ちょっと千冬のキャラが原作と違ってきたり、ラウラさんが暴走したり、メシマズが悲鳴を上げる回数が増えていったりとしていますが、なんかもう……すみません。
それでは、どうぞ!!
「あ、セシリアじゃん」
鈴は自主練をするために、ここ第三アリーナにやってきた。時間は放課後、まだそんなに時間が経っていないのか、ほとんど人がいない。終わってからすぐにだというのに、知り合いの少女がなにやら気が沈んでいる雰囲気をしていた。
「どうしたのよ、そんな顔をして」
「あ、鈴さん……」
顔を合わせるなりに深くため息をつくセシリア。会ってそうそうため息をつくとは余程のことなんだろう。
「なんかあったの?」
「実は、昨日のことなんですが……」
「はぁー……最近、一夏さんといる時間が少ないですわ」
多分、夕食を取っていないと思い、一夏の部屋に向かい声をかけたのだが。
『すまない。今、調子が良くないからまた今度にしよう』
実際、部屋に入れてもらい様子を見てみるとベッドに寝そべっている一夏の姿があった。一夏の隣には看病をしていたのかドイツの転校生、ラウラ・ボーデヴィッヒがいた。
一夏の頬はうっすら赤みがあり、呼吸も些か荒い。額に乗っていたタオルは、すでに冷却効果をもっていないことに気づいたラウラ。冷蔵庫から少し水分が含んだタオルと換える。新たなタオルを額に乗せてあげると、ほっとしたのかすやすやと眠りに付く一夏。
(そういえば、朝からあまり調子が良さそうではなかったですわ)
今の一夏の姿を見るまではいつもより調子が悪いのかどうかと疑問に残るだけだったが、相当調子が悪かったのだろう。
「すまないがそういうことだ。また今度にしてくれ」
「そうですわね。また今度にしますわ」
それだけを告げて、部屋を出て廊下へ。さてと、たまには一人で食べてもいいのかもしれない。そんなことを思った束の間、箒とフランスからの転校生、シャルル・デュノアの部屋から担任兼寮長の千冬が現れる。
「あ、織斑先生。どうして篠ノ之さんのお部屋から?」
「んっ? オルコットか。ちょうどいいところに来たな」
「へ?」
何を? と聞く前に制服の襟を掴まれ、食堂へと引っ張られていくセシリア。
「えっ!? あ、あの、織斑先生!? く、首が絞まっていますわ!」
「ふむ、今日は何を食べるとするか……迷うな」
「迷うも何もまずは襟を放してもらえませんの!?」
「オルコット。ここは仮にも廊下だぞ? 走ってはいないとしても大声で話すとは、淑女の
「淑女の嗜み以前の問題ですわ!」
何を言っても無駄なのか。そうは思っても諦めたくない。何か、いや……ものすごく嫌な予感がするのだ。ここで抵抗しないと良からぬことがある気がする。
「何だ? そんなに私と一緒に食べるのが嫌だというのか? んっ?」
「い、いえ……そういうわけでは」
「なら、別にいいだろ。なに、一人で食べても美味しくないからな」
「そ、それは……」
そう言われると今更駄目だとは言えない。
「ふむ。今日は焼き魚定食にでもするか。
「では、
セシリアと千冬はそれぞれ食堂のおばちゃんに注文する。周りがやけに騒がしい。辺りを見回すと、そこには驚愕、歓喜、
それが代表候補生と一緒となると何かあるのではないのかと思ってしまっても仕方がない。
「ふぅ……たかが生徒と一緒に食事をするだけでこれとはな。私をなんだと思っているのだ」
「それは仕方がないことではないでしょうか?」
なんせ、あの『ブリュンヒルデ』と同じ場で食事が出来るとなると騒々しくなっても否めないと思うが、そんなことは千冬にとっては鬱陶しいとしか思わない。
だが、そんなことを言えば面倒なことになることは目に見えているのであえて言わない。
「なにをしている。早く席に座るぞ」
「ま、待ってくださいませ!」
遅いと言わんばかりに千冬はセシリアをせかす。そして、多人数で座れる席に座らず、二人だけ座れるテーブルを確保する。周りの視線が突き刺さるが、そんなことはとっくの昔に経験していたのであまり気にせずにいられた。
千冬もそんなことに慣れているのか堂々としている様子だった。
テーブルに乗っているカルボナーラをフォークで綺麗に巻き取る。その作法は優雅であり、汚らしいところなど一切見られない。さすが、イギリスを祖国と名乗るだけのことはある。
「うむ……やはり、鰆の定食を選んで良かった、が」
「何か不満なことでもあるのですか?」
「いや、そうではない。ただ、久しぶりに一夏の料理が食べたいと思っただけだ」
「へぇ……そうなんですか?」
言われてみればそうかもしれない。というよりも以前、そのような話をしたことがあった。友人となって間もない頃、お弁当について話し合ったことがある。何とか話題を広げて、彼のことが知りたいが為、そんなことを言ったことがある。
その時、彼は幼い頃からご飯を作っていたと言っていた。話によれば千冬さんはISや剣術などは得意なのだが、唯一苦手なことが家事だと言う事らしい。なんでも、畳むだけのはずが布切れ一枚になっていたり、料理は見た目は最悪だが味はいける。その代わり何かしらの現象が起きるだそうだ。なので、必然的に家事をするのが彼ということだ。
「ああ、私はあまり家事が得意ではなくてな。どうしても、一夏に頼ってしまう」
(『あまり』……ですの)
本人にとっては『あまり』らしい。ここは余計なことは言わないでおくのが賢明かもしれない。
「あいつの料理は中々なものだぞ。誰が食べても美味しいと言うくらいな」
「そ、そうなんですの……」
「と言うわけだ。ほれ、あーんだ」
「―――どこから、『と言うわけだ。ほれ、あーん』が出てくるんですの!?」
(会話のキャッチボールが成り立っていないですわ!?)
まさに、普通に軽く投げ合っていたのに、急にカーブを投げてくるようなことをしてくる千冬。どうやって、その急カーブの球を取れというのかを、順を追って説明して欲しい。
「……まさか、オルコット。私と食事をして、何事もなく帰れるとでも思っていたのか?」
「思っていましたわ! ちょ、織斑先生!? 何故、そこで『えっ? 違うの?』といった表情をするのですか!?」
「何故と言われても……な? そこは弄られキャラの宿命ではないのか?」
「ぜ、全然、話がついていけませんわ……」
理解に苦しむと言わんばかりに眉間に指をつまむセシリア。だが、眉間の皺が戻らず、どんどん深くなっていく。
「まあ、本音を言えば私のストレスをお前に受け止めてもらおうと思ってのことだが、何か不満か?」
「理不尽すぎますわ!?」
理不尽以外の何者でもない気がする。誰か、助けてくれる人がいないか、視線を泳がせるが誰も目を合わせようとしない。
(そ、そんな……あんまりですわ!?)
「これが現実だ。素直に受け入れろ」
「そんな現実お断りですわ!!」
「ということがありまして……」
「………………」
なんて声を掛けていいかわからない鈴。続きがあるのかセシリアの話はまだ終わらない。
「織斑先生は私が恥ずかしがるのを満面な笑みで『はい、あーん』をしてくるのですわ。やっとのことで部屋に帰れば、食堂にいた大半の女子に事情聴取されたのですわ。それはそれは、もう……うぅ」
「あ~……それはご愁傷様ね」
もはや、かける言葉など限られている。半泣き状態のセシリアをなだめる鈴。ちなみにセシリアだけではなく、真耶も同じ目にあうことがほとんどだったりする。たまにだが、一夏も千冬に弄られてセシリアのようになることがあるのは、ここだけの話だったりする。
「ちょうどいい機会だし、二人で模擬戦でもやって鬱憤を晴らせばいいじゃない」
「鈴さん……貴女、本当に以外に優しいですわ」
「……以外は余計だから」
鈴は、はぁ、とため息をついてからメインウェポンを呼び出す。セシリアも鈴と同じくメインウェポンを呼び出し、それを構えて対峙する。
そして、さあ始めようとした瞬間―――。
「ほう……これから模擬戦でもするつもりか?」
「「!?」」
どこからともなく声が聞こえる。鈴とセシリアは声が聞こえた方向を見ると、そこには漆黒の機体がたたずんでいた。
機体名『シュヴァルツェア・レーゲン』、登録操縦者―――。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」
セシリアの表情が苦くこわばる。その表情には欧州連合のトライアル相手以上のものが含まれていた。
「……あたしたちに何か用でもあんの?」
とん、と連結した『双点牙月』を肩に預けながら、衝撃砲をいざという時のために、戦闘準備をしておく。
「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。なるほどな」
「何が、なるほどなのよ」
「お前たちが二人してこのアリーナに向かうところを見ていたのだ。データと違ってどれほどのものかと視察に来たのだが……」
「弱そうだとでも言いたいのかしら?」
「そうは言っていない。それと、そんな怖い顔をするな」
何か言いたげな素振りを見せるラウラに内心、イライラする鈴。ハッキリとしないことが何よりも嫌う。性格上、ズバッというタイプなのでこういう手合いは苦手だったりする。
「だったらとっとと用件を言いなさいよ。こっちはこれから模擬戦をやろうって時に邪魔されたんだから」
「まあ、まて。私はたった一言、お前に言っておこうと思ってな」
「……何よ」
怪訝そうな表情を浮かべる鈴に、ラウラは舌をちろりと唇を舐めて思いもよらないことを告げる。
「―――『ごちそうさまでした』―――」
「――――――」
その言葉を聞いた瞬間、鈴は頭が真っ白になった。
そんなことがあるはずがない。あってはならないのだ。もし仮に、目の前の奴の言っていることが予想通りだとすれば―――。
「……うそよ」
「鈴さん?」
言葉の意味を理解していないセシリアは戸惑うばかり。隣にいる鈴は近くにいるだけでピリピリした雰囲気が出ていた。ラウラは先程からニヤニヤと面白そうな顔をしていた。
まるで、絶望した人を楽しんでみているかのように。だが、そんな風に見ているとは、セシリアは気づくことすらなかった。
「……あんた、まさか本当に」
「……クックック、アハハハハッ!!」
「―――ッ!!」
鈴は怒りを面に出し、ラウラと視線と視線がぶつかると、刹那―――最大出力の龍砲で戦いの火蓋を切るのであった。
「―――セェエエエエエイ!!」
「―――甘い!」
連結が解除されている『双点牙月』の一本を振りかぶると、ラウラは両手首に装着した袖のようなパーツから展開された、超高熱のプラズマ刃で受け止める。すかさずラウラは、もう片方のプラズマ手刀で、鈴の懐へ突き刺そうとする。
「舐めんじゃないわよ!」
鈴もラウラに負けず、双点牙月で受け止める。バチバチと火花が散っている中、ラウラは肩に左右一対に搭載されているワイヤーブレードを放出し、鈴に襲い掛かろうとしたところをセシリアが。
「させませんわ!」
「ちぃ! 鬱陶しい!」
すぐさま距離を取ったラウラの頬にレーザーが
(……思ったよりもやるな)
最初の一撃はともかくとして、それからの展開はお互いこの調子だった。
あの鈴の最大出力による龍砲の攻撃は、何事も無かったかのように立っていた。それに、驚いた鈴は何やら考える素振りを見せ、セシリアにプライベート・チャンネルであろうと思わせる会話をしていた。ちなみに、鈴の初撃を受け止めたのはAICと呼ばれる停止結界による兵器のおかげであった。
それから、ラウラは鈴の突撃を自身の最大の武器だと言ってもいい
さらに、隙を作ると言ってもそう簡単にはいかない。なんせ、手数が多いのと一撃一撃の重さが比ではないからだ。
(あのイギリスの操縦者はそこまででもない。が、あの『甲龍』の奴はやっかいだ)
正直な所、あのイギリスの操縦者はどうとでもなるが、中国の操縦者はそうはいかない。話によれば、機体を動かしてからそう経ってはいないはず。なのに、この強さは余程のことをしない限り、ここまで強くはなれない。
視線だけで射殺す感じをさせる眼、それに加え纏っている覇気が凄まじい。本当に同世代の少女なのかと疑ってしまうほどの。
(『少女』、か。なんて皮肉なことか)
今はどうでもいいことだと思い、思考を切り替える。
(―――来るか!)
そう思ったラウラは身構えると、先程のように鈴は突っ込むマネはせず、龍砲による攻撃をしてくる。しかも、それはラウラに対してではなく、それも地面の方向に向かって。
(何をする気だ?)
地面に向けられて放出される攻撃は決して威力は皆無に等しく、砂埃が舞う。鈴は出力を最小限に抑え連続で打ち出す。だからか、端から見ても威力があるとは思えない攻撃だった。だが、その代わり、ラウラの周りは砂埃で覆われていた。
(……何も見えない)
しかし、それは相手も同じこと。ラウラはその場でじっと動かず相手の出方を窺っていると―――空からレーザーの雨が降り注ぐ。
(なんだと!?)
突如、空から降り注がれるレーザーの雨に気づき、避けようにも上手く避けられない。
(どうなってる! これほど正確に狙える技量があったというのか!?)
と思いきや、その場に立ち止まると、途端に命中しなくなる。
―――おかしい。本当に正確に狙撃をしているならば、掠るなり当たるなりするはず。当たったといえば、レーザーの雨を避けようとした時だけであった。そして、ラウラはある結論に辿り着く。
(……まさか、ただ適当に撃っているだけなのか!?)
しかし、そうでもないと制御が出来るはずが無い。ならば、動かずに敵の位置を探り当てればと思い、上を向くと背後から投擲武器らしきものが迫ってくる。
「小ざかしい!」
ラウラはプラズマ手刀でかろうじて投擲物を弾く。
弾いた瞬間、上空からのレーザーによる射撃をまともにくらう。
「ぐぅ!?」
(どこだ! どこにいる!)
敵の位置を確認しようにも新たな砂埃による攻撃によって確認すら出来ない。上空に注意を払うと、背後から鈍器で殴られた感じの痛みが襲い掛かる。
(……今度は背後から、だと!?)
砂埃から現れた球体を発見するが、そこには誰もいなかった。
(バカな! ―――まさか、これは!)
宙に浮かんでいる位置に新たな砂埃が舞い上がる。
そして、上空からレーザーによる雨が再び降り注がれる。またしてもその場でじっとしていると背後から投擲物が接近してくる。
喰らうわけにはいかず、プラズマ手刀で弾いて、上空にAICを展開するが更に背後から、またしても鈍器で殴られた痛みが広がる。
(やはり、そうか! 私の位置を完全に把握されている!)
このまま地上にいても無意味。となれば、ここは一度、地上を離れるべき。それを悟ったラウラはアリーナを埋め尽くす砂埃から脱出をすると、そこで待ち構えていたものとは―――。
「―――狙い通りですわ!!」
やっとの思いで砂埃から脱出した矢先に、目の前で待ち構えていたのはブルー・ティアーズ四機とスナイパーライフルが一直線上に並び、同時射撃が降り注ぐ。
「クソガァァアアアアッ!!」
迫り来るレーザーの狙撃を、ラウラは右手を突き出して攻撃を無効化する。が、一つ一つ弱い攻撃だとしても、束になれば話しは別だ。降り注がれるレーザーの束を受け止めるラウラは苦悶の表情を浮かべる。
AICは対象を任意に停止させることができ、一対一では反則的な効果を発揮する。だが、その分、使用する際に多大な集中力が必要とされる。しかも、複数相手やレーザー兵器には効果が薄かったりする。防ぐことが出来ないわけではないが、必要以上に集中力を必要とされるため、レーザー兵器に対してあまり使われることは無い。
そして、今の状況はセシリアのレーザー射撃を受け止めるので精一杯だったりする。
(これを防ぎきればどうとでもなる!)
しかし、ラウラは気づかなかった。それが罠だとも知らずに―――。
「―――この瞬間を待っていたわ!!」
背後から高エネルギー反応が脳内に鳴り響く。
(しまった!)
嵌められた!
気づいたときには既に遅し。上空で爆発が起こり煙の中から、漆黒の機体が地面へと落ちていくのであった。
「う……ぐっ……」
「いろいろと言いたい事があるけど……どういうつもり?」
地面に倒れているラウラの首元に双点牙月の切先をあてる。すると、何が面白いのかクツクツと笑い声をあげる。
「……なにがそんなにおかしいのよ」
「いや、どういうつもりなどと聞かれて笑わずにはいられん」
「……なんですって?」
「ああ、まさに絶望とは―――このことだな」
「どういう意味―――」
ラウラの言うことに疑問を浮かべ、問いだそうとしたとき。
刹那―――肩から斜めに向けて光の刃が通り過ぎていく。
「―――えっ?」
たった一撃で全てのシールドエネルギーを刈り取られた鈴は、機体の維持が出来ないため解除される。へにゃりと地面に膝をついた鈴は顔を俯かせる。
たった一撃でシールドエネルギーを減らせる人物など一人しか思い当たらない。だから鈴は背後に立っている人物に問いかける。
「……ねぇ、どいうことなのよ」
「――――――」
「答えてよ……」
―――一夏っ!!
まさかの展開ww
これからどうなるのでしょうね?
というか、ここまで書いておいて何ですが、どこで一夏とラウラが過ごしている描写をかけばいいのか正直迷っていたり(どうしよう)
下手すると……番外編ということになるかもしれない(極力入れていきたい)
でないと一章ごとに十何話も書いているといつまで経っても楯無さんのところまでいけない……ナンテコッタイ。
というか番外編にするとエロが結構すくないかも(マジでどうしよう)
……まあ、エロが少ない分、BAD ENDで書けばいいのかもしれませんねWW
では、また!!