side?
「……ん、ここは……?」
一人の少女が目を覚ます。銀の髪、猫の耳と尻尾を持つ彼女がベッドの上で目を覚ます。
「ようやく目が覚めたか?」
そして、その脇には彼女も知らない男がいた。長い夢から覚めた時、彼女は全く何も知らないベッドで横になっていた。
「誰、ですか……?それに私、悪魔になって……みんなと……」
「悪魔?何を言っているんだ。
「でも、私……」
「きっと夢を見ていたんだよ。そうに違いない。なにせ君は、記憶喪失になっているんだ。
そんな事を
男の言うことは、疑問に思いながらも彼女はすっと受け入れることが出来た。よく分からないが、理解出来なくとも納得ができてしまったのだからしかたない、とすぐさま割り切った。
「じゃあ……貴方は、誰ですか?それに、私は……」
「君の名前は白音、人間じゃなくて猫又っていう妖怪だ。そして俺は君の夫……覚えてないだろうけど、君とは幼稚園の頃から婚約をしている。つまり、君とは小さな頃から夫婦だったというわけだ。」
「小さな頃から、ずっと、夫婦……」
「そう、そうなんだよ。そして俺と君は男と女として体も成長してきている。
今は無理をさせる気は無いが……子供を作れる年なのだから、そろそろ作らないとならない。」
「無理、とは……?」
少女……白音が尋ねると、目の前の男は少し考え込んだあとに、話し始める。
「君は大怪我をしたんだ。事故にあってね……だから今は無理をさせる事が出来ないんだ。
分かるかい?
「事故、記憶喪失……」
体に包帯は巻きついていないし、勿論頭にも包帯は巻きついていない。別段体が痛いということも無ければ、どこか動かない部位があるという訳でもない。
しかし、
「……なら、私はいつ退院出来るんですか?」
「退院自体は君が寝ているあいだに体が治ったんで今日にでも退院出来るさ。
ただ体に無茶はかけられない、と言うだけの話だからね。」
「今日……退院……」
目の前の男の言うことの全てが、白音にとって理解しなくとも納得できるものばかりだった。
何故かはわからないが、事故にあって記憶喪失になったというのも、子供の頃から夫婦だったというのも、彼女は全て受け入れていた。
無論、疑問がなかった訳では無いが、しかしその疑問は納得したことで無意味なものへと成り果てていた。
「じゃあ……私はそろそろ?」
「あぁ、退院できるよ。そしたら俺たちの家へといこう。
「……蜜月を過ごすのが、当たり前……そう、ですね。」
まるで何かに操られているかのような、そんな事を白音は感じ取ったが、そんな事あるわけが無いと、すぐにその考えを捨てたのであった。
「さ、着いたよ。ここが俺達の家さ。君と俺……夫婦の家さ。」
「私達が、暮らす……これから一生に住む家……」
白音が退院したあと、男は白音を自分たちの家と言っている場所まで連れてきていた。
白音も、男になすがままされるがままに家に上がっていく。
「君と俺はここで夫婦で生活をする。お金のことは何も考えなくていい、君はここで俺と君のために料理を作り、お風呂を入れ、そして掃除をする。客が来ればその都度相手し、夫婦の営みも俺が求めた時にする……そんな生活をするんだ。」
「……料理と、お風呂と、掃除と、お客と営み……そう、そうですよね……しないといけない、それが夫婦ですもんね。」
男の言うことを反復しながら、納得していく白音。さきほど無理をさせないと言っていたが、それはそれこれはこれ。彼が体を求めるならば、それの相手もきちんとしなければならない。
「そう、そうだ。納得してくれるのが早くて俺は助かるよ。それじゃあ……まず最初にどうするか、わかるか?」
そう言いながら男は白音の体を撫でる。それだけで、白音は結婚相手である男が体を求めていることが理解できた。
「え、ええっと……」
「ふふ、冗談さ。いや、冗談と言うよりはまだ早いってだけかな?俺がしたいことは、
まぁ今回は俺が遠慮しておくんだけどね、まだ本番までするには色々たらなさすぎるからな。」
そう言って男は離れる。だが、したいことを受け入れなければならないと今言われたのだ。白音にはそれを叶えなければならない義務があるという事だと、彼女はそう理解した。
「な、なら……せめて口や手だけなら……」
「……いい子だ。なら先に手や口でしてもらおうかな。経験を積ませるためにな。
よっと……まず、俺のを出してもらおうかな。俺がしてほしい、と言えばすぐに口に入れられるくらいにはならないと。」
「わ、分かりました。」
男がソファに足を開いて座る。白音は膝立ちになって、男のズボンのファスナーを下ろしていく。そうして、男の肉棒を露出させる。
「わ……」
「早く舐めてくれよ?いや、手でシゴいてくれるのでもアリかな。」
「は、はい……え、えっと……こう、ですか……?」
白音は男の肉棒をシゴいていく。たどたどしいそのしごき方に男は何かを感じているのか、笑みを浮かべていた。
白音は少し困惑しながらも、濃い男の匂いに頭がやられたかのように何も考えられなくなっていた。
「そうそう、意外に上手いじゃないか……誰かのを触ってたりするのかな?まぁ、今の君は記憶が無いんだから焦ることはないだろうけどね。」
「は、はい……」
白音は男が何かを言ってるのに適当に相槌しか打てなくなっていた。それほどまでに、強い匂いは白音の脳を侵食していた。
発情とも違う、初めて味わう感覚に白音は困惑しながらも不思議と嫌な気持ちは無かった。
「え、えっと……口で……」
「噛まないでおくれよ?舌とかも使わなくちゃならない。大切に……そう、例えるなら飴を舐めるような感じで頼むよ。
噛むのは、ダメだからね。」
「ん、んむっ……」
白音は言われた通り、噛まずに何とか舐めていく。しかし、咥えるにしては白音の口に入り切らないそれを舐めるのは、少しだけ白音の体力を使うことであった。
「流石に咥えるのはまだ無理かな?けど、そのうち出来るようにならないといけないね。」
「ふぁい……」
モゴモゴと喋りながら舐めていく白音。全体を咥えるのは無理でも、先端や所々を唇で挟むようにして、舐めていくという方法を取っていた。
「はぁ、はぁ……」
「少し息が切れちゃったみたいだね。まぁ別に構わないさ。まだ今はそれくらいでいいよ。無理はさせないつもりだからね。
ただまぁ……せっかくなら手で続きをやっておくれよ。溜まったものを出してほしいからね。」
「は、はい……」
白音は息を切らしながらも男の肉棒を手でしごいていく。脈動している肉棒の熱さに、生唾を飲んでしまっていたが、白音はそれに関わらず続けていた。
「っ……!」
「釘付けだねぇ、それだけ俺のモノに興味が湧いちゃったか?まぁ初めて見るんだろうし、当たり前だろうけど。」
「……」
赤面しながら、白音は頷く。恥ずかしそうに俯かせている顔が、男の嗜虐心をより煽っていた。
しかし、その嗜虐心を男は堪えていた。今はまだ、無理をさせるべき時ではない。そう言いたそうに。
「ん……そろそろ出そうだ。口の中に全部入れるか、顔にかけるかは君が選んでくれていいからね。」
「は、はい……」
男の肉棒を見ながら、白音はしごく手を早くしていく。そして、速度が上がるのに比例するかのように、白音の息と集中力も上がっていく。男の肉棒から出される精液に、白音は心のどこかで期待しているのだ。
「出るっ……!」
「ぁ……」
白音の顔に、大量に精液がかけられる。真っ白になった顔には確かに、恍惚としている白音の顔があった。
白音自身でも理解できないほどに、心地よい感覚に包まれていた。だが、心地よいというのは必然的に嫌悪感を抱いていないということにもなる。
「……それを舐めとるのも、拭き取るのも君の自由だ。さぁ、どうする?そのまま……顔を汚しておくわけには行かないだろう?」
「ま、待ってください……」
ゆっくりと、しかし確実に白音は顔についた精液を舐め取り始めていた。匂いに誘われて、味が気になって……などという訳では無い。
「……こりゃ驚いた。苦いだろう?不味いだろう?嫌悪しか感じないんじゃないのか?」
白音は少し考えたあとに、尻尾と耳をフリフリと動かしながら男を見上げる。
「確かに、不味いし苦いです……だからそれで興奮するわけでもないし、幸福に感じるわけでもないです。
でも……お嫁さん、なら……お婿さんのすべてを受け止めないといけない……って思ったから……ま、間違ってますか?」
白音が少し心配そうな表情で男に尋ねる。本当に心配になっているのか、尻尾や耳が、ソワソワしている風にせわしなく動いていた。
「いいや、何も間違っちゃあいないさ。その心意気は大事だからね。君がそこまでお嫁さんに対する気持ちがあるなら、俺もあまり君を持ち上げない方が良かったかな?」
「……え、ええっと…」
「まぁ、君が望むならもっと段階を進めるのを早めてもいいしね。あくまでも君が望めば、だが……どうする?君が休みたい、と望めばそこで休むことにしてあげよう。期限も、どういう風に休むかも、君の思い通りにしていいんだからね。」
「……はい。」
頭を撫でられた白音は少し微笑みを返す。その表情には、少し嬉しそうなのと恥ずかしさが入り交じっていた。
「さぁ、今日は初めてこの家に来たんだから休んでおきなさい。今日無理強いさせることもないだろうからね。徐々に慣れていけばいいさ。
さ、部屋を覗いてきてご覧。君だけの部屋も見つけてくればいい。お気に入りの部屋が見つかったら言ってほしい、君だけの部屋になるようにしてあげるよ。
部屋だけは沢山あるからね。」
「はい。」
返事だけして、白音は部屋を探すためにその場から離れる。男はそれをじっと見届けた後にゆっくりとソファに腰をかけて休み始める。
白音が部屋を見つけるのを、楽しむかのように。
「順調に進んで来ているな……さて、これからどういうふうに調理してやるかな……雌奴隷にするのは、今回はなしにするとして……やっぱり、このまま『お嫁さん』にしてやるのが正しいかな。」
明らかに白音に見せていた顔とは全く別の表情。同じ笑顔のはずなのに、白音がいなくなった瞬間に、それはとても邪悪なものへと変貌していた。
「さて……塔城小猫としての名前を捨てて、白音という本来の名前で生きることにしたお前は……一体、どんな風に変わっていくんだろうな……楽しみだよ、俺は。」
白音が出ていった廊下を見ながら、男は呟いていた。既に一度抜いたはずの肉棒は、未だにイキり勃っていた。これから白音をどんなふうに染めていくか。
それだけを考えて興奮しているのだろう、自分色に染めるのではなく今自分がしたいように染める、ただそれだけのために。
「……ま、今はせいぜい甘い夫婦生活を演じてやるよ。」
そう呟いた男は、にやけるだけで必死に笑い声をあげるのを抑えるのであった。