リアスは出ません
「うーん…………」
屋敷を囲って触れたもの全てを消し去る滅びの結界。外と中には影響は無いが壁自体に効力があり、屋敷への出入りを拒否する仕組みになっている。
これを解除する為の方法は今のところ一つだけ、サーゼクス・ルシファーを倒すしかないがその為にはまずあいつの場所を探るところから始まる。
けれどあいつの場所にたどり着くまでに恐らくは眷属共が邪魔をしてくるだろうしグレイフィア以外のメイド、執事も恐らく戦えるから戦力は圧倒的にこっちが不利だ。応援を呼ぼうとしても向こう側に進めない以上転移を使うのも危険と考えるべきだ。
はっきり言おう、今俺は圧倒的且つ危ない状況にいる。最弱が最強を倒すなんてラノベ展開でよくある事だがここまでされると最強なんてものじゃないだろう。今の俺の体はミリキャスを今の成長速度で俺の年まで育った場合の体である。魔力は充分にあるし同じ滅びを扱うリアスの技を使う事も出来るだろう。
だがどれだけ強さを手に入れてもあの男にはそれら全てを滅ぼそうとする滅びを感じてしまう。
侵入者は俺しかいないが、そのどこにいるかも分からない俺に向かって殺気を放てるというのが化物である証拠である。
「とは言っても…………脱出する事が出来ないんだからやっぱりあいつを倒すしかないんだよな…………」
問題なのは兵の数では無い、結局雑兵を用意してもあの男の前では塵芥同然だ。それこそアイツと同等の滅びを身に付けていないと俺はやつに触れる事さえ出来ないだろう。
「あー…………駄目だ、何度考え直しても勝てるビジョンが見つからねぇや」
「いたっ! 侵入者はここよ!!」
あー…………ついに見付かっちまったか、けどまぁわざわざ見付かる為に姿現してるしな。こうやって見付かって向かってきた兵を戦闘不能にしていく為にな。という訳でメイドなので犯そう、グレイフィアの時ではまだまだヤリ足りなかったしな。大丈夫、即堕ちさせていくから。
数十分後
この屋敷でか過ぎじゃね? 物理的概念まで滅ぼしちゃったの? ってくらいに大きいのは何なの? もう道に迷ったぞ。というかそもそも俺はここに忍び込んだ理由が屋敷内把握だからな? そしたらグレイフィアに見付かってなし崩し的に行為に及んだ訳だ。だからいまだにどこがどうなってるとか全く知らん!!
「メイドもあらかた犯したっぽいしな…………執事しかこねぇもん」
その執事たちには理性のタガを外してメイド達を性的に襲わせているので勿論執事もあらかた片付けたはずなのだが…………何故か執事ばかり出てくる。メイドぶつけるより執事ぶつける方がいいって今頃判断したのか? けど洗脳して輪姦パーティしてるしなぁ…………というか、やっぱり姿消した方がいい気がしてきたな。未だ眷属にぶつかってないからともかく完全に人型じゃない奴もいたしな、あれとぶつかると洗脳しても通じない可能性が高い。なんでその線を思い浮かべなかったんだろうか…………俺の肉棒が我慢出来なかった過ちか。よし、とりあえず姿消すか。
「といってもぶつかられたら終わりだしな…………誰ともぶつからない様にするっていうのもなかなか面倒臭いんだけど」
それに見えないのは俺の姿で聞こえないのは俺の声、臭わないのは俺自身の匂いだから俺が直接出してるのじゃなければバレやすい(だから足音や足跡が特に注意しないとな)からそれも注意していこう。
「にしても本当に広いな…………サーゼクスはどこにいる?」
目の前から来る執事やメイドをガン無視して通り過ぎるまでぶつからない様にしていく。しかしそれでもサーゼクスが見付かる気配は全く無い。人に全然優しくない作りしてるなここは…………でも、まぁそのうち辿り着くだろう。そう信じて今はただひたすら歩き続ける。歩きながら考える、俺が奴に勝てる可能性を。
まず俺の体には今まで習得(奪った)した能力が全て残っている、それに加えて天然の滅びの魔力も体に宿っている。コントローラーの力も多少なりとも何故か使えてしまっている。
だが、それでもやつには届かない可能性の方が大きい。となると…………
「……うん、これ勝てるかどうか本気で心配になってきたな。あいつマジで強いわ」
文字通り全てを消しされる可能性がある訳だしな…………その息子の体を使っても戦えるかどうか…………
そう悩んで歩き回ってる内に一つの部屋にたどり着く、あからさまに他の部屋とは別格の雰囲気だったしドアを何故か開いていたのでそっと中を覗く。中の雰囲気を確認して見たがどうやらサーゼクスの部屋らしい、覗いたら部屋のど真ん中に立っているんだからな。母親のヴェネラナがいない様だけど別の部屋に隠しているのかそれともこの部屋には隠し通路があってそこから逃げ出したのかは定かでは無い。だがきっと下手すればこの屋敷にヴェネラナは既に存在しないのだろう。
さて、その為にはサーゼクスを倒す必要があるのだが……というかあれ本当にサーゼクスか? 何か紅の鎧みたいなの纏ってるんだけど。勝てる気がしない。一瞬で消し飛ばされそうな雰囲気だな。
「あ、そうだ。あいつ眠らしちゃえば早いじゃんか」
ならコントローラーの力を使って眠らせるとしよう。大丈夫、元々入れてあるコマンドだから使い易い事この上ない。
ともかく頭の中でコマンドを思い出して入力、対象は勿論サーゼクス。
「……………………あれ?」
寝ないな、まさかこのタイミングでコントローラーの力がなくなった? なら俺の姿はあいつにバレているはずだし……あれ? どうして何も反応しない? 試しに時止めを…………
「…………止まってる、よな?」
部屋から持ってきた消しゴムをポケットから出して試しに投げると、投げた瞬間空中で動きが止まる。うん、止まってるみたいだし問題無い…………よな。
「何か依然として動けてる様な気が…………えっ」
動けてる様な気がした、のではなく
「危ない危ない………………何してんだあいつ」
部屋の入口の前に立ってキョロキョロと見回している。俺を探しているのだろうか。いきなり時を止めて気付いたというのか、何という奴だ。周りに他に動く様なもんはなかったはずだぞ? あの部屋に時計らしきものも無かったはずだ。じゃあどうしてあいつは真っ先に俺のところに来た? 本当は気付いてんじゃないのか? だが一つだけ分かった事がある…………あいつに直接コントローラーの力は通じないって事だ。魔力を介してるもんは通じないって事か? 最初鎧かと思ってたけどあれはどうやら滅びの魔力みたいだし……あながち通じないというのも理解出来るな。だがあんなのをずっと続けられる訳でも無いだろう…………だが俺の姿を見る前から出してるって事は少なくとも多少長時間は戦える様な代物、つまりは長くて1時間以上10時間以内という大雑把な見積もりで戦わないといけないって事か…………無理じゃね?
「……いや、違うな」
あくまでそれは何もしなくてあのまま待機しての場合という事だ。つまり『何かを消滅させる』という行為を発揮させていけばそれよりも早く消耗させらせる可能性がある訳だ…………じゃあどうするかな。一気に消費させる為には大量の攻撃をしないといけない。大量の攻撃というと…………サブマシンガンか? どうせ当たっても死なないだろうから殺さずに済むしそれでいいかもしれないな。
「んじゃ…………時止めを解除したら一斉に撃つか」
使い方は弾を入れて撃つくらいしか知らん、反動が来てもそうそう簡単に腕は吹っ飛ばねぇしそれに今は方法を選んでる場合じゃ無いからな。威力より手数を優先して撃たなきゃすぐにやられそうだ。
そうと考えたらこっそり部屋の中に入る、部屋の中に何かトラップらしきものがあるかもと考えたのだが杞憂だった様で特に何も無かった。やはり姿を消していたら向こうは見えない訳か。んじゃま、ともかく1回―――
「派手にぶち込んでやるよ!」
その俺の声が合図として一斉に乱射する…………けど反動デカイなこれ。名前は知らんが俺の都合のいいやつが出てくるというのならまぁ今俺が一番使い易いヤツ、という事なのだろう。
「っ! ようやく来たか……!!」
しかしそんな銃弾の雨をものともせずに突き進んでくるサーゼクス、そりゃそうだ、銃弾は当たった奴は削り取られる様に消えていくんだからな。
これで姿が見えなくて自由自在に飛び回れるとかになってくると恐ろしいな、所詮妄想だけど。
あ、やべこっち来た銃を上に投げて……ダッシュで逃げよう。
「っ!」
うっわ、投げた瞬間にでっかい魔力の玉出してそこら中消し飛ばしやがった。館ごと消すつもりなのかよこの魔王は。これ無力化出来るまでに俺の体力が持たんかもしれん。だいぶ消耗させたつもりだけどな。
「…………この部屋にいる事は分かっている…………そうやって姿を隠す臆病者とはいえ仕出かした事はその命を滅ぼしても償えない。
場合によっては家族を、関連している組織を、ここに誘導させる事が出来た関係者を、全て私の前で平等に滅ぼしてやる。命に変えてもな……」
あかん、これめっちゃ怒っとるわ。というか死なれるのは割と困るんでな。俺が成りすましたところで魔王の事なんててんでよく分かんねぇんだからせめて俺の傀儡くらいにはしてやりたいんだよ。俺は美人な異性とイチャコラズコバコやってればそれでいいしな。
「出て来い…………我が妻を、我が妹を、そしてその友人達を自らの欲望の為だけに手を掛けた事をじっくりと今後悔させてやる…………地獄には行かせん、その魂は私の魔力を持って滅ぼさせてもらう」
ちっ…………グレモリーってのは情愛が深いってそういやリアスから聞いてたっけな…………情愛が深いからこそ身内に手を出された時にブチ切れやすい、か…………さてどうするかな。部屋のそこら中に出来た断面がまるで元からそういう形だったのかと錯覚するくらいに綺麗な作りになってしまっている。
あんな魔力を体に纏っていてよく体が…………あっ、いい事……では無いけれど思い付いた。
あの魔力に触れば触れた部分は消し飛ぶけど力は行使出来るんじゃないか? そう考えると案外いけそうな気がするな。けどまずは触れた場合においてどういった風に消し飛ぶのかを確かめたいな、無理だけど。
…………とりあえず一回触れてみるか、不用意に近付くのは駄目だがこの際あいつを倒せりゃなんでもいい。思い付いた手は突飛でも試さなきゃこっちが死ぬ。
「…………行くか」
魔力が使える様になったら俺の勝ち、何も起こらなかったら俺の負け。実にシンプルで失敗しそうな賭けもあるもんだなぁ……けどこうでもしないと帰れそうにないし…………数時間屋敷うろちょろしててもいいけど多分命を削ってでもあの魔力で俺を殺そうとしてくるだろうしなぁ。
さて、行くか。
「…………」
そろりそろり、足を忍ばせて奴の近くに近寄る。もちろんあいつの後ろから近寄るしバレない様に細心の注意を払う。そしてゆっくり手を振り上げて―――
「っ!!」
「ちっ!!」
振り下ろして俺の手が消え去るのとやつが触れられた事に気付いて魔力弾を放つのはほぼ同時、右腕を振り下ろしながら避けるモーションはしていたのでなんとか胴体にはぶつからなかったが左腕が半分消え去ってしまった。
そのまま床を転がって柱に隠れて呼吸を整えながら奴を確認、まだこちらの位置はバレていない様だ。にしても…………まさか両腕が使えなくなるとは思ってもみなかった…………んでもって―――
「再生すらしないとは恐れ入った………………」
断面がツルッツルの綺麗な断面してて最早感嘆の声が出てくるくらいだ。しかも…………傷口から血が出ないと思って不思議に思ってよく確認してみたら……ほんの少し、うっすらと、パッと見ただけじゃあ絶対に気付かないくらい薄い魔力の膜の様なものが傷口を覆っていた。体は再生していた。だが俺のその再生能力で再生したのを片っ端から滅びの魔力で出来た膜が消していってやがる……血が流れないのも片っ端から消滅していってやがるからだ。俺には質量保存の法則なにそれ? の再生能力で血液も造られ続けるから出血多量で死ぬ事は無いし血溜まりによる場所の把握も出来なくなっているから皮肉な事に助かっているが…………こうなると手詰まりだ。
魔力弾自体は別にどこからでも放てるだろうけど…………手で放つのが一番やり易そうだしな。足は論外だし口も前が見えなくなりそうで困る。
まさか触れた箇所に滞留するもんだとは思っていなかったけど…………けどまぁこれで魔力は得られた。俺は確信している。
「んじゃ……このまま終わらせて帰るか……」
メイド達とヴェネラナを俺の手中にしないとな…………腕は、
仮に鎧をまとったとしても魔力のせいで腕から先が削り取られたらやってられん。まぁいい、やってみるだけやってみればいいさ。
『
「っ!?
さぁて、小手調べは終わった…………第2ラウンドといきましょうや魔王サーゼクス・ルシファー。
この碌に力の使えない鎧を使ってあんたの魔力を使うコピーものしか使えない元・人間、現悪魔の俺が奇跡的な勝利を収めるのか。それとも最強の悪魔とも思われるあんたが当たり前の様に勝って俺を消し飛ばすのか………………普通ならあんたが勝つだろうが今の俺はあんたの滅びを使える。
俺が使いこなせる様に改造してしまえば俺が完全敗北をする事はないはずだからな、どうなるかね。
長くなりそうでしたので前後編に分けました。
因みに今の主人公の立ち位置はとてつもないイレギュラーですが転生悪魔みたいなものとしました。だから神器を使えます。