目が覚めた。
ぼんやりとした視界と、ハッキリとしている視界。その二つの世界が見えて、頭が少しズキリと痛んだ。
左手で顔ごと頭を抑えれば、しっかりと左手が見えた。
「おはよう、
「……パチュリー・ノーレッジ」
左目でしっかりと捉えた紫色の髪と古ぼけた本。そして眠たげで半分程しか開いていない瞳。
パタン、と本が閉じられて、その瞳が僕を見た。
「視界の確保はできているようね」
「ちょっと、魔法使い。私の診療所にオカルトなんて物騒なモノを持ち込まないでくれるかしら?」
「物騒っていうのは小さな刃物で肉体を引き裂く事を言うのよ」
「オカルトは意味も無くソレをやってのけるじゃない」
「意味なんて結果を得てから適当に付け加えればいいのよ」
方や眠たげな瞳で、方やニッコリと笑った表情で話し合いをしている永琳とパチュリー・ノーレッジ。
右瞼を落としてみれば、しっかりと見えている左目。天井のシミ、障子の些細な凹凸、木枠の木目、外を眺めれば竹の繊維、更には彼方先に飛んでいる鳥の羽ばたきまでしっかりと、見えた。
頭痛。
言葉通りの意味で見えすぎる瞳。魔術の力で能力を引き上げているのか、ともかく見えすぎている。
「安心なさいな。透過能力もなければ、目からビームも打てない、簡単なモノよ」
「むしろアナタはレンに何を求めているのよ」
「彼には何も求めてないわ。だから邪魔な眼球はスキマに譲っていたでしょう?」
「アレは譲ったというよりは彼女が勝手に持って帰っただけでしょ」
「それを容易く見逃したじゃない。譲ったのと同義よ」
互いに溜め息を吐いて、どうやらこの話は終わりらしい。
僕は何度かパチパチと左瞼を動かして、視界の調子を以前に戻そうとする。どうやら、見えすぎるままらしい。
鏡を見つけて見れば、そこには僕が映っていて、黒い右目と翡翠石にも似た左目が僕を見ている。左目を見れば更に濃い翠色で円形の何かが描かれている。コレが魔術式なんだろう。
「ぱちぇ~、まだ入っちゃだめなのぉ?」
「まだよ」
「う~!! う~!」
障子の向こうからフランの声が聞こえた。障子にも向かずに制止の声を出したパチュリー・ノーレッジ。障子の向こうから唸り声が聞こえたと同時に永琳が吹き出した。
その吹き出した永琳をジトリと見て、コホンとわざとらしい咳をした永琳は一冊の本を取り出した。
「はい、これをあげるわ」
「……?」
渡された本を開いてみても白紙。次の頁も白紙。白紙、白紙、白紙、白紙。
「日記を付けてほしいの」
「ハッキリとカルテを書けって言えばいいじゃない」
「建前は必要でしょ?」
「本音だけで十分でしょう」
白紙の頁に僕の日常を書けというのか。別に状態を確認すればいいだけなのだから永琳が書いた方がいいだろう。
「私の影響で視界が見えなくなったでしょう? 患者目線で様子を知りたいのよ」
「……わかった」
「そう、よかった。 情事の内容は事細かに書いてもいいのよ?」
「……今、この子がココにいる事に不安を覚えたわ」
「何よ。私はまだ何もしてないわよ?」
「ナニをしているか否かの問題ではなくて……まぁ、仕方ないと言えば落ち着くのかしら」
「先に言うけれど、あげないわよ」
「あぁ、そう、残念でもなんでもないわね」
頭に手を置いて溜め息を吐きだしたパチュリー・ノーレッジは改めて僕を見て更に溜め息を吐きだした。眠たげな瞳を伏せて、あたかもご愁傷様と言わんばかりに。
「ぱちぇぇ」
「えーりぃん」
「増えてる」
「なんで増えるのよ……もういいわ」
カラリと障子が開けられ、吸血鬼は情けない顔を一転させて晴れやかなモノへ。輝夜は変わらずケラケラと軽い笑いを浮かべている。
「レン! 久しぶり!あ、えっと……お久しぶりデス。この度は、」
「もうその挨拶は終わったでしょう?」
「あ、えっと……うーん、いいや!」
「ハァ……」
またパチュリー・ノーレッジが頭を抱えた。その様子を永琳と輝夜は笑っている。
ジィ、っと僕の顔を覗き込んでいるフラン。真っ赤な瞳が僕の前で揺れる。
真っ赤な瞳……? 何か引っ掛かりを覚えて、それが流れて消える。
「レン、左目どうしたの?」
「……義眼」
「そうなんだ! とってもキレーだね!!」
義眼の経緯を深く聞かずに、ニパッと笑うフラン。その顔を見ていると、自然と笑みが溢れ、顔が歪む。
「……ありがとう」
「ッ! レンにお礼を言われた!!」
「……珍しい?」
「違う! 嬉しいんだよ!! ありがとう、なんて久しく聞いたわ!」
「むぎゅ」
僕に文字通り飛びついて笑いながら抱きしめてくる。視線をズラせば鼻元を抑えた永琳と輝夜、そして至極面倒そうに溜め息を吐き出しているパチュリー・ノーレッジ。
「その目もとっても素敵だよ! レン!!」
ともかくとして、誰かフランの力を弱めて欲しい。流石にミシミシと体が軋む音が聞こえているのだから。
「薬の時間よ」
書いていた日記を見返し、十分だと思い閉じた。
障子を開いて顔を覗かせている輝夜。変わらずに月を背負っている彼女はニッコリと笑顔を作っていた。
「今日の薬は私の脚から摂取しないといけないの」
「……そう」
僕の近くに座り、するりと脚掛けをはだけた輝夜。白く細い足が露わになり、整った素足が僕のに向けられる。
浮かしている状態だと辛いだろう、と思いその足を下から手で支える。
親指が舌先に触れて、ゆっくりと口に含む。彼女の足に付着しているらしい薬を削ぐために舌を這わせて吸い付く。
指と指の間もしっかりと舌を伸ばしこそぎ落とす。
「フフ、クッ……ヒヒ」
どこか上擦った輝夜の声が聞こえた。僕はそのまま足の指から足の裏、土踏まずのところに舌を這わせる。
輝夜の足が突然動き、僕の行動に抵抗した。
「ひひっふ、ご、ごめんフヒャ」
「……」
「擽ったくて、蹴飛ばしてはない?大丈夫?」
くすぐったい、というのなら、舐めるのはやめよう。
唇を小さく開いて土踏まずに当てる。そのまま喰むように甘噛みをして薬を舐めとる。
何処か甘く感じる。
果物の様な甘さではない。かと言って、砂糖の甘さでもない。不思議な甘味。
一頻り、足を舐め終わり、
チラリと輝夜を見れば真っ赤になって顔を手で隠している。止めてない、という事はこのまま続行してもいいんだろう。
ふくらはぎを揉みながら舌を進める。
足と足の間に体を割り入れて、太腿に舌を這わせる。
甘味が消え、塩っぱい味が舌に触れる。
輝夜の手が僕の頭を抑えた。
「……何?」
「いや、その、その先に進むのはなんていうか、その、あの」
「……治療の為」
「あぁ!もう! 変な掛かり方になってる!?」
掛かり方?
何にしろ、輝夜が最初に言ったのだから、しっかりと舐めとらなくてはいけない。
何しろ、輝夜が言った事なのだ。
そのまま、抑える手を退けて股間部分に顔を寄せて舌を這わせる。
割れている肉に舌を寄せて、割入れる。吸い付いて、舐る。
僕の頭を変わらずに抑えている輝夜が舐める度に声を出している。何かを我慢するように、何かに耐える様に。
割れ目から液体が溢れてくる。
舐め取れば更に奥から溢れ出てくる。やや甘く感じれる液体を嚥下して、溢れるソレを穿る様に舌で出していく。
「ッッゥゥゥ!!」
輝夜の声が聞こえ、そして足に頭が挟まれる。
上手く身動きも取れなければ、呼吸もうまくできない。
ビクビクと太腿が動き、それが止まり、更にドプリと液体が溢れて来た。
緩んだ拘束を無視して、僕は更に舌を伸ばしていく。
「
輝夜が何かを呟いた、頭がぼんやりとまどろむ。
どうしてこんな状態になったのだろうか。
どうして、何があったのだろうか。
僕を足の間から追い出して、輝夜は溜め息を吐いた。
僕はドサリと力なく畳の上に横になっている。うまく力が入らない。
「あぁ……まさかこんな事になるなんて……はぁ。 中々うまくいかないモノね」
何を言ってるんだろうか。
何を喋っているのだろうか。
「まさかイかされるなんて……いや、でも気持ちよかったけど、いやいや、でも、けれど、
しかし、私も皮肉ね。催眠の鍵をこの言葉にするなんて。何処かの韓流スター似じゃないんだから。まったく、これじゃ私が厨二病患者みたいじゃないの」
輝夜が僕を見下す。
ぼんやりとした視界の中、輝夜が僕の目の前で手を振っている。
「うん? ありゃりゃ、しっかりと私を見てるって事は意識があるのかな? でも前は大丈夫だったし……あぁ、この瞳が原因ね」
ふむ、と何かを考えるように制止した輝夜。
そして、何かを思いついた様に言葉をつなげる。
「今から手を叩くわ。叩けば今日の夜にあったこと全てを忘れて、アナタは心地いい眠りに付く。いいわね?」
それじゃぁ、おやすみなさい。
パンッ
蓬莱山輝夜
女性。黒く長い髪。コロコロ笑う。悪戯好き。お姫様。
八意永琳
女性。銀色の髪。後ろで結んでいる事が多々。笑う時は稀。薬師。
パチュリー・ノーレッジ
女性。紫色の髪。本を所持。眠たげな瞳。魔法使い。
フランドール・スカーレット
女性。金色の髪。呼び名はフラン。真っ赤な瞳。吸血鬼。
日記の端書より抜粋。
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アトガキ
猫毛です。
ようやくレン君に日記を渡すことが出来たので、こうしてアトガキ部分に彼の端書をカリカリ書いていく事にします。まぁ、登場人物の説明だと思って頂ければいいと思います。
今回もクソみたいなエロ描写を書いてしまった事を深くお詫びいたします。うまいエロなんて書けねぇです。ハイ。もう一層の事、エロ部分全部消して一般に移行とかしたほうがいいんじゃね?なんて、どうせグロの方でR18登録です、本当にありがとうございます。
小説説明文にもエロはほんのりって書いてますから、いいですよね?うん。
そろそろ永遠亭編は終わらしますか……治療らしい治療も終わりましたし。