レイゼル達の人質作戦が失敗して以降、第一中隊が何をしているのかの様子をレイゼル達はずっと見ていた。
「これはまた…」
『うわっ、仲間にも撃たれてますね。指示をしている青髪の少女の言うことは無視という始末。
いやぁ、これは隊とか他のメイルライダー、ノーマに偏見な目で見られそうですね』
《なにをやっているのアンジュ!》
《チッ…》
第一中隊を観察して変わったことが幾つかある。まず、彼らの隊長であるゾーラ・アクスバリーが死亡ということは聞かされてある。その情報は第一中隊にとって甚大な被害を及ぶのは確定だった。
こうして、サリアが隊長となって副隊長をどうすればいいか彼らは困っていただろう。安全な面としては副隊長をエルシャかヴィヴィアンの2人に任命させようとはレイゼル達は考えている。ロザリーやクリスは指揮力がなく、アンジュにさせるわけにもいかない。
名前についてはレヴェンが調べてもらい、誰がいつもどんなことをしているのかはよくわかっている。
レイゼル達が求めていた絶対兵器に乗って、動かしているメイルライダーがいること。しかも、そのメイルライダーがアルゼナルに入ってばかりの皇女のアンジュリーゼであり、その機体を変形自在に動かしている。
いつの間にか、そんな展開になっているだろうとはレイゼル達も思わなかった。
『絶対兵器の名はヴィルキス。パラメイルの原型であり、ドラゴンの群れに突っ込んで無双してますね』
「入ってきたばかりの皇女が、絶対兵器をねぇ…」
レヴェンが解析できる範囲に解読した結果、彼らの陣形は無茶苦茶であること。チームワークがあまりにも酷く、特にロザリーとクリスは隊長を殺そうとした仇としてアンジュを後ろから狙い撃とうとし、隊長のサリアはいくら言ってもアンジュは聞こうとはしない。
「…酷いなこりゃ」
ヴィヴィアンとエルシャ、ミランダとココはちゃんとサリアの命令を聞いているものの、その命令をいいことにアンジュを陥れようとするロザリーとクリス。さっきのことで恨まれて当然のことをしており、気に入らないアンジュを撃ち落そうとしていた。
新人であるミランダとココ、そして新たに加入されたナオミは自分を守ろうと努力しつつ、ドラゴンに襲われるアンジュを時々助けたりしていた。
「あんなのもうチームワークなんてものじゃないなこれは」
「これからどうすんだよ、兄貴。人質が通用しないなら…」
レイゼルがミランダとココを利用していたように銃口を突きつけても第一中隊は動きを止めたものの司令の指示で強制的に強行突破させるように命令した。
もしもレイゼルが2人を撃ち殺していたらどうなっていたのだろう。怒り狂って感情的になりレイゼルに襲ってくるか。彼らを刺激しようがしまいが目的であるヴィルキスを回収するだけでいい。しかし、第一中隊がアンジュを助けるために攻撃してくる。
「ヴィルキスとメイルライダーを奪い取る。それらを手に入れて離脱、その方針でいいか?」
「でも、そのメイルライダー…私らの言い分を聞いてくれるの?そいつマナの世界で16年も生きてたんだから私らのこと」
「まぁ、その時は…徹底的に殴り飛ばして脅すだけだ。明日には奇襲をかける…その時はすぐに用意しておけ」
レヴェンにはアルヴァアロンとアルケーガンダム、モルドレッドの機体検査を受けさせていつでも出れるようにさせた。
試験機指揮用と一般用ブレイブにのるキューエルとマリーカの出番はまだだった。
*****
「アンジュ!先行しすぎないで!」
隊長がいくら叫んでも無視をして聞き入れようとはしない。ドラゴンとの戦闘中に、レイゼル達は奇襲をかける。まず、シンギュラーから出てきて襲ってくるドラゴンを第一中隊が倒そうとする。
【黄金の機体を補足!】
その際にレイゼルは戦っている第一中隊に乱入してアンジュに襲う。
「⁉︎貴方、あの時の」
ヴィルキスを駆逐形態に変形させて、剣を取ってビームサーベルを防ぐ。レイゼルは相手の攻撃を受け流しており、アンジュはレイゼルを追い詰めている気でいた。
サリア達はドラゴンとの戦闘に専念せざるおえなくなり、アンジュ機はレイゼル達によって離脱した。ミランダとココの2人はアンジュのところに行きたくてもいけない状態であり、
「あいつまたキャッシュを増やす気が!」
賞金首であるレイゼルは第一中隊にとって格好の獲物だった。しかし、アンジュがこれ以上キャッシュをぼったくられないためにも。
「⁉︎ふ、2人とも!」
ロザリーとクリスの2人はサリアの指示を無視をしてしまう、アンジュの邪魔をするために。アンジュを襲うその獲物が囮役をしているとはこの時第一中隊が思わなかった。
「これで…チェックだ」
レイゼルはケイオス爆雷に似たものを空中に投げ、発光する。
「⁉︎なにこれ」
すると、ヴィルキスをいくら動かしても機能が停止されていた。キューエルからケイオス爆雷のことを教えてもらい、レヴェンが改造して機体を一時的に機能停止させるように作ってある。
空中には浮いているシステムは機能しているが、それ以外は全く動かない。
「あとは邪魔をしてくるパラメイルを潰すだけだ!ヒルダ‼︎」
「了解!」
ヒルダはアルケーガンダムに乗っており、GNバスターブレードで2機のパラメイルに斬りかかる。
「なっ、もう一機あんのかよっ⁉︎うわっ!」
アルケーガンダムで足についてあるビームサーベルでパラメイルの銃と大砲を破壊し、緑のパラメイルもGNバスターソードで足を潰される。レイゼルだけではなく、もう一機の介入に陣形は無茶苦茶にされた。
「きやっ!このままじゃ…」
「アンジュ!」
ミランダとココ機は小型ドラゴンに囲まれて、動けない。
「ミランダ!ココ!」
エルシャ機とヴィヴィアン機はドラゴンにも向かって砲撃しており、2人はドラゴンの殲滅に集中するしかない。
これで動けるのはサリア機とナオミ機だけだった。ドラゴンに苦戦しているミランダとココ。
アンケーガンダムに潰されそうになるロザリーとクリス。
どちらを助ければいいか迷っていた。
「このままだと…全滅してしまう」
サリアは顔を青くしている。
なんとかロザリーとクリスを守ってヒルダの激しい攻撃を防いでいるものの、いつ落とされるか分からない。
ヴィルキスを助けたい気持ちであったが、今はドラゴンが最優先。
ガレオン級はこうしている間にも襲ってくる。
しかし、ナオミは全速力でアンジュを助けようと試みて、ドラゴンを突っ切り、レイゼル達に攻撃してくる。
(助けなきゃ!わたしがアンジュを!)
「アンジュ、今助けるから!」
「馬鹿!止めなさい!」
アンジュがいくら叫んでもグレイブに乗っているナオミがアンジュを助ける為に無我夢中に突っ込んでくる。
(えっ…?)
「終いだ、じゃあな」
しかし、アルヴァアロンのビームライフルで撃とうと構えていた。ゼロ距離で、急には回避しきれない。
「ナオミ!」
(また、わたし。こんなところで)
ナオミはまた、落とされるんじゃないのかと思っていた。
最初はテストの際に大型ドラゴンに落とされ、次にレイゼルのアルヴァアロンに撃ち落とされる。しかし、レイゼルが引き金を引く前に横からハドロン砲が飛んでくる。
「⁉︎ちっ!」
レイゼルは攻撃を中断して、GNフィールドを展開して防ぐ。ランスロットの2度目の攻撃はアンジュのヴィルキスに当たって破損する。
「兄貴!」
「私の方はまだ一度も撃ってない。どこから撃たれたの?」
割って入ってきたのは二つ、未確認の黒い機体がレイゼル達を襲ってきている。
「なんだ⁉︎こいつらはっ‼︎」
「…あれってトリスタンとランスロット⁉︎」
「⁉︎知ってるのかマリーカ!」
彼女とアーニャは黒い機体のことを知っていた。キューエルの方はランスロットのことについて知っていたが、空を飛べることは知らない。
『ともかく第一中隊と正体不明の彼らを同時に相手にするのは危険です。ここは一旦引きましょう』
「そうだなっ!」
(くそっ…こんなところでっ)
「アンジュ!アンジュュュ‼︎」
レイゼル達の手からヴィルキスが解放されて行動できるようになったが、ドラゴンに襲われる。ナオミはアンジュを助けるために駆逐形態になってドラゴンを殺そうとするが黒いトリスタンに阻まれてしまう。
「邪魔しないで!はぁぁぁぁっ!」
ヴィルキスはドラゴンと共に海に落ちてゆき、もがいている。黒いトリスタンはナオミと戦闘をしていた。
黒いランスロットはレイゼル達を追ってくる。MVSを纏った二刀流でアルヴァアロンを斬ろうとするもののアルケーガンダムのGNバスターソードで攻撃する。
「まだあんだよ!」
バスターソード以外にもファングを飛ばして飛ぶためのフロートを破壊した。
これでレイゼル達を追うことができなくなったが、それでも襲ってくる。アーニャはステレスモードを解除し、モルドレッドの四重ハドロン砲でランスロットに向かって砲撃する。
黒いランスロットに直撃したが、右腕部分が壊されただけ。黒いランスロットは海の中にはいって逃げていった。
「保険かけて、正解。あの機体のことについては私とマリーカが後で説明する」
「分かった。それじゃあ撤退する!これ以上は無意味だ!落ちていったヴィルキスの散策はまた後にする!」
ヴィルキスは負傷し、ドラゴンに襲われたまま。
レイゼル達はヴィルキスを回収できずに撤退。その後どうなったかはレイゼル達はわからない。退散後、レヴェンがアルゼナル周辺を散策させたものの、第一中隊は一人欠けていた。ヴィルキスとアンジュがなく、行方不明となっていた。
新情報
黒いトリスタン
黒いランスロット