「なんだろう、幸せ過ぎて頭がおかしくなりそう」
「なんだそれは……」
風呂を上がって寝巻替わりのジャージとTシャツに着替えた遊吾は、翼と一緒にベッドに座るとそんなことを呟いた。
事実、今の彼は幸せ絶頂期であった。それこそもし今此処で決闘をしようものなら翼と一緒にカードを引き、二人の愛の結晶とシンクロモンスターを立てていくことだろう。
普段と比べなくともゆるゆるな彼の表情を見て、おかしそうに笑う翼。
「いや、本当に幸せなんだよ。響たちとは違った――いたっ!?」
彼にとって響や未来という存在がどれだけ大切かは彼女も分かっている。だが、告白して数分もしない内に恋人とは違う女性の話をするなど言語道断。腕に奔った痛みにそちらを向けは、ムッと唇を尖らせ上目遣いに非難の視線を向けてくる翼の顔。
「まさか恋人が同衾している時に他の女の話をするとは思わなかったぞ……」
「あ、いや、えっとじゃあ、親父に初めて勝ったときの気持ち!」
「……ハァ」
どこまで決闘馬鹿なのだろうか。まさか異性関係以外で真っ先に出てくるのが決闘関係とは。
筋金入りとも言える決闘馬鹿である遊吾に大きくため息を吐くものの、そんな彼の告白に応じたのは自分だし、何よりそんな彼だからこそ好きになったのだからどうしようもない。
クスリと口元を手で隠し、どういえばいいか、と悩む遊吾の名前を呼ぶ。
ん? こちらを見る無防備な唇にソッと唇を合わせる。すこしかさついた薄い唇。首の後ろに回した腕が、密着する身体が彼の身体の熱を感じさせてくれる。
「ん……音は鳴らないのだな」
唇を離し微笑む翼の顔を見てボーっとしていた遊吾であったが、ようやく自分が何をされたか理解したのだろう。みるみる内に顔全体がトマトのように真っ赤に染まり、あわあわと慌てだす。だが彼女の身体を引き離すつもりはないのだろう、目と腕だけグルグルと動かす姿はシュールを通り越して少し怖い。
「あ、あ、え」
「なんだ、風呂場ではあんなことをしたというのに」
悪戯っぽく微笑む翼に、あの時と今はちげぇよと叫びたくなる。
確かに風呂場では物凄い気持ち良いことをしてもらったのだが、それとこれとは話が違う。大前提としてあの時は興奮で頭がどうにかなっていたわけであって、今は素面。幸せではあるが冷静な分その破壊力は尋常ではなかった。
「私の唇の味はどうだった?」
「えっと、ご、ごちそうさまです」
ドクドクとうるさい心臓を抑えつけ何とか声を捻り出す遊吾。その声は緊張と興奮で震えていた。
震える彼の身体にしなだれかかり、翼は彼の耳元で囁く。
「ごちそうさま、で良いのか?」
「え?」
「据え膳食わぬは男の恥、ではないか?」
思考は無かった。
気づけば彼女を押し倒し、その唇に食らいついていた。
貪るように彼女の唇に自分の唇を重ね、舌と唇で存分に味わう。開いた口に下を捻じり込み、彼女の口腔を思う存分に味わう。
本来唾液にも歯にも味などするはずがない。だが、この時彼は確かに彼女の口腔内に味を感じていた。
「んぅ――んっ!? じゅっ……んぐっ、ふっぁ……んっ、んんッ!?」
甘い、あまい唾液を啜り、唇の端から漏れるのも構わず自分の唾液を彼女の口内に流し込む。歯を、歯茎を、舌を、好き放題味わい、凌辱する。
思う存分彼女の口腔内を味わった遊吾はゆっくりと顔を離し、そこで自分が行ったことに気が付いた。
「あ……ふ、はぁ……」
上気した頬、だらしなく開いた口の端から垂れる唾液の筋。キリッとした眉は垂れ下がり、その瞳には涙が浮かんでいた。
年上の女性のあられない表情に、視界が狭まり彼女の顔しか、彼女の開いた口にしか目が向けられない。ゆっくりと顔を近づけ、彼女が身動ぎする。
「んっ……ん、ふぁ?」
目を瞑った翼は思わず気の抜けた声を出してしまう。
先程と同じように口の中を思う存分舐られるものだとばかり思っていたら、予想外の優しいキス。貪る様なものではなく、彼女をいたわるような触れるだけのものに少し物足りなさを感じ目を開ける。
「遊吾?」
「その……」
緊張か興奮か、暴れそうな身体を震わせながら彼が言葉を濁す。
その視線が自分の着物に向かっていることに気が付いた翼は、脱ごうか? と意地悪に尋ねた。
「えっと、ぬい、いや、脱がしたい」
「そうか」
そう言うのが早いか彼の手が帯に伸び、何とか脱がせようとするのだがどうやら手が震えているせいで上手く帯を解くことが出来ないらしい。
翼が身動ぎして帯を解きやすいようにしてやると、帯はいとも容易くするすると解け、着流しの前がゆっくりと開ける。
興奮止まぬ手つきで胸倉を掴む遊吾。微かに見える白い肌に荒くなる息を深呼吸で鎮め、一気に開いた。
「ひゃっ!? こ、こら遊吾――遊吾?」
呼吸を忘れ、見惚れる。
両手が上げられ隠すものも何もない彼女の肢体。
首元を彩る鎖骨。ツンとしたお椀型の胸に、薄い胸骨。浮かび上がった肋骨と微かに割れた腹筋が声に出来ない程の色気を、鼠径部の影が妖しい気配を醸し出す。
これが、風鳴翼。胸が大きいとか小さいとか、綺麗とか、そういうものではない。これが風鳴翼なのだ。
「その……そんなに見られると恥ずかしい」
くねりと身動ぎする翼。影の形が変わり、彼女の筋肉が躍動する。それを見た瞬間、彼の時が動き出し、ばね仕掛けの人形のように彼女の胸にむしゃぶりついた。
「ひゃぅ!? あっ、こ、こら遊吾!?」
固い胸骨に鼻先を押し付け、肺一杯に彼女の香気を吸い込む。両手でお椀のような胸に手を当て自分の顔に寄せる。
女体とはここまで柔らかく、心地よいモノなのか。彼女の花のような香りと顔を包む柔らかい感触に恍惚の笑みを浮かべ、彼は舌を出して彼女の肌をぺろりと舐めた。
「こ、こら、そんなところ舐めるんじゃ――ぁん! あ、ふっ……ひぅ!?」
おもちのように胸をこねくりまわされ、ツンと尖った乳首を捻られる。ビリビリと胸を貫く快感に背筋を弓なりに反らして喘ぐ翼。
顔全体で胸の感触を楽しんだ遊吾の顔はそのまま右へスライド。乳房の側面を味わいながら乳首へと舌を伸ばし、まるで飴を舐めるように丹念に固いグミのような感触の乳首を舐る。
「ひんっ、こぉら……そんな、んっ、舐めても乳は出ないぞ?」
ついに乳房を口一杯に咥えて乳首をしゃぶり始めた遊吾に快感で身体を震わせながら翼が言う。
鼻の下を伸ばし乳首を吸う姿はだらしないこと極まりないが、全てを委ねる様な彼の表情に言い得ぬ感情を抱いた翼は彼の髪をゆっくりと撫でながら思う存分乳を吸わせてやる。
「んっ……はぁ、美味しいか? そうか、んふっ、ん……あ、あんっ……」
美味しいかと問いかけられ、一心不乱に乳首を吸いながら頷く遊吾。
右の乳首を吸い、舐め、噛む。その度に身体を跳ねさせながらも優しく微笑む翼が綺麗で、可愛くて遊吾は口を離すと今度は左の乳首に吸い付いた。
寂しくないように乳輪をなぞる様に撫で、抓る。
ずっとこのままで居たい。多幸感に包まれ赤子の様に翼の乳を吸う遊吾であるが、その股間は今にも爆発せんと張りつめており、無意識のうちに翼の太腿にマーキングするように擦り付けていた。
「はぅっ……あ、これ……」
「くっ……」
太腿に擦り付けられる固い物に気づいた翼が手をそっと指を這わせると、丁度指が彼の肉棒の頂点を走り、その振動に思わず乳首を離して喘いでしまう遊吾。
そっと指を這わせるだけだった翼は徐々に肉棒の形を確かめるように指を窄めていき、ギュッと強く握った。
「あぐっ!? あっ……」
「ふふっ、こんなに大きくして。そんなに良かったのか?」
ジャージの上から形を確かめるように丹念に肉棒を撫でられ頤を上げ喘ぐ遊吾。飛び出した喉仏に下を這わせながら翼は言う。
「服、脱ごうか?」
彼女の言葉に頷き立ち上がる遊吾。彼がシャツに手を掛けている間に翼は目の前に差し出された山の様に盛り上がった股間に視線を釘付けにされつつパンツと一緒にジャージを引き下ろした。
「きゃっ!?」
パンツのゴムに引っかかった肉棒が鹿威しの様に彼女の鼻先で跳ねる。その力強さに悲鳴を上げつつも視線を釘づけにされゴクリと生唾を呑む翼。
そんな彼女に切なげな声がかかる。
「ああ、ごめんなさい。さ、こっち」
ゆっくりと背中を倒してベッドに横になる。
立てられ、横に広げられた脚はいわゆるM字開脚のポーズだ。グラビアなどでこんなポーズをされても全然来るものが無いのに、翼がした途端に堪らなくなってしまうのは自分に堪え性がないからだろう。
スラリと伸びる脚。刀の様に美しい曲線を描く、張りのある太腿と、その付け根から見えるプリッとした臀部と淡い色の毛が生えた陰部。ほんの少しだけはみ出た外陰唇、テラテラと濡れそぼったそこは見ているだけで吸い寄せられる魔性の花のようだった。
あそこに、自分の物を挿入する。そう考えるだけで目の奥がカッと熱くなり、股間が震えるのが分かる。
だが、ここで理性を失ってはいけない。自制しようとするも視線はもうそこを捉えて離さない。
「こ、こら遊吾。あまり見るんじゃないっ!!」
翼も恥ずかしいのだろう。股間を隠すように両手を出すが、指が開かれているせいで逆に他の部位の情報が遮断され陰唇が強調されたせいで彼の視線が一層熱くなる。
自分の恥ずかしいところを見られている。あまりの視線の熱さに羞恥心と心地よさで身体を震わせる翼。彼女の太腿に手が添えられ、ゆっくりと擦りながら彼の手が陰唇に伸びていく。
「はぁ……んっ、くっ……ひっ」
「うわ……これが、翼の――」
彼の胸を去来したのは感動。
彼の人差し指はいとも簡単に彼女の膣内に呑み込まれ、その感触を彼に入念に伝えてきた。
暖かい。口腔とは明らかに違う熱量と、うねる壁。御馳走を待つように次々と吐き出される淫液の香りに脳がしびれる。
「ああ!? ふ、んぁあ、やっ……んぁ、んっ、っくぅッ……ひぁ!?」
好奇心で中指を入れ、出し引き、擦り、捏ねる。浅いところを擦るときに甲高い嬌声と共に身体が跳ねる。そうか、浅いところがいいのか。彼女の気持ちいところを見つけて思わずそこばかりを責めてしまう遊吾。
「ゆぅ、ごぉ……」
「あっ、い、いれるぞ?」
眉を寄せ切なそうな翼の顔。そうだ、こんなことで満足しちゃいけない。自分を諌めて遊吾は肉棒に手を添えると彼女に声をかけてそのまま膣に挿入しようとして――にゅるりと彼女の外陰唇を滑る。
「ふぁ!?」
「あれ? えっと……」
「ひぅ!?」
肉棒が陰唇を滑る度に二人に快感が突き抜けるが、求めているのはこれではない。
角度が悪いのか、入れ方が悪いのか。どうにも上手く挿入できずにいる遊吾を見兼ねて翼が震える手で遊吾の肉棒に手を添える。
「うっ……」
「遊吾、ここだ、ぞ?」
くちゅっという音が聞こえ、亀頭が微かに彼女の中に入り込む。
たったそれだけだというのに彼の身体を快感が突き抜け、彼は思わず呻き声を上げてしまう。
気持ちいい、なんてものではない。レベル、いや、ランクが違う。
「つ、翼、入れるぞッ!」
「んっ」
遊吾の言葉に顎を引いて応える翼。脚を腰に絡めさせ、二人でゆっくりと腰を進めていく。
先程まで先端に感じていた快感が、ちゅぷっという感触と共に亀頭全体に広がる――
「んぁ!?」
「くぁっ……ふっ……」
限界だった。
我慢しようと全身に力を入れていたのだが、彼女の膣の熱量と締め付けは彼の防御なんて関係ないと言わんばかりに快感を直接叩き込み、脳を焼く快感に彼の股間が爆発した。
全身を震わせ、肉棒がビクッビクッと震える度に彼女の膣内に彼の精子が撒き散らされる。
十秒ほど続いた射精は少しずつ収まっていくものの、射精を終えた遊吾を待っていたのは言い得ぬ敗北感と情けなさだ。
三擦り半、という言葉があるが、それ以下。あまりにも早漏過ぎる。年頃の少年である遊吾は確かにオナホールを使ったことだってあったし、普段自慰行為をするときはこんなに早くなかった。
男性の射精は、快感以外にも緊張や興奮によって早まる。だが、そんなものは何の慰めにもならなかった。
「遊吾!」
「ぬぁ!? んっ!?」
「ぷはっ……まったく、なんて顔をしているんだ」
突然の翼のキスに目を白黒させる遊吾。
「初めて、だったんだろう?」
「あ、いや……うん……」
「初めて、そうか、初めてだったのか……」
ふふふ、と妖艶に微笑む翼。流し目と突如として蠢きだした膣壁に呻き声を上げる遊吾。
頬に触れるひんやりとした感触。翼が愛おしそうに頬を撫でて言う。
「お前のこんな姿を知っているのは私だけ、ということだな」
「あ、ああ」
「そして、私の姿を知っているのも、お前だけだ」
首に腕を絡められて抱き寄せられ、耳元で囁かれて背筋が震える。
そうだ。彼女の言う通り、歌姫風鳴翼のこんな姿を知っているのは自分しかいない、自分だけなのだという優越感。
「遊吾、もっと見たくないか?」
「え?」
「私は、見たい。それにベッドの上でしか聞けない歌もあるぞ?」
悪戯っぽく微笑む翼。
「まさか、そんなこと言うなんて思ってなかったぞ……」
普段会う翼は確かに可愛らしい女性的な一面もあるのは知っていたが、まさかこんなことを言うとは思いもしなかった。
これも含めて、ベッドの上でしか聞けない歌なのだろうか? すでに変わりつつある翼のイメージ。
「私とて女、ということだ」
ところで、と彼女が彼の腰に脚を回しつつ尋ねる。
「遊吾はもう満足か?」
「へ?」
「こんなに固くしてるのに、もうやめるのか?」
キュッと膣を絞められ歯を食いしばる遊吾。
満足か、と言われたら満足なんてしているはずがない。もっと気持ち良くなりたいし、彼女を気持ちよくさせたいという気持ちはある、だが……
「その、動くと、だな……」
「もう出そうなのか?」
彼女の言葉にコクリと頷く。
彼女の膣内は粒粒が沢山あったり、襞が容赦なく亀頭を抉ったりということはない。だが、蠕動する膣壁とぬめりを帯びた膣肉の感触は彼に常に快感を送り続けており、下手に動けばまたすぐに射精してしまいそうだった。
「うぁ……ちょっ、つばさ!?」
「んっ、ふっ……出してもいいぞ? だから私と、な?」
腰を引かれ、問答無用で膣から肉棒が離れていく。力が込められた膣は彼の肉棒を容赦なく擦り上げ、亀頭を中心にビリビリとした快感が彼の腰を震わせる。
「ほら、遊吾も」
「くっ……んの!!」
「んぁあ!? そんっ、急に……んっ、はぁ!?」
余裕たっぷりな翼の表情に反骨心をむき出しにした遊吾が力強く腰を翼に叩き付けた。
もうペース配分なんて気にしない。限界ギリギリまで腰を引き、杭打機のように腰を振り落とす。
「あぐっ、ひぃ……んぁあ!? んっ、あっ、あっ……くぅ!?」
「ああっ、このっ、このっ!!」
技術も何もありはしない野蛮な腰遣いだが、力強く出入りする灼熱の肉棒に何度も子宮を押し潰され嬌声をあげる翼。
バチバチと白い火花が散り、先走りが溢れ出す。白濁した液体が漏れ、互いの身体をギュッと抱きしめ、
「ぁああ!?」
「かっ!? あっ……」
弾けた。
尿道を走り壊れた噴水の様に精液を吐き出す肉棒。びちゃびちゃと精液が吐き出され、肉棒が激しく上下する度に彼女の身体が跳ね、膣肉がもっともっとと言わんばかりに肉棒を締めつける。
限界だと精液を吐き出せば彼女の膣がもっと欲しいと締め付ける。そしてその快感でまた射精し、締めつけ、無限ループとも言える快楽が二人の脳髄を焼き尽くし、壊れ、蕩けていく。
「あっ、ひぃん!? ふぁあ!? んっ、くぅ!」
「はっ、はっ」
天を舞う羽のように髪を乱れさせ、己の上で踊る翼。
互いの胸に手を置き一心不乱に腰を振る。
ステージ上で可憐に舞い、人々の希望となる歌を歌い続けてきた翼。そんな彼女が今、自分の上で淫らに舞い、力強い歌声は甘く蕩け、自分にだけ向けられている。
最早快感が強すぎて、今自分がどうなっているのか分からない。腰はとっくの昔に融け合って、彼女と自分が融合しているような気がする。いや、もうそうなってしまっているのだ。
熱に浮かされボーっとした頭の中、妙にすっきりした場所で彼は思う。
きっと、天女とはこういうのだろう、と。男の視線を惹き付けて止まない美しい女性。自分の上で浅ましく腰を振り、汗を、涎を垂らしながら快楽を貪る姿など普通だったら醜くて見ていられない。だが、それがいい。
これがいいのだ。
「んぁああああ!?」
「うっ!? はっ……ふぅ、ふぅ」
彼女の身体が弓なりに反り、彼の身体が狂ったように跳ねる。イッた。射精後特有の倦怠感に力を抜く遊吾だが、そんな彼に覆い被さる影。
光が消え、彼女の瞳だけが映る。ドロドロと蕩け切った瞳。きっと漫画で表現するならハートマークがとんでいることだろう。
遊吾は顔を緩めると彼女の背中を抱き寄せて――
「あー、もう死んでいいかも……」
温泉に入った時のおっさんのような呟き。鋭い痛みが彼の腰に響き、思わず悲鳴をあげてしまう。
「いっ!?」
「死んでもらったら困るぞ」
「あ、わりぃ」
むすっと頬を膨らませる翼に謝り、手を伸ばして彼女の髪を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を細める翼。今二人は結合を止め、遊吾のリクエストに翼が応えているところであった。
「でも、本当にやるのか?」
「いいから、お願いします!」
まるで最新パックを箱買いして目的のカードが当たらず最後の一パックに祈りを捧げるときの様に手を合わせる遊吾に、これは梃でも動かないなとため息を吐きながら翼が改めてリクエストを実行する。
「んっ、こう、か?」
「ああ……すごい……」
上目遣いで尋ねれば、心ここにあらず、といった風に答える遊吾。
今彼女がやっているのは、パイズリと呼ばれる性技であった。
乳房の大きさを利用して男性器を扱くというパイズリは、本来ならば乳房が大きな人が行って初めて効力を発揮する。だが、翼の肢体は黄金比と言って過言ではないスレンダーな体型であり、胸も尻も無駄な部分が無いせいでこうした行為に適した体型をしていない。
しかし、彼女のパイズリは予想以上であった。
翼のようなキリッとした年上のお姉さんが行うというだけでも射精しかねないものなのに、薄い筋肉と胸骨が裏筋を責め、両手で寄せられたお椀型の乳房が潰れコリコリとした乳首が竿を擦りかりに引っかかる感触は彼に膣内とは違う充足感と満足感、快感を与えてくる。
「んっ……こんなことまで、させるとは、とんだ変態だな、お前は」
「嬉々としてするお前だって」
互いに笑い、時折奔る快感に顔を歪ませる。
「はぅ!? っちょ、つあ!?」
「ん? ちゅっ……駄目だったか?」
「いや、駄目じゃないけど――ああ!?」
鈴口から溢れる白みがかった先走りにぺろりと舌をのばした翼。
まるで飴を舐めるように舌先でチロチロと鈴口を弄られ、肉棒がビクンと跳ねる。
「なんだ、もう出そうなのか? 早漏め」
「あっ、くっ……う、うるせっ、気持ち良すぎるのが悪いんだ」
早漏と言われプライドが傷ついたのだろう、ぷいっとそっぽを向く遊吾。
大胆不敵な彼の見せる子供っぽい表情と情けない顔にゾクゾクと背筋を震わせた翼は、もっとそんな表情をみたいと亀頭の先に舌を絡ませる。
「はぅっ、ぐっ…」
「んー、ちゅっ、ぴちゅっ……どうだ?」
鈴口から溢れる先走りを甘露のように舐めながら尋ねる翼だが、彼の問いかけへの答えは期待していない。何故なら乳房に挟まれて涙を流す肉棒と震える腰が言葉よりも如実に彼の心を表しているからだ。
「この……性格悪いぞ」
「私も驚いてる」
彼をいじめることが気持ち良くて仕方がないなどとは思わなかった。だが、これもまた自分。
上半身を大胆に上下させ肉棒を乳房で搾る。膨らみ固くなる亀頭に舌を這わせて写生を促した。
「で、でるぅ!」
「ひゃっ!? んっ、すごい……」
彼女の顔面と言わず胸と言わず、間欠泉のように噴き出した白濁液が彼女の髪すらも白く染める。
「凄い臭い……」
口元から垂れる精液を舌で舐めとり、形容しづらい味のそれに胸を焼く。
ちらりと見れば、 萎えて尚大きさを保つ肉棒と、荒く上下する彼の腹筋。
嗚呼、駄目だ。子宮から沸き上がる衝動に身を任せ、翼は遊吾に躍りかかった。
※※※※※※※※※
「ん……んん?」
日の光が彼女の瞼を貫いた。
もぞもぞとベッドの上から起き上がろうとして、身体を包む熱に気づく。
胸に顔を埋めた海胆頭。遊吾に気づき頭を撫でようとして、自分の手の惨状、ひいては全身の状態に気がついた。
皮膚の上に張り付いたパリパリのナニカ。時間を忘れ、 互いに全身という全身を貪りあった至福の時間が蘇ってくる。まだ彼の物が中に入っているような気がして彼女は下腹部を撫でながら微笑んだ。
「遊吾、遊吾」
「……んぁ? ……翼?」
焦点の合わない目で彼女の顔を見る。無防備な表情に翼が破顔すると、彼はへにゃりと笑って彼女な胸に顔を埋める。
「あんっ、こら……」
ピチャピチャと乳首を吸われ喘いでしまう。だが、このまましてしまうと明日の仕事に間に合わなくなる。名残惜しいが、名残惜しいがここは心を鬼にして離れるしか――
「遊吾、誰か――」
「………………お邪魔しています。遊吾の恋人になりました、風鳴翼です」
「あ、はいこれはどうもご丁寧に。父のジャック・アトラスです」
互いにペコリと頭を下げ、ジャックはそのまま扉を閉める。
ふぅ、と息を吐く翼であったが、ふと胸元が震えていることに気づきそちらを見れば、身体をふるふると震わせる遊吾の姿。
「ゆう――」
「うぉあああ!!」
ベッドから転がり落ち、全裸で部屋を出ていく遊吾。
下の階から何やら叫び声が聞こえてくる。どうやら色々耐えられなかったらしい。
彼の慌て方を思いフフっと微笑む翼。彼女は何気なく部屋におかれたデジタル時計を見、そして固まった。
時間がもう午後を指しているのは良い。良い、のだが――
「きゃああああ!?」
その日付は遊吾の家に来たから既に二日――つまり、休暇明けの日付を示しているのであった。
その日は互いに悲しみに暮れ五回ほど楽しんで睡眠をとり、後日帰宅した二人は揃って関係各所に謝罪しに回ろうとしたのだが。
「大丈夫ですよ。翼さん全然休まないから休暇を調整させていただきました」
おめでとうございます、二人とも。
マネージャーである緒川のフォローと爽やか笑顔の祝福に、二人して顔を赤くして崩れ落ちるのであった。
遊吾・アトラスのデュエルは、敵の大型モンスターを殴る、つまり敵が動いてから行動する=Mだったという罠。
翼さんがSになったようです。