※この作品はR-18です。

IF~インフィニット・ストラトス~   作:アブソリュート

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いやーお久しぶりです。
最近は忙しくてあまり書く時間がなく投稿できませんでした。
今回は区切りをよくするために短い話になりました。とは言っても4000字は超えていると思うんですがね。
少々物足りなさを感じるとは思いますが我慢していただけると嬉しいです。
では、どうぞ!


第三十話「ペア」

 (う、うぅ……痛い)

 

 ……マズイ。とにかく腰が痛い。しかも腰だけじゃない。声も掠れて地味に痛い。

朝起きてから洗面所に向かえば目元が真っ赤に腫れていた。これはマズイと思った。洗面所のタオルを濡らして目元に当てる。しばらく当てているとだいぶ腫れが引いたみたいだ。

 

 (そういえば……)

 

 今、気づいたけど起きた時、私はラウラのベッドで寝ていた。寝た後に事後処理をしてくれたからか、身体が綺麗になっていた。ただ、髪までは洗えないから、そのままシャワーを浴びることにした。

 そして、私のベッドで寝ていたラウラを起こして朝食に向かわせた。さすがのラウラもこんな顔ではいけないと気づいたのか一人で食堂に向かった。しばらくして、教室へ向かおうとしたら、ちょうどラウラが帰ってくる。

 

 「あ、お帰り」

 

 「織斑」

 

 ぽいっとベッドに投げられた物に視線を向けるとパンが二つほど。

 

 「……これ、どうしたの?」

 

 「食堂の人に頼んでな。同室の子が食べに行く時間がないと伝えたら貰った」

 

 これは助かる。てっきりお昼の時間まで断食なのかと覚悟してたけど、まさか持ってきてくれるなんて。

 

 「……んっ」

 

 「……いつも思ったんだけど、その薬って何?」

 

 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと、ラウラは制服のポケットから一つの錠剤を取るとそのまま口に含む。

 ラウラは一日二回、この薬を飲む。起きた後と寝る前に必ずと言っていいほど飲む。

 

 「この薬か? これは私の下半身のアレを抑えるモノだ」

 

 「……なるほど」

 

 聞いといてなんだけど急に恥ずかしくなる。そりゃ何度も見てるし入れられたりしたけど、それとこれとは別だ。

 

 「私は女として通っているからな。突然、制服から現れたら居られないからな」

 

 「あ、じゃあ昼間とかに襲って来ないのって……」

 

 「それもあるが第一、私のこれの処理は普通の男性の倍以上出る。そこでこの薬な訳だ」

 

 話によると一錠飲めば半日は過ごせるらしい。朝飲んだら夕食が終わる頃までだから誰かに気づかれる心配がないだとか。訓練が終わったらお互い部屋でシャワーを浴びるからそこも心配しなくて済む。

 もしかして、ラウラって私以上に辛い立場なんじゃ……。

 

 「…………………」

 

 「……お前は不思議な奴だな」

 

 「……えっ?」

 

 ラウラは私の顔を覗うと、どこか複雑そうな表情を浮かべる。けれど、すぐに教室に行く仕度を始める。

 

 「どうして、その様な辛い顔をする? お前のことではないんだぞ」

 

 「私には関係ないかもしれない。けど、分かる気がするんだ……」

 

 ラウラは女であり男でもある。でも、言い換えればどちらでもない。私は学校では男として通っているが、実際は女である。

 どちらも人には言えない。知られてはいけない。似ているようで似ていない。

 だからこそ、気持ちが分かる気がする。

 

 「……分かる気がする、か」

 

 「うん……」

 

 ―――ズキンッ。

 

 「……っ?」

 

 (何だ……この胸の痛みは?)

 

 ラウラは自身の胸にそっと手を置く。そこには何か締め付けられる鈍い痛みが襲ってくる。何も掴まれていないはずの場所から心臓を掴まれた感触が伝わってくる。

 

 「……ラウラ?」

 

 「あ、ああ……何でもない」

 

 ちょうど仕度が出来たラウラは一夏の方を見ると同じく仕度が終わったらしい。一夏はどこか不安げな表情でラウラを見る。一夏の視線に耐え切れなくなったラウラはそそくさに部屋から出て行く。 その胸の痛みに疑問を抱きながら教室へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 「ねぇねぇ、デュノア君はどうするの!」

 

 「えっと……」

 

 「ちょっと! 私が誘っているんだから静かにしていてよ!」

 

 「お、落ち着いて……」

 

 「私と組みましょう! ね、ねっ!?」

 

 ……何だろう。ものすごく教室に入りたくない。

 あの後、私はラウラと特に会話をすることなく教室に到着した。本当は話をかけたかったが話せる雰囲気ではなかった。真剣な表情をして何か答えを探そうとした表情を見た瞬間、また後でにしようと思った。そんな感じで歩いていると、あっという間に教室へ付いたわけだが―――。

 

 「織斑」

 

 くいくいと制服の裾を引っ張るラウラを見る。うわー……あからさま嫌な顔しているね。

 

 「どうも嫌な予感しかしないのだが……」

 

 「言われなくても分かるよ……」

 

 でも、教室に入らないと千冬姉が来てしまう。そろそろ時間だし、もうすぐ来るだろう。とは言っても教室に踏み込んだ瞬間、嫌な予感がひしひしと感じる。

 入るかは入らないか迷っていると、教室のドアの方から地鳴りに聞こえるそれは、どうやら教室から響いてくる。おかしい……廊下よりも響くなんておかしい。

 しかも教室は普通の学校よりも広いとは言っても、これほどの音をたてるなんておかしいにも程がある。ラウラも察したのか教室のドアから一歩下がる。ラウラに続いて私も一歩下がると横からドアが吹き飛んできた。……いや、本当にドアが吹き飛んできた。

 ドアが吹き飛ぶなんてテレビ以外で見たことがなかったけど、すごいな……。

 

 「織斑君!」

 

 「私と組みましょ!」

 

 「いいえ! この私と組みましょ!」

 

 吹き飛んだドアの方から数十名の女子生徒が雪崩(なだれ)れ込んできた。それはもう地を這う亡霊のようにいくつもの手が足を掴もうとしている。足だけじゃない。手や肩、あらゆる体の部位に手を伸ばしてきている。正直言って怖い。どこを見ても手、手、手。これは怖すぎる。

 

 「い、いちかぁー……助けて」

 

 教室の一箇所に女子生徒に取り囲まれている、ところから声が聞こえる。この声は……シャルルか?

 

 「いーちーかー……ここだよー」

 

 シャルルは涙ぐんだ声で手をひらひらと振って助けを呼んでいる。私も助けに行けるのなら行きたいが、この状況ではどうしようもない。というか箒やらセシリアに助けを呼んだほうが早いんじゃないのか?

 

 「織斑……」

 

 「ん? どうした、ラウラ―――」

 

 あれと指を指す方向を見るとそこには箒とセシリアが床に倒れている。なんとなく察することが出来る気がする。

 

 「くっ……! シャルルを守れないとは……鍛錬が足りないというのか」

 

 「わたくし……最近こんな扱いばかりな気がしますわ」

 

 箒は心底悔しそうに握りこぶしで床を叩いている。一方、セシリアに関してはどこか諦めた表情を見せている。

 おそらくだが、三人でいたところ何らかの理由で数十名の女子生徒がシャルルに接触したところを、箒たちが助けようとしたらこうなったということなのかな?

 

 「み、みんな一旦落ち着いて。どうしてこうなったのか説明して欲しいかな」

 

 「簡潔に頼むぞ」

 

 「「「これ!」」」

 

 状況が読み込めない私たちに、バン! と女子生徒一同が出してきたのは学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。

 

 「ふむ……一夏。何が書いてあるのだ?」

 

 「なになに……?」

 

 私は一人の女子生徒から告知の一枚を借りて紙に書かれている文章を読み上げる。

 

 「『今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行うため、二人組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りは―――』

 

 「ああ、そこまででいいから! とにかくっ!」

 

 まだ読み終えていなかったが紙を借りた女子生徒からひったくられて中断させられる。まだ書いてあったのに。

 そして、また一斉に伸びてくる手。いや、だから怖いって。

 

 「私と組もう、織斑君!」

 

 「私と組んでデュノア君!」

 

 どうしていきなり学年別トーナメントの仕様変更があったのか分からないが、ともかく今こうしてやってきているのは全員一年生の女子だった(大半がクラスメイトだからわかる)。学園内で二人しかいない男子ととにかく組もうと、先手必勝とばかりに勇み迫ってきているのだろう。

 しかし―――。

 

 「………………」

 

 じっと紅い瞳で見つめてくるラウラ。その瞳には『約束』が大半含まれていると思う。言われずとも答えは決まっている。だけど、それだけじゃない気がするのはどうしてだろう。どんな表現をしたらいいのかはわからない。ただ、それだけではない気がすることだけは確かだ。

 

 「ごめん。私はラウラと組むことにしているから」

 

 周囲の女子達はなにか言いたげな顔をするがラウラの冷たい視線で有無を言わせようとさせない。仕方がないと諦めてシャルルの方に行こうとするが―――。

 

 「悪いが私とシャルルで組むことになっている。お引取り願おうか」

 

 先ほどまで床に倒れていた箒がシャルルの目の前へと立ちふさがる。こっちとは違って不満が多いようだ。

 

 「どうして篠ノ之さんとデュノア君と組むことになっているのよ」

 

 「そうよ! そうよ!」

 

 「ねぇ! デュノア君はどうなの!?」

 

 「ぼ、僕は……」

 

 ここで他の女子と組むのは非常にまずい。今後のペア同士での特訓も行うだろうし、いつどこで正体がバレてしまうとも限らない。ちらっとシャルルは箒に目を向ける。

 真っ直ぐな瞳。絶対に引かない。そんな目をしている。

 先日の件を知ってのことだろう。何かと気を使ってくれる。

 

 「僕は……箒と組むことにしているんだ。ごめんね」

 

 しーんと教室が静まり返る。少し居心地が悪くなるが、箒がここまでしてくれた。そう思うと自分も腹を括らないといけないと思った。

 

 「そ、そういうことなら……」

 

 「本人がそういうなら……」

 

 「仕方ないかな……」

 

 とりあえず納得した女子達は仕方ないと口にしながら教室から去る者、席に着こうとする者。その様子を見ていたシャルルはほっと一息をつく。私も無事に終わってよかったと思った。

 ……あれ? 何か忘れているような―――。

 

 「―――おい、貴様ら」

 

 ビクッと背筋が震える。その冷ややかな声を出した方向を振り向くとそこには仁王立ちをした千冬姉が立っていた。ちなみに廊下の方をちらっと見ると、どうやってやったのか知らないけど人間タワーが出来ていた。

 

 「今は何の時間だか―――知っていてやっているのか?」

 

 ちらっと時計を確認すると、すでにHRの時間が始まっている時刻だった。再び、千冬姉の方に向けると顔は笑顔なのに胸元の握りこぶしからは血管が浮き出ている。

 千冬姉……顔と手の行動が一致してなくて逆に怖いんだけど。

 

 「今日の一時限目は各自自習としようとしたんだが……山田先生」

 

 「……わかりました」

 

 山田先生は千冬の意図を察したのか、そそくさに教室から出て行く。あ、山田先生!? 

 

 「では、これから楽しい楽しい学校生活についての授業を―――始めるぞ小娘共」

 

 この後、教室から絶叫が上がるのは言うまでもない。

 




とまあ今回はペアのお話をここになるというわけでした。
本当は鈴も入れて「なんでアンタと一夏が組むのよ!」的なことを書こうと思ったんですが大勢の前でそんなことを言うことじゃないと思ったんで入れなかったりしました。
「久々でなんかおかしくね?」とか思っていたら感想をください。結構毎回読み返したりしているんですが一人だと見つからないことが多いので指摘してもらえると嬉しいです。
次回はいよいよ一夏&ラウラVS箒&シャルルの回です。
普通にバトル……なことになればいいのですが、あのラウラがゲスいことをしないわけない……ゲフンッ!
面白い戦闘が書けるように頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! 
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