「……なんで俺こんな事してんだろ」
「おや、何をしているのですか?」
「……おやおや、元会長さんじゃないですか。ようやく来てくれましたかぁ、遅いですよお? 罰としてあなたには学園祭に強制参加してもらいますからネェ!」
甲高い声を上げながら元会長に指を指す俺。で、何をしているのかというと生徒会室の床に鏡を貼り付けていた。それはただの鏡では無く所謂マジックミラーみたいなもんで、一番上にあるのは鏡の面が表でその裏がガラスという物であり、その下にライトを設置している為、鏡に写っているものが良く見えるという代物である。
「学園祭……もしかしてそれに関係する事をしているのですか?」
「んー、まぁそんなところ。いやさ、リアスのところがおっぱいメイド喫茶やるってんでその話を聞いた生徒会女子が反応して『これやっといて下さい』って言われたんだよ。
お前の教育どうなってんだ? 上の人顎で使うとかやべぇよ」
「……おっぱいメイド喫茶とはどのような? それと、あの子達がどんな事をしようとしているかも教えてもらいたいのですが」
元会長にそう言われたのなら仕方無いので説明をする事にしよう。そう思った俺は一旦作業を止めて元会長に向き直る。
「あいつらは……あれだ、胸を露出させているメイド服を着たメイド喫茶だ。リアス、朱乃、アーシアの3人に関しては子供産んでるせいもあって母乳が出るからそれのミルクが提供出来るメイド喫茶らしい。
生徒会の奴らにはそういう事は出来ないからノーパンミニスカでメイド喫茶をやるらしい。
んで、そのためには今やってる仕込みが必要って事だ。」
「マジックミラーにライト……なるほど、下から光らせてその状態を写す、ということですか。」
「そこまで理解力があると本当に助かるわ。だから一回生徒会室に置いてあるもんは全部俺の家の空き部屋に移しといたわ。工事には邪魔だからな」
「しかしマジックミラーといいライトといい……割れやすいものが多いみたいですが大丈夫なんですか? 割れた場合怪我をする者も出ると思うのですが……」
「あー、そこら辺なら大丈夫だよ。強度だけはガッチガッチにしてあるからな。俺の魔術でな!」
無限に近い魔力を持ってるんだからそれくらい可能って事だな。というかこの部屋にある物体は全て滅茶苦茶固くなる性質を持たせる様な魔術を使っている。
だからマグカップとか落としても絶対に壊れないって訳だ。
「……いつも思いますけど以外に器用ですよね。薬作ったり施設作ったりと色んな事してますし」
「お前俺が不器用だと……あー、いや……思ってもしょうがないなこれは」
よくよく考えてみたら俺ってコントローラーでゴリ押しする事が多かったしそう思われてても仕方無いということ事だな。
「……と言うか、今更ですがそれに私も参加しないといけないんですか? 私はもう大学部に行っているんですが……」
「そんな事言ったらリアス達も強制参加するんだが? それに椿姫も参加させるし……所謂先代現代の生徒会合同だな」
「という事は……ベンニーアは参加しないんですね」
「いや、あれは元会長の眷属であって生徒会じゃないしな。ま、そういう事だからしばらくこの部屋には入らないでくれ。ここの工事も後三時間しないと終わらないし」
その事を伝えると軽く頷いてから元会長は黙って生徒会室を出ていく。じゃあ後は部屋を鏡張りの床にしてからオカ研と生徒会の分のメイド服を作ってやらねばなるまいよ。
「ほれ、これでどうよ」
「……貴方って本当に器用よね。服まで縫えるとは思わなかったわ」
オカ研部室にて。出来た胸開きメイド服をオカ研女子に見せたのは良かったが何か元会長と同じ事言っていたわ。なんだこいつら、俺そこまで不器用じゃねぇぞ。
「きっちり乳房出せる仕様になっている。まぁ1人だけ大して変わらない奴がいぶぅ!」
「……つい手が出てしまいました」
小猫の回転を効かせた拳を顔面から受けてしまったが今は気にしていない。いや、だって胸を出して強調させる服なのに結局強調出来てない奴がこいつなんだからな!!
「今なら時を止められてもパンチが出せそうな気がします。」
そんな事出来ないと思うが、出来たら出来たでそれはどこぞのオラオラさんしかやっちゃあいけないからやめておきなさい。
「ま、まぁ……正直なところみんなに似合う様には出来ているからな……胸が露出するとかそんなんオマケだオマケ。
んじゃあ俺はまだやる事があるから帰らせてもらうぜ」
「えぇ、かわいいメイド服ありがとうね」
そう言って俺はオカ研の部室から出ていく。今のはオカ研の分のメイド服だ。今から作成するのは生徒会の分のメイド服だ。
まぁ、両方のメイド服の元になった服があるからそれをミニスカにすればいいだけの話だ。
逆にオカ研のは生徒会のと違ってそれぞれの胸の大きさ考えないといけないから面倒くさかった。生徒会のはせいぜい服そのもののサイズを考えるだけでいいからとても楽だ。
「さて、と……作りにいきますか」
「……同じ服作るのは手間がかかってしょうがないな。かといって魔力を使うのも……仕方ねぇ、このまま手作りでいくか」
駒王学園のとある一室で俺はメイド服(生徒会Ver.)の作成に当たっていた。しかし、よくよく考えてみればメンバーは向こうの方が多いから作る枚数もそれなりに多くなる事を忘れてしまっていた。
だが、魔力を使ったら一気に作成は出来るもののその魔力の操作に時間を食うので手作りでいく事にした。
「……ふむ、最後の一枚も出来上がったが……これはなかなかのもんだな。我ながらいい出来になったんじゃないだろうか?」
出来上がったものを見ながら俺は感嘆する。自画自賛というのならば言うがいい、俺は一切気にしないからな。
「出来たんですか?」
そう言って部屋に入ってきたのは元会長だった。出来た事は出来たし元会長にこの部屋を教えたのは俺だから来てもおかしくは無いんだけど……何かタイミング良くない? 実はどこかから見てた?
「あぁ、服もそちらのセットも全部完成してあるよ。どうだった?」
気に入った、とか気に入らなかったとかの意見は正直どうでもいい。そんな物個人の感性で変わるからだ。
だから綻びとかそういうのが知りたいからこそ元会長に聞いている。元会長の事だからもう既に見に行っているだろうしな。
「えぇ、柄も何もかも良かったですよ。ただ床が鏡張りなのでいろいろと合わなかったりしますが」
そこはしょうがないから目を瞑ってて欲しかったな。床が鏡張りの時点で大体の部屋に合わんだろうしな。
「まぁでも鏡張りのことさえ除けば……いい部屋でしたよ。」
「だろ? シトリー家とグレモリー家のメイド服の両方を合わせたものだからな。お前らにとっては馴染み深いものだろう」
「……ら? という事はオカ研……リアス達にも同じものを?」
「デザインは変えてあるがな。生徒会がオカ研に対抗するんなら同じ様な服じゃないと駄目だろうしな」
成る程、と納得する元会長。納得したんならいいけど……そういえば、会長の胸って小猫と同じくらい……っと危ない。下手な事考えたら絶対に嫌な目に遭うと俺はさっき学んだんだ。というか目の前ではもう元会長の水の魔力がうねってるし下手な事言うもんじゃないよほんと。
「さ、あいつらにこの服届けてやってくれ。あと俺は生徒会の看板作らなきゃいけないんでね」
「そういえば当の本人であるあの子達は?」
「ん? 見回りだよ見回り。文化祭の準備がちゃんと行われてるかとかゴミの分別は出来ているとかそんなところだ」
そう言うと元会長は無言になる。なるのは構わないけどせめて何か返事というかリアクションが欲しかったところかな。
「とりあえず生徒会室にこの服を運んでおきます。ここに置いてある名札も持っていきますね」
「はいはい、どうぞどうぞ。」
そう言うと元会長は名札とメイド服を持って部屋から出て行った。
しかし……文化祭というのは恐らく高校が一番楽しい時期なのではないだろうか? 個人で店は出せないからこそクラス単位で何をするか決めてその上で個人でやれる事をやる……仲良くなるのがいいとかそういう青春じみた事は一切言う気は無いが、一番やる気があるのはその辺りだろう。
「さて、看板はどうしようかねぇ」
立て看板かそれとも上に乗っけるか……オカ研のは立て看板にするらしいし生徒会の方も立て看板にするか。となると材料が必要になるな。んじゃあ集めに行くとしますかね━━━
「あー、出来た出来た。もう疲れたはよ帰って寝よ」
出来た看板に生徒会があらかじめ作っていたポスターを貼り付けて生徒会室の前に設置しておく。
それで仕事を終わらせて俺は帰路に着く。メイド服も看板も俺が好きにやった事だしいいんだよ。顎で使ったあいつらはちょっとお仕置きが必要だろうけどな。
「帰ってゲームでもしてよーっと……」
そう言いながら帰り道にファストフード店に寄ろうと思って店に入ろうとする俺。すると路地裏から声が聞こえてきた。
「……て……さい……」
「……じゃ……ぜ」
「ん? また路地裏レイプでも流行ってるってか? まぁこのご時世女性に逃げる術は無いからな。世知辛いぜほんと」
何と無く気が向いたので路地裏を覗く。もし良さそうな女なら俺も混じって一緒に犯してやろうと思ったのだ。
だが、まぁ……世の中言う程上手くいか無い訳で。
「や、やめて欲しいってさっきから言ってるじゃないですかぁ……」
「いいだろ別に? こんなご時世に処女って訳じゃあるめぇしよぉ……」
路地裏にいたのはあから様にガラの悪いやつとギャスパーだった。俺はその光景を見なかった事にして店の中に入り、店員にハンバーガーセットを頼んで店内で食べ始める。
あれだな、ハンバーガーには大体肉が使用されるけど熱々の衣を纏った白身魚とか海老とか挟んであっても美味いよな。俺は衣が入ってる方が好きだ。肉厚より衣のカリカリ感を味わう方が歯ごたえがあって美味い。
「うめぇ……ナゲットも美味い」
バーベキューソース味とか考案した人俺崇めちゃうね、ベッタリ付けてもよし、少しだけ付けて肉にかぶり付くのもありの万能ソースだかんね。
ドリンクも薄味の甘いドリンクだから口の中がさっぱりする。
「ふぅ……ご馳走様」
食べ終わった俺はゴミを分別をしてキッチリ捨ててから店を出る。路地裏にチラリと視界を向けてみたがただそこには精液まみれの服を羽織っている人物が壁にもたれ掛かっているだけなので構わず家に帰る事にした。
「いやぁ、毎日食うのはあれだけどたまに食うのだったらほんとに美味いなハンバーガーって」
え? 関係無い話だって? そうだよ、わざとこんな話してるんだから無視してくれよ。
「おや、金男じゃないか」
「ん?」
気付くと目の前にゼノヴィアが立っていた。何かチラシの様なものをかなりの枚数を手に持っている様だが……なんだそれ。
と、俺が見ている事に気付いてたのか持ち直す様に一旦持ち上げてから再度脇に挟むと説明を始める。
「生徒会長だからな、私は。この辺りの地域に駒王学園の学園祭のポスターを作って貼り付けたり配ったりしているんだよ。
これをする為に私一人でしばらく配ってたんだ」
なるほど、道理で俺に作業をやらせていた訳だ。近所の人には分かってるかもしれないけどもしかしたら知らない人もいるかもしれないしな。ポスター作って近所や駅で配るのは生徒会の仕事だったかそういや。
「そうか、まぁ頑張ってくれ。俺は今から帰ってオーフィスと遊ぶんだよ」
「あぁ、準備をつつがなく終わらせてくれた事には感謝をするから今度なにか埋め合わせをするよ」
そう言ってゼノヴィアはまた配り始める。そういえばあいつ生徒会のメイド喫茶とオカ研のメイド喫茶の両方を兼用してるんだったな。会長とオカ研の両方をしてると大変そうだなぁとは思うが……まぁ、いいだろう。
「あー早く帰ろ帰ろ」
ポスターなんて俺は配る気は無いしな。残った生徒会メンバーで生徒会メイド喫茶の宣伝でもしといてくれや。
そうして俺はポスターが貼られた看板をチラ見しながら通り過ぎる。
まぁなんだかんだ言って俺だって学園祭は楽しみだぜ? 学園祭ならではの楽しみ方、というのだってあるくらいだしな。
「明日かぁ……寝坊しない様にしとかねぇとなぁ……あ、ゼノヴィアに後でシフト見せてもらうか……アイツ両方の服着るんだしどうせなら見てやろう」
ちっぱいに胸を露出させる服はあまり意味をなさないとは限らない……だと言いなぁ……