「こんばんは、初めまして、久しぶり、ワタクシ、八雲の紫と申します」
逆さまの顔が口角を釣り上げていた。
落ちている僕が逆さまなのだろうか、それとも目の前の彼女が逆さまだったのだろうか。
果たして僕がソレを知る事は永遠に無い。
目が覚めた。
ソレは古ぼけた小屋だった。
私にとって見覚えがあり、そして僕にとっては少し豪華と思える程度には普通な小屋だった。
私、という存在。いつの間にか、というべきか、つい先程意識が浮上して、同時に理解した存在。
僕の中にいる私。私の外にいる僕。
二人で一人、という訳ではない。私は既に僕に溶けきっているのだから、これは歴として僕であり、残念な事に私では無いのだ。
開き難そうな扉がガタガタと音を立てて開いた。
立っていたのは金色の髪を垂れ下げて、不思議な帽子を被った女。その目は僕を見ている。その瞳は私を見ていた。
少しだけ口を開いて、また閉じた。まるでおそるおそる、何かを確かめようとするように。
だからこそ私は口を開いた。
「―おかえりなさい、紫」
同時に僕の声が響いた。
私は彼女の事をよく知っていたけれど、僕は彼女の事を一切知ることはない。
僕と私の境界なんて、意外にも強固で、そしてあやふやだ。
「何が……何がおかえりよ……!!」
「いひゃい、いひゃい」
「この、勝手に死んで、勝手に殺されて……」
私の頬を抓りながらも紫が泣いている。それは私にとって見覚えのある顔だった。僕にとっては初めての顔にもなる。
だから紫の為に私は彼女の頭を抱いて、僕の胸板へと置いた。いつもの様に頭を撫でて、初めて髪を梳いた。
「アナタだって、勝手に私を蘇らせたくせに」
私は後悔している。僕は悔いてもいない。
僕を私が支配しようとしている事に。僕が私に支配されようとしている事に。
先に伸ばせば、きっと私と僕は混ざり合う。その事を紫が知らない事は無いだろう。
だからきっと紫は僕を消そうとする。私がそうはさせない。
「ねぇ、紫。私はレンという名前らしいわ」
「ッ。大丈夫、大丈夫よ。直ぐにそんなヤツ消しちゃうから」
「ダメよ。そんなに怖い顔をしちゃ。笑顔で在り続けろとは言ったけれど、怖い笑顔はやめなさいな」
変わりに私が紫の頬を抓った。僕は紫の変な顔に少しだけ笑った。
「ねぇ、紫。私は幸せだったわ」
「これからも幸せよ」
「えぇ、でもソレは私でも僕でも無いと思うの」
「…………それでも」
「ねぇ、紫。僕は幸せではなかったのよ?」
「それは……」
「えぇ、アナタの責任ではない。勿論、僕の責任でもなかった。けれど、幸せになる権利はあるのよ」
そこまで言えば、紫は顔を思いっきり顰めた。きっと思っている事は、『あぁ、また始まったよ。』だ。無表情であっても、胡散臭い笑顔を浮かべていても、紫は紫だ。
私の愛しい人。
「ねぇ、紫。だから、私を諦めてほしいの」
「いやよ」
「……えっと、だから、この子にも幸せになる権利があると思うのよ」
「ええ」
「だから私が存在すると駄目なのは、分かるわよね?」
「勿論よ。一つの器で二つの存在を保存し続けるのは消費しすぎるのよ」
「だから、ね? 紫、私の事は」
「いやよ」
あぁ、もう。可愛いなぁ。
なんて思ってしまう私は大概にオカシナ存在なのだろう。僕からも冷たい視線を感じてしまう。
「だって、彼を残せばアナタは死んでしまうでしょう?」
「うーん、そうでしょうね」
「なら、絶対に嫌よ」
「……わかった」
「え?」
「え、ちょ、レン君? おーい」
僕の存在がゆっくりと落ちていった。私の存在が表に出てくる。
いやいや、レン君。それじゃぁ駄目なのよ。私がここを引かないと。
え? 眠い? いや、精神世界で何言ってるのよ。
「ハァ……手の掛かる子供が増えた様な気がします」
「私は手の掛かる子供じゃぁなかったでしょう?」
「十二分に手に余る子供でしたよ、紫」
私が笑えば、紫も笑う。
そのまま唇が近づき、ゆっくりと当てられた。軽い接吻。そして熱い舌が唇に這う。
従う様に唇を薄く開けば、隙間を舌が潜り、私の小さな舌を舐る。
唾液を啜り、そして紫から唾液が垂らされて、甘い唾液を嚥下する。
「はぁ」
「紫、キス上手くなりましたね……浮気ですか?」
「ここ何年も交わって無かった私にそんな事を言うの? アナタだけよ」
私の二の句を告げ出せない様に唇が塞がれる。
熱い舌が口内を駆け巡り、上顎を撫でられる。歯の一つ一つを舐られて、彼女の唾液と私の唾液が混ざる。
このまま犯されるのも一興だけれど、私だって今は男なのだ。このいきり勃つ肉棒を彼女の肉壷へと収めたい生物なのだ。
レン君、眠ってなさい。アナタには少し早い世界です。後で私が絵本を読んであげますから、寝ててください。
内心で同居させてもらっている宿主を眠らせて私は紫の胸に手を伸ばす。
服の上からでもわかる柔らかさを感じながら、手に力を込める。
「んふぅ……」
接吻をしながらも鼻から甘い息を漏らした紫。
私の行動から察したのか、服を脱いでくれる。最近の下着ってこんな感じになってるんですね、なんて口には出さなかったけれど、当然の反応だったと思う。
パチン、と金具を外し、ボロンと出てきた白い水蜜桃。柔らかさは先程触って知っていたけれどソレでも尚更に柔らかいと思わせる。
「……大きくなりましたねぇ」
私の言葉に紫は眉間にシワを寄せました。風情のへったくれも無い、そんな言葉を思わず口から出てしまった私は苦笑しながらその桃を手に取った。
甘い蜜は出てこないけれど、しっとりと手に吸い付いて、熟したように柔らかい肉房。
甘い蜜の変わりと言っては何だが、紫の口から先程から甘えた様な声が漏れている。
鼻から抜けるような声、その声を聞きながら桜色の先を少し強く抓る。
「ヒンッ」
高い声で鳴き、背筋を伸ばした。
おっぱいを続けて揉んで、先っぽを口に含んで舌でクリクリと動かせば、私の頭を抱くようにして紫が痙攣する。
息が出来ない。
力が弱まり、顔を離せば荒い息をしている紫の顔が近くに見えた。
口から溢れ出た唾液をペロリと舐めて、軽い口付けをする。
はて、この直立したソレをどうしようか。
僕の記憶を辿って見ても、どうもコレを収める術は見つからないし、私の記憶を辿ろうがこれでも元女。まぁ仕方ない。仕方ない。
僕が着ていた着流しを脱いで、紫の足の間へと入る。幸い、捲ればそのまま付け根が見え、更に言えば下着から溢れんばかりに水が滴っているのだ。
「これなら、大丈夫よね?」
一応、疑問として聞いては見たけれど、紫は荒い息でコチラを向いている。首を横に振っているような気がしたけれど、そんなものは気のせいだ。第一、私を半強制で蘇らせた悪い娘には仕返し、ではなくてお仕置きをしなくてはいけない。
私は年の割には大きなソレを紫の蜜壷へと押し込んでいく。
ズブズブと入り込んでいく肉棒。同時に先端から熱い肉に揉まれる様にして血流が激しく鳴る。
ジュブリと液体が垂れて、肌が触れ合う程奥へと入れる事が出来た。
「何、これぇ……?」
頭がじんわりと白く染まっていく。
初めての快感に戸惑ってしまう。肉壷が先端をキュッキュッと締め付けて、動いてもいないのに脈動で動かされ続ける。
天井を向いて、口を半開きにしてしまう程強い快感。
「よくも、やってくれた、わねぇ」
「ひぅ!?」
むくりと紫が起き上がり笑顔をコチラに向ける。ソレは明らかに怒っている表情だ。
だから表情だけの笑顔はやめなさいと。
グチュリ。
「ひぐッ」
紫が自身の腰を動かし、当然ナカへと入っている私も責め立てられる。
したり顔の紫。その紫に対応するべく、腰を引いて、そして押し出す。
パチュン、と情けない肌と肌が打ち付けられる音とカリの部分が擦れて何も考えれなくなってしまう。
この快感を続けて欲しくなる。
私は腰を打ち付ける。
「あら、どうかしたのかしら? まるで猿のようじゃない」
「えへ、あはぁ、」
紫の言葉は聞こえたけれど返す余裕など無い。
しっかりと腰を足で掴まれて、腰も動かせなくなってしまう。
涙目で紫を睨みつければ、ニンマリと笑顔を作った紫が私の頬を撫でる。
「中で、中で出してね」
「―――」
またパチュン、と情けない肌の打ち付ける音が響いて、私は何かを紫の中へと吐き出した。
~~
「……」
「……えっと、その、すいません」
「……いい」
「そう言ってもらえるとありがたいです」
「……で、どうする?」
「どうする、と言うと?」
「……私はどうしたい?」
「私はこのまま消える事を望んでます。もちろん、アナタの悪影響を考えて」
「……でも、僕は生きれない」
「私の存在がわかっているのですから、紫も私だと思って接する筈ですよ」
「……じー」
「とにかく、私はコレ以上ここにいてはいけないのです。 一応、死人ですからね」
「……じー」
「……だって私が居るとアナタが表に出る時間が少なくなるんですよ? ダメでしょ?」
「……いい」
「ほらだから私は……え?」
「……構わない」
「じゃぁ、アレです。ゆっくりと慣らす事にしましょう。僕の次は私、私の次は僕。こんな感じに代わる替わる」
「……わかった」
「それと、精神世界でも夜はキチンと眠ること! イイですね!!」
「…………じー」
「イイですね!!」
「……わかった」
~~
「と、紆余曲折ありまして、ここに残れる事になりました」
「やったね紫! 家族が増えたよ!」
「紫、年を考えなさい、年を」
「私はいつだって永遠の××歳だから大丈夫なのよ」
「××歳と何百ヶ月ですか……全く」
思わず溜め息を吐いてしまう。
僕に甘えている私。僕はというと精神世界で私の知識を貪っている。表に出てきた時は紫に良くしてもらっている様だ。
紫の式だという狐さんからお茶をもらいそのお茶を啜る。
「この日常も幾許の夢なのでしょうね」
「
「いいえ、藍ちゃん。何でもありませんよ」
私はお茶を啜る。
いつかの様に紫の前から去る事はないだろうけど。別れの時は必ず来る。
その時、私は僕でもなく、僕は私でもないモノになっているだろうけれど。紫はソレを愛してくれるだろうか。
殺すとなると、贄殺しとして面倒を被るだろう。
「ねぇ、紫」
「何かしら、縁」
「……いいえ、なんでもありませんわ」
笑顔を取り繕う。
あの時の様に、笑顔を絶やす事なければ、きっと事態は好転してくれるだろう。
「……藍ちゃん! 見てください! 茶柱が立ってますよ!」
「そんな子供みたいに喜んで……」
苦笑する狐さんに笑顔を振りまいておく。
茶柱も立っているのだ。
「きっとイイ事が起こりますよ」
BADEND1《僕と私》
ヒント:確率で入るルートだから仕方ない。
セーブデータを消して、もう一度『ニューゲーム』だ!
~~
八雲の
ユカリさんを拾ったり名前で縛ったりした人物。なお紫さんは名前で縛られた事に気づいてない模様。
前話とかで出てきた魔法陣
贄が入った瞬間にその魔法が発動する。術式に封印されていた人格を強制的に被体者へとブチ込む
バッド?ハッピー?
レン君として生きてないからハッピーでは無い。けれど、バッドと言われると少し困る。
私的にはもっとチガウモノを書きたかったけれど、いつの間にかこんなのになった。