ♡」

「はぁ……やっぱり玄ちゃんの中はあったかいなぁ……」

「んっ、ふっ♡ あうううっ♡ 突かないでっ♡ やだ♡ もうやだっ♡」

「何が嫌だって言うんだい? 僕達は恋人同士なんだから、ねぇっ?」

「ふぁあっ♡」

 

 一際強くストロークを打ち込まれ、玄は顎を反らして嬌声を上げた。長い亜麻色の髪がふわりと中空を舞う。

 

「良いでしょ? ねぇ? 良いよね? ね?」

「……っ♡ うん♡ 良いのです♡ アキト先輩のこれっ♡ 凄く良いのですっ♡」

「これ、じゃないでしょ? 教えられなかった?」

「っ♡ アキト先輩のおちんぽ♡ おちんぽ♡ おちんぽが良い♡ 突いて欲しいのです♡ もっと♡ もっとっ♡」

「仕方ないなぁ」

 

 言われたとおり、アキトはさらに突き込んでいく。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ もうイク♡ またイク♡ イッちゃうのです♡」

「良いよ、イカせてあげるよ玄ちゃん……!」

「アキト先輩♡ 先輩♡ せんぱいっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ せんぱいっ♡ イク♡ イク♡ イクイクイクっ♡ せんぱいせんぱいせんぱいっ♡ イクうううっ♡」

 

 口の端から涎を零し、玄はエクスタシーに身を踊らせる。アキトに抱きかかえられていなければ、椅子から転げ落ちていただろう。それほどの乱れ振りだった。

 

「ふうっ」

「ん、う……♡」

 

ペニスを引き抜かれた瞬間、玄は物欲しそうな顔をした。美穂子自身気付かなかったが、それは彼女も辿った道であった。

 

「さて、最後だ霞ちゃん。いやーごめんね、待たせちゃって。別に霞ちゃんも悪くはなかったんだけどね」

「う……」

「霞ちゃんとは初めてだね。どんなおまんこか、楽しみだ」

「や、いや、やめっ」

「そっちから誘っておいて、そりゃないよねぇ」

 

霞の拒絶の言葉は、最後まで音にならなかった。剥き出しになっていた乳房に、まるで赤子のようにアキトが吸い付く。

 

「あっ♡ やっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡ だめっ♡ だめだめだめっ♡ 弱いのっ♡ それ弱いのっ♡ 吸わないでっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

「ちゅう、美味しいよ、霞ちゃんのおっぱいすごく美味しいよぉ」

「あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡ ん、んぅっ♡」

 

 巨乳を下から掬い上げ、霞の秘所へとアキトはペニスを宛がう。美穂子は彼女を、助けてあげたかった。だが、腕にも脚にも力が入らなかった。邪魔立てする術を、持っていない。

 

「や……いや……やめ……」

「入れるよ、霞ちゃん? ね? 霞ちゃんと初めてのセックスだよ? ね、入れちゃうね?」

「あ、あ、あ、あ、あ~~~っ♡」

 

 ずっぽりと霞の膣内がアキトのペニスで満たされていき、彼女は顎を天井へと向ける。艶やかな黒髪が、教室の床に触れた。苦悦に塗れる霞の表情とは対照的に、アキトは恍惚とした表情を浮かべる。

 

「これが巫女様のおまんこかぁ。良いよぉ。すごく良いよぉ。これなら最初に味わえば良かったかなぁ」

「うっ、ふ、うっ♡ んっ♡ ふ……、ふーっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡」

 

 両腕をアキトの首に回し、椅子の上で霞は荒々しく息を吐く。挿入されたペニスから与えられる熱にうなされていた。巨乳はアキトの脂肪に押し付けられ、卑猥な形に歪んでいた。

 

「いっくよぉ、霞ちゃん?」

「ふーっ♡ ふーっ♡ ふーっ♡ ……え、ふ、……~~~っ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡」

 

 ずんずんと膣奥を突かれ、霞はたまらず嬌声を

 

「どう? どうかな? 霞ちゃん、良い? 僕のチンポ、良い?」

「あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡」

「聞いてる? 良すぎて聞こえないのかな? ちゃんと答えないと、もっと突いちゃうよ?」

「っ♡ 良いわっ♡ すごく、アキト様のおちんぽ♡ 良いっ♡ あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡ やーっ♡ もうっ♡ だめ♡ だめだめだめ♡」

「そっかぁ、じゃあもっと突くね」

 

 霞を弄び、アキトはストロークのスピードを加速させる。

 

「良いよ、良いよ霞ちゃん、黒髪巫女様とのセックス、最高だよ? こんな清純代表みたいな子が乱れてくれて、すごく興奮するよ」

「う、ううっ♡ や、言わないで、そんなことっ♡ あっ♡ もうっ♡ もうっ♡ やめ――あっ♡ あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡ だめだめだめっ♡」

「だめ、じゃないでしょぉ?」

 

 美しい巫女学生を犯す、どこまでも醜い男。美穂子はその悪夢のような光景から、目を逸らしたかった。だが、そうすることは許されなかった。

 

「ほら、ほら、ほらっ! どうだい霞ちゃん、良いでしょ、良いでしょおっ?」

「あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡」

「イクかい? もうイクかいっ?」

「はいっ♡ イキます♡ 私♡ だめ♡ もうだめ♡ もう♡ いっちゃいます♡ あーっ♡ あーっ♡ あーっ♡ ~~~っ♡ あ――っ♡」

 

 そこで、霞は果てた。同時にアキトはペニスを引き抜き、白濁液を霞の白い乳房めがけて降り注ぐ。強烈な精液の臭いが、美穂子の鼻をついた。

 

「あー、良かった。すっごく良かったよぉ。三人とも、お疲れ様」

 

 アキトの労いに、答える少女はいなかった。全員が全員、ぐったりとしていた。対局の再開まで、相当時間がかかったのは言うまでもない。

 日もすっかり落ちて、ついに迎えた最終局。

 序盤の滑り出しとは対照的に、美穂子はラスに転落していた。このままでは、「酷い罰ゲーム」の餌食になるのは目に見えていた。

 しかしここで、美穂子は逆転手を張る。ツモれば逆転トップだ。そうすれば大量のクレジットが得られ――彼にも会える。

 

「いよいよだねぇ。誰がどうなるか、楽しみだなぁ」

 

 闇夜に包まれ、陰気な教室の中でもアキトは一人だけ明るく振る舞う。美穂子は反吐が出る、という気分を生まれて初めて味わっていた。

 そして、ついに。

 

「……!」

 

 美穂子は、和了牌をツモる。これで、決着。これで、勝利。

 だが、美穂子は玄と霞の顔を見た。美穂子が逆転手を作り上げた事を察したのだろう。二人とも絶望した表情を浮かべていた。

 これで良いのか。美穂子は額に汗を浮かべ、悩みもがく。元はと言えば、この状況の発端となったのは自分。彼女達への罪悪感は、ここに来て拭えないものとなって美穂子の肩にのし掛かっていた。

 

(だめだわ……)

 

 美穂子は、和了れなかった。ツモった牌を、そのまま切る。卓上に、驚愕が走った。

 

「良いの? 美穂子ちゃん。和了ってたんじゃないの? それとも逆転には足りなかった?」

「良いんです、これで」

 

 アキトの質問にも、美穂子は毅然とした態度で応じた。玄と霞からも、困惑の感情が伝わってくる。美穂子は、微笑んだ。この城に来て、初めて浮かべられた微笑みだった。

 ここに三人の少女による戦いは決着した。

 一着は霞、二着はアキト、三着は玄、そして四着は美穂子。

 

「まぁ、美穂子ちゃんが満足ならそれで良いけど」

 

 アキトは肩を竦めて、言った。

 

「さよならだ」

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 シャワーを浴びることを許された美穂子だったが、いつものようにそのまま就寝という運びにはならなかった。改めて新調された風越女子の制服に身を包み、案内人に連れられるまま古城の中をさまよっていた。

 

「あの……」

 

 不安に駆られた彼女は、堪らず案内人に問いかけてしまう。基本的に、彼らは美穂子達の質問に応じない。クレジットを積むなら話は別だが、今の美穂子は「罰ゲーム」の一環として、全てのクレジットを没収されていた。先ほどの100万クレジットも、同様の理由で渡されなかった。

 

「これから、何があるんですか」

「あの方にお訊ね下さい」

 

 珍しく案内人が応じたかと思うと、彼は廊下の先を指差した。そこに居たのは、この城に連れられて初めて挨拶をさせられた男、そして美穂子を犯した事もある男。

 城主、であった。丸々太った体は、アキトに比べると小さく見えるがそれにしても圧迫感を感じる。城主は、嬉々とした声を美穂子にかけてきた。

 

「残念だったな、美穂子」

「……」

「さて。この扉の奥で、お前の行く末を決める。お前が背負った負債は多大だ。今までこの城で勉強したことを使って、できる限り早く返せるよう努力するんだな」

 

 城主は鼻を鳴らして笑う。

 

「全く、馬鹿な娘だ。勝てた勝負を捨てるとは。理解できんな」

「あなたには、分からないです」

「そうか。では、後悔しないようにな」

 

 何も答えず、美穂子は城主の脇を通り、扉の前に立つ。何が待ち受けているのか、予想はつかない。だが、押し開くしかなかった。

 

「……っ?」

 

 眩い光が、普段閉じていない美穂子の片目も一瞬閉じさせた。スポットライトだ。足を止めそうになるが、意を決して彼女は前に進んだ。

 人のざわめきが聞こえる。伝わってくるのは、多くの人間の気配。

 

『――来ました!』

 

 急に、スピーカーで増幅された男の声が美穂子の耳を劈いた。さらにスポットライトの光を浴びせかけられ、美穂子は左手で顔を覆う。自分の行く末が決まるとは一体どういう意味なのか。わけも分からぬまま、男の声は続く。

 

『今宵の牝は、あの長野の名門・風越女子三年にして主将、福路美穂子です! 皆さんどうぞ拍手を持ってお迎え下さい!』

 

 その呼びかけに、低い歓声と共に拍手が鳴り響く。とてつもなく広い場所だと、美穂子はようやく気付いた。劇場――そう、劇場の舞台の上に、美穂子は立っていた。見上げれば、観客席がどこまでも広がっている。そのほとんどが、人で埋まっていた。全員が自分に注目しており、思わず美穂子の足が震えた。

 

『ご覧下さい!』

 

 劇場の至るところに設置されたモニターが、点灯する。どこから撮っているのか、あらゆるアングルで美穂子の体を映していた。頬、太股、腰回り、臀部、スカートの中、胸の谷間。おおお、と観客席からどよめきがあがり、美穂子はかあっと顔を赤らめ、スカートを抑えた。

 

『この見事な体! 美しい容姿! さらには家庭的で心優しい人格者! ――さぁ、今日は誰が彼女を競り落とすのか! 麻雀天使オークション、ここに開催を宣言します!』

 

 大歓声が、巻き起こった。怒号と言い換えても良い。美穂子はここで、状況を理解した。今から決めるのは、自分を「買う」人間。決める方法は、この場に会した者達によるオークション。

 

(ああ)

 

 ぽろり、と美穂子の瞳から涙がこぼれ落ちる。もう、自分は人間ではない。牝という商品に、成り下がったのだ。

 

『まずは100万から! 皆様お手元のスイッチでご入札下さい! ――いきなり来ました、300万! 700万!』

 

 ぐんぐんと、自らにつけられる値段が上がっていく。唇を震わせながら、美穂子は事の顛末を見守ろうとする。が、いつの間にか傍に近づいて来ていた城主がそれを許さない。

 

「ぼうっとしている暇はないぞ。言っただろう、この城で勉強した事を使えと。お前の価値を示せ。客を興奮させろ。そして値を釣り上げなければ、お前の背負った負債は取り戻せん。買われた先次第では、一生慰み物だ。ここがお前にとって最後のチャンスと思えよ」

「……っ」

 

 振り返った時には、もう城主は立ち去ろうとしていた。ただ、美穂子の手の内にあるものを残して。

 

『1600万、1800万……他にいらっしゃいませんかっ? ――1900万!』

 

 価格の伸びが、悪くなっていく。このまま安く買いたたかれるくらいなら――美穂子は決意し、顔を上げた。

 スカートの中に指を入れ、深呼吸し、薄青色の下着をするすると下ろしていく。おお、と観客席から歓声があがった。スカートの前は抑えるが、モニターには白いお尻がきっちり映される。甲高い口笛の音が聞こえ、拍手まで巻き起こる。

 これだけの大人数の前でのストリップショウ。信じられない羞恥と屈辱だったが、美穂子は心を無にして耐えようとした。今し方城主から送られたマイク付小型ヘッドセットを耳にかける。

 

『……お、お集まりの皆様』

 

 上擦る美穂子の声が増幅され、劇場に響き渡る。騒いでいた観客達が、一瞬で静まり返った。美穂子は深い息を吐き、そして、気を抜けばひきつりそうになる笑顔を作った。

 

『福路、美穂子です。今日は、私のためにお集まり下さり、ありがとう、ございます。競売に参加されている方も、そうでない方も、少しでも愉しんでいってもらえたら、嬉しいです……っ』

 

 そう言って、脱いだばかりのパンツを掲げる。こういう行為を好む男達がいることを、美穂子は散々教えられてきた。

 

『良いですねー、情報通り美穂子嬢は健気ですっ! とても健気です! おっと2000万! 2500万! まだまだ上がります! そうだ、そのパンツも後ほどオークションにかけさせて頂きますね!』

 

 司会が勝手な事を決めるが、美穂子には文句を言う余力はなかった。まだまだ、会場を煽らなくてはいけない。

 セーラー服のボタンを、ぷつ、ぷつ、ぷつ、と外していく。指先が震え、思うように動かない。三つのボタンを外すのに、二分はかかった。焦らされる事で、逆に観客席のボルテージは上がっていく。

 セーラー服を脱ぎ捨てると、パンツと同色のブラに包まれた豊満な乳房が露わになる。観客席から、さらなる歓声が飛んだ。

 

『ご覧下さい皆様方! 美穂子嬢の素晴らしい乳房! 隔てるものはブラ一枚! インハイを観戦して、むしゃぶりつきたかった方も多いのではないでしょうか! ――3200万!』

 

 司会が場をヒートアップさせる。おかげでさらに美穂子の値は上昇するが、同時に悔しさも際限なくこみ上げる。

 スポットライトの熱でうなされ、滴る汗を拭いながら、ローファーを脱ぎ捨てる。さらに白いソックスに手をかけようとしたとき、

 

『そう言えば美穂子嬢は好きな男子がいるとか! 今でもその男子が好きなんでしょうか!』

 

 司会から、どきりとする質問が飛んできた。答えたくない。こんな人前で。だが、答えない事が許される状況ではなかった。

 

『い、います……』

『その羨ましい男子の名前はっ? 年はっ?』

『す、須賀京太郎君です……っ、二つ下の、十六歳です……っ』

『良いですね、青春ですね!』

 

 どこかからかうかのような司会の囀りが、美穂子をさらに苛む。さらに、残酷な質問を投げかけられる。

 

『でも美穂子嬢は、今から彼とは違う人間に買われるわけです! お気持ちはいかがですかっ?』

『……っ、そ、それはっ……』

『いかがでしょう!』

『辛い、です……で、でも……』

 

 ネガティブなだけの答えは、許されない空気だった。今の自分は、「客達が求める商品」として振る舞わなくてはならないのだ。

 

『辛さを、皆さんに慰めて貰いたいって、思っています……っ♡』

 

 カメラの前で、美穂子はにっこりと笑う。その姿に気に入った客達がいるのだろう、さらに美穂子の値段は釣り上がっていく。

 ソックスも脱ぎ捨て、いよいよ脱ぐ物がなくなってきた。美穂子はブラのホックを、ゆっくり外す。できる限り期待を持たせるような動きを、心がけていた。

 

『おお……』

 

 ブラから解き放たれた美巨乳に、司会までもが溜息を吐く。腕で乳頭だけは隠そうとするが、有り余る白い肌を隠しきれるわけがなかった。

 

『美穂子嬢、後はスカート一枚です! ――8000万! これは凄い! 過去最高額です!』

 

 全く、喜べない情報だった。

 ふぅ、ふぅ、ふぅ、と美穂子は乱れた息を吐く。衆人環視でのストリップは、彼女の心に多大な傷を負わせていた。同時に、興奮もしていた。注がれる視線。淫靡な空気。囃し立てる声。その全てが、美穂子を煽り立てていた。

 スカートのホックを、美穂子は外す。指先だけで支えている状態になり、これを離せば正真正銘全裸だ。

 

「……う、んっ!」

 

 すとん、とピンク色のスカートがその場に落ち広がった。歓声と怒号は、最早司会の声さえもかき消していく。その場で膝を抱えて座り込みたい気分だったが、美穂子は耐えた。胸を隠していた腕もどけ、両手を後ろ手に組み、余すところなく裸体を晒す。

 彼女につけられた値は加速度的に上昇し、軽く億を突破し、そして。

 

『ハンマープライスです! おめでとうございます!』

 

 美穂子の体を賭けた麻雀天使オークションは、集結した。

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 再び制服を着用し、美穂子は古城の一室に招き入られていた。これから、自分を買った人間と対面するのだ。天蓋付きのベッドに腰掛け、時計の短針が進む音に耳を傾ける。既に、深夜十二時を回っていた。そろそろ寝ないと明日の麻雀に差し支える――と思ったが、その明日さえ望みが薄い事を美穂子は察していた。

 

「待たせたね」

「あっ」

 

 部屋に入ってきたのは、若い男だった。一般に、イケメンに属する部類の顔つき。グレーのスーツ姿は、若い起業家という印象を与えてくる。

 

「初めまして、福路美穂子さん。俺はシュウヤ」

「は、初めまして。福路です」

「これからよろしくね」

 

 爽やかに笑うシュウヤは、金で女一人を買ったとは思えない。買われた本人の美穂子でさえ、戸惑っていた。

 しかし、空気はすぐに変わっていく。

 

「美穂子って呼んでいい? 良いよね、美穂子は俺のモノなんだし」

「えっ、あ、は、はい」

「じゃ、早速味見させてもらおっか」

「えっ――あっ!」

 

 ベッドの上に、美穂子は押し倒される。両の手首を掴まれ、抵抗できない。シュウヤはそのまま唇を重ねてきた。

 

「んっ……♡」

 

 美穂子は、目を閉じてそれを受け入れる。抵抗してはいけない。

 それに、正直言って随分とマシだった。最初に自分を犯した男。城主。そしてアキト。彼らよりも、ずっと良い男だった。少なくとも、見た目は。

 

「んちゅ♡ ん、っふぅっ♡ んちゅううっ♡ んじゅるるっ♡」

「――ぷは。うん。美味しい。やっぱり見立て通りだ。インハイで見かけた時から、ずうっと君をこうしたかったんだよね。これからたっぷり僕の味を教え込んであげる」

「う、うう……♡」

「と、その前に」

 

 シュウヤは美穂子の髪に触れながら、にっこり笑った。

 

「ここで、宣言してもらうよ」

「せ、宣言……?」

「うん。この文章、読み上げてね。心を込めて」

 

 スーツのポケットから取り出された紙を受け取り、美穂子は文字を目で追う。全て読み終えた時、どうしようもなく胸が苦しくなった。

外見は確かに優れているが――やはりこの城に関わる男達はどこまでも残酷であった。

 

「シュウヤ、さん」

「うん」

 

 それでも美穂子はシュウヤを見上げながら、言った。

 

「私はこれから一生、シュウヤさんを愛します……っ。須賀くんのことは、もう忘れます……っ。あんな子供なんて、もうどうでも良いです……っ。だから、シュウヤさんもたっぷり私を、愛して下さい……っ!」

「うんうん。それで良いんだ」

「やっ♡ んちゅ♡」

 

 再び交わされる接吻。始まる愛撫。美穂子はベッドの上で、自らを買った主人のため腰を振る仕事を始める。




霞・玄・美穂子編はもう少し続きます。
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