ふたなり和風ファンタジー
【剣之城龍姫】(後編)
「まず一人目」
赤い髪、赤い着物、白い肌、豊かな肢体、妖しき美貌。
蛭女紅殻はぞんざいに、何の躊躇も遠慮もなく屍を摘み上げた。
立派な武者姿の男であり、男の頭は目玉から後頭部まで見事に貫通されていた。
「舌であろう、あやつは蛙の妖魔忍。尋常の蛙と同じく舌は伸び、尋常ならざる威力を発揮する」
白い髪と髭の巌のような老武将、剣之城轟獣郎が見分する。
主人の言葉に異論はないのか、紅殻は次の屍に移る。
「二人目、三人目、四人目。これは語るまでもありませんわね、主様」
焦げ臭いそれを、紅殻は心底汚らしいもののように見下ろし、顔を袖で隠して臭いに辟易とする。
三つの屍はどれも黒焦げであった。
「蝦蟇の油だ。火種一つでたちどころに業火となる」
最後の一人を紅殻が両手で持ち上げる。
頭からへそまで両断されていた。
「ただの剛力による一刀。あやつめ、二十年以上くすぶっておったおかげで随分はりきっておる」
「流石は伊賀者ですわね。醜い蛙の分際にしては腕が立ちますわ」
昨晩送り出した追跡隊の刺客全てを殺した業前に轟獣郎はつまらなそうに呟き、紅殻は妖しい微笑を零す。
手勢を何人死地に追いやってもこの残酷な支配者が気にかける事はない。
「宗近様は、果たしてどうなるのでしょう」
小首を傾げ、紅殻が主君へ問う。
轟獣郎は鼻を鳴らし、踵を返した。
「さてな」
その真意を微塵とて感じさせず、老武士は屍を鎮座させた中庭より消えた。
主君の背を見送る紅殻は、物憂げに髪を掻き上げ、梳き、屍から視線を移す。
切れ長の瞳が見つめるのは、屋敷より望む山並みであった。
おそらくはこの先のどこかに、龍姫と蝦蟇兵衛は逃げ隠れ、潜んでいる。
「是非とも、生かして連れ帰っていただきたいですわね。愛しい龍姫様」
己の玩具として犯し辱め続けた、あの極上の美女の乱れる姿を追想し、紅殻はちろりと舌で唇を舐める。
そしてふと想う、龍姫の娘の凛、そして連れの狼の娘。
その豊かな肢体を想うと、性根から淫蕩の紅殻は昼間であろうとお構いなしに子宮を熱くさせた。
今宵は自分から轟獣郎に伽を求めても良いだろうか。
ぼんやりと考えつつ、妖女は住処の地下へと向かって行った。
□
「……」
「……」
無言にて二人は歩む。
凛とゆき、黒髪と白髪の美しい女二人は、道と呼ぶにはあまりに自然を残す山道を行く。
二人の前後を都合四人の影が挟んでいた。
くちばしを持ち、背に黒翼を持つ山伏姿、烏天狗である。
これもまた轟獣郎の手のもの、彼により調伏されし人外の徒であった。
先行する仲間より呪符で意思を交わす烏天狗隊は、山中を逃げる龍姫と蝦蟇兵衛の後に着実に近づいている。
空を飛べる彼らは言うまでもなく人より何倍も山中での追跡行に適していた。
それでも実力では到底及ばない、その為の凛であった。
凛の美貌はどこか沈鬱で悲壮の気を帯びている。
当然だろう、実母を追い、その家臣を斬り、あるいは母その人を斬らねばならないのである。
その心中はいかばかりか。
一行の足はやがて山中の開けた場所へと至る、かつてはそこに住まう者もあったのだろうが、今や廃屋と化して寂れるがままになっている家が何軒かあった。
「宗近様。あそこにございます」
烏天狗隊の長が進み出て、進言した。
皆隠れる様子はない、とうに蝦蟇兵衛が自分達の気配を察していると読んだ為だ。
一人、また一人と錫杖を構え、翼を翻して宙を舞う。
ほどなく逃亡者は一軒の廃屋からゆるりと歩み出た。
屈強な体躯に忍装束、手には一振りの直刀と、棒手裏剣。
ぬめりと帯びた緑色の肌とぎょろりとした目玉が実に蛙らしい風貌である。
蝦蟇兵衛は、一目凛を見た瞬間にその正体を悟った。
顔が驚愕に染まり、身が震える。
まさか彼女が実母龍姫の追跡に充てられるなど想像もしなかったのだろう。
そして、そのような差配をした轟獣郎の鬼畜の思考に怒りに戦慄く。
「貴女様は、凛豪宗近様にございますか」
「いかにも。お久しぶりです、蝦蟇兵衛様」
「身共を覚えておいでか」
「はい。剣之城の家から出るまでの短い間、母と共に居た貴方を覚えております。母が居ない時は、貴方が私をあやしてくださった」
凛の顔が、柔らかく微笑む。
その微笑は正しく龍姫の子であり、美しく清らかで、優しげであった。
凛が実家に居た期間は一年にも満たない、龍姫とは文を通してずっとやりとりをしていたが、自分の如き下賤の使いを記憶しているとは思わなかった。
老忍者の手が震え、剣が落ちそうになる。
背後では、開いた戸の陰から顔を覗かせる龍姫がいた。
「凛……」
「母上……」
母娘はなんと数奇な再開を果たしたか。
蝦蟇兵衛は懊悩の極みであった。
主君を守る為に戦うのはこの身の務め、だがその娘である凛に刃を向けるなど到底できない。
なんとか轟獣老の手下の烏天狗だけを葬ればまだ凛に訴えかける事もできようが、果たして中近江一の剣士と言われる凛を前にそのような事が叶うかどうか。
しかも凛の傍らには蝦蟇兵衛の見た事のない女がいる。
女、というよりは少女だ。
狐か? 狼か? とても美しく愛らしく、これほど緊迫の瞬間にものほほんとした顔で立っている。
轟獣郎の手のものか?
考えに耽る忍者に、一歩凛が歩み寄る。
低く腰を構え、すり足で、手は鯉口を切る。
溢れる剣気は鋭く、遥か間合いを離れているにも関わらず切れ味を肌で感じるような心地であった。
「蝦蟇兵衛様。今ここで母を渡し、腹を切られれば、互いに無駄な争いをする用はありません」
「……宗近様、なりませぬそれだけは」
じり、と蝦蟇兵衛が身を固くし、剣を向ける。
勝てる気はしない、だが負けるわけにもいかない。
どうしようもない、手詰まりである
蝦蟇が攻撃の瞬間に膝をたわめ跳躍の姿勢を取る。
死を以って向かうべし、兎にも角にも老忍は轟獣郎の配下だけは殺し凛は命がけで止めようと決意する。
刹那、銀光が走った。
剣、脇差、上空へ回転しながらの斬撃、頭上を飛んでいた三匹の烏天狗の首が刎ねられる。
神刀無闘流が一手、閃空弧刃、霊気を込めて投じられた刃は長い弧を描いて飛び使い手の元へ戻ってくる。
仲間三人を突然失った烏天狗はまったく予想だにしなかった相手よりの攻撃に愕然とする。
そこへさらに追い打ちが襲った。
白い髪を白銀に輝かせて跳ぶ美しい影。
耳と髪と尾が輝くのは体内の氣を燃焼させている為だ。
普段のおっとりした姿が嘘のように、荒ぶる白狼の神としての本来の顔を見せた少女は、鋭い牙を剥き、長く伸びた鉤爪を振るった。
一瞬にして残る三騎の烏天狗も散った。
何事もなかったかのように静かに納刀する凛、その傍らに降り立ったゆきは軽く一息つく。
「ありがとうゆき」
「ううん、良いよ別に。凛の決めた事ならどんな事でもついてくよ」
蝦蟇兵衛は二人の意図を汲み、自分もまた剣を収め、膝を突き平伏する。
そんな老忍を前に、美しき剣客は微笑した。
「蝦蟇兵衛様。貴方の顔を見た瞬間にお察ししました。母の一件、何か止むに止まれぬ仕儀あっての事でしょう。凛豪宗近、及ばずながらお助けします」
この時代、絶対的封建社会完成を前にして、子が親に、それも大藩に名だたる武家の長に逆らうなど前代未聞である。
それを凛は、幼い頃会っただけの母の近習の双眸だけで切り捨てると決めたのだ。
既に胸裏では今まで築き上げた全てを捨てて逐電する覚悟があった。
一体いつ叛逆を企てそれに乗ったか知れないが、軽々と従ったゆきもとんでもない少女である。
「恐れ多くございます。宗近様……いえ、凛様」
感激に咽び泣く老妖魔忍。
そんな彼の傍らに、それまで震える身で傍観するだけであった女姓が、ふらりと訪れる。
長い黒髪、白蝋の美貌には憂いの陰、着物を押し上げる肢体の果てしない豊かさと淫靡さ。
天女でさえ嫉妬しそうなその麗しい顔立ちは、やはり凛と似ていた。
「凛……会いたかった、本当に」
駆け寄る母は、ひしと娘を抱き寄せた。
母娘、実に二十数年ぶりの再開と抱擁であった。
□
四人はさらにその山を下り、小川の傍に建っていた無人のお堂へと入った。
蝦蟇兵衛と龍姫はこれまで余人に語る事のなかった剣之城家での境遇を、初めて口にした。
「父がそのような事を」
凛は己を産んだ後の母の酷烈な日々、父の非道の双方に驚き顔をしかめる。
ゆきも悪感情を抱いてるのか、やや顔が険しかった。
「やむを得ぬ事でありました。おたつ様の身には氣が貯まりすぎている、それを制御する術も轟獣郎に封じられております。何より……我が主へのこれ以上の辱め、許しておけませぬ」
蝦蟇兵衛にしても苦肉の決断であった事は痛いほどわかった。
正面切って轟獣郎、ひいては剣之城家に挑む事はできまい。
それは凛とて分かっている、そもそも、世継ぎをこれ以上求めるのが間違っているのだ。
凛には兄が二人いる、家は彼らに継がせるのが筋である。
できる事は逃げの一手、蝦蟇兵衛の言う京まで逃げればさしもの轟獣郎もそれ以上の追跡はできまい。
皇が住まいやんごとなき公家が住まい、そして大和随一の陰陽師が居を構える京都はこの国でも聖域と呼べる場所だった、あそこで荒事をできる武者などいない。
それまでの道中、なんとか逃げ切らねば。
「ともかく今夜はこの場で休みましょう。身共は川に潜り上流から下流まで探って参りまする」
蝦蟇兵衛は言うと、小屋を出て川に飛び込んだ、流石は蛙である、あっという間に上流へと消える、近くで見てようやく何かが水面に沈んでいると気付く隠形の業であった。
「私もあたりを見てくるね」
気を利かせ、ゆきもそう言って小屋を出た。
当然追っ手への警戒もあるが、何よりも凛と龍姫の母娘水入らずの間を設ける心遣いであった。
「……」
「あ、あの……」
「はい」
「母上、その……凄く、綺麗ですね」
「まあ」
ぎこちない会話であった。
二人は恥ずかしそうに視線を伏せつつ、ちらりちらりと互いの顔を見つめ、それとなく言葉を交わす。
「ありがとう。でも、もう四十一よ? 貴女の方がよほど。殿方の姿でもとても美しいわ」
「いえ、私なんて母上に比べれば」
男装した凛の姿は気品と凛々しさがあり、龍姫の佇まいは果てしなく艷やかである。
濃艶の熟女と二十代の娘、それはある種の、美の極北のまったく別種の姿であろう。
共に長い黒髪が白い肌に生え、得も言われぬものがあった。
龍姫はじっと娘を見つめ、空白の期間の事を色々と訪ねようと思った。
ゆきという少女とどういう関係かも気になる。
僅かに身を動かし、距離を縮めようとする。
その時であった。
ふいに、体の奥で甘やかなる衝撃が走り抜けた。
「くぅう!」
声を上げ、眉根を歪めて手を突いた。
身を伏せ、丸め、息を切らす母。
凛はすかさず駆け寄った。
「母上!?」
呼ぶ。
だが龍姫は切なげに息を切らすばかりで答えが出ない。
もし言葉が出たとしても、答える術はなかったろう。
なぜなら、今彼女の体の奥、腰の中心で、疼き狂うのは雌の器官。
子産みの宮であった。
体内の氣脈全てを支配する轟獣郎の手を離れ、術を受けずに時を経たがゆえの反動。
制御できない氣が激しい脈動を生み、今までにないほど強烈な発情期を迎えた。
「く、くあ……だ、だめ……さわらないで、あ……あぁ」
凛の手が近づく。
その瞬間を龍姫はひどくゆっくりと感じた。
指先が、肩に、触れた。
それだけで彼女は果てた。
「ああああああ!」
びくんと大きくのけぞり、悶え転がる母の熟しきった肉体。
黒髪は床の上に散り、肌は上気して甘やかな香りと湯気をくゆらせる。
わけもわからず凛は目を白黒させた。
そして、実母の姿を前に、ぞくりと性欲を覚えてしまった。
その後に起こった全ての事態は、完全に必然的であり、そして偶然であった。
慌てて母を抱き起こす凛、龍姫は顔を彼女の首筋に埋め、呼吸する。
「あ……はぁ……凛……凛の匂い、良い……ッ♡」
両性具有として産まれた女は、同性を惹く香のような体臭を持つ、現代で言うフェロモンと呼べるものだ。
それを、強制的に氣を狂わされ発情するよう仕込まれた龍姫が、間近で嗅いでしまったのだ。
たちどころに母の目は潤み蕩け、体中が汗でぬめった。
手はするりと凛の着物にかかり、脱がしていく。
突然の母の痴態に理解が及ばず、凛は普段の毅然とした振る舞いが嘘のように狼狽する。
「だめ、だめです……母上、やめ……ひゃ!」
ちろりと鎖骨を舐められた。
ただそれだけの愛撫だけでさえゆきとは桁が違う。
なにせ二十年……いや、凛を仕込まれた期間を考えれば三十年近くになろうか、それだけの時間を陵辱と調教により犯され続けた女の手管だ。
龍姫は理性を半ば溶かされたまま、愛しい我が子の服を剥いていく。
袴を、上着を、そして胸を締め付けるさらしを。
ぶるん、と揺れて現れた乳房に、口元が緩む。
「まあ、こちらもこんなに実って……とっても綺麗、羨ましいわ……」
自分と違ってまだ張りがたっぷりある弾けるような乳房に、龍姫は股間をぐっしょり濡らした。
直接真っ白な肌から香る凛のさわやかな体臭、皮脂の香るせっけんのような匂いが、どんどん体を昂ぶらせる。
龍姫も着物の合わせを緩めた。
すると、それまで窮屈に納められていた肉の塊が溢れでた。
そのあまりの淫靡さと量感に、凛もまた息を呑む。
「すごい……」
ゆきも自分も大きい、だが、これは桁が違った。
一回り以上の差がある。
かつて童貞を捧げたまふゆ並の大きさであった。
しっとりと僅かに垂れ気味で、それがさらにいやらしさに拍車をかける乳だ。
しかも、乳首の回りには乾いた母乳がこびりつき、それが汗を混ざって凄まじい甘い匂いを生んでいるのだ。
蕩けるような乳香。
黒髪を垂らしながら、龍姫が顔を寄せていく。
凛は動けない。
二人の顔が重なった。
「ん!」
濡れた赤い唇が、舌をぬるりと滑り込ませた。
唾液を飲む、飲まれる。
舌が絡み合う心地は身も心も溶けるようだった。
二人の胴の間でいやらしく柔軟にひしゃげて形を変える乳房。
コリコリと乳首が擦れるのがたまらなかった。
「あ、んぷ……じゅる、ふぁッ……あぁ……凛、凛……可愛い、私の子♡」
「だめ、だめです母上……だめ、あ……くぁあッ♡」
母の手が、懇願を無視して袴を脱がせ、下巻きに包まれていた剛直に触れた。
それはもう、母の色香に狂わされ、硬く隆起していた。
血管を浮かべ屹立する威容に、龍姫の顔はさらに嬉しそうに蕩ける。
「まあ……ここもこんなに立派になって……すごいわ、今まで見たどんなのより素敵」
もう龍姫は止まれなかった。
直接嗅ぐ剛直の香り、両性具有者の一番濃いフェロモンを吸い込んでしまい、子宮は火が付いたように熱くなっていた。
脱げば、下巻きにねっとりとついて糸を引く愛液。
犯して欲しいと鳴き叫ぶ体が強烈に火照る。
押し倒した我が子の上に、母はゆっくり腰を上げていく。
濡れそぼる秘所と、亀頭がぴたりとくっついた。
さしもの凛も、驚愕の中でそれだけは防ごうと動き、手を母に添える。
「だめ! だめ、だめです……だめ、こんな……人の道を外れます! 母上!」
実の母、自分を産んだ女と契るなど、とうてい凛の倫理的規範を超えたものであった。
その言葉に、母は悲痛な顔をする。
「凛、そんな事言わないで……お願いです」
「母上……」
「私の……私の体、疼いて、火照って……もう、どうしようもないの……お願い、して……契って、犯して……でないと私、本当に……狂ってしまう……」
「……」
切なげな目で訴える龍姫の姿に、凛は言葉を失った。
正にその言葉通り、術をかけた主人である轟獣郎の手を離れ、龍姫の体内の氣は完全に気脈の流れをおかしくさせていた。
誰か、氣の波長の合う者に抱かれなければ、過剰な性欲で本当に精神を病みかねない。
生き残ったとしてもまともに生きていけなくなる可能性がある。
とろりとろりと溢れて滴り、熱い肉棒をさらに熱く濡らす愛液、濃密な雌の香り。
母乳と愛液の匂いに、凛もゾクゾクと背筋が震える。
真っ白な母の体、これ以上ないほど肉感的な熟女の女体に、目が釘付けになる。
犯したい、この眼の前の女を犯したい、貫きたい。
凛の中にも浅ましいケダモノが息を潜めて疼いていた。
「わかり、ました」
母の為、自分の中でそう言い聞かせ、言い繕い、凛は頷いた。
龍姫の手が伸びる、その手を彼女は掴んだ。
正面から指と指を絡ませ合い、がっしりと支える。
龍姫の巨大な尻が、ゆっくり沈んできた。
「あはぁぁ♡ あ♡ お、大きいッ! すごい、こんな……ああッ♡ は、母の中は、熱くて溶けてしまいそう!」
「母上の中も……熱くて、うねって……くう! と、溶けそうですッ!」
長い黒髪を乱し、尻を沈めていく母。
その母に飲み込まれ喘ぐ娘。
やがて重々しい肉の摩擦は極まり、ずしりと完全に繋がった。
「「ああああ!!!」」
お互いに、これほど相性の良い相手は初めてだった。
当たり前だ、血を分けた母娘なのだ。
凛は己の産まれた場所を再び自分で埋めた。
深く、熱く、甘く。
「だめ、でる……でます! は、母上! ぬいて、ぬいて、ああ……あああ♡」
声が裏返り、凛は仰け反る。
とても抜く暇などなかったし、龍姫に抜くつもりなどなかった。
「凛! りん、ああ、りんッ♡ おかえりなさい、貴女の産まれた、場所……あつ、あ、お゛ぉ♡ あ、あなたでまたいっぱいになるわ……ふぁ♡ かわいい、わたしの子♡ おかえりなさい♡」
娘への愛おしさ、子供への愛情が、魂を削るような発情期の昂ぶりと呼応し、融け合い、龍姫は真性の愛情として昇華させた。
ずっと抱きしめたい、傍に居たいと思っていた我が子を、一番深いところで受け入れ、互いに満たす。
この恍惚感、抗える女がいるわけがない。
肉感的なはち切れそうな尻を、熟女は振った、振りたくった。
いやらしく、左右に斜めにくねらせ、騎乗位にて娘を貪る。
その手管は女郎でさえそうそう真似できぬ極上のものだった。
目の前で、だぷんッ、ぶるんッ、と重々しく揺れる爆乳の姿もまた、凛の性欲を煽り立てた。
溢れる乳汁が白い線を描いて飛び、体にかかる。
顔についた一滴を舐めれば、懐かしい甘い味がした。
「母上……こんな、母上ぇ」
悲しいのか嬉しいのかわからない声と顔で、凛は与えられる快楽に波打った。
まふゆとも、ゆきとも違う、自分を産んだ蜜壺。
血を分けた母娘とはこうまで馬が合うのか。
みっちりと一部の隙もなく噛みあう肉棒と膣壁とが、一往復ごとに気絶しそうな快感を刻みこむ。
果てるまで、そう長くかからなかった。
「あああああ!!!」
挿入からそれほど経ってはいなかったが、射精の時間は凄まじく続いた。
凛の身が何度も床の上で跳ね、脈動するごとに肉棒は精を撒き散らす。
亀頭が子宮口をこじ開け最奥に入り込み、濃厚な種は子宮を満たした。
跳ねる、震える、注ぐ、そして溢れる。
この工程を十度も二十度も繰り返したのだ。
当然、龍姫も凄まじい絶頂へ追いやられた。
「はひッ♡ あ、あ゛あ゛ぁぁあああ♡ イク♡ イキます♡ 母も、果てるぅう♡ だして♡ 凛の子種いっぱい出して♡ 孕んでも良いから♡ 産む♡ 産みます♡ 愛しい貴女の子供産む♡ 孫を産んじゃうううう♡♡」
轟獣郎の術で、決して彼以外の子を産む事のできない身である筈だが、そんな事をきちんと考える理性など残っていなかった。
巨大な肉尻を娘の腰に叩き下ろし、熟母は今まで感じた事もない最上の絶頂感に打ち震えた。
これまでまぐわったどんな怪物よりも、あの夫よりも、比べるべくもなく良かった。
自分は、この子とまぐわう為に産まれたのではないか、自分とまぐわう為にこの子を産んだのではないか。
淫靡で正常性を掻いた論理が、発情した脳裏に浮かぶ。
いやらしく腰をくねらせながら、母はしなだれかかった。
また二人の乳房が重なる、乳首が擦れ、真っ白な肉はひしゃげた。
「んぅ」
「ん」
共に互いの長い黒髪を乱し、重ね、唇も触れ合わせる。
ぴちゃぴちゃと響く水音は、唾液を飲み合う舌のそれだ。
ねっとり糸を引く銀の橋。
女と女ではない、雌と雌だ。
実の母娘という関係性さえ超越し、今凛と龍姫は愛し合っていた。
「ははうえ……」
「凛、もっと……もっと、して」
母は腰を上げ、のそりとものを引き抜くと、今度は四つん這いになる。
目の前に突き出される尻に凛は震えた。
凄まじい、圧倒的な大きさだった。
熟女である為少し肉がたるんでいるが、だからこそ余計淫らなのだ。
脂の乗り切った四十女の体だ。
ゆきとは違う、濃艶を極める肉に、股間の剛直は痛いほど勃起していた。
自然と膝立ちになり、母の尻を掴む。
自分を産んだ場所に、また沈んでいく。
「きゃふうッ♡」
「お゛ぉおおおッ♡♡」
裏返る雌声。
最奥、子宮の口をまた押し込み、強引に開いた。
亀頭に吸い付く粘膜の厚みに、凛はもう、前後不覚の有様で腰を叩きつけた。
技巧もくそもない、ただただ犯し孕ませる、生殖の欲求に突き動かされての行為だ。
濡れた巨大な肉尻に腰がぶつかるたび、水風船でも割るような小気味良く強い音がする。
凛の大きな胸が弾み、それ以上に巨大な龍姫の爆乳も千切れそうに揺れた。
薄闇の中、生白い美女の肉と肉がまぐわい、求め合う。
その光景は果てしなくケダモノめいており、同時に妖しく、幻想的なほど美しかった。
黒髪を乱し、乱され、のしかかり、叩きつけ、凛は母を犯す、龍姫は娘に犯される。
「母上、また……また、出てしまいます……く、くああ!」
目尻に溜めた涙を白い頬に伝わせ、凛は泣きそうな声を上げる。
実母を犯し精を注ぐという行為への理性的嫌悪感、罪の意識、それらを全て削り取る圧倒的な背徳的な快楽。
ぬめる膣壁の締め付け、絡みつくヒダの一つ一つが、凛の理性を粉砕する。
熟母はそんな娘を肩越しに見つめ、妖艶に微笑んだ。
自分から尻を押し付け、深く飲み込む。
「ひゃうう!」
甲高い凛の声。
愛おしい、心底そう思い、龍姫は身を震わせた。
「構いません、たくさんお出しなさい……ん、あ♡ あ゛ぁ♡ は、母の中に、たくさんぴゅっぴゅって、だして♡ 誘ったのは私、悪いのは全部私です……貴女は気にせず、あひ♡ ん゛ぅう♡ 腰を、振って……そう、もっと力強く! お゛ぉお♡ たたき、つけて、えぐって! 子宮まで、入って! 貴女の産まれた場所に来て! 出してぇえ♡ ああ……精を、子種を、だして……わたしをまた、あなたの母にしてぇえええッ!!」
長い黒髪が宙を舞い、爆乳を揺らし、尻を震わせ、白い身がくねる。
押し付ける尻に、凛は渾身の力を込めて腰を叩きつけた。
そして、白熱忘我の瞬間。
粥の如く粘りきった精が己の故郷を満たし尽くし、溢れる。
「~~ッ!」
息をひゅうひゅうと吐いて、声もなく、美貌を歪ませ蕩かす凛。
龍姫の顔はそれ以上に蕩けきっていた。
「あは♡ ああ……子宮、いっぱい……ああ♡ 子宮孕むぅ……りん……りん、すき……だいすきぃ……」
何度イってもイキたりない、異常な快楽だった。
なおも貪欲に腰を動かし凛を奮い立たせる母、娘もまたその母に答えて突き上げ、抉る、子宮を満たす。
汗みずくになった二人の白い肌は桜色に紅潮し、室内は濃密な雌の媚薬体臭に包まれ、煙るほどだった。
強い世継ぎを作る為に体内の気脈を操作され狂わされた龍姫。
生まれつき氣の強すぎる為に、両性具有者として、鬼っ子として誕生した凛。
そこへ実の母娘という波長の合う肉体が重なり、一度睦み合ったが最後、二人は完全におかしくなってしまった。
どれだけ性欲の強い者でもこんな強烈な絶頂を何度も味わえば疲れが来る。
ところが二人は逆に疲労が消し飛び、氣脈は強まり、体力も精力も尽きる事なき泉の如く溢れ出る。
もし凛が平素であったなら、まぐわっている最中でも気を抜く事はなかった。
敵に、これほど接近を許さなかった。
「おやおや、まあまあ、血の繋がった母と娘でよくもまあここまで浅ましく。まるで野獣ですわね。いやらしくて、下品で、でもとても素敵ですわ。おたつ様、宗近様♡」
闇の中から、妖しい甘い声が響いた。
果たしてどこから近づき、どこから忍び寄ったのか。
忽然と現れたのは赤い髪と赤い着物の妖女であった。
剣を取るはおろか、構える暇すらなかった。
一瞬にして粗末な小屋の中に無数の蛭が溢れ、波打ち、凛と龍姫を飲み込んだ。
二人の意識は暗黒に掻き消され、波打つ蛭の中に沈む。
ただ一人立つ蛭女紅殻は、くつくつとからからと嬉しそうに笑った。
「ぜぇんぶお見通しでしたのよ? わたくしの使い魔共、宗近様達をつけておりましたもの。うふふ、あはは♡ 後はあの蛙と狼を始末するだけですわね? ああ、でも、その前に貴女達を主様の元へお連れしませんと。おたつ様ぁ、また貴女を犯せると想うと、わたくしゾクゾクしますわ……ああ、今度は宗近様も一緒かしら。ふふ、さぁて、では帰りましょうか、わたくし達の屋敷へ」
赤い女は闇の中、蛭の海の中へと掻き消えた。
蠢く無数の醜悪奇怪の群もまた、ほどなくして消滅する。
後には女のまぐわい合った淫臭だけがわだかまり、静寂だけが残された。
ゆきと蝦蟇兵衛が戻ってくるまであと小半時あった
続く