※この作品はR-18です。

【短編集】東方夏淫夢   作:命楼

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これにかま掛け過ぎて本命が書けないってのは可笑しい話だよなぁ!?





初投稿です。


正義の味方の幻想生活記【下】

 草薙ケンは改造人間である。

 

『俺を邪魔する者は、死ねぇ!』

「ふっ!」

 

 悪の組織秘密結社メガデスによって作り変えられた肉体。其の力は数多の怪人たちを打ち破る程。

 

『此れならぁ!』

「っ!」

 

 向上した力と知能、戦いの中で培ってきた戦闘技術と戦士の勘。

 

『クソォ!何故だぁ!』

「……」

 

 一方、人里を襲った妖怪は妖怪の中では中位という微妙な位置に居る。悪行ばかり働き、人間を襲い食らっていた。其れだけならば他の妖怪と変わりはない。

 

『何故だぁ、何故っ!』

「……」

 

 自分よりも上の存在に見下され、人間も滅多に食えない。不安が溜まり遂に此の様な行為に及んでしまった。

 

『何故、攻撃が当たらん!!』

 

 こんな奴が居るなど聴いていない!妖怪は焦っていた。守護者と呼ばれる奴は満月にならなければ大した事はない。障害などない、筈だった。

 

『こんな奴が居るとは聞いていない……』

 

 目の前で静かに此方を見据える男、こんな奴が居るとは。突然姿が変わった事は気になるがそんな事を考えている余裕は無い。

 大振りな攻撃では簡単に避けられる、ならば連続した攻撃を放てば良い。

 

『死ねぇ!』

 

 拳を足を只管に振るい攻撃を加える。しかし。

 

「そんな程度の攻撃は、効かん!」

『ぐげぇ!』

 

 攻撃が当たるどころか全て避けられ受け止められる、終いには反撃を受け吹き飛ばされる始末。たった一発、殴られただけだというのに無様に地面を転がる。

 頭の中には怒りと疑問と恐怖が渦巻いていた。

 

『何故だ。何故こんな大した力も感じない奴にやられている!』

 

 妖怪が感じた違和感、其れは男の強さだ。妖力も神力も、其の他の力を感じぬというのに一撃で吹き飛ばされた。異常、其の一言に尽きる。

 

『き、貴様ぁ!許さん……許さんぞぉ!!』

 

 悠然と其処に立つ男に苛立ちが募る、だが埋まらぬ力の差が有るのは事実。如何する、此の侭では他の実力者たちが騒ぎを聞きつけてやってきてしまう。

 

 如何する、如何すれば……。妖怪は考える、此の状況を打破する策を。

 

 

 

 

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 妖怪が人里を襲った、其の際に殆どの者たちは遠くへと逃げていた。だがどの時代、どの場所だろうと野次馬と呼ばれる者たちが居る。

 

「何なんだぁあれは」

 

 妖怪が襲ってきた。建物を壊し暴れる妖怪、こういった事は度々起こるので直ぐに逃げ出した、其のおかげで今の所は怪我人は居ようとも死亡者は居なかった。そんな時だ、彼女が現れたのは。

 

「よくも此処で暴れてくれたなぁ!」

 

 人里の守護者、上白沢慧音が駆け付けたのだ。此れには歓声が上がる、此れで安心出来ると。

 

『ふん、やはり来たか』

 

 だが妖怪は其れを見通していたのか驚きもしなかった。嫌な予感がする、誰かがそう呟いた。

 其の予感は的中した。

 

「食らえぇ!」

『効かぬ!』

 

 遠距離から弾幕を放ち、速さで翻弄しながら時折打撃を放つ。一方妖怪の攻撃は当たらず。一時心配の声が上がったが此れなら安心出来る、そう思ったのも束の間であった。

 

「なっ!?」

 

 妖怪の背後に回り込んだ守護者が声を上げる。身体中に触手が巻き付いていたのだ。

 

『ちょこまかと目障りな虫がぁ!』

「ぐぅっ」

 

 背中から生やした触手で守護者を捉えた妖怪は触手を振るい、遠くへと投げ飛ばした。

 

「──がはぁ」

 

 真っ直ぐと通りを飛んでいく守護者は

壁を突き破り建物の中へと姿を消した。

 其の建物へと走っていく妖怪、其の後を追う人々。

 

 其れからは筆舌に尽くし難い光景だった。

 

 今度は妖怪の一方的な攻撃であった。手足に加えて行われる職種による攻撃。先程よりも速くなった攻撃、傷を負った状態の守護者では太刀打ち出来なかった。

 一方的な攻撃、一転した光景を目にして人々は恐怖に慄いた。

 

「あの人がやられたら……」

「殺されちゃう……」

「助けを呼ばないと……」

「こんな時に宗教家たちは来ないのか!」

 

 そんな事を話している内に守護者は膝を着き、妖怪が腕を振り上げる。

 

 皆は殺されてしまうと思った。

 

 妖怪は此れで終いだと確信した。

 

 守護者は此処迄かと決め付けた。

 

 砕かれる地面、舞う土煙。だが人々の視線は其処に向いていなかった。

 

 

「く、草薙……なのか……?」

「……」

 

 目の前に守護者が現れたのだから。

 

「な、何だぁ!?」

「何時の間に?」

 

 殺されてしまった存在が抱き抱えられながらも目の前に居る、最初は驚いていたが次第に安堵の声を上げていく。

 そして守護者を抱える人物に目を向ける。其処に居たのは最近人里にやってきた外来人の男、外へと帰る迄に此処で生活を送っている。困っている人を見ると駆け付けるお人好し、そんな男が如何して此処に?其れより如何やって助けたのだ?

 守護者を下ろすと妖怪へと向かう其の背へ次々に声が掛かる。

 

「に、兄ちゃん危険だ!」

「助けが来る!」

「此処から逃げるんだ!」

 

「うぐっ……く、草薙……何を……」

 

 止まれと、危険だぞと声が聞こえる。守護者である上白沢からもだ。だが男は止まらない、止まれない。其れが男の使命だから。

 正義の味方は悪を許さない。人々に害を成すのなら、たとえ神だろうと殺してみせる。

 

 

 

 

 ** ** ** ** ** ** ** **

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 昔話に良く出て来る、そんな存在だとばかりに思っていたのだが。

 

「怪人と遜色無い」

 

 初めて目の当たりにして思った事が其れだ。メガデスが新たに生み出した怪人なのかと思ってしまった。

 妖怪について然程知らず、怪人と戦ってきた所為だろう。だが見た目で判断していると痛い目を見ると散々言われてきた。

 怪人とは違う人の範疇を超えた存在、どれ程の強さなのか──。

 

「──と警戒していたのだがなぁ」

『オラァ!』

「ふっ……」

 

 振り下ろされた腕を横に跳んで避ける。

 

『此れならぁ!』

 

 背中の触手攻撃、複数の触手が迫る。だが此れも避ける。

 苦戦するかと思ったが如何にかなるものだ。殴打や蹴り、其れどころか無数の触手すら俺の性能の前には無力。

 人の域を超えた動体視力によって全てを見切り、離れる。其れに律儀に付いて来る妖怪。逃げ遅れた者や野次馬から離れる事を優先した結果、攻撃を行わず避ける事に集中する事になった。

 

『逃げる事しか出来ぬか、此の臆病者ぉ!』

「……」

『言い返せないか!』

 

 周囲を確認、他に生命体無し、障害物は左右の建物のみ、地盤安定。

 肉体を確認、破損や故障等の不備無し、エネルギー残量98%、戦闘に支障無しと判断。

 

『何だぁ?追いかけっこはお終いかぁ?』

「……」

『死後の世界、冥土の土産に教えておいてやろう。俺は取殺蟲のシュサノウ!今は中位で止まっているが、何時か大妖怪へと至り全てを支配してやろう!』

「……」

 

 ちゅうい?恐らく中位であろう。唯の人間には荷が重いだろう、そんな存在が中位だと?上位の妖怪はどれ程の強さなのか。

 

『如何した?恐怖に震え動けぬかぁ?グワッハッハー!』

「……」

『そういえば俺を倒すだとか妄言を吐いていたなぁ。そんな愚か者の名前を聞いてやろう、俺に楯突く愚者の一人目の記念になぁ』

 

 相手と自分の実力を計れぬ者が力を持つ、力には其れ相応の対価を払わねばならない。此奴は力を持つ事の意味を知らず行使している。危険だ、此処で殺さなくては。

 

『さっさと言わんか、俺は辛抱強くないからなぁ殺してしまう』

「冥土の土産に……」

『んあ?』

「冥土の土産に教えてやる、感謝して逝くが良い」

『き、貴様ぁ!許さん!殺してくれる!!』

 

 妖怪が駆ける。腕を、触手を、牙を向けてくる。

 一息で其の無防備な懐に飛び込む。

 

「俺の名は……」

 

 拳を振り絞る。踏み込んだ脚、捻れる腰、連動して身体が動いていく。

 

「俺の名は超人サイバーZ1号、草薙ケンだ」

 

 放たれた拳が妖怪の腹を貫き吹き飛ばした。

 

『グギャァァァァァ!』

 

 吹き飛び地面を転がる妖怪。周囲の事を考えて手加減して殴ったのだが、あっさりと決着が着いた。

 

「いや、まだか」

 

 まだ終わっていない。

 

『た、助けてくれぇ……。し……にたくない、許してくれぇ……』

「……」

 

 惨めなものだ。襲ってきた癖にいざ返り討ちに会えば許しを請う。殺すという事は殺される覚悟を持った者しか行ってはいけないのだ。

 

『お、俺に着けばNo.2の座をやろう!』

「断る!」

 

 悪は許さない、絶対にだ。

 

 脚を振り上げ、下ろす。今迄あれだけ暴れ騒いでいた存在は、其れだけで動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから如何なったか、簡単に説明するのなら事情聴取を受けた。何者なのか、どんな力を持っているのかと矢継ぎ早に問われ続け疲れた。妖怪との戦闘よりも疲れたかもしれない。

 唯の人間、悪と戦う為に力を付けた、肉体を守る鎧。そんな風に話した筈だ。

 尋問が終わる頃には辺りは完全に日が暮れていた。其の儘家に帰り眠りに就いた。そういえば上白沢さんは打撲や擦り傷だけで大した事はなかった様だ。

 

「其れで、何の用ですか?」

「いやな、大丈夫かと思って……」

 

 朝、寺子屋へと向かう一時間程前。家に客が訪ねてきた。戸を叩く音に気付き誰だと出れば上白沢さんだった。昨日ぶりの再会、怪我は大丈夫なのだろうか。取り敢えず家の中へと招いた。

 

「怪我の程は?」

「打撲が残っているが明日になれば治っているだろう」

 

 かなり辛そうであった怪我が今日明日で治ってしまうとは、恐るべき妖獣の治癒力。

 

「其れで?」

「訊きたい事があってやってきた。貴方は一体何者なのだ?」

 

 昨日は事後処理やら何やらときちんと訊けなかった、故に日を改めて訊きにきたのだとか。

 

「私が何者なのか、其れを訊きたいと?」

「貴方の事を皆が信頼している、だが妖怪を一蹴する程の力を持っているとなってはそうもいかない」

 

 だが其れを訊いて如何なるというのか。

 上白沢さんの前例が在る。村八分、最悪此処から追い出されるかもしれない。あの程度の妖怪なら何とかなるが、俺としては人間らしいまともな生活を送りたい。

 

「まぁ良いだろう。其れでは私について話そう。分からない事が有れば其の都度訊いてくれ」

「分かった」

 

 居住まいを正し真剣な面持ちになる上白沢さん、極秘でもない話に其処迄身を入れられてもな。

 

「其れでは話していこう。私は改造人間なのだ」

「改造人間?」

「あぁ。改造人間とは文字通り作り直された、作り変えられた人間の事を言う。始まりは私が捕らえられた所から始まった」

「……穏やかではないな」

 

 元は唯の人間であった俺は怪しげな者たちに連れ去られた。其処で行われた改造手術によって此の力を得る事になった。

 

「何故其の者たちは君に力を?」

「駒としようとしたのだ。目的の為に」

「駒?目的?」

「世界征服、其れが奴らの目的」

「ッ!?」

 

 世界の支配、其の為に人を超えた存在を作っていたのだ。無関係な人間を捕らえ改造を施す、そして駒として使役する。悪の秘密結社を名乗るだけはある。

 

「だが肉体を改造しただけでは……まさか」

「肉体の改造、其れだけでは使役する事は出来ない。其の後に洗脳を施す、そうすれば操り人形の完成だ」

「何という事を……」

 

 俺も改造後に洗脳を受ける予定であった。だが其の前に施設から逃げ出した。

 

「逃げ出した私は考えた。『私が逃げ出してもまだ何処かの誰かが犠牲になる、ならば私が止めなくてはならない』と」

 

 此の力は忌むべきもの、其の力を持つ俺は存在してはならないモノ。だからこそ、そんな俺だからこそ奴等を倒さなければならない。

 

「いつか奴等を倒してやる!俺はこの力を正義の為に使う!そう決意したんだ」

「……貴方にそんな過去が有ったとは」

「あぁ、一人で戦ってきた……やってくる異形の怪人や新たな改造人間と戦ってきた……だが俺は其れで構わないと思っている」

 

 傷付き倒れた事も在る、だが誰かの代わりに成れるのなら其れで良い。誰かが傷付く所など見たくはない。

 

「さて、此れで俺の話は終わりだ。其れで?」

「其れで、とは?」

「此の話を聞いて如何するんだ?此処から出て行けというのなら其の通りにするが」

 

 着の身着の侭やってきた、今直ぐにでも立ち去れる。

 

「貴方がどんな存在でも助けてくれた、だからきっと──」

「──きっと人里の住人は受け入れてくれる」

「ッ!?」

「本当にそうなるのですか?」

 

 妖怪を倒した後、人々が向けられたのは恐怖だった。妖怪を一蹴する未知の存在に対する恐れ。其れだけではなく別の視線も感じた。

 

「貴方も知っているでしょう。人間は差別する生き物だ、自分たちと違う存在を排除しようとする。排除しなくとも排他する」

 

 肌の色だけで何十年も差別が続いている。日本でも起きている。自分たちと違うから、大した理由ではないのにだ。

 

「……だが」

「現に人々の視線から恐怖や疑心を感じ取れました」

「わ、私が皆に話す!貴方は無害だと!」

 

 首を横に振るう、見てみない事には何とも言えない。だが俺の事は噂となって広まっているだろう。

 

「だが、だが……!」

「其れならば、見てみましょう」

「え?」

 

 一度見てみよう、そうすれば良い。立ち上がり外へと向かっていく。

 

「何処へ?」

「外へ」

 

 人々が向けてくる視線、其れに含まれる感情が分かるだろう。

 

 

 

 

 ** ** ** ** ** ** ** **

 ** ** ** ** ** ** ** **

 

 

 

 

 

 ──ざぁざぁと無数の雫が落ちていく。天から雫が落ちていく。

 

 

 

「う、うぅ……うぅあ、あぁ……」

 

 ごめんなさい、ごめんなさい。

 

「うっくぅ……うぅ……」

 

 ごめんなさい、あなたのちからになれなくて。

 

「あぁ……あぁああぁぁぁ……」

 

 ごめんなさい、あなたのいばしょをうばってしまって。

 

「ウワァァァアアァアァァアアアァ!!」

 

 ごめんなさい、あなたはただたすけただけなのに。

 

「う……あぁ……」

 

 ごめんなさい、あなたをきずつけてしまって。

 

「うぅ……あ……草薙…………」

 

 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

 

 よわいわたしで、ごめんなさい。

 

 

 

 ──ざぁざぁと無数の雫が落ちていく。頬から雫が落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 忘れ去られたモノが辿り着く隠れ郷。

 

 在る日、一人の男が迷い込んだ。

 

 人で在り人で無し、人の身にて人を超えし者。

 

 人は救われ、妖怪は畏れ、神が敬う。

 

 そんな男が居たという。

 

 外へと帰りし其の存在。

 

 人は悪鬼と呼び、妖怪は戦士と呼び、神は機人形と呼んだ。

 

 何度倒れようと立ち上がり、何度も立ち向かう。

 

 赤き衣と赤き鎧を身に纏う赤き鬼。

 

 其の背に庇うは弱き者、立ち向かうは強大なる存在。

 

 己の正義を信じ、彼の者は戦い続けた。

 

 彼の者は世界を渡ろうと自らの意思を貫き通した。

 

 孤独なる者、全てを背負いし者、隠れざる英雄。

 

 彼の者を知る者は皆一様にこう呼んだという。

 

 

 

 

 

 超人サイバーZと……。




5812文字、普通だな!
サイバーZは台詞の殆どが考えたものだけどスゲェ疲れたゾ。次何上げよっかなぁ俺はなぁ……。
平成28年2月12日追記。
終わりの展開が分からない兄貴たちに教えとくゾ。

最近住み着いた男が化け物だった→正体を隠していた、危ないかも→近付かない様にしよう→寺子屋に子供が来なくなる→上白沢に迷惑掛けるから人里を出ていく。

っていう感じだから。
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