間が空いてしまい、すいませんでした。
間壁から開放され、数日が経った。
俺はやっと日常に戻り、開館の準備をしていた。
「よし、浣腸した、脱毛もOK」
いつもの衣装を身に付けてフロアに降りようと部屋を出たとき、見慣れない男がドアの前に立っていた。
「うわっ!…誰だよあんた」
そこにいたのは鋭い眼差しの、利発そうな少年だった。高校生くらいだろうか。ネイビーのブレザーに深緑色のネクタイをしめ、俺をじろじろと眺めている。
「…ふーん…君が‘連太郎’ね…」
少年は俺に近付くと、くんくんと匂いをかいだ。
「な、何だよ…やめろよ気持ち悪いな」
「甘い匂いがする。二十代の男の匂いじゃないよね。香水かなんか付けてるの?」
「アロマだよ。ほっといてくれ」
俺たちは開館前にそれぞれ配られたアロマオイルで香りを付けなくてはいけないのだ。部屋にも同じ香りのアロマをたいている。
「和人兄さんのスーツに付いてる匂いと一緒だ。…どんな美少年かと思ったら、その辺の大学生みたいな奴じゃないか」
少年は俺の衣装を掴んで下におろした。
「ちょっ…おい!何すんだよガキ!」
俺のぺニスは露にされ、少年はそれを指で持ち上げた。
「ガキじゃないよ。僕は龍ヶ崎 陸。和人兄さんの従兄弟。連太郎くんって23歳なんでしょ?そのわりにはかわいいおちんちんだよね」
陸は俺のぺニスを指先で撫で、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべた。
「やっ…やめっ…」
「下の毛もぜんぜん生えてないし…ほら、おちんちん濡れてきた」
俺は陸の腕を掴み、ぺニスから指を引き離した。
「和人さまの従兄弟だか知らないけどな、ここはお前みたいな未成年が来ちゃダメなんだよ。さっさと家に帰れ。なんなら学校に電話してやろうか」
俺の反応が気にくわなかったのか、陸はムッとした表情で俺の手を振り払った。
「和人兄さんが身請けするって聞いてどんな奴か見に来たら、ただの下品な娼婦じゃないか。君みたいなのが龍ヶ崎家の一員になれると思ったら大間違いだからね。君は和人兄さんにとってはただの性欲処理道具なんだよ」
嫌味な言い方をされ、腹が立った俺が言い返そうとした時、ルイと和人が歩いて来た。
「陸!お前、こんなところで何やってるんだ」
和人は陸を見つけると、厳しい声で陸を叱った。
「後を付けてきたのか。ここは子どもが来る場所じゃないぞ。それに、今日は家庭教師が来る日じゃなかったか?」
陸はぶすっとした顔で和人を見上げた。
「和人兄さんが変な娼婦にうつつを抜かしてるって、英人兄さんから聞いたから、どんな奴か見てやろうと思ったんだよ。和人兄さんはこんなのがいいの?アホ面だし、下品だし」
「陸、失礼な事を言うんじゃない。迎えを呼ぶからお前は帰るんだ」
和人はルイに一言謝ってから、俺の方はちらりとも見ずに陸を引っ張っていった。
「いやー、若い子って元気だね。うちも十代の子を入れようかな」
「オーナー、検挙されますよ」
ルイはあははと笑った。
「高校生はまずいけど、18歳以上ならギリセーフだよ。うちのコンセプトは‘美少年と戯れる癒し空間’だから、25歳くらいが定年なんだ。一番人気の理央だって26だし、連と悟が一番若いくらいだからね…もっとスタッフを増やさないと」
うんうんと頷くルイの背後から、ぬっと理央が現れた。
「……うわっ!理央、びっくりするだろ」
「花の命は短いですからね…ぼくも定年かぁ…」
理央は珍しく暗い声で言った。
「い、今のは年齢的には、の話だよ!理央は見た目年齢が14歳って言われてるんだから大丈夫!男娼館のトップなんだから、まだまだ居てくれないと困るよ」
「…そーですか……でも正直、ぼくこの仕事に限界感じてるんですよね……」
ふらふらとした足取りで理央は去っていった。
「理央さん、何かあったんですかね」
「さぁ…お尻が治ってないんじゃない?」
その時、和人が戻ってきた。
「和人さま、もうご親戚の方は大丈夫ですか?」
「ええ。オーナー、お騒がせしてすいません。では、相談の続きをしましょう。連太郎も一緒に来てくれ」
俺は二人に付いていき、オーナー室に入った。ソファーに座ると、和人は真剣な顔で話し始めた。
「連太郎、単刀直入に言うと、俺はお前を身請けしようと思う。だから、お前の気持ちを聞きたいんだ」
何と返すべきか分からず、俺は黙ってしまった。
「もちろん、すぐにとは言わない。考えがまとまったら言ってほしいんだ」
「連、和人さまは来週のイベントにいらっしゃるから、それまでじっくり考えなさい」
「あ…はい……分かりました」
話が済むと和人はルイに挨拶し、仕事があるからと言って素早く邸を後にした。
見送りから戻ったルイは、俺の肩をぽんと叩いた。
「和人さまは連に夢中だし、きっと大切にしてくれるよ」
「でも俺、身請けのイメージができなくて…」
身請けと言われても、俺にはいまいちピンとこなかった。結婚でもルームシェアでもなく、一緒に暮らすイメージが湧かない。大体俺の立場は何になるんだろうか。伴侶でも恋人でも友達でもなく、今のようなスタッフと客ではなくなるのだ。
「それなら、来週の身請け式でよく見るといいよ」
「身請け式…?ユーミットさんですか?」
「そうそう。謹慎も明けたし、ユーは準備の真っ最中だよ。他の子にはまだ言ってないから内緒ね」
ルイは嬉しそうに笑った。
ユーミットの身請け式が近付き、俺は自分の身請けについて考えていた。インターネットで身請けについて調べたり、俺なりにいろんな想像を巡らせたが、まだ気持ちははっきりしなかった。
和人のことは好きだと思う。でも、身請けされるということは、男娼館を出ても一生、男娼として生きていくことなのかもしれない。
俺は、陸が言った「龍ヶ崎家の一員にはなれない」という言葉が引っ掛かっていた。身請けされればそう簡単に実家には帰れないし、家族になんて説明すればいいのか分からない。だからといって龍ヶ崎家の家族になれるわけじゃない。もう普通の仕事もできなくなるかもしれないし、結婚もできない。自由がなくなるかもしれないのだ。
「………あ、ユーミットさん」
俺がぐるぐると考えていると、バスローブを着たユーミットが階段をのぼっていた。
「どうしたんですか、バスローブ着て」
「連。実は今からちょっと特別な打ち合わせがあって…だからごめん、また後でね」
ユーミットは申し訳なさそうに笑うと、急いで階段をのぼっていった。
式の当日になり、邸の中はなんとなく忙しなかった。前日に身請け式のことを伝えられた少年たちは、皆パーティー用の衣装を着け、首からいつもより大ぶりな担当宝石のアクセサリーを身につけている。
俺も中身が透けて見える白いレースでできたビキニパンツを履き、スワロフスキーのネックレスと頭飾りを着けた。
いつものフロアではなく、五階に上がるよう言われていた俺たちは、五階をまるごと使った広いパーティー会場に入った。
「五階ってこうなってたんだな…すげえ」
普段は立ち入り禁止だが、この日は盛大に飾り付けられていた。ビュッフェ形式のパーティーで、あちこちに料理が置かれている。各テーブルにはターコイズブルーのテーブルクロスがひかれ、天井の巨大なシャンデリアにはたくさんのターコイズがきらめいている。フロアの中央はまるでアラビアのオアシスのような室内庭園が設けられており、邸の中とは思えないような幻想的な空間が作られていた。
「連太郎くん、こっちに来て!」
悟に呼ばれ、俺はステージの裏側へ入った。
「今から身請け式の説明するみたいだよ」
少年たちが集まっている中に、普段よりも格式高いタキシードを着たルイが入ってきた。
「全員いるかな。今日はユーミットの身請け式だから、みんなしっかり‘旦那様’をおもてなしして、ユーミットの門出を祝ってあげてね。まず始めに僕が挨拶、ダンスメンバーのショーと続くからね。ユーミットたちが出てきたら、盛大な拍手。そのあとはしばらくビュッフェパーティーを‘旦那様’に楽しんでいただくんだ」
ルイはごほんと咳払いして、説明を続けた。
「そして、次がいよいよメインだよ。ユーミットたちの誓いの儀式だ。君たちは見ているだけで大丈夫だから、くれぐれも粗相のないようにね」
話し終えると、ルイは踊り子の衣装を着たダンスメンバーの少年たちに指示をし、忙しそうに去っていった。
テーブルに戻り、‘旦那様’たちが揃うと、会場が暗くなった。俺は和人がどこにいるのか分からなかった。ステージがライトアップされ、マイクを持ったルイが現れた。
「皆様、本日はお集まりいただき、まことにありがとうございます。これより、ターコイズ担当のユーミット・デミルコルと、その‘旦那様’である城崎さまの身請け式を開催いたします。司会は、オーナーである私が担当させていただきます。ではオープニングとして、少年たちのダンスショーをお楽しみください」
ルイが舞台の袖に下がると、深い青色のアラビア風衣装を着た少年たちが現れ、エキゾチックな音楽に合わせて妖艶なダンスを披露し始めた。
15分ほどのショーが終わり、会場はふたたび暗くなった。
「ユーミットと城崎さまの入場です。皆様、拍手でお迎えください」
アナウンスの後、ステージ横の巨大な扉が開き、タキシードを着た城崎が現れた。その後ろから、ユーミットが本物のラクダに乗ってゆっくりと現れた。
「ラクダ!?すげぇ!本物だよな?」
「たぶん、城崎さまが用意したんだと思うよ」
悟が小声で言った。
「ヤバくないですか?…ウケねらいですよね?」
「しーっ!聞こえるよ!」
城崎とラクダはゆっくりと会場を歩き、ユーミットはうっとりしたような表情でラクダに揺られていた。ユーミットはアラビア風のきらびやかな衣装を身につけており、ターコイズが体の向きに合わせてきらきら輝いた。上半身はチャイナドレスのようにぴったりとし、長く垂れた布の切れ目からは長い素足が伸びていた。
城崎と派手な装飾を施されたラクダは、会場を一周しステージ近くまでやってきた。城崎はラクダからユーミットを下ろすと、二人でステージに上がった。
「皆様、本日はユーミットと私の身請け式にお越しいただき、ありがとうございます。皆様には、このあと立食パーティーをお楽しみいただき、私達の誓いの儀式を見届けていただきたいと思っております」
城崎の挨拶が終わると、会場は明るくなり、華やかなクラシックが流れ始めた。‘旦那様’たちはざわざわと会話や食事を楽しみ始め、俺たちはワインを注いだり挨拶をしたりと、忙しく動き回った。
「連太郎。俺にはワイン注いでくれないのか?」
「和人さま!どちらにいらっしゃったのかと…」
和人は苦笑いし、小さなワイングラスを差し出した。
「ちょっと片付けてたんだ。お前は気にしなくていい」
そう言って、和人は俺の頭を軽く撫でた。その時、ワインのビンとサーモンが並んだ皿を両腕に抱え、悟が慌てながら現れた。
「連太郎くん、ちょっと助けて!ロゼを3本注文されたんだけど、もうないんだ。悪いんだけど、ワインセラーにストックあると思うから取ってきてくれないかな?」
いつもより客や料理が多いせいか、悟は必死で給仕をしているようだ。いつもはのんびりした性格の悟だが、今日はバタバタと焦って仕事をこなしている。
「分かりました!行ってきます。和人さま、ちょっと失礼します」
和人に一礼し、俺は早足でワインセラーに向かった。
ワインセラーは邸の裏口から庭に出て、少し離れた場所にぽつんと建っている。中は電気をつけても薄暗く、奥の方の棚までよく見えない。
「ロゼ……こっちじゃないか………あ、あった」
一番奥の棚にロゼのビンを見つけ、俺は手を伸ばした。その時、誰かに腕を掴まれ、床にたたきつけられた。
「!?…いってぇ…」
顔を上げると、そこには昼間合った和人の従兄弟・陸が鋭い形相で俺をにらんでいた。
「お前…和人さまの…」
「邸に忍び込んで君を探すつもりだったけど、まさか自分から来るとは思わなかったよ」
陸は俺を床に押さえつけるようにして乗り掛かり、抵抗する俺から衣装を剥ぎ取った。
「ちょっ…なにやって……」
年下とはいえ、俺より体格の大きな陸に押さえつけられると身動きが取れなかった。
「君がただの下品な娼婦だってことを和人兄さんに見せて、兄さんの目を覚ましてあげるんだ」
陸は俺のアナルが見えるように脚を開かせ、ロープできつく固定した。そして、なにやら電話をかけている。
「おい!こら、どうするつもりなんだよ。ほどけよガキ!」
電話が終わると、陸は蔑むような表情で俺のペニスを踏みつけた。
「ぎゃああ!」
「カエルが潰れたみたいな声だね。ほんと下品で汚ならしい。もうすぐ君を気持ちよくしてくれる人が来るから、好きなだけよがっていいよ」
しばらくしてワインセラーの扉が開き、黒いスーツを着た大柄な男が現れた。
「やあ、早かったね。こいつだよ、好きに犯していいから」
「殺さない程度なら何してもいいんだな?」
男はスーツの上着を脱ぎ、固い筋肉におおわれた体で俺に乗り掛かった。
「いやだ!やめろ、離せよ!」
「村田、そいつうるさいから、喋れないように縛っといて」
村田と呼ばれた男は、俺の口にタオルを押し込んで縛った。息苦しくなり、声が出せない。
「お前、金持ち専用の娼婦なんだって?どんないい体してんのか楽しみだな」
村田は俺のアナルをねばつく舌でなめ回し、太い指を突っ込んだ。
「んんー!んぅー!」
「ほら、おとなしくしろよ。すげぇなこれ…女よりすぐ濡れてんじゃねぇのか」
ぐちゅぐちゅと中をかきまぜられ、嫌な気持ちとは裏腹に体は反応してしまう。
「じゃ、写メとるから、そいつのアナルこっち向けて」
シャッター音が響き、俺は蕩けたアナルを撮影されてしまった。
「村田、早くぶち込めよ。それが撮りたいんだから」
イライラしたように陸が急かすと、村田は固く勃起した浅黒いペニスをアナルに押し込んだ。
「んんぅっ!…んんー!」
「おー、すげぇ…あぁ、気持ちいい…こいつ締め付けが半端ないな。もっとガバガバかと思った」
アナルを擦られる度に体は反応するが、恐怖と恥ずかしさからか俺のペニスは下を向いたままだった。
「なんだ、連太郎。ぜんぜん勃起してないじゃん。おもしろくない」
陸は俺のペニスを乱暴に指先で弾くと、棚からワインのビンを1本取り出した。
「一回ペニス抜けよ。こいつの中に酒入れてやるんだ」
村田を押しのけ、陸はビンの口をアナルに入れた。
「んんぅぅ!!」
赤ワインは一気に俺のアナルに注ぎ込まれ、入りきらないワインが次々に流れ落ちた。アナルがだんだん熱くなり、じんわりと体にアルコールが入り込んでくる。何度もアナルが痙攣し、中をいじってほしくて堪らなくなった。
(第15話に続く)