※この作品はR-18です。

東方色贄録   作:猫毛布

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二話更新。なお最終回の模様


65 レンと幽香

 僕は瞼をあげる。

 

「……ふぅ」

 

 閉じた本を机に置いて、溜め息。そして目の前で爛々と目を輝かす少女に苦笑してしまう。

 

「どうでしたか?」

「……どう、と言われても」

 

 なんというか、ムズ痒いと感じてしまう。

 自分の体験した事が書かれた本だ。既に知っている結末をもう一度読んだ、それだけの話だ。

 目の前にいる黒髪のオカッパ頭の少女は少し緊張した面持ちでこちらを見ている。僕はそんな姿にも苦笑してしまう。

 

「……ありがとう、阿求」

「いいえ、贄の話も記録する事が出来たのです。コチラも感謝します」

 

 まだ無名の本を見て、やはり僕は苦笑してしまう。

 僕の為の本でもあり、いつか幻想郷に生まれてしまう贄の為の本。文末にはしっかりと『助けてゆかりん』と書いている。

 これを稗田家に書かせる旨を紫と霊夢に相談すれば、紫はヒクリと頬を引きつらせ、霊夢は「あっそ」と素っ気なく返した。笑いを耐える様に肩を揺らしていたけれど。

 

「ところで……彼女、パンドラはいったい?」

「……さぁ、どうだろう」

 

 僕は翠色の両目で阿求を見つめる。阿求は真剣な顔を崩して溜め息を吐いた。

 別に語る事でもない。語るに及ばないことなのだ。それこそ僕とあの場にいた幽香だけが知っていればいい。

 ピクリと僕の髪が引っ張られる感覚。後ろには誰もいない。髪を撫でて僕は苦笑する。

 

「……迎えが来た」

「あぁもうそんな時間ですか」

「……お茶、ご馳走様」

「いいえ。 あぁ、この本の題名ですが」

「……お好きにどうぞ」

 

 そうして僕は稗田家の玄関へ向かう。

 途中すれ違う人など無視して、一直線に。

 

 玄関には壁に凭れた幽香がいた。走り寄る僕を幽香はすんなりと受け入れて抱きしめてくれる。

 

「……待った?」

「いいえ、どうかしら」

「……むぅ」

 

 思わずむくれてしまう。そんな僕の頭をポンポン叩いて幽香は苦笑した。

 その手を僕に差し伸べて、僕はその手をしっかりと握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の予定はもう無いのかしら?」

「……えっと、紫の所には一昨日に行ったし。夜に早苗達に呼ばれてるぐらいかなぁ」

「キャンセルしなさい、キャンセル」

「きゃんせう?」

「止めときなさい。私と一緒にいなさい」

 

 握られた手が少し痛い程度に強く握られる。

 僕は痛いとも思ったけれど、それ以上の幸福感で満たされている。

 フフフ、と少し笑っている僕をどう思ったのか幽香は「いいわね?」と追加された。

 

「……ふふ」

「いいわね? アナタは私のモノなんだから、そりゃぁ私だってある程度の譲歩はするわよ? えぇ、もちろん…………クソ、あのスキマめ……」

 

 いったい幽香と紫の間でどんな契約がされたのかは知らない。知らなくてもいい事だ。

 僕は幽香のモノである。それだけでいい。

 僕に価値があるというなら、その価値だけで十分だ。僕には豪華とも言える。

 

 目の前に向日葵が見えてくる。

 同時に風と一緒に向日葵の香りが鼻をくすぐる。

 

 自然と笑みが深くなる。

 あの記録が出来たのだ。ちょうどキリもいい。

 僕は幽香の手をすり抜けて、フワリと走る。輝夜からもらった装飾の少ない蒼い着物を揺らして、躓かない様に走る。

 そしてある程度、幽香と距離が出来てからクルリと振り向く。幽香は少しだけ呆然としている。

 

 そんな幽香に僕は悪戯気に微笑んで口を開く。

 

 これは最初の言葉で、出会いの言葉で、僕を決める為の言葉。

 

 

 

 

「ねぇ、幽香。 アナタが僕を食べる妖怪さん?」




風見 レン
 人間。贄。人以外に狙われる。黒髪、翠瞳。無口、無表情、無愛想。

風見 幽香
 妖怪。緑髪、赤目。花の香りがする。大好き。

日記の端書より抜粋。
~~

アトガキ

猫毛布です。
まず最初に、
完結までお付き合いありがとうございます。
皆様の暖かい『何か(意味深)』でなんとか完結出来ました。
正直な話は、実用性皆無です。仕方ないね。

ほぼ一年ほど掛けて『東方色贄録』は終わりました。
理不尽な世界と仕方ない運命、そんな二つに立ち向かわない物語です。
『向日葵』は私の思っていたモノとだいぶ違います。なんというか、もう少し恋するレン君を書きたかったのですが、何度書き直しても無理でした。

恋には勝てなかったよ……。

一応、たぶん、ハッピーエンドになっているとは思います。ちゃんとしたハッピーエンドが分からないので、こんな先の見えない終わりにしてます。
なんせ、最後の一文に「そして僕は本を閉じた」と付け加えれば未来が真っ暗じゃないですかーヤダー。

なんというか、『イイハナシダッタノカナー?』な物語です。
基本的には私の力不足なのですが……。加筆した所で、いいところなんて一切ありません。
微妙な時期にこういうの書くから……後悔はしていないのでいいんですけど。反省はしてます。
はんせーしてまーす。


>>東方色贄録に関して
 読者は読者です。途中で視点移動の表示を変えたのは『~~』の方がページ送りで使われていたりするからです。
 はて、読者は読者、と意味のわからない事を……。

>>レン君が覚えてたって証拠は?
 紫の呼び方は「お姉さん」であるのに対して幽香の呼び方は「妖怪さん」でした。
 見た目は至って人間らしい幽香を初見で妖怪だなんて当てれる訳がないでしょう。贄録の最初にも「妖怪さん?」と聞いてますが、あれは皮肉です。実際に彼が幽香を妖怪だと知ったのは何ヶ月か後です。

>>エロは?
 パンツは履け。思いついたら書きます。
 今のところ、尿道責めしてレン君を快楽調教したりして
「僕のオ×ン×ンから、いけないオシッコださせてくりゃしゃぃいいいいいいい」
 なんて事を言わせようかなぁとか画策しているけれど、責め手がいないんですよね……咲夜さんを持ってくるのも微妙ですし。

>>次回作
 今のところ未定。一次創作を頑張るか、これのエロを書くか、まぁのんびり考えます。
 前はこれを言って、四日後ぐらいに次回作を書き始めたもよう。

>>あの学校設定はどうするの?
 エロが思いつかない。お隣さんに守谷家。義理の姉に『幽香さん』を追加して、お姉ちゃんとほのぼのイチャイチャだったら。まぁ、うん。
 クソが、消し飛べ。
 と私の精神状態が荒むので、休憩します。


まぁ、こうやってアヤフヤにして終わらせたのは未来なんて勝手にしやがれ!って事なんですけどね。
最期まで看取る事は出来ません。いったいどうやれば綺麗に終われるんですかねぇ……。
一応、筋事態は説明したので、多分大丈夫だと思ってます。

何かあれば聞いてください。私のスリーサイズは……なんて冗談です。
ただ、先にも言ったように、彼の未来を書けよ! ってなっても書けません。ホノボノです。
朝起きて、ご飯作って、幽香を起こして、少しイチャイチャして、ご飯食べて、みたいなモノです。想像出来ますよね? 想像出来ない? 我慢しろ。

惜しむべきは、やっぱり実用性のなさですね。イチャイチャだと抜けねーのなんのって話です。
かと言って、上で書いたような淫語ばっかりってのも書けませんし。
いろいろと勉強が足りなかったというべきですね。うん。

そんなこんなで、東方色贄録は終了いたします。

二度目になりますが、完結まで付き合っていただきありがとうございました。

読んでいただきありがとうございます。
それでは、また、そのうち。

2013/10/30
猫毛 布
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