※この作品はR-18です。

対魔忍アサギ 苦労人奮闘記   作:HK416

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『これは彼にとってご褒美ではなく作業、よって苦労と変わらない』

「ッ、――――これでよし、と。背中の方は……ガーゼと包帯で済ませるか」

 

『命に別状はありませんが、この手の傷は筋肉の圧力で患部の皮膚が捲れ、感染症の可能性が増大します。早急な治療をお勧めします』

 

「そうは言っても任せられる奴がいない。クラクルのような獣に傷を触らせるなんぞ自殺行為だし、そもそも奴は傷を縫えない」

 

『我々の情報を漏らさないためには仕方ありませんが。貴方の身は一つしかありません、どうかご自愛ください』

 

「できればやってる。出来ない状況なら仕方ない」

 

 

 簡易医療キットで全身に出来た刀傷を縫い終わり、虎太郎はようやく一息をつく。

 彼はクラクルの縄張りにある、誰からも忘れられた地下室にいた。

 地下室にはキングサイズのベッドが一つと、ソファ、扉を隔ててシャワールーム以外には何もない。

 誰が何の目的で作ったかは分からないが、見るからに碌でもない目的であるのは間違いない。

 

 虎太郎、アルフレッドの徹底した探査によって敵が押し入ってこない限りは安全が約束された一室には二人以外にももう一人。

 

 

「で、どうだ。何か分かったか?」

 

『これは、酷いですね。言葉にすることも憚られます』

 

「まあ、気持ちは分からないでもない」

 

 

 ベッドの上で眠らされている水城 不知火だ。

 彼女を思惑通りに誘導し、多くの傷を負ってまで捕らえてから既に半日の時間が経過していた。

 

 

『正常な人体からかけ離れるほどの改造が施されています』

 

 

 魔界の医療技術の範囲は、何も怪我・病気の治癒だけに留まらない。

 人体に腕の一本や二本を増やすのは朝飯前の人体改造技術。何も改造は戦闘に特化したものだけでなく、この町の大半の娼婦がそうであるように、与えられる快感を増大させることも可能だ。

 

 

『しかし、妙です。不知火様に施された改造は魔界医療によるものというよりかは、細胞そのものが別の生命体に変質しているかのような……』

 

「淫魔秘奥の技術かねぇ……? 何処も彼処も人手不足。是が非でも戦力が欲しいってか?」

 

『淫魔族は直接的な戦闘力に欠けます。こと戦闘面においては弱小種族です。何処も彼処も生き地獄ですね』

 

「知略で補えば十分だが、万が一に備えてだろうな。……それで、治療は可能か?」

 

『恐らくは。ドクター桐生の技術であれば時間はかかりますが可能でしょう。ですが、問題が一つ』

 

「何だ……?」

 

『新たな着想(インスピレーション)と技術を得たと狂喜乱舞するかと』

 

「ああ、そりゃ頭が痛む問題だ――――――紫にとって、だがな。オレには関係ないので知らん」

 

 

 桐生が何をしでかそうと虎太郎には一切関係ない。桐生が言うことを聞くのは紫ただ一人である以上、問題を解決するのも紫一人になるからだ。

 

 その無情さ加減に嘆息しつつも何も言わない。今は時間が惜しいのだ。

 何はどうあれ、不知火は今現在、淫魔族の組織に幹部に近い扱いを受けている。娼館での正体不明の男――“あのお方”とやらの側近だろう――とのやり取りからして間違いない。

 不知火は娼館を襲撃した犯人を追っている最中だった。暫らくは姿を見せずとも問題はない。

 アルフレッドを使い、録音した不知火の音声から偽の定期連絡を娼館に向けても入れることは可能だが、最低で1週間、最長でも10日が限度だろう。それ以上は淫魔側が別の誰かを動かす。

 

 この一週間が勝負なのだ。

 最低限でも、敵の手によって堕落した不知火を、かつての位置にまで押し上げねばならない。

 それが不可能となれば、不知火、ゆきかぜ、凜子――そして、虎太郎の命運は尽きるだろう。

 

 

『それから、もう――――――』

 

 

 アルフレッドが突き止めたもう一つの事実を告げようとした瞬間、虎太郎はそれを片手で制する。

 

 見れば、ベッドの上で意識を失っていた不知火が目覚めの兆候を示している。

 不知火がこれからどちらに転ぶにせよ、今はまだアルフレッドの存在は伏せておいた方が得策だ。

 

 

「……う」

 

「よう、おはよう。気分はどうだい?」

 

「……ッ!? 本当に、虎太郎君、なのね」

 

 

 虎太郎はTシャツを着ながら、何の感慨も込もらない声で目覚めの挨拶を投げかけた。

 

 不知火は返事を返さない。ただただ驚いた様子で虎太郎の名を呼んだ。

 5年前以上も昔、よく面倒を見ていた天涯孤独な青年が成長し、こんな地の底に現れた驚きに目を見開いている。

 しかし、それは表向きの表情でしかない。裏では注意深く周囲を観察し、虎太郎の隙を窺っていた。

 

 

「拘束、しなかったのね」

 

「仲間なんだ。当然だろう?」

 

 

 不知火は拘束されていない。想定していたものとは異なる展開に、僅かだが困惑しているようだ。

 虎太郎は全く心にもない言葉を口にし、ベッドの片隅に腰を下ろした。

 彼女は素手でも縊り殺せそうな隙だらけな姿に、襲い掛かろうかと思案したが、あの体術のレベルと彼女にとって正体不明の能力がある。

 奇襲が成功する可能性は限りなく低いだろう。少なくともどのような能力なのか分かるまで、彼女であっても手は出せない。

 

 ――何よりも、不知火にはもっと楽にこの窮地から脱する術がある。

 

 虎太郎もそれを理解している。だからこそ、拘束もせずに寝かせておいたのだ。

 

 

「昔馴染みだ、連れ帰る前に教えてくれ。この5年で、アンタに何があったのか」

 

「ええ、勿論よ。私とゆきかぜ、凜子ちゃんを助けに来てくれたんだもの。私がどうなったのか、あの娘達がどうなるのか、ね」

 

 

 何の敵意もないように、愛しい男にするように、木の幹に絡み付く寄生植物の蔦のように、虎太郎の胴に不知火の両腕が巻き付き、抱き締める。

 

 

「……ああ、逞しいわ。虎太郎君が、こんなに男らしい身体をしているなんて知らなかった」

 

 

 ねっとりとした、女の欲望そのものが形となったような甘い鼻息とよく知る男子の成長を喜ぶようでいて、その実欲情で塗れた淫乱の台詞。

 胴を回った指先が、腹筋の溝をくすぐるように這い回り、雄を誘っている。

 

 並みの男ならばそれだけで射精してしまいそうな、どんな男でも即座に押し倒さずにはいられない雌仕草。

 しかし、虎太郎は不知火の見えない位置で顔を顰めるばかりだった。興奮を堪えている訳ではない。鼻に付く、ただただ不快な臭いに胸焼けを起こしていた。

 

 淫魔の淫気とでも呼べばいいのか。

 不知火の身体に絡み付く、淫魔族の欲望を極限まで煮詰め、腐らせたような臭い。

 

 はあ、と大きな溜め息と共に不知火の両腕を振り解き、それこそ彼女の男であるように、大胆でありながら繊細にベッドへと押し倒した。

 

 

「……ぁん。ふふ」

 

「アンタが発情するのは勝手だが、話の方も聞かせちゃくれないか」

 

「…………つれない――――ん、訳じゃないのね」

 

 

 今度は逆に、虎太郎の指が不知火の身体を這う。羽毛で触れるような繊細なタッチだ。 

 

 

「ヨミハラに潜入して、ぅん、些細な、ミスから、正体がバレてね、ぁっ、そのまま捕まったわ……」

 

「それが矢崎とリーアルか」

 

「ええ、ン、そうなの。それからリー、アル様に奴隷娼婦の身体に改造して頂いて、あっ、あぁ、お二人に、調教して頂いた、わ」

 

「……へぇ」

 

「始めは、ね、抵抗、したのよ……? 」

 

 

 恥じらうような口調でこそあったが、虎太郎の愛撫が与える微弱な快感に声は震えていた。

 むっちりと肉付きのいい内腿を撫で回しながら、ゆっくりと上に向かって上っていく。そのまま女の急所に到達するかと思えば、横道に逸れて鼠蹊部を刺激した。

 もう一方の手は、背中を滑る。虎太郎の指紋の形を記憶させているかのようだ。

 

 

「それで、ね。おばさん、3年も頑張ったの、でもね。来る日も来る日も、ぉ、犯されて、ひっ、自分が、女なんだって、オマンコの隅々まで、思い知らされたの」

 

(3年が転機か。すぐに矢崎とリーアルとの名前を出した辺り、やはり二人は同列かそれ以下。そして二人では不知火は堕せず、3年後に上へ放り投げたか。これ以上は引き出せんだろうな。連中も馬鹿じゃない。セーフティくらいかけてあるだろ)

 

 

 虎太郎は発情しきった極上の女体を愛撫しながらも、頭の片隅で状況を整理している。驚くべき冷静さだ。

 

 鼠蹊部を上りきった手は、下腹を撫でる。

 皮下脂肪と腹筋の下の子宮への愛撫。これから苛め抜く子宮の存在を確認しているかのよう。

 既に不知火の腰は意志とは関係なくヒクつき、女穴は男を求めて涙を流していた。

 

 

「ふ、ぅ、ふぅ、……今日も、愛して頂く予定だったのに、んんっ、でも、虎太郎君なら、満足、させてくれそう、ね」

 

「さあ、どうかな。“自信”はないね。それに気を抜いたら殺されそうだしな」

 

「あら、ぁ、バレてたの、ね。……ハァ、ハァ」 

 

 

 明らかな落胆の色を見せながらも、抵抗はない。まだ彼女には自信があるのだろう。

 挿入にさえ至ってしまえば、人間の男などいくらでも篭絡可能と考えているのだ。

 

 甘いと言わざるを得ない。

 虎太郎は精神的にも人間から外れつつあり、後一歩の所で踏み止まっているだけの男だ。その技術(わざ)も、魔性に劣ろう筈もない。

 

 荒く甘い呼吸を繰り返し、全身から汗を吹き出している不知火の様子に頃合か、と虎太郎は体勢を変える。

 不知火の上体を起こさせ、背中側へ。今度は虎太郎が不知火を後ろから抱きすくめる形となった。

 

 

「……どう、おばさんの身体? まだまだイケる? 凄くイヤらしいでしょう?」

 

「ああ、そうだね」

 

 

 スーツを押し上げ、限界まで勃起した乳首と淫核を見せつけるように不知火は腰を振り、胸を突きだす。

 

 対し、虎太郎はひたすらに冷静な呟きで返す。この手の行為では、僅かでも弱味を見せてはならない。

 何をされても表情一つ変えないか。何をされても、自身を偽り続ける必要がある。その点でいえば、不知火の劣勢は火を見るより明らかだ。

 

 

「く、ふぅぅぅ、も、もう、まだ焦らすのぉ……?」

 

「その方が気持ちいいから。我慢我慢」

 

 

 差し出された乳頭にも、淫核にも触れず、その重すぎる双乳を持ち上げる。

 子供を一人生み、女としての旬は過ぎたと言ってもいいにも拘わらず、一切型崩れをしていない。

 両手で持ち上げ、ふるふると揺らす。切なすぎる刺激に生臭い雌の吐息を吐きながら乳輪から勃起していたはずの乳首は、また一回り大きくなったように見えた。

 

 

「あぁ、ハッ、お願いよぉ。もう、限界なの。何処でもいいから、イジってちょうだいっ」

 

「分かった分かった」

 

「はやく、……はやくぅっ! …………んっ!!」

 

 

 不知火から雌の急所への刺激を懇願され、乳房から手を放し、痛々しいほどいきり立った乳首に指を伸ばす。

 ゆっくり、ゆっくりとスローモーションで伸びる節くれ立った両指を、涎を垂らしながらうっとりと眺める。

 

 そして、乳首をキュっと抓まれただけで、不知火の視界が白く染まる。

 明らかな絶頂の予感に不知火は反射的に唇を噛み、虎太郎の両手首を握り締めながら、すんでの所で踏み止まった。

 

 

「ハッ、アァッ、……ハァッ! イィ、いいわっ! 虎太郎君、上手、よぉ!」

 

「そりゃ、どーも」

 

「キちゃう、久しぶり、よ! これ久しぶりぃ! あ、ひっ、……ひぃ、くひぃ、んんんんんんんんッ!!」

 

 

 乳輪ごと乳首を捻られる。

 スーツの中で母乳を吹き出し、不知火は身体を限界まで反らせながら絶頂へと登り詰めた。

 

 舌を出しながら、絶頂の余韻に浸る不知火であったが、虎太郎に休ませるつもりはない。

 今度を目標は股間に食い込んだ股布を押し上げて、必死に自己主張するクリトリスだ。

 

 

「ま、待って、ちょうだい。んく、今、イったばかりなのよ。お願いよぉ、少し、少しでいいから……」

 

「おいおい、欲しいって言ったのはアンタだろ」

 

「ま、まぁぁぁあああっ!! カリカリ、そんなカリカリ、クリちゃん、爪でっ、ひぃぃぃ!!」

 

 

 腰を捻り、陰核から脳に向かって奔る快楽を逸らそうとするも、片手で下腹を――子宮を押さえつけられ、それすらままならない。

 クリトリスを刺激する手首に両手を伸ばして止めようとしても、与えられる快楽に力は入らず、無駄な努力にしかならなかった。 

 

 

「あひぃ、ひっ、くひぃ、これ、もう無理ぃ! 我慢、むりよぉ!!」

 

「我慢しなくていいだろ? アンタが満足する為なんだから。で? イク時はどうしろって教えられた?」

 

「イクぅっ! 不知火、イキます! あ、アクメ、いただきます! あぁ、ァァァァ、イックぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

 

 不知火は腰を浮かせ、陰核での絶頂に至る。

 大量の潮をベッドの外にまで吹かせながら、不様なアヘ顔と雌神楽を披露しつつ、忘我の中で余韻を味わう。

 

 

「ひっ……は、ひぅ……あひぃ……ふぅ、……へあぁ…………」

 

「ふぅ、不知火。そろそろ本番、行こうか。服、脱いでくれ」

 

「はぁ……ふぅ……んく……はあ……わ、分かったわ」

 

 

 絶頂の余韻から立ち直るのを待ち、虎太郎は脱衣を促す。

 不知火は整わない呼吸と絶頂の気怠さを抱えながら、トレードマークであるレオタードタイプの対魔忍スーツを脱いでいく。

 しかし、手足は上手く動かず、中々上手く脱げない。すると見かねた虎太郎が脱衣を手伝う事態が発生した。

 

 不知火はベッドに寝転がり、М字に脚を開く。男を誘うポーズの初歩の初歩。

 既に雄を待ち侘びて開き切っている雌穴を、両手を使って子宮口が見えそうになるまで更に押し広げた。

 ぬちゃぁ、と音を立てて開かれた膣穴はヒクつき、表にこそ出さなかったものの虎太郎でも生唾を飲み込むほどにいやらしい。

 

 

「さあ、どうぞ。……フフ、(とう)が立ったおばさんマンコ、味わって」

 

 

 味わってと口にしているものの、明らかに彼女の声には当初の楽しむような弾みのある声ではない。

 

 既に不知火も自分の身体が可笑しいことには気付いているのだ。

 気付いてはいるが、淫魔に調教され、淫魔に為りかけているが故に快楽から逃れようとする思考が頭から抜け落ちている。

 

 虎太郎は何も媚薬を使った訳でもなく、不知火が寝ている間に魔界医療で更なる改造を行った訳でもない。

 堕ちた不知火すら狂わせているのは、性感マッサージ、房中術、呼び名は様々であるが、要は人間界の単なる性技に過ぎない。

 

 虎太郎は救出を行う際、緊急性を求められて女の対魔忍を抱いた経験は一度や二度ではないし、救出に向かった際、快楽に堕ちた対魔忍とも相対する経験も同様の数を熟している。

 とは言え前者は兎も角、後者は生半なことでは正気には戻らないし、元の価値観や優先順位を取り戻させるのは手間が過ぎた。

 

 その際に多用したのが媚薬であるが、これはこれで問題がある。

 対魔忍という立場上、媚薬など手に入りづらいし、手に入れて他の対魔忍に目を付けられる訳にはいかない。

 また媚薬と称されているが、所詮は毒に過ぎない。これでは対魔忍として復帰した際に何らかの支障が出かねず、膨大な量の媚薬には決して同時使用してはいけない類のものまで存在する。

 魔界の医療技術を使おうにも、学ぶのはまだいいが、救出先で改造が行えるような設備を用意できる筈もない。 

 どうにもこうにも八方塞がりの状況に、何とか楽をしようとした虎太郎はやがて一つの考えに至る。

 

 ――魔界の(わざ)に、人界の技術(わざ)が劣るもんなのか……?

 

 ふとした発想であったが、虎太郎には天啓に思えた。

 何せ、何一つ用意する必要がなく、上手くさえ行けば、何の前準備も必要なくなるのだから。

 感度の上昇、肉体の発情と変容が可能な性技を手当たり次第に学んでいった。

 人体のツボへの刺激、神経系の刺激、皮膚が最も感度が増す触り方、果ては気を用いた技術まで。不知火の身体から発せられる淫気を嗅ぎわけられたのも、その一端のようだ。

 

 ……如何にも彼には努力の方向音痴と言うべきか、楽をしようとする余り、逆に手間のかかる方法を選んでしまう節がある。

 ともあれ、長い時間を掛けて、虎太郎は己の思い付きを現実のものとした。魔界の業にすら劣らぬ人界の性技。その威力は不知火の様を見れば一目瞭然であり、人界の性技というよりかは、魔人の性技と呼んで差し違いない。

 

 

「さて、じゃあ味わわせて貰うか」

 

「…………っ、ぅ……」

 

 

 虎太郎の取り出したものは、不知火が見てきたものの中でも最上級の代物だった。いや、“級”は抜けてしまうかもしれない。

 不知火は恐怖を覚えながらも、それ以上の期待を抱いてしまい、肉棒から目を逸らせなかった。

 

 

「ひぃぃぃっ!!」

 

 

 音を立てて挿入される剛直に、不知火は生娘のような悲鳴を上げた。

 未知の感覚ではないものの、かつて屈服した“あのお方”に匹敵するレベルの快感に、本能から叫んでいた。

 

 まだ亀頭が入っただけだと言うのに腰が全く堪えてくれない。熱い雌潮を虎太郎に向けて吹き掛ける。

 

 

「お、おほぉぉっ、は、はぃ、かはぁぁぁっ……」

 

(イったぁ、亀頭だけでイカされるなんて、こんな、坊やにぃ……)

 

 

 年下の若いチンポで何の抵抗も出来ず絶頂に押し上げられ、不知火は屈辱に濡れるも表情は蕩けっぱなしで、虎太郎を睨むことすら出来ていない。

 目尻は垂れ下がり、歪んだ笑みを浮かべた表情は、男を虜にして性を絞り取るサキュバスのそれではなく、だらしなく若い雄に媚びる雌年増のそれだ。

 

 

「あひぃぃぃ、しょ、しょんな! ゆっくりぃ、ひぁぁああぁぁぁっ!!」

 

「今、オレが何してるか分かる?」

 

「あっあっあぁぁああ! わ、分かる、分かっひゃうわよ! こんな、こんなのぉぉぉぉ!」

 

 

 鳴き声とも、泣き声ともつかぬ女の悲鳴が不知火が口から迸る。

 

 

「お、おぼえ、させようと、して、る! ひくぅ、おっ、おしえこんでるぅっ! 私のオマンコ、躾けちゃってるぅぅぅぅうううう!!」

 

「随分と嬉しそうだな」

 

「う、嬉しくなひぃ! こ、こんな、すごっ、凄すぎるの、ぉぉぉっ!!」

 

 

 襞の一枚一枚に至るまで、徹底的に自身の存在を刻むように。カリ首は襞を削り取られ、襞はカリ首を撫で上げた。

 ゆっくりゆっくり、Gスポットも、精液溜まりも、子宮口も、不知火の弱い箇所を的確に抉り、徹底して膣に己の味を覚え込ませる

 

 

(でも、大丈夫、まだ、これなら耐えられる。イキっぱなしになっちゃってるけど、何度イッても堕ち、ないぃぃ!!)

 

 

 10度の抽送にたっぷりと30分も時間を掛けると、不知火は完全に腰砕けになっていた。

 男を篭絡するだの、隙を見て殺すだの、そんな小賢しい考えなど当の昔に吹き飛んでいた。不知火に出来ることは絶頂と与えられる快楽に耐える、奇しくも5年前と同じ所業のみ。

 

 

「んぅ……う、くぅうう、ひは……はふ……ふぅ……」

 

「そろそろいいかな、不知火さん?」

 

「す、好きに、すれば……いいわ、お尻の、青い、坊やに……堕と、されて、やるもんですか」

 

 

 単なる強がりでしかない台詞に、虎太郎は苦笑を漏らす。

 これではどっちが悪党なのか分からんな、と思いつつも、少なくとも正義の味方ではないなと自己を結論付ける。

 

 

「さて、絶頂で子宮口が緩くなってる自覚はある?」

 

「う、うる、ひゃい……子宮の、中に、入れるつもり、でしょう、けど……」

 

「何度も経験あるんだろ? 分かるさそれくらい。こんなに亀頭に吸い付いて柔らかいんだ。入れて入れてっておねだりしてるよ」

 

「ひぃ、……くぷくぷ、子宮口、オチンポで舐らないでぇ、また、またイクっ!!」

 

「イキながらでいいから聞いてくれよ。今まで味わったことのない体験をさせてやるから……」

 

「な、なにを……」

 

「これから分かる」

 

「…………おひっ」

 

 

 とうとう子宮内まで犯され、不知火は頭の中で散った白い火花に耐えかね、くるんと瞳が上を向く。

 

 

「ひぃ……? ひぃぃぃ! なに、あっ、なによ、なによこれぇぇぇぇっ!」

 

 

 亀頭とは別の何かに、子宮をベロベロと舐められている感覚に、不知火は全身に鳥肌を立てて絶頂を繰り返す。

 

 

「アンタの水遁の術、奪わせて貰った。先走りを子宮に引っ掛けられたことはあっても、先走りで子宮を舐められたことはないよなぁ」

 

「んおぉっ、お、お゛、ふぅ、ひぃぃ、あひぃぃぃぃぃ、イクイクイクぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

 

 絶頂で引き裂かれる思考の中で、不知火はようやく思い至った。

 堕ちてからというもの、どんな絶頂を迎えようとも、全てを受け入れてきた。

 だと言うのに、今日に限って、虎太郎に与えられるアクメを無意識に避けようとしていた。

 

 自分をイカせようとする手を握り締めていたのは、絶頂に堪えようとしていたのではなかった。その手を遠ざけようとしていた。

 絶頂の余韻で自分から服が脱げなかったのではない。無意識に服を脱がず、己自身を守ろうとした。

 不知火の直感か、或いは淫魔の調教が為せる技なのか。始めから、彼女の身体は二度目の堕落を予感していたのである。

 

 

「イヤぁ! たすけ、ゆきかぜ、ご主人さま、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

「……は……っ、……ぁ……ぅ……」

 

「さて、こんなもんか」

 

「………………おほぉっ♪」

 

 

 虎太郎が不知火を犯し始めてから一週間の時間が経っていた。

 すっかりと躾けられ、必死になって吸い付いてくる膣からそそり立つ剛直を引き抜くと、明らかな喜びの悲鳴と共に黄金水がちょろちょろと勢いも少なく垂れ流される。

 

 この一週間で不知火は掛け値なしに5年に及ぶ調教で味わったものすら越える絶頂と快楽を叩き込まれた。

 元より淫魔族は他種族を篭絡することに特化した種族。如何に特殊な力を持つとは言え、ただの人間に彼等が越えられよう筈もない。

 しかし、其処には一つの陥穽が存在する。対魔忍とは言え、どう足掻いた所で人間が耐えられる快感の限界など決まっており、また淫魔族と虎太郎では不知火に対する思惑が違うのだ。

 

 淫魔族は最終的な目的がなんであれ、捕らえた不知火を戦力として使うという思惑があった。

 対し、虎太郎の目的はゆきかぜと凜子の救出であり、不知火が目的遂行の邪魔だったというだけだ。

 

 淫魔側は不知火に壊れられても困る。自陣の戦力として利用しようというのだ。快楽で精神を破壊し、使い物にならなくっては意味がない。

 対し、虎太郎は不知火の救出はあくまでも突発的なものであり、最悪、廃人となってしまっても構わなかったのである。

 

 そして、淫魔族は生まれ持った能力は本能に近い。

 故に他者を堕とすことに喜びを覚え、そこに快楽がどうしようもなく伴い、その過程を楽しもうとする。人の三大欲求に快楽が伴い、それを楽しもうとするのと同じ道理だ。

 

 対し、虎太郎の行為は単なる作業に過ぎない。快楽は伴ったとしても決して流される筈もなく、楽しみもない。あるのは、ただひたすらにさっさと終わらせたいという思いだけだ。

 

 例え、種族が違ったとしても、淫魔が虎太郎に敵う筈もない。

 本能に流され、時に遊びに走ってしまう調教と淡々としていながら可及的速やかに終わらせようとし、人心を理解し、的確に堕とす作業のような調教。どちらが効率がいいかなど、考えるまでもないだろう。

 

 

「それで、始まる前に何を言おうとした?」

 

『はい、不知火様の頭――脳幹に異物があります』

 

「はん? なんだそりゃあ?」

 

『どのような条件で起動するかは不明ですが、機能自体は単純です。起動すると頭痛として痛みを与えるようですね』

 

「…………痛み、ねぇ」

 

 

 虎太郎はアルフレッドの言葉を反芻しながら、用意しておいた最後の携帯流動食を飲み下す。栄養価抜群のそれのお陰で一週間もの間、絶え間なく不知火を犯せたのである。

 

 ふむ、と考え込みながら、一つの考えに行き当たり、くすと笑みを漏らす。

 

 

「成程ね。淫魔の連中も気が短い。いや、不知火の気力が凄まじかったというべきかな」

 

『どういうことでしょう?』

 

「さて、アルフレッド君。調教において、もっとも邪魔なものは何でしょう?」

 

『そうですね。快楽などというものが理解できない私の意見ですが、最も邪魔なものは理性ではないでしょうか?』

 

「近いが惜しい。調教とは理性を変える為のもの。より正確に言うのなら判断力だ。対魔忍として、女として、人として、正常で当たり前の判断こそが邪魔なんだ」

 

『全く必要がありませんが知識として記録しておきます。それで、どうしましょう……?』

 

「チップにいらんバックドアでも仕込まれていたら厄介だ。これ、チップの素材は?」

 

『一見すれば何の変哲もないチップですが、脳内にそんなものを埋め込まれて無事に済む訳がありません。間違いなく魔界産の生体部品でしょう』

 

「なら、何とかなるな。摘出は出来んにしても、起動できないようには出来る」

 

 

 ありとあらゆる体液で汚れたベッドに上がり、意識を失っている不知火の頭を両手を包み込むように掴んだ。

 

 

「アル、これから両手に対魔粒子を集中させる。お前は魔術で対魔粒子をチップに収束させろ。焼き切るぞ」

 

『危険な賭けです。対魔粒子は魔術の行使にも影響を与えます。繊細な作業は非常に困難ですよ』

 

「その為に魔術師の脳なんて不安定な演算装置と操作装置じゃなくて、お前の安定した演算機能と操作機能を使うんだろうが。それに対魔粒子は人体に対する影響は少ないさ」

 

『それで、その心は……?』

 

「どっちに転んだっていいのさ。成功したら味方が増える。失敗したら敵が一人減る。それだけ」

 

『惚れ惚れするようなドライモンスターぶりですね。ですが、私は貴方をこれ以上怪物にするつもりはありませんので――――全力でサポートします。いつでもどうぞ』

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

(……子宮が疼く)

 

(あれだけ、何回も何回もイカせたのに、あの子は射精、してくれなかった)

 

(あぁ、でも、この臭い……)

 

(女に最大の快楽を与えてくれる、私が一番好きな臭い)

 

 

 不知火は、痛みにも似た子宮の疼きで目を覚ました。

 子宮は蕩け、精一杯の膣奉仕をしたにも拘わらず、虎太郎は吐精には至らなかった。“あのお方”ですら、快楽の呻きを上げて射精したというのに。 

 当然である。行き過ぎた合理主義の塊、本能すら凌駕する理性の怪物、調教を作業と言い切る徹底した仕事人が快楽に流されるなど在り得ないのだから。

 

 

「よう、おはよう。気分はどうだい?」

 

「…………あぁ」

 

 

 鉛のように重い瞼を開け、バラバラになってしまったような手足を動かす。

 不知火は、ベッドの端に腰掛けた虎太郎の股間に顔を埋めるように眠っていた。目を覚ました瞬間に目に入ってくるのは、屹立して震える逞しい男性器だ。

 それだけで口の中は涎で溢れ、瞳は潤み、表情は蕩けていく。鼻を刺す精臭に、ゴプリと雌穴から白濁した本気汁が零れ落ちる。

 

 無意識にも、意識的にも、不知火は自分を躾け直した雄のシンボルに向かって、口一杯に含もうとした。

 

 

「ああ、待った待った、不知火さん」

 

「…………あっ、あっ、そんな、そんらぁっ!」

 

 

 しかし、虎太郎は不知火の髪を掴み、引き止める。

 虎太郎には当たり前の、不知火にとっては余りにも残酷過ぎる仕打ちに、肉勃起に舌を伸ばして涙を浮かべる。

 

 

「アンタなら、分かるだろ。言わなきゃならんことがあるのをさ?」

 

「………ふぅ………ふぅ」

 

(ダメ、ダメよ、不知火。私は、あのお方のモノなんだから……でも、でもぉ)

 

 

 もう、不知火は“あのお方”の顔も思い出せない状態だった。

 それも仕方がない。散々アクメを味わわされ、徹底して秘裂を調教し直した剛直を前にすれば、もう頭の中はそれ一色になるしかない。

 それでも不知火は今一歩のところで堪えた。それは淫魔の駒としての矜持だったのか、或いは――――

 

 

「じゃあ、言い易くしてやるよ。但し、舐めるのもおしゃぶりも禁止。もし破ったら、言わなくても分かるよな?」

 

「んんっ!? んーーーーっ! んーーーーーーーっ!!」

 

 

 両手で頭を包まれ、鼻の先に待ち望んでいる肉竿を差し出された瞬間、濃厚過ぎる雄の汗と精の匂いにあっさりと堪えていたものは決壊する。

 無意識に虎太郎の言葉を忠実に守るため、唇を噛み締めたがアクメは止められない。脳の奥の奥まで、手足の先まで行き渡りそうな雄の体臭に不知火の膣口は開き、歓喜の雌潮を吐き出した。

 

 

(もう、ダメ……身体、全部この子のものになっちゃってる。この子の雌に、女になっちゃってるぅ……!)

 

 

 それだけで既に分かりきった事実を、不知火は頭の隅々まで思い知らされた。

 

 

「………………わ」

 

「何? 聞こえないな」

 

「……なるわ。虎太郎君の、女に、なります」

 

 

 渾身の器量でペニスから目を離し、ペニス越しに自分を見下ろす虎太郎の目を見て、不知火は不様な雌宣言を晒した。

 

 不知火の本心からの自身に媚び切った屈服宣言だというのに、虎太郎は嬉しそうにするでもなく、満足するでもなく、ただ静かに頷く。

 

 

「分かった。じゃあ、まずはしゃぶらせてやるよ。但し、こっち」

 

「ひゃ、ひゃひ、ありがひょう、ごじゃいはぶぅ……」

 

 

 虎太郎が差し出したのは肉竿ではなく、その付け根にある陰嚢。

 たっぷりと、ぐつぐつとした男の欲望が詰まった弱点を差し出され、不知火は礼も半ばでむしゃぶりついた。

 

 

「何でこんなことさせてるか、分かる?」

 

「分かりゅぅ、……確認、ひょね? 完璧ひぃ……、かんじぇんに、じぶひゅの、女になっひゃかどうかの、ひゃふにんさひょぉ」

 

「流石によく分かってる」

 

「んれぁ……はむぅ……じゅろろ……ずず……あ、ひっ♪」

 

「おっと嬉し過ぎて、でちゃったな?」

 

「こんにゃの、でひゃうぅ……んぶぶ、ずろっ、うれひくて、嬉ひょん、でひゃううぅぅぅっ♪」

 

 

 睾丸を口に含んだまま、皮の皺一つ一つに舌を這わせる。

 男の弱点を差し出すことで自分の女になったことを確認され、不知火は尿道を限界まで開かせ、喜びの失禁を披露した。

 

 

「ま、これならいいか。ほら、立てるか?」

 

「ふぅ、ふぅ、……ふぅぅぅううううう!」

 

 

 虎太郎に手を取られ、もうアクメと発情で自分の意志では如何にもならない手足に力を注いで、荒い呼吸のまま立ち上がる。

 

 不知火は自分を屈服させた男の手に誘われるまま、躾けられた時と同じ体勢を取り、雌穴を差し出した。

 

 

「は、ひ…………お、おばさんの、堪え性の無いエロマンコ使って、虎太郎君の、逞しい極太カリ高若チンポからザーメン、いっぱい吐き出してぇ……ん! ンンっっ!」

 

 

 不知火は今一度、自分の使い心地を示すようにトロトロに蕩けた膣肉を締め上げた。

 膣内に溜っていた愛液をぴゅ、ぴゅっ、と何度も何度も噴き出して、虎太郎のチンポを精一杯誘惑する。

 

 

「分かった。但し、オレがイくまで、アクメ禁止」

 

「あ、ああ、そんなぁ……で、でも、お、おばさん、が、頑張る、から、早く、はやくぅ……!」

 

「はいはい」

 

「ン、く、かはっ! んひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 

 

 一気に最奥まで貫きそうな勢いでの挿入。

 散々焦らされ、屈服してまで求めた刺激であったが、虎太郎の女となった不知火は必死になって命令に従う。

 膣を締まし、音を立てて雌欲で白く濁った本気汁を噴出させたが、辛うじて絶頂だけは堪えた。

 シーツを握り締め、足を指の先まで丸め、アクメを得ようとする腰の動きを抑え込む。

 

 虎太郎は一物を半ばまで挿入した時点でそれ以上は先へと進まなかった。

 不知火に絶頂を迎えさせまいとした訳ではなく、射精に堪えようとした訳でもない。ただ、ここからが虎太郎にとっての本番(・・・・・・・・・・・・・・・)だったというだけだ。

 

 

「なあ、不知火さん。一つ、言いたいことあるんだけど、いい?」

 

「はぁ……、はぁ……、な、なぁに、虎太郎君?」

 

 

 不知火は絶頂寸前まで追い込まれたことをひた隠し、雄へと媚びた笑みを浮かべる。

 

 しかし、虎太郎は何処までも冷静に、何処までも残酷に、決定的な一言を告げる。

 

 

「散々やっといてアレなんだが、ほら、何て言うかさ――――オレ、別にアンタなんか要らないんだよね」

 

「――――――え?」

 

 

 一瞬、何を言っているのか分からないという表情で不知火は虎太郎を見た。

 静かで冷たい視線は、告げられた言葉が彼にとっての事実であると告げている。

 

 

「……なに、を」

 

「別にアンタの魅力がないって訳じゃない。オレもそこまで選り好みが激しい訳でもないし、美人だしなぁ。女は顔じゃないけど」

 

「な、ら、どう、して……」

 

「いや別に。深い理由なんてないよ? 単に邪魔なだけ。それにさ、ゆきかぜに凜子の件もあるだろ?」

 

「そ、それなら、あの娘たちを堕とすの手伝うわ! 私は、何でも――」

 

「――だから、要らねぇって。分かんねぇ女だな」

 

 

 ここまでのことをしておいて、いきなり不知火を不要だと切り捨てる。

 敢えて捨てる素振りを見せて、女に自分を求めさせるような演技では決してない。

 どんなマゾヒストでも震え上がるような、底抜けに冷たく、システムの権化のような昆虫的な冷たい声。

 当然だ。今この男が求めている優先順位は、水城 不知火という女ではなく、水城 不知火という対魔忍なのだから。

 

 不知火は、彼にとっての純然足る事実に、静かだが深い絶望の嗚咽を漏らす。

 

 対魔忍であることを捨て、“あのお方”に仕えることを選択した。

 娘も同然の凜子と娘であるゆきかぜですら、求められるままに捧げようとした。

 その最中で虎太郎に捕らわれ、“あのお方”すら裏切ったというのに、待ち侘びていたのがこれでは絶望もしよう。

 

 最早、不知火は対魔忍でも、母親でも、淫魔の駒でもなければ、虎太郎の女にすらなれない。

 

 

「本当にそうか……?」

 

「………………?」

 

 

 くい、と顎を掴んで、虎太郎は不知火に自分の目を見させる。

 

 暗い絶望の淵に叩き落とされ、まともに声も聞こえない状態であろう不知火であっても意識を向かざるを得ず、虎太郎の静かな言葉が頭に浸透する。

 

 

「ゆきかぜにな、この間飯を作ってやったんだよ。アンタの味付けでな。そしたら嬉しそうな顔してな好評だった」

 

「………………っ」

 

「凜子もゆきかぜに着いてきた以上、アンタに思う所があるんだろう」

 

「…………やめ、……て」

 

「まあいいけどな、それでも。だがはっきり言っとくが――――――これが、最後のチャンスだぜ」

 

 

 不知火には何もない。

 絶望の淵にあって、その言葉はどんな意味を持っていたのか。

 彼女には何も思い出せない。少なくとも、淫魔の駒としての時間は彼女にとって、何の意味もない時間だったようだ。

 

 心の奥底。本能や無意識下すら越えた底の底。何者も触れることが出来ず、何者かが触れれば壊れてしまう繊細で最奥の領域の底から雪崩のように溢れ出たのは最愛の――

 

 

「ふ、ううぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

 

 それを自覚した瞬間、何の力も入らないと思っていた脚に神経が通ったように動き出す。

 必死になって、それこそ命を懸けるような動きで、半ばまで女陰に埋まったペニスをゆっくりと、だが確実に腰を浮かせて引き抜いていく。

 

 その行為に何を思ったのか、虎太郎は相変わらず何の感慨も読み取れない表情で邪魔をする。

 亀頭に血液を送り込み、襞にカリ首を引っかけて刺激を増大させ、剥き出しになったクリトリスを摘み上げる。

 不知火は何度も腰を震わせてアクメに至ってしまい、鞘に刀を収めるように長大な剛直を女性器に戻してしまう。しかし、それでも諦めることなく引き抜こうと繰り返す。

 

 やがて、どれだけの時間を掛けたのか。不知火は遂に亀頭を抜こうとする寸前までやってきた。

 

 

「最後に質問。アンタは何だ?」

 

「……わた、しは、対魔忍、水城、ゆき、かぜの、……母、対魔、忍、水城 不知火よっ!!」

 

 

 その言葉に頷くと、刺激を繰り返していた肉芽を放す。

 にゅるり、と音を立てて膣穴からペニスが抜き出され、不知火は激しい絶頂を示すように身体を仰け反らせて、天井にまで達しようかという潮を噴いた。

 それでも決して、声は上げない。歯を喰いしばり、激しい絶頂に至ろうとも、心だけは明け渡さなかった。

 

 仰け反らせていた身体をベッドに投げ出し、不知火は今にでも死んでしまいそうな弱々しい呼吸を繰り返した。それでもその瞳には強い意志の炎が再び灯っていた。

 

 

「……こ、れで、よかった、の、よね?」

 

「ああ。それから、本当に久し振りだな、不知火さん」

 

 

 本当に卑怯な男だ。

 あれだけのことをしておいて、人を性格でなく能力でのみ求め、正義や誇りに何の興味も抱いていない癖に――――不知火の取り戻した誇りを称えるような、優しげな笑みを見せる。

 

 その笑みを最後に見て、対魔忍・水城 不知火は意識を失った。

 

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