※この作品はR-18です。

麻雀天使堕天計画   作:クラリス

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・オカルト能力有りです。


愛宕絹恵-01(悪夢の記憶とPK麻雀)

 南大阪の名門・姫松高校。部内でも競争が厳しいこの高校で、愛宕絹恵は今夏のインターハイでレギュラーに選出された。麻雀界でも有名な母と姉を持つ絹恵は、決して自分が彼女達のような優秀な雀士とは思っていない。母も姉も、未だ遠い存在だ。

 その一因だと絹恵は言い訳するつもりはないが、事実として彼女は中学時代、別の競技に打ち込んでいた。麻雀とは全く別の、サッカーである。ポジションはゴールキーパー。それなりに優秀な成績を収めた彼女だったが、高校から麻雀を本格的に再開した。

 やはり姉への憧れを捨てきれなかった、麻雀に未練があった――と、絹恵はその理由について語っている。

 それはそれで嘘偽りない真実である。だが同時に、そこには誰にも言えないサッカーを断念した秘密があった。

 ――愛宕絹恵、中学三年、十四歳。

 母譲りのスタイル抜群の肉体は、この歳の頃には九割方完成していた。女子としてはすらりとした高めの身長は、綺麗なシルエットを誇る。きゅっとくびれたウェスト。鍛えられ、充分な肉付きの太股。毛先がくるんと丸まった髪は美しく、日常生活でかける赤フレームの眼鏡は洒落っ気があり人気があった。何よりも、スポーツ選手としては大きすぎるとも言える流線型のバストは、同年代の男子のみならず大人の男達の視線を釘付けにした。

 この頃には、自分に向けられる男の性欲を、朧気ながらも絹恵は理解していた。だが、サッカーに打ち込んでいる間は大して気にもしていなかった。

 一方で――

 

「梅木コーチ、やっぱり格好良いよねー」

 

 中学最後の大会を控える中、絹恵達のクラブの中は、やや浮ついた空気が漂っていた。引き締め直すほどの問題ではないが、やはり女子の集団である。恋や気になる男子の話は、枚挙に暇がない。

 特に最近では、今年度からクラブに入って来た新コーチが、ロッカールームでの話題を独占していた。

 梅木コーチは、指導陣の中では年も若く、ユーモアがあって早々に人気を博していた。スポーツマンであるため体つきもがっしりしており、顔もイケメンに分類される。うら若き乙女達にとっては、厳しくも優しい理想の指導者と言えた。

 

「それに梅木コーチに応援されると元気出るんだよねー」

「わかるわかるー」

 

加えて、梅木に応援されると力が湧くという評判なのだ。理屈に合わないと絹恵は相手にしていなかったが、恋の力という奴なのだろうか、とも分析していた。事実として、クラブの女子の多くが梅木コーチに向ける目は、他の指導者にそれとは色が違う。

 

「愛宕、調子はどうだ?」

「ああ、はい。めっちゃええですよー、今ならどんなボールでも止められそうです」

「そうか? 何か困ってないか? 心配事とかないか?」

「あ、あはは。だいじょうぶですよ」

 

 しかし、絹恵はどうも他の女子と同じとはいかなかった。イケメンなのは認めるが、こうして声をかけられても何となくよそよそしい態度をとってしまう。自分の肉体を見る梅木の目が、どこかいやらしく感じる――というのは、被害妄想だろうか、と絹恵は自問自答する。彼はあくまで指導者として、自分の体を心配している――そのはずである。

 それに、絹恵自身この時点で気になる男子はいた。たまたま大阪に遊びに来ていて、偶然出会った一つ年下の長野の少年。同じ現役スポーツ選手としてシンパシーを感じ、共通の話題で盛り上がった。連絡を取り合う頻度はさほどでは無いが、ゆっくりと絹恵はその恋心を育てていた。後に麻雀のインハイという舞台で彼と再会するが、今の彼女はそれを知る由もない。ともかく、梅木に拘る理由は絹恵になかった。

 このまま大会後はサッカーを引退し、関係もなくなるだろう。そうすれば、梅木コーチの事も忘れるだろう。絹恵はそう思っていた。

 だが、実際には忘れられない相手となった。

 事件は、最後の大会の前の合宿で起きた。

 

「絹達は東館の会議室でミーティングやってー」

「ミーティング? そんなんあった?」

「何か特別ミーティングらしいで。レギュラーの中でも、一部の選手だけ呼ばれとるみたい」

「? ふぅん、まあ行こーか」

 

 その日の厳しい練習は終わり、シャワーを浴びた後、絹恵は予定になかったミーティングに呼び出された。向かった部屋に集められていたのは、自分を含めて四人の少女達。

 そして集めたのは――

 

「揃ってるな」

「……梅木コーチ」

 

 梅木であった。他の少女達は役得と言わんばかりに笑っているが、整いすぎた顔が苦手なのか、やはり何となく絹恵はやりづらかった。

 異変は、すぐに起きた。

 

「あ……れ……?」

 

 出されたスポーツ飲料に口をつけて、間もなく絹恵の意識は混濁した。ぱたん、と机に突っ伏してしまうところまでは、覚えていた。

 

「ん……なんや、ここ……」

 

 次に気が付いた時には、場所は会議室から移動していた。薄暗い板張りの部屋。合宿所の、どこかの寝所だろうか。朦朧とする意識がゆっくりと覚醒――するよりも速く、

 

「えぇっ? な、なんやこれっ」

 

 後ろ手に縛られている事に気付き、一気に目覚める。しかもジャージを着ていたはずなのに、下のズボンはなくなっていて白いパンツが丸見えだ。これはどういう事態だ、と絹恵は状況を噛み砕こうとするが、それを雄弁に説明する光景がすぐ目の前で繰り広げられていた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ コーチ♡ コーチ♡」

「良いぜ、ああ、良いぜ、お前の膣内……」

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ほんとうっ♡ ほんとうですかっ♡ 他の娘よりっ? あっ♡ あっ♡ あっ♡」

「ああ、今のところ一番だ」

 

 同じクラブの仲間が、全裸になって、四つん這いになって――その背後から、梅木コーチに犯されていた。完全に、絹恵の思考は停止する。当然だ。男女がまぐわう光景など、生まれて初めて目撃するのだから。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 好きっ♡ 好きですコーチっ♡」

「ふふふ、ありがとうな」

「んっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ だめっ♡ イくっ♡ またイくっ♡」

「俺もイクぞ」

「きてっ♡ コーチっ♡ きてっ♡ 一緒にっ♡ 一緒にっ♡ イク♡ イくぅっ♡ ~~~~~っ♡」

 

 そして、仲間の少女は絶頂する。長く深い付き合いでも見たことのない、淫らな表情だった。梅木が彼女の膣内に、子供の種を注ぎ込んでいる事を理解するのに、絹恵は数十秒の時を要した。

 よくよく見れば、梅木の足元には他の二人の少女――同じ会議室に集められた――も寝転がっている。だが、絹恵と同じで今の今まで眠っていたわけでは無いようだ。二人とも汗だくになった全裸を晒し、何度も荒い息を吐いている。股からは、白い液体が溢れていた。表情は夢見心地といった様子で、目の焦点が合っていない。その二人の間に、今梅木に犯されていた少女は崩れ落ちた。ずるりと、ペニスが引き抜かれる音がした。

 

「お、起きたか愛宕」

「ひ、ひ……っ!」

 

 剥き出しの肉棒を晒したまま――当然、勃起した男性器など絹恵は初めて見る――梅木が近づいてくる。立ち上がって逃げようとするが、手が縛られているせいでまともに動けない。

 

「な、なんなんっ、これ、どういうことなんっ、こ、コーチっ!」

「なあに、体のチェックをしてただけだよ。もうすぐ大会だからなあ」

「あ、あほな事言わんといてっ! 何がチェックや! こ、こんなんおかしいっ」

「いや、これはあいつらが望んだ事なんだ。俺は望みを叶えてやっただけ」

 

 すぐ目の前に、梅木の顔が迫る。

 

「お前は何かと俺を避けてたからなァ。良い機会だから、ちゃんと教え込もうと思ってるんだ」

「お、教え込むって、何を……っ」

「お前自身の気持ちと、気持ち良い事だよ」

「は、はぁっ? 何言うと――やああっ?」

 

 ジャージの上から、ロケット型の胸を鷲掴みにされる。まだ、誰にも触れる事を許していない乙女の双丘。それを、梅木はぐにぐにと無遠慮に揉みしだく。手首を縛られた状態では絹恵に反撃の機会もなく、顔を真っ赤にして抗議の声を上げるしかない。

 

「ちょ、ちょおっ! 何しとるんっ!」

「やっぱりでけぇな、他の連中とは格が違うぜ。本当に女子中学生かよ」

「ふ、ふざけ、やめ、やめんかい、このっ、んぅうっ」

 

 動揺して上擦った声で怒鳴っても、高が知れている。圧倒的優位に立つ梅木は、絹恵の香りをくんくんと嗅ぎ、変態染みた恍惚の表情を浮かべる。既にいつもの甘いマスクは崩れ、性欲に塗れた男の顔が露わになる。これが、この男の正体。女子中学生を犯すのが目的とし、そのためならなんでもする卑劣な男。それが、梅木という男だった。コーチとして寄せていた絹恵の信頼は、木っ端微塵に打ち砕かれた。

 

「あー、良い臭いだ。もうちょっと我慢しようかと思ったんだが、流石にこの体はエロすぎるだろ」

「こ、このっ、あんた、コーチとして恥ずかしくないんっ? あんな、あんな……っ」

「後ろで転がってる連中の事か? 言っただろ、あいつらが望んだ事だって。すぐにお前も自分の望みに気付かせてやるよ」

「あ、ありえへ――っ? ちょ、ちょおっ」

 

 絹恵の制止などお構いなしに、ジャージのファスナーを下ろされる。スカイブルーのスポーツブラと、それに包まれた立派な乳房を、梅木の前に晒してしまう。

 

(あかん、あかんあかんあかん、助けて、助けて……っ)

 

 助けを求めて思い浮かべるのは、年下の少年。今はっきりと、彼への好意を自覚する。だが、実際に助けが来る事はない。ここは大阪、彼は長野。物理的に、不可能だった。結局その感情は、絹恵の無自覚の背徳感を刺激する事になった。

 

「ほらほら、これも外しちゃうぞ」

「や、いや、いやああああっ」

 

 スポーツブラまで外され、まろびでる美巨乳。形の良さも大きさも、同年代の少女とは比較にならなかった。その頂点では、ぷっくりと色づきの良い乳首が存在を主張している。汚れを知らないそれは、処女特有の美しい輝きを放っていた。これには多くの少女を泣かせてきたであろう梅木でさえ、ごくりと生唾を飲み込んだ。

 

「全く、辛抱堪らんよ……はむっ」

「うぅううぅっ? あ、あかん、あかんそれっ」

 

 なんと梅木は、躊躇いなく絹恵の右の乳首に吸い付いてきたのだ。乳頭を甘噛みし、乳輪に舌を這わせ、そしてちゅうちゅうと吸う。あまりの傍若無人な振る舞いに、絹恵の中の感情は怒りよりも狼狽が先行する。

 

「ちょ、ちょおまって、あかん、お乳なんて、出ぇへんからっ、ん、んうぅぅっ」

「れろっ、くくくっ、充分美味いから安心しろ」

「そんな問題や、ないっ、んうっ、やめ、舐めるん、あかんからあっ」

 

 あっという間に左の乳首も、唾液まみれにされてしまう。甘噛みされた跡が、生々しい。手が封じられたまま暴れ藻掻こうとするが、自慢の脚も、梅木にのし掛かられてはどうしようもなかった。

 

「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、ん、んうううっ? な、そ、そこはあっ」

 

 乱れた呼吸を整える間もなく、梅木が手にかけたのは色気のないショーツだった。あっさりと、膝下まで下ろされていく。

 

「み、見やんといて、あかん、あかんからぁぁ……っ」

「へへ、見るなって方が無理ってもんだ」

 

 好いた相手にしか見せてはならない乙女の秘所が、卑劣なるサッカーコーチの視界に収められる。まだ誰も侵入した事のない割れ目を、しかと見られてしまっている。半端に下ろされたショーツのせいで、脚もまともに動かせない。

 

「こっちの味も確かめさせてもらうぞ、愛宕」

「は、はあ、え、ええっ、うそ、嘘っ、んううううっ?」

 

 股間に、梅木の顔が埋められる。クンニリングスという行為を、絹恵は知らなかった。自らのクレヴァスを、自分の指先で慰めた事はある。だが、おぞましい舌の感覚は当然生まれて初めて味わう。唾液を塗され、割れ目をなぞられ、徐々に舌先が中へと入り込み始める。

 

「なに、なにしとるんっ、あかん、こんなんあかんから、んううっ」

「じゅるるる、――ぷは、くくく、あかん事はないだろ。もっともっと、楽しませてやるからな」

「いらん、そんなん、いらん、んっ、う、んうぅっ、くぅうっ、あかんぅうっ」

 

 絹恵の悲痛な悲鳴に、緩みが生まれ始める。少女から女へと、羽化する準備が整いつつあった。しかしそれは当然、彼女が望んでいない事である。望んだとしても、それは好いた相手にのみである。

 

(あかん、私、穢された……穢されてもうた……)

 

 絶望に包まれた絹恵は、脱力する。なおも梅木はじゅるじゅると秘所に吸い付いてくるが、まるで他人事のように感じていた。

 

「もう……いやや……」

「大丈夫だ、すぐにお前も気持ち良くなれる。いや、もうなってるかな? とにかく、後ろの連中みたいにしてやるよ」

「い、いや、いやあ……っ」

 

 迫る処女喪失の瞬間。梅木の黒光りするペニスが、視界に入る。既に犯された少女達の姿が、痛ましい。しかしおそらく彼女達は、それを望んでいたのだろう。彼女達は全員、梅木に熱を上げていた。そこが、自分と他の少女達との決定的な違い。

 

「さあ、覚悟は良いかな?」

「……い、や」

「ん?」

「い、嫌やっ!」

 

 そう、違う。自分にはちゃんと別に好きな人がいる。諦めてなるものか、その一心で往生際悪く暴れる絹恵。

 

「全く諦めの悪い――」

「こ、のおっ!」

 

 その甲斐あってか――手首を縛っていた縄が、緩む。はっとそれに気付いた絹恵は、油断しきっていた梅木の顔向けて拳を振りかぶる

 

「うおっ!」

「わっ!」

 

 完全にまぐれのラッキーパンチだったが、それは見事に梅木の顎にヒットし、一撃で昏倒させるに至った。

 

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

 

 荒い息を吐き、倒れ込む梅木から距離を取る。しばらくそのまま混乱していた絹恵だったが、着衣の乱れを直すと、その場を逃げ去った。梅木をどうこうしよう、と言う気にはなれなかった。一刻も早くこの場から立ち去り、関わり合いになりたくなかった。

 

 

 

 その後の顛末は、特筆すべき事はなかった。

 ただ、その日その場にいた全員が、まるで何もなかったかのように振る舞っていた。犯された少女達も、梅木も――そして絹恵も、なかった事にした。当然、梅木の事は避けるようになったが、告発する考えも持たなかった。それほどの恐怖が、彼女の胸に刻まれた。

 そしてそのまま誰にも相談できず、絹恵はサッカーを辞めたのだった。

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 それらは捨て去ったはずの過去。本格的に麻雀に打ち込み、忘れたサッカー部での忌まわしい記憶。

 しかし、今夏インターハイで再会した想い人が攫われ、導かれた陰謀渦巻くこの古城――ここで、愛宕絹恵はその過去と再び対峙する事になった。

 名門校の副将らしく、順調にクレジットを積み重ねていた彼女だったが、今日という日は動揺せざるを得ない。

 

「う、梅木コーチ……っ?」

「久しぶりだな、愛宕」

 

 対局室で待ち受けていたのは、あの、イケメンサッカーコーチだった。二年前と何ら変わらない若い容貌。瞳に宿るのは、薄暗い光。

 赤のリボンタイに彩られた白のブラウス、それに包まれるロケット型の乳房は、中学時代よりもさらに重量感を増している。紺のスカートは、元々短めであったが、この城で用意されたものはさらに丈が詰められ完全にミニスカートとなっていた。黒いソックスとスカートの狭間に垣間見える白い太股は、この年齢にして肉付きのバランスに完成を見る。ともすれば男を誘っているかのような格好で、絹恵はできる限り自分の腕で体を隠そうとする。

 

「な、なんであんたがこんなところに……っ!」

「あんたとはご挨拶だな。お互い恥ずかしいところを見せ合った仲じゃあないか」

「ふ、ふざけんといてっ!」

 

 羞恥に塗れた過去を持ち出され、絹恵は顔を真っ赤にして腕を振る。しかし一方の梅木は余裕たっぷりに笑う。

 

「この城の人間にスカウトされてね。お前がいるって聞いてな、二年前、できなかった事を果たしに来たんだよ」

「……っ、この、変態……っ! あんたなんかに負けへんわ……!」

 

 もう、子供だった頃の自分ではない。梅木を睨み付け、敵意を隠さない絹恵。だが、大人から見れば、まだまだ強がる子供にしか見えないのは明らかだった。

 

「まあ、俺もお前としっかり勝負して打ち負かしたいと思ってたからな。俺に恥かかせた罪は重いぜ?」

「あほちゃうか……! 逆恨みやん、そんなんっ」

「どうかな。色々教えてやりたい事もあるからな、覚悟しろよ。――さあ、今日のルールを説明しようか。と言っても、ある程度は予想がついていると思うが」

 

 梅木が腹立たしい笑みを浮かべながら、麻雀のルールについて喋り始める。しかし彼の言う通り、何をさせられるか絹恵にもある程度予想がついていた。

 何故ならこの対局室は、いつもの部屋よりもずっと広い。雀卓が小さく見えてしまうほど。では他に何があるのかと言うと、この屋内に、サッカー用のゴール――フットサル用ではない――が置かれているのだ。

 

「勝負は東風戦1セットで行う。ただし卓につく前に、俺とお前で、そこのゴールを使って3本ずつ蹴り合うPK勝負を行う」

「……せやろな。で、その結果がどうなるん」

「その後の勝負に影響を与えるのさ。PKの差し引きの点数でお前が勝ち越せば、その分渡すクレジットの倍率を上げてやる。2倍、3倍、って具合にな」

「逆に、負け越せば?」

「その点数分、次のPK勝負までお前にペナルティを与える。そのペナルティを破れば、さらにペナルティを課していく……ってところだ。後、最大の3点差ついた場合は、さらに特別なペナルティを課す。勿論お前が3点差で勝てば、特別にクレジット支払いの倍率を10倍にしてやる。どうだ、怖じ気づいたのならルールを変えてやるが」

 

 どうせろくでもないペナルティだろう。しかし、絹恵に拒否するつもりはない。中学時代の本職はゴールキーパー。PK勝負には自信があった。それにこれは、彼を助け出すために重要なチャンスである。

 

「それでええわ。いくらでも付き合ったる」

「良い覚悟だ。それじゃあ、PK戦の先攻後攻はどちらが良い? 愛宕が決めて良いぞ」

「……それやったら、後攻で」

 

 グローブを着用し、ゴールの前に立つ。本音を言えば制服姿でサッカーなどしたくなかったが、その要望が通る事はないだろう。パンツくらいは見せたるわ、と彼女は覚悟を決めていた。

 

「いくぞ、愛宕!」

「来い……っ」

 

 絹恵はボールに集中する。梅木は腐ってもサッカーのコーチ、決められてしまう公算の方が高い。しかし絹恵は、

 

「よし……っ!」

「ほー」

 

 三本とも、止めて見せた。

 調子を上げて、続いて自分が蹴る番となる。ゴールに立ちはだかる梅木を睨み付け、スカートが捲れ上がるのも気にせずシュートを放つ。

 

「ようしっ!」

 

 3本中2本ゴールを決め、クレジット獲得の倍率を上げる事に成功する。

 

「サッカーから離れていたのに、やるじゃないか」

「あんたみたいな変態コーチとは違うんや」

 

 その勢いに乗って、対局でも見事に勝利を収める絹恵。一日分の稼ぎを、この東風で手にしてしまった。

 

「さあ、もう一回PK戦だな」

 

 しかし、梅木は余裕を崩さない。怪訝に思いながらも、絹恵はゴール前に立つ。今度も全部止めてやる、と息巻くが、

 

「ぐ……っ」

「入った入った」

 

 早々上手く行かず、2本決められてしまう。あまり引き摺らないようにして、絹恵はシュート側に回る。先ほどと同じように2本決めればイーブンで、少なくともペナルティは下されない。集中力を高め、いざボールを蹴り出そうとした瞬間、

 

「愛宕ちゃん、またパンチラ頼むねー」

「なっ」

 

 他の対局者からの、野次が飛んだ。気にしないようにしていたはずが、口にされた事でどきりとしてしまう。蹴り出したボールに勢いはなく、簡単に止められてしまった。

 

「ちょ、余計な事言わんといてっ」

「別に上品なサッカーの試合じゃないんだ。野次くらい我慢しろ。この程度で集中力が乱れるような指導はした覚えがないんだがなあ」

「こ、この……っ」

 

 好き勝手な事を言われる絹恵だったが、ぐっと堪えた。怒りに身を任せた状態では、入るシュートも入らなくなる。

 

「またぷりっとしたお尻見せてー」

「可愛いパンツ履いてるね」

「蹴る度ぷるんぷるん胸が揺れてるぜ。ありゃ90センチ超え余裕だな」

 

 だが、卑猥な野次は止まらない。一度意識させられると、振り払うのは困難だった。

 

「おいおい、どうした、そんなへなちょこシュートは」

「くぅ……っ」

 

 結局1本はキーパー正面、最後の1本も枠外という暗澹たる結果に終わってしまう。得失点差はマイナス2。都合二つのペナルティが課される事になる。

 

「最初だからな。ペナルティは軽めのものにしておいてやる」

「御託はええわ、何やらせる気?」

「次の東風は、お前は二翻縛りだ。それから右手を使うな。左手で打て」

「……そんだけ?」

「それだけだ」

 

 確かに二翻縛りは手が重くなってしまいがちだが、致命的ではない。梅木も他の二人の対戦相手も、大した雀力ではない。右手を使うな、というのは解せないが、負ける気はしなかった。

 事実として、次の東風も絹恵がしっかりとプラス収支を収めた。そして、三度目のPK戦の機会が訪れる。

 

「さあ来い……っ!」

 

 今度こそ全部止めてやる、と息巻く絹恵。梅木の1本目のシュートは、絹恵から向かって右に飛んできた。梅木の視線と体の向きからそれを見事に読み取った絹恵は、右手のパンチングでそれを凌ぐ。

 

「やったっ」

「はーい、愛宕はペナルティ追加ー」

「はあっ? な、なんでっ?」

 

 完璧に防いだはずなのに、梅木はにやにやと絹恵を嘲笑う。

 

「『次のPK勝負までお前にペナルティを与える』って、最初に言ったよな。当然、このPK勝負もさっきのペナルティは続いてる。なのに今、右手使ったじゃねぇか」

「ちょ、そ、そんなん聞いてない……っ」

「あほか。確認しなかったお前が悪い」

 

 冷たく言い放たれ、絹恵は言葉を失う。どこが軽いペナルティだ、と毒づきたくなる。これでは、防げるシュートも防げない。

 

「続けていくぞ」

「ま、待って――」

 

 作戦を考える間もなく、ボールが蹴り込まれる。残り2本とも、絹恵の右手側だった。しかもボールを高く上げられ、足では届かない。結果、2本とも決められてしまった。

 

「こんなん……こんなん……っ」

「絹恵ちゃんがんばってー、またパンチラよろしくねー」

「高校生とは思えないドエロボディだよなあ」

 

 動揺は激しく野次も相俟って、攻める側に回っても、またもや絹恵はまともにシュートを放てない。全てのシュートは防がれるか、ポストに嫌われてしまう。

 

「得失点差はマイナス2だからもう一度2ペナだな。ただし、ペナルティを破ったペナルティも受けて貰うぜ。こっちは時間無制限だ。言って置くけど、拒否権はないぜ?」

「わ、分かっとる……!」

 

 梅木に顔を覗き込まれ、絹恵は目を逸らす。この流れは非常に不味い、と彼女は理解していた。梅木のペースに完全にハマってしまっている。

 

「次の東風は三翻縛りだ」

 

 役の縛りも、重くなっている。少しずつ、有利のはずの麻雀でもその実力差を埋められようとしている。だが、今回の悪辣さは前回以上だった。

 

「もう一つのペナルティ、対局中はずっと俺とキスしてもらう」

「は……はぁっ?」

「俺の代わりは用意するから、打つのはそいつに任せる」

「そ、そんなん、あほちゃうか……っ」

 

 顔面を蒼白にする絹恵だったが、梅木はわざとらしく肩を竦めると、

 

「この程度で驚いてどうするんだ。勝負はまだ始まったばかりだし、何よりペナルティを破ったペナルティが残ってるんだぞ」

「な、なにを――んう、ちょ、何するんやっ」

 

 ぐい、と梅木に手首を掴まれ抱き寄せられる絹恵。彼に背中を預ける形で、彼の腕の中に囚われてしまう。

 

「暴れるなよ? これもペナルティの一部なんだ、逆らえば人質がどうなるか――分かってるよな?」

「……っ、この、変態コーチ――んっ、う、ちょ、どこ触っとるん!」

 

 ブラウスの上から、乳房を揉みしだかれる。梅木の大きな手にも余る巨乳が、ぐにゅぐにゅと歪に形を変える。暴れるな、と言われても本能的に体が動きそうになる。しかし梅木はそれを制するように、絹恵の耳元で囁く。

 

「今更この程度で動揺するなよ。二年前はもっと激しい事しただろ?」

「あれは、あんたが無理矢理……んっ、く、あかん、揉まんといてっ、このっ、んっ、んっ」

 

 片目を伏せて、いやいやと首を振る絹恵。彼女の恵まれた体で本気で抵抗すれば、振り払えるかも知れない。だが、想い人を思うとそれはできなかった。その間にも、梅木の右手は絹恵の右の胸を蹂躙し続け、左手はスカートの中に伸びる。血の気が引いた絹恵は絶叫しそうになるが、

 

「そ、そこ、そこあかん――んうっ、ふ、ふぅぅっ」

 

 ショーツの上から割れ目をなぞられ、浅い息が漏れる。絹恵が混乱している間に、梅木はブラウスの中に右手、ショーツの中に左手を侵入させる。

 

「っ? や、まっ、ちょ、直接なんて、ん、んうっ、んっ、んっ」

「前は直接舐めてやっただろうが、このくらいなんでもねぇだろ」

「あ、かんっ、んっ、んっ、そこ、や、ゆ、指入っ――っ、んっ、あっ、あっ」

 

 梅木の腕の中で愛撫を受け、絹恵は確実に感じ始めていた。こんなふざけたペナルティ、納得できるものではない。だが、梅木の指使いは非常に巧みだった。

 

「んうっ? ふ、くぅ、んうっ、んっ、あっ、そこっ、あっ、あっ」

 

 ブラも押しのけられ、乳首を指の腹で転がされる。探し当てられたクリトリスを、きゅっと抓まれる。

 

(なんや、なんやこれ……っ)

 

 自慰では得られない快感。思い出すのは、二年前襲われかけた時の事。あの時も、得体の知れない悦楽を与えられた。男を知らない絹恵の体が、あっという間に発情させられる。百戦錬磨の梅木のテクの前では、絹恵は小娘に過ぎなかった。

 

「ん……っ、ふ、んう、くぅ……っ、んっ♡ んっ、んっ、んっ」

 

 視界に靄がかかり、意識が薄れていく。いつの間にか左の乳房も同じように揉まれ、秘所はほぐされ愛液が漏れ出始めていた。

 

(こいつ、このぉ……っ、なんで、なんでぇ……っ)

 

 肉体を好きにされながらも、絹恵は抵抗する力さえ失ってしまう自分に憤る。背後の梅木が嗤っている事を感じ取るが、強がる事もできない。

 

「っ? んううっ?」

 

 じわりじわりと続いてきた愛撫に、異変が起きる。秘所の入口に、指先では無い硬質的な異物が挿入されたのだ。眼鏡の奥の眼を白黒させて震える絹恵だったが、続いて左の乳首にも何か硬いものが貼り付けられる。

 

「はっ、なんなん、なんなんこれっ」

「暴れるな、こっちもだ」

「んうっ」

 

 仕上げと言わんばかりに、右の乳首にも同じものが貼り付けられる。すっと、梅木の手が引き抜かれていくが、

 

「外すなよ」

 

 と、ドスの利いた声で脅される。

 

「せ、せやからこれは、なんな――っ? んううっ?」

 

 梅木の手は離れたはずなのに、両の乳首と股間に衝撃が走る。貼り付けられ、挿入されたものが震えているのだ。

 

「ピンクローターだよ。初めてなんだな、こういうのも。愉しめよ。ずーっと着けておくんだぞ。外したらまたペナルティ追加だからな」

「あ、あほか、こんなん……っ」

 

 顔を真っ赤にし、着衣の乱れを直しながら、絹恵は歯噛みする。ブラとブラウスの下に、楕円形のローターの形がはっきりと浮き出てしまっている。ショーツも同様の状況だった。こんな道具を持ち出すなんて卑怯な、と絹恵は怒るが、それが通じる相手ではないのも分かっている。

 

「さあ、対局と行くか。さっきのペナルティは、覚えてるな」

「う……」

「さあ、卓につけ」

 

 梅木の代わりに、新たな黒服の男が卓に加わり四人打ちとなる。

 当の梅木は、絹恵の右隣に椅子を持ってきて、彼女のすぐ傍に座る。絹恵の髪をかきあげ、勝ち誇ったかのように笑う梅木。一方の絹恵は頬を朱に染め、椅子の上で縮こまっていた。当然の反応だった。

 

「二年前は、キスはできなかったが」

「……っ」

「あれから他の誰かとしたか?」

 

 絹恵は沈黙を貫こうとした。しかし、

 

「ふぅうっ? んんっ」

 

 乳首につけられたローターが動き出し、愛撫によって凝り固まった乳頭を刺激する。突然の衝撃に思わず身悶えする絹恵へ、梅木はいやらしく訊ね直してくる。

 

「誰かと……例えば、お前が助けようとしてる男子とはしたのか?」

「…………してへん」

「それじゃ、お前のファーストキスを頂くとするか」

 

 涙が零れそうになる目をきゅっと閉じ、絹恵は覚悟を決める。梅木の手が頬に添えられ、隣の梅木に振り向かされる。正面に来た彼のイケメンと言える面が、腹立たしかった。どれだけ外面が良くても、こんな男と接吻するなど本来許せるわけが無い。唇が、自然と震えていた。

 

「ほら、顔寄せろ」

 

 だが、絹恵の苦しみなど梅木には関係ない。無情な命令が下され、絹恵は自らの意思で、梅木の口へと向かって行く。

 

「……ん……っ」

 

 そして、二人の唇が重なった。大切にしていたものを、略奪される苦み。想い人への申し訳の無さ。様々な負の感情とは裏腹に、梅木は容赦なく唇に吸い付いてくる。

 

「んぷっ、むぅっ、ん、むちゅ、んむうっ」

 

 初めから、はしたない大人のキス。スポーツマンの癖に、彼の口はとても煙草臭い。唾液を交換しながら、さらに舌が入れられる。

 

「んうっ? ん、んじゅっ、むうぅ、んうっ」

 

 梅木の舌は絹恵の歯茎を丹念になぞると、今度は彼女の舌を突き始める。絹恵は舌を引っ込めようとするが、巧みな梅木の舌に絡め取られてしまう。

 

「んむ、ん、んうっ、じゅる、んじゅうっ」

 

 泡立った唾液が、絹恵の口元で弾ける。一筋の涙が、彼女の頬を伝ってこぼれ落ちていった。

 

「ん、むうっ、じゅ、じゅる、んむ……ぷはっ」

「随分と良さそうだな」

「だ、誰が、こんなん……っ」

「強がるなよ。お前も舌絡ませてきた癖に」

「っ、しとらへん、そんなんしとらへんっ」

 

 酷い言いがかりだ、と絹恵は声を荒げる。だが、梅木は自信たっぷりに言う。

 

「してたさ。自覚がなかったのか? 分かってるんだぜ、お前はずっと俺とキスをしたかったんだよな」

「は、はあっ? そんなわけ――」

「したかったんだよ。二年前、出会った時からずっと。俺とキスをしたかったんだ」

「そ、そんなわけ……あら、へん……」

 

 梅木の言葉が、妙に頭に響く。反論する絹恵の声から、力が抜けていく。どういうわけか、こうして近くで語りかけられる度に絹恵の自信が失われていく。

 それこそが、彼の能力だと絹恵は気付かない。気付けない。――『梅木コーチに応援されると元気出るんだよねー』。過去、その力を用いてサッカークラブで選手からの信頼を得ていた事など、彼を避けていた絹恵が知る由もなかった。

 

「まあ、俺は優しいからな。いくらお前が小生意気でも、ずっと俺とキスしたかったっていうお前の望みくらい、叶えてやるさ」

「んっむ……っ」

 

 再び重ねられる唇。セカンドキスも、あっさりと梅木のものにされてしまう。すぐに舌を入れられ、またもや口内を舐め取られる。

 

「んっ、んちゅ、ん、ん、れろ、んう……っ♡」

 

 最初は抗おうとしていた絹恵も、それを受け入れる。それが当然と言わんばかりに。――自分がそれを、望んでいたかのように。

 

「さあ、そろそろ対局開始と行こうか」

「ふ、は……っ」

「三翻縛りだぞ、精々頑張れ」

「んちゅっ」

 

 唇を奪われた状態で、牌が配られる。すぐ目の前には、梅木の顔。この状況で、自分は勝てるのだろうか――絹恵は絶望の淵に、ぎりぎりの状態で踏み止まっていた。




というわけで姫松でも屈指の安産型の絹恵編開始です。
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@krarisss
やってるのでリクエストとか提案があれば気軽にこちらにもお願いします。
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