※この作品はR-18です。

雪の家の灯火   作:白浜 真砂

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 作品タグにR指定を入れていますが、冒頭なのでまだそういうシーンはありません。
 文章も不慣れですがこれから精進します(’・ω・`)

 初投稿なので色々不備があると思いますがご容赦くださいませ。


第一話 追われた英雄とその胸の内

 雪に閉ざされた国クルザスの皇都イシュガルドを竜族の侵攻から護る為、イシュガルドの神殿騎士団総長アイメリク卿直々の要請を受けて私はイシュガルド防衛戦の戦列に加わった。

 皇都は無傷とまではいかなかったものの竜族を退ける事に成功し、その勝利を祝して催されたウルダハ王家主催の戦勝祝賀会に、私は暁の血盟の賢人達や盟主のミンフィリアと共に招かれる事になった。

 しかしその祝賀会で起きたナナモ女王暗殺の濡れ衣を着せられ、逃亡する際に暁の仲間達と散り散りになった私は辛うじて合流出来たアルフィノと共に虎口を脱し、クルザスまで逃げ延びた。

 そしてクルザス中央高地のキャンプ・ドラゴンヘッドを統轄するオルシュファン卿のご厚意でこの地に匿われた私達は、別行動をとっていたものの運良くドマの忍びであるユウギリに助けられて合流したタタルさんとの三人でドラゴンヘッドの応接室を仮の拠点『雪の家』として使わせてもらい、行方の分からない仲間の捜索を始めとする様々な活動をする事になった。

 …とはいえ仲間の捜索自体はタタルさんに任せて、私は相変わらず冒険者としてダンジョンの探索や蛮神の討伐等、荒事ばかりの毎日を送っているのだけれど。

 

 そんなある日、雪の家に立ち寄った私はタタルさんに誘われて、エオルゼアで密かに流行っているカードゲーム『トリプルトライアド』の対戦をしていた。

 

「よしっ、私の勝ち!」

「ぐぬぬ…!それじゃあ、このカードを持っていくでっす。」

 

 ゲームに勝利して勝鬨を上げる私を恨めしそうに見ながら、タタルさんは一枚のカードを私に手渡した。

 

「やったー!…ってまたウリエンジェさんのカードなの!?もう13枚目だよ?もういい加減ライトニングさんのカードをくれたっていいじゃない……。」

「ふっふっふ、マニアに売るとしたら百万ギルは下らないプレミアカードでっすから、例え冒険者さんでもそう簡単に渡せないでっす。レアカードが欲しければ、暁最強と謳われたこの私をもっと満足させる、もっと熱い戦いをするのでっす!」

「ほほう、なかなか言いますねぇタタルさん…。それじゃあ私もそろそろ本気を出しますよ!」

 

 そんな会話をしながら、私が勝ったら激レアカードを譲ってくれると言ったのに何十勝してもカードを譲ってくれないタタルさんと、お互いが時間を忘れて対戦をしているところで不意に誰かが応接室の扉を叩く音が聞こえた。

 

「やはりここに居たのか、友よ!お前が我がキャンプに来ていると報告を受けてな、皇都まで出向いていたところを急いで戻ってきたのだ!」

 

 扉を叩く音で振り向くのと同時に扉が勢い良く開き、銀髪をなびかせたエレゼンの男性が少し息を切らせて部屋の中に飛び込んで来た。

 

 「ご無沙汰しています、オルシュファン様。最近はここへ立ち寄ってもすぐ出発してしまうので、お手間を取らせない様にお会いするのを控えていたのですが……。」

 

 私は近づいてくるオルシュファンにそう言いながらゲームを中断し、急いでカードを片付けて会釈をすると彼は少し困った様に微笑んだ。

 

「……何を水くさい事を言っているのだ。私はお前がこのキャンプに訪れ、その素晴らしい筋肉を披露してくれるのをいつも首を長くして待っているというのに………! 

 ……そんな事より、しばらく見ない間にお前の肉体はまた一段と逞しく、強靭になった様だな!聞けばまた新たに呼び出された蛮神を狩っているとか。……幾多の強敵と戦い、己を磨き続ける………。実にイイ!」

 

 私を眩しげに見つめながらイイ笑顔で褒め讃えるオルシュファン。いつもの若干セクハラが入った労いの言葉でドラゴンヘッドに来た事を改めて感じて、何故かとてもほっとする。

 

「……所で今日はゆっくりして行けるのだろう?いつも忙しいのは分かっているのだが、我がキャンプで共に暮らそうと言っているのに、お前はほとんど寄り付かんからな……。ここはお前の家も同然なのだから、一晩くらい泊まっていっても良いではないか。

 ……今夜こそは、我が私室でお前とサシで酒杯を交わしつつ熱き語らいの時を過ごすくらいの事はしていってもらうぞ!」

 

 有無を言わさない口調で詰め寄るオルシュファンに気圧されて私は思わず後退り、彼の気迫に呑まれそうになる。

 

「ええっ!?そ、そんな急に言われても……。」

「……そんな顔をしても駄目だ。休憩を挟みつつ、もうかれこれ1日以上もタタル嬢と共にカードゲームをしていると報告を受けているぞ。………タタル嬢とかなりの時間をカードゲームに費やしているのだから、少しくらい私に付き合ってくれてもイイではないか!」

 

 私を熱く見つめながらも少し拗ねた顔で更に迫ってくるオルシュファンに圧倒され、根負けした私は苦笑しながら彼を見つめ返した。

 

「…分かりました。ではお言葉に甘えて一晩だけご厄介になります。」

「そうしてくれるか!……出来る事なら今すぐにでもお前を我が私室に招きたい所なのだが、皇都からつい今しがた戻って来たばかりなのでな。今しばらくはここの暖炉で暖まり、寛いでいるとイイ。その後で、共に夕食をとってから…………我が私室で、ゆっくりと………。フフフ………イイ!イイぞ!!今夜は寝かさないからな!!」

 

 オルシュファンは弾けんばかりのイイ笑顔でそう言い残すと全力疾走で彼の執務室へと戻って行った。

 

「ふふっ…相変わらずだなぁ、あの人は。」

 

 オルシュファンが出ていった後の扉を眺めながら彼の表情を思い出すと人知れず私の胸が甘く疼き、それと共にずっと心の奥に秘めている思いが胸を締め付けてきて、私はそっとため息をついた。

 

 

 筋肉や活力を偏愛する彼は、色々な問題発言や少し行き過ぎた行動によってあまり良い印象を持たれにくいけれど本当はとても礼儀正しく紳士的で、部下からの信頼も厚い騎士の鑑の様な人物だ。

 だから例え真夜中に彼の私室で二人きりになったとしても、……もし何かされるとしても私の全身をあらゆる角度から隅々まで舐め回す様に見てくる位で、私に指一本触れる事はないと思う。

 そして普段から私の事を盟友と呼んで憚らない彼は、恐らく彼の親友の命を救った恩のあるお気に入りの冒険者としか私の事を見ていないだろう。

 自分の気持ちを抑えようとなるべくこのキャンプには来ない様にしてはいるのだけれど、仲間を匿ってもらっている上に色々と便宜を図ってもらっている手前、全く来ない訳にはいかないので出来るだけオルシュファンに会わない様にしていたけれど、まさかこんな事になるとは……。

 ただ、このまま無闇に彼を避け続けていても何の解決にもならないばかりか、彼の信用を失いかねないというのは私にだって分かっている。

 

(……行き場の無い思いを持て余し続ける位なら、いっそこの機会に思いを告げてしまった方がいいんだろうか……?)

 

 そう思い立ったその時、私は自分の荷物の中に入っているある物を思い出した。

 

(あれを使ったら……。いや、でもあれは色々な意味でリスキーな気がする。………でも、オルシュファン様だしなぁ……。)

 

 私はカードゲームを終えた後で暁の仲間の捜索の為にウリエンジェさんと連絡を取りながら好奇心に満ちた視線を送ってくるタタルさんの横で、答えの出ない自問自答に一人で悶々としながら時が過ぎるのを待っていた。

 

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