忙しいですが頑張っていきます!!
あれから私と鈴は昔話をしていた。
あの忌まわしき過去でもあり、大切な思い出。多くのことを話し合った。
「……あれからいろいろあったわよね」
「そうだな……」
鈴と出会ってからはいろんな意味でいろいろあった気がする。特にあの事件を含んだ中学二年生の時の一年間はいろんな事がありすぎた。
悲しくも苦しい時もあったが今の私がいられるのはきっと鈴たちのおかげなんだろうな……。
「それはそうと一夏?」
「ん?どうしたの?」
「……まだ男に触れたりされるのは駄目なの?」
「……ちょっとね」
あの事件で私は男に触れられたりするのが駄目になってしまった。触られたりすると息が苦しくなり焦点が合わなくなったりする。それと最近は少しずつ馴れてきたから周囲の人は気づかないだろうが私は性行為に対するトラウマを持ってしまった。事件から少し経った時、私は教室にいる男子グループの会話を偶然聞いてしまった。当時の男子といえば思春期の時期に入っている頃だろう。
つまり、性的な会話が弾みやすい時なのである。彼らには悪気が無いことは分かってはいた。だが、その話を聞いてしまった私は犯されたときをのことを鮮明に思い出してしまい教室で胃の中にあったものを全てぶちまけてしまった事がある。
周囲の人は何事だろうと思っただろう。鈴と弾、それと御手洗は事情を知っていたのでよく助けてもらっていた。
鈴と別れてから特に事件と言えることはなかった。少しずつであったがトラウマも薄れていった。だが、あれからまだ一年しか経っていない。少しといってもスキンシップぐらいは平気になった。だからなのだろうか千冬姉がやけにスキンシップをしてくるのは。もしかしたら私のトラウマを少しでも治そうとしてくれているのだろうか?
……そう信じたい。いや、信じないと私の中の千冬姉のイメージが崩れ落ちていく気がする。
「そう……弾や御手洗も駄目なの?」
「あの二人になら触られてもいい位にはなったよ」
「……弾にも触れても大丈夫なの?」
「そうだけど……鈴は何故納得できなさそうな顔をしているんだ?」
「だってあの弾よ!?御手洗ならまだ良いとしても、あの女好きな弾に触れても大丈夫って言われても疑うに決まっているでしょ!」
そうなのだ。私の悪友、
聞いたところ女だったら誰でも良いわけではないんだが、なんたらかんたらとなんか言っていたのを憶えている。……まあ簡単に言うと彼は誰かと付き合ってみたいらしい。
え?だったら誰かに告白して付き合えばいいのではないかって?……それができれば苦労はしないだろう。今、あいつがいないから言うが……モテないのだ、彼は。私が女だってことを知らない頃は大変だった。私は男として通っていたため周囲の女子たちからは男として見られていた。そのため何故か知らないがモテていた。それを見ていた弾は『リア充死ねばいいのに……』とずっとつぶやいていたのを憶えている。
だが、私が女だってこと知ってからは嫉妬されるようなことは無かったのだが……。
「あいつが一夏が女だって分かるとすぐ態度を変えたのをあたしは覚えているわよ!」
「確かにそうだが……」
「そんな弾に触られても大丈夫だなんて……あんた頭がおかしくなっちゃったわけ?」
「いや、そんなわけないから。……それにあの事件から弾は変わったよ」
「……へ?あの弾が?どんな風に」
「う~ん……前みたいに女の子が好きでしょうがないっていうのが無くなったことかな?」
「……え?それだけ?」
「あ、ああ。それだけだよ」
「ふ~ん。まあ、それだけ変わっただけでもいいのかしらね」
「………………」
確かにあれから弾は変わった。よく女子について熱く話していたがそんな話題を一度たりとも出さなくなった。それに私が困っていたらすぐ助けてくれるのが弾だった。鈴と別れてからしょっちゅう弾に助けられていた気がする。
それと鈴には言ってはいないが弾にこんなことを言われたのだ。
『俺は男でISに乗れたりできねえし、かっこよくもねえし、頭もそんなにいいわけでもねぇ……それでもお前のことを守れるようにがんばるから……だからもし俺がお前のことを守れるようになったらその時には俺と……』
……ヤバイ。この先のことを思い出すと恥ずかしくなる。
「……ちょっと何赤くなってんのよ」
「べ、別になんでもない」
「……本当に?」
「ほ、本当だ」
ニヤニヤとした顔で鈴は一夏の顔を見る。その視線に耐えられず一夏は顔を背けてしまう。
(これ以上言うと一夏は怒るからこれぐらいにしようかな)
「わかったわ。信じるわよ」
「そ、そうか。それはよかった」
「何がよかったかはまた今度聞くとしてそろそろ帰りましょうか」
「そうだな。それにそろそろ帰らないと箒が心配するからな」
「……ちょっと待って一夏。それってどういうこと?」
さっきまでとは違い不機嫌そうな顔をする鈴。そして私に聞いてくるその声はさっきよりも二トーン低い。
「そういえば言ってなかったな。私と箒は同じ部屋だ」
「そ、そんな話聞いていないわよ!」
「それは……」
言ってないんだから仕方ないと思うんだが……。
「……もしかしてあんたの秘密を知っているの?」
「そういうことだ。それで千冬姉が気を利かせて私と同室にしたというわけだ」
「…………………」
簡単に説明すると鈴が顔を俯かせ黙り込む。
「……そう。そういうわけね」
「り、鈴?」
顔を俯かせながら勝手に納得している様子だった。
「それじゃあ一夏『また』あとでね」
『また』という部分を強調させながら鈴はピットから出て行った。何を考えているかはある程度予想はできるが……。
「……まさかな」
「というわけだから、部屋代わって」
「ふ、ふざけるなっ!何故、私がそのようなことをしなくてはならないんだ!?」
寮の部屋、時刻は八時過ぎ。夕食も終わってくつろぐムードの私がお茶をいれていると、いきなり鈴が部屋に入ってきて今この状況。
……しまった。恐れていたことが起こってしまった。
「あんたは一夏の秘密を知っているようだけどそれだけでしょ?あたしのほうが一夏のことを助けてやれると思うのよね」
「そ、そうかもしれん……。だ、だが今の生活で支障は出ていないのだからよかろう!それに私は千冬さんから任されているんだ」
「あんた如きに?何を頼んだのあの人は?」
「これから一夏を支えていってほしいこととお風呂のことだ!!」
ドヤ顔で言う箒。
その言葉を聞いた鈴は一瞬固まり一夏の方向へ顔を向ける。
「……あんたまだ一人でお風呂に入れていないわけね」
「……仕方ないだろう」
「早く馴れなさいよ……」
「努力はする。……それより鈴?それ、荷物全部なのか?」
「そうだよ。あたしはボストンバック一つあればどこでも行けるからね」
相変わらずフットワークの軽い奴だな。箒もかなり少ないほうだと思うが、それにしても鈴は少なすぎだ。いつでも家出ができるようにかと昔冗談で聞いたら本気で怒ったので、もう言わないようにしている。
ちなみに、前にセシリアの部屋に招かれたときは一瞬どこかの高級ホテルかと思ったほどだ。家具はベットから鏡台、テーブル、イスに至るまで全部特注品のインテリア。壁紙や照明まで替えているのには――――――今だから言うが、ちょっと引いた。天蓋付きベットなんて初めて見た。それと、同室の女の子がとてもかわいそうだった。スペースのほとんどが全部セシリアに取られていたのだ。……同情せざるおえないだろう。
「とにかく、今日からはあたしと一夏が暮らすからさっさと出て行きなさいよ」
「ふ、ふざけるなっ!お前が出て行け!それと、ここは私の部屋だ!」
「『一夏の部屋』でもあるでしょ?なら問題ないでしょ」
そう言って同意を求めるように私のほうに顔を向ける鈴。箒も、同じく賛同――鈴に出て行けという意見を欲するように私を見る。……そんな目で見られても。
「私に話を振られても……」
私が決められることじゃないのに……。それをわかっていて聞いているのかこの二人は?
「とにかく!部屋は代わらない!出て行くのはそちらだ!自分の部屋に戻れ!」
「嫌に決まってんでしょ?今のあんたよりもあたしのほうが一夏の支えになるって言ってんじゃない。……意味、分かる?」
挑発気味に言う鈴。箒の頭からピギィっという音が聞こえた気がする。
「……なら、証明してやる」
箒はいつでも取れるようにベットの横に立てかけてあった竹刀を握る。
「箒、待っ――――――」
止める暇も無かった。箒は完全に冷静さを失っていて、防具も何もつけていない鈴にその切っ先を振り下ろす。
バシィンッ!
「鈴、大丈夫!?」
「大丈夫に決まってんじゃん。今のあたしは――――代表候補生なんだから」
見ると、確実に頭にヒットしたと思われた打撃は、
「……!」
驚いていたのは、誰より箒だった。いくらISの展開が速くても、その判断を下すのは操縦者――――――生身の人間なのだ。つまり、ISの展開速度は人間の反射限界を超えない。
そしてさっきの打撃は、およそ素人が土壇場で対処できるレベルのものではない。つまり、鈴自身がかなり強いという単純かつ明朗な答えがそこにあった。
「これでわかったでしょ?……今のあんたじゃ一夏の隣に立つことができないってことが」
(あたしは約束したのよ。あの時一夏と強くなるって。だからあんたみたいな奴に簡単に負けるかってんのよ)
「ていうか、今の生身の人間なら本気で危ないよ?」
「う…………」
怒りに任せて自制心を失ったという指摘が何より効いたのか、箒はばつがわるそうな顔を逸らす。
「ま、いいけどね」
細かいことは気にしないとばかりにからっとした態度で、鈴はISの部分展開を解く。スマートな装甲を纏った右腕がぱぁっと光、元の状態へと戻った。
「え、えーと………」
き、気まずい……。箒は箒でさっきの失態を引きずって無言でいるし、鈴はふふんとした顔で私の返答を待っている。
―――――ん?あ、マズイ。
「り、鈴?」
「一夏もこれで分かったよね?あたしのほうが一夏にとって………どうしたの一夏?そんなに顔を真っ青にして?」
「………後ろ、後ろ」
「……後ろ?」
鈴が不思議そうに後ろを振り向くと……般若のこと千冬が仁王立ちして立っていた。
「……廊下から大きな音が聞こえたから何事かと思って様子を見にきたら。お前たちは一体何をしているんだ?」
静かな声で一夏達に問う千冬。
「「「ち、千冬さん(姉)」」」
バコンッ!バコンッ!
「「~~~~~~~~~~~ッッッ!?!?」」
箒と鈴は千冬の出席簿によって制裁される。
「ち、千冬さん……」
「なんだ篠ノ之?」
「……一夏には何故いつもしないのですか」
「何も悪いことはしていないからな」
(えぇぇぇ………)
「無駄よ。千冬さんは何かと理由をつけて一夏にはしないから」
「黙れ、この酢豚が」
「なあっ……!?」
相変わらず千冬姉は鈴に対しては冷たいんだよな……。まだ根に持っているのかな?
「鳳……。お前、敷地内でのIS展開は禁止されていることは知っているな」
「うっ!?」
「知っていてやるとはいい度胸しているな?」
射殺すような視線で鈴のことを見る千冬姉。
「それに篠ノ之……。お前に関しては竹刀で生身の人間に暴力を振るうとは一体どういうことだ?」
「ぐっ!?」
「私は感情もコントロールにできないような奴に一夏のことを任せたつもりは無いんだがな」
少しがっかりしたような風に箒に言う千冬。はぁ、とため息をつきながら言葉を続ける。
「言いたいことは山ほどあるが今日はもう遅い。だから早く寝ろ」
「「ち、千冬さん……」」
箒と鈴は神が舞い降りたんじゃないかという目で見ていた。「だが」と千冬は付け足して言う。
「明日は生きていられると思うなよ」
笑顔のまま一気に地獄に落とす千冬姉。箒と鈴は死んだ魚の目をしだす。
さすが千冬姉……。ドSの部分を隠そうともしないその顔様になっているな。
次の日、箒と鈴は放課後グラウンドをIS展開で走らされていた。ちなみに箒は打鉄で走らされていた。
――――――翌日、生徒玄関廊下に大きく張り出された紙があった。
表題は『クラス対抗戦日程表』。
一回戦の相手は二組―――――鈴だった。
今回は文章が少なめですいません
次は多くするようにがんばります!!