なんだか四魂の玉に憑依してしまったんだが 作:nenenene
「ひああああああああああああああああああ!!」
女の子の嬌声が響き渡る。
ここは、結羅の巣。岩場の谷間に隠された髪の玉の内部。もっとも隠されたとはいっても、その直径は30mを超える。髪の毛を集めて、これほど大きなものを作り上げるとは、結羅ちゃんは、一体全体どれだけ多くの人間を虐殺したのだろう。
その髪の玉の中には、結羅のコレクションである人間の髑髏が、ゴロゴロと転がっている。その数は1千や2千ではきかない。恐らくは何万という数の人々が殺されているのだろう。原作では、結羅によるこの余りの残虐非道なふるまいを見て、現代の平凡な女子中学生であるかごめは、妖怪退治と、四魂の玉探しの旅に出るのだ。
そう言った意味では、逆髪の結羅は物語上、非常に重要な位置にいるキャラクターだ。原作において、犬夜叉とかごめはそんな強敵を二人で共同して倒すことによって、信頼を深めたわけだが、その二人はもはや死んでしまった。今では仲良く、結羅のコレクションとなって周囲の髑髏と並んでいる。あと何十日かすれば、二人の頭部も腐敗して、立派な髑髏になるのだろう。
「きゃあああ!! でちゃう!!! でちゃうううううう!!」
そんな残虐な景色の中、俺が何をやっているのかというと、結羅の強化だ。
先日の犬夜叉との戦闘から早くも一週間が経過し、結羅は完全に復帰したのだが、問 題は未解決のまま。
その問題とは、結羅が余りにも弱すぎること。結羅の柔肌は、先日の犬夜叉との戦闘ではあっさりと引き裂かれてしまった。また、原作と違い魂移しをしておらずダメージをもろに受けてしまう結羅は、非常に打たれ弱い。その上、本物の妖怪とは思えないほど妖力が低いせいで、鬼火櫛も威力がいまいち。さらに言うと、せっかくの鬼族の宝刀を持っているのに、剣術もそこそこ。(そんな結羅がなぜ、鬼族の宝刀を持っているのかというと、どうやら女の武器を使って、族長を誑かしたからしい。)
というわけで、総合すると、結羅はちゃん弱い。あまりにも弱い。こんなのでは、四魂の玉を狙う大妖怪が現れた時、なすすべもなく慰み者にされてしまうだろう。
というか、先日の戦いでも犬夜叉にその秘部を貫かれていた。
「ああああああああ!! 熱い!! 熱いよおおおおお!!」
というわけで、俺は今、結羅の強化中である。
具体的に何をやっているかというと、結羅の子宮の中に入って、その内側から結羅に妖力を放出しているのである。
美少女の内部に入って、中出しが出来て、俺は大変極楽。
結羅にしても、大変気持ちよくて、しかも簡単にパワーアップができる。
まさに、ウィンウィンの関係。
「いっちゃううううううううううううううううううう!!」
そう言うわけで、今日も結羅の嬌声が、隠れ家の中で響き渡る。
「!」
だが、幸せな時間は長く続かないもの。四魂の玉に憑依して感覚が進化した俺には、不躾な侵入者が現れたのがわかる。
そいつはかなり強い妖力をしている。
「ん?」
何だろう?こんな感じの妖力を持った妖怪に、依然あったことがある気がする。だが、どこでだ?俺は犬夜叉世界に来るまで、妖力なんて感じたことはない。ということは、こちらに来てから、こんな感じの妖力の相手に遭遇したことになる。
「誰だ?」
考えてみても、さっぱり分からん。
俺が今迄に遭遇した妖怪は少ない。まず、こちらに来てから最初に遭遇した百足の化物。次に、犬夜叉。そして、烏の妖怪。最後に、逆髪の結羅だ。
この内、結羅ちゃん以外はすでに死亡している。他の妖怪で俺の知っている者は存在しない。
何らかの蘇生アイテムで復活したのか?
俺がそう疑問に思っている間にも、その妖怪はどんどん近づいてくる。そして、結羅が張った“髪籠”に引っかかる。
“髪籠”は結羅が自分の住居の周りに張っている巨大な罠だ。直径30メートルの髪の玉を住処にしている結羅は、自身の住処の周りにも髪の毛を張り巡らせている。これは蜘蛛の巣のように機能していて、住処に近づく相手を捕らえて、殺してしまうのだ。
「!」
そんな髪籠に反応があったために、結羅もまた侵入者の存在に気付く。
「くすくす。久々の獲物ね。お楽しみはこれまで」
結羅はそういうと、自身の右手を子宮の中に突っ込んで、俺を取り出す。子宮から取り出した俺を名残惜しそうに見つめると、俺を骸骨の一つの中に隠し、侵入者の撃退に向かう。
タン!
結羅は、軽やかな音とともに地を蹴ると、左手に結ばれた髪を器用に操作して、住処の外へと出ていく。住処を形成している髪の毛の壁は、結羅が出ていくときだけ少しだけ開き、結羅の姿が住処から出るや否やすぐに閉じられる。
その姿は颯爽としていてカッコ良いが、少し、否かなり問題がある。先ほどまで俺とSEX(?)をしていたのだ。当然、結羅は裸だ。服を着ていない。ついでに言うと、結羅の股間からは愛蜜が滴り落ちている。
『いやいや!! 結羅ちゃん!! それはダメでしょ!!』
結羅がいなくなった今、俺の渾身の突込みに応える者はいない。
ヒュー。
風もないのに、寒い風が吹いた気がする。
まあでも、結羅の服はどうせ股上ミニスカート&ノーパンだし。服を着ていようといまいと、股間は初めから丸出しである。
結羅ちゃんには羞恥心というものが無いんだろうか?
いや、俺的には全然それでオッケーなんだが……。年頃の女の子がそんなんでいいのか?
閑話休題。
結羅が心配な俺は、その後を追って住処を離れる。それにしても、結羅が向かう先には、強力な妖怪のほかにもう一つの気配がある。こちらは妖力としてはかなり格が落ちるが、感じたことのない妖力だ。一体誰だろう?
そんなことを考えながら俺は妖力のジェット噴射で木々の間を抜け結羅を追う。もちろん結羅や侵入者達に気付かれないよう、ステルス状態でだ。それにしても、妖力を放出しながら空を飛んで、尚且つ妖力が外に漏れないようにするって、微妙に難しい。妖力の制御に気を取られて、木や石などの障害物にぶつかりそうになるのだが。
「うわ?!」
俺が障害物にぶつからないよう注意してヘロヘロ空を飛んでいたら、進行方向から何かが飛んできた。
当然俺は回避し、その物体は進路上に合った木にぶつかり停止する。
何だ?
俺がそう思って観察すると、それは緑色の妖怪だった。先ほどの侵入者のうちの、妖力が低い方。
それが弱々しく声を上げる。
「殺生丸様あぁ」
殺生丸か。犬夜叉の兄だったな。それで俺が、侵入者の妖気を昔感じたことがあることの理由に気が付く。犬夜叉の妖気にそっくりだったのだ。当然兄弟ならあり得ることだ。
うんうん。
疑問は氷解した。めでたしめでたし。
って、めでたしじゃねええ!!
なんで殺生丸が出てくるんだよ!? 原作であいつが出てきた理由といえば、犬夜叉の瞳の中に隠された鉄砕牙を見つけようとしてただけだろ! ここに犬夜叉は……
犬夜叉は……
あれ? 犬夜叉の髑髏って今は結羅ちゃんの巣の中だよね?
それを狙ってきたのかあああああああああああ!!
不味いぞ!! これは不味い!!
俺は焦る。なぜ焦るのかって? それは簡単。殺生丸が強敵だからだ。唯の雑魚半妖に過ぎない物語序盤の犬夜叉とは異なるのだ。殺生丸といえば、戦国最強(笑)の妖怪の一匹。その戦闘力は極めて高い。対して、結羅ちゃんの方は依然、パワーアップ作業が完了していない。
途中から、結羅への妖力注入作業そっちのけで、性交の方に夢中になってしまっていたからだ。しょうがないよね。俺は健全な男子高校生だもん。
うん。間違いない。
あんな美少女の生殖器内に健全な男子高校生を挿入すれば、性的関心に比重が移ってしまうのはやむを得ない。
うん。そんな訳で、結羅ちゃんがそんなに強くなっていないのは俺の所為ではない。この間、犬夜叉程度の半妖にボコボコにされたのにもかかわらず、碌に反省もせず、修行も特訓もしない結羅が悪い。
というか、逆髪の結羅には、原作でもアホウな行動が多々あった。明らかに遠距離戦闘型であるのにもかかわらず、ワザワザ接近戦をやって死んでしまうというぐらいに。
結羅ちゃんは、オッパイがでかすぎる代わりに頭の方は残念な敵女なのだ。
うん。という訳で、全部結羅が悪い。俺の所為じゃないな。これは。
と、俺が一人で自己完結していると、
「いやああああああああああああああああああああああああ!!! やめてええええええええええええ!!」
林の向こうから、結羅ちゃんの悲痛な叫びが聞こえてくる。