詰め替え用が100円だったのでつい…。
挑戦回。
「茶々丸ってさ、魔法と科学のハイブリットなんだよね」
「はい。ただし動力部分が魔力であるだけで、他は科学部品となっています」
「………」
「じゃあセックスは出来ないの?」
「お前は何を言ってるんだ」
「生殖機能は搭載されておりません」
「お前も真面目に答えなくて良いから」
真面目な表情で茶々丸に質問したラントは、エヴァンジェリンの魔力を込めたデコピンを受け吹き飛ばされ、その質問に対して真面目に答えた茶々丸に注意をした。
エヴァンジェリンの呪いが解かれた後も、なんやかんやあって本人は麻帆良学園の警備を続けている。抜け出そうと思えば抜け出せるのだが、そうしたところで何か目的があるわけでもなし。まぁ今現在の目的は、ラントと可能な限り一緒にいるというものなのだが。
「この学園の科学は相当凄いって小耳に挟んだからもしかしたら、と思ったんだけど…出来そうな気はするんだよなー」
「変態思考は未だに健在か…付き合わされる身にもなってみろ」
「とか言いながら毎度気持ち良くなってたのはどこの誰だったか」
「不可抗力だ、不可抗力っ。大体、茶々丸は私のものだぞ。勝手に改造なんて許さんからな」
「ええー」
「ええーじゃない、何で茶々丸をお前のラブドール代わりにしなきゃいけないんだ! というか頭の中には“そういうこと”しか詰め込まれてないのか!?」
「でも人形って点では間違ってないよね。あと、これは茶々丸の為でもあるかと思うんだ」
「どうせ恋を知って云々って言うんだろ?」
「恋は大切だよ!? 茶々丸だって恋したいよね!」
「いえ、私はそれほど必要だとは感じないので…」
「まぁ恋心が芽生えれば面白いことになるのは確実だが…そもそも茶々丸は私の身の回りの世話をする為に作られたわけだし、そういった機能はいらないな」
「確かに恋=セックスに繋がるわけでもないけどさぁ…面白くない。考えてみろよ、AI搭載限定だけど機械が発情するんだぜ? その道の変態フェチ野朗共が食い付くに違いない」
「お前もその変態フェチ野朗の一人だぞ」
「機械と人間の恋、人形と人間の恋…これは流行る」
「最終的に納得させようとしてるがその組み合わせは流行らない。寧ろ数年前に少し話題になったしな。勿論小説で」
面白くなーい、とテーブルに突っ伏すラントにやれやれと溜め息をし晩御飯を待つ。
現在の時刻は午後八時過ぎ。学園内は生徒達も少なくなっていることから非常に静かであり、昼間の喧騒が嘘のように思える。生殖器云々の話に茶々丸は極力会話には参加せず、空気に徹していた。恋愛感情といった類のモノはインプットされていないため、会話に参加出来ないのは当たり前。寧ろそういった話を振ったラントの頭がおかしいのだ。腐ってるに違いない。
そして、この話を聞いた茶々丸が葉加瀬に生殖器云々の話をしたのはまた別の話である。
晩御飯が用意され食事を始めようとした時、玄関の扉が勢いよく開きタカミチが入ってきた。
「何だタカミチ、今は食事の時間だ。さっさと帰れ」
「いただきまーす」
「ハハ、申し訳ないね。でも、緊急事態なんだ。すぐ僕と一緒に学園長室に来てくれ」
「断る」
「美味い! 茶々丸、お茶ー」
「頼むよエヴァ! もしかしたらネギ君が死んでしまうかもしれないんだそれに、学園長の孫である木乃香だって…」
「詳しく聞こう」
「おいラント、どういうつもりだ」
「まぁまぁ、聞くだけ聞こうよ。それで、えーっと…タカミチ? 学園長の孫が何だって?」
エヴァンジェリンに助けを求めに来たタカミチだが、何故か異様に食い付いてきたラントに対し説明を戸惑う。エヴァンジェリンに目配りすると、エヴァンジェリンも話せとアイコンタクトを送る。
部外者に話すことには抵抗があったが、エヴァンジェリンと同じ不老不死であるラントにも話す事にした。恐らくエヴァンジェリンより強いと思われる、不老不死に。
タカミチは修学旅行先の京都で起こったことを掻い摘んで話し、ラントとエヴァンジェリンはちょいちょい食事に手をつけながら話を聞いていた。
説明が終わり同行を頼むが、エヴァンジェリンから帰ってきた答えはNO。
「何故だエヴァ、今京都にはネギ君がいるんだぞ? 君だって彼の成長を楽しむと言ってたじゃないか!」
「生き残っている限りはな。ここで死ねばそれまでの男だったというだけだ。態々私が行く必要はない」
「くっ…」
「じゃあ俺が行こうかな。今すぐここから出せる大きな戦力は無いんでしょ?」
「ラントッ」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと帰ってくるから。俺もそのネギって子見てみたいし。エヴァはこのまま学園の警備! 任せたぞ」
「んっ…」
ラントはエヴァンジェリンの頭を優しく撫で、箸を置いて席を立つ。
「ちょ、君は…」
「大丈夫大丈夫、相当強い奴が出てこない限り勝ち以外ありえないから」
「タカミチ、もうラントに任せておけ。あとさっさと帰れ、晩飯が冷える」
「そうだね、聞いた場所も行ったことはあるし。学園長には解決しましたって言っておいて」
ラントは開けっ放しの扉から外に出て地面に足で円を描き、指パッチン。
ぼわぁん。鈍い音が広がるように反響すると、円には紫なのか黒なのか、又はどちらも混じっているのか分からない色に変化しゆらゆらと波のように波紋を広げる。ラントは爪先からその円の中に飛び込み、姿を消した。ラントの姿が円の中に全て入ったと同時に円も消え、残ったのはこびり付くように残る残響だけだった。
「………」
「ほら、さっさと帰れ」
「…あ、あぁ」
タカミチは考えるのをやめた。
京都某所 オオオニガミの祭壇。
打つ手は全てやった。
強敵―――フェイト・アーウェルンクスを捕縛し、自身が行使出来る攻撃魔法で最大・最強の破壊力を持つ雷の暴風も撃ち出した。
だが相手―――リョウメンスクナノカミには一切の攻撃が通らず、フェイトには捕縛を解かれ片腕には石化の魔法を食らってしまう。攫われた近衛 木乃香を取り戻しフェイトに一撃を入れたは良いものの、劣勢状態は変わらず戦闘の継続も難しい。
「身体に直接拳を入れられたのは…初めてだよ。―――ネギ・スプリングフィールド」
「―――ッ!」
「ネギッ!!」
顔面を殴られ姿勢を崩したフェイトだったが、射抜くような視線でネギを捕らえ高速の正拳突きを放つ。ネギにそれをどうにかする余裕も力も無く、ネギのすぐ後ろで悲鳴のような叫び声を上げるアスナも身体が思うように動かない。木乃香を抱えて空を飛んでいる桜咲 刹那は、距離が遠過ぎるうえに両手が塞がってしまっている。
「(直撃…!!)」
拳がすぐそこまで迫り―――ゴシャッと音を立て、
ネギはその何かに押され、後ろに居た明日菜もネギと何かに押され、吹っ飛ばされる。
「いたたた…っ、ネギ、大丈夫!?」
「は、はい。なんとか…この、人? が突然出てきて」
「来て早々顔面パンチとか何百年振りだよ…痛いなー」
「(影を使った転移魔法? いや、出てきた場所に影は無かった。だとすれば…何を使った?)」
突然現れたのは茶髪の青年。瞳は薄紅色で平均的な身長。
青年…ラントは立ち上がり、服の汚れを払いながら辺りを見渡す。
「暗っ。デカッ。あれ、もしかして手遅れ?」
「一体何の用かな。命が惜しければ退けることをオススメするよ」
「あー、うん。別にそういうのはいいんだけど…木乃香って子とネギって子を探してるんだけどさ、知らない?」
「ネ、ネギは僕ですけど…」
後ろを振り返り、マジマジと顔を見る。ネギはくすぐったい気分になりながらも我慢し、何故自分と木乃香のことについて聞いたのか質問した。
「貴方は、僕達の味方…ですか?」
「君がネギだったらね。あと、木乃香って子は?」
「木乃香は、あっちです」
明日菜が指差す方には翼を生やした刹那が木乃香を抱きかかえていた。
顔を見たことが無かったので分からなかったが、恐らく抱きかかえられている方が木乃香だと判断。木乃香が攫われた、というのを聞いていたからだろう。
「よーし、そんじゃお兄ちゃん張り切っちゃうぞー!」
―――瞬間、気が付けばフェイトは宙に浮いていた。
自分で飛んだ覚えも無ければラントから目も離していない。隙あらばネギと明日菜を殺そうとしていたにも拘らず。混乱を避けるために深く考えるのを止め、空中で姿勢を直し下を見る。
「――――――ッ!!?」
目に映ったのは、水で出来た槍とそれを投擲したであろうラントのみ。
水の槍は腰から上を吹き飛ばし、血液の代わりに泥水をぶちまけた。
「ありゃ、分身かなんかだったか。じゃあ本体もここには居なさそうだなー」
「「………え?」」
「よぅーし、次はお前だデカブツ!」
何が起こったか理解出来ていないネギと明日菜を置いて、ラントは右手を腰に当てて人差し指をリョウメンスクナノカミに向ける。
「ふ、ふん! 何をしたのかよう分からへんけど、このリョウメンスクナノカミの前では全てが無意味や!」
「リョウメンスクナノカミ? いやいや、あいつもっと強面でもう少し小さかったぞ」
そんな呟きは聞こえず、リョウメンスクナノカミを制御している関西呪術教会の女呪符使い、天ヶ崎 千草はラントに向けてリョウメンスクナノカミの巨腕を振り下ろす。
だがその巨腕は、たった一本の腕に防がれた。ラントの左手によって。
これを目撃した者達は全員が目を疑い、驚きの声すらも出ない。これを見てすぐに受け入れる人間の方が一握りもいないだろう。
「封印も制御もされる鬼ならこんなもんか…。さ、悪い子にはお仕置きだ!」
いつの間にかリョウメンスクナノカミの眼前に浮いていたラントの右手が歪み、一振りの鉄鎚が握られる。あまり大きくは無い柄の短い鉄鎚で、それに対し頭の部分は拳三つ分の大きさに相当。
…名はミョルニル。北欧神話に登場する神、トールが持っていたとされる鎚。ラントはその鎚を、まるで野球の球を投げるように振り下ろした。
ゴバッ―――。破砕音が鼓膜を叩き、リョウメンスクナノカミの顔を文字通り粉々に粉砕する。驚異的な破壊力は片顔だけには留まらず反対側の顔も巻き込み、肉片は宙を舞って湖の中に落ちていく。急所を粉砕されたリョウメンスクナノカミの身体はボロボロと崩れ、その巨躯を小さくする。
「そ、そんな…ウチのスクナがぁ! ―――ひぃっ」
「君が主犯ってことでいいんだよね? どうする、死んどく?」
「あ、ああっ…あああああぁぁ…」
「っと。ありゃ、脅しすぎたか」
掌にミョルニルをペシペシと叩き付けて脅すと、千草は恐怖から気絶してしまった。確かに大鬼神を一撃で粉砕した男が不気味な笑顔で脅してきたのだ、そりゃ気絶する。
鎚は適当に放り投げると空間に消え、千草を米俵のように担いでネギに近付く。ネギ・明日菜・木乃香・刹那の四人はカクカクと動きながら千草を引き取る。
「まぁまぁ、そんな緊張しないで。学園長のヘルプで来たんだからさ」
「え、じいちゃんの…?」
「てことは君、近衛 木乃香?」
「は、はい。そうですけど…」
「ふーん、なるほどね。その隣の、えーっと…翼ちゃん?」
「桜咲…です」
「桜咲ね。木乃香は初めての魔法で疲労が溜まってると思うから、早く休ませた方がいいぞ」
「わ、わかりました」
警戒していた刹那だが、ラントの言ったことも尤もなので警戒を緩め、木乃香を支えてやる。
「はぁ…はぁ…はぁ…うっ」
「ネギ!?」
「ネギ君!?」
「ネギ先生!!」
突然倒れたネギに駆け寄る三人。よく見れば右手首までしか侵食していなかった石化の魔法が、既に半身の侵食を始めていた。
「これ、助けたほうがいいの?」
「出来るんですか!? 早く、早く治してください!!」
「わわわ、わかったわかった!! 揺らすのやめて!」
掴みかかってきた明日菜を静め、ラントは石になっているネギの手を握りもう片方の手を地面に押し付ける。するとネギを侵食していた石化の魔法は引いていき、代わりに地面が石になっていく。ものの数十秒で石化は取り除かれ、ネギの呼吸も安定してきた。
「凄い…」
「これは、どうやって…。これも、魔法…?」
「はい、終了。明日には目覚めるだろ。じゃあ俺は引き上げるんで、仲良くしろよ!」
ラントはここに来た方法と同じように、ここでは水に円を描き指パッチンをし、その中に飛び込んでいった。明日菜達は呼び止めることも出来ずに、ただただラントが飛び込んだ水面を覗き込んだ。
「…帰ろっか」
「…せやね、ネギ君も寝てるみたいやし」
「そう…ですね。このちゃんも疲れていることですし」
疲れからか三人は深く考えるのを止め、旅館に戻る事に。他の仲間と合流する頃には、木乃香も寝てたとか寝て無かったとか。
なんかいつもより長くなっちゃった。誤字脱字多そう。見つけたら報告してくれるとありがたいです。
挑戦回と言っても、主に前半でしたね。ああいうのはR-15でも大丈夫だとは思うんだけど。
オオオニガミの祭壇とかセンスなさ過ぎわろた。ミョルニルはムジョルニアとも言うらしいですね。
マイティー・ソウ見たい。
あ、言い忘れてましたが原作見てもらってる前提です。いないでしょうが、ネギま自体初見の方は原作を読むことをオススメします。面白いですよ。
それよりテラフォーマー最新刊はよ。