百合要素は無い
コスプレの描写も無い
エロも無い。
誤字訂正
推敲→崇高
ご指摘に感謝を
レンは瞼を上げた。
飲むなと言われていたのに飲酒してきた早苗に抱かれて早数時間。
「いっま、帰りまっしたよぉー。 うっへっへっへ、レンしゃーん。眠ってるんですかぁ。 ぐへへ今なら何をしてもバレないんですって。いやん、東風谷早苗ダメよ。まぁ待て早苗、まだ焦る時間じゃない。いいや、もう我慢の限界です。ふーう! どーん!! アッハハハハ。…………。ここまで反応がないと死んでるか迷っちゃいますね。メディックッ!! 何!? 人工呼吸だって!? うへへ、眠ってる相手になんて、いいえよく考えなさい、早苗。彼は私のキスできっと起きるのです。さぁ! 今すぐにキスをすべきなのです! あぁ神様、わかりました。 んちゅ~」
なんて酔っ払いの一人芝居をして彼の唇に計十三回。頬に二十七回キスをした早苗は「ここがええんやろ、ええんやろ?」と言いながら着流しから手を差し込んで彼の肌を触れて耳を甘噛みして満足したのか、それとも体力が尽きたのか眠りに落ちた。
朝日が昇った事を確認して瞼を上げた彼は溜め息を吐いて早苗の拘束から抜け出した。
立ち上がり、乱れた着流しを整えて、彼は自分の日記を開いた。
何度かページを捲り、次のページが白紙である事を確認して彼は白い息を吐いた。窓から見上げた空は朝焼けで赤く染まっていた。
「いやぁ、今日もいい天気ですねー」
「…………」
「ところでレンさん」
「…………何?」
「どうして今日は微妙な距離があるんですか?」
「……」
早苗が一歩近寄る。レンがに二歩後退る。早苗が二歩寄る。レンが四歩退く。
今朝、というか深夜にあれだけの事をしておいて彼女は未だに自分に信用とかそういう類のモノがあると思っているのだろうか。いや、というよりも件の出来事を覚えていないだろう早苗は離される距離に疑問なのだろう。
何かを思ったように、両手を大きく横に広げてジリジリとレンを追い詰めていく早苗。レンもジリジリと後退るが背中に感触。行き止まりである。
「やー!!」
「……わっぷぃ」
「捕まえましたよぉ!! どやぁ」
と満足げにそのおっぱいをレンの顔に押し付けながら頭を撫でて文字通りドヤ顔をする早苗。押し付けられているレンは抵抗虚しく拘束されてしまった。
うりうりと頭を撫でているとべちべちと手が叩かれて、ハッと何か気付いた様に胸からレンの顔を開放した早苗。
レンは大きく息を吸って、吐き出した。ジト目で早苗を睨んで、早苗は空笑いをして視線を逸らした。
早苗はもう一度レンの頭をくしゃりと撫でて、それが心地よかったのかレンは瞼を閉じて抵抗することも無く撫でられている。
「さて、どうして引かれてたのか聞きますよ」
「…………」
「あぅ、またジト目に……」
撫でられつつもしっかりとジト目で睨んだレン。当然の事ながら撫でられ続けているので怖さが半減どころの話ではなくて明らかに逆のベクトル作用になっている。つまるところ単なる萌え要素みたいなモノだ。
イケナイ思考を持ち合わせたお姉さんとしてはここでガツンとエロエロな方向に持っていきたい所なのだけど、生憎な事に早苗はイケナイ思考を持ち合わせてはいるけれど乙女成分の方が多いのだ。婦女子(誤字ではない)である早苗がエロエロな事なんてする筈がないのだ。ないったら、ない。
「あぁ、そうそう。アリスさんの所に行くんでしたね」
「……うん」
今までの話をなかったことにしようと、早苗は話を切り替える。なかったことには出来ないだろうけれど、レンのジト目を止めさせる事には成功したようだ。これ以上ジト目だったならば、早苗は耐えれなかっただろう。何に、とは決して言わないが、主に理性的なモノが。
そんな語られる事のない勝者である理性軍が
しっかりと風で飛ばされない様にレンを抱きしめた早苗。土埃を耐えるように薄く目を開く。
「
ブワリと風が止み、渦巻く庭の土、そしてその中心に天を指差す文字通りの変態、射命丸文。キャーアヤサーン。
天を指差すその指に雷が落ないだろうか。同じく変態を気取っている早苗ですらそんな事を思ってしまった。対してレンはその格好に少し目を輝かせているのだけれど……。
ともあれ、しっかりと土埃を払った早苗がようやく変態に向かって口を開く。
「帰れ」
尤もな言い分だった。
天を指した指をそのまま前に突き出して、指を横に振る。チッチッチッと舌打ちも忘れない所、どうやら一連の動作が決まっていたようだ。
珍しく敬語も忘れた早苗の額に青筋が走る。
「甘いですよ、東風谷早苗さん」
「いや、もういいから帰れよ」
「例え、箝口令が出されていても、機密文書でやり取りしていても、モールス信号だったとしても、レンさんのコスプレ会を私が見逃す筈ないでしょうがッ!!」
早苗はひたすらに眉を寄せた。面倒臭いとかそういうのじゃなくて、ただ単に鬱陶しさから。
溜め息をしっかりと、分かるように吐き出して早苗は気持ちを落ち着ける。今日の夕飯は焼き鳥にしよう。そう心を決めて。
「別に秘密にはしてないですよ」
「あぁ、そうなんですか。まぁ別に秘密にされようとレンさんの行動は見ているので追っかけて盗撮しますけど」
「……」
早苗は目の前にいるベテランストーカーに頭を抱えた。こういう時はドコに言えばこのストーカーを捕まえれるのだろうか。お巡りさん? 残念、お巡りさんは現世で仕事に追われてます。
改めて早苗は思考を巡らせる。落ち着いて目の前の存在を見ていればフツフツと湧いて出る何か、いやいやそうじゃない。と何度か思考をループさせてしまう。
そんな頭を抱える早苗に一言、黒い翼の変態は耳打ち。
「レンさんのコスプレ写真が保存出来ますよ」
「文さん、一緒に行きましょう!!」
「流石、東風谷早苗さんです!」
「…………」
鉛筆の芯よろしくすぐに折れた早苗。その早苗を唆した悪魔は笑顔で早苗と握手をしている。尤も、二人共内心ではあくどい笑みを浮かべているのだけれど。
耳打ちは聞こえてなかったレンはそんな二人を見上げて首を傾げた。
「うわ、なんか増えてる」
というのがアリス・マーガトロイドの第一声だった。増えてる扱いされていた文はニコニコとしてそんな言葉を聞き流した。
その様子にあぁ、コイツも変態だったか、と適当にあたりを付けたアリスは即座に思考の端に射命丸文を追いやった。頭のいい選択である。
コホンと咳をして、スカートの裾を摘まみ上げ、綺麗に礼をとったアリス。
「ようこそ、私の館へ。ゆっ」
「ゆっくりしていくといいぜ」
「…………」
アリスの後ろから魔理沙が顔を覗かしてアリスの言葉に被せた。被せた瞬間にアリスの口角がヒクリと動いたけれど、気のせいにしておこう。
館というには小さい家の扉の奥を覗けば色とりどりの服が並べられている。その服の量に思わず感嘆の声を出してしまった早苗。
「凄いですね……あれから三日しか経ってないですよ」
「私が作ったのは精々二着程度よ」
「あとは?」
「さぁ? いつの間にかあったわ」
「……奇跡ですね!」
グッと拳を作った早苗と溜め息を吐き出したアリス。魔理沙は椅子に座って紅茶を飲みながら「どーせ、スキマが原因だろ?」なんて言っている。
そんな経緯はどうあれ、結構な量の服が揃ってしまった訳である。文はフィルムの残量を気にし始め、魔理沙は椅子をカタンカタン言わせて行儀悪く座り、早苗はこれから始まる着せ替えに心を躍らせ、アリスもどこか着せ替える事に楽しみを覚え、そんな被害者である着せ替え人形は相変わらず無表情で上海人形を抱きしめていたりする。
~セリフだけをお楽しみください~
「さて、じゃぁみんな出て行って」
「何でなんですか!! 私はレンさんを写真に収めるという崇高な目的が!!」
「それは着替えてからでしょう? 着替えまで撮るつもり?」
「
「お前は絶対に家に入れないわ。魔理沙、よろしく」
「へいへい」
「待ってください魔理沙さん、私とアリスさん、一体どちらがアナタにとって利益になるか落ち着いて考えてみてください」
「考えなくてもアリスだろ」
「神は死んだッ!!」
「元から生きてる物体でもないんだぜ」
「さて、じゃぁレンさん。お着替えしましょうねー」
「アナタも出て行きなさいよ」
「いえいえ、私にはお姉さんとしても矜持がですね……」
「あぁ、ということは着替えメンバーに入ってポーズまで決めた彼を日の当たる所で見れないのね、かわいそうに」
「外であの変態を止めてきます!!」
「矜持はどこへ行ったのかしら……まぁ、いいけれど」
「……」
「さて、ちゃんと鍵も締めたし、カーテンも閉めた。さてと……まずはコレとかいこうかしら」
「…………何?」
「あの子の言ってたゴシックロリータ。確か水銀何だとかの服だそうよ。どこからか持ってきたのかしら」
「…………」
「じゃぁ、服を脱ぎましょうね……あら、履いてなかったのね……………………ふむ」
「……」
「あぁ、失礼。凝視されると嫌よね。うーん、しまった。いくらスカートが長いからって履いてないのはダメでしょうし。あの変態の事だからスカート捲りをしないとも言えない……。けれど女性物の下着を履かせる訳にもいかないし……いや待て、敢えて履かせてはどうだろうか。うむ、我ながら完璧じゃないかッ!!」
「…………」
「そしてコレを着せて、いや違う。ここはゴスロリじゃない。ホットパンツ……いや半ズボンで男の子らしさを出すか、いや、私は何を言ってるの……
女性下着を履かせたんだから、スカートだろ!」
「…………」
「ここはいっそストレートに白いワンピースでも着せるか……
麦わら帽子も被せて……ふむ。ちょっと一回転してみて?」
「…………」
「ふむ……まぁ一着目だし、そこまで力を入れる必要はないか」
「……一着目?」
「安心しなさいな。やるからには、徹底的によ!!」
~~
人形師としての何かが滾ったのか、はたまた服飾好きがダメな方向に成果を出してしまったのか。
かくして、文章では表しようがない服装の数々、尤も自分と同じ格好をさせたいという風祝や普通の魔法使いやスキマ妖怪のお陰である程度は想像できる範囲で色々と着用させられたレン。
どことなくゲッソリしているのだけれど、今も最初に着た白いワンピースを着て、机に突っ伏している。ぉぉ……とうめき声まで上げているあたり、本当に疲れたのだろう。
対して満足げに談笑している早苗とアリス。魔理沙はレンの背中を摩っている。
「さぁて、じゃあ私は写真の現像がありますので」
「初めてアナタが居てよかったと感じたわ」
「その気持ちが写真の現像が終わっても続く事を願いますよ」
「さて、どうかしら?」
クスクスとアリスは笑い、文は肩を竦めて席を立つ。
その服の端を掴まれる事で文は視線を下にずらした。服を掴んでいたのはワンピースを着たレンである。
「どうかしましたか? まさか攫ってほしいとか!?」
「私が許すと思ってるんですか?」
「HAHAHA、まさかそんな」
「……写真」
「ん?」
「……僕も、ほしい」
しっかりと文の目を見て言ったレン。その言葉に何か感じたのか、文はレンの肩に手を置く。
「自分の写真でオナニーはダメですよ?」
「何言ってんのよ!! 馬鹿? 鳥頭なの!?」
「私の使用用途から見た正しい考察です。私は至って真面目ですよ」
「余計にダメじゃない!!」
「おー怖い怖い」
飛んできた人形をいなして、文は外へと飛び出た。黒い羽が空に舞って、地面に落ちる。
ゼーハーと息を整えるアリス。そんなアリスを見ながら「これがいつも通りなんだぜ」と付け加えて見せた魔理沙はやはり住人の扱いになれているのだろう。
今回の話と前話が難産過ぎてヤッツケ作業になった事を謝罪します。
申し訳御座いません。
コスプレ描写をしないのは謝りません。
エロい人には見えないんです。シカタナイネ。
服の描写って結構面倒なんですよね。それこそ、パンチラもなければスカート捲りも発生しない物ですし。
途中でスキマ様がチラリと出ているけれど、気にしないでください。自分の服とか藍様の服を着せたかっただけです。
キャーアヤサーン