麻雀天使堕天計画 作:クラリス
原村嘉帆が彼と出会ったのは、ある雨の日の事だった。
嘉帆は、現在夫の恵とは離れて暮らしている。彼は長野で、自分は東京。そろそろまた同じ家で暮らそうか、という話もあったが紆余曲折あって未だ叶っていない。
それでもたまには、娘を交えて会っていた。さらに稀ではあるが、二人きりでデートもしていた。堅物な恵とざっくりとした嘉帆では性格に違いはあったが、何だかんだで、夫と過ごす一時を彼女は楽しみにしていた。
しかしながら――デートを予定していたその日、夫は急用ができたと言い出して、嘉帆はすっぽかされたのだ。一時間も待ちぼうけを食らった末の出来事で、温和な彼女も腹に据えかねた。
「どうしたのおねーさん、怖い顔して。美人が台無しだ」
「へっ?」
そんな時、話しかけてきた男の子がいた。そう――男の子だ。自分より一回りも二回りも年下の、娘と同じくらいの年頃の男の子。しかし、醸し出す雰囲気は大人に近い。背丈はすらりと高く、ワイルドながらも十二分にイケメンと言える甘いマスク。年甲斐もなく、嘉帆はどきりとした。
「おねーさん、暇?」
「え、あ、え、えぇ」
「だったらさ、俺と一緒に遊ばない?」
自分がナンパされている、という現実に追いつくのに時間がかかった。無論若い頃はいくらでも経験があったが、ここのところはその頻度も減っていた。年齢を重ねたというだけでなく、一人で街を出歩く事自体減ったというのもあるが――まさか、こんな美男子に誘われるとは、思いも寄らなかった。
「こんなおばさん捕まえる必要ないわよ」
「おばさんには全然見えないけど。ま、年齢なんて関係ないでしょ。ほら、行こうよ」
「で、でも……」
「良いから良いから」
「あっ」
強引に手を取られ、しかし、嘉帆は振り払えなかった。お世辞だったとしても、単純に嬉しかった。それに、夫の恵に対する怒りもあった。暇になってしまったのは確かだったし、この少年に付き合ってやるのも良いかと思えた。要するに、まんざらでもなかったのだ。
「君、名前は?」
「京極って言うんだ。おねーさんは?」
「……嘉帆よ」
深く考えず、正直に答える。この時点では、嘉帆は親戚筋の甥っ子と遊んでいる気分だった。息子のいない嘉帆にとっては新鮮な経験で、最初は流されるままだった彼女だったが、ファミレスでご飯を食べ終えた頃にはすっかり打ち解けていた。
「京極君、若いわね。うちの娘と二つしか変わらないじゃない」
「嘉帆さんこそ若いってー。子供いるようには見えないって」
彼は、嘉帆が本当の年齢を告白しても一切態度を変えなかった。そのままボーリングにカラオケと、若者の遊びに二人は興じた。
気が付けば、辺りはすっかり暗くなっていた。そろそろお別れしようと、嘉帆は「楽しかったよ」と京極に伝えようとし、
「まだここからでしょ」
「えっ」
ぎゅっと、京極に手を握られていた。今回も、嘉帆は振り払えなかった。振り払おうとしても、どういうわけかできない。
(どうして……?)
まるで、自分の意思が働かない夢の世界にいるようだった。あるいは、自分の中の倫理観が働かない世界。もしかすると、心の底ではこういう展開を望んでいたのではないか――と自分で自分を疑ってしまう。
繁華街の奥、立ち並ぶラブホテルの前に来ても、嘉帆は京極に逆らえなかったのだから。
「京極君……そ、その、ね? こういうところに来るのは、良くないっていうか」
仮にも法を扱う者として、一人の妻として、彼を窘めようとする。しかし彼の腕が腰に回されると、嘉帆はびくりと体を震わせて言葉を失ってしまう。心臓が、痛いくらいに早鐘を打っていた。
そのまま背中を押される形で、嘉帆は京極とラブホテルに入った。入ってしまった。こうなってしまってはもう、言い訳が利かない事を嘉帆はよく知っていた。
料金は京極が支払い、通されたのはキングサイズのベッドが据え付けられた部屋だった。
「シャワー、浴びて来なよ」
促され、嘉帆は躊躇いながらもシャワー室に入った。熱いお湯を浴びながら、冷静になろうとするがちっとも頭はまともに働いてくれない。そもそも、最後にラブホテルに入ったのはいつだったろうか。
自分でも思った以上に時間がかかったが、京極から催促の言葉がかかる事はなかった。この年頃の少年なら、焦ってがっついてきてもおかしくはないだろうに――年齢で言えば自分がリードするはずが、始まる前から主導権を握られている事実に、嘉帆の焦りはさらに増していく。
バスローブを身に纏い、嘉帆は浴室から出る。入れ替わりに京極がシャワーを浴び始め、その水音をベッドに腰掛けながら嘉帆は聞いていた。彼がいつ出てくるのか分からない恐怖と、恵への罪悪感で全く落ち着かなかった。
「お待たせ」
「っ!」
同じバスローブを纏って、京極が現れる。既に顔を真っ赤にしながら、嘉帆は顔を背けて言った。
「ね、ねぇ……本当に……するの?」
「ここまで来ておいて何言ってんの。こっちは準備万端だから」
「でも、私おばさんだよー」
精一杯笑顔を作って冗談めかしてみるも、
「だから嘉帆さんはおばさんなんかじゃないって」
「あ――」
手首を取られ、ベッドに押し倒される。
「とても魅力的な女の人だ」
「きょ、京極君……」
今日初めて会ったばかりの年若い少年と、床を同じとしている。自分は娘もいる人妻だと言うのに。ラブホテルにいる事自体、家族に対する裏切りだった。
だが、同時に無自覚の期待感が嘉帆の胸を焦がしていた。危険な火遊びの魅力に、彼女は取り憑かれつつあった。
「ん……っ」
覆い被さる京極は、ゆっくりと顔を下げていき――ついに、二人の唇は触れ合った。恵との付き合いが始まって以降、他の男と接吻した事などない。京極が、初めてだった。
「ん、ちゅ、ん、ん、ちゅうぅっ」
そのまま、舌を差し込まれる。恵とは違い、煙草の香りがするざらついた舌。その動きは巧みで、あっという間に嘉帆の口内を蹂躙していく。嘉帆もまた、過去の経験に従い、彼の舌に自分の舌を絡ませていく。恵に申し訳ないと思いながらも、止められない。
「ちゅ、ん、ううぅ、れろ、あむ、んう……っ、あむぅ、ちゅうっ」
じゅるじゅると、嘉帆の口内から唾液が溢れ出す。息継ぎに唇が離れても、二人の舌は繋がったままだった。
「ちゅ、ん……っ♡ あむ、ん、れろ……っ♡ ん、ちゅ……♡ ん、ふ……っ♡」
五分以上にも渡る長いキスを終え、ようやく二人の舌が離れる。それでも唾液の橋が、二人の舌先の間で暫く作られていた。
「ノってきたね、嘉帆さん。覚悟はできたかな」
「う……」
顔を真っ赤にして、嘉帆は京極から顔を逸らす。彼の目を見ていると、戻って来られないところまで引きずり込まれそうで恐ろしかった。
「嘉帆さんの胸、おっきいよね」
「あっ、や、やっ」
「おおー」
バスローブをはだけさせられ、露わになるのは白い肌と娘を超える爆乳。京極さえも、思わず歓声を上げていた。本来であれば、夫以外に見せてはならない肉体。それを、半日前に出会ったばかりの少年に――否、男の眼前で晒してしまっている。
「初めて会った時から思ってたけどほんとでけぇー。こりゃ旦那さんも嬉しいだろうね」
「……ぅ」
旦那、という単語に嘉帆は苦い表情を作る。しかし京極は敢えてそれを無視して、彼女の胸を掌で包み込んだ。
「あっ♡」
「重量感もたっぷりだ」
「んっ……ん、う、ふぅっ♡」
ぐにぐにと揉まれる度に、胸が歪に変形する。その刺激は、味わった事のない快楽を与えてきた。そう、夫の無骨な愛撫とはまるで違う。若い男に翻弄される状況に、嘉帆はますます困惑していく。その間も、京極は胸を弄ぶ。
「んっふぅ♡ あっ、んっ♡ んっ、んっ♡ ど、どうしてこんなっ♡ こんなにっ♡」
「かなり感じてくれてるみたいだね。俺の手、結構やるでしょ?」
「そ、そんなっ♡ ち、違うわっ♡ んっ♡ うっ♡ ん、うっ♡ このくらい、でっ♡」
「強情だなあ。これはどう?」
京極の指が、嘉帆の乳輪をなぞっていく。一転して、焦れさせる責めであった。
「ん……っ♡ ん……っ♡ ふぅ……っ♡ ん……♡ ぅうっ……♡」
静かながらも嘉帆の息は、熱くなっていく。既に半勃ちであった乳首は、いつの間にか完全に固くなっていた。すかさずそれを、京極はきゅっと抓む。
「あぅうっ♡」
身を捩ってシーツを掴み、嘉帆は身悶える。一瞬の衝撃だけでも、彼女の脳髄は灼かれた。気をよくした京極は、さらに乳首を責め立てる。とても学生とは思えない繊細なテクニックだった。見なくても、秘所からとめどなく愛液が溢れているのを嘉帆は自覚した。
「んっ♡ ふっ♡ そこっ♡ そこっ♡ 乳首捻るのっ♡ きゅっとするのっ♡」
「これが良いんでしょ? ね? どう?」
「言えないっ♡ そんなことっ♡ 言っちゃだめよっ♡」
「声は完全に蕩けちゃってるのに、素直になりなって」
かああ、と嘉帆は頬の赤みを深くして顔を逸らす。素直になれ、と言われてもはい分かりましたと頷けるわけがない。不貞行為の真っ最中なのだ。どうしても、夫と娘の顔がちらついてしまう。
しかし次の瞬間には、それをかき消すような衝撃が彼女を襲っていた。
「んうぅうぅううっ♡」
いつのまにやらバスローブをまくり、京極は嘉帆の股間に顔を埋めていた。一瞬で脚を押し開くと、濡れそぼった秘所に舌を差し込んだのだ。
「あぁっ♡ そこっ♡ そこっ♡ 見られてるっ♡ 京極君に♡ 私のあそこ♡ 舐められてるっ♡ これっ♡ これぇっ♡」
夫から受けたクンニリングスと、まるで違う。じゅじゅっとはしたない音を立てて愛液を啜られる感触。舌が差し込まれ、膣の入り口をほじられる感覚。クレヴァス全体に吸い付かれる快楽。夫以外の男に恥部を晒した背徳感もあいまって、嘉帆の嬌声はさらに高いものに変わりつつあった。
「気に入ってくれたみたいでないよりだよ」
「あふ……っ♡ はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
舌が引き抜かれても、嘉帆は荒い息を吐くばかりで、まともに言葉も返せない。バスローブは彼女の見事な肢体を隠す役割を完全に失っており、恥ずかしい場所を全て京極に見せつける形となっているが、着衣を直す余裕も今の彼女にはなかった。
故に、京極がコンドームを装着し、割れ目にあてがう直前まで、嘉帆は静止の声を上げられなかった。
「ちょ――ちょっと待って、京極君……」
「どうしたの、嘉帆さん。ここからが本番だよ」
「や、やっぱりよくないと思うの。ほら、私人妻だし、だから……」
「ここまで来たら同じだって。ヤらなかったからセーフ、なんて言い訳通じると思う?」
反論できなかった。それでも必死に、別の言い訳を探し求める。
「ほら、おばさん相手をしても、京極君も楽しくないでしょう……?」
「何度も言わせないでくれよ」
「あ……♡」
首筋を撫でられ、嘉帆は短い吐息を漏らす。敏感になった体はどこに触れられても、感じてしまう。さらに囁かれるのは、嘉帆の理性を惑わす甘い言葉。
「嘉帆さんは素敵な女性だって」
「京極、君……」
「いくよ」
短い彼の言葉に、一瞬だけ嘉帆は躊躇ってから――最後には、こくりと頷いた。自分の意志で、受け入れた。
「あぁ……っ♡」
ずぶずぶと、硬く熱い肉棒が埋め込まれていく感触。久しぶりの、ペニスの味。だがそれは、今までの経験とは、雲泥の差であった。
「ん……ぅ、ぅううっ♡ こ、れぇ……っ♡」
ゆっくりとペニスは押し進み、ついに奥底まで辿り着く。息も絶え絶えといった様子で、嘉帆は悶絶していた。挿入するだけで、軽く達してしまっていた。
「入った……けど、すっげぇキツ……嘉帆さん、旦那さんとはどのくらいヤってなかったの?」
「……ご、五年、くらい……」
「うわ、マジかよ。こんなスタイルの良い美人放っておいて何やってんだか」
旦那を責める言葉に、嘉帆は怒る気になれなかった。むしろ、京極に同意したいくらいだった。たまのデートもすっぽかされる始末。さりげなくアプローチしても、堅物はなかなか気付いてくれない。以前から自分の仕事を優先し、娘も含めて家族を放り出す悪癖があるのだ。
それに引き替え――京極は、
「俺なら絶対嘉帆さん放っておかないのに」
「も、もう……からかわないで」
「本気だって。俺、マジで嘉帆さん好きだぜ」
「うぅ……♡」
やはりお世辞だとしても、ここまで直接的に愛を囁かれると、満更でもなくなってしまう。自分よりも一回り以上年下の、イケメン男子ならなおのこと。さらにはエッチのテクも抜群だ。自分でも気付いていなかった嗜好に嘉帆は呑まれていく。
「そろそろ、動くぜ」
「……うん」
ゆっくりとした腰のストライドが始まる。膣がペニスを締め付け絡み、無自覚ながら離そうとしない。ずん、と再び突き込まれた瞬間、
「ほぉああぁあっ♡」
嘉帆自身、はしたないと思う声が出た。今まで届かなかった場所まで、この男性器は届いてしまっている。未知の世界の快楽が、彼女を襲う。
「んっはぅっ♡ ふぉああぁっ♡ にゃにっ♡ にゃにこれぇっ♡ 今までとぉっ♡ 全然♡ 全然違うぅっ♡ ほぉっ♡ ふぁああっ♡」
「気に入ってくれたみたいで何より、だ!」
「んっふぉぉああっ♡ すごっ♡ 京極君♡ 京極君♡ 京極君のおちんちん♡ すごすぎて♡ どうにかなっちゃう♡ 私もう♡ どうにかなっちゃうわっ♡」
「イキ顔も可愛いな、嘉帆さんは」
京極の言うとおり、嘉帆は激しく絶頂していた。もはや突かれるたびに、エクスタシーを迎えるレベルだった。若い牡に組み伏せられ蹂躙され、過去に置いてきたはずの雌の部分が顔を出す。それは彼女さえも知らなかった、被虐資質だった。どちらかといえば夫をリードしてきた立場である嘉帆にとっては、思いもよらない自身の性嗜好は――しかし、彼女を激しく喘がせる。
「あーっ♡ あーっ♡ だめっ♡ もう何回♡ 何回イかされたの♡ これぇ♡ これぇっ♡」
「まだまだイけるよ、嘉帆さん。俺は一度も満足してないからね……!」
「きょ、京極君もぉ! 私の中で、イってねっ♡ ちゃんと♡ イってね♡」
せめて少しでも年長らしく振舞おうとした結果、痴女めいた発言を繰り返す嘉帆。しかし京極は気を良くし、ラストスパートと言わんばかりにストロークのスピードを速めていった。
「あっ♡ あっ♡ あーっ♡ あーっ♡ 京極君、京極君っ♡」
嘉帆は脚をカニばさみにして、京極の腰を絡めとる。目の前に迫る彼の甘いマスクにうっとりしながら、突かれると喜びに咽び泣いた。
「イくぜ、嘉帆さん……!」
「きてっ♡ きてっ♡ 私が京極君を♡ イかせてあげるからっ♡ ねっ♡ きてっ♡」
膣を締め付け、京極の首に腕を回し、彼を抱きしめる。大人として、彼を精一杯気持ち良くしてあげようという嘉帆なりの想いがあった。無論京極は何の遠慮も容赦もなく、彼女の奉仕を受け入れる。
「ん~~~っ♡」
そしてついに、どぷり、とコンドーム越しに精液が放たれる。同時に嘉帆も、これまでで一番深くエクスタシーを味わった。薄膜一枚越しに伝わってくる熱を膣で感じながら、嘉帆は熱い息を肺から零していった。
「は、ふぅ……♡ す、ごぉい……♡」
夢心地といった表情で、頬を上気させる嘉帆。その傍らに、口を縛ったコンドームが放り投げられた。つん、と鼻をつく精臭がさらに嘉帆を興奮させる。しかし体力がついてこない。事実、夫とのセックスではいつもここで終了だ。ここまで派手に絶頂を迎えた事は、若かりし頃もなかったが。
故に、今の嘉帆も無意識に終わりと考えていた。自分の中に芽生えたままの、期待感に気付かないまま。
「よし、もう一回」
「えっ?」
新しいコンドームを装着し、京極は再びペニスを嘉帆のクレヴァスへとあてがう。戸惑う嘉帆をよそに、一度目よりもこなれた彼女の秘所へと、一気に肉棒を突き立てた。
「んっはぁああぁあぁっ♡」
自分でも信じられないような声が出た。貫かれる悦びも、一度目と比較にならなかった。一秒毎に、彼の形を覚えていくのを実感する。
「またっ♡ またぁっ♡ きゅ、急にぃっ♡ 連続でなんてぇっ♡」
「俺はまだまだ満足してないからね。嘉帆さんだってそうでしょ?」
「そ、そんなっ♡ そんなことぉっ♡ あっ♡ あっ♡」
「嘘つき。めちゃくちゃ蕩けちゃってるじゃん」
否定など、できようもなかった。最早一突きされる度、はしたなく舌を突き出してひぃひぃ喘がされている。
「もう一回、射精すぞ……!」
「うん♡ きてっ♡ きてぇっ♡」
彼がイくまでに、何度絶頂したか分からなかった。包まれるのは、多幸感。もうどうなっても良い、そんな獣じみた想いさえ生まれていた。
しかし、彼女の快楽地獄はまだ終わらない。またもや口を縛ったコンドームがベッドに投げられたかと思うと、
「っふぅ、っはあぁあぁああぁっ♡ う、うそぉっ♡」
三度目の挿入が、待っていた。若者の獣欲が、信じられなかった。同時にそれに答えようと言わんばかりに、膣を締め付ける自分も信じられない。
もう、夫の顔も娘の名前も思い出せなかった。一晩中、嘉帆は犯され続けた。明け方には、ベッドの上には十個以上の使用済みコンドームが散乱していた。
「あ……はぁ……♡」
京極の腕の中で、幸せそうに嘉帆は笑みを浮かべる。若き男の厚い胸板は、彼女の心を激しく揺さぶっていた。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
この一件は、あくまで気の迷い。
そう考えて、嘉帆は全てをなかった事にしようとした。本来なら法の番人として不貞など許されるはずもないが、自らの胸の内に閉まっておくしかなかった。幸い、別居状態という事もあって夫や娘に露見する可能性も低かった。
後は時間が解決してくれる。
そんな嘉帆の見積もりは、三日後には崩れ去っていた。
原村家は長野と東京のいずれにも住家を持っている。夫と娘は長野で暮らしているが、嘉帆は現在東京で一人暮らしだ。もっとも、夫達が訪れた時の事を考えて、一人暮らしとしては少々手広なマンションを嘉帆は使っていた。
休日の昼下がり、嘉帆独りのマンションのチャイムが鳴らされた。宅配業者でも来たか、インターホンに出てみると、彼女は言葉を失った。
「きょ、京極君……っ」
『こんにちはー。入れてよ、嘉帆さん』
画面に映っていたのは、不貞の相手で若き牡であった。どうしてこんなところに、どうやって家を割り出したのか――嘉帆は疑問に思いながらも、反射的に通話を切ってしまいそうになるが、
『また一緒に遊ぼうよ。遊んでくれないと、俺悲しいなあ』
京極のにやにやした笑みが、それを止める。ここは、隣近所の目がある場所だ。彼の心積もり次第で、何を言いふらされるか分からない。検察官としての社会的立場、人妻としての責務がある以上、それは避けねばならなかった。
「ま、待って。今、開けるから」
ロックが解除されると、すぐさま扉は開かれた。まるで自分の家のように、京極はずかずかと上り込んでくる。直接彼と対面し、彼の匂いを嗅ぐだけでどきりとした。
「悪いね、突然押しかけちゃって」
「どうやってうちを……?」
「細かい事は気にしない方がいいって。それより寂しくなかった? 三日も開けちゃったからね」
「さ、寂しくなんてないわ」
「本当? 声、震えてるよ?」
挑発にも似た言葉に、嘉帆は鼻白む。それでも精一杯の虚勢を張ろうとした。
「なんのつもりで来たかは知らないけど、ごめんなさい、もう貴方とは遊べないわ」
「なんのつもり、だなんて決まってるじゃん」
嘉帆の拒絶もなんのその、京極は自由に部屋を移動する。自分の家だというのに、彼を追いかけるので嘉帆は一苦労だった。
「ここが夫婦の寝室かー」
「っ!」
京極が無造作に開いた戸の先にあったのは、ダブルサイズのベッドだった。いつ夫がこちらに来てもいいようにと、用意したものだった。
「良いね良いね、この部屋気に入っちゃったよ」
「あのね京極君、私は――」
温厚な嘉帆には珍しく、声に怒りの熱が籠ろうとする。しかし、京極は彼女の言葉を遮って言った。
「この間の事、旦那さんと娘さんに知られたら、どうなるかなあ」
「お……脅す気?」
「違う違う。そんなつもりはないって。ただ、そうなるともう二度と俺と遊べなくなっちゃうよ?」
「だから、私は貴方とはもう遊べないって――」
「できるかどうかじゃなくて、したいかしたくないかを聞いてるんだって」
「きゃっ」
肩を掴まれ、ベッドの傍まで押し込まれる。若い男の力に敵うわけもなかったが、その実嘉帆の体に抵抗する力はさほど残されていなかった。
「俺達、相性すげー良かったじゃん。大丈夫、このくらいの遊び誰だってやってるって」
「う、嘘……」
「本当だって。ね――ほら」
「んっ」
押し切られる形で――少なくとも傍目では――嘉帆は、京極からの口づけを受ける。最初は彼の腕を掴んで押し返そうとする素振りを見せる彼女だったが、京極の舌が侵入してきた時点でその反抗も止めていた。
「ちゅっ♡ ん、うぅっ♡ むぅっ♡ じゅる、じゅるるっ♡ んちゅっ♡」
京極に抱きしめられ、瞳を閉じて彼とのキスに興じる。絡み合う舌と舌。熱い彼の口。肉体は先日の快楽を思い出していた。
「やっぱり、期待してたんじゃん」
「期待なんて、そんなわけ――んうっ♡」
股下を膝で押され、嘉帆は肩を震わせる。ぐりぐりと責められる内に、あっという間に腰砕けになった。
「ちゅ、んちゅ♡ あむ、れろぉ……っ♡ じゅるるっ♡」
なおも降りかかるキスの嵐は、嘉帆の理性を蕩けさせるのに充分だった。もう二度と犯してはならない過ちと考えていたはずなのに、その泥沼へと自ら体を沈めていく。
「ん、も、もぅ……♡ だめよ、こんなところで……♡」
一旦キスが途切れ、顔を伏せる嘉帆。しかし京極は、
「こんなところだから良いんだろ。なあ」
「あっ」
嘉帆を、夫婦のベッドの上に押し倒す。もう、抵抗はなかった。組み伏せられたまま上から見つめられ、嘉帆は顔を赤らめる。
分かっていた。初めから、自分は彼に参ってしまっていたと。本当は扉を開けた瞬間から、こうなる事を心のどこかで期待していたと。
「今日はこっち使わせてもらおうかな」
「ん、あ、そこは……」
ぐい、とシャツをまくり上げられ、赤色のブラに包まれた豊満なバストが露わになる。娘ともども規格外のサイズの胸は、街を歩いていても注目されるのを自覚している。今更コンプレックスなどとは言わないが、嘉帆自身意識しているのは確かだった。
「ほんっと、綺麗な肌だな。年齢詐称してない?」
「ほ、ほめても何も出ないわよ」
「そりゃどうかな……ほい」
何気ない動作で、ブラのホックを外されてしまう。いつまで経っても下手だった夫とは違う、手慣れた手付きだった。
さらに京極は、ズボンを脱ぎ去る。既にぎんぎんに勃起した生肉棒を、仰向けに倒れる嘉帆の眼前に突き出した。
「おっきぃ……」
恐怖と期待感が入り混じった声を、嘉帆は零す。先日はコンドーム越しでしかほとんど見ていなかったが、生は迫力も臭いも違った。これからどうなるのか、嘉帆はどきどきしながら京極を見上げる。
「嘉帆さん、俺のために奉仕してくれる?」
「ん……」
ペニスが、嘉帆の生乳の谷間に挟まれる。察した嘉帆はこっくり頷くと、二の腕で両サイドから胸を押し寄せた。ペニスがぎゅっと挟まれ、その状態で胸を使って扱きあげる。
「お、お、すっげ、この乳圧……!」
「どう、どうかしら、京極君……?」
「良いよ、すっげー良い。流石嘉帆さんだ」
少年に対するパイズリ奉仕は、嘉帆の矜持もいたく満足させた。年長者として、年下をリードしたい気持ちがあったのだ。故に、どんどんパイズリへの熱は高まっていく。
「はむっ♡」
「おお……」
言われなくとも、谷間から突き出たペニスの先端を、嘉帆は頬張った。竿を乳房で、亀頭を口で刺激する。人妻による巨乳パイズリフェラは、さしもの京極にも恍惚とした表情を浮かべさせる。
「やっべー、これ……もうイっちまう」
「ほんろ? はむ、んむっ♡ じゅる、じゅるるるるっ♡ 良いよ、射精して……♡ じゅるうっ♡ わらしのくちのなか……♡」
「ああ、最高だよ嘉帆さんのパイズリフェラ……!」
びゅるるるる、と音を立てて精液が発射される。嘉帆の指定通り、京極は彼女の口内へと遠慮なく白濁を注ぎ込む。
「んくっ♡ んくっ♡ んくっ♡ す、すごぉい……♡ ねばねばってしてて、濃くて……♡ こんな精液、初めて……っ♡」
喉を鳴らしながら、嘉帆は京極の精液を嚥下する。人妻としてあまりに淫靡な姿だった。これには京極も鼻息を荒くし、半ば無理やり嘉帆のズボンを下ろし、ショートも剥ぎ取ってしまう。そして茂みの奥にある秘所へ、一気に自らのペニスを突き刺した。
「んっはぁあぁああぁっ♡ ま、またあっ♡ また京極君の、来たあぁ♡」
「生だとさらに気持ちいいよ、嘉帆さん……!」
「だ、だめ、ゴム、着けないとぉっ♡ だめよ、だめっ♡」
「嘉帆さんもこっちの方が良い――だろ!」
「ふぉああぁっ♡」
ずん、と奥底まで突かれ、嘉帆ははしたない嬌声を上げる。彼の言うとおりだった。コンドームが無い分、そのまま形と熱が伝わってくる。嘉帆の膣もきゅんきゅん戦慄き、締め付けて離そうとしない。
「これぇっ♡ これぇっ♡ 京極君の♡ 京極君のが凄過ぎて♡」
「この三日間、実はずっと期待してたんでしょ? 俺とまた会えるの」
「そ、それはぁっ♡ そんなことぉ♡ んっ♡ んっ♡」
「正直になりなって」
疲れながら、巨乳を揉みしだかれる。そのタッチ一つとっても、嘉帆にとって極上の快楽を与えてくれるものであり、虚勢を張っている場合ではなくなる。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ き、期待♡ 期待してたわ♡ 毎日っ♡ 京極君を想って♡ オナニーっ♡ オナニーしちゃってたのっ♡」
「スケベなおばさんだ」
「うぅ、ふぅっ♡」
「もっとよくしてやるからな、ほら」
器用に嘉帆の体を入れ替え、正常位から後背位へと移る京極。年齢の衰えを見せず張り艶豊かな嘉帆の桃尻を引っ掴み、後ろからの突き込みを激しくする。獣の態勢で犯されながら、嘉帆ははしたなく喘いでいく。
「あぁーっ♡ あぁーっ♡ 京極君っ♡ 京極君っ♡ すごっ♡ もう♡ 凄過ぎてぇ♡ 京極君の、大きすぎる♡」
「旦那さんと、どっちがでかい?」
「っ? そ、それはぁっ♡」
嘉帆を苦しめる問いかけに、彼女は言葉を詰まらせる。だが、早く答えろよと言わんばかりに京極はペニスを奥まで素早く沈めていく。
「んっふうぅぅ♡ す、すごぉおおっ♡」
「どっちが、でかい?」
「京極君の♡ 京極君の方がおっきいわ♡ あの人のおちんちんじゃ♡ ここまで届かないもの♡」
「よっぽど旦那が粗チンだったんだね、大変だったね嘉帆さん。こんなエロい体持て余してたわけだ」
恵を愚弄する発言にも、怒る暇がない。ぐにぐにと尻を揉まれるだけで、イってしまいそうになる。そこに巧みなストロークが加われば、彼女に勝ち目などなかった。
「私っ♡ 私っ♡ こんなにもっ♡ こんなにもだめだったのっ♡」
「だめなんかじゃない、本当の自分に気づけただけだよ」
「本当の、自分っ♡ これがぁっ♡」
「そうだよ。エロエロで、子供に犯されて子宮喜ばせるド変態人妻」
「あぅううっ♡」
詰られるのにも、体は喜んでしまう。どちらかと言うと夫を手玉にとってきた嘉帆にとっては、驚きの体験だった。
「ねぇ、旦那さんと俺、どっちのセックスが良い?」
「っ、い、言えないっ♡ 言えないわよっ♡ そんな事っ♡」
答えを言っているようなものだったが、京極は中途半端を許さない。
それまで淀みなく続いていたストロークがぴたりと止まり、尻たぶを握りこむ手から力が抜ける。
「ふ、え……っ?」
きょとんとした様子で、嘉帆は背後の京極へと精一杯振り返る。そこにいたのは、嗜虐心たっぷりに笑う少年だった。
「正直に答えないと、いつまでもこのままだよ?」
「あ、う……ぅ♡ そ、そんなあっ♡」
「答えてくれたら、いつでもシてやるからさ」
「う、ぅう……♡」
自分よりずっと年下の少年に、優位な立場を取られている。その事実さえも、嘉帆を興奮させていた。
「ごめんなさい、あなた……」
「ん?」
懺悔の言葉は、短かった。作られた苦々しい表情から一転、その顔は媚びへつらう一匹の雌に変貌する。
「京極君……っ♡ 京極君の方が、良いっ♡」
「なにが良いって?」
「京極君とのセックスがっ♡ 京極君とのセックスの方がっ♡ あの人とより、ずっと良いのっ♡ おちんちんの長さもっ♡ 太さもっ♡ 全然違うっ♡」
認めてはならなった本心を、彼女はさらけ出す。京極はにんまりと笑った。
「ようやく認めたね」
「うんっ♡ それに、京極君の方が上手っ♡ あの人、こういうの下手だったからっ♡ だから、ねっ♡ ねっ、お願いっ♡ もっと♡ もっとして♡」
「良いよ、嘉帆さんの望む通りにしてあげる」
「んっはぁぁぁああっ♡ これ♡ これぇっ♡ これを待ってたの♡」
再び動き出した男根に、理性と倫理をかなぐり捨てた一匹の雌は咽び泣く。出会って数日の少年に、彼女は自らの恥ずかしい部分を余す事無く曝け出していた。
「イく♡ イくイくイく♡ 京極君に♡ イかされちゃうぅ♡」
「人妻なのに、旦那以外にイかされて恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいけどっ♡ けどぉ♡ 良いの♡ 京極君だから♡ 京極君だから良いの♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ もうだめ♡ イく♡ イく~~~っ♡」
派手に気をやる嘉帆は、ぴんと背筋を伸ばしはしたなく夫婦のベッドへ唾液を零していく。その事実さえも、彼女を喜ばせる要因となっていた。自分の膣内に、容赦なく精液が注ぎ込まれても文句ひとつ言わなかった。その熱に、肉体は応え啼いていた。
「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
荒い息を吐きながら、しかし嘉帆は次の快楽を待っていた。彼がこのくらいで満足しないのは体験済みだ。
「……? ふぇ、京極君……?」
しかし、待てども待てども京極は動こうとしない。ベッドに腰掛け、断りもなしに煙草を吸いだし完全に一服している。
「あ、あの……京極君……ねえってば……」
「ん? どうしたの、嘉帆さん」
「そ、その……あのね……」
もう一回、と自分から言い出すのは恥ずかしかった。おねだりするような年齢でもない。だが、鋭い京極の眼光に射抜かれると、彼がそれを欲している事を察する。彼の甘いマスクに目尻をとろんと下げながら、嘉帆は自分の胸を寄せて語りかける。
「京極君……ね、もっと、しよ……♡ 大丈夫、今日は誰も来ない日だから……♡」
「良いの? 嘉帆さん人妻なのに。旦那さん、泣いちゃうよ?」
ずきり、と心は痛む。痛むがしかし、目の前のペニスには勝てなかった。
「あの人鈍いから、黙っていればバレないわ……だから、ね?」
「酷い女だなぁ、嘉帆さんは」
「い、いじわる……京極君が、こんなにしたせいなのに」
「ごめんごめん。じゃあ責任とって、慰めてあげるね」
「あっ♡」
胸を掴まれ、嘉帆は歓喜の喘ぎを上げる。京極の手の動きに合わせてぐにゅぐにゅと形を変える胸は、どこまでも淫靡であった。
「もう、一回……♡」
自らの秘所に埋め込まれていくペニスをうっとりと眺める嘉帆の脳裏には、最早夫と娘の顔は消えていた。
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その日から、嘉帆の火遊びは始まった。京極との浮気は、東京長野、屋内屋外問わず行われた。初めはこそこそとしていた行為も、彼に夢中になって次第にエスカレートしていき――そして、娘にラブホテルへ入る場面を目撃されても、彼女は気付かなかった。
次はやっぱり咲と部長かも?