【短編集】東方夏淫夢 作:命楼
ある時、一人の人間と友達になりました。神は大層喜び其の人間と過ごしました。
だが人間は禁忌を犯してしまいました。
無数に存在する神々は此の人間に天罰を与えようと決めました。
ですが其の神は罰は要らぬと断りました。
神が一介の人間を庇う、其れも悪神とも呼ばれた神が庇った。
神々は大層驚いたと云います。
何故悪神が人間を庇ったのか、其の答えを知るモノは其の神だけなのでしょう。
初投稿です。
彼は何というか……普通ではなかった。いや、頭が可笑しいっていう訳ではなくて……。
一目見た時から分かったよ、彼は唯の人間ではないと。特別な存在なのだと。
俺?俺も同じ存在なのかって?違うよ、特別な力を持っているけど彼とは格が違う。其れに根本的な所が違うしね。彼の事を知っているなら違うと分かるだろ?
だからさ……。
「あのさ、俺、そろそろ……解放してほしいんだよね」
目の前で此方を見る複数の女性達の内の一人、身体を拘束する蛇を操っているであろう女性に視線を向ける。
「……」
だが情報を引き出そうと詰問するのみで此方の話を聞いてくれはしなかった。
「ハハァ……」
困ったなと乾いた笑いしか出なかった。如何してこうなったのか、あの時断っていれば良かったのかもしれない。
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蝉と鴉の鳴き声が煩い夕暮れ時、授業が終わり大学からの帰り道を友人と歩いていた。勉強は如何か、夏の長期の休みに何処に遊びに行こうか、バイト以外する事が無い。他愛無い話をしていると友人がこんな話をしてきた。
──じゃあちょっと隠された秘境ってとこに行ってみない?じゃあ。
隠れた秘境、いや隠された秘境か。テレビで放送される様な所なのかと思ったが其れ以上の所らしい。
──彼処なら、本当凄くて、異常なとこだからさ。まー安心してよ。
君の力なら大抵の化物には負けないからさ、そう言い残しY字路の右を進んでいく彼を見送り左の道へと進んでいった。
其の夜、彼から送られてきた二つの水晶を手にし荷物を詰めたリュックを背負い、近くの山へとやってきた。
電話から伝わる声を頼りに右へ左へ進んでいく。
『──ハイ、うん、うん、分かった。あ、さ、もっと左に進んで。ウン、はい、ストップゥ!ハイ』
其処で電話は切れてしまった。圏外と表示されるケータイは此処から出なくては使えないだろう。
ケータイに意識を向け周りに気を張っていなかったが景色が変わる……否、世界が変わる瞬間を感じ取る事は出来た。唯の人間ならばケータイに意識を向けていて気付けなかっただろう。
──いや大丈夫だから大丈夫大丈夫。平気平気。
夜空を観上げ、此の地を覆うモノを観透し星を観る。如何やら此処は特殊な力によって作られた膜によって区切られた世界らしい。
「嗚呼、此処は、此処ちょっと遠くへと、移動してるよ」
条件を満たした者を自動的に連れてくるものだと膜を、結界を観て知る。
二重に張られた結界が囲う狭くも広い人妖神魔が闊歩する世界、観た事の無いモノが観れそうだ。
──お前を、襲ってくる妖怪が居んだよ。いい場所なんだけどさ。
確かに良い所だ。排気ガスも無い綺麗な空気が流れ、木々は強く根を張っている。忘れ去られたモノしか訪れる事の出来ぬ秘境。
──じゃあとりあえずさぁ、森じゃなんだからよぉ、人里に行けよぁ。行こうぜ。よし、行けよ。
外からやってきたと言えば住める場所を貰えるという、だが其処に住む人々に貢献しなくてはタダ飯食らいになるぞと言われているから狩りくらいは手伝おう。
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其れから十日程人里を拠点にし、幻想郷を巡った。
「アンタが外から来たっていう奴かい?」
危険を冒す事もなく、此の地のバランサー達には近付かない様にしていたのだが……如何してこうなったのか。
「あーっ、はい……」
突如として現れた女性。観た瞬間に分かった、今迄襲い掛かってきたモノ達とはまた違う種類の存在だと。
「……学生だって話だけど、外へは帰らないのか?」
神、信仰心を糧として姿を保つ存在。人に崇拝され人に加護を与える其の神が何故此処に?
「ちょっと、此処で二週間くらい過ごして帰ろうかと……」
此れは拙い事になったかもしれない。外からやって来る人間は大抵妖怪に食われて死ぬ、運良く逃げ延びた者は殆どが直ぐに外へと帰っていく。滅多にいないとは云え短い期間だが滞在する者、永住する者が居る。そういった者は特殊な力を持っている事がある。幻想が息衝く此の地だからこそ残ろうとするのだ。
警戒されている、若しくは其の力を利用しようとしている。だが力を使う事は片手の指の数も無かった、誰にも話してもいない。だが此の心の奥底を探る様な視線からはこう伝わってきた。
『お前はどの様な力を持ち、何の目的を持って此処に居る』
獲物に狙いを付けた獣の様な視線に臆し視線を逸らしてしまう。現代に生きるちょっと不思議な力を持つだけの学生にはキツイっす……。
「そうか……まぁ何か有れば私達を頼ってくれ」
「はい……」
此方に背を向け去っていく神、何に起きなくて良かったと息を吐いた所で神が此方に振り返りビクリと身体が固まった。
「嗚呼そうそう、最後に一つ聞きたい事があったんだったな」
「あーっ、はい……?」
此れで本当に最後だ、適当に答えて借家に帰ろう。
「お前、あの神の仲間だろう?」
「ッ」
「あのいけ好かない奴の神気がほんの少しばかり服に付いている、周りが気付かなかったろうが私は見逃さないよ」
あの人が先に来ていると聞き出来るだけ取り除いた筈だったが……誤った。
「早苗!諏訪子!」
「はい!加奈子様!」
「あいよ〜」
新たに聞こえた二つの声。辺りを観渡そうとすれば、周りに風が吹き荒び視界を覆おうとする。其の向こう側では地面が突起し四方八方を囲まれてしまっていた。
「あっ、ミスったなー……」
動けなくなった所で地面を突き破り無数の蛇が現れ身体に巻き付き締め上げてくる。
嵐が過ぎ去るのを待たず戦う事を視野に入れ周りを観ておくのだったな、だが時既に遅し。
「あっさり捕まってくれたけど、嘗めてるのかい?」
「……」
「隠してるつもりかもしれないけど、かなりの力を隠しているのは分かってる。まぁ力を感じなくとも奴の仲間なら拘束してたけどね」
知り合いなだけという理由で拘束されるとは、あの人は何をしたのだろうか。
「随分とやられたからねぇ、奴について話してもらおうか」
「……マジでぇ?」
辺りに人々が集まり始め喧騒が生まれる。場所を移すと無数の蛇が川となり運こんでいく。
──お前力があんだろ?どんな奴が来ても、チャチャチャッとやればいいんだよ。其れでワーッとやって、パパッと倒して、終わり!。
簡単だろ?そういう彼は自信満々でそう言ってきたが、真面に喧嘩もした事のない自分に神とか大妖怪と戦うなんて出来るのだろうか。
──如何?段々面白そうだって思えてきた?でもちゃんと帰って来いよ?。
帰って来い、やって来る前にそう言われているのだからどんな手を使ってでも乗り切らなくては。
目を閉じ意識を集中し、目を開き前を飛ぶ三人の後ろ姿を観る。
「だから、とりあえずさあ、女神三人を……何とかしないとなぁ……」
神と呼ばれる存在が三人も居る、三人も如何すれば良いのだろうか。
2748文字、普通だな!
二ヶ月振りの初投稿です。第三章が空気だから此れしか書けなかったけど、いいかな?
Q.あらすじがほんへと関係ないやん!
A.あっそっかぁ……。
幻想入りしてから出てくるGOの台詞はマジメ君が来る前に言われた事を思い出してるって描写だゾ。