※この作品はR-18です。

男娼館物語   作:南城しん

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第17話

身請け式前日。

俺はなんとか時間をつぶし、体のうずきをごまかしながら過ごしていた。

「連太郎さん、今よろしいですか」

ベッドに転がって本を読んでいると、ドアの外から大館の呼ぶ声がした。

「はい、大丈夫です」

ドアを開けると、大館が一礼して入ってくる。

「これから身請け式に向けて、エステで体を整えていただきます」

大館はタオルやボールの乗った銀色の台車を引っ張ってきた。

「エ、エステ?大館さんがやるんですか?」

「もちろんです。大事な身請け前の方をよその施術師には任せられませんから。では、ここに横になってください」

ベッドの上にビニールとバスタオルを敷き、そこにうつ伏せになるよう促された。

 

背中に温かいオイルが垂らされ、大館の指がゆっくりとマッサージを始めた。

なめらかな指の動きで肩甲骨の周りをほぐされ、俺は気持ち良さにうとうとしていた。

「痛くないですか?」

「ぜんぜん~めっちゃ気持ちいいです」

大館の指は肩甲骨から背中、腰にまわり、やがて尻に到達していた。

強弱をつけて尻をマッサージされ、アナルの奥にまで響いてしまう。

「…あっ…大館さん…いや、あっ…やめて…」

貞操帯で押し込められたペニスがだんだん熱くなってくる。

「あんっ…だめ、あぁ…」

「……連太郎さん」

大館はそっと指を離し、俺の身体をゆっくりと起こした。

「私は……」

少し悲しそうな顔で、大館は俺を抱きしめた。

「お、大館さん?」

「…貴方には幸せになってほしいんです」

ゆっくりと髪を撫でられる。大館の身体は熱かった。

「あ、ありがとうございます」

俺の目を見つめ、柔らかく笑った。微笑んだところは初めて見た気がする。大館の目は少し赤くなっていた。

「はいはい、そこまでだよ~大館」

ルイが急に現れた。大館は驚いてガバッと俺から離れる。

「まったく、懲りないねぇ君も」

「…も、申し訳ございません」

「まぁ、今回はコレに免じて許してあげるよ」

ルイは何やら手紙のような紙切れを大館に渡した。

「…!オーナー、これは本当ですか…?」

「さっき届いたんだ、君が喜ぶだろうと思ったよ。さぁ、準備に取りかかって。連は僕と打合せをしよう」

大館は一礼して、素早く部屋の外に出ていった。

「当日の流れを説明するからね。まず明日の15時には貞操帯を外して、お風呂と浣腸を済ませるよ。衣装とメイクをして、17時に開場。身請け式は18時から21時まで。そのあと初夜だよ」

初夜、という言葉に、顔が熱くなった。

「前にも言ったけど、君はユーミットの時とはちょっと違って、みんなの前でエッチはしないからね。誓いのキスはあるけど。連の清楚な花嫁楽しみだなぁ」

「せ、清楚な花嫁…」

「明日はハードだから、今日は早く寝て体調整えるんだよ。楽しみにしててね」

 

 

「身請けか……」

一人になった部屋で、貞操帯の鍵を見つめていた。

俺は和人に身請けされる。和人のものになるのだ。いきなり自分の人生が怖くなる。

別に嫌なわけじゃないけど、実感がまだわかないのだ。

窓のカーテンを開けると、空にはちらほらと星が瞬いていた。

男娼館は郊外の、住宅街を離れた高台にある。緑に囲まれた場所にあるからか、街中よりは星がきれいに見える。

窓の外の明かりといえば、街灯と星のあかりくらいの、夜になると寂しい場所なのだ。

 

和人は、俺を恋人として見ると言ってくれた。でも、そんなの本当だろうか。

ユーミットが言っていたことをふと思い出す。

 

『僕達なんてどうせ都合の良い遊び道具でしかないんだろ』

 

和人にとって、金で買われた俺は恋人になんかなれるんだろうか。

俺はただのおもちゃかもしれないのに。

 

考えれば考えるほど頭が痛くなってきて、俺は乱暴に布団をかぶり無理矢理眠りについた。

 

 

翌朝、男娼館から出ていく準備をする。荷物といっても、もともと着のみ着のまま来たのだ。小さなリュックひとつにまとまった。

だらだら時間をつぶしていると、あっという間に15時になり、ルイと大館が部屋に訪れた。

「連、体の調子はどう?今日は長丁場の体力勝負だからね!」

ルイの指示で、大館が俺の貞操帯の鍵を外した。

ひさしぶりに貞操帯を取られた体はなんだかふわふわと軽く、少し寒い。

「さあ、お風呂と浣腸だね。今日は僕が念入りに洗ってあげる」

「え、いいですよ、自分でやりますって」

嫌がる俺に構わず、ルイは靴下を脱いでシャワーを出し始めた。

「ほらほらいいから座って」

泡のボディーソープを優しい手つきで身体中に塗られ、くすぐったくて身をよじる。

「もうじっとしなきゃだめだよ、足広げて」

ぺニスを包むようにして洗われ、びくんと反応してしまった。

「気持ちよくなるのは今夜和人さまとやってね。ほら、四つん這いになって」

泡をシャワーで流すと、アナルが見えるような格好にさせられる。

「はい、浣腸するよー」

「……っあっ………う…」

ひさしぶりの浣腸は前より辛く感じた。トイレに駆け込み、用を足し終わるとまた風呂場に戻された。

ルイは俺のアナルにシャワーでお湯を入れ、きれいになるまで洗った。

身体中洗われてぐったりした俺はバスローブを着せられ、次の部屋に連れて行かれる。

「次、衣装とメイクだね!」

やる気満々のルイ。青色の目がいつも以上に輝いている。

俺を鏡の前に座らせると、ルイは何やらブラシとコンパクトを持ってきた。

「連は初々しい花嫁がテーマだからね~。ここをかわいくしないとね」

コンパクトでブラシをくるくる動かし、ルイはそのブラシで俺の乳首を撫でた。

「あっ…!や、何やって……」

「乳首がもっとかわいいピンクになるようにね。あとここも」

ぺニスの先にも同じようにブラシを走らせた。

「あんっ…や、だめ、くすぐった…」

細くて柔らかいブラシの毛先が敏感な穴を刺激し、俺は身をよじった。

「あーあ、おちんちんちょっと勃っちゃったね。ほんと感じやすい子だなぁ連は…」

薄いレースでできた衣装を履かされると勃起したぺニスが衣装を軽く押し上げ、濡れた先端のせいでよけいに透けてしまった。

腰に引きずるほど長いベールを巻き、レースとスワロフスキーをあしらったチョーカー、ブレスレット、ティアラのような華奢な頭飾りをつける。俺でもなんとか歩けそうな白いミュールを履くと、全身鏡の前に立たされた。

「さぁできたよ。これなら和人様もお喜びになるに違いないよ」ルイは俺の肩を嬉しそうに叩いた。

 

 

ルイに連れられ、身請け式会場の控え室で和人を待った。妙な緊張感だ。

やがてノックが聞こえる。

「オーナー、龍ヶ崎様がお見えになりました」

「ありがとう、すぐ行くよ。連はここで待っててね」

扉の外に出たルイは、10分程すると和人を連れて戻ってきたようだ。

「では連太郎が待っておりますので、どうぞお入りください」

控え室に入ってきた和人は、俺を見ると表情を変えずにすぐ目をそらしてしまった。

いつもよりフォーマルなスーツに身を包んだ和人は、身長の高さや鋭利な容姿が際立って正直かっこいい。

「和人さまにオーダーいただいた『花嫁衣装』で支度させていただきました。貞操の言いつけもしっかり守らせましたので、ぜひこれからも可愛がってあげてください」

ルイはしっかりと和人の目を見て言い、握手をした。

「ありがとうございます、アンドレセンオーナー。私も今日を楽しみにしていました」

そういうわりには、和人は俺に一言も声をかけない。

「今から開場だよ、連がんばってね!」

大館とスタッフが会場に続く扉を開けた。俺は和人に手を取られ、ゆっくり会場に入っていく。

 

照明は落とされていて、俺達の歩く場所にスポットライトが当てられている。天井や各テーブルには白いレースとスワロフスキーが輝いていた。

着席すると、ステージにルイが一礼して現れた。

「皆様、本日はご来場いただきありがとうございます。これより龍ヶ崎和人様と御津連太郎の身請け式を開催致します」

照明が明るくなると、客席を見渡すことができた。

白いレースやシルク、スワロフスキーで統一された装飾は、シンプルだけど華やかに会場を彩っていた。

顔を知っている旦那様もたくさん来ている。悟や理央さんもいるのを見つけた。

「ショーとお食事をお楽しみください。本日の身請け式では、こちらでの初夜は行いません」

穏やかなクラシックが流れはじめ、'男の子'達はお酌をしたり旦那さま達をもてなしはじめた。

「あの、和人さま…」

「和人おめでとう!よかったな」

俺が話しかけようとした時、和人の兄の英人様が笑顔で現れた。

「それにしても身請け式で初夜なしなんて、他の'旦那さま'達から怒られるぞ。もう皆連太郎くんのエッチな姿見られなくなるんだから」

ふん、と和人は鼻で笑う。

「連太郎くんもおめでとう。これからうちの家族だね」

「あ、どうも…ありがとうございます…」

英人様は嬉しそうに和人の背中を叩き、テーブルへ戻っていった。

 

 

だんだん盛り上がってきた会場とは裏腹に、俺達はまだ一言も会話を交わしていなかった。

「龍ヶ崎さん、おめでとうございます」

よく男娼館に来る馴染みの旦那様二人が、和人に挨拶をしに現れた。

和人もなにやら愛想よく話している。

旦那様の一人が、俺にも目を向けた。

「連太郎くん、今日は格別綺麗ですね。初夜はなさらないんですか?」

「ええ、私の元に引き取ってからです」

「あれ?連太郎くん…あはは、龍ヶ崎さん、連太郎くんはもう待ちきれないみたいですよ」

もう一人の旦那様が俺のぺニスを見て言った。

久し振りに貞操帯をはずし、しかも和人の隣にいる。

それだけで俺のぺニスは勃起したままになっていた。

和人は眉間に皺を寄せると、旦那様二人に礼をして、俺の手首をつかんで控え室に引きずり込んだ。

「アンドレセンオーナーは?」

和人は焦ったような様子で大館に尋ねると、すぐにここを出たいと指示していた。

「オーナーをお呼びして、お車も回させました。こちらへ」

大館に案内され、和人は早足で外へ向かう。

「ちょっ…和人さま、なんで…」

「いいから来い」

俺を車の後部座席に押し込むと、出てきたルイと何やら話し、和人もすぐ隣の座席に乗り込んだ。

運転手は素早く車を発進させる。

「連、楽しんでね!」

振り返ると、ルイは笑顔で俺に手をふり、大館やスタッフとともに頭を下げた。

 

 

「………あ、あの、和人さま……」

不機嫌そうな顔で窓を見つめる和人は、なんだかソワソワと落ち着かない。

「俺、なんかやっちゃいましたか…?その、怒ってますよね……?」

無言で気まずい雰囲気のまま、車は30分ほど走って停車した。

外の景色を楽しむような余裕はなかったが、男娼館のある緑深い高台から、郊外ではあるが少しひらけた場所に出ていた。

運転手がドアを開け、外に出ると3階建てほどの落ち着きのある洋館が現れた。

「ここは?」

「………アンドレセンオーナーの持ちものだ。予定にはなかったがここに泊まる」

ルイの持ちものということは、ここもまだ男娼館の敷地内なのだろうか。改めて半端ない。

 

さっさと邸の中に入っていく和人のあとに急いでついていく。

中も外観同様落ち着いていて、シンプルながらも年代物の和洋折衷な調度品が並んでいる。

「龍ヶ崎様、こちらのお部屋をお使い下さい」

奥から男娼館のスタッフが一人現れて案内をしてくれた。

「ありがとう、いきなり無理を言ってすまなかったな。オーナーにも改めて礼を伝えておいてくれ」

「かしこまりました。本日スタッフは在中致しませんので、お屋敷全てをご自由にお使い下さい。お食事はご連絡いただきましたらお届けに参りますので…」

スタッフが去ったあと、俺は和人のあとを追いかけて奥の部屋に入った。

 

 

そこは広い寝室で、バルコニー付きの大きな窓にキングサイズのベッドが目を引いた。

「……お前はここで待っていろ」

そう言うと和人はスーツのジャケットを脱ぎ、向かいのバスルームへと入って行った。

シャワーを浴びる音だけが、二人きりの広い屋敷に響く。

俺は妙に緊張していた。

 

バスローブを着て現れた和人は、ベッドの縁に座って俺をジロジロ眺めた。

「………なんですか?」

「……俺は清楚な花嫁にしてくれとオーダーしたんだがな」

俺の方にゆっくり歩み寄り、指先で俺の顎をくすぐる。

その指はゆっくりと首、鎖骨をなぞり、乳首を引っ掻いた。

「あっ!……ん……」

「いやらしい花嫁だ。初めからここを勃たせて他の男にまで見せつけて……」

和人は右手では俺の乳首を弄びながら、左手で衣装越しにペニスを撫でた。

「あっ…和人さま…んぁっ、だめぇ……」

久しぶりの愛撫に体が震えた。腰が勝手に動き、吐息を漏らしてしまう。

「そんなに欲しかったのか?……こんなに濡らして、すぐにイきそうだな」

愛撫の手を止めて、俺の全身を舐めるように見る。

「あ……和人さま……」

「俺のものになるんだろう?」

和人に見つめられているだけで、俺のペニスからは透明な液体があふれでてくる。

俺の首からそっとチョーカーが外され、衣装から半分飛び出してしまっているペニスの根本にきつく結ばれた。

「やだ、和人さま、俺これは嫌だ……」

「こうしておかないと、連太郎はすぐ一人でイってしまうだろ?」

腕を強く引っ張られ、ベッドに押し倒される。

途端に和人の柔らかな唇を重ねられた。歯をなぞり、舌を吸い上げてくる。

濃厚なキスに、俺のペニスはさらに反応してしまう。

「んぅうっ…ふ、ぅ……あんっ……」

乳首に軽くキスされたと思ったら、すぐに吸い付かれる。

舌先で転がされ、びくんと体が痙攣した。

「ひゃあんっ!」

「乳首だけでイきたいか?」

「……やっ…いや、…」

「どこがほしい?」

「……………」

答えない俺に、和人の唇はペニスまでたどり着いてしまう。

「あぁあんっ!!だめ、そこは……そんなに、いやぁぁっ」

陰茎をやさしく揉みながら、初めは先端を、次第にペニス全体がすっぽりと和人の口に食べられてしまう。

根本を縛られているためか、なかなかイけない。

「連太郎、どこがほしい?正直に言いなさい」

「……………お、しり………」

「お尻がいいのか?」

四つん這いにさせられ、奥への愛撫を期待して尻をつきだした。

途端、尻にじわりとした痛みが走る。

「やんっ!?」

和人は俺の腰をかかえて、手のひらで俺の尻を打ち始めたのだ。

「あぅっ!ひゃっ!あっ!やだぁ、なんで…」

「淫乱な花嫁なんだから『お尻』なんて気取った言い方はおかしいだろ。本当にいじめてほしいのはどこだ?」

尻を打たれるたび、奥深くに刺激が走り、だんだん我慢ができなくなってくる。

「あっ!…あんっ……アナルに…」

「なんだ?聞こえないぞ」

「アナルに…ほしいです………」

尻への刺激はさらに激しさを増した。

「あぁあっ!やぁっ、痛っ、ひゃうぅ……」

「ピンク色になってきたな。連太郎のここはもうアナルじゃないだろ?俺の『花嫁』なんだから。分かるよな…?」

俺は、男娼館でもあまり言わされたことのない言葉に、恥ずかしくなってしまった。

「……………こ」

「もう一度言ってみろ」

「……俺、の………けつまんこ……か、可愛がって………ください………」

(18話に続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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