でも、デレ千冬もアリだと思うんですけどどうでしょうかねぇ?
「というわけでっ!織斑君クラス代表決定おめでとう!」
「「「「「「「おめでとう~!」」」」」」」
ぱん、ぱぱぱーん。クラッカーが乱射される。私の頭にはクラッカーによって出された紙テープが散乱していた。今は夕食後の自由時間。場所は寮の食堂,一組のメンバーは全員揃っていた。各自飲み物を手にやいのやいの盛り上がっている。
「…………」
正直驚いていた。今までこんなことをされたことがないのだから当然と言えば当然であろう。あるとすれば中学時代に過ごした少人数で家でやったくらいなものだ。
ちらりと壁を見ると、そこにはでかでかと『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と紙がかけてある。女子って凄いなぁ・・・・・・今は私も女子だがな。
「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるね」
「ほんとほんと」
「ラッキーだよねー。同じクラスになれて」
「ほんとほんと」
さっきから相槌を打っている女子は二組だった気がするが、気のせいだろうか。というか人が集まりすぎなのではないだろうか。
「ずいぶんと嬉しそうだな、一夏」
「まあ、こんなこと今までなかったしね。いろいろあったし」
「・・・・・・すまない」
箒は私の事情を知ってしまったせいか、たまに私が言ったことで顔を俯かせてしまう。
「箒が気にすることじゃないよ」
「だが・・・・・・」
突然私たちの目の前にボイスレコーダーを持っている女子がやってくる。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君に特別インタビューをしにきました~!」
オーと盛り上がる女子一同。
「あ、私は二年の黛薫子(まゆずみかおるこ)。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」
私は黛先輩から名刺を置け取る。ずいぶんと画数が多い人だ。
「ではではずばり織斑君!クラス代表になった感想を、どうぞ!」
ボイスレコーダーをずずいっと私のほうに向け、無邪気な子供のように瞳を輝かせていた。
「えーと」
事件以来、目立つことを避けていたのであまりこういうことに慣れていない一夏であった。
「き、期待に応えられるようにが、頑張ります」
「ありゃ、以外に恥ずかしがり屋なのかな?これは意外な一面を見させてもらいました!」
そういいながらどこから出したのかわからないカメラを私のほうへ向けて撮る。
「ちょ、何しているんですか!?」
「いや~意外なところでいいものを撮らせていただきました!まあ、コメントのほうは捏造させてもらうから」
いや、それはダメでしょ。
「それじゃ、セシリアちゃんもコメント頂戴」
「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ありませんわね」
口ではそんなことを言っているけど、満更ではない顔だな、セシリア。
「ではまず――――」
「やっぱいいや。織斑君のネタでいっぱいになりそうだし」
「だったら最初っから聞かないでくれませんか!?」
「まあセシリアちゃんのは勝手に捏造しておくとして、そうだな・・・・・・織斑君に惚れてしまったからにしておこう」
「なっ、な、ななっ・・・・・・!?」
ボッと赤くなるセシリア。
「そ、そんなことあるはずがありませんわ!」
「え~本当かな~?」
「そ、そうですわ!」
セシリアはちらちらとこちらを見ている。
「まあ、そうじゃないって言っているんだしあまり言わないほうが・・・・・・」
「い、一夏さん!?それはあんまりですわ!?」
えー、どっちですか。
「い、一夏さんはどうなんですか!?」
「え?わ、私?」
「私のことどう思っているのですか!?」
「どう・・・・・・って」
それはもちろん男だったらどれだけ嬉しいことか。美人な女の子に好かれていたら誰だって嬉しいだろう。
だけど、今の私は女だからな・・・・・・。
「はいはい、そんなことより二人並んでね。写真撮るから」
「えっ?」
意外そうなセシリアの声。しかしどこか喜色を含んで弾んでいるようにも聞こえる。
「じゃあ、抱き合うように並んで~」
「だ、抱き合うようにですか!?」
それはマズイ気がするような。それはいろいろと問題な気がする。
「い、一夏さんがよければわたくしは構いませんわ」
「セシリア・・・・・・」
いや、ものすごく構う。おもに私が。
「はい、じゃ抱き合って~」
私とセシリアは軽いハグをするような格好になる。私の首元にセシリアの顔が置かれる。周りにいた女子たちがブーイングを上げている。
「え~セシリアだけずるい」
「いいな~」
「次は私も!」
いろんな声が聞こえてくる。箒のほうを見るとものすっごく睨んでくる。だから箒、私が女だってこと知っているよね?セシリアの方を向くと目の焦点が合っていない。もしかして・・・・・・。
「・・・・・・セシリア?」
「んふふ、なんですの一夏さん?」
ヤバイ、非常にやばい。どれくらいやばいかって言うとセシリアの唇が私の唇のほうへ近づいていっている。
「セ、セシリア!何しようとしているの!?」
「うふふっ、一夏さん。女性の人にそれを聞くのは野暮ではなくってよ」
いや、だから私も女性・・・・・・ってちょっと待った!
「セシリア落ち着いて!!」
「一夏さん・・・・・・」
私は千冬姉以外の人と周囲の人がいる中でキスをするとは思っていなかった。そして触れ合うまであと数ミリの時に。
「ふんっ!」
ガシッ!
「なっ!?」
突然私の顔面からセシリアの姿が消える。すぐさまセシリアを探すが一夏の後ろに千冬姉がセシリアの顔面を掴んでいた。そう、今の状況は千冬姉が片手でセシリアの顔面を持ち宙に浮いている状況だ。
「あ、あの・・・・・・織斑先生?」
「私の一夏に何をしようとした?」
「い、いや、あの」
「言い訳はいい。私の許可なくキスをしようとするなど」
ギリギリッ!!
「にぎゃあああああああああ!!」
「万死に値する」
地獄の断末魔の声が響き渡る。周りにいた女子たちの騒ぎが一瞬で静かになる。私はいちいち姉の許可なしでキスしてはいけないのか?
「どうしてもしたいならば私の屍を超えていけ」
「いや、無理だと思うけど・・・・・・」
いるのか?千冬姉を倒せる人なんているのか?
そうして千冬姉の乱入もありクラスで写真を撮り(セシリアは地面にひれ伏していた。おもに千冬姉のせいで)、十時過ぎまで『織斑一夏クラス代表就任パーティー』が続いた。
そうして疲れた身体で自分たちの部屋に戻りベットにダイブした。
「はぁ~~~」
「楽しかったか、一夏?」
「まあ、それなりに」
「そうか・・・・・・」
「箒・・・・・・?」
何故か箒は私が楽しいと答えると少し寂しそうな顔をする。
「箒、何か悩みでもあるのか?」
「いや、そうではないんだが」
「私には話せないのか」
「まあ、その、なんだ」
箒は言おうにも言えなかった。目の前の人がたとえ男から女になってしまっても六年前からずっと好きだったのだ。それが最近ではセシリアやクラスの女子と仲良くしているの気に入らないとは言えない箒であった。
「その、私はお前が誰かと仲良くなることをとやかくは言わんが」
「あ、ああ・・・・・・」
「だが、最近セシリアとかと仲良くなりすぎではないか?」
「えっと・・・・・・ごめん。つまり?」
「~~~~~~~~っ!!////////」
箒は顔を真っ赤にして私に大声で言う。
「つまりだ!私はお前がほかの女と一緒に仲良くなっているところが嫌だったんだ!」
「えー、だってさっき仲良くすることにとやかく言わないって・・・・・・」
「だ、だがな私は唯一クラスでお前の秘密を知っているものなのだぞ!」
「まあ、確かに」
千冬姉もだけどな。
「だが、それにもかかわらずほかの女子に色々頼んだりするではないか!」
「ええっと・・・・・・箒」
「もっと私を頼ってくれればいいではないか!最近ではセシリアばかりに」
「箒・・・・・・・・・」
なんとなく言いたいことがわかった気がする。箒は口下手だから何が言いたいのかわからないことが多々あるが。
つまりは私が千冬姉の力になりたいのにもかかわらず頼ってくれない。そんな感じだろう。
「箒」
「い、一夏?」
私は箒をそっと抱きしめる。箒の顔を胸のところでそっと包み込み言葉をかける。
「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ」
「・・・・・・わかっている。お前がそんなつもりはないくらい」
「私はどこかで箒に甘えてしまっていたのだろう。いつも箒は私のことを気にかけてくれるのにな」
「それは当たり前のことだ」
「箒にとってはそうかもしれない。そんな箒の気持ちに甘えてしまっていたんだろうな」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「箒」
「・・・・・・なんだ?」
箒の顔が私のほうへ向く。
「これから私はもっと箒に頼ってしまうかもしれない。それでも頼っていいか?」
「ああっ!これからはもっと私のことを頼れ。私はお前のことを守ると決めたからな」
そういって箒はさっきの顔とは逆に笑顔で答えてくれる。
「それで私は何をすればいいのだ」
期待の眼差しでこちらを見てくる箒。え、もうですか。
「そうだな~」
少し考えて箒に言ってみる。
「・・・・・・一緒に寝るっていうのは?」
「・・・・・・・・・は?」
「あ、その、前に千冬姉も私によく頼んできたんだよ」
「あの千冬さんが・・・・・・想像できんな」
まぁ、学校ではあんな感じだからな。
もしかすると、千冬姉はもしかしたら寂しかったからなのかな?
「それでどうだろう」
「わ、わかった。よかろう」
そういって私と箒は寝巻きに着替えた。ちなみにどちらも寝間着浴衣なのだ。
二人で同じ布団に入って消灯し就寝につくがなかなか眠れない。
「・・・・・・一夏」
「・・・・・・なに、箒」
「・・・・・・おまえ、胸が大きくなったか?」
「何で寝ようとしているときにそんなことを聞くんだ!」
「いや、私も眠れなくてな。何か話題があるかなっと思ったらふと思い出してな」
「そんなこと思い出さなくていいよ・・・・・・」
心底どうでもよかった。まさか箒がそんな冗談を言ってくるとは思わなかった。
「一夏・・・・・・」
「どうしたの、箒」
「今度は私が守ってやるからな」
「・・・・・・ああ、私も守れるよう頑張るよ」
二人はお互いくっつきながら眠った。まるで、仲のいい姉妹のように。二人とも昔の夢を見るのであった。