【短編集】東方夏淫夢 作:命楼
悪の組織、秘密結社メガデスによって肉体を改造されてしまったのだ。メガデスの研究所から逃げ出す事に成功した草薙は、メガデスと戦い続ける事を誓い戦いに身を投じていく。
初投稿です。
秘密結社メガデスの実験施設からの脱出、メガデスとの闘い、俺と同じ存在との死闘。そんな死と隣り合わせの日々を送っていたのだが、ある日メガデスの基地に潜入した俺は科学者が作っていた大型の機械の存在を知った。やれ世界を渡る、やれ異次元に行くと話しているのを聴いてしまった俺は機械を攻撃してしまった。
「お早う御座います草薙さん」
「お早う御座います」
あまりにも強い閃光に思わず目を閉じてしまう。光が収まった時、俺は森の中に立っていた。無闇に動くものではなかったか。
森を抜け草原を抜け、辿り着いたのは大きな町であった。だが思い描いていた町とは違っていた。時代劇のセットの様な町並みにテレビ局が有する施設かと思ったが、人々が営む其の光景を見て違うと判断した。
「今日も頼むぞ?」
「分かりました」
世界を渡る機械、其の力で過去へと飛ばされてしまったのか。
私の居なくなった世界でメガデスの野望を打ち砕く者が現れてくれるのか。
俺は此れから如何すれば良いのか。
過去に戻れる機能等備わっていない。唯闘うだけの力が此れ程迄に無力だと思った事はなかった。生きる意味を失った。絶望の淵へと堕ちていく様に感じた。
『あの、大丈夫か?』
一筋の光が射した。
思考の渦へと落ちていた間に目の前に誰か立っていた。銀に青みが掛かった様な髪色、青を基調とする服。そんな女性が其処に居た。
其れからはトントン拍子に話が進んでいった。今は使われていない平屋を貸して貰った。町──人里で生活する事になった。
此処にやってきて今日で十日目だ。此処での生活には未だ馴れないが、親切な方々のおかげでこうしてまともな生活を送れている。
「もし何か在れば言ってくれ」
「はい」
「其れでは行こう、忘れ物はないか?」
「大丈夫です」
住居だけでなく仕事迄貰えると思っていなかった。外へと帰る迄何とかやっていけそうだ。
「すまんな、帰す事が出来なくて」
「いえ、今直ぐは無理でも少し待てば良いのですから大丈夫です」
そうなのだ、戻れないと思い絶望していたのがそんな事はなかった。
そもそも此処は過去の世界ではなかった、異世界でも平行世界でもない。此処は日本に有る隠れ里で、特殊な結界が張ってあり出入りが制限されている。如何して結界を張っているのか説明された時は『妖怪や神が存在するとは……』と驚いたものだ。神というのなら是非メガデスを倒してほしいのだが、何処に居るのか分からない。
「そうだな……何か力になれる事が在れば何でも言ってくれ」
「住む場所と職を貰っています、此れ以上を貰うなんてとても……」
此の人は職業柄か面倒見が良い、良過ぎる程に。流石に毎朝料理を作りに来るのは止めさせた。
「もう生活には成れたのか?」
「まだ馴れないですが、皆さん優しくしてくれるので助かっています」
誰かに親切にされる、改造人間になってからは感じる事のなかった感覚。誰かに優しくされた事で、胸の奥がじんわりと熱くなり涙が出そうになる。
二人で肩を並べて歩く事数分、職場へと辿り着いた。
「今日は文字の読み書きをお願いしたい」
「分かりました」
まさか日夜戦いに明け暮れていた俺が、教師をする事になるとはな。改造人間にされた事で身体能力が向上している、其れを利用し力仕事を行うかと考えていたのだがこうなるとは。
『あんな顔を見てしまっては目を離す事など出来ない』
そう言われたのだが、俺はあの時どんな顔をしていたのだろうか。其処迄酷かったのだろうな。
「ん?如何した、笑ったりして」
「いえ、思い出していただけですよ」
メガデスの事は気になるが今は此処での生活を楽しもう、戦いの日々に戻ってしまうのだから。
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外から来た彼の事を初めて見た時の事を、私は忘れないだろう。
子供たちの元へと向かっていく彼の後姿を見ながら、彼との出会いを思い出す。私は寺子屋の教師をしている傍ら、人里の警備の一員で在る。寺子屋での仕事が一段落着き、人里を見回っていた時、彼を見つけた。
人里の門の前、呆然と立ち尽くす見慣れぬ服装の男。外来人だと判断し近付いたのだが、男の顔を見た瞬間足が止まってしまった。
絶望。男の顔には其れしかなかった。男の事情を知らない故に如何してそんな表情をしていたのかは分からない。だが、あまりにも思い詰めた表情を見せる男を放っておく事など出来る訳がなく。
『あの、大丈夫か?』
そう声を掛けてしまっていた。其れからは大変だった。男が住む場所は直ぐに見つかったのだが、素性の分からぬ者を置けないと言う声が上がったのだ。其の時は何とか了承を得る事が出来た。
「良し、今日は昨日の続きだ。昨日文字は平仮名、片仮名、漢字、三つ在ると言ったな?平仮名は幾つ在ったと言ったかな?」
「えっと〜」
「……?」
「あいうえお、かきくけこ、たちつてと……」
初日、幻想郷について話をしたのだが。其の時迄暗かった彼の顔が瞬く間に明るくなったのを見た。如何やら元の場所に帰れないのではと嘆いていたのだという。一夜明け博麗の巫女の元へと向かったのだが彼は帰る事が出来なかった。
『幾ら読んでも紫が来ない、もうちょっと待ってなさい』
そう簡潔に伝えられた。妖怪の賢者殿に何か在ったのか、手が離せない状態なのか、巫女も嫌な予感がすると言っていた。人里の警備を強化しておけといわれのでそうしようと思う。
外の世界に帰れると期待を持たせてしまったにも関わらず、此の様な結果に終わってしまった。謝罪をした、すまないと。
『帰る事が出来ると分かっただけでも俺には生きる希望が湧いた』
彼はそう言い笑顔を浮かべていた。何でも無いと、大丈夫だと言う彼。気を遣わせてしまった。
其れからの彼の行動は早かった。彼は人里を歩き回り仕事を探した。何でもやっていた、力仕事が殆どで在ったが他にも色々としていたと噂で聞いた。其れだけではなく困っている人に手を差し伸べ助けていた。人々から認めてもらう為ではなく、善意から行っているのだと私には分かった。彼の事を内心認めていない者が多かったのだが、彼が如何いった人物なのか広まった事で彼を信頼しても良いのではと言う者が増えたのだ。
「分かった!五十個!五十音だから!」
「惜しい、正解は四十七だ。此れは片仮名もそうだが四十七文字在る。此の事を五十音と言う」
「何で四十七なのに五十なの?」
「其れはな……」
此の十日で彼がどんな男なのか分かった。目の前で人が倒れれば駆け付け、重い荷物を持つ人が居れば代わりに持ち、喧嘩が起これば仲介に入る。躊躇う事なく人助けを行う姿を見て、少ない時間だが共に過ごした事で此の男が善人なのだと分かった。
そんな彼を見た事で信頼しても良いという者が増え、今では行く先々出会う人々と言葉を交わす様になっていた。自分の事の様に嬉しくなり、其の日は一日中笑顔を浮かべていたと言われ恥ずかしい思いをした。
だが、人里に認められたとはいえ元は外の世界の人間、時が来れば此処から居なくなってしまう。彼の様に誰にでも手を差し伸べる事の出来る者が居てくれれば……。
「何を考えているのだろうな……」
彼が居るべき場所は此処ではない。元の世界には家族が居るだろう、友が居るだろう。だから帰るべきなのだ。
教室から出る、私が居なくても大丈夫だろう。其の儘寺子屋内の事務を行う部屋に入る。役に立つかもしれない、と彼が教えてくれた情報を纏めなくてはな。
〜次回予告〜
幻想郷へとやってきて二週間が経った。草薙ケンは人里での生活の傍ら修行を行っていた。
「身体が鈍ってしまう」
平穏な生活を送る草薙。だが其れは束の間の休息に過ぎなかった。
『グワッハッハー!!』
「に、逃げろー!妖怪だぁ!!」
「キャー!!」
突如として人里に現れた異形の存在。駆け出す守護者の後を追う草薙。
「私が、人里を護る!」
『貴様程度、屁でもないわァ!』
守護者を追い詰める異形。傷付き今にも倒れそうな守護者。
『此の程度か半端者がァ』
「くっ!」
そして、ヒーローが舞い降りる。
「く、草薙……なのか……?」
『貴様、何者だァ』
「俺は、貴様を倒す者だ」
草薙の力は異形の存在──妖怪に届くのか!
次回【知られざる英雄、その名は超人サイバーZ1号!】
3325文字、普通だな!
昨日UAが一気に500くらい増えてたんだけど、間違ってR-18タグ入れてた三時間の間に。R-18作品見てたノンケ兄貴が間違って開いたってはっきりわかんだね。