放課後の教室に夕日が差し込む。
そのなかには教師が一人、生徒が二人たたずんでいた。
一人はIS学園の教師織斑千冬、その妹(弟?)織斑一夏、もう一人は一夏の幼馴染の篠ノ之箒だった。
「うう・・・・・・」
「一夏、もう、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。恥ずかしいところを見られたけどな」
「まあ男だったら制裁を加えていたが、女なのだからいいだろ」
「一応、心は男のままだ」
「全く・・・・・・。お前たちは」
そんなやり取りをしていたら誰かがこちらにやってくる。
「ああ、織斑君に、織斑先生、篠ノ之さん。まだ教室にいたんですね。ちょうどよかった」
「はい?」
呼ばれてその方向を見ると、副担任の山田先生が書類を片手に持っていた。
「えっとですね、寮に部屋が決まりました」
そういって部屋の番号の書かれた紙とキーをよこす山田先生。
そう、ここIS学園は全寮制なのだ。生徒はすべて寮で生活を送ることが義務付けられている。これは将来有望なIS操縦者たちを保護するという目的もある。
「私の部屋、決まってないんじゃなかったですか?前に聞いた話だと、一週間は自宅から通学してもらうって話でしたが」
「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理やり変更したらしいんです。・・・・・・織斑君、そのあたりのことって政府から聞いています?」
最後に私だけ聞こえるように耳打ちしてきた。
ちなみに、政府とはもちろん日本政府のことである。
「そういうわけで、政府特命もあって、とにかく寮に入れるのを最優先したいみたいです。一ヶ月もすれば個室のほうが用意できますから、しばらくは相部屋で我慢してください」
「んぅ・・・・・・あ、あの、山田先生、耳に息がかかってくすぐったいんですが・・・・・・」
「あっ、いやっ、これはそのっ、別にわざととかではなくてですねっ・・・・・・!」
「いや、わかりますが・・・・・・。それで、部屋はわかりましたが、荷物は一回家に帰らないと準備できないですし、今日はもう帰ってよろしいですか?」
「あ、いや、荷物なら―――」
「私が手配をしておいてやった。これでいいか?」
そう言って私に荷物を渡してくる。・・・・・・千冬姉いつのまに用意していたんだろう。
「ねえ、千冬姉」
「ん、なんだ」
「荷物を用意してくれるのはありがたいんだけど・・・・・・」
「どうした?」
「部屋、クローゼットから出して散らかしぱなしにしていないよね?」
「・・・・・・・・・」
本日二度目の冷や汗を掻いている千冬姉。
「・・・・・・千冬姉」
「な、なんだ一夏?」
「もしかして、千冬姉の部屋も散らかって・・・」
「ま、まあそんなことより荷物の中には生活需要品だけ入れておいたぞ。着替えと、携帯電話の充電器があればいいだろ!?」
は、はぐらかしやがったこの姉は・・・・・・。
「・・・・・・千冬姉、あとで掃除しに行ってあげる」
「・・・・・・すまない」
「もしかして、織斑先生って意外とだらしな『山田先生・・・・・・』へ?」
ガシッ!!ギリギリ!!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「わ た し はからかわれるのが、い ち ば ん嫌いなんでね」
出た!千冬姉の十八番のアイアンクロー!!
「ええ・・・・・・と」
今まで黙っていた箒が困惑している。
ドサッ!
あ、山田先生・・・・・・がんばって。
「お前ら、時間を見て部屋に行けよ。夕食は6時から7時、量の一年生用食堂で取れ。ちなみにシャワーがあるが、大入浴場もある。学年ごとに使える時間は違うが・・・・・・一夏は今のところ使えないから注意しろ」
「え、なんで?」
私、大浴場って好きなのにな。千冬姉が私の耳もとでささやく。
「今のお前は男としているんだから当たり前だろ。間違っても入るなよ」
「ああ、わかったけど。・・・・・・くすぐったいよ千冬姉」
「ああ、すまない。まあ、くれぐれも入らないように」
「わかった」
「そういえば織斑君って女の子に興味ないんですか?」
この先生いきなり何言い出してんだろう。さっきの千冬姉の攻撃で頭がおかしくなったのかな?
「ええっと、どうしてそんな話に?」
「普通男の人って女の子と一緒にお風呂に入りたがるもんじゃないんですか!?」
「そうなのか一夏!?」
箒もそんなところに食いつかないでよ!っていうかさっき私が女だってこと告白したじゃないか!
「そんなことあるわけないじゃないですか!」
「ええっ?女の子に興味がないんですか!?そ、それはそれで問題なような・・・・・・」
どうしよう、この人結構人の話し聞いてない。
きゃあきゃあと騒ぐ山田先生が伝言ゲーム的に伝播したのか、早くも廊下では俗に言う『婦女子談義』とやらが花咲いていた。
「織斑君、男にしか興味がわかないのかしら・・・・・・?」
「それはそれで・・・・・・いいわね」
「中学時代の交友関係を洗って!すぐにね!明後日まだには裏付けとって!」
泣いていい?私。
ぽんっ。私の肩に箒の手が置かれる。
「・・・・・・箒」
「ドンマイだ、一夏」
こ、この裏切り者―――!!
「えっと、それじゃあ私は用があるので、これで。織斑君、ちゃんと寮に帰るんですよ。道くさくっちゃダメですよ」
校舎から寮まで五十メートルくらいしかないのに、どうやって道草を食えというんだろうかこの人は。
「それじゃあ、一夏。私は部屋にいるからまた後で来い」
「わかった。またね、姉さん」
「うむ」
そういって千冬姉は自分の部屋に戻る。
「じゃあ、私たちも行こうか」
「そうだな」
そうして二人は寮へと歩くいていくのだった。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
二人は指定された部屋番号の前に来ていた。
「・・・・・・箒の部屋番号っていくつ?」
「・・・・・・1025室」
「・・・・・・私もなんだけど」
何故、こうなった。
「どうする?」
「どうするも何も入るしかなかろう」
箒はさっき渡された鍵でドアを開ける。
部屋に入ると、まず見に入ったのは大き目のベッド。それが二つ並んでいる。そこいらのビジネスホテルより遥かにいい代物なのは間違いない。
こう、見ているだけでふわふわ感が醸し出されている。
荷物を置いて私はベットに座ってみる。やばい、かなり気持ちがいい。
私の反対の窓側にあるベットに箒が座る。あ、そっちもいいな。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
沈黙が広がる。かなり、気まずい。
「あ。ほ、箒」
「う、うむ。なんだ一夏」
「私は一旦千冬姉の所に行ってくるよ」
「な、何故?」
「さっき片付けに行くって行ったから。ちょっとしたら帰ってくるよ」
「そ、そうか。わかった」
「じゃ、また後で」
それだけ言ってから私は部屋を後にする。
「・・・・・・・・・・・・」
今、私は千冬姉の部屋の前まで来ている。
ついさっき知ったことだが千冬姉は一年の寮長らしい。ちょっと驚いてしまった。
コンコン。
「誰だ」
「私、織斑一夏です」
ガチャ。ガシッ!
「へ?」
「早く入れ」
千冬姉はそれだけ言って 私の腕を引っ張る。
そして、部屋の真ん中まできたら朝の時のように抱きしめられる。
「ちょ、千冬姉!?どうしたのさ」
「なに、今は二人っきりだ。別にかまわないだろ」
「それはそうだけど・・・・・・」
「ああ、一夏、一夏っ」
千冬姉は私の名前を言いながら頬を擦り寄ってくる。
「んぅ・・・・・・千冬姉、恥ずかしいんだけど」
「何故恥ずかしいんだ?クラスの誰かが見ているわけでもないだろ?」
「いや、そういうことじゃなくてその行為が恥ずかしいんだよ。子供じゃあるまいし」
「お前はまだ子供同然だ。恥ずかしいことなんてないんだぞ」
「うぅ~、千冬姉の意地悪・・・・・・」
「――ッ!!一夏っ!!」
「へ?なに・・・・・・うむっ!?」
突然千冬姉が唇を合わせてくる。
「んっ・・・・・・ちゅぱ、ちゅる、ちゅ、んちゅう」
「んん!!ん・・・・・・ちゅぱ、ちゅう、ちゅる、んぱぁ・・・・・・」
久々の千冬姉のキスに驚く一夏であった。
「ちゅ、ちゅぱ、じゅる、じゅるる!!」
「んん~~~~~~~~っ!!」
激しいキスに一夏は抵抗できず足が生まれたての馬のように足が震えている。
「ん、ぱぁ・・・・・・すまないやりすぎたようだな」
「んっ、ぱあっ・・・・・・はあっ、はあっ」
「大丈夫か?一夏」
「はあっ、はあっ・・・・・・。大丈夫だけど、やりすぎ」
「仕方がないだろう。今まで我慢していたんだ、これぐらい許せ」
「・・・・・・まあいいけど。それよりもいい?」
「ん?なんだ」
「なんで箒と私は同室なんだ?」
「そのほうがいいと思ったんだが・・・・・・何かいけなかったか?」
「そういうわけじゃないんだけど・・・・・・何でなのかなって思ってさ」
さっきから疑問に思ったことを千冬姉に問いかける。
「まあ簡単な話はお前の事情が知っている奴と一緒のほうがいいと思ったことだ」
「あ~なるほど」
納得、納得。
「それよりも一夏。私がいなくて大丈夫か?」
「大丈夫だって、箒が居るから心配ないよ」
「いや、私が心配していることはお前が一人で風呂に入れるかが心配なのだが・・・・・・」
「・・・・・・あ」
忘れてた。
そう私は今の今まで千冬姉と一緒に風呂に入っていたのだ。
心は男のままなので自分の身体を直視しながら洗えないのである。
なので、今までは私は目隠しをして千冬姉に洗ってもらっていたのである。
え?着替える時も裸を見るだろって?だって着替える時は鏡を見ながらじゃなくてもできるでしょ?
「・・・・・・よし、一夏」
「なに、千冬姉?」
「篠ノ之に手伝ってもらえ」
「・・・・・・はい?」
え、何言っているんだこの姉は。
「大丈夫だ、あやつなら私みたいにならないだろう」
「い、いや、あ、あの、千冬姉?」
「なんだ一夏」
「そ、それはちょっと・・・・・・」
「大丈夫だ」
何が大丈夫なんですか!?
「早く慣れて自分では入れるようにしろ。そうすればいいだろ」
「えっと、千冬姉が洗ってくれるっていうのは……」
「男として通っているお前が毎回私のところに来たらまずいだろ」
確かにそうだけど・・・・・・。
「で、でも・・・・・・」
「はあ・・・・・・仕方ない。私が言っといてやろう」
「い、言わなくていいから!それだけはかんべん『千冬さーん』」
ドアのほうから幼馴染の声が聞こえる。マズイ!
「おお、篠ノ之か。・・・・・・ちょうどいい入れ」
「失礼します」
そういって箒がこちらにやってくる。
「一夏がなかなか戻ってこないので迎えに来ました」
「そうか、ところで篠ノ之。一つお前に頼みたいことがある」
「ちょ、千冬姉!」
「はい、私にできることがあるならば」
箒は千冬に期待のまなざしを向けていた。
「ああ、一夏と一緒に風呂に入ってもらえんか?」
「・・・・・・・・・はい?」
「だから、一夏と一緒に風呂に入ってもらえんかといっているんだが・・・・・・意味がわからんか?」
「い、いえそんなことはないんですが・・・・・・本気ですか?」
「ああ、今までは私と一緒に入っていたのだが今の情況では難しいのでな。なので、一夏に教えてやってほしい」
「・・・・・・一つ、質問いいですか?」
「ああ、いいぞ」
「いつまで入っていたのですか?」
「つい昨日までだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
箒は一夏を睨むように見る。その一夏は体中から冷や汗を流している。
「・・・・・・・・・・・・一夏」
「な、なに?箒」
「本当か?」
「・・・・・・・・・・・・」
「ほ ん と う か?」
「・・・・・・はい」
「~~~~~~~ッ!!」
箒は顔が真っ赤になり拳を震わしている。
「・・・・・・こ・・・・・・の・・・」
「ほ、箒?」
「不埒ものー!!」
ドスッ!!
「げふっ!!」
箒は一夏に思いっきりボディブローを放つ。
「ま、全くいつの間にお前はそのような軟弱者になってしまったんだ」
「い、いや只単に自分の姿が見られないからなんだけど」
「今のお前は女なんだから仕方がないだろう」
「だ、だってまるで千冬姉を見ているかのようでさ。そういう風に見たくないって思ってさ」
「ああ、なるほどな」
納得している箒であった。
それはそうだ、今の一夏は千冬とそっくりなのだから。
ちなみに一夏の方が千冬よりくびれとかが細かったりする。
「まあ、そういうわけだ。篠ノ之、一夏を頼むぞ」
「は、はい。わかりました」
「ほれ、一夏もちゃんと頼め」
「お、お願いします」
寮長室で顔を真っ赤にしている二人であった。
・・・・・・・これからの生活は大丈夫なのだろうか。
心配している一夏であった。
修正が面倒だな・・・・・。
ぼちぼちがんばります・・・・・・。