※この作品はR-18です。

なんだか四魂の玉に憑依してしまったんだが   作:nenenene

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R-18なのにエロくない? そ、そのうちエロくなります(震え声)


その2 一夜明けた朝、死舞烏襲来!

 

 

 

 ヤッホー!

 

 なぜだか四魂の玉に憑依することになった普通の高校生、峰雪勇人です。

 意味不明な状況に遭遇して自分の命の危機ともなると、人間ってハイテンションになるんですね。初めて知りました。いや、まあ、こんなヘンテコな状況に遭遇すること自体初めてなので、普遍的な法則があるのかは知らないけどね。

 

 

 

 

 結局、昨晩は一睡もできなかった。眠気? そんなもの、一瞬で吹き飛んだわ!!

 ガクガク震えながら、一晩かけてどうすれば四魂の玉の四散を回避できるのかを考えたのだが、全く上手い考えが浮かばない。

 マジでどうすればいいんだ? 平和な日本で高校生をやってた俺には、ハードルが高すぎるぞ! 神様助けて!

 

 ……神なんて信じてないけどね(汗)。

 

 などと馬鹿なことを考えていると、犬夜叉とかごめが喧嘩を始めた。

 

「もう、あんたなんか知らない!!」

 

 かごめはそう怒鳴ると、足音高くばあさんの家から出て行く。それも、俺をポケットに入れたまま。

 

『ちょっ!? おまっ!!』

 

 俺は焦る。めちゃくちゃ焦る。心臓のバクバク具合から言って、間違いなく人生で最大の焦り具合だと断言できる! (いや、まあ、あくまで比喩的な表現なんだけど。……心臓なんてないから)

 

 このまま行くと、かごめは盗賊に拉致される。そして、その盗賊の親玉は妖怪に寄生されていて、その妖怪を倒す過程で四魂の玉は四散するのだ!!

 それは、俺の生命が危ない的な意味で、何としても阻止しないといけない!!

 

『何かないか!! 何か!!』

 

 何もありません。というか、今の俺は単なる玉なので、身動きが全く取れません。つまり、どうしようもない。

 

ははははは。オワタ。

 

『無理ゲーすぎる!!』

 

 魂の底からの俺の叫び。

 そこに、光明が降る。

 

 

「えっ?!今のは誰?!」

 

 かごめが俺の声に反応する。四魂の玉になって拡張された俺の感覚によると、どうやら俺の心の中の叫び声が、妖気として外部に放出されたっぽい。

 

『俺が誰かだって?! そんなことはどうでもいい!! そんなことより早く村に戻れ!! 盗賊に狙われてるぞ!! お前!!』

 

 そうなのである。このバカ女は、ばあさんの家を出た後にズンズン村はずれに進んでいて、今では森の中にいるのだ!

 

 このままでは、原作通りに俺が四散してしまう!

 そういった焦りのせいで、俺の口調は知らず強いものとなる。

 それが悪かったのだろう。いきなり知らない場所に飛ばされて、変な化け物に狙われるなどという、普通の女子中学生が経験するはずのない出来事に、かごめは巻き込まれていたのだ。その上かごめは、自分が生まれかわりに巫女であり、自分の体から出てきた変な球のことを妖怪どもが付け狙っているから、生まれ変わりの巫女としてそれを守らければならない。などという勝手な話を一方的に聞かされて、かなり気が立っているのだ。

そこにこんな強い調子で命令すれば結果は明らか。つまり、より一層頭に血が昇って意固地になり、先ほどよりも早足で骨喰の井戸に向かっていく!

 

「知らないわよ!!そんなのっ!!妖怪だか盗賊だかなっ」

 

 急にかごめが足を止める。

 それもそうだろう。かごめが向かう先には、複数の人影。その全員が刀や槍、弓といった武器で武装していて、衣服の上にはくたびれた防具まで着込んでいる。

 彼らはどう見ても堅気には見えない。というか、今話題の盗賊の皆さまです。ありがとうございました。

 

どうすんの?これ?

 

「げへへへ。上玉じゃないか。女。」

 

 盗賊の一人。恐ろしく体格のいい男がかごめに声をかける。

 

 バカな!

 

 その男からは生気が感じられない。代わりに、男の腹の中には、大して強そうではないものの、妖怪の気配がある。

 何を隠そうこの統領、妖怪に憑りつかれて死んでしまっているのである。原作では、この盗賊の統領はお寺か何かの中で、部下の戦利品を待っていたはずなのだが。なぜか、そいつが直接かごめを捕えに出てきている。

 俺は原作との微妙な乖離に軽くパニックになりかける。

 

 だが、

 

「なっ?!盗賊?!教えなさいよっ!!知ってたんなら!!」

 

かごめの怒鳴り声が俺を現実に引き戻す。

 さすがにこれには、俺もイラッとする。

 

『うるせえ!手前が俺の忠告を聞かねえからだろうが、バカ女!』

 

「バカ女ですって!!誰がバカよ!!誰が!!」

 

「手前だよ!」

 

 そう答えたのは俺ではない。盗賊の一人だ。

 その盗賊は背後からかごめを羽交い絞めにする。そして、背後から近付いていたもう一人の盗賊が、身動きの取れないかごめのセーラー服を乱暴にひん剥く!

 

「きゃああああああああああああ!!!」

 

 上半身をブラジャー姿にされたかごめが悲鳴を上げる。

 

「なんだ、女。変なもんを胸に巻いて」

 

 ブラジャーを見た盗賊の一人が、不思議そうな顔で呟く。

 

『変なもんって……。確かに下着は、昔はなかったらしいけど』

 

 その俺のつぶやきは無視された。

 まあ当然だ。盗賊どもには俺のつぶやきなんかわからないし、かごめはそれどころではなくなっている。というか、盗賊に拘束されて、服を剥がされた女子中学生が、冷静に反応できたらそっちのほうが怖い。

 

 ん?

 俺だって昨夜までは単なるどこにでもいる男子高校生だったはず。別に、小さいころから鍛えられていたわけでもなければ、妖怪を見知っていたわけではない。現にさっきまでは死ぬかもしれないと思って、ガクガクだったはずだ。それがなぜ、こんなに冷静になっているんだ。明らかに異常。

 なのに、違和感はそれほどでもない。四魂の玉という体(?)に、精神がひきずられているのか?マンガやアニメではよくある設定だけど、自分が経験するとなると微妙な感じだ。

 

 

「これも取っとくか」

 

 さっきの盗賊が、かごめのブラジャーを引き裂くべく再びかごめに腕を伸ばす。

 

「いやああああああああああああああああ!!! 助けて!!!」

 

 かごめが恐怖に染まった悲鳴を上げる。

 助けてと言われても、俺にどうしろと。今の俺はタダの玉。俺にはどうしようもないし、犬夜叉の気配は依然として、ここから離れた村の中にある。動きから言って、たぶん昼寝でもしているのだろう。

 

『哀れ、かごめ。ここで純潔を失うか。』

 

 まあ、純潔と言っても、現代ではほとんど死語みたいなものだし。どうせかごめだって、結婚までヴァージンを守るという気はなさそうだし、問題なかろう。

 俺はあっさりとかごめを見捨てる。

 

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

 だが、天はかごめを見捨てていないようだ。かごめの胸に手を伸ばしていた盗賊は、背後から袈裟懸けに斬られ、絶叫を上げながら倒れる。

 

 え? どうなってんの?

 盗賊を背後から斬りつけたものの正体。それは盗賊達のお頭だ。

 どゆこと? こいつ敵やないんか?

 精神の動揺から、思わずエセ方言が出てくる。

 

「へ? お頭?」

 

 盗賊の方も混乱している模様。まあ、当然だろう。自分の仲間だと思っていたモノが突然他の仲間を攻撃し始めたんだから。かごめを羽交い絞めにしていた盗賊が呆然としてお頭を見上げ、拘束の力を弱める。

 そして、そのような隙を原作ヒロインが見逃すはずはない。だって、そうでもしないと話が進まないから。

 かごめはするりと盗賊の拘束を抜けて、一目散に逃走する。

 

「待て!!」

 

そう言って、盗賊は再度かごめを拘束しようとするが、

 

「うぎゃああああ!!!」

 

お頭がまたも大鉈を振るい、その盗賊を頭から真っ二つにする。

 

「ふしゅうううう。またはずした。おがしい。」

 

 お頭はそう言って、頭を振る。

 

 その様子に俺はドン引きだが、それ以上に、周りの盗賊たちは動揺している。

 

「お、お頭!!一体何を!!」

 

 だが、そのような手下の問いかけには答えず、お頭は三度大鉈を振るう。

 

「へぎゃあああ!!!」

 

 その攻撃もかごめには命中せず、別の盗賊に命中する。

 

 

「ひええええええ!!!!!」

 

 自分たちのお頭が狂い、三人も自分の仲間が殺されたのを見た残りの手下二人は、一目散にその場から逃れようとする。

 だが、

 

「にげるね!!」

 

「「ほげえええええ!!!!」」

 

お頭は素早く手下達に近づき大鉈を振ると、呆気なく手下たちは全滅した。

 

『いやいやいや! おかしいだろ! なんで正確なんだよ!! 自分の手下を攻撃するときだけ!!』

 

 俺の渾身の突込みは当然のごとく無視された。

 ……俺、泣いていいよね?

 

 まあ、冗談はともかくとして、現在の状況は非常によろしくない。何せ、犬夜叉の奴は以前村で昼寝中だし、俺には何もできん。かごめは物語が始まったばかりで近接戦闘能力が皆無。というか、物語終盤でも、接近戦はほとんど無理だったはず。

 そして、目の前には敵の妖怪が操る大男(大鉈装備)。

 一応ここから南に100mほど行ったところには、少し強めの妖怪が存在するが、そいつはこちらを観察しているだけで、介入してくる気配は今のところ存在しない。

 俺はそれらの要素を総合的に分析する。

 

 ふっ! 無理だな。こいつ死んだわ。

 俺の明晰な頭脳(笑)が出した結論に、間違いはない。俺はかごめに憐みの視線を向ける。

 

 まあ、目はないけど。

 

 

『お願い。助けて。』

 

 かごめが両手で俺を包み込んで、祈りを捧げてくる。

 一歩一歩、ゆっくりと、ふらつきながら、近づく、お頭。

 

「いやあああああ!!! 死にたくない!! 死にたくない!!! お願いよ!! 何でもする!! 何でもするから!! 」

 

 かごめは死への恐怖から、失禁しながら必死に命乞いをする。だが、そんなものが妖怪に通用するはずもない。

 一歩一歩、お頭が近づく。

 

「助けてよ!! そうだ!! ほら!! これでどう!! 体が目当てなんでしょ!!! 好きにしていいから!! だから助けて!! 命だけは!!!」

 

 そう言って、自らブラジャーのフックを外し、未発達の乳房を晒すかごめ。

 

 馬鹿な女だ。こいつの狙いは身体じゃなくて四魂の玉なんだよ。自ら痴態を晒したかごめに、俺の心は冷ややかな気分になる。

 

「いや!!! いや!!! 死にたくない!!!! お願いします!!! 助けて下さい!!!! 何でもするから!!!! ほら!! これでどう?!」

 

 そう言って、自身のスカートをたくし上げ、その下の下着も脱ぎ捨てるかごめ。おまんこが丸見えになる。尤も、かごめの股間からは黄金水がチョロチョロと漏れていて、エロさよりも不潔さが先に来ているのだが。

 

「ねえ!! お願いします!! 赤ちゃん産みます!! 赤ちゃん産むから!! だから助けて!!」

 

 かごめは必死に懇願する。オッパイやおまんこを強調して、自身の性的魅力を高めようと懸命だ。だが、それが聞き遂げられることはなかった。

 お頭の手に握られた大鉈が振り上げられ、振り下ろされる。

 

ザシュ。コロコロ。

 

 あまりにも呆気なかった。この世界のヒロインであるはずのかごめの首は、胴体から永遠に切り離され、地面に転がっている。

 

『いやいやいや!!!! 崩壊してんじゃん!!! 原作!!!!』

 

 

 ヒュー。

 俺の渾身の突込みは、完全にスルーされた。目なんて存在しないはずなのに、涙が沁みる。別にいいけどね。死んだのは俺じゃないし。むしろ、さっきの予想が当たって、やっぱ俺すごくね、とか思ったりもする。いや、まあ、かごめが絶体絶命なのは明らかだったんだから、名推理というほどでもないんだが。

 

「カー! カー!」

 

 かごめを殺した後、お頭の死体の中からは、気色悪い烏が出てきた。これは原作通りだ。いや、ここだけ原作に忠実になられてもアレなんだが、まあ良しとしよう。というか、とりあえずは一晩一緒に過ごした(念のために言っておくがエロイ意味はない)女子中学生があっさりと死んだのは、それなりにショックだったはずだ。

なのに、その感情は一瞬後にはあっさりと溶け去って、今ではなんともない。うむ、平常心、平常心。

 

 というかむしろ、原作で四魂の玉を破壊するのってかごめなんだから、むしろ俺的には、死亡フラグがへし折れてラッキーではある。

 

 グチョ! グチャ!

 

 妖怪烏がかごめの死体を漁る音が聞こえてくる。微妙に気色悪い。

やれやれ。どうやら、ある程度以上感情が変動しないと、精神の沈静化作用は働かないらしい。

 

 グチャ! グチャ!

 

 かごめの腹は引き裂かれ、烏が内臓を引っ張り出して、喰っている。

 

 ん? いや、違う。

 死体を食っているというよりも、あっちこっち引っ掻き回しているという感じだな。まるで、何かを探しているような?

 

『って?! それ、俺じゃん?!』

 

 俺は焦る。

そうだった! この烏は、原作では一応、四魂の玉を食ってるんだった! 食われたらどうなるんだろう?

 四魂の玉はそのままで、体内から妖力を吸収されるだけなのか。それとも、そのまま体内に取り込まれてしまうのか。一応原作では、四魂の玉を吸収するというような描写はなかったはずだが、もはや原作から乖離しまくっている以上は、あまり信用できない。というか、原作通りに四魂の玉が妖力タンクになるとしても、四魂の玉が無事で俺だけ吸収されるという可能性もある。

 

 と、そんな感じで俺がちょっと焦っていると、さっきまで観察だけしていたはずの南の妖怪の妖力が、急速に近づいてくるのが感じられる。妖怪本体はそのままの位置で移動していないが、本体から分離する形で紐状の妖力が急速にこちらに向かっている。

 

『何かの遠隔攻撃系か? ストーリー序盤でこんな奴いたっけ?』

 

 俺が疑問に思って首を捻っていると、烏の方も接近する妖力に気付いたらしい。死体漁りを一旦中断して、警戒態勢をとろうとする。

 

 だが、

 

「グギャアアア!!」

 

妖気を帯びた紐状の何かが一瞬で通り過ぎたと思ったら、その間に烏は絶命していた。

さすがは、序盤敵キャラ。その弱さは、ストーリー途中で、原作の設定が微妙に矛盾することになるぐらいのレベルだ。文字どおりの意味で瞬殺された。

 

 と、俺が妙に感心していると、さっき烏を屠った紐状の何かがUターン。かごめの死体をグルグル巻きにする。

 

ヒュン!

 

 それらの紐は一閃すると、服ごとまとめてかごめの死体をバラバラにする。

 

 ちょ?! おまっ?!

 

 俺にも少しかすった。感覚器官がないので痛みはないはずなのだが、人間だったころの感覚で幻痛を感じる。

 

『どこのどいつだこんなことした奴は?! ちびったじゃねえか?!』

 

 俺の抗議に耳を傾ける奴なんていない。

 

 それどころか、俺をひっかいた紐は、俺をかごめの死体から摘み上げると、本体の方へと戻って行く。

 ついでに、かごめの生首も一緒だ。かごめの目玉がおれの方を向き、一瞬だけ視線が交差する。それはなんだか、恨めしそうだった。

 そんな目で見られても、俺にはどうしようもないだろうに。

 

 

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