※この作品はR-18です。

対魔忍アサギ 苦労人奮闘記   作:HK416

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スカスカ様←師匠の外見&ちょっと抜けてる&可愛い=作者の股間に電流走る(ピシャーン)

水着ジャンヌ←競泳水着&眼鏡&ポニテ&ドスケベボディ=作者の股間に電流走る(ピシャーン)

水着BB←華美なアクセ&ビキニの上からホットパンツ&黒ギャルビッチ風コス=作者の股間に電流走る(ピシャーン)

フゥーハハー! ここ最近はFGOの搾取がヒデェ! 夏イベとか本当に地獄だぜぇ!!
そして対魔忍ZEROと対魔忍RPGXとかいうLilithの刺客が控えている現状よ。
RPGXの方は時間取られそうなんだよなぁ。せめてランキング形式のイベントがないと嬉しいのだが、どうなんじゃろか。

そして、今回はマリカ編の導入部。※なお、マリカよりも他キャラとイチャついている模様。

では、どぞー!




『錯乱すると訳の分からない行動に出るのは人も吸血鬼も変わらない』

 

 

 

 

 

「ふぅ…………」

 

 

 目も眩むような晴天の下。

 吐き出された紫煙が風に流されて融けていく。

 

 虎太郎は自身を見下ろす太陽から発せられる陽光に薄っすらと目を細めながら、数少ない人間的な嗜好である煙草を楽しんでいた。

 時間は昼前。場所は校舎横にある教員用の喫煙所。

 

 別段、理事長室での喫煙は禁じられてはいない。

 いや、元々は禁止されていたのだが、東がお構いなしに煙草を吸うので、北絵が根負けする形で許可を下ろしたに過ぎない。

 ただ、五車学園でそうであった故に、校舎内で煙草を吸うのは落ち着かなかっただけである。

 

 虎太郎の体調は全快していたと言ってもいい。

 カーラによって流し込まれた生命力は全身の器官と細胞を活性化させ、僅かな疲労感すらない。

 本日の事務処理も書類整理も順調そのもの。虎太郎の理想とする処理ペースであった。

 

 

「お、いたいた。何でぇ、あたしを誘ってくれてもいいじゃねぇか」

 

「別に、お前は部屋で吸えばいいじゃないか。オレはこっちの方が落ち着くだけだよ」

 

「いや、そうかもしれねぇけど……一緒に吸いたいっつーか、なるべく一緒にいたいっつーか、ごにょごにょ」

 

「今まで付き合ったことないわけじゃないんだろ?」

 

「そ、そりゃ、そうだけど。なんつーか、恋人同士のあれこれってのは、経験ねーのは事実だし。あ、あんまりからかうなよぉ……」

 

「そいつは悪かった。色々と教えてやるから、気を悪くしないでくれ」

 

「べ、別に機嫌悪くなんてなってねぇし。お、お前に意地悪されんのも、嫌いじゃ、ねぇし」

 

 

 年不相応に初心な反応を見せながらマゾ気質を無意識に明かしてしまう東に、虎太郎は苦笑を漏らした。

 その笑みを馬鹿にされていると解釈したのだろう。東はちぇっ、と口唇を尖らせ股を開いてその場に座り込む。これがコンビニの前なら紛うことなきヤンキーである。

 

 東は自ら虎太郎の女になると宣言してから、ずっとこの調子だ。

 距離も近くなり、態度は一層軟化した。元々、猫を被るような真似をしない彼女であったが、自分のコンプレックスや弱い部分を躊躇なく明かしているのは、彼女なりの表現なのだろう。

 神村 東という人間は十分に成熟した大人であるが、神村 東という女はまだまだ少女と変わらないようだ。

 

「…………アレ? っかしーなぁ、どこ閉まったっけかな?」

 

「はん? どうかしたか?」

 

「あー……ライター忘れた」

 

「何やってんだか」

 

 

 しわくちゃになった煙草を加えながら衣服のポケットをくまなく探ると、東はカクンと肩を落とす。

 ライターがなければ煙草を吸う事も出来ない。虎太郎が喫煙所へと向かう姿を見て、慌てて後を追ったので無理もないと言えば無理もないが、間抜け具合は頭が痛くなってしまいそうだ。

 虎太郎の呆れ顔にもぐぬぬと表情を歪めるばかりで、怒鳴り声を返す事すら出来ない様子だった。

 

 

「火、貸してくれよ」

 

「はいよ、ほれ」

 

「お、おう」

 

 

 東の言葉に、虎太郎も同じように腰を落とすと口で加えた煙草を差し出す。

 ライターを貸してもらうつもりだった東は、ほんの僅かに動揺はしたものの、逆らうような真似はしなかった。 

 

 俗にシガーキスと呼ばれる行為。

 僅かに朱に染まった頬を晒しながら東は煙草の先端を押し付ける。

 これで虎太郎が俳優のような美形であったのなら映画のワンシーンを切り抜いたようであったのだろうが、生憎と彼は美形ではなく死んだ魚の眼をした特徴のないの顔立ちだ。絵にならないにも程がある。

 

 

「ふぅ……こうしてられんのも、もうちょっと、なんだよなぁ」

 

「あぁ? どうした、急に?」

 

「いや、理事長を筆頭に、ウチの連中がそっちに行ってからそれなりに時間が経ってるから、治療の方もそろそろ終わる。そうなったら、お前も戻っちまうだろ?」

 

 

 言葉にこそしなかったものの、彼女の萎れた雰囲気は言外に寂しいと語っているようなものだ。

 東と虎太郎には、それぞれ教師という立場がある。自らの職場と責任を放棄するわけにも、放棄させるわけにもいかない。

 当然、二人の距離は離れる。日本の端から端までの距離ではないにせよ、接する時間が激減することは確実だ。

 

 愛した誰かが側にいない寂しさに耐えられるのか。

 もっと正確に言えば、物理的な距離がそのまま心の距離となり、今の関係が自然消滅してしまう事こそを恐れていた。

 

 

「別に、永遠に会えない訳じゃないだろ。連絡先も教えたろ?」

 

「確かに、そうだけどさ。アタシもお前も暇って訳じゃねぇし。連絡だってそう簡単に取れるわけじゃねーし」

 

「何だったら、週一で会いに来ようか?」

 

「そ、そんなの悪ぃよ。そ、そりゃ嬉しいけど、あんまし重荷にもなりたくねーし…………そ、そのめんどくせぇなコイツって顔やめろぉ!」

 

 

 不安から二進も三進も行かなくなっている東に向ける虎太郎の顔は、東が語った通りに歪んでいる。

 怒りというよりも、そんな顔をさせてしまっている自分の不甲斐なさ故に東は声を荒げた。

 

 虎太郎にしてみれば、気持ちは分かるが不安になる意味が分からない。

 週に一度であれば、少々厳しくはあるが、無理ではない。五車学園から隼人学園までは車で2時間程、手段を問わなければもっと早くなる。何なら“瞬神”のマーキングでもしておけば、一瞬で済む話。

 自身の女である以上は、その程度の点数稼ぎを怠る理由もなかった。

 

 

「別に、いいよそれくらい。それくらいのことをする価値がある女だろ、お前は」

 

「う……正直、あんまし自信ないっす、はい」

 

「なら、これから価値を付けてくれ。もっとも、どんな女であれ、自分がものにしたなら、オレは後悔なんかしないから、そう気負わなくてもいいよ。寧ろ、気負わなきゃならんのはオレの方だ。ほら、お前にバットで頭吹き飛ばされるなんてゴメンだし」

 

「し、しねぇよ! そんな真似! 寧ろ、アタシは一人で寂しく泣くぐらいだっての……」

 

「じゃあ泣かせないように頑張るわ。もしお前が誰かに攫われたとしても、何処にいようが見つけ出して助けに行く気概はあるんだぜ、これでも」

 

 

 普段は見せない優しい眼差しと笑みを見せられては、東も不安を引っ込めざるを得ない。

 いや、不安なぞもうありはしない。あるのはそうまで女として魅力と価値を断言された気恥ずかしさだけ。

 

 ただでさえ赤かった頬を更に紅潮させ、東はそっぽを向いたが、虎太郎は彼女の頭に手を乗せ、ポンポンとあやすように軽く叩いた。

 

 

「――――んんっ。お楽しみのところ、失礼するわね」

 

「うぉ、おぉおぉぉぉ――――!」

 

 

 その時、何処から現れたのか、何時から居たのか、喫煙所に姿を現れたカーラが咳払いと共に声を掛けてきた。

 

 気配すら全く感じていなかった東は、弾かれたように虎太郎から距離を取る。

 流石は大人であっても少女の東である。人目を気にせずに、というわけにはいかないらしい。

 対し、虎太郎は驚きもなくその場を微動だにしない。色々と慣れきった様子だ。

 

 驚きの声を上げた東に何とも言えない視線を向け、続き冷たい視線を虎太郎に向けたカーラであったが、首を軽く振って口を開く。

 

 

「今し方、五車学園から連絡が入ったわ。北絵の手術は無事成功したようよ。術後の経過観察が終わり次第、此方に戻せるらしいわ」

 

「最低でも後一週間、長くても二週間と言ったところか。重畳重畳、これで一仕事終える目処が立ったって訳だ。カーラとクリシュナは入れ替わりであちらへ、だな」

 

「ええ…………それからマリカの件だけど」

 

 

 虎太郎がマリカの治療後に倒れてから、二人はほぼ接触をしていない。

 両名ともにカーラにこってりと絞られている故に、当然と言えば当然かもしれないが、その程度で虎太郎が反省なぞする筈もなく。

 傍目から見れば、マリカが虎太郎を避けているようにしか見えなかった。

 

 一従者として、あらゆる害悪からカーラを守らねばならないにも関わらず、何一つ出来ない歯痒さ。

 北絵や東といった敬意を払うに値する人間ならばいざ知らず、軽蔑に値する人間の力を借りねば立ち行かぬ自らの境遇に対する不甲斐なさ。

 屈辱は感じながらも、借りは借りと感謝の念を抱きながらも口に出来ぬ己の煮えきらなさ。

 ただでさえ複雑な感情が複雑に絡み合い、さながらこんがらがった釣り糸のような有様になっているのだろう。こうなってはマリカでも解くことは出来まい。

 

 これもマリカの生真面目さ故である。

 カーラのように清濁併せ呑む柔軟さがあれば、或いは東のような不真面目さがあれば、こうも面倒な話にはならなかっただろう。

 

 虎太郎は虎太郎で、それを察しているが故に、自ら近づいていこうともしない。

 他人の問題は他人のもの。例え、それが己の存在によって他人の内に発生したものであろうとも、相手が口にせねば関わろうとしないのが薄情な彼のスタンスである。

 

 とは言え、問題もある。

 気功による抑制療法、桐生手製のウイルスによる対症療法、は共に一週間も施されていない。

 寄生蟲の活動は停止しているもののアムリタの後遺症までがなくなった訳ではない。周期的に、そろそろマリカも限界に近づいている。

 

 どちらか一方がどちらか一方に歩み寄らねば、大事になりかねない。

 

 それを理解しながらも、虎太郎は気楽なものであった。

 マリカは抵抗するだろうが、カーラに(だま)で気功を施してしまえばいいだけの話。

 最終的にはマリカも折れる。何せ、無理をして迷惑を被るのは主人であるカーラであるのだから。 

 

 

「私は認めませんからね」

 

「――――ハハ、何の事かなぁ?」

 

「認めませんからね」

 

 

 その時、カーラの双眸に絶対零度の紅い光が宿る。思わず東も後退るレベルであった。

 短い期間であるが、彼と過ごして人となりは僅かであるが把握している。虎太郎が何を考えているのか、どのような行動に出るつもりなのかを察しているのだろう。

 気功による抑制療法は効果はあるが、虎太郎はあくまでも習得しているレベルであって、極めているわけではない。一歩間違えば、先日の二の舞である。

 

 カーラとしてもそれは避けたい。

 先日の一件は、奇跡的だ。エナジードレインの反転使用は当人も、ましてや源流である不死の王すらも意図していなかった使い方だ。

 カーラもまたエナジードレインを極めているわけではない。無理な使い方が、そうそう成功するとは思えない。

 もっとも、それは謙遜だ。彼女の天才性は凄まじく、既に(コツ)は掴めているのではあるが。

 

 しかし、虎太郎は何処吹く風とすっとぼける。

 この程度の威圧など慣れ親しんだもの。かつてはアサギや紫から日常的に浴びせられていた。そして最後には二人が糠に釘、暖簾に腕押しと諦めている。

 

 自分が楽をするためならば命を削ることも厭わない。

 此処で言う楽とは、精神的、或いは時間効率的な話である。既に肉体面と疲労面での話を考慮していない辺り、狂っていると言う他ない。

 

 

「さて、昼飯の準備をしないとな。ほいじゃま、お先に」

 

「おい、置いてくなって、アタシも手伝うからよ」

 

「お、悪いね」

 

「まあ、アタシも練習してぇし。料理を覚えるのも悪くねぇしな」

 

 

 何を言おうが平行線が続くと判断した虎太郎は、早々かつ一方的に話を打ち切る。

 なおも続くカーラからの鋭い視線の一切を無視し、指先で煙草の日を消し潰すと吸い殻入れに放り込んで立ち上がる。

 

 ゆるりとした足取りで食堂へと向かう虎太郎に、東は慌てて後を追う。

 その顔にははにかんだ笑みが刻まれており、誰のために、何のために料理の練習をするのかは語るまでもない。

 

 去っていく二人の姿に、カーラは溜め息を付きながらも、痛みに耐えるように自身の二の腕を抑えていた。

 

 

(あの様子はそういうこと、よね。……東に嫉妬するなんて思いもよらなかったわ。そんな権利もないのにね……)

 

 

 冷静に自己の内部に生じている感情に名を与え、暗澹たる気分に浸る。

 それを忘れようと首を振るが、そう簡単に忘れられるものでも、消え去るものでもない。

 

 

(虎太郎にも言っていないこともあるし……明かすのなら、タイミングが重要ね。弱味を見せて、相手に付け入るような真似は嫌だけれど、仕方ないわ)

 

 

 全ての感情と考えを表に出さずにいたカーラであったが、気が重いことに変わりはないのか、大きく溜め息をつくのだった。

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

 草木も眠り、吸血鬼の女王すらもが夢を泳ぐ丑三つ時。

 

 月明かりのみがカーテンの隙間から薄っすらと差し込む一室に、一つの影が闇から溶け出るように現れた。

 部屋は虎太郎に充てがわれたものであり、影の正体はマリカであった。

 

 部屋には侵入したものが怪我を負うようなトラップこそ仕掛けられていなかったものの、侵入者の存在を知らしめる類の仕掛けならば二重三重に設置されていたのだが、どれもが作動すらしていない。

 吸血鬼の能力である肉体の霧化、マリカの経験則からなる仕掛けの看破によるものである。

 

 マリカが歩を進めても主の寝息だけが響くのみ。

 流石にカーラ直属の暗殺騎士団に身を置いているだけあり、対魔忍の隠形術に勝るとも劣らない気配の殺し方だ。

 

 静寂に等しい空間の中、一歩、また一歩と眠る虎太郎へと意を決して近づくマリカ。

 残り三歩にまで距離が縮まった瞬間、ベッドとシーツが弾けた。

 

 

「――――っ!?」

 

 

 マリカの視界が真白に染まる。

 それが今し方まで虎太郎の身体を覆っていたシーツであったと理解するよりも早く、彼女の身体は強烈な敵意に横へと飛んだ。

 

 続き、短く空気が抜けるような音が二度連続する。

 

 態勢を崩す事なく地に足を付けたマリカは、反射的に先程まで自身が立っていた背後の壁に視線を向ける。見れば、壁には二つの弾痕が穿たれている。

 

 

「おいおい、忍の部屋にノックも無しに入るなんざ、罷り間違って殺されたって文句は言えないって分かってんのか?」

 

 

 冗談交じりの言葉には、本物の敵意が込められていた。

 虎太郎はベッドの上で片膝を付いた状態のままサイレンサー付きの拳銃を胸の前で構えている。銃口が向けられているのは言わずもがなマリカの心臓である。

 

 殺すつもりはないが、傷つけない気もない虎太郎の姿に、マリカは本気で舌打ちを漏らす。

 

 今し方まで虎太郎は本気で眠りこけていたほどにマリカの気配の殺し方は完璧だった。それこそ野生の獣すらも凌駕していたほどだ。

 失敗があるとするのなら、意を決する際に覚悟を外へと発露させた事か。それさえなければ、反応は間に合わなかっただろう。

 

 

「――何のつもりだ?」

 

 

 虎太郎は本気で困惑しながら、問いの言葉を口にする。

 グラムを確殺するために彼女達に強いた仕打ち。治療のためとは言え現在進行系でカーラに手を出している事実。

 カーラの忠臣たるマリカに殺されるには十分過ぎる理由であるが、おかしな事にマリカから殺意だけは抜け落ちていた。

 

 表情と目線から感じ取れるのは怒りと苛立ちといった負の感情。息遣いと額に浮かんだ脂汗からはアムリタの後遺症が見て取れる。そして、並々ならぬ決意のみ。

 

 虎太郎にしてみれば訳が分からない。

 怒りで喚き散らすでもなく、かと言って恨み言を漏らす訳でもない。

 腹を括った様子であるが目が据わっており、さしもの虎太郎も困惑せざるを得ないだろう。

 

 

「これから私は、お前を抱く」

 

「――――はい?」

 

 

 銃を握る手に震えはなく、銃爪にかかった指に躊躇いはない。

 だが、虎太郎が思わず間の抜けた声を漏らすほどに、マリカの発想は斜め上であった。

 

 

「お前、何を言ってるか分かって言ってんのか?」

 

「五月蝿い!」

 

「おいおいおい、ちょ、待て! 本気だな! マジで?!」

 

 

 思わず正気を疑った虎太郎であったが、マリカはお構いなしに突進してきた。

 

 完全に錯乱状態であったが、むべなるかな。

 

 マリカにとってカーラの命は絶対である。

 カーラとて虎太郎に抱かれてこい、などと露骨に命じた訳ではないが、気功による抑制療法を禁止した以上、残るは性交による対症療法しかない。

 

 それはマリカにしてみれば屈辱の極みのようなものである。

 ただでさえ身体を汚されていると言うのに、これ以上身を汚さなければならないなど。

 これが好意を寄せた相手ならば腹の括りようもあったのだろうが、相手は感謝こそすれ根本的に噛み合わず気に入らない男だ。

 

 悩み抜いた挙げ句に、アムリタの禁断症状による発情が加わり、マリカの明晰な筈の頭脳はオーバーフローした。

 いっそ、身体を汚されるくらいならば自分から。自分が上位であれば、泣きたくなるほど不様な姿を晒す事もない。

 斜め上の方向に吹き飛んだ思考のまま、斜め上の覚悟を決めて、こうしてへやを訪れた。

 

 結果が、この様である。

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……ほ、ほんと、勘弁しろよな」

 

「くっ、これを解けぇっ!」

 

 

 格闘する事こと5分。

 虎太郎は汗塗れになりながらも何とかマリカを制圧し、椅子に特殊合金製のワイヤーで後ろ手に縛り上げていた。

 ご丁寧に額には固着の護符がキョンシーのように貼り付けられており、霧化の能力も封じている。

 

 マリカが本気で殺しに掛かってきたのなら、虎太郎でも不可能な芸当だ。

 得物たるシヴァを出さず本気で拘束だけを目的とし、なおかつ禁断症状による身体能力低下の影響が大きかった。

 

 

「お前ね、いくら迷いに迷って悩んだ挙げ句にしたって、これはないだろう」

 

「五月蝿い! 貴様に私の気持ちを分かる筈がない!」

 

「まあ、間違っちゃいないがな」

 

 

 相手の思考や感情を理解できようと、共感せねば真の意味での理解には程遠いだろう。

 彼にしてみれば、他人の感情は額縁の中の絵、画面の中の映画のようなもの。現実感は薄く、合わせるだけのものに過ぎない。

 

 とは言え、虎太郎も手詰まりではある。

 カーラに黙の気功による抑制療法も、マリカの納得が必要だった。こうも頑なでは施そうとした瞬間に、本気で手首からを先を落とされかねない。

 このまま部屋にお帰り頂こうにも、この精神状態と発情具合では予期せぬ事態を招きかねない。

 

 性交をせねばならぬ以上、どの道マリカはまたも心に傷を負うだろう。

 せめてその傷を浅くしておかねば、今後の同盟関係や人間関係にまで罅を奔らせかねない。虎太郎に選択肢などないのだ。

 それに仕事の上での性交なら、相手が腹を括っている事が彼なりのラインである。最低限のラインは確保できていると言えるだろう。

 

 

「分かった。但し、無茶をする気もさせる気もない。最低限、こっちの指示には従え。それなら、やってる間オレはベッドの上で横になっている。それでいいか?」

 

「良い訳があるか! だが、カーラ様にご迷惑は掛けられない! 不快な上に不愉快だが、他に手がない以上は背に腹は変えられん!」

 

「そうかい。それじゃ、ちゃっちゃと終わらせるか」

 

 

 ボリボリと頭を掻きながらマリカの背後に回り込み、拘束用のワイヤーを外していく。

 彼は表情と声にこそ出さなかったものの、その胸中には、どうしてオレの周りはこう気の強い女ばかりなんだか、という誰に対するでもない恨み言であった。

 

 

 

 

 





ほい、というわけで、東先生マジ尽くす女&カーラ何か隠している模様&マリカ錯乱! の回でした。

こういう兎に角真面目で杓子定規な判断しか出来ないキャラをエロに持ってくの難しい、難し過ぎんよぉ。
お陰でマリカの脳みそパープリンになってるが、致し方なし。ほら、発情して思考能力が下がっとるんじゃ。
さて、次回こそはエロに。今週中に投稿できるかなぁ……?
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