ある町外れの山中にある橋の上。
そこに、一人の少女が立っていた。
「ごめんなさいっ。お兄ちゃん‥‥‥大好き、だよっ‥‥‥」
そう言うと、少女は橋の上から飛び降りた。
数日後、一軒の家が大きな炎に包まれた。
その家に住む男性が逃げ遅れて死亡した。
通夜が営まれる中で一人の青年が
「なぜ、こんなことに・・・」
悲しみを募らせるとともに、どこか憎悪に満ちた表情をしていた。
-だが、この事件は相棒史上におけるとんでもない事件の幕開けにすぎなかった。
2013年1月4日
その日は仕事はじめとして、各企業や官庁などが慌ただしく動き始める時期である。しかし、仕事はじめと言っても平常運転な部署がある。
まあ、どのような部署にも暇な部署は1カ所や2カ所ある。それは、日本の警察、警視庁においても例外ではなかった。
「おはようございます。」
一人の青年が、警視庁のある一室に入った。
-特命係
そこが彼の勤務している部署だ。彼の名前は甲斐亨(かいとおる)。通称カイトである。彼は交番勤務の巡査であった。香港のとある事件に巻き込まれた際、今の上司にかわれ、警視庁特命係の係員となった。
「おはようございます」
めがねをかけた物腰の柔らかそうな男性が話しかける。彼の名前は杉下右京。明晰な頭脳や洞察力を持ちながら、特命係という窓際部署にいる。なんでも、変人のようである。
特命係にはカイトの前に9人ほどいるのだが、2名を除いて皆警視庁を退職している。そのため、「人材の墓場」などと揶揄されているのだ。
「杉下さんは、あの事件の後どうされていましたか?」
カイトは右京に問いかける。
「いえ、通常通りの年末年始でした。カイトくんは?」
「ええ、悦子と一緒にカウントダウンを見に行って、それでいつも通りに」
「そうですか、楽しそうですね」
右京はほほえみかける。
仕事はじめと言っても、二人にはこれといった業務もない。特に命令される内容もないから、特命係とも、あるいは命令が入った時にだけ仕事をするから、とも言われている。
そんな特命係だが、右京の頭脳と歴代の相棒の能力、そして二人の連係プレイは時にいくつもの事件を解き明かしている。もちろん彼らの手柄という扱いではないが。
ドアノブを回す音がした
「おまえたち、暇かっ!初暇かっ!」
そう言ってきたのは組織対策五課の角田課長である。この人こそ一番暇な気もするが、麻薬や犯罪組織などには役立っているためそれは言ってはいけない。
「テレビを見てみろ。今、人気女優の姫川綾音が記者会見をしてるぞ。」
「ええ、僕も知ってます。本名、湯川文乃。女学生ながら演劇を打ち込んでいて品行方正だって」
そう言うとテレビを回す
「私はこの男にストーカーをされて、心身をやんでいましたが、無事復帰できました。このようなストーカーは許すことはできません。」
内容として、文乃にはストーカーがつきまとっていたという。
「このストーカーは警察が拘留して、接近禁止命令を出した、ということだ。」
角田は言った。
「芸能人のストーカー、恐ろしいですからね」
右京もカイトもストーカーの恐怖は知っていた。ストーカーにろくな対策をしなかった結果、起こってしまった悲劇も少なくはない。
テレビの中では
「ストーカーは決して許すことはできません。この世の中にすむ女性たちのためにも頑張っていきたいと思います」
文乃の声がする。だが、文乃の台詞はまるで刑事ドラマの記者会見の受け売りのような意見だった。
「普通、ストーカー事件で被害者が記者会見まで開きますかね。」
右京は疑問に感じていた
「ストーカーにつきまとわれたら、身の危険を感じてしばらく安全なところに逃げたりします。仮に会見を開いたとしても、ここまで堂々としているのはかえって気味が悪い」
「そうですか、それだけ強い女だって示したいんじゃないんですかね」
「細かいのが気になってしまうのが僕の悪い癖です。」
右京はそう言いながら紅茶をすすった。
「ストーカーの件、調べてみませんか?」
「ええっ!?」
カイトは思わず大声を上げてしまった。
VIPのSSスレに投稿したクロスオーバーもののSSのハーメルン版というか、
書いてみたかったものです。
18禁ゲーム「ヤバい! -復讐・闇サイト-」と
「相棒」とのクロスものです。
一応、Season11 正月スペシャルの直後ぐらいの事件として書いています。
追記:タイトルを「羅城門の下人」と改めました。