昼下がりの芸能プロダクション。
レッスン場がある階下からは、ポップな音楽が微かにもれ聞こえてくる。
この時間帯、アイドル達は大抵がレッスンか仕事かで事務所にいることはなく、常勤している事務員の女性も、今は銀行やら郵便局やらを回っている為、電話番も兼ね、溜まりに溜まったデスクワークを処理するプロデューサーが残っているだけだった。
「おはようございます……」
事務所の薄いドアを開け、学生服のワイシャツに黒いカーディガンを羽織った黒髪の少女が入って来た。
無感情な声色に、涼やかな瞳とシャープな顔立ちが、年不相応なクールさを演出しているが、それとは別に、今彼女の表情やら挨拶やらがぎこちなく硬いのは、これより彼女自身の身に起こるであろうことに起因している。
「やぁ凛、待ってたよ」
事務所に一人残っていたプロデューサーに、ふわりと人好きのする笑みで迎えられ、凛はとっさに顔を背けた。
唇をきゅっと一文字に結び、胸の下で腕を抱く、背けられた瞳はユラユラと不安定に揺れている。
「じゃあ早速だけど、いつものように服を脱ごうか」
椅子に腰かけたまま、プロデューサーはさも当然と命じる。
凛は一度だけきつく瞑目すると、ゴクリとその陶器のように滑らかな白い喉をならし、小さく呻きながら迷いのある動作で自分の衣服に手を掛けた。
「うぅ……」
それは、いつまで経っても慣れない、服を着た人の前で自らの肢体を晒していく行為。
凛は、自分の服が一枚脱げる度に、人としての尊厳まで奪われて行くような、筆舌に尽くしがたい羞恥と屈辱を味わっていた。
「おいおい、手で身体を隠すなよ。教えただろ?」
「っ……!」
実に涼しげに非道な命令を下すプロデューサーを睨み付けても、衣服を奪われたあられもない姿では、全く意に介されず、むしろ満たされない欲求にいじけているようにすら見られてしまう。
「っ……おね、がい……そんなに……みない、でよ……っ」
凛は消え入りそうな声で哀願しつつ、ゆるゆると胸や股に添えていた手を退け、教えられた“気をつけ”の姿勢を取った。
衣服を奪われ、秘所を手で隠すことすら許されない状況に、顔はおろか耳や首筋まで紅潮し、滑らかな肌にはしっとりと汗が浮かんできていた。
「ふむふむ」
凛の哀願は当然の如く黙殺され、たっぷりと異性の好奇の目に晒される。
「よし、じゃあいつものように頼もうかな」
「ぅ、うん……」
ようやく許されたかと思いきや、この後は、更に恥辱的な行為が彼女を待っている。
★
凛はその場に四つん這いになると、椅子に腰かけるプロデューサーの下まで這って行き、彼の両足の間にすっぽりと身体を収める形で跪いた。
「じゃ、外すね……」
上目遣いに確認して、眼前の彼のベルトに手を掛ける。
――カチャカチャ。
震える手で、恐る恐るベルトを外して行く。
これもまた、いつまで経っても、精神的に慣れない作業だった。
(プロデューサーのベルト、また自分から外しちゃってる……っ)
まるで、これから行われる行為を自らねだっているような錯覚すら覚える。
自分から裸体を晒し、自分から床を這い、自分から彼のベルトを外す。
――浅ましい。そんなにプロデューサーのモノが欲しいわけ?
頭の中に、自らを淫猥だと責め立てる自分の声が響き、凛は身体を震わせた。
(はず、せた……あとは――)
やっとの思いでベルトを外し、いよいよズボンに手を掛ける。
すると――。
「おっと、お口で、だろ?」
手は使わず、口でズボンのチャックを下せと要求された。
「うぅ…ぷろでゅさぁ……」
恥辱と興奮に震える声。濡れた瞳で上目遣いに哀願するが、許してもらえる筈がない。
「んっ――ふ…んっ……ん」
鼻孔から甘い吐息をもらしながら、プロデューサーの股間に顔をうずめる凛。
唇や鼻先に、ズボン越しからでも分かる熱く硬いモノが押し当てられ、凛は無意識にもすーっと鼻を鳴らしていた。
「くくっ」
「ッ!?」
浅ましくも雄の匂いを欲した相手にその痴態を笑われ、凛は衝撃を受けたように我に返ったが、その直後――。
――ブルンッ……!
目と鼻の先に、硬くそそり立った肉棒が現れた。
どうやら無意識の内に、しかも的確に、ズボンから肉棒を取り出していたようだ。
「あ…ぁ……っ」
目を見開き、呆然とした赤ら顔で肉棒を見詰める。最早、痴態を笑われた羞恥などは吹き飛び、凛の意識は全て目の前の肉棒に奪われていた。
血管の浮いた幹。パンパンに張り詰めた亀頭。鈴口からはねっとりとした透明な汁が溢れ出ている。
「ごくっ」
これから行う淫らな奉仕も相まって、思わず喉を鳴らしてしまう。
「どうした、始めて良いんだぞ?」
「ぁ……う、ん」
にやにやと笑う彼の視線から逃れるように、凛は眼前の肉棒に顔を寄せた。
「じゃ、するね…ちゅっ――」
言うが早いか、凛は肉棒に口付けた。
口淫前の愛情を込めた挨拶の口付け。これもまたプロデューサーに徹底的に仕込まれた作法だ。
ズボンから肉棒を露出させる作業と同様、精神的に慣れずとも、もう目を閉じていても肉棒を気持ち良くさせられる。
「ちゅっ…ふちゅ…んっちゅちゅッ……」
遠慮がちだった肉棒への口付けが、啄ばむように、そして吸い付くようにと大胆になって行く。
「うぉ…お…っ」
鈴口をちゅるるっと吸い上げると、いつものようにプロデューサーが小さく唸りを上げた。
凛は嬉しくなって、更に肉棒への奉仕に没頭する。
「ふ…んっ…ぢゅっ…ちゅぷ……ぢゅちゅちゅッ!」
鈴口をちゅーちゅー吸い上げながら、唾液とカウパー塗れの亀頭を口内でぬろぬろと舐めまわす。
「くっ……ほんとっ、上手くなったよなぁっ……!」
プロデューサーはしみじみ呟いて、奉仕を続ける凛の頭を撫で付けた。
(ふわ……ぷろでゅーさぁ、あたま、なでて――)
大きな手に頭を撫でられる感覚に、子供のような安心感と嬉しさが込み上げてくる。
同時に、自分がまだ小さな子供で、大人のプロデューサーに奉仕させられているような、背徳的な妄想が浮かび上がった。
「んッ……んちゅっ…むちゅ…は、ん……にゅちゅっ…ぢゅるるッ!」
凛は変態染みた妄想を振り払うように、プロデューサーへの肉棒奉仕に集中した。
「くぅぅっ! 凛っ……そろそろっ……!」
口内で愛撫していた肉棒が、ぎゅっと硬く大きくなる。
(あっ、精液の味……もうでるんだ、だしちゃうんだ……)
窄めた唇に伝わるゴツゴツとした幹の躍動、喉奥に感じるほのかな苦み。
凛は、プロデューサーが気持ち良く射精できるよう、頭を激しく前後に振って、一気に肉棒を吸い立てた。
「ぢゅぼっ!ぢゅちゅっ!ちゅぼっ!ぢゅぼっ!」
「うぉおおっ!!だっ出すぞっ!くぅううう~~っ!!」
ドビュルッ!ビュルルルッ!ビュルルッ!ドックンッドクンッドクンッ……~ッ!
凛の口内に、喉を焼き、脳を痺れさる濃厚な精液が大量に流し込まれる。
「んぐぅっ!! ごふっ……んっふっ、んぐんんっ――ッ」
どろどろの白濁液に喉を塞がれ、窒息しそうになりながらも、必死にそれを飲み下して行く。
「はぁ…ふぅ………ははっ、すごいスケベな顔してるぞ、凛」
「んふぅぅっ!!?」
とんでもない事実を聞かされ、かぁっと顔全体から首筋までをさらに上気させる凛。
確かに、射精する肉棒に吸い付くひょっとこ顔は、あまりにも下品で淫猥すぎた。
「んぐっ……おご……んんっ……んぐっ」
そうこうしている間も、凛は、ごきゅ、ごきゅ、と絞り切るように、残りの精液を飲み下した。
「よし、終わった後の確認と挨拶を忘れるなよ?」
プロデューサーの言葉に、コクンと頷いて、
「ん…ぢゅっ……ぢゅぢゅっ……ぷぁっ――」
凛は尿道に残った精液を吸い上げながら、ゆっくりと肉棒を引き抜いた。
「んんっ……ゴクッ…――ぁ、あ~……」
全て飲み下し、空になった口内を見せ付ける。
プロデューサーはそれを確認し満足そうに頷いた。
「はぁ、はぁ……プロデューサー、レッスン…ありがとう、ございました」
未だに興奮冷めやらぬ、朦朧とした意識のまま教えられた口上を述べる凛。
「いやぁ、本当に上手くなったよなぁ~。で、精子の味はどうだった?」
「す……すご、く………濃、かった………っ」
目を反らし、熟れたトマトのような赤ら顔で、未だ精液臭い口からいやらしい感想を絞り出す。
プロデューサーに至っては、たった今射精したばかりのため、至極冷静な澄まし顔で凛を眺めている。
(うぅ……っ)
凛には、この時間が堪らなく恥ずかしかった。
耳や首筋まで上気させた赤ら顔に、口淫と口内射精の余韻で蕩けきった顔と火照った身体。
両腿を擦り合わせ、必死に隠そうとしている内股には、もう随分前から熱いぬめりを感じている。
――くちゅ…。
「ぷっ――あははっ!凛はエロいなぁ~!」
「~~ッ!!!」
いつものことながら、発情した身体を豪快に笑われ、この時ばかりは凛も目の前の男を本気で憎たらしく思った。
(サイアク…サイテー…誰が私をこんな風にしたと思ってるの……ひどいよ)
だが、
「ふぅ…さて、おいで凛」
一頻り笑ったプロデューサーが、凛に向けて軽く両腕を広げた。
その瞬間、凛はビクリと身体を震わせた。
「ぁ…ぅ……」
ささくれ立っていた精神に再び白い霞が掛かり、彼の要求に必死で答え縋ろうとする自分が鎌首をもたげる。
「ほら、どうしたんだ?」
「ぁ…ぅあ……」
精液の香り立つ熱い吐息をもらしながら、興奮に喘ぐ凛。
その瞳も、再び硬度を取り戻し逞しく反り立った彼の肉棒に釘付けとなっている。
「ごく……」
生唾を飲みながら、凛は覚束無い足取りでプロデューサーに抱かれに行く。
「よし、いつもみたいに自分でな?」
「うん……」
凛は、椅子に腰かけたプロデューサーに跨り、自らの秘所に硬く勃起した肉棒を導く。
(あぁ……また、自分から……)
これから、どれだけ苛烈な快感を叩き込まれるか分かっているのに。
何度も何度も、強制的に絶頂に叩き上げられると分かっているのに。
泣いて懇願しても、失神寸前まで許してもらえないのも分かっているのに。
「んっ……っ!」
被虐的な思考に、お腹の下辺りがきゅんっと締め付けられる。
「いれ、るっ……ねっ」
「ああ、いいよ」
丸裸でプロデューサーに跨り、腰を落として行く凛。
――ズプ…ズヌヌ……。
「ふっ…んあぁああっ!」
嬌声が響き渡る。
そう、これこそが彼女のもう一つの日常。
輝かしい表舞台の裏側で繰り広げられる、渋谷凛の被虐物語なのである――。
END