麻雀天使堕天計画 作:クラリス
宥が変則脱衣麻雀に敗北して、既に三時間が経とうとしていた。
「んっ……」
ベッドにうつぶせに寝転がされた彼女は、艶めかしい声を上げる。散々乳房を弄ばれた結果、桃色のブラの肩紐は外れてほとんど意味をなしていない。その巨乳は、彼女自身とベッドに挟まれ潰れているが、張りと艶は失われていない。室温は真冬並に下げられおり、本来の彼女であれば寒さで凍えているだろう状況。しかし裏腹に、宥の頬は紅潮していた。
ともあれ宥でなくても耐えかねる寒さだ。この中で彼女が半裸を晒していられる理由は、
「ちょっと元気なくなってきたね、宥ちゃん」
ひとえに、覆い被さる男の存在だった。宥の小さな背中にまとわりつくように体を重ね、彼女の左の手首をがっしりと握ってベッドに抑え付けている。右の指先は彼女の横乳のラインをなぞり、
「ゃん」
宥の口から切なげな声を漏れ出させる。こそばゆい刺激でさえ、今の宥には大きな波となって体を苛む。
つつつ、と男の指先は下半身に向かい脇を通り抜け、臀部に到達する。ずるずるとスカートが半分ほど下ろされると、披露されたのは赤味を帯びたヒップだった。パンツは無理矢理、股に食い込まされていた。
「宥ちゃんのお尻、おっきいよね~。ずーっと狙ってたんだよ」
「あ♡」
ぐにゃり、と男の手の中で尻の形が歪む。痛みはなく、代わりに股の間にじぃん、と響くものがあった。
栗色の髪がかきわけられ、宥の白いうなじが露わになる。男はそこにも、ついばむように唇を這わせた。
「んっ――♡ んっ――♡ んっ――♡」
ぞくぞくぞく、と宥の全身を震えが走る。宥はベッドのシーツを噛んで、堪らず発しそうになる嬌声を抑え付けた。
誰かに体を預ける経験などあろうはずもない宥だったが、この男の舌技は卓越していることはよく理解出来た。たっぷり一時間もキスされていた間、確かに彼女は多幸感を覚えていたのだ。
「宥ちゃん」
「あっ♡ は、はいっ?」
男の顔が、宥の頬に寄せられる。髪と髪が触れ合い、鼻息さえも感じてしまう。
「好きだよ、宥ちゃん」
「んぅ――」
男の伸ばされた舌が、宥の口先に触れる。一瞬面食らった宥だったが、条件反射的に自らの口を開いて受け入れていた。
「はむっ♡ んっ♡ 舌、熱♡」
「良い、良いよ宥ちゃん」
じゅるる、と宥の唾液を飲み込みながら男は歓声を上げた。
「今のキスは、俺の気持ちを受け入れてくれるってことだよね」
「ち、違いますっ!」
はっと宥は目を見開いて男から顔を背ける。もっとも上からのしかかられた形のため、ほとんど逃げ場はなかった。
「なんだよ、連れないなあ。まあ、焦らず急がずじっくり行こうか。明日の朝までは十二時間以上時間がある」
「…………」
あまりにも長すぎる、絶望的な時間だった。宥は言葉を失い、脱力する。
「さっきも言った通り、セックスはしないけど――もしも宥ちゃんがしたくなったら言ってね。俺はいつでも準備できてるから」
「……っ!」
ぐい、とお尻とお尻の間に押し付けられる熱い棒のような感触があった。振り返れない宥は――あるいは振り返りたくもない彼女は――その正体に勘付きながらも、無視した。
「私が、好きなのは須賀君だけですっ……」
「ほう」
「だから、他の誰ともしません……!」
「泣かせるなー。でも、肝心の彼のほうはどうかな?」
「ど、どういう意味ですか」
男は宥の上で肩を竦めて言った。
「宥ちゃんには興味ないかもよ? 他にも女は一杯いるんだから。君みたいな病弱そうな子より、健康的な子のほうがモテるしねぇ」
考えないように、考えないようにしてきたことを、あっさりと男は口にする。
「そう――例えば、玄ちゃんとか」
「……言わないで」
今、玄の名前を聞きたくなかった。本当に彼女は自分を裏切ったのか。どうして裏切ったのか。考えるのが、怖かった。
「おおっと、ごめんごめん、泣かないでくれよ宥ちゃん。冗談だよ。それに、俺は宥ちゃん一筋だから」
「あぁっ♡」
両胸を横から挟むように掴まれて、宥は悦ぶ。
「悲しい気持ちは、俺が吹っ飛ばして上げるよ」
「ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡ そこ♡ だめ♡ 辛いの♡ ダメなの♡ ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡」
悔しいが、男の言うとおりだった。責められている間は、頭が真っ白になって何も考えなくて済んだ。眉がハの字にしおれ、困ったように宥は空腰を使う。股下のシーツに生まれる染みは、渇く間もなく濡れていく。
ごろりと宥の体は転がされ、今度は仰向けに。真上から男に見下ろされ、宥はどきりとした。はだけたブラジャーから覗く乳首を、それでも彼女は手で覆って隠そうとする。が、その前に男の手に止められてしまった。潰されていたはずの乳房は、形を保ち乳首はぴんと天井を向いていた。
「とりあえず一割ってところかな」
「い、一割……?」
息荒く、宥が鸚鵡返しに訊ねる。「そう」、と男は軽く頷いて答えた。
「宥ちゃんの開発進行度。ま、制限時間内までにはもっと感じやすくしてあげるから安心して」「そんなのっ、安心できるわけが――んんっ♡」
首筋に吸い付かれ、勃った乳首を抓まれ、秘所に指を挿れられ。
「ん♡ ん♡ ん♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡ んんっ♡ や♡ や♡ ああああ♡ ああああああっ♡」
宥の体が、弓のようにしなる。訳が分からず、頭の芯まで真っ白になった。しばらく震えていた彼女の体は、最後には脱力しぱたんとベッドに落ちた。
「お、初イキかー」
「い、いき……?」
「アクメ、俺の愛撫が気持ちよすぎて絶頂したってことさ。素質あるよー、宥ちゃん」
自分で自分を見失う感覚に、宥は恐怖を覚えた。知識では知っていたが、自慰では経験したことのない領域だった。
「次イクときは、『宥イク』って言ってね。『貴方の手でイッちゃいます』、とかでもOK。そっちのほうが燃えるから」
「……そんなこと、言いません」
「うんうん、まぁ最初はこのくらい反抗的なほうが楽しいから良いよー。とりあえず、日が暮れるまでに五回はアクメ決めようか」
勝手なことばかりを言う男に、宥は顔を背けて抗議する。気の弱い彼女には、それが精一杯だった。
「あっ♡」
ぐい、と胸を掴まれる。再び宥は、嬌声を上げ始めた。
――六時間後。
「あっ♡ あっ♡ んっ♡ んっ♡ んんんんんっ♡」
「お、またイッた? 宥ちゃんも元気だねー」
男の愛撫は、一向に緩む気配がなかった。時には正面から、時には背後から、時には隣から、あらゆる角度から宥を責め立てる。
「でもまだ素直にならないなんて、強情だなぁ。気持ち良い、くらい言ってくれてもいいんだぜ」
「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
既に、涙も涸れていた。全身汗だくで、荒い呼吸によって胸は大きく上下する。男の軽口に答えないのでは無く、答える体力が残されていなかった。
これまでずっと宥を抱き締めていた男が、ここで初めてベッドを立った。
「あ――」
自然と、宥は彼の腕を取っていた。一瞬、男がぽかんとした表情を浮かべるが、すぐににやあ、といやらしい笑みを浮かべる。
「なんだ、宥ちゃん。俺と離れるの、そんなに嫌だったの?」
「ち、違っ!」
自分のこの行動に、何より驚いたのは宥自身だった。言い訳するように、彼女は言った。
「さ、寒いだけだから……っ」
「あれ? 宥ちゃん気付いてなかった? 冷たい風がちょっと気持ち悪くてさぁ、三時間くらい前に、暖房に切り替えてたんだよ?」
「え、え?」
男の言うとおりだった。放り投げられたエアコンのリモコンには、暖房の表記があった。さらに、よくよく感じれば暖かい風が送られてきている。――半裸の宥でも、行為で体温が上がった今なら、耐えられないほどではない室温になっていた。
「……そ、それでも寒くて……!」
誰が聞いても嘘だと分かる震えた声で、宥は言い訳を繰り返す。男はにやにや笑いながら、そんな彼女を見下ろす。
「分かった分かった。宥ちゃん寒がりだもんな。そんな宥ちゃんの服代わりになれて俺は嬉しいよ。ま、ちょっと待ってな。流石に休憩だ」
男は冷蔵庫からペットボトルの水を取り出すと、ごくごくと飲み始めた。それを見た宥は、たまらず喉を鳴らす。
「あ、あの、私も……」
午前中から責め立て続けられ、ろくに水分も食事も摂っていない。その上、口からも肌からも秘所からも大量の水分を失っていた。昂ぶりに感覚が麻痺していたのか、今になって急激に喉の乾きを自覚する。
「ん? 水、欲しいの?」
「は、はい……」
「しょうがないな。一本100000クレジットだ」
「じゅっ……!」
法外な値段を吹っかけられ、宥は絶句する。与えられた自室ならば、水は無料で手に入るというのに。
「ま、今の手持ちじゃ足りないよね。宥ちゃんさっきの50000しか持っていないだろうし。俺の飲みかけで良いならあげるけど、どう?」
「……お、お願いします」
間接キスなどと、恥ずかしがっている暇はない。宥は彼のペットボトルを受け取ろうと手を伸ばすが、男は応じなかった。代わりに自分で一口呷ると、
「んむっ」
口に水を含んだまま、宥の唇を奪い去る。臨戦態勢が解除されていた宥はこれに驚くが、
「んっ――んぐっ、んぐっ」
男の口から水が送り込まれてきて、意図を察する。目を瞑り、受け入れるしかなかった。
「――ぷはっ」
「んっ」
ようやく口が離れると、男は嗜虐心を露わにした笑みを浮かべ、宥に語りかける。
「満足したか?」
「……」
口移しで送られてきた水の量は、ほんの僅かだった。二人の口の端から、飲みきれなかった分が溢れている。さらなる水を要求しようとし、
「ああ、もしももっと欲しいならさ、こう言ってよ――」
男が宥の耳元で、囁く。要求された文言に、宥は肩を震わせた。しかし、ここで無意味に反抗しても喉は潤わない。
「……あ、貴方の」
「うん?」
「貴方の、キスが良いんです。貴方に、キスされるのが気持ち良い、んです。だから、……もっと、くだ、さい」
「五十点ってところだけど、ま、良いか。宥ちゃんにしては上出来だ」
「んんっ」
男はわざと小分けにして、宥に水を口移しする。その度に、
「貴方のキスが、好きなんです」
「して、ください」
「いっぱい、して」
宥に、おねだりを強要した。最後には扇情的なポーズまでさせていた。この模様も全て、カメラに収められていることを宥は忘れていた。
その後も宥は責め立てられ、本当に朝まで男に付き合わされた。
朝日が昇りきった頃。
宥は、脱ぎ捨てていた制服を纏い直す。下着は使い物にならず、ノーパンノーブラという有様だった。ほとんど寝ていないのに、妙に目は冴えていた。
「それじゃあ、行こうか」
男も着替え終わり、ベッドから立ち上がる。――彼は、今日の宥の対局相手だと言う。何一つ嬉しくない情報だった。
「宥ちゃん」
名前を呼ばれ、顎を突き出される。無意識の内に、宥はその彼に接吻していた。触れ合った瞬間はっと気付き、男と距離を取る。
「調教の成果は出てるみたいだな」
「……もう、しませんから……」
逃げるように宥は部屋を出る。――男とキスした瞬間、胸の奥に温もりが生まれたのを宥は自覚していた。すっかり変わってしまった自分の体に、泣きたくなった。
対局室は、一昨日までと変わらない場所だった。昨日散々宥を弄んだ男が、対面に座る。他の二人も、にやにやといやらしい目付きで宥を見つめていた。
ずっと打っていたはずの麻雀が、久しぶりに感じる。そう言えば、顔見知りが近くにいない状況で打つのも久しい。何よりも、妹の玄がいないのが辛かった。
対局自体は、宥のペースで進んだ。どんな小細工を弄そうとも、単純な麻雀の実力ならインハイトップクラスに位置する彼女に男達は敵わない。
けれども、宥は違和感を覚えていた。
(この人達の余裕は、なに)
何か意図があったとしても、振り込んだりすれば悔しいものだ。しかし、彼らからは一切その類の感情が見られない。まるで、宥を鑑賞するのが楽しいように。
――しかし。
対局が宥の大量リードで中盤に差し掛かったとき、男は仕掛けてきた。相も変わらず軽薄そうな金髪を揺らし、彼は宥に語りかける。
「ねぇ、宥ちゃん。今玄ちゃんがどこにいるか、知ってる?」
「……知りません」
「そっかぁ。実はね、昨日まで宥ちゃんがいた部屋にいるんだ。この意味、分かるかな?」
宥は、眉を潜める。男は構わず言った。
「宥ちゃん、愛しの彼に会いたくないかい?」
「え――」
「もしも会いたいなら……ここから全部、和了放棄するんだ。別にそれでクレジットを寄越せなんて言わないよ。そうするだけで、良いんだ」
そこで、宥は全てを察する。
「……そしたら、玄ちゃんは服を脱がなくちゃいけないんですね」
「理解が早くて助かるよ」
つまり昨日と、立場を逆転させたのだ。悪趣味ここに極まりで、宥は膝の上で拳を作る。温厚な彼女らしからぬ、行為だった。
「宥ちゃんはもう裏切られたんだ。今度は宥ちゃんが良い想いをする番だよ」
「…………」
宥は答えない。自動卓から出てくる牌に視線を落とす。男達は、変わらずにやにや笑ったまま。
かつてない怒りを、宥は感じていた。きっと、男達は「そうする」と思っているのだろう。裏切られたなら、裏切り返すと。
「――ツモ」
宥の宣言に、男達は目を見開く。
「3000・6000です」
「……良いのかい、宥ちゃん。玄ちゃんは、君を裏切ったんだよ」
「私はまだ、玄ちゃんが裏切ったなんて思ってません。きっと、別の理由があったんだって信じてます」
冷静になった今なら、その可能性に至れた。そう。自分達の姉妹の絆を、自分達で疑ってどうするというのだ。
「それに」
宥は、毅然とした態度で続けて言った。
「私は、おねーちゃんだから」
一瞬の間の後。
「は……ははははっ、ははははははは!」
対面の男が、高笑いを上げた。
「良い、良いよ。やっぱり君は良い! 俺が見込んだとおりの――いや、それ以上の女の子だ! 君に惚れて良かった!」
「……貴方に褒められたところで、嬉しくもなんともないです」
暖かみの一切無い声で、宥は言った。彼女はマフラーを巻き直し、もう後は対局に全ての集中力を注ぎ込んだ。
戦いは深夜帯まで及んだものの。
結果は言うまでもなく、宥の勝利だった。
同時に、彼女は追い詰められていた。
対局が終わり、宥は席を立ち上がる。大学生風の男以外は、さっさと退散していった。
「今日は完敗だったよ、宥ちゃん」
重みの欠片も感じない笑顔と共に、男は握手を求めて片手を差し出してくる。昨日、この手が自分を乱れさせた。そう思うと、宥は応じる気になれなかった。
「嫌われたなあ」
「私、部屋に帰ります。玄ちゃんは、今どこにいるんですか?」
「あー、ちょっと待ったちょっと待った。玄ちゃんは、また別室で待機中なんだけど……」
男はちらりと時計を見てから、随分と大袈裟に頷いた。このオーバーリアクションがまた、宥は生理的に好かなかった。
「おお、丁度良い。そろそろ時間だな」
「時間……?」
「面白いものが見られるかも知れないぜ」
何が、と宥が問うよりも早く男は、部屋に備え付けられたテレビモニターの電源を入れていた。
だんだんと、モニターが明るくなってくる。
そこに映っていたのは、一組の男女。ベッドを軋ませながら、抱き合っている。
「え……?」
呆然と、宥はそれを見上げる。あまり良いカメラを使っていないのか、映像は荒い。だが、自分に馴染みのある制服を、馴染みのある妹を、見間違えるはずがなかった。
そして、玄の上に男が乗りかかっていた。男は金髪で、筋肉質な体つきをしている。カメラは正面から彼の顔を捉えていないが、見覚えはあった。
「す、須賀君……?」
宥の片想いの相手、その人にしか見えなかった。
何よりも――
『あん♡ あっ♡ あん♡ 京太郎君♡ 良い、良いよ♡ 気持ち良いのです♡ 好き♡ 好き♡ 大好きなのです♡ 京太郎君♡』
彼の下で喘ぐ妹が、何度も彼の名前を呼んでいた。よくよく見れば二人は――繋がっていた。妹の秘所に抜き差しされる肉棒に、宥は呆然となる。
「悪い妹だな、姉を罠に嵌めて自分だけお楽しみとは」
隣で嘲る男の言葉も、今の宥の耳にはまともに入ってこない。玄の喘ぎと、京太郎の荒い息だけに集中しきっていた。
『好き♡ 大好き♡ 京太郎君♡ もっと突いて♡』
同じ言葉で繰り返し喘ぐ妹の耳元で、京太郎が何やら耳打ちする。玄は一拍の間の後、
『おねーちゃんなんかどうでも良いのです♡ 京太郎君がいてくれたら♡ あっ♡ 良いのです♡ おねーちゃんがいたら♡ ん♡ こんな風にはなれなかったから♡』
宥は、膝から崩れ落ちた。しかしながら、玄はたたみ掛けるように言う。
『京太郎君のためなら♡ 京太郎君に会うためなら♡ なんだってするの♡ あん♡ おねーちゃんを裏切っても♡ や♡ そこ♡ あ♡ 裏切っても♡ 良いの♡』
ぼろぼろと、宥の瞳から涙が溢れる。
『今日も♡ 私を守ってくれたみたいだけど♡ どうでも、良いの♡ ねぇ♡ 京太郎君は♡ おねーちゃんと私、どっちが好きなのっ♡』
玄の質問に、画面の中の京太郎は。
熱いキスで、答えていた。まるで恋人のように、二人は何度も何度もキスを求め合う。
違う。
これはもう――本物の恋人だ。
ぷつん、とモニターの電源が切れる。だが、宥は真っ暗になった画面を見つめ続けた。
「宥ちゃん」
「あっ」
大学生風の男が、背後から宥の体を抱きすくめる。戸惑う宥だったが、抵抗はなかった。
「見せておいてなんだけど、流石に思ってたよりも酷かったよ。まさか玄ちゃんと彼があそこまでとは。宥ちゃんは、裏切られても玄ちゃんを信じて裏切らなかったのにね」
白々しい、と分かっていても――男の言葉は優しく、宥の心に染み渡っていく。一度全てを否定され、彼女の心は既に折れていた。
「あっ――」
制服の上から、胸に触れられる。下着を着けていない分、直接的な刺激が宥を襲った。
しかし、昨日とは決定的に違うものがあった。あれだけ触れられる度肌が粟立っていたはずなのに、その兆候は全くなかった。――嫌悪感が、薄れている。
「こっちに来な、宥ちゃん」
「……」
手を引かれても、宥に抵抗はない。むしろ男の手を握りかえして、ついていった。
妹に手酷く裏切られ。
愛する男と繋がる様を見せつけられ。
その男も、残忍な妹を選んだ。
それでも二人を信じたい気持ちがないわけではなかった。だが、ただ振られるよりも残酷な状況に、宥は自暴自棄になっていたのは間違いない。
もう、何もかもどうでも良かった。
ベッドの上に、二人で横並びになり腰掛ける。昨日、初めて出会った時と同じ姿勢だった。
「ん――」
「はむっ」
どちらからともなく、唇を寄せ合っていた。
「んっ、はんっ♡ んんんっ♡」
制服の上から、右の胸を揉みしだかれる。男の左手は、スカートの裾を器用にたくしあげ、臀部に指を這わせた。
口と口の間で、ぐじゅぐじゅと唾が音を立てる。二人の唾液が混じり合い、泡立っていく。
一度、キスが止まる。
僅かに距離を取ると、言われなくとも宥はベストを脱ぎ去った。薄いシャツの下では、豊満なバストが存在を主張し、乳頭はつんと上を向いている。男の指がシャツのボタンに触れ、一瞬宥はそれを止めようとする素振りを見せた。だが、結局はされるがままになっていた。
男はシャツのボタンを全て外さず、胸だけがまろびでるようにはだけさせた。
そして、今度は自分のズボンを降ろす。
「ひっ」
思わず宥が悲鳴を上げてしまうほど屹立した逸物が、飛び出てきた。
「触って、宥ちゃん」
昨日の宥なら、そんな命令はねのけただろう。だが、彼女の指は自然と伸びていた。もう、考えるのも嫌だった。
熱く、硬い。男が幸せそうな息を漏らしてから、立ち上がると宥の胸に押し付ける。
「きゃっ」
「折角大きい胸があるんだからさ、パイズリしてよ。わかる? パイズリ」
「……知って、ます。でも、初めてだから」
知識としては、雑誌で読んだことがあった。彼は大きな胸が好きなのです、練習しておくのです――マセた妹が、そう言っていたのを思い出す。その経験を、昨日出会ったような男に見せるとは思いもしなかった。
「俺が教えてやるよ」
「あっ、熱……」
「うぉ、すげ、これ」
男の巨大なペニスが、宥の胸の内に埋もれてしまう。男は宥の手をとると、両脇から自分の胸を挟むよう指導した。さらに男は腰を動かし始める。
「ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡」
熱いものが擦れる刺激が、宥を昂ぶらせていく。気付けば男の補助なしでも、自分の手で胸をペニスにこすりつけていた。代わりに男の指先は、宥の乳首に伸びる。
「あ♡ や♡ そこ♡ 弱いの♡ ダメなの♡」
「良いのか、なぁ、宥ちゃんっ」
「うん♡ 気持ち良いの♡ ダメ♡ ぁ♡ ぁ♡ ダメ♡ あああ♡ イク♡ 宥イクの♡」
「俺もそろそろイクぞ……!」
「イク♡ 宥イッちゃう♡ 貴方の手で♡ イッちゃいますっ♡」
昨日、あれだけ強要されても言わなかった言葉を宥は口にしていた。
かつてない絶頂感を覚えると同時、白濁が宥の顔にかかる。
「んんんっ」
牡の臭いに顔をしかめるが、宥は逃げようとはしなかった。
「はー♡ はー♡ はー♡」
代わりに荒い息を吐き、肩を震わせる。――気持ちよかった。それ以外、言葉が出てこなかった。
「舐め取って」
短い命令と共に、男がペニスを突き出してくる。フェラチオも、知識としては知っていた。後に男から「お掃除フェラ」という単語を教え込まれるが、今の宥はとにかく彼の指示に従うばかりであった。そうしていれば、胸にぽっかりと空いた穴を埋めてくれるのだから。今は、彼しか埋めてくれる人がいないのだから。
躊躇いながらも、亀頭へと口付ける。さらに男がペニスを突き出し、宥は口を開けて迎え入れた。精液の味は苦く、嘔吐きそうになるが我慢した。
「良いよ、宥ちゃん。凄く良い」
「はむっ、んんむっ、ほんとう、ですかっ? じゅる、あむっ」
媚びるように、上目遣いで宥は男を見上げる。男ならば誰もが持つ矜持を満足させるには、充分だった。
「ああ、良いよ。初めてにしては上出来だ」
男は再び絶頂に達する前に、宥の口からペニスを抜き取った。鈴口と宥の唇が、唾液と精液のが入り混じった液体の橋で結ばれる。言われるよりも前に、宥はそれら全てを吸い取った。
「あっ♡ やだっ♡」
ベッドの上に押し倒され、宥は形だけの拒否の言葉を口にする。既にぐしょぐしょになっているスカートの下に、男の指が伸びた。濡れた膣は、
「ああん♡ そこ♡ 良すぎるの♡」
あっさりと第二関節まで飲み込んでしまう。受け入れる準備は、充分に整っていた。しかし男はなおもじっくりと宥を責め立てようとした。宥の口と乳頭へ、交互に舌を這わせながら秘所を愛撫する。
「あ♡ あ♡ あ♡ 良い♡ 気持ち良い♡ 良すぎて♡ 私♡ ダメになっちゃう♡」
「良いんだよ、宥ちゃん。ダメになって。俺が責任持つから」
「せ、責任っ? あ♡ あ♡ んんっ♡」
「そう、責任とるよ。だから――良いよね?」
具体的にどんな責任か一切言及せず、男は都合の良いことだけを口にする。目尻に涙を溜め、喘ぎ続けながら、
「……はい♡」
媚びるように、こっくりと頷いた。
下腹部に感じる違和感。ゴムを、と頼む暇は無かった。ずぶずぶと、貫かれていく。途中で、男の腰が動きを止めた。
「分かる? 今、処女膜の手前まで来たんだ」
「ん♡ ん♡ は、はい♡」
「本当に、俺で良いのかい? まだあいつが、好きなんだろう?」
今更の質問に、宥の瞳から涙がこぼれ落ちる。その通りだった。今でも自分は、彼のことが好きだ。
――思い浮かぶのは、彼と、妹が抱き合う姿。
だけど、それでも、今は。
今だけは、忘れさせて欲しかった。
「……あの」
「なんだい?」
「名前、教えてくれませんか……?」
「ああ。一応ね、本当はルールで名乗っちゃいけないんだけど――特別に教えて上げる。俺の名前はレイジ。レイジって言うんだ」
レイジ。その名前を、宥は舌の上で転がす。名前も知らない相手とセックスしたくない、という少女らしい心が働いていた。平時の宥なら、思わないようなことだった。
「……あ、貴方が。レイジさんが、良いんです」
あえて、宥は覚えさせられたおねだりの言葉を使っていた。今から自分は、自分を裏切る。好きな男から、目を背け彼を裏切る。その咎を、自らに刻み込むために。
「貴方にされるのが、好きなんです。レイジさんに、して、欲しいんです。…………して、ください」
「もう一声だ」
「……!」
彼の要求は、分かっていた。
宥は躊躇いながらも、応える。その方が、自分も燃え上がると分かっていたから。
「……須賀君じゃ、なくて。レイジさんが、良いんです。レイジさんと……セックス、したいです」
「合格だ」
「あっ――!」
一瞬走る、破瓜の痛み。だが、それは長続きしなかった。
「ぁ♡」
すぐに、宥の膣内は男のものに順応する。調教の成果は如実に現れていた。
「ぁ――♡ はぁ――♡」
「動くよ」
「ちょ、ま――ぁっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ なに♡ すご♡ これすご♡ 気持ち良い♡ あったかい♡ あったかいの♡」
「俺も、気持ち良いぜ、宥ちゃん!」
何度も何度もキスをされる。宥は彼の首に腕を回して、応えていた。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ イクの♡ もう宥イクの♡ イッちゃうの♡ レイジさんに突かれて♡ あん♡ イクの♡」
「ああ、イケ、宥ちゃん、じゅる、はぁ、好きだぜ宥ちゃん!」
「好き♡ 私も好き♡ 大好き♡ 大好きなの♡」
そこで男の名前を呼ばなかったのは、最後の宥の意地か、理性か。
されども、最後には。
「イク♡ イキます♡ レイジさんに♡ レイジさんに愛されて♡ 宥はイカされるの♡ 幸せに♡ なっちゃうの♡」
子供のように栗毛を振り乱し、
「あ♡ ああああ♡ イク♡ 宥イク♡ イク――――♡」
快楽に、その身を全て委ねた。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
思っていたよりも随分楽だったと、宥を犯し尽くした男――レイジは全て終わった後、ベッドの上で嘆息した。シーツにくるまり寝息立てる宥を、次はどんな風に犯してやろうかと画策しながら煙草に火をつける。
「お」
そこに入って来たのは、別の男――金髪の少年だった。
その姿は、まさに宥の想い人、「須賀京太郎」。しかしながら、
「そっちもミッション第一段階クリアか? って、今はまずいか?」
少年の声とは似ても似つかない、だみ声だった。京太郎を知る者が聞けば一瞬で分かったろう――「偽者」だと。
「いや、宥ちゃん完全におねむだから大丈夫さ。それに、もうバレたところで大した問題にならない。ま、ネタばらししたときまた楽しめるんだけどな。果たして宥ちゃん耐えられるかな」
「お前もやり手だねぇ。あの映像は、役に立ったみたいだな」
「お陰様で。その格好で玄ちゃん犯してくれなきゃ、落ちなかったろうよ」
「苦労したぜ、あれだけ演技させるの。ま、よがらせたのは俺の技だけどな」
「ああ、分かってるよ。玄ちゃんの乱れっぷりがマジだったから、宥ちゃんも騙されたんだ」
軽口をたたき合うように、男達は少女達を貶めた罠について語り合う。
松実姉妹の嵌まった闇は、深い。
次回は今回の裏側・クロチャー編やるか姫様編やるか悩んでます。。。
Twitterでリクエストをとっています。気軽にリプライ下さい
@krarisss
リクエスト受付内容(いずれも複数回答可、全てに回答頂かなくても良いです)
1.登場して欲しい咲キャラ
2.賭け麻雀のルール(脱衣や飲薬といったえっちなルール)
3.女の子が汚されるシチュ(痴漢や、プレイ内容、古城という舞台に拘らず)
4.登場して欲しい寝取り男の設定(イケメン、キモオタなど)
5.寝取り男のタイプ×咲キャラの組み合わせ
6.好きな寝取られシチュ
7.既存のシチュやキャラで気に入ったもの
8.その他自由に
よろしくお願いします。特にそそる賭け麻雀のルールを待ってます。