サイレントエロなのは確か。なんたって鍵括弧が入ってないんだもの。
誤字脱字訂正しました。
自信というよりも、自身を取り戻した慧音が嬉々としながら帰り数分後、水滴が屋根を叩き、それが連続し、いつしか辺りは暗くなって雨になった。
「……雨」
「そうね」
随分とゆったりとした空間にレンの言葉が響いた。
雨の音が響き、レンが覗いている窓に水滴が付着する。暗くなった外のお陰で、レンの顔がガラスに映る。その顔は相変わらず無表情だ。
そんな様子にふぅ、と息を吐いてお茶を飲み込んだ幽香。
そういえば、彼を逃したのはこんな雨の日だったけ、と思い出して苦笑する。
同じ日、とは言えないけれど、こうして雨の日に出ていき、帰ってきたレン。随分と運命的な事を思ってしまった、と幽香は恥ずかしさを隠すためにお茶をさらに飲み込んだ。
「……雨、
「え?」
まるで音を楽しむ様に瞼を落として、コツコツと鳴るガラスを微笑みながら聞いているレン。
幽香は疑問を感じた。感じた疑問は引っかかったけれど、人間の趣向なんてものはすぐに変わるモノだ、と考え直した。
けれど、あの雨の日。レンがどうしてか乱れて自身を求めていた日が脳裏にチラついて離れない。
おいおい、自分は欲求不満だったのか? なんて冗談めかした考えが浮かぶ幽香。
そんな幽香の唇に柔らかい感触。
閉じていたらしい瞼を開かずとも、これが誰かはわかる。
なんせ、今この家にいるのは家主である自身と彼だけなのだから。
唇から感触が離れて、ようやく幽香は瞼を開く。口が半開きになったレンが視界に映った。
半開きになった口の中から赤い舌が覗き、そしてまた幽香の顔に近づいて唇の端をぺろりと舐めた。
そのまま頬へ移動してペロペロと幽香の顔を舐めているレン。幽香はくすぐったそうに笑い、レンの頬を両手で包むように捕まえた。
「どうしたの?」
「…………」
そうして幽香は訪ねたけれど、レンは何も答えずに微笑む。花が綻んだような笑みではなく、何かを思い、それを隠す様に、微笑んで幽香の口に近づき、ペロリと唇を舐めた。
幽香が舌を少し出せば、ソレをペロペロと舐めて吸い付く。舌から唇が離れれば、次は幽香が彼の舌を舐めて、吸い付く。
いつしかそれは幽香がレンに、レンが幽香にではなくて、どちらもが絡めてどちらもが吸い付いている、そんな状態になった。
両者の唾液が絡み、嚥下して、また絡ませて、ようやくレンが大きく息をするために離れた時には二人の口に銀色の橋がかかり、それがプツンと切れた。
椅子に座っていた幽香の膝に座る形になり、レンは幽香の服に手を伸ばした。
首の黄色いリボンをするりと外して、ボタンを一つずつ外していく。
雨音と、レンの呼吸音。自分が為すがままになっている状況、けれど奉仕されているという自覚はある。
ボタンが外れて、レンの前に肌色が広がる。自身よりも強いことも理解しているし、自身が力を入れたところで目の前の肌色に傷なんて出来ない事も知っている。けれども、まるで壊れ物でも扱う様に、レンは恐る恐る肌色に触れた。
レンの冷たい手が幽香の腹部に触れた。触れられた事と冷たい感触に思わず上ずった声が出てしまった幽香。その幽香をレンが見れば、幽香はフイッと顔を背けた。
そんな幽香に苦笑して、レンは頬に口付けを落とし、口をそのまま首に当てる。
手は腹部を撫でて、上へと移動し、豊満な果実へと到着する。張りのある果実を揉めば指が埋まる。けれどもしっかりと押し返してくる。
レンが顔を近付ければ強い花の匂いがした。甘く、濃い、蕩けるような匂い。
レンに嗅がれている事に気が付いたのか、幽香はレンの頭を撫でる様にして剥がす。レンがその抵抗に気がついて顔をあげて小首を傾げたけれど、やはり彼は甘えた様に幽香の頬をペロリと舐めて誤魔化した。
いったいいつの間に覚えたのやら、と呆れ気味に、けれどもそんなレンもまた彼なのだ、と理解しながら、彼の唇を求めてみる。
その要求にもレンはしっかりと気づいて、幽香の唇を軽く吸う。一度離して、次は深く絡ませる。
胸は変わらず下側から揉まれたり、横側から寄せる様に揉まれたりと、随分好き勝手やられ、キスをしながらも鼻に掛かった声がキスの合間に漏れている。
珍しく、といえばそうなのだけれど、こうして膝に座っている彼は幽香よりも高い目線から彼女を見下ろしている。
だからこそ、重力に従って彼の唾液が幽香へと流れ落ちて、口に入らなかった唾液が幽香の口端から垂れている。
キスが終わり、ペロリとそれを舐め取って少しだけ満足気なレン。
そんなレンにやりたい放題されていた幽香が彼の手を掴んで、胸から外す。外した手を横に寄せて空いている手を彼のうなじに置いて顔を寄せる。
彼からされる、ではなくて幽香自身が動く深いキス。彼は一切の抵抗をしない。抵抗しないどころか、レン自身が幽香の首へと抱きついてキスをせがんでいる様にも見える。
膝に乗っていたレンの腰を下から抱いて、落ない様に立ち上がる。立ち上がったのと同時にレンの足が落ない様に幽香の腰に巻き付く。
巻き付いた事でレンの腰が幽香に密着して、しっかりと芯を得たソレに幽香は気づいた。
どうやら興奮していたのは自分だけではないらしい。と苦笑混じりの思考を巡らせながら彼をベッドへと案内する。案内、と言っても彼もこの家の配置は覚えているだろうし、連れて行くという方が正しいだろう。
ベッドへと静かに彼を下ろして彼自身がせがむようにキスをしてくる。深いキスではなくて啄むように何度も幽香の唇を甘噛みするレン。
そんなキスを受けながら、しっかりと彼の着流しに手を掛けて脱がしていく幽香。
彼の白すぎる肌が露わになり、今からソレを汚すのだ、と自覚すればゾクリと幽香の中の嗜虐心が唆られる。贄という事を知った今も、そんな事を差し引いてこうして欲求を満たしてくれるレン。
白い肌に爪を立てれば、肌は容易く傷つく。腕なんて直ぐに折れてしまうだろう。苦痛に染まる顔はとても魅力的だ。首を絞めて呼吸が出来なくなれば、きっと彼は抵抗するだろう。抵抗するだろうけれど、それさえも愛おしい。
幽香がハッとして手から力を抜く。ゲホゲホと咳き込んでから深く息を吸い込んだレンを見て、幽香は安堵の息を吐きだした。
腕も折れてなければ足も折れてない、肩から胸に掛けて細い傷が四本伸びているだけの彼をもう一度確認して、息を吐きだした。
謝ろうと幽香が口を開けば、彼がその口を手で抑えて微笑む。更に手を伸ばしてクシャリと幽香の髪を撫でて、やはり彼は微笑んだ。
幽香はそんなレンに呆れ半分安堵半分の息を吐き出して撫でられて手を掴んでその手の平に口を押し当てる。
そして先ほどから自身の膝に当たっている彼自身を見て、謝罪の心なんて忘れてニタリと幽香は笑った。
彼の胸もとに置いていた手をそのまま滑らして、
片手で腰にまとわりついたベルトを外し、スカートを脱ぎ捨てる幽香。彼にバレない様に湿ってしまったショーツも脱いでおく。
レンの腰を跨ぐようにして、蜜の垂れる花と彼を触れ合わせる。そのまま腰をゆっくりと下ろしていく。
ジュブリと蜜が溢れ出して、棒に伝い、彼を汚していく。受け入れているだけだというのに、幽香は迫る快楽を押し退ける為に歯を食いしばった。
その力で腹筋に力が入ってしまい、無駄にレンを締め付けているのだけれど、そんなことは知ったことではない。
贄を食す、という事で妖怪の本能的に快楽を得てしまう。けれど、ここで一度果ててしまうのはソレはソレで面白くないのだ。
しっかりと彼を根元まで収めた幽香は何度か自分を落ち着ける為に深呼吸をして波が引いていくのを待つ。別に何度もすればいい話なのだけれど、最初ぐらいは、という思考があるのだ。
レンを見れば泣きそうな顔で出ない様に耐えている。その顔を見た瞬間に幽香の中が軽く収縮する。
彼の胸に自身の胸を押し付ける様に倒れて、キスをする。舌を絡めながら、腰を動かせば彼が鼻に掛かった声を漏らす。けれども舌を絡める事をやめるのは幽香が許さなかった。
舌を離せば、半身を起こして幽香は腰を激しく躍らせた。その快楽にレンは歯を食いしばる事もなく嬌声を上げる。
もう少し、もう少し、と幽香はレンを見つめて、レンはソレをわかっている様に耐える。
耐えるのだけれどダムの決壊は容易く、白濁を幽香の中へと撒き散らせ、その熱い液体に幽香が絶頂。ビクビクと収縮する果肉にまたレンの思考が飛び、白濁液を出してしまう。
一回戦が終わってしまえば情事後の会話なんてないまま二回戦へ突入して、三回戦か四回戦辺りでレンが力尽きて情事は終える。
後始末も程々に、レンを抱きしめて満足した気分のまま瞼を落とした幽香。
力尽きて尚意識は保っていたレンは幽香の額に張り付いた髪を梳いて、額へとキスをした。勿論、下心なんて一切ない。
呼吸を落ち着けて、幽香の拘束を抜ける。幽香自身も起きているのか、容易く抜けれた拘束にさした何も思わずに、レンは日記を持ち、ペンを握る。
適当にページを開いて、ペンを走らせる。
一枚、二枚、三枚、四枚程ページに文字を書き込んでソレを日記から破り離した。几帳面に何回か折って、表面に宛先を書いておく。
これで、見た人間は誰に出すか気づいてくれる筈だ。
息を吐いて、ページを捲ればまだ乾いていない一輪草が落ちた。その一輪草を拾い、日記の隣に置く。一番後ろのページを開いて、新しくペンを走らせる。
一時間程で書き終わった内容に息を吐いて、一輪草をそのページに挟み、次は日常の日記の最後のページを開く。
荒くなりそうな息をどうにか抑えて、レンは日記を書いていく。明日まで、自分が自分であるのならば、きっと、と淡い何かを抱いて。
レンは日記を書き終える。
日記を閉じて、隣に破った紙を四枚置いておく。
大きく息を吐き出して、天井を見上げる。瞼を閉じて、もう一度ゆっくりと呼吸をした。
深く吸い込んで、
少し止めて、
細く吐きだした。
それを三度繰り返した所でレンの後ろで唸っている声が聞こえた。
どうやらレンが消えた事で温もりを探して幽香の手が彷徨っているようだ。
そんな幽香にレンは苦笑して、手を掴んで、その腕に抱かれる様に布団に入り直す。
そのまま瞼を下ろして、ゆっくりと微睡みの中へと身を投じた。
幽香が目を覚ましたのは隣にある温もりが消えてしまっていたからだった。
何度か手で確認して、瞼を上げればレンの姿がなかった。
耳を澄ませてみても聞こえるのはまだ止んでいない雨音だけで、彼が料理をしている音も聞こえない。
机を見れば一冊の本が置かれていて、ソレが彼の日記であることは昨日のやり取りで幽香は知っていた。置かれていたのは日記だけで、ソレを勝手に読むのは気が引けた幽香はシャツを拾い上げて羽織る。
プチプチとボタンを掛けていき、家の中を歩く。
キッチンにもいなければ風呂場にも、トイレにもいなかった彼。
ふと、キィキィと風に揺られている玄関扉に気がついた。
幽香の中にゾクリとした何かが走る。
攫われた?
疑問が湧いたけれど、どうやらソレは直ぐに払拭された。
下を向いている向日葵を見ながら、レンが雨に打たれて外に立っていた。
幽香は安堵の息を吐き出して、声をかける。
「レン、何をしているの? 風邪を引くわよ」
「…………」
レンは振り向いて、無表情で幽香を見た。
そして首を傾げて、口を開いた。
「ねぇ、妖怪さん」
無表情で、対して大きくもない声が幽香の耳に届く。
ソレはちゃんとレンの声で、ソレはレンの格好をしていて、ソレはレンの表情で。
レンは繰り返した様に、もう一度改めて、次は続けて口を開く。
「ねぇ、妖怪さん……
アナタはだぁれ?」
え?
ってなった人は幽香さまと同じ気持ちだから仕方ないね。
あぁ……。
ってなった人はまだ私の引掛けに掛かってるから仕方ないね。
おぉ……?
ってなった人はきっと私の電波を受信した残念な人だからドンマイネ。
そろそろ一人称に戻そうかしら。