※この作品はR-18です。

東方色贄録   作:猫毛布

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注意! 本編です!


62 オンシジウム

 僕はゆっくりと沈んでいた。

 息を吐き出せば気泡が水面へと昇り、小さくなっていく。

 綺麗な水に七色に輝く光。

 沈む方向は暗い。真っ暗だ。

 何かに腕を引かれる。

 

 ざばり、と水面から僕は出た。

 目の前には誰かもわからない存在。これは誰だろう。

 その存在に腕を掴まれて、僕は宙吊りにされる。

 その存在が目を開いた。

 鋭い真っ赤な瞳で僕を見て、口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジリジリと部屋に響く目覚まし時計の音で僕は目を覚ました。

 嫌な夢を見ていた……と思う。

 五月蝿く鳴る目覚まし時計を止めて僕は上半身を上げる。

 ぐい、と腕を天井へと伸ばして腕に溜まっていた血液を落として、背骨を伸ばす。そうして大きく口を開けて欠伸をする。

 

「おはよう」

 

 目の前にいる存在に僕は挨拶を交わす。

 白い表情のないお面を被った女性。緑色の髪を切りそろえた彼女は相変わらず僕の隣に立っていた。

 いつから立っていた、なんてもはや僕にはわからない。けれど、最初から居て、そして最後まで居るという事は無意識だけれど理解している。

 おそらく何年も一緒である彼女を前にして僕は着替えを始める。寝間着にしている白い着流しを脱いで制服を着る。カッターシャツとズボンの簡素な制服を着て、僕は鏡を見る。

 目の前の鏡には黒い髪を肩口まで伸ばした少年がいる。右目は黒色で左目は閉じられている。鏡には、少年しか映らない。

 僕は首を動かして左隣にいた彼女を見る。彼女は腰に手を当てて立っているのに、鏡には映らない。彼女がコチラを向いたので慌てて顔を前に戻した。

 

「レーン、ご飯ですよー」

「はーい」

 

 扉の向こうから聞こえた声に返事をする。僕は昨晩に用意をしておいた学校指定のカバンを持って扉を開く。僕の後ろには彼女が歩いているのだけれど足音はしない。浮いている訳でもない。

 階段を降りて靴棚の上にカバンを置いて、僕は居間の扉を開いた。開けばフワリとパンの焼ける匂いとコーヒーの匂いがした。

 

「おはよう、神奈子さん」

「あぁ、おはよう」

 

 コーヒーを飲みながら新聞を読んでいた神奈子さんに朝の挨拶をする。神奈子さんは新聞から目を外してしっかりと僕を見て挨拶をした。

 赤縁のメガネの奥にある赤い瞳を鋭くしてまた新聞へと視線が戻った。

 

「レン、おはよう」

「諏訪子さん、おはよう」

「さっそくだけどお皿を運んでくれないかな」

「うん、わかった」

 

 諏訪子さんからお皿を受け取り僕はソレを机に置いた。見た目は幼女の諏訪子さんが「あー疲れた」と言いながら肩を叩く様は随分とシュールだ。

 僕が苦笑しているのがわかったのか、諏訪子さんは溜め息を吐いてから口を開く。

 

「レン、笑ってないでお寝坊さんを起こしてきてくれない?」

「うん、ごめんね」

「いいよ。ほら、朝食はゆっくり食べたいだろう?」

 

 その言葉に同意をして僕は居間から出る。

 階段を上がって姉の部屋を目指す。僕の部屋を通り過ぎて、次の扉をコンコンコン、とノックする。

 

「お姉ちゃん、朝だよ」

 

 返事は無い。僕は思わず隣にいた彼女に顔を向けてしまう。彼女は溜め息を吐いたような仕草をして肩を竦めた。同じく僕も溜め息を吐いてしまった。

 ドアノブに手を掛けて扉を開く。まず目に入ったのは不格好な蛇のぬいぐるみと綺麗に出来た蛙のぬいぐるみ。タンスの上に置かれたソレを見てから視界を移動させる。まだベッドの上で気持ちよさそうに寝息を立てている姉。黄緑色の髪を布団の上に広げて布団を抱きしめて眠っている。

 僕はもう一度溜め息を吐いてからカーテンを勢いよく開いた。眩しい光が部屋の中へと入り込んでくる。

 

「ぅ……?」

「早苗お姉ちゃん、朝! はやく起きないと遅刻するよ」

「うぅ……あと五分」

「ほら! 早く起きる!」

 

 布団を被った早苗お姉ちゃんから布団を剥ぎ取る。布団を剥がしてしまえば彼女の瞼を守る物は何もなくなり唸りながらも起き上がった。まだ寝ぼけているのか薄く開いた目で微笑むお姉ちゃん。

 

「おはようございます、レンさん」

「うん、おはよう、早苗お姉ちゃん」

 

 ボサボサの髪をしたダラシない姉がダラシない声でそう言った。

 

「そしておやすみなさい」

「寝ないの!」

 

 ボスリとまた横になったお姉ちゃんを揺り起こすのも実は僕の日常に含まれていたりする。

 

 

 

 

 

~~

 

 

「おはよー、レン」

「おはよう、フラン」

 

 フランが僕の肩を叩いて隣を歩く。学校に向かう道がずっと一緒である彼女はこうして僕を見つけると挨拶をしてくれる。金色の髪をした彼女はニッコリと笑っている。

 

「昨日の夜は最悪だったよー」

「何かあったの?」

「咲夜がね―」

 

 こうして僕と話しているフランは決して僕の後ろに一緒に歩いている彼女について追求することはない。早苗お姉ちゃんも、神奈子さんも、諏訪子さんも。

 どうやら僕以外は見えていない様で、実は僕の秘密だったりする。きっと誰かに言っても僕がオカシイと言われるだけなのだけど。

 僕という人物を紹介すれば、きっと、『彼女』の存在が見えている事以外は普通の人間である、と言える。強いて言えば父親も母親も居らず、知り合いである守谷家に居候しているという点だけだ。

 

「レン、聴いてる?」

「うん、聴いてるよ。それでメイド服は着たの?」

「着ないと咲夜が泣きますって言うからねー……はぁ……どうしてあぁなっちゃったんだろ」

「ご愁傷様」

 

 まったく話を聞いてなくてテキトウに言ったのに合っていた。よかった、と思う反面スカーレット家がとても心配になった。咲夜さんとは面識があるけれど、とても綺麗で冷静に色々出来る人だった筈だ。フランから前評判を聞いていたのだけれど。

 

「お、二人。おはよう」

「おはよう、燐」

「珍しいね。どうかしたの?」

「いやぁ、遅刻してた事がさとり様にばれちゃって……」

「それは燐が悪いね」

「そうだね」

「二人ともフォローとかないんだ……」

 

 ガックシと肩を落とした赤毛の友達には何も言わない。遅刻常習犯である彼女に何も言う事はないのだ。

 ともあれ、僕の少ない友達はこうして登校時間によく会うのだ。

 

 

~~

 

「授業を始めるぞ、着席しろ」

 

 長い銀髪を垂らした慧音先生が教室に入ってきた。彼女の手には教材が無い。

 唐突にチョークを握り、カツカツと黒板へと文字を書いていく。綺麗に整った文字が黒板を白く汚して、生徒である僕達はカリカリと無言でノートを書いていく。

 

「さて、今日の授業は『贄という儀式』についてだ」

 

 淡々とその歴史が語られていく。贄となった存在について文献は少ないらしく、自称歴史家である慧音先生による考察と世間一般的な考察が述べられていく。

 そんなツマラナイと皆が言う授業を聞き流しながら僕は彼女を見た。彼女もツマラナイ様で隣の机の上に腰掛けて脚を組んでいた。彼女は僕以外に見える事もないのでその席の人には普通に黒板は見えているのだろう。僕としては不思議でしかないのだけれど。

 と、僕が苦笑していると白い物体が僕の机で砕けた。バラバラになったソレを見て、僕はようやくしまったという顔をする。

 

「レン、私の授業で笑うとは、何か面白い事があったのか?」

「えー、いいえ、思い出し笑いです」

「ほう、授業を聞きながら思い出し笑いとは余裕だな。では、先ほど話した贄に付いて言ってもらおう」

 

 ニッコリと笑う慧音先生。黒板をチラリと見てもその部分は消されているらしくヒントも何もない。僕は思わず彼女を見た。彼女は肩を竦めている。

 僕は溜め息を吐いてから、わからない、と言うために口を開く。

 

「贄というのは、人間から世界へと捧げられた存在です」

 

 あれ? 僕は何を言っているんだ?

 

「捧げられた時点で贄に選ばれた存在は人から逸脱してしまいます。神様に捧げられてしまい、神様を直接見れる程の力を有してしまい、人からは恐れを抱かれます」

「ほう……私は神に好かれると言ったが、人間から逸脱するとは言ってはいないぞ?」

「以前の授業で『神様を直接見ない為に昔は布を顔に掛けていた』と言ってたのは先生ですよ?」

「ふむ。続けろ」

「神様を直接見れる、という事は祟られてしまっているか、或いは人間から逸脱してしまったか、もしくは別か。

 とにかく、神様を見れる程の力を有してしまった贄は人間からすると畏怖畏敬の存在として恐れられます。結果として見れば、贄を人へと戻さない為の風習なのかもしれません。

 そんな人間として強大過ぎる力を持った贄はその力故に妖怪や神様に狙われ続けます。力を得た、と言ってもソレらを退散させる力ではないから狙いやすいと言ってもいいです」

「……随分と詳しいじゃないか。調べたのか?」

「いいえ、詳しいのは……」

 

 あれ? どうして僕はこんなに詳しいんだ?

 調べるにしても本を毛嫌いしている僕は図書室になんて行かないし、図書室行ったとしても慧音先生が言った通り、贄の資料は稀少な筈だ。

 なのに、どうして知っている?

 ザラリと頭の中にノイズが走った。

 まるで誰かから聞いたみたいに……。

 またノイズが走る。

 頭が痛い。

 痛い、痛い、痛い。

 

 

 

~~

 

 

 目が覚めた。

 何度か瞬きをして天井を確認する。そこは保健室だった。首を動かせば彼女がパイプ椅子に座って脚を組んでいた。

 僕は痛む頭を抱えて起き上がる。

 

「あら、起きたのね」

 

 ズキリと頭が痛む。

 少し眉間をしかめてから声の主である八意先生に視線を向ける。八意先生は白衣を着てコチラを向いて微笑んでいる。

 

「あら、まだ痛いのかしら?」

「いいえ……大丈夫です」

「そう。授業中に突然倒れたらしいわね」

「ご迷惑をお掛けします」

「いいのよ。保険医ですもの」

 

 ニッコリと笑った八意先生。僕はベッドから降りて床に足を付ける。まだ頭が痛いけれど、それは些細なことだ。心配はあまりされたくない。

 

「ご家族にご連絡しようかしら?」

「いいです。一人で帰れます」

「そう……気をつけてね」

「はい」

 

 意味深に八意先生はニタリと微笑んだ。僕はそのことを疑問に思いつつ保健室から出た。そして溜め息を吐いて頭を抑えた。

 隣にいた彼女が僕を心配するように顔を覗き込んだ。

 

「大丈夫……大丈夫だよ」

 

 そう、大丈夫。まだ大丈夫だ。

 何が大丈夫なのだろう?

 そもそも彼女に声が通じているかもわからない。覗き込むのをやめた、ということはきっと通じたのだろう。

 そんな力無く微笑む僕の前に影が掛かる。

 影を見上げれば白い髪がフワリと揺れている。毛先に小さな白地で幾何学な赤い模様の書かれたリボン。夕日よりも真っ赤な、まるで炎のような瞳。

 

「――あぁ、なるほど、お前がそうなのか」

「な、なにを」

「何、気にする事は無いよ。知覚するのは一瞬、理解する事は無い。――燃え尽きろ」

 

 チリリ、と上着に違和感を感じて咄嗟に脱ぎ捨てて横へと跳んだ。僕の居た場所に置き去りにされた上着は宙を少し浮いて、真っ赤な炎を上げた。そして床へと付く前に燃え尽きて燃えカスが廊下へと落ちた。

 咄嗟の判断だった。嫌な予感は信じてみるモノである。

 不格好に転けてしまっている僕は立ち上がって、逃げる。先ほどの放火魔とは逆方向へと。

 

「ふむ……なるほど、逃げるか」

 

 そんな放火魔の声を置き去りに僕は全力疾走をした。

 

 走りながら息を荒げて呼吸をする。

 なんだ、何なんだ、アレは?!

 突然上着が燃え尽きたぞ。タネも仕掛けもない手品にしても突然すぎる。

 僕の隣を悠々と走っている彼女に視線を寄せても彼女も走っている方向を向いている事からきっと知らない筈だ。

 とにかく広い所へ逃げなければいけない。

 

「こっちよ!」

「――ッ」

 

 声の方向を向けば階段の上から長い黒髪が垂れている。僕は彼女を知っている。

 この学校にて生徒会長をしている美少女、通称【姫】と呼ばれている彼女、蓬莱山輝夜である。

 僕は蓬莱山さんの方へと走り、彼女に着いていく。

 

 階段を登りきり、普段は鍵の閉まっている屋上の扉から出る。夕日が眩しい屋上へ到着して、僕の後ろで扉がバタンと閉められた。

 ゼーハーと呼吸を繰り返して僕は尻餅をついてしまう。

 扉を閉めた蓬莱山さんはまったく荒くなっていない呼吸で少しだけ申し訳なさそうに呟いた。

 

「……ごめんなさい」

「? どうして、蓬莱山さんが謝るんですか?」

「アナタを巻き込んでしまったわ」

 

 蓬莱山さんは真っ直ぐに僕を見つめる。

 そして何かを決意したように口を開いた。

 

「簡単に説明するわ。アレはこの世界を破壊しようとする敵よ」

「敵……?」

「そう、私達は秘密裏にアレと戦っていたのだけれど」

「ちょ、ちょっと待ってください! あんな化物と戦っていたんですか?!」

「えぇ……」

 

 思わず頭を抱える。

 あんな放火魔と戦えるような人物だったのか、我が学校の生徒会長は……。

 

「あぁ、先に言うけれど私は戦えないわ……補助と契約が主な仕事」

「補助……はなんとなくわかりますけど、契約?」

「そう、契約……ねぇ、守谷レン君」

「ど、どうして僕の名前を?」

「生徒会長ですもの。生徒全員の名前は暗記しているわ」

 

 うわぁ、生徒会長だとそんな事も覚えているのか。僕には絶対に無理だと思う。

 

「レン君……いいえ、レン。私と契約をしてくれないかしら?」

「ど、どうして僕なんかが」

「アナタには才能がある。過去最高の魔法使いとしての素質がアナタには内包されている」

「で、でもあんな敵と戦える訳が……」

「今戦わなければ、アナタは死んでしまうわ……そして世界が壊されればアナタが好きなお姉さんやご家族、そして友達達も殺されてしまうのよ?!」

「ッ」

 

 頭の中にフランと燐、神奈子さんと諏訪子さん、早苗お姉ちゃんの顔が浮かんで、消えた。燃え尽きて、消えた。

 

「僕が、魔法使いになれば世界は救えるんですね?」

「少なくとも、あの敵は倒すことが出来るわ」

「……」

「そして倒さなければ世界にバッドエンドが待ち受けている。それだけよ。たったそれだけの話」

「……わかりました」

「よかったわ。アナタのお陰で世界は救われるわ」

 

 蓬莱山さんはニッコリと笑って腕を持ち上げる。

 空中にディスプレイが浮かび上がり、幾何学模様の何かが僕の周りに浮かぶ。

 

「あ、あの蓬莱山さん」

「輝夜でいいわ」

「輝夜……さん」

「ふむ、まぁいいわ。どうしたの?」

「あのコレは?」

「契約に必要なの」

「その、えっと、僕の服が消し飛んでるんですけど?」

「契約に必要なの」

 

 ニッコリと笑った輝夜さんはディスプレイを叩く。そして全裸になっている僕は手で大事な部分を隠している。

 隣に控えていた彼女はそんな僕を見ている。凝視している。お面をしているけれど、なんとなくわかってしまう。

 うぅ……。

 

「よし、出来た。本当にアナタは最高の素質ね」

「は、早く服を戻してください!」

「ようやく見つけたぜ!」

 

 叫び声のした方向を向けば箒で空を飛んでいる、いかにも魔女と呼べそうな少女が居た。箒に跨っている訳ではなくて、箒の上に仁王立ちしている。

 

「よぉ、輝夜! 殺しに来てやったぜ!」

「あら、勘弁してほしいわね」

「今はあの妹紅もいねぇんだから、私が簡単に殺してやるよ!」

「レン、変身しなさい」

「へ、へんシん」

 

 声が裏返ってしまった。そんな僕を真面目な顔で見ている輝夜さん。繰り返す様に「そう、変身」と言っている輝夜さんは至って真面目そうだ。

 

「詠唱も何も必要ないわ。ただ強く思えばいいの。自分がどう在りたいかを」

「自分が……」

「作戦会議はどっかでしろよ。ここはもう既に、墓場なんだぜ!」

 

 魔女の方を向けば六角形の何かに光が集中している。契約したからだろうか、光が文字に見えて収束しているのが分かる。文字の意味が【破壊】であることも分かる。

 マズイ。絶対あれはマズイ。

 

「レン! はやくしなさい!!」

「ッ――」

 

 僕は目を強く瞑り自分を描いていく。

 ダメだ、わからない。僕は一体何なのだ? 僕は、僕は。

 僕の前に影が出来る。僕だけにしかわからない影。赤と淡い黄色のチェック柄の上着が見える。彼女だ。

 僕を守ってくれる存在。僕と一緒に在った存在。

 

「じゃぁな、輝夜ぁ!!」

 

 光が僕らを包む。何秒かわからない。

 唐突に、魔女から放たれていた光が消える。いいや、違う。

 僕(・)が(・)消(・)し(・)た(・)。

 

 僕は瞼を上げる。自分の姿を確認する。

 白い色の背中がパックリと開いたノースリーブ。そして肩から掛かる赤と淡い黄色で彩られたチェック柄の上着。胸元には黄色いリボンが付けられている。手には杖ではなくて、傘を持っていて、そのまま視線を下げれば同じチェック柄のフリルが付いた短いスカートがある。そう、スカートである。

 

「輝夜さん! どういう事ですか!」

「世界を救うのだから魔法少女になるに決まっているでしょう?!」

「な?! そんな法則どこで決まっているんですか?!」

「魔法少女協会に決まってるでしょ?! こんど案内するわね☆」

「ヤッター! とか喜ぶと思ってんですか?!」

「おいおい、何かと思えば契約者だったのかよ……しくじったぜ」

 

 魔女はやってしまった、という風に頭を抱えてワザとしく肩を竦めて首を横に振った。

 僕は輝夜さんから視線を外して魔女をキッと睨む。

 

「輝夜さん、あの魔女を倒すんですよね?」

「そうよ。その為にアナタは魔法少女になった」

「一応、男なんですけど」

「あら? しっかりと女性ものの下着を穿いているのに何を言っているのかしら?」

「ひゃわっ?! め、捲らないでください!」

「何を言っているの? 必要な事よ」

「ひ、必要なんですか?」

「そうよ。わざわざアナタの服が露出度ありありな服装になっているかを説明してあげるわ。

 

 

 ミニスカートであり、背中が空いている理由は私からの魔力を受け取りやすくする為に極力肌を覆わないようにしているから。そしてフリルは受け取りの補助をしているわ。

 この説明で分かる通り、さっきあなたが全裸だったのは私の魔力の関与を最大限にする為。変身時は最も魔力を消費するから当然全裸になるわ!」

「うぅ……どういう事なんですか」

「説明したでしょ?! わからないの?!」

「そういうことじゃないです!!」

 

 そう、ならいいわ。

 なんて言ってのけた輝夜さん。またあの光の奔流が僕らに迫っている。僕は落ち着いて傘を開いてその奔流を受け止める。まるで雨を防ぐように、簡単に防げてしまう。

 

「話の途中で悪いとは思ったんだぜ? でも戦場で話している方がもっと悪いだろう?」

「さぁ行きなさいレン! いいえ、魔法少女トロピカルレン! 温暖化の原因である魔女を倒すのよ!」

「なんか知らない二つ名と原因が増えてるんですけど?!」

 

 そうして僕の戦いの日々が始るのであった。




重ねて言うようですが、本編です。決して私が楽しみたいからこういう話を書いている訳ではありません。
本編です。


本編です!

役職と配役
・主役
守谷レン:
 魔法少女()。魔法少女時の服装で腰に向日葵型ポーチが付いていたのを見た輝夜さんがトロピカルレンという名前をつけただけで本人は夏よりも冬が好き。
 学校では頭がいいと言われるけれど、予習をちゃんとしているだけらしい。
 【彼女】が見える唯一の人間。

【彼女】:
 深い緑の髪と白い無表情のお面を被った女性。顔文字を描くのは愚策だけれど(‐_‐)な感じのお面である。声を出すことは出来ないらしい。
 いったい何見何香なのだろうか……。
 基本的には傍観者。レンが魔法少女になった瞬間は守っていたにも関わらず姿を見た瞬間に床をべしべしと叩いて腹を抱えていた。

・魔法関係
蓬莱山輝夜:
 生徒会長。レンとの契約主。
 私と契約して魔法使い(魔法少女)になってよ!

藤原妹紅:
 実は味方だったりする。 
 今回は輝夜に言われてレンを襲っただけで、いつもは普通の女生徒。屋上でよくサボっていたりするけれど、基本的にとてもいい人。
 この人が何かを仕掛けている時はだいたい輝夜が悪い。

八意永琳:
 腹黒保険医。
 説明するとややこしいが契約主としての輝夜の上司であり、普段は輝夜の部下でもある。ややこしい。

魔女(霧雨魔理沙):
 好戦的魔女。魔砲少女びっくりの砲撃魔砲を使える。
 相棒に人形使いがいたりする。

・家族
守谷(東風谷)早苗:
 姉。寝坊助。女子高生。セーラー服が眩しい。

守谷(八坂)神奈子:
 レンの親代わり一号。八坂重工の社長さんである。赤縁メガネとスーツ着用の素晴らしく作者の趣味が適応されてしまった人。

守谷(洩矢)諏訪子:
 レンの親代わり二号。基本的に母親の立ち位置。いつもの帽子はしてない。エプロン着用。姿は幼女なので、何度か神奈子が幼女誘拐などでご近所の噂になっていたりした。

・学校関係
上白沢慧音:
 社会教師。社会という科目を教える立場だけれどもっぱら歴史(趣味)ばかりする残念教師。テストは歴史関係が大きく救済措置もある。

八雲紫:
 化学・物理教師。グラマラスな【ぼでー】をしている。縁の無いメガネをしていて生徒達を唆したりして遊ぶダメ教師。長い金髪は後頭部でお団子にしている。遅刻常習犯教師。その度に校長に呼び出されている。
 ちょくちょく別の大学から引き抜きの要望があるが全部無視しているらしい。理由は面倒との事。

八雲藍:
 数学教師。非常に素晴らしい思春期には毒なボディの持ち主。ピッチリとしたスーツを着用していてタイトスカートが素晴らしい人。上記の紫先生とは家族であり、一緒に住んでいるのにも関わらず無遅刻。紫をおいてきている訳ではなく、いつのまにか紫先生が消えているらしい。校長に頭を下げているのはこの人。

小野塚小町:
 体育教師。授業の始まりはいるけれど、唐突に「よし、今日は自習だ!」とか言いながら木陰で寝てるダメ教師。なお校長には度々怒られているもよう。

四季映姫;
 校長先生。説教が多い。説教の内容が濃く短いので朝礼で倒れる生徒はいない。というか殆んどが紫先生の説教にあてられている。 

フランドール・スカーレット:
 友人。金髪幼女。自宅にメイドがいるらしい。いいところのお嬢様らしくボディガードもいるらしい。

古明地(火焔猫)燐:
 どうしてか猫耳をつけている友達。サボり魔であるけれど、学校には登校はしているらしい。
 ネタバレ。まさか猫耳にあんな理由がアルナンテー。

鍵山雛:
 優等生な先輩。メガネが似合う。頼られると断れないいい人。

学校の設定。
小~高まで一貫の学校。大学もあるが別敷地になっているらしい。
一応エスカレーターで上がれるが、進学校としても有名。

・魔法少女衣装設定
 魔法の力を受け取る為に肌の露出を多くしている。言ってしまえば脱げば脱ぐほど強くなれる。全裸は放送の都合上カットされてしまうので、局部は水着のようなモノで隠されている。あくまで水着のようなモノであって水着ではない。

・衣装
 白いノースリーブ。カッターシャツの袖が無い物と思って頂ければ想像しやすいと思う。ソレの背中を菱形に切り抜いて彼の白い背中が見える形。黄色くて細いリボンが胸元に付けられている。
 肩に掛かる上着。チェック柄で長袖だけれど輝夜さんの指示で袖に腕を通すことは永遠に無い。コレが翻ると彼の背中がチラチラ見える。
 腰のポーチ。向日葵型のポーチ。中身は【スキマ科学】を用いた半四次元空間でポーチの口に入る物ならなんでも入る。コレが原因で【トロピカル】の二つ名が付けられた。
 ミニスカート。フリルありの同じくチェック柄のスカート。膝上数センチのティアード・スカート、縦ではなくて横に段々になっているスカートである。彼が動くとチラチラとショーツが見える。



※なおこの設定は次回からは一切登場することはない。
 悪しからず。

アトガキ
これだけ書かれていない部分の設定を書きつつも、次回からこの設定が使われる事はないんだ。不思議だろう?
魔法少女(ショタ)が触手でうにうにされる小説なんて他でもやってるし必要ないでしょ。うん。
というか、私自身そういう触手とか陵辱系が苦手なのです。

そこ、何言ってんだコイツとか言わない。


魔法少女の服装を色々見たけれど、最近の魔法少女ってどれもスリムな服装が多いですね。私の記憶がオカシイのか一昔前はもっとゴテゴテなフリル増々な服装だった気がします……。
魔砲少女は結構シンプルですし、その相方なんて新体操でも始めるぐらいピッチリしてるじゃないですか。
絶望の魔法少女達はフリルもあってキュートでファンシーなのですが、内容が完全にファンキーすぎるので何とも……。
そんなこんなで結局【彼女】の服を元に作成。ちなみにお分かりだとは思いますが私にセンスのsの字もありません。つまり【えんう】になるわけなんですが、何言ってんだろ……。疲れてるのかな……
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