「やはりここにいたか…………」
「やぁ白龍皇君、付き添いの猿はどうしたんだい? 時を止めた中で動けるのは君だけだからおいてけぼりかな? まぁそうさせる様にしたのは俺なんだけどさ」
対応策を思い付き、その策をし終えてしばらくそのまま場所を移動せずにじっとして大体10分くらい経ったあたりでようやく二人が戻ってきた。
今の俺は実に上機嫌なので変な口調になっている。だがそれを挑発とも受け取ってもらえないのはこいつの煽り耐性が異常なまでの高さを誇っているからなのだろうか? 正直考えるのも面倒臭い。
「わざわざ出て来ないで隠れていればよかったものを…………観念した、って訳じゃあ無さそうだな。なにか俺を楽しませる様な事をしてくれるのか?」
何でもかんでも戦いに持っていく戦闘狂め。だがその余裕もすぐに崩れる事になるがな。俺の秘策によって。
「楽しませる様な事をして上げられるといいけどな…………?」
「簡単にやられてくれるなよ? 『我、目覚めるはーーー』ぐっ!?」
急に詠唱が止まる。だがそれは俺の計画通りであり、またこいつを倒す為の秘策の一つでもあった。そしてこれでこれから俺の前に立ちはだかる邪魔な龍共を倒す事が出来る様になるかもしれないのだ。こいつにはその実験台となってもらおう。
「お前に俺の力は通じない。だがお前の神器の中にいる怨念どもは違う…………まぁ予想通りで助かったよ」
「何を…………した…………!!」
喉を抑えながら跪くヴァーリ、これでも鎧を解除しないとは流石としかいい様が無い。だが鎧を解除しなかった事でお前はもう終わってんだよ。
「それはお前のアルビオンに聞いてみろよ。すぐに分かる事だ」
「…………くっ! アルビオン! 何があった答えろ!!」
すぐに大声を上げてアルビオンにこの異常を問い質すヴァーリ。だがその答えを知ってるのは俺一人だ。アルビオンがすぐに理解出来る様な頭を持っているのならアルビオンも答えを知っている側になる。そうしてヴァーリの頭の中で答えを得られたのか目を見開いて俺の方へと視線を向ける。
『そんな馬鹿な』と言っているかの様な目だ。
「先代達の魂が暴走…………いや、前よりももっと大きな怨念になっている、とアルビオンは言っている…………!」
「お前には俺の能力が効かない…………ならお前が俺を殴った(触れた)事で新たにコピーしたお前の能力に直接掛けた訳だ。
『魂を怨念しかない悪霊に変える』ってコマンドを俺自身に打ち込んだ。
そしてその異常がお前に現れた事を察するに俺の能力で得た能力達は本来の持ち主とリンクしているって事だ。しかも俺の得た効果は持ち主に、持ち主の得た力は俺に流れてくる。毎日毎時間毎分毎秒更新され続けている訳だ。
最初はコントローラー自体が効かないかと思っていたけど……そうじゃ無い、俺が時止めの中を赤龍帝の篭手の禁手を発動させながら俺は止まった時を動いた。
で、多分お前の能力と兵藤の能力は微妙にリンクしているからその恩恵を少しながらもらえたって訳だ。
さて話を戻そうか………………その怨念達は加速度的にその恨みを増やしていく。深く大きく…………その怨念を溜め込んでいく。
お前を倒す為の作戦がこれって訳だよ」
まぁこれは賭けだったけどな。無事に上手くいって何よりだ。俺のコピーはあくまでコピーなので怨霊なんですっからかんだし龍の魂なんてのも存在していない。だからこそ出来た芸当な訳だけどな。
「だが…………無理やりにでも極覇龍になれさえすればなんとかなるだろう………………! 『我、目覚めるはーーーー律の絶対を闇に堕とす白龍皇なりーーー』」
恨み辛みを抱え込んで苦しそうなのにそれでもなお詠唱を続けようとするヴァーリ。この詠唱は本来中にいる魂達が後押しする様に叫ぶ…………
だったら魂達だけで詠唱する事も可能なんじゃないか? と思った俺はここにさらに一工夫加える。
『否っ!! 我目覚めるは破の理を覇に捧げし極破龍なり!!』
「なっ!? くっ………! 『極めるは天龍の高み! 往くは白龍の覇道なり !』」
『妬むは夢幻の存在! 喰らい尽くすは無限の存在!』
自分の中にいる奴との詠唱合戦、言っておくが俺は何もしていない。詠唱自体は中にいる怨念達のものだ。
「『我らは無限を制して夢幻をも食らう!』」
『我らを見限りし者共の魂の生贄を!』
「『無限の破滅と黎明の夢を穿ちて覇道を往く!』」
『憎き全ての者の命を穿ちて破滅と外道を往く!』
「『我、無垢なる龍の皇帝となりてーーー』」
『我、圧倒的な龍の殺戮者となりてーーー』
「『
あ、今のは見事に乗っ取られたな。段々ヴァーリの体から黒いもやみたいなのが吹き出してきてるしもうこれ乗っ取られるのが目に見えてる。
「残念だったな、ヴァーリ。
もうお前の中にいる先代達の意思はお前には従わない、それどころか反旗を翻したな。強さを求めてたお前には一度弱くなってもらう事を覚えてもらわないとな…………それが能力の暴走によるトラウマなのか全ての能力が使用不可になるのかは分からないけど」
「ぐっ…………それでも…………力を使う事は…………!」
『Divide!!』
独特の音声が鳴り響く。ヴァーリの力は半減、この音声が鳴るということは何かが半減されるという事だ。しかもこの能力の特徴は『ほぼ何でも半減出来る』という点である。
だからーーー
「がっ…………!? ぐ、がぁぁぁぁぁ…………!」
ーーー
俺が奇跡的に使う事が出来たのでヴァーリの意思の強さは半減、抵抗の意思が大きければ大きいほど半減される時の減り方が尋常じゃ無いはずだ。そして減った瞬間に怨念共に…………パックリ。
そして今その通りにヴァーリの鎧は変貌していく。
より生々しく、禍々しく、雄々しく、グロテスクなものへと変貌していく。見ていて吐き気を覚える様な見た目。
パッと見たら白い龍……でも無いな。西洋型のトカゲみたいな龍なのだろうが体のパーツがむちゃくちゃな位置に付いてしまっている。
顔のパーツですら目が真ん中に一つだけ飛び出ているのが付いているし後頭部には同じ様に飛び出た目玉が付いている。口もまともなものでは無くまるでアメリカの映画に出てくる宇宙人の様だ。歯が中心に向かって生えているあの気持ち悪い花形の口の形である。
腕に至っては伸びた首から1本、腹から出ているので1本の計2本。足と羽だけはまともな生え方をしていた。そして体の至るところに宝玉がハマっていた。
「■■■■■■■■■■■■■■■ー!!」
声にならない咆哮、何かに塗り潰されたかの様な暴走の仕方。怨念とはここまで醜いものだという事を俺達に教えて…………やっぱただただ気持ち悪いわ。何にも教えてくれない。
そう思い直した俺だがふと違和感があった。違和感というか背中からなんか出てるのだ。因みに怨念で暴走した奴は結界の天井バシバシ殴ってる。ちゃっかり時止めが効いて無いあたり恐ろしいな。
というか背中からなんか出てるあれはなんだ。俺はそう思って凝視して見るとどうやら人影の様だ…………ってヴァーリが出てる。
むっちゃ肉塊っぽくなってる暴走龍の背中からまるでUSBみたいな機械部分が生えていてそこからヴァーリがはみ出てる。本体が出てきてるから時止めがバッチリ効いてる。だが空を飛んでいるって事は少なくともなんか引っ掛かってるよなあれ。
とりあえず…………コントローラーが暴走龍に効くかどうか試すついでにヴァーリ達を使えない様にしておくか。
「はい、んじゃあまた後でな。」
「あ、あぁ…………」
記憶捏造して帰らせました。美候? 同じ事した。とりあえず美候には適当に旅を続けてる旅芸人って事にして…………ヴァーリはウチにホームステイしてる外国人って事にした。ん? そんな事されてアルビオンがちょっかい掛けないかって? それが不思議な事にアルビオンの反応が消えたらしくてね。多分怪物の方に乗り移ったんだろうな。ヴァーリに確かめたら神器すら出せなくなってるみたいだし。んでその怪物はというと……………
「……………………」
姿をコントローラーで消してウチで飼ってる。ウチにはどんどん変なペットが増えていくなぁ…………もっとまともなペットが欲しい…………そうだ、小猫と黒歌を後で散歩に連れて行かないと。公園でヤリたくなってきたし丁度いい。
ん? 今どこで何してるのか? ヴァーリは家に入っていって俺は家の前、そんで怪物は例の部屋に突っ込んだので後は俺もある程度やる事やったら戻ろうと思う。
そうそう、美候とヴァーリともう一人……アーサーをこっちのものにした。アーサーか…………伝説のアーサー王と同じ名前って面白いな。キラキラネームみたいで。いや、DQNネーム? まぁどっちでもいいか。
「実験としては成功を収めた…………もっというなら可能性を潰せる可能性が出てきたってところか」
厄介な二天龍、ヴァーリは協力者については語らせない事にした。
その代わりアーサーから聞き出したがな。
まぁ残ってる勢力は天界だった訳で…………うん、知ってた。
そういや天界には死人の魂が集まってるところがあるらしいな…………もしかしたら堕天使や悪魔の魂なんかもそこに入るのか? 入るのだとしたら…………まぁ牝奴隷がまた増えるって訳だ。
そうだなぁ…………まずは天界を手に入れるところから始まるけど天界も中々のチートがいるって話だし…………天界の男共も規律で生きてるとはいえフラストレーションが溜まってるだろうからそこを狙うべきか?
リアスから渡された天界の資料をまぁ暇つぶし感覚で読んでるわけだが…………うん、案外簡単にいきそうだな。本当に真面目で規律正しい奴らならともかく本当にそんな奴らが多いのかって話だしな。
「運動会で和平相手の悪魔に猛毒の光の槍投げつけるくらいだし絶対規律正しくないよな…………よくやるもんだ」
システムには引っ掛からない様にしたいし…………ま、とりあえずはシスターグリゼルダから堕とす事にしよう。あれがこちらにいるといないとでは大違いだしな。
今回はかなり短く終わりました。
因みに詠唱はオリジナルです。