エイプリルフール めぐみん
1.
めぐみんの魔法により、敵集団が壊滅。因みに、それを受けたダクネスも気絶。
「このバカ!もう少し周りの迷惑を考えろ!」
「なにおぅ⁉︎今私が撃たなかったら、きっと全滅していましたよ!」
「俺らまで全滅するところだったわ!いい加減、爆裂魔法の手加減してくれよ、身がもたない」
クエストの報酬を得るために、毎回誰かしら気絶するのはゴメンだ。
2.
「だーかーら!あれほど手加減しろって言ったのに、何やってんだ!本当に死んだぞ⁉︎」
「う…………それは、その………………ごめんなさい」
「謝れば済むとでも思ってんのか⁉︎実際、アクアが居なかったら本当に死んでたんだぞ!本当、いい加減にしろよ!」
「カ、カズマ。私はもう大丈夫だから、その辺に……」
「そ、そうよ。死んでも生き返らせてあげるし、大丈夫よ?」
「お前がリザレクションかけるたびに、エリス様が苦労するんだよ!手加減してくれよ!な!」
「嫌です」
「嫌ということは、出来るんだな?パーティの足手まといだから、頼むから手加減してやってくれよ。お前のせいで周りに影響が出るんだよ」
「…………カズマは、」
「?」
「魔王を倒すのが、最終目標なのですか?」
「あぁ、だからその前に巻き添いで死ぬわけにはいかないんだよ。全く、何回も言わせんなよ……」
「カズマさんカズマさん、そんな言い方しなくても……」
「少し言い過ぎではないか?」
「いえ、私が悪いのですから。分かりました」
そう言って、めぐみんは姿を消した。
もう、1週間が経とうとしている。
3.
「めぐみん、帰ってこないわね……」
「うむ、ギルドもクエストの受領確認は無いらしいし、本格的に行方不明だぞ」
「…………………」
「ねぇカズマ。探しに行きましょう?もういい加減片意地張らないで、ね?」
「めぐみん1人だと、行ける範囲も限られて来るからな。探すのは簡単だろう」
「知るか。大方、俺に言われたのがショックでいじけただけだろ。帰ってくるよ、そのうち」
「なんでそんなに冷たいの?何かあったの?」
「別に。何も関係ないだろ」
「あるさ。大体、一緒に冒険している仲間じゃないか」
「仲間は仲間に魔法は撃たない」
「もう許してやったらどうだ?別にわざとじゃない」
「魔法が偶然で発動できるわけないだろ。あいつ、やっぱり最初に捨てときゃよかったな」
「あ、あんたねぇ!いい加減にしなさいよ!」
俺を殴ろうと、アクアが拳を振り上げる。
しかしそれは、横から吹っ飛んできたドアに阻まれ、た……?
えっ、ドア?
「はぁっ、はぁっ………ぐはぁ…………………」
「な、なんでカツラギがここに⁉︎」
「ぼ、僕の、名前は…ミツルギだ…。いや、それ、よりも、君達、の、仲間が、危ない」
アクアが駆け寄りながら回復魔法を唱える。息も絶え絶えなミツルギが、俺らに状況を説明する。
「めぐみん、だっけ?彼女、の名前、は。
あの子が、単身で、撃ったんだ」
「ど、どこに?」
「魔王城」
「はぁ⁉︎」
「な、何でそんなことを⁉︎」
「…………」
「カズマ、君なら、分かるだろう?僕に、こんな事をさせたんだから」
「え、どういう事?」
「一体、何が……」
「おい、ミツルギ。それは言わない約束だろうが」
「ははっ、お返しだ」
んん〜〜、何とも小っ恥ずかしい。
「カズマは、僕にめぐみんの尾行を頼んでいたんだ。俺たちには、無理だからと」
バレる原因はアクアです。
うるさい、問題起こす、アンデット吸着シート。
「……なんだ、カズマさんも心配だったのね」
「やはり、お前は私が見込んだ男だ」
「やめろよ、お前ら……。俺も、言いすぎたかなと思ったから……それだけだから。おい、本当にやめろよ………」
「僕は彼女を魔王城の前から救い、王都へと置いてきた。彼女は今、王都で僕らの仲間が治療してやってる。だから、今からみんなで向かわないか?」
「嫌だ」
「え?」
「なっ⁉︎」
「どうして、佐藤和真?」
「これは、俺たちの問題だ。ミツルギ、世話になった。あとは、俺が落とし前をつける」
はぁ……
「やっぱり、カズマってこういう所はしっかりしてるのよね」
ふっ……
「やはり、お前は私が見込んだ男だな」
すぐさま装備を整え、アクアの回復魔法でミツルギの治療をしてからアクセルの街を出発した。
「で、何でお前が付いてきてるんだ?」
王都へ向かう途中、横を歩くミツルギに尋ねる。
「僕も、この件に関わりたいと思ってね。別に足手まといにはならないよ」
自分の剣を売られた相手に、ここまで心を開き、許す相手が居るだろうか。
まるで、物語の主人公のような人柄だった。
4.
王都へ着くのに、約3日かかってしまった。
道中の敵は、俺が索敵してミツルギが倒すという戦法だった。
女性陣は何もしてない。
アクアは歩いてるだけなのに疲れたとか言うし。休もうというし。
お前、何もやってないだろ。
王都に着くなり、ミツルギがめぐみんを休ませて治療していた宿へと案内する。
はずだった。
「キョウヤ!大変、大変よ!」
宿へ向かう最中、見覚えのある2人が駆け寄ってきた。
気の強い方の女は俺に石を投げてきた。
もう1人は槍を投げてきた。
本当にやめろ。死ぬ。
「ちっ………あ、キョウヤ!あのね、私達が起きたら、あの子が居なくなってたの!」
「だから私は交代で寝ようって言ったのに、今まで大丈夫だから明日も大丈夫とか言うから!そんなフラグ立てるから!」
「し、しょうがないじゃない!」
こいつも一級フラグ建築士だったか。
あ、もう1人はおれの横にいる狂犬女神です。
あ、忘れそうだったけど、あいつ俺に舌打ちしたよな。後でスティールしてやろう。
「落ち着くんだ。状況を整理して今後の事を考えよう。彼女からの書き置きはなかったのかい?」
「『カズマとの約束を果たします。相打ちになっとしても、あなたとの約束を果たします。こんな、不出来なアークウィザードを今まで雇ってくれてありがとう。』…………だけよ」
「ミツルギ、魔王城はどこだ」
「待て、まずは装備を整えよう!金を貸すから、最上級の装備を整えよう。特に佐藤和真。そんな格好でいったら瞬殺されてしまう」
「アクアがいるから大丈夫だよ。こいつ、復活魔法使えるし」
「さ、さすが女神様………」
5.
王都滞在、約5分。
すぐに出発した俺たちは、借りた馬車に乗り、キョウヤ女子2人を王都に置いて魔王城へと向かっていた。
「なぁアクア。魔王城の結界って破れるのか?」
「うーーん、規模と威力にもよるけど、爆裂魔法撃てばヒビくらいは入るんじゃないかしら?」
「じゃあ何回も撃てば……」
「まぁ2、3秒で元通りだけどね」
ダメじゃん。
「でも、唯一の例外があるの」
「それは?」
「リッチーが協力したなら、可能なはずよ」
「俺らにリッチーの知り合いなんている訳…………あるな」
「多分、あの日の夜、屋敷に帰って来なかったから魔王城へ行くためにウィズに会いに行ったんだと思うの」
「恐らく、その時に何かしらの協力をしてもらったのだろう」
「はぁ……ウィズも言ってくれよ」
「カズマが悪いんだからね。そこまでめぐみんにさせた上に、ウィズを協力させるだけの迫力があったってことよ」
「うむ、全面的にカズマが悪いな」
「ぐっ………反論できねぇ」
「佐藤和真……君は最低だな」
「異議なし」
「右に同じ」
「ご、ごめんなさい………」
5,5.
魔王城に着いた俺たち。
直後。
「………ス………………ジョン!」
どごぉぉぉぉぉぉおおおおおん。
「めぐみん!」
「めぐみん!」
「めぐみん!」
俺らは、この時気づくべきだったのだ。
6.
「おらおらぁ!どけどけぇい!『クリエイト・ウォーター!』」
「『ターンアンデッド!』」
アクアとの連携で、どんどん手下が浄化されて、消えてゆく。
確か、アンデッドモンスターに剣は効きづらいはずだったのに、ミツルギの魔剣はそんな事を気にせずにバッサバッサと斬っている。
ダクネスは、偵察隊となっている。
狙いやすいはずの偵察隊だが、アンデッドモンスターも、あまりの硬さに狙ってすらいない。
「カズマ、向こうに通路があったぞ!」
「良くやったダクネス!みんな、行くぞ!」
「『セイクリッド・ターンアンデッド!』」
「はあぁぁぁぁぁっ!」
階段を駆け上がること6階。
最上階に到達した。
そこに広がっていたのは、吹き飛んだ屋根と、巨大なクレーターだった。
「め、めぐみん⁉︎どこにいるんだ!」
「めぐみーん!迎えに来たわよ!」
「早く逃げるぞ!」
「めぐみんさーん!来ましたよー!」
静まり返る、最上階。
その時だった。
敵探知なのか、第六感なのか。
「全員、後ろに下がれー!」
自分で言おうとしたわけじゃないのに、何故か叫んでいた。
次の瞬間。
今までいた場所が何かに押しつぶされるように砕け散った。
衝撃波で、後ろの壁にぶち当たる。
一瞬、意識が飛びかけたがなんとか耐え、次の攻撃に備えた。
「ほぅ、今のを躱すとは。敵探知が優秀なのか、幸運なのか」
そう言って、姿を見せたのは。
「我こそが魔王だ。よく来たな、冒険者よ。誉めてやろう」
うわ、ゲームそのまんま!
直後、魔王の後ろが歪む。
そこには、見間違えるはずもない。めぐみんの姿が。
「お前らの目的は、あの娘だろう?だったら、力ずくで取り返してみるがいい!」
7.
「『セイクリッド・ターンアンデッド!』」
「はぁぁぁっ!」
「『クリエイト・ウォーター!』」
「魔剣グラムの威力、味わえ!」
それぞれ4人が一斉攻撃を仕掛ける。
「ふはははは!効かん、効かんぞ!もっとしっかりと攻撃してこい!」
みんなで攻撃しているのに、まったく効く様子がない。
「くそッ、何で倒せないんだ!」
「もしかしたら、時限敵な呪いとか掛かってたらもう時間ないかも!」
「私の、私の仲間によくも!」
「喰らえっ!」
4人で攻撃している中、魔王は何もしてない。
なのに、倒せない。
「ふんっ!」
魔王が腕を振り抜く。
それだけで突風が起き、全員初期位置まで戻される。
「くそ、目の前にいるのに……!」
「攻撃しても倒せないなんて、どうしたら」
「王都から応援を呼びますか?」
「今更無理だろう、呪いがかかっていたらさすがに間に合わない」
「くそっ、どうすれば…………」
めぐみんさえ手に入れば、俺たちはこの場を脱出できる。
めぐみんさえ、めぐみんさえ……!
………………出来るじゃん。
「アクア、お前、水流を操れるか?」
「もちろん、水の精霊1匹ごとに対応可能よ」
「作戦がある。2人は攻撃を開始してくれ」
「何かわかったのか?」
「ふっ、勝ったぜ」
「アクア、作戦はこうだ。まず、あいつに向けて洪水クラスの水をぶつける」
「そしたら、めぐみんまで下に落ちるわよ⁉︎」
「いいから聞けって。その時に、めぐみんだけ水流でちゃっかりこっちに回す」
「なるほど、分かったわ!」
「この世にある我が眷属よ……!」
「えっ、ちょっ、まっ……!」
「『セイクリッド・クリエイト・ウォーター!!』」
「ごぶはぁぁぁぁぁあ!」
直前まで何もなかった場所に、突如として突如と洪水が発生する。
これには、さすがの魔王も驚いたらしい。
「めぐみん!」
「あっ。しまった!」
魔王が慌てて手を伸ばすも、高速回転する水流に阻まれる。
高速回転する水は、コンクリートをも砕く威力を秘めている。
「めぐみん!」
めぐみんを抱え、頬をペチペチと叩き呼びかける。
「おい、起きろよ!起きてくれよ!」
起きるまでの時間稼ぎで、他の3人は無駄だと知りながらも一生懸命攻撃している。
すると……。
「ん、んぅ〜〜〜?ここ、は?」
「やっと起きたか!めぐみん!」
「な、何でカズマがここに⁉︎というか、どういう状況なのですか!」
「説明は後だ!一先ず離脱する!」
めぐみんが起きたことを知らせ、全員で離脱しようとする。
しかし、相手は仮にも魔王。
そう簡単には許してくれない。
とか思ってたけど。
「ふはは、面白い。面白いぞお前ら!ベルディアが死ぬだけはあるな!」
魔王は豪快に笑い、俺らに対して笑いかける。
「今回だけは見逃してやる。今度は全員で、作戦を立てて、全力でこい。だが、最後に一つだけ聞かせてもらおう」
「何故、無駄だと思いながらも俺を攻撃し続けたんだ。そんな無駄なこと、しなくても良かったのではないか?」
その問いに、俺は。
「確かに、合理的に考えればそうだな」
「でも、自分の仲間を見捨てるという選択肢はない!何があっても仲間は見捨てない!それだけは、絶対に譲れない!」
めぐみんを横抱きにしたまま答える。
それを聞き、魔王は……
「なるほど。人間は面白い。いいだろう、帰るがいい。また次の機会に会おうじゃないか」
そう言って、魔王は風とともに消え去った。
8.
アクセルの街。屋敷にて。
魔王城から戻った後、王都で治療をしてアクセルの街へと帰ってきた。
しばらく安静ということで、アクアがバイト、ダクネスが筋トレ。カズマが私のの看病をしていた。
「カ、カズマ?そんな事は自分で出来ますから大丈夫ですよ!
「いや、ダメだ。お前のメイド、カズマッチだよ?」
「やめてください!本当にやめてください!悪化しますから!」
昼間から屋敷に響く笑い声。
前まで邪険な感じもなくなり、今では前の通り仲良くなり、お互いの信頼も深まったことでしょう。
「そ、その……今回は悪かったな。だから、また次の冒険から、宜しくたのむよ」
「こちらこそ、片意地張ってごめんなさい。宜しくお願いしますね」
あんな事があったけれど、私はやはりカズマを嫌いにはなれない。
密かに心配していた事を知ってしまったから。
こんなワガママで、面倒臭い、使えないアークウィザードと一緒にいてくれることが嬉しかった。
「あ、あのさ。おれ、実はめぐみんのこと好きなんだ」
だから、突然言われて反応できなかった。
「な、ななななな何を言うんですか!どうしたんですか!吊り橋効果ですか⁉︎」
それを言ってから、顔を赤くしてしまった。それは、私の方では………。
そう思って、私は自分の気持ちを考える。
もしかして。私は、本当にー
「ってエイプリルフールのネタだけどな!いやー、めぐみんのウブな反応が面白かったぜ!さすが紅魔族!リアクションだけは、さすが………あれ?」
「カズマのバカーーーッ!」
「うわぁ!そ、そんなに怒るなよ!」
今回は散々だった。
少しカズマのこと見直したけど、こんな事やるし……全く、乙女心をなんだと思ってるんでしょうか!
だから。
「わ、私は、カズマのこと好きですよ?」
「え……?マジ?」
「エイプリルフールですけどね」
「くそッ!さっき騙したはずなのに!すぐ騙された!おまえ、俺の男心をなんだと思ってるんだ!」
「カズマが言うことじゃないですよ!」
エイプリルフール。
それは、言いたいことが言えなくても、その日だけは冗談で言える日。
「いつか、エイプリルフール以外の日言えたらいいなぁ……」
だから、私はこの日が少しだけ好きになりそうだった。
冗談ってことにして、好きな人に「好き」と伝えられるのだから。
2.めぐみん エイプリルフール特別編 全年齢版 終わり
めぐみんでした!
めぐみんのR-18は、推敲がまだ終わってないので、21:30に上げます!暫くお待ち下さいませ。楽しみに待っていてくださった方々、申し訳ありません。
この話に対する感想、意見は活動報告にて待っています!
次回の投稿は、4月8日です!
お楽しみに!